JP5350876B2 - タイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、不織布からなる吸音層をタイヤ内面上に具えるタイヤの製造方法に関するものであり、特には吸音層を具えるタイヤの製造工程を複雑化させることなく、吸音層による吸音効果を有効に確保したタイヤの製造方法に関するものである。
リム組みされ、車両に取り付けられたタイヤでは、車両の走行中にトレッド部が路面の凹凸に衝接して振動することによって、タイヤ内腔に充填された気体が空洞共鳴する。この空洞共鳴は、いわゆるロードノイズの主たる原因であり、その共鳴周波数の多くは180〜300Hzの範囲内に存在する。ロードノイズが、車室内に伝達されると、他の周波数帯域の騒音とは異なり、鋭く高いピーク値を取るため、車室内の乗員にとって耳障りな騒音となる。
かかる空洞共鳴を抑制し、ロードノイズを低減するため、特許文献1には、タイヤ内面に、不織布により構成される制音用の環状の吸音層をタイヤ周方向に固定した空気入りタイヤが提案されている。また、特許文献2には、ポリウレタンフォーム製のスポンジ材により構成された吸音層をタイヤ内面に固定したタイヤが提案されている。
一般に、吸音層のタイヤ内面への貼り付け方法としては、加硫成形前の生タイヤの内面に貼り付ける方法と、加硫成形後のタイヤ内面に貼り付ける方法とがある。加硫成形前の生タイヤの内面に貼り付ける方法は、特許文献3に記載されているように、吸音層を接着テープや接着剤により生タイヤの内面に仮固定した後に、加熱及び加圧による加硫成形により、吸音層をインナーライナの内面に含浸させて物理的に固定するものである。また、加硫成形後のタイヤ内面に貼り付ける場合には、特許文献4に記載されているように、加硫成形後のタイヤ内面の離型剤をバフ処理や化学処理により除去してから、接着テープや接着剤により吸音層をタイヤ内面に貼り付ける必要がある。なぜなら、加硫成形時に使用される加硫用ブラダーとの離型性を確保するために、シリコンオイル等の離型剤が塗布されたままの状態となっていることから、離型剤が塗布された状態のタイヤ内面に、接着剤を用いて吸音層を貼り付けても、離型剤により接着剤の接着性が有効に確保されず、吸音層を堅固に貼り付けることができないからである。
特許第3622957号明細書 特開2003−48407号公報 特開2008−93953号公報 特開2007−168242号公報
しかし、不織布により構成された吸音層を具えるタイヤは、その製造時に、以下のような問題を有する。すなわち、特許文献3に記載されているように、生タイヤの内面に吸音層を貼り付けてタイヤを製造すると、ローラー等を使用した吸音層の生タイヤ内面への貼り付けや、ブラダーを使用した加硫成形などにより、吸音層が押圧(圧縮)されて吸音層の体積が小さくなり、吸音層の空隙率が小さくなることから、所望する吸音効果が有効に得られない可能性がある。一方、特許文献4に記載されているように、加硫成形後のタイヤの内面の一部を除去する工程を経て、吸音層を貼り付ける方法では、吸音層の空隙率は維持されるものの、吸音層をタイヤ内面に取り付けるまでの工程が複雑であり、生産性を低下させる可能性がある。
そこで、この発明の目的は、上記した種々の問題を解決して、吸音層を具えるタイヤの製造工程を複雑化させることなく、吸音層による吸音効果を有効に確保したタイヤを製造する方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、この発明は、不織布からなる吸音層をタイヤ内面上に具えるタイヤの製造方法であって、かかる方法は、生タイヤの内面に吸音層を貼り付ける工程と、生タイヤを加硫成形する工程と、加硫成形後の吸音層の体積を所望する体積まで増大させる工程とを含み、吸音層の体積を増大させる工程は、起毛針を吸音層に引っ掛けて起毛させる工程を含み、長さが、吸音層の厚さの2/3以下の起毛針を使用することを特徴とするタイヤの製造方法である。ここでいう「吸音層の体積」とは、吸音層の空隙部分と繊維部分を併せた総体積をいうものとする。
のとき、曲げ剛性が50×10−6〜10000×10−6N・mの範囲にある起毛針を使用することが好ましい。また、断面径が2.0mm以下の起毛針を使用することが好ましい
前記目的を達成するため、この発明は、不織布からなる吸音層をタイヤ内面上に具えるタイヤの製造方法であって、かかる方法は、生タイヤの内面に吸音層を貼り付ける工程と、生タイヤを加硫成形する工程と、加硫成形後の吸音層の体積を所望する体積まで増大させる工程とを含み、吸音層の体積を増大させる工程は、予め吸音層に内包されている少なくとも1本の紐を、吸音層を開裂させながら引き抜くことにより、吸音層を起毛させる工程を含むことを特徴とするタイヤの製造方法である。ここでいう「吸音層の体積」とは、吸音層の空隙部分と繊維部分を併せた総体積をいうものとする。
このとき、タイヤ周方向に連通した紐を使用することが好ましい。また、少なくとも3本の紐を使用することが好ましい。
前記目的を達成するため、この発明は、不織布からなる吸音層をタイヤ内面上に具えるタイヤの製造方法であって、かかる方法は、生タイヤの内面に吸音層を貼り付ける工程と、生タイヤを加硫成形する工程と、加硫成形後の吸音層の体積を所望する体積まで増大させる工程とを含み、吸音層の体積を増大させる工程は、予め吸音層に貼り付けられている粘着テープを引き剥がすことにより、吸音層を起毛させる工程を含むことを特徴とするタイヤの製造方法である。ここでいう「吸音層の体積」とは、吸音層の空隙部分と繊維部分を併せた総体積をいうものとする。





加えて、吸音層の体積を増大させる工程の後に、かかる吸音層を構成する不織布の繊維間を結合する工程を更に含むことが好ましい。
この発明によれば、不織布に適当な処理を施すタイヤの製造方法を採用することにより、吸音層を具えるタイヤの製造工程を複雑化させることなく、吸音層による吸音効果を有効に確保したタイヤを製造する方法を提供することが可能となる。
(a)〜(d)は吸音層を具えるタイヤを製造する工程を示した図である。 この発明に従うタイヤの製造方法を実施する起毛機の正面図である。 (a)は、図2に示す起毛機のヘッド部の側面図である。(b)は、その他の起毛機のヘッド部の側面図である。 (a)〜(c)は、この発明に従う吸音層の体積を増大させる工程を示した図である。 (a)〜(e)は、この発明に従うその他の吸音層の体積を増大させる工程を示した図である。 (a)〜(e)は、この発明に従うその他の吸音層の体積を増大させる工程を示した図である。
次に、図面を参照しつつ、この発明の実施形態を説明する。図1(a)〜(d)は、吸音層を具えるタイヤを製造する工程を詳細に示した図である。図2は、この発明に従うタイヤの製造方法を実施する起毛機の正面図である。図3(a)は、図2に示す起毛機のヘッド部の側面図であり、図3(b)は、その他の起毛機のヘッド部の側面図である。図4(a)〜(c)は、この発明に従う吸音層の体積を増大させる工程を示した図である。図5(a)〜(e)は、この発明に従うその他の吸音層の体積を増大させる工程を示した図である。図6(a)〜(e)は、この発明に従うその他の吸音層の体積を増大させる工程を示した図である。
はじめに、図1(a)〜(d)を参照しつつ、生タイヤを加硫成型して不織布からなる吸音層を具えるタイヤを製造する工程を具体的に説明する。まず、図1(a)に示すように、生タイヤ1を3つに分割された金型2、2、2内に収容し、生タイヤ1の内面に接着剤を用いて不織布からなる吸音層3を貼り付ける。このとき、吸音層3は、ローラーによりタイヤ内面に対し押圧しつつ貼り付ける。次いで、図1(b)に示すように、生タイヤ1の内面側に、ブラダーリング4に固定された加硫用ブラダー5を配置する。そして、図1(c)に示すように、加硫用ブラダー5の内部に180〜200℃程度のスチーム及び窒素ガスの混合流体の加硫媒体を供給し、加硫用ブラダー5を過熱しつつ膨張させる。これにより、加硫用ブラダー5が生タイヤ1を各金型2、2、2の内面に向けて押圧するよう膨張変形し、生タイヤ1が加硫成形されることとなる。そして、図1(d)に示すように、加硫成型されたタイヤ6を金型2、2、2から抜き出し、吸音層3を具えるタイヤ6が得られる。なお、吸音層3のタイヤ内面への貼付けに使用される接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム系のラテックス接着剤、水性高分子−イソシアネート系の接着剤等が挙げられる。また、吸音層3を構成する不織布としては、PET、レーヨン又はアラミド等の有機繊維、ガラス又はカーボン等の無機繊維、動物由来の繊維、及び植物由来の繊維等を絡み合わせて一体化したもの等が挙げられる。
上記した製造方法を採用し、吸音層3を具えるタイヤ6を製造すると、ローラーにより吸音層3を生タイヤ内面に押圧しつつ貼り付ける工程において、吸音層3が圧縮され、吸音層3の体積すなわち空隙率が減少することとなる。また、加硫成形する工程においても、加硫用ブラダー5により吸音層3が圧縮され、吸音層3の体積すなわち空隙率が減少することとなる。吸音層3による吸音効果は、吸音層3を構成する不織布の空隙率すなわち繊維密度に大きく依存する。発明者らは、上述したように、吸音層3が圧縮されて、吸音層3の体積が減少すると、不織布の繊維密度が過剰に大きくなり、所望の吸音効果が有効に得られないことを発見した。その対策を鋭意検討した結果、発明者らは、吸音層3がローラーや加硫用ブラダー5によりこれ以上圧縮されない加硫成形後に、吸音層3の体積を増大させることにより、吸音層3の繊維密度(空隙率)を最適化し、吸音効果を有効に確保することができることを見出した。以下に示す吸音層3を具えるタイヤの製造方法は、加硫成形後に吸音層3の体積を増大させるいくつかの適当な方法を示すものである。勿論、この発明が以下に示す方法のみに限定されるものではないことには留意されたい。
加硫成形後に、吸音層3の体積を増大させるため、加硫成形後のタイヤ6を、図2に示すような起毛機7にセットする。タイヤ6を起毛機7にセットする工程では、まず、タイヤ6を保持し、回転駆動させるタイヤ保持駆動具8上にタイヤ6を載置し、次いで、起毛機7のリング状のヘッド部9を、リム孔10を介して挿入する。タイヤ保持駆動具8上に載置されたタイヤ6は、タイヤ回転モータ11により、回転可能である。また、タイヤ6内に挿入されたヘッド部9は、先端に複数の起毛針12を具える。ヘッド部9は、ヘッド部回転モータ13によりタイヤ周方向に回転可能である。また、ヘッド部9はトラバース駆動モータ14を具えるトラバース台15により、タイヤ幅方向及びタイヤ径方向に移動制御することが可能である。ヘッド部9を、起毛機7の上部からみると、図3(a)に示すように、起毛針12はヘッド部9の回転方向側に屈折した形状となっている。
そして、起毛機7にセットした吸音層3を具えるタイヤ6は、図4(a)〜(c)に示す工程を経て、吸音層3の体積を増大させることができる。まず、トラバース台15を移動させて、図4(a)に示すように、ヘッド部9と、吸音層3とを向かい合わせた位置に配置する。次いで、図4(b)に示すように、ヘッド部9をタイヤ径方向外側に移動させて、起毛針12を吸音層3の繊維に引っ掛けつつも、ヘッド部回転モータ13を駆動させて、ヘッド部9をタイヤ内面の吸音層3に沿って移動させる。その結果、起毛針12が吸音層3の繊維をタイヤ径方向内側に引っ張られ、図4(c)に示すように、吸音層3の繊維が起毛し、体積(空隙率)が増大することとなる。なお、上述の工程では、ヘッド部回転モータ13を駆動させて、吸音層3を起毛させたが、反対に、ヘッド部9を固定し、タイヤ回転モータ11を駆動させて、タイヤ6をヘッド部9に対し回転させることで、吸音層3の繊維を起毛させることも可能である。
上記工程を経て、得られたタイヤ6は、吸音層3の体積が増大し、吸音層3の空隙率(繊維密度)の適正化が図られていることから、吸音効果が充分に確保される。また、タイヤの加硫成形後にバフ処理等の複雑な処理工程を経ることなく吸音層3を具えるタイヤ6が得られることから、上記したようなタイヤ6の静音性を確保しつつも、タイヤ6の生産性を向上させることが可能となる。なお、図示例では、タイヤ6のトレッド部内面に吸音層3を具えるが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば、図示は省略するが、吸音層3をタイヤ内面のサイド部に設け、上記した吸音層を起毛する工程を実施することも可能である。また、起毛針12は、図3(a)に示すものに代替えして、図3(b)に示すように、タイヤの回転方向側に傾斜し、直線状に延びた起毛針12とすることも可能である。
また、起毛針12の曲げ剛性が50×10−6〜10000×10−6N・mの範囲にあることが好ましい。なぜなら、起毛針12の曲げ剛性が、50×10−6未満の場合には、起毛針12により吸音層の繊維が充分に起毛しない可能性があり、一方、起毛針12の曲げ剛性が、10000×10−6N・mを超える場合には、起毛針12が吸音層3の繊維をタイヤ内面から引き剥がしてしまい、所期した起毛による吸音効果が有効に発揮されない可能性があるからである。
更に、起毛針12の断面径が、2.0mm以下であることが好ましい。なぜなら、起毛針12の断面径が、2.0mmを超える場合には、吸音層3を構成する不織布内に起毛針12が進入しにくくなり、かつ、ヘッド部9に配設可能な起毛針12の本数が少なくなり、それらのことに起因して、吸音層3の繊維を充分に起毛させることができなくなる可能性があるからである。
更にまた、起毛針12の長さは、吸音層3の厚さの2/3以下であることが好ましい。なぜなら、起毛針12の長さが、吸音層3の厚さの2/3を超える場合には、起毛機7による処理工程時に、起毛針12によりタイヤ内面を直接傷つけてしまったり、起毛針12が吸音層3内に深く食い込んで、吸音層3を剥離、脱落させて、タイヤ6を損傷させてしまったりする可能性があるからである。
或いは、上記製造工程に代替えした、吸音層3の体積を増大させるその他の工程は、予め吸音層3に貼り付けられた粘着テープ16を引き剥がすことにより、吸音層3を起毛させる工程である。その製造工程を図5(a)〜(e)を参照しつつ、詳細に説明する。はじめに、図5(a)に示すように、生タイヤ1を3つに分割された金型2、2、2内に収容し、生タイヤ1の内面に接着剤を用いて、接着剤を塗りつける側とは反対の表面に粘着テープ16を具える吸音層3を貼り付ける。このとき、吸音層3は、ローラーによりタイヤ内面に対し押圧しつつ貼り付ける。次いで、図5(b)に示すように、生タイヤ1の内面側に、ブラダーリング4に固定された加硫用ブラダー5を配置する。そして、図5(c)に示すように、加硫用ブラダー5の内部に180〜200℃程度のスチーム及び窒素ガスの混合流体の加硫媒体を供給し、加硫用ブラダー5を過熱しつつ膨張させる。これにより、加硫用ブラダー5が生タイヤ1を各金型2、2、2の内面に向けて押圧するよう膨張変形し、生タイヤ1が加硫成形されることとなる。そして、図5(d)に示すように、加硫成型されたタイヤ6を金型2、2、2から抜き出し、吸音層3を具えるタイヤ6が得られる。この後、吸音層3上にある粘着テープ16をタイヤ径方向内側に引き剥がすことにより、図5(e)に示すように、体積の増大した吸音層3を具えるタイヤ6が得られる。なお、粘着テープ16の吸音層3に対する粘着力は、吸音層3の材質によって異なるが、粘着テープ16を引き剥がす際に吸音層3が剥離・脱落しない程度の粘着力とすることには留意されたい。また、粘着テープ16は、吸音層3の一部の面にのみ配されているが、これをタイヤ内面側の全面に配し、その全ての引き剥がすことにより吸音層3の体積を更に増大させることも可能である。
あるいは、吸音層3の体積を増大させるその他の工程は、予め吸音層3に内包されている少なくとも1本の紐17を、吸音層3を開裂させながら引き抜くことにより、吸音層3を起毛させる工程である。その製造工程を図6(a)〜(e)を参照しつつ、以下に詳細に説明する。
はじめに、図6(a)に示すように、生タイヤ1を3つに分割された金型2、2、2内に収容し、生タイヤ1の内面に接着剤を用いて、タイヤ周方向に連通した3本の紐17、17、17を内包する吸音層3を貼り付ける。このとき、吸音層3は、ローラーによりタイヤ内面に対し押圧しつつ貼り付ける。次いで、図6(b)に示すように、生タイヤ1の内面側に、ブラダーリング4に固定された加硫用ブラダー5を配置する。そして、図6(c)に示すように、加硫用ブラダー5の内部に180〜200℃程度のスチーム及び窒素ガスの混合流体の加硫媒体を供給し、加硫用ブラダー5を過熱しつつ膨張させる。これにより、加硫用ブラダー5が生タイヤ1を各金型2、2、2の内面に向けて押圧するよう膨張変形し、生タイヤ1が加硫成形されることとなる。そして、図6(d)に示すように、加硫成型されたタイヤ6を金型2、2、2から抜き出し、吸音層3を具えるタイヤ6が得られる。その後、吸音層3内にある紐17、17、17をタイヤ径方向内側に引き抜くことにより、図6(f)に示すように、吸音層3の表面が開裂し、吸音層3の繊維が起毛されることから、体積の増大した吸音層3を具えるタイヤ6が得られる。このとき、紐17を引き抜く工程の簡易化を図る観点から、紐17をタイヤ周方向に連通させることが好ましい。また、図示の如く、少なくとも3本の紐17、17、17を吸音層3に埋設しておくことが好ましい。なぜなら、紐17が2本以下となると、上記の如く紐17を引き抜いたとしても、吸音層3の繊維が充分に起毛されず、吸音層3の体積が有効に増大しない可能性があるからである。
また、図示は省略するが、吸音層3の体積を増大させる工程の後に、かかる吸音層3を構成する不織布の繊維間を結合する工程を更に含むことが好ましい。吸音層3の体積を増大させた後に、不織布の繊維間を結合させることにより、繊維間を結合させていない場合に比べ、不織布の厚さ方向の圧縮剛性が向上し、不織布が経時的に劣化して変化したり、タイヤが回転した際に遠心力が不織布に負荷されるなどして外力変化したとしても、不織布が過剰に変形することなく、不織布を構成する繊維間距離が小さくなり過ぎない。それらのことから、かかる結合工程を追加することにより、前述した吸音効果を奏する領域の体積を充分に確保して、吸音効果を低減させることなく、ロードノイズの発生を抑制することが可能となる。更に、繊維間が結合していることから、繊維間が結合していない不織布に比べ、一本一本の繊維が外れ難くなっており、タイヤ負荷転動時に不織布を構成する繊維の脱落を抑制することができる。
なお、繊維間は、熱溶着により結合してなることが好ましい。あるいは、繊維間は、接着剤により結合してなることが好ましい。繊維間を熱溶着した状態とする方法としては、編み込まれた繊維を熱で溶融させて繊維間を結合するサーマルボンディング法が挙げられる。サーマルボンディング法は、具体的には、繊維全体を熱可塑性樹脂により構成し、繊維そのものを加熱して溶融させることで、繊維間が接触した部分を直接結合させる方法や、繊維よりも融点が低い熱可塑性樹脂を溶融させて、繊維間に塗布することにより繊維同士を間接的に結合させたりする方法などがある。また、接着剤を塗布することで繊維間を結合させるケミカルボンディング法では、エマルジョン系樹脂接着剤、天然ゴムラテックス系接着剤、合成ゴムラテックス系接着剤及び水溶性樹脂水溶液系接着剤等を接着剤として使用することができ、具体的には、エポキシ樹脂や低融点ポリエチレンテレフタラート(PET)などを使用することができる。上記結合方法に加え、返しのある針を不織布に突き刺して機械的に繊維を結合させるニードルパンチ法や、高圧水流を利用して繊維を絡み合わせるスパンレース法などを上記結合方法に組み合わせることも可能である。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、上述の吸音層3の体積を増大させる工程は、夫々独立して実施しているが、それらを組み合わせて吸音層3の体積を更に増大させることも可能である。
次に、従来技術の製造方法により製造された吸音層を具えない従来のタイヤ(従来例タイヤ)、従来技術の製造方法により製造された吸音層を具える比較例のタイヤ(比較例タイヤ1〜2)、及び、この発明に従う製造方法により製造された実施例のタイヤ(実施例タイヤ1〜7)を、タイヤサイズ225/45R17の乗用車用ラジアルタイヤとして、夫々試作し、評価に供したので、以下に説明する。
従来例タイヤは、吸音層を具えず、一般的なタイヤの製造方法により製造された吸音層を具えないタイヤである。
比較例タイヤは、生タイヤとの貼付け面に両面テープ(日東電工社製、品番:5000N)を有する吸音層を、ローラーを用いて生タイヤの内面に押圧して、吸音層をタイヤ内面に貼り付け、かかる生タイヤを加硫成形して得られたものである。吸音層は、繊度径:10μm、密度(目付け量):10g/cm、厚さ:20mm、幅:100mmの帯状のアラミド系繊維からなる不織布により構成されている。
実施例タイヤ1〜6は、以下の製造方法により得られたタイヤである。まず、生タイヤとの貼付け面に両面テープを有する吸音層を、ローラーを用いて生タイヤの内面に押圧して、吸音層をタイヤ内面に貼り付け、そして、それを加硫成形する。吸音層は、繊度径:10μm、密度(目付け量):10g/cm、厚さ:20mm、幅:100mmの帯状のアラミド系繊維からなる不織布により構成されている。次いで、加硫成形後に、起毛針を有するヘッド部を具える起毛機にて、吸音層の繊維を起毛させる。また、その諸言を表1に示す。
比較例タイヤ2は、以下の製造方法により得られたタイヤである。まず、生タイヤとの貼付け面に両面テープを有する吸音層を、ローラーを用いて生タイヤの内面に押圧して、吸音層をタイヤ内面に貼り付け、そして、それを加硫成形する。吸音層は、繊度径:10μm、密度(目付け量):10g/cm、厚さ:20mm、幅:100mmの帯状のアラミド系繊維からなる不織布により構成されている。次いで、加硫成形後に、起毛針を有するヘッド部を具える起毛機にて、吸音層を処理する。また、その諸言を表1に示す。
実施例タイヤ7は、以下の製造方法により得られたタイヤである。まず、生タイヤとの貼付け面に両面テープを有し、その内部に3本の紐を有する吸音層を、生タイヤの内面にローラーを用いて押圧して、吸音層をタイヤ内面に貼り付け、そして、それを加硫成形する。吸音層は、繊度径:10μm、密度(目付け量):10g/cm、厚さ:20mm、幅:100mmの帯状のアラミド系繊維からなる不織布により構成されている。3本の紐は、等間隔に並べられ、タイヤ周方向に沿って吸音層内を連通している。次いで、3本の紐をタイヤ径方向内側に引き抜き、吸音層の繊維を起毛させる。また、その諸言を表1に示す。
これら各供試タイヤをサイズ7/JJのリムに取り付けてタイヤ車輪とし、以下の評価に供した。
Figure 0005350876
空洞共鳴の抑制効果は、各タイヤ車輪を空気圧:230kPa(相対圧)、タイヤ負荷荷重:4.0kNを適用した状態で車両に装着して、それら車両を夫々速度80km/hの条件下でアスファルト路面を走行した際の車内騒音を、運転席窓側耳元に設置したマイクロホンで採取・測定した。この測定結果を周波数分析し、250kHz付近に見られるピークの音圧レベルが、吸音層を具えない従来例タイヤに比して、比較例タイヤ1〜2及び実施例タイヤ1〜7において、どの程度低減しているかを相対値にて評価し、その結果を表1に示した。表1の結果から明らかなように、従来例タイヤに比べ、比較例タイヤ1〜2及び実施例タイヤ1〜7の空洞共鳴が抑制されていた。また、吸音層の厚さすなわち体積に比例するように、特には実施例タイヤ1〜7における空洞共鳴が大幅に抑制されていた。
また、起毛機を使用して製造された実施例タイヤ1〜7及び比較例タイヤ2の吸音層が、起毛針の断面径及び曲げ剛性に依存して、損傷するか否かを目視にて評価した。その結果、起毛針の曲げ剛性が3900×10−6N・mである実施例タイヤ4において、吸音層の部分的な剥離が確認された。また、比較例タイヤ2は、起毛針の断面径が5mmと大き過ぎることから、そもそも吸音層の体積を増大させることができなかった。
以上のことから明らかなように、不織布に適当な処理を施すタイヤの製造方法を採用することにより、吸音層を具えるタイヤの製造工程を複雑化させることなく、吸音層による吸音効果を有効に確保したタイヤを製造する方法を提供することが可能となった。
1 生タイヤ
2 金型
3 吸音層
4 ブラダーリング
5 加硫用ブラダー
6 タイヤ
7 起毛機
8 タイヤ保持駆動具
9 ヘッド部
10 リム孔
11 タイヤ回転モータ
12 起毛針
13 ヘッド部回転モータ
14 トラバース駆動モータ
15 トラバース台
16 粘着テープ
17 紐

Claims (8)

  1. 不織布からなる吸音層をタイヤ内面上に具えるタイヤの製造方法であって、該方法は、
    該生タイヤの内面に吸音層を貼り付ける工程と、
    該生タイヤを加硫成形する工程と、
    加硫成形後の該吸音層の体積を所望する体積まで増大させる工程とを含み、
    前記吸音層の体積を増大させる工程は、起毛針を吸音層に引っ掛けて起毛させる工程を含み、
    長さが吸音層厚さの2/3以下である起毛針を使用することを特徴とするタイヤの製造方法。
  2. 曲げ剛性が50×10−6〜10000×10−6N・mの範囲にある起毛針を使用する、請求項に記載のタイヤの製造方法。
  3. 断面径が2.0mm以下である起毛針を使用する、請求項又はに記載のタイヤの製造方法。
  4. 不織布からなる吸音層をタイヤ内面上に具えるタイヤの製造方法であって、該方法は、
    該生タイヤの内面に吸音層を貼り付ける工程と、
    該生タイヤを加硫成形する工程と、
    加硫成形後の該吸音層の体積を所望する体積まで増大させる工程とを含み、
    前記吸音層の体積を増大させる工程は、予め吸音層に内包されている少なくとも1本の紐を、吸音層を開裂させながら引き抜くことにより、吸音層を起毛させる工程を含むことを特徴とするタイヤの製造方法。
  5. タイヤ周方向に連通した紐を使用する、請求項に記載のタイヤの製造方法。
  6. 少なくとも3本の紐を使用する、請求項又はに記載のタイヤの製造方法。
  7. 不織布からなる吸音層をタイヤ内面上に具えるタイヤの製造方法であって、該方法は、
    該生タイヤの内面に吸音層を貼り付ける工程と、
    該生タイヤを加硫成形する工程と、
    加硫成形後の該吸音層の体積を所望する体積まで増大させる工程とを含み、
    前記吸音層の体積を増大させる工程は、予め吸音層に貼り付けられている粘着テープを引き剥がすことにより、吸音層を起毛させる工程を含むことを特徴とするタイヤの製造方法。
  8. 前記吸音層の体積を増大させる工程の後に、該吸音層を構成する不織布の繊維間を結合する工程を更に含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のタイヤの製造方法。
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