JP5350327B2 - 空間的に制御された改質多孔膜 - Google Patents

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Description

一般的に本発明は、フリーラジカル重合被覆で被覆された多孔構造の層を有する第1の物質の塊状マトリックスを有する多孔膜、特に第1の物質の塊状マトリックス、および1つの外面表面から膜中の制御された局所の深部に広がる第2の物質の表面被覆を有する多孔膜に関する。
多孔膜は、さまざまな用途に使用されている。多孔膜は、第1の多孔質表面、第2の多孔質表面、および膜中で第1の表面から第2の表面に広がる連続的な多孔構造を有する。この連続的な多孔構造は、塊状の物質マトリックスおよび孔の網状組織を含む。塊状マトリックスと孔体積部分を隔てる界面(すなわち、内部孔の網状組織の表面)は、間隙表面として知られる。第1の表面から第2の表面までの距離によって、膜の厚さが画定される。深さは、1つの表面から他の表面までの垂直距離を意味するために、本明細書では使用する。
本明細書では、用語「外面表面」は、第1の表面または第2の表面の、片方または両方を意味するものとする。表面の改質を論じるとき、「1つの表面」または「複数の表面」は、外面表面および間隙表面を意味するものとする。
多孔膜は、膜の孔の大きさに基づいて、細孔膜または限外濾過膜として分類することができる。一般に、細孔膜の孔の大きさの範囲は、約0.05ミクロン〜約10.0ミクロンであるとみなされており、一方で限外濾過膜の孔の大きさの範囲は、約0.002ミクロン〜約0.05ミクロンであるとみなされている。これらの孔の大きさは、円形またはほぼ円形の孔の孔径、または非円形の孔の特徴的寸法を指す。
膜の孔の大きさは、特定の断片通路上の膜を通過することができない、最少種(粒子または分子)の大きさによって命名することができる。一般的な比率は10%未満の通過であり、これは90%のカットオフまたは保持に対応する。他の方法が当業者に知られており、それは孔の大きさ分布の特徴を得るための走査電子顕微鏡法の画像分析を含む。細孔膜は普通は、液体および気体から粒子を除去するために使用される。細孔膜の重要な適用例は、溶液中に存在する可能性がある任意の細菌を除去するための、薬剤溶液の滅菌濾過におけるものである。細孔膜は、滅菌された気体の通気孔としても使用され、これによって気体の流動が可能になるが、空中浮遊細菌がフィルターを通過するのを妨げることはできない。限外濾過膜は一般に、小さい種の保持が望ましい適用例において使用される。例えば限外濾過膜は、タンパク質を濃縮するためにバイオテクノロジー産業において、およびタンパク質溶液から塩および低分子量種を除去するための濾過透析の適用例において使用される。限外濾過膜および細孔膜は、シート、チューブおよび中空繊維を含めた、いくつかの形で製造することができる。
多孔膜は、さまざまな物質から作製され、ポリマーが最も一般的である。多くの市販の膜は、工学処理したプラスチック、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンなど、過フッ化熱可塑性ポリマー、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))(POLY−(PTFE−CO−PFVAE))、またはポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、ポリプロピレンなどから作製され、これらの頑強な、熱的、機械的および化学的耐性性質を利用する。
多孔膜は、対称膜または非対称膜として分類することができ、これらは膜の厚さ中の孔の大きさの均一性を指す。中空繊維の場合、これは繊維の多孔質壁である。対称膜は、膜断面中にほぼ均一な孔の大きさを有する。非対称膜は、孔の大きさが断面中の位置の関数である構造を有する。非対称性を明確にする他の方法は、1つの表面上の孔の大きさと対向表面のそれの比である。
膜の製造業者は一般に、多孔膜でできた塊状マトリックス物質の膜表面(すなわち、第1の表面および第2の表面、および間隙表面)を改質して、膜の性能を向上させる。例えば、1986年10月21日にMichael J.Steuckに発行された米国特許第4,618,533号は、第1のポリマーで形成された約0.001と10ミクロンの間の平均的な孔の大きさを有する多孔膜支持層を含む複合多孔質熱可塑性膜であって、その支持層が、支持層上でフリーラジカル重合開始剤によってin situで重合したモノマーから形成された、表面全体が架橋した第2のポリマーで直接被覆されており、この複合多孔膜が膜支持層とほぼ同じ多孔質形状を有する、膜を開示し特許請求するものである。このような方法を使用して、使用中に多量のタンパク質を、自己湿潤を可能にし低いタンパク質結合性を有する親水性表面を有する膜に結合させる、疎水性表面を有する膜を変形させる。
他の改質膜が、膜表面の疎水性を高めるために作製される。米国特許第5,217,802号および第5,554,414号は、約21mN/mより大きい表面張力を有する溶媒で濡れないような、架橋した第2のポリマーの重合被覆を形成する方法を記載している。米国特許出願公開第2002/0139095号は、濾過支持層の表面上にポリジメチルシロキサンの被覆を形成することによって作製した、親油性の膜を記載している。米国特許出願公開第2002/00144595号は、濾過支持層の表面上にフルオロスルホンの被覆を形成することによって作製した、親油性および疎水性の濾過材を記載している。このような膜は、通気孔用に有用である。
フリーラジカル重合開始剤によって共重合させた被覆を使用する、膜改質の方法は、工業的に成功することが証明されてきている。米国特許第4,618,533号の教示によって例示されるこれらの方法は、さまざまな製品を製造するために首尾よく使用されてきている。これらの方法は基底膜の孔の大きさを著しく変えるわけではなく、これらの方法を使用して、さまざまな表面の性質、例えば親水性、疎水性、イオン帯電性などを生み出すことができる。
上記の例は、膜の製造業者が膜を改質する多数の方法に通常のものである。そのような例では、これらの方法が膜の表面すべてを改質することに共通点がある。膜を1つの表面からの制御された深さに改質する方法は、それほど多くない。
制御された深さに改質された膜は、例えばプロテアーゼアッセイ用の96ウエルの装置において有用性がある。Millipore Corporation(Bedford、MA)からのMultiScreen DPアッセイ系は、疎水性であるように処理した1つの外面表面を有する親水性の細孔膜を取り込んでいる。DP膜プレートは、少ない合計体積(<50μl)およびプロテアーゼアッセイ用、特に長期(72時間)のインキュベーション後の特に濾過物の光学的検出用に勧められる。試薬をインキュベートし、沈殿させ、洗浄し、計数する沈殿アッセイによる、酵素活性の研究は広く容認されている。沈殿技法は酵素反応を同時に停止させ、酵素を沈殿(不溶化)させる。
例えば96ウエルプレートの装置を使用するとき、このようなアッセイに関する一般的な手順は以下のステップを含む:
1.酵素サンプルおよび試薬を含む液体をプレートのウエルに加える。
2.(酵素反応用に)インキュベートする。
3.沈殿物質(通常はトリクロロ酢酸[TCA]、普通は5%の最終濃度)を加えて反応を停止させ、タンパク質を沈殿させる。
4.4℃または氷上でインキュベートする。
5.未反応または遊離成分を洗浄除去する。(遊離物を定量化することが必要な場合は回収する。)
6.沈殿物(フィルターに結合したもの)および/または濾過物(遊離物)
を計数する。
少ない体積のアッセイを行うために、親水性の層および疎水性の層を有する膜が非常に有用である。インキュベーション中、液体サンプルを親水性(上部)層に施し、保持する。底部の疎水性の層は、真空または圧力の力を加えて疎水性の力を圧倒するまで、漏出を防止し、これによって浸透または漏出を妨げる。
外面表面を改質する方法は知られている。
1995年11月21日にCrivello他に発行された米国特許第5,468,390号は、増感剤またはフリーラジカル重合開始剤を加えずに、溶媒に溶かした親水性ビニルモノマーの存在中にアリールポリスルホン膜を置き、膜を改質させるために一定期間非電離紫外光に膜を曝すことにより、増感剤またはフリーラジカル重合開始剤なしに共有結合によって膜表面にモノマーを化学的にグラフトし、結合することによる、アリールポリスルホン膜を改質する方法を記載している。関連がある論文(J.Membrane Sci.105(1995)237〜247)では、紫外光に曝される外面表面からの深さを変えることは、工業的方法には過剰に長い加工時間であることを、筆者は示している。さらに、紫外光によってアリールスルホンポリマー膜が損傷し、このような長い時間によって、膜の多孔構造に対する過剰な損傷が引き起こされると思われる。
2001年12月5日にMayes他によって出願された米国特許出願公開第2002/0155311号は、相溶性マトリックス系成分と配合された分枝状成分であって、所望の官能基を有する分枝状成分の表面凝離によって作製された、所望の化学官能基を有する(外面)表面を有する膜を開示している。この特許出願は、親水性表面を有する疎水性コア物質を有する物品を対象とする。深さの変化を制御することについての議論は与えられていないし、企図されてもいない。さらにこの技術は、1つのポリマーがエントロピー変化によって表面に移動することができる、相溶性ポリマーの配合物に限られる。
1994年11月29日にKoontz他に発行された米国特許第5,369,012号は、約50〜約5000オングストロームの深さまで物品の疎水性表面を、原子状酸素またはヒドロキシルラジカルに100℃未満、好ましくは40℃未満の温度において曝して、親水性ヒドロキシル基の親水性の均質な表面層を形成することによって、膜が親水性になっている、有機ポリマー性物品の一部を開示する。これは、この特許で「外側」と呼ばれる、非多孔膜の外面表面の改質を対象とするようである。非常に浅い改質された深さは、これを示すものである。なぜなら、使用する真空系プラズマ技術が多孔膜にすぐに浸透すると思われるからである。さらに、この方法によってフリーラジカルポリマー被覆が生成するわけではないが、膜の塩基性ポリマーと反応する。一般にこのような反応によって、ポリマーの物理的性質が劣化する。
幾分関連がある技術が、1992年8月25日にS.L.Koontzに発行された、米国特許第5,141,806号中に記載されている。この特許では、層状の介在性表面が処理された微小孔構造を、均質に表面処理された構造に原子状酸素処理を連続的に施して、表面処理剤の外側層を除去してほぼ均一な深さにし、次いでこのように露出した層を他の表面処理剤で表面処理することによって作製する。
米国特許第5,141,806号中に記載されたように、多孔質粒子の表面全体は、第1の物質で均質に処理される。次いで均質に処理した粒子に、原子状酸素および/またはヒドロキシル基による酸化を施して、介在(および外面)領域の外側層から表面処理剤を除去し、内側領域または第1の処理剤で改質させた層を残す。
この参照文献の開示および実施例は、無機シリカ粒子を対象とする。その構造に対する損傷を被らずに、処理剤を除去するために使用される酸化条件に、ポリマー膜が耐えることができるとは考えられない。さらに、このような方法は、非対称膜に関しては使用することができないと思われる。なぜなら、非対称膜に特徴的な孔の大きさに勾配がある微細孔保持領域に対する任意の損傷が、膜の有用性を損ねると思われるからである。
2001年5月1日にLamon他によって出願された、米国特許出願公開第2,002/0189455号は、親油性の被覆膜を記載している。この開示は、重合置換または非置換パラ−キシレンで被覆されたポリマー膜および他の支持層を含む、親油性の濾過媒体に関するものである。好ましい実施形態の被覆物質は、1個または複数個のパラ−キシレン二量体から誘導される。粉末形の二量体を気体モノマーに転換して、これが室温において支持層上で縮合および重合し、パリレンの被覆を形成する。
ポリ−パラ−キシレンは一般に、真空施用系を使用して支持層に施す。パラ−キシレン二量体の粉末は、普通は真空系の蒸気チャンバーに置き、150℃を超える温度に加熱して、粉末を蒸気形に転換する。次に、蒸気形の二量体を、熱分解チャンバー中で、650℃での熱分解によって反応性パラ−キシレン蒸気に転換することができる。次いで反応性蒸気は、被覆される膜を含む重合チャンバーに移すことができる。重合チャンバーは、周囲温度に保つことができる。反応性蒸気は、普通は支持層の表面上で重合し、均質なパリレンの被覆を形成する。
好ましい実施形態では、パリレン層の付着は、一部分のみが支持層を覆うように制御する。例えば、パリレンの被覆は、膜の厚さ部分全体中の孔に完全に広がることなく、1つの表面上の膜に一層のみで施すことができる。パリレン層は、「水玉模様」状で支持層に付着させることもできる。「水玉模様」状とは、円形または他の形状の輪郭を有し、付着したパリレンを含み、付着したパリレンを含まない非被覆支持層の領域によって互いに隔てられている、領域の一般的な規則正しい配列として定義される。
この方法は、パラ−キシレンポリマーに限られ、フリーラジカル重合ポリマーに適合させることはできない。さらにこの方法は、外面表面から介在領域で起こる、表面上での揮発性モノマーの縮合に頼るものなので、外面および外側領域は必ずさらに濃密に被覆され、特に小さい孔の膜に関しては表面の孔を塞ぐ結果になり、浸透性が低下する。
1979年2月20日にDege他に発行された米国特許第4,140,815号中に開示された、単一フィルム両極性膜は、比較的多量の芳香族ポリマーであって、二または多官能性化合物などと適切に架橋するポリマーが密に分散した状態である、ポリマーフィルムのマトリックスを含む。解離性の高いカチオン交換基はフィルムの片側の芳香族核と化学的に結合し、一方解離性の高いアニオン交換基は、反対側の残りの芳香族核と後に化学的に結合する。このように構成された膜は、耐久性のある水分解膜として機能して、電気透析によって溶解した塩から酸および塩基を生成する。このような単一フィルム両極性膜は、比較的多量の、すなわち少なくとも15%の不溶性の架橋した芳香族ポリマーを含む、予め膨張させたフィルムから作製される。制御された条件下では、解離性の高いカチオン交換基は、フィルムの片側のみの所望の深さで芳香族核と化学的に結合し、その後、解離性の高いアニオン交換基は、フィルムの反対側の未反応の芳香族核と化学的に結合する。両極性膜は、本質的に無孔性である。
したがって、フリーラジカル重合ポリマー被覆を有する1つの外面表面から所定の深さに多孔膜を改質する方法が必要である。さらに、1つの外面表面を含めて、表面の所定の制御された領域の介在体積が機能的に改質されている完全な膜製品が必要である。完全な膜は統一された構造を有し、単層シートまたは中空繊維膜などである。これは米国特許出願第4,824,568号に記載された膜などの複合膜、PCT特許出願公開No.WO 0189673に記載された膜などの膜も含む。
記載を容易にするために、通常1つの外面表面を含む所定の制御された領域の介在体積を、本明細書では「層」と呼ぶ。
所望の表面パターンを有し、改質が成形によって妨げられ、この防止によって膜の制御された深さがもたらされている、改質された膜も必要である。
米国特許第4,618,533号 米国特許第5,217,802号 米国特許第5,554,414号 米国特許出願公開第2002/139095号 米国特許出願公開第2002/144595号 米国特許第5,468,390号 米国特許出願公開第2002/155311号 米国特許第5,369,012号 米国特許第5,141,806号 米国特許出願公開第2002/189455号 米国特許第4,140,815号 米国特許第4,824,568号 国際公開第01/89673号
J.Membrane Sci.105(1995)237〜247
本発明の目的は、フリーラジカル重合ポリマー被覆を有する多孔膜を第1の外面表面から所定の制御された深さに改質するための、一般的な方法を提供することである。本発明の他の目的は、フリーラジカル重合ポリマー被覆を有する多孔膜を、層中のそれぞれの外面表面からの所定の制御された深さで改質するための、一般的な方法を提供することである。本発明の他の目的は、フリーラジカル重合ポリマー被覆を有する多孔膜を、1つの表面のパターンであって、その形が膜の制御された深さに維持されているパターンに改質するための、一般的な方法を提供することである。本発明の他の目的は、フリーラジカル重合ポリマー被覆を有する多孔膜を、両表面のパターンであって、同じであるか異なっており、それらが形成される表面から膜の制御された深さにその形が維持されているパターンに改質するための、一般的な方法を提供することである。
本発明の目的は、これらの一般的な方法から生じる、改質された膜を提供することである。
フリーラジカル重合ポリマー被覆を、第1の外面表面から所定の制御された深さに生成させるための一般的な方法では、多孔膜を湿潤液で場合によっては濡らす。次いで、完全に濡らした膜は、所望の膜改質反応を行う溶媒を場合によっては交換する。次いで膜は、少なくとも1つのフリーラジカル重合性モノマー、任意選択の重合開始剤、および架橋剤を溶媒中に含む溶液を、これら3つの成分に関して交換する。次いで1つの外面表面からその膜を、その外面表面から制御された所望の深さまで拡散し、重合が起こるのを妨げることができる物質、すなわち重合防止剤(PPA)とを接触させる。1つの好ましいPPAは酸素である。PPAが働いて、重合開始が起こるのを妨げることが好ましい。PPAは、後の洗浄で容易に除去される低分子オリゴマー種に重合を制限することによって、働くこともできる。膜を、熱、紫外光、電子ビームまたはガンマ放射線などだけには限られないが、これらのエネルギー源に、PPA拡散の後、あるいは拡散が起こっている最中に曝し、これによってPPAによる拡散がなかった介在体積および第2の外面表面中で重合が開始されて、PPAによる拡散がなかった介在体積、および第2の表面中で、膜表面上に架橋ポリマー被覆が形成され、PPAにより占められた体積またはPPAと接触した外面表面中では形成されなかった。それぞれの外面表面から一定の深さに層を形成するために、PPAがそれぞれの外面表面から一定の深さに充分拡散して、膜の厚さ部分中に非拡散層を残すように、2つの外面表面がPPAに充分曝されると思われる。
一般的な方法の他の実施形態では、PPAと接触している膜の外面表面は、開口領域を有するパターンマスクで覆われており、開口領域を介してPPAを拡散させることができるが、マスクが膜を覆っている所は拡散させることができない。この実施形態によって、フリーラジカル重合ポリマーで覆われた領域が改質されており、一方開口領域が、拡散プロセスの程度によって制御された深さの非改質領域を与える、改質パターンがもたらされる。マスクは、所望のパターンに切断されたプラスチックまたは金属フィルムであってよい。いくつかの実施形態では、マスクまたはマスクのデザインを、PPAと接触している膜の表面に印刷または塗装することができる。それぞれの外面表面でマスクを使用することなどによって、両側にパターンを形成することができる。
この方法の重要な特徴は、PPAを使用してフリーラジカル重合を所望の程度に制御することにある。従来技術では、制御におけるいかなる試みも、反応混合物が膜に浸透することができる程度によるものである。しかしながら、浸透によって反応混合物が膜の深さ部分により深く移動するが、外側の外面表面および隣接した領域は、反応混合物に絶えず曝される。比較的長い反応時間によって、深さ部分の異なる領域の性質の違いが引き起こされ、生成物の制御が困難になる可能性がある。これとは正反対に、本発明は、表面改質が望ましくない場合にPPAを使用して重合を防止する。これによって、PPAを含まない深さで重合を均一に起こすことができる。
一実施形態では、疎水性膜を改質して、機能性フリーラジカル重合架橋ポリマー被覆の層を有するようにする。このような機能性被覆には、親水性のもの、疎水性のもの、イオン帯電のあるもの、およびリガンドを含むものがあるが、これらだけには限られない。
一実施形態では、例えば米国特許第4,618,533号に記載された、均一に親水性に改質された多孔膜をさらに改質して、疎水性または機能性のある層を有するようにする。
一実施形態では、均一にイオン帯電させた改質多孔膜をさらに改質して、第2のイオン帯電層を有するようにする。
一実施形態では、疎水性層は、約16mN/mより大きい表面張力を有する溶媒で濡れないような表面を有する。
一実施形態では、例えば米国特許第4,618,533号に記載された、均一に親水性に改質された多孔膜をさらに改質して、イオン帯電層を有するようにする。
一実施形態では、改質されて疎水性層を有する親水性膜は、プロテアーゼアッセイにおいて使用するのに適している。
他の実施形態では、1枚または複数枚の層が1個または複数個のパターン中に形成される。
実施例1の膜の断面を示す図である。 実施例3の膜の断面を示す図である。
一般的に本発明は、表面改質多孔膜を生成させるために使用することができる方法を提供し、その改質を空間的に制御して、膜の所望体積内で起こし、さらに望むならば指定のパターンで起こす。
この方法によって作製された膜は、少なくとも1つの外面表面から制御された深さが、膜の厚さ全体未満の深さである膜の多孔構造に改質された、その表面を有することができる。これによって、改質表面の層を有する膜がもたらされる。
制御された深さに改質された膜は、例えばプロテアーゼアッセイ用の96ウエルの装置において有用性がある。Millipore Corporation(Bedford、MA)からのMultiScreen DPアッセイ系は、疎水性であるように処理した1つの外面表面を有する親水性の細孔膜を取り込んでいる。DP膜プレートは、少ない合計体積(<50μl)およびプロテアーゼアッセイ用、特に長期(72時間)のインキュベーション後の特に濾過物の光学的検出用に勧められる。試薬をインキュベートし、沈殿させ、洗浄し、計数する沈殿アッセイによる、酵素活性の研究は広く容認されている。沈殿技法は酵素反応を同時に停止させ、酵素を沈殿(不溶化)させる。
さらに、この方法によって作製された膜は、少なくとも1つの外面表面から制御された深さのパターンが、膜の厚さ全体未満の深さである膜の多孔構造に改質された、その表面を有することができる。
制御された深さのパターンで改質された膜は、例えばタンパク質固定用のアレイにおいて有用性がある。アレイを使用して、特に機械的方法で割り出しおよび同定することができるマトリックスにおいて、サンプルの整然とした配列を与える。タンパク質結合アレイでは、アレイのそれぞれの細胞は、特異的な結合化学性を有する。低pHおよび低塩含有溶液では、タンパク質は、正に帯電したリシン、アルギニンおよびヒスチジンなどのアミノ酸の静電的相互作用によって、アレイ上の正に帯電した基と結合することができる。高pHおよび低塩含有溶液では、アレイ上の負に帯電した基は、負に帯電したアスパラギン酸およびグルタミン酸などのアミノ酸の静電的相互作用によって、タンパク質と結合する。抗体をアレイ表面に結合させて、タンパク質との特異的相互作用を試験する。
フリーラジカル重合ポリマー被覆を、第1の外面表面から所定の制御された深さで生成させるための一般的な方法では、多孔膜を湿潤液で場合によっては湿らす。次いで、完全に濡らした膜は、所望の膜改質反応を行う溶媒を場合によっては交換する。次いで膜は、少なくとも1つのフリーラジカル重合性モノマー、任意選択の重合開始剤、および架橋剤を溶媒中に含む溶液を、これら3つの成分に関して交換する。次いで1つの外面表面からその膜を、その外面表面から制御された所望の深さまで拡散し、重合が起こるのを妨げることができる物質、すなわち重合防止剤(PPA)とを接触させる。1つの好ましいPPAは酸素である。PPAが働いて、重合開始が起こるのを妨げることが好ましい。PPAは、後の洗浄で容易に除去される、低分子オリゴマー種のみが形成されるように重合を制限することによって、働くこともできる。膜を、熱、紫外光、電子ビームまたはガンマ放射線などだけには限られないが、これらのエネルギー源に、PPA拡散の後、あるいは拡散が起こっている最中に曝し、これによってPPAによる拡散がなかった介在体積および第2の外面表面中で重合が開始されて、PPAによる拡散がなかった介在体積、および第2の表面中で、膜表面上に架橋ポリマー被覆が形成され、PPAにより占められた体積またはPPAと接触した外面表面中では形成されなかった。
本発明のいくつかの実施形態では、両方の外面表面をPPAと接触させて、膜中のある深さに改質の層を生成させることができる。
他の実施形態では、PPAと接触している膜の外面表面は、開口領域を有するパターンマスクで覆われており、開口領域を介してPPAを拡散させることができるが、マスクが膜を覆っている所は拡散させることができない。この実施形態によって、フリーラジカル重合ポリマーで覆われた領域が改質されており、一方開口領域が、拡散プロセスの程度によって制御された深さの非改質領域を与える、改質パターンがもたらされる。マスクは、所望のパターンに切断されたプラスチックまたは金属フィルムであってよい。いくつかの実施形態では、マスクまたはマスクのデザインを、PPAと接触している膜の表面に印刷または塗装することができる。
さらに、PPAの深さに対する影響は、PPAの濃度を変えることによって制御することができる。拡散の推進力を変えることによって、さまざまな深さに対する影響が、同じ接触時に考えられる。
さらにPPAは、後の表面改質重合において印刷される領域が改質されないように、印刷可能な形式で施すことができる。PPAは液体中に溶液または分散液として含まれてよく、あるいはPPAは純粋な物質として使用することができる。
いくつかの実施形態では、マスクまたはマスク模様を、同じまたは異なる模様の両方の外面表面に施して、両側にパターン層を生成させることができる。
前に記載した方法の組合せを使用する他の実施形態は、本明細書に明確に記載されていない層改質膜を作製するように、当業者によって構成することができる。
本発明の重要な特徴は、PPAを使用してフリーラジカル重合を所望の程度に制御することにある。従来技術では、制御におけるいかなる試みも、反応混合物が膜に浸透することができる程度によるものである。しかしながら、浸透によって反応混合物が膜の深さ部分により深く移動するが、外側の外面表面および隣接した領域は、反応混合物に絶えず曝される。比較的長い反応時間によって、深さ部分の異なる領域の性質の違いが引き起こされ、生成物の制御が困難になる可能性がある。これとは正反対に、本発明は、表面改質が望ましくない場合にPPAを使用して重合を防止する。これによって、PPAを含まない深さで重合を均一に起こすことができる。
一般的な方法のステップは:多孔膜支持層を与えるステップ;前記多孔膜支持層を湿潤液で場合によっては洗浄して、その表面を濡らすステップ;前記湿潤多孔膜支持層を第2の湿潤液で場合によっては洗浄して、前記第1の湿潤液を置換し、前記多孔膜支持層を前記第2の液体で濡れた状態にするステップ;前記多孔膜支持層の外面表面を、少なくとも1つの一官能性のフリーラジカル重合可能なモノマー、少なくとも1つの多官能性のフリーラジカル重合可能なモノマー、および場合によっては1つまたは複数の重合開始剤を含む溶液と接触させるステップ;少なくとも1つの外面表面からの膜を、その外面表面から拡散する物質、すなわち重合防止剤(PPA)と接触させるステップ;PPAの拡散の深さを制御して、PPAが拡散した体積中で重合が起こるのを妨げるステップ;前記モノマーを重合させて、PPAによって占められなかった膜の体積中に架橋被覆を形成するステップ;および膜を洗浄するステップを含む。所望により、マスクをパターン拡散用に使用する。
多孔膜は、さまざまな物質において利用可能である。多孔膜は、セラミック物質、カーボン、および金属物質から工業的に生成される。ポリマー膜は、本発明の好ましい実施形態である。本発明において有用な多孔膜を製造するために使用することができる、代表的なポリマーには、ポリスルホンポリマー、好ましくは芳香族スルホンポリマー、例えば、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンポリマーなどがある。他の有用なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリ二フッ化ビニリデンを含めた過フッ化熱可塑性ポリマー、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンポリマー、酢酸セルロースおよび硝酸セルロースなどのセルロースポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、およびポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートなどのポリエステルである。特に好ましい実施形態では、多孔膜はポリ二フッ化ビニリデン膜である。当業者は、本発明に適した多孔膜の形成において有用な他のポリマーを、容易に同定することができるであろう。
多孔膜は、疎水性または親水性の膜であってよい。多孔膜は、表面が改質された膜であってよい。
本明細書で使用するように、用語「多孔膜」は、細孔膜と限外濾過膜の両方を含む。本発明の限外濾過膜および細孔膜は、シート、チューブおよび中空繊維を含めた、任意のいくつかの形であってよい。
本明細書では、用語「外面表面」は、第1の表面または第2の表面の、片方または両方を意味するものとする。表面の改質を論じるとき、「1つの表面」または「複数の表面」とは、外面表面および間隙表面を意味するものとする。
一般に、多孔膜はスキン層または非スキン層であってよい。スキン層は膜の基礎構造と一体化した、比較的薄い、高密度の表面層である。スキン層膜では、膜通過に対する耐性の大部分は、薄いスキン層に備わっている。細孔膜と限外濾過膜の両方において、存在する場合、表面スキン層は、スキン層の下の膜の、外面表面から連続的な多孔構造部分に孔を含む。スキン層の細孔膜と限外濾過膜に関しては、孔は外面表面領域の一部分である。対照的に、非スキン層膜は外面表面の大部分にわたり多孔質である。膜の外面表面の多孔度(すなわち、例えば走査電子顕微鏡「SEM」によって見られる、膜の外面表面の孔の配列)は、膜の外面表面上に比較的均一に分布している単孔性のものであってよく、または不連続領域の多孔度、またはこれらの混合物であってよい。本明細書で使用するように、膜の外面表面に適用される、用語「表面の多孔度」は、外面表面の孔開口部によって画定される領域と、外面表面の全表面積の比である。
本発明を実施する際に有用な細孔膜は、膜の厚さ部分中の、あるいは管状または中空線維膜に関しては、線維の多孔質壁中における孔の大きさの均一性を指し、対称または非対称として分類される。本明細書で使用するように、用語「対称膜」は、膜断面中にほぼ均一な孔の大きさを有する膜を意味する。用語「非対称膜」は、膜断面中の平均的な孔の大きさが一定ではない膜を意味する。例えば非対称膜では、膜断面中の位置の関数として、孔の大きさがスムースに、あるいは不連続的に変わる可能性がある。理解されるように、「非対称膜」の定義中に含まれるのは、1を大幅に超える、1つの外面表面上の孔の大きさと対向する外面表面上の孔の大きさの比を有する膜である。
反応溶液は、多孔膜の表面全体を濡らすことが好ましいはずである。反応溶液の表面張力が膜表面を充分に濡らすほど低くない場合、予備湿潤または洗浄ステップを施すことができる。いくつかの好ましい実施形態では、多孔膜の表面全体を完全に濡らす洗浄液で、多孔膜を最初に洗浄する。洗浄液は多孔膜を湿潤または溶解しないことが好ましく、反応溶液と交換できることも好ましい。水性反応溶液を使用する好ましい実施形態では、湿潤液は、多孔膜を濡らすために必要とされる表面張力より小さい表面張力を有する、有機溶液または有機物−水組成物であってよい。適切な湿潤液の例は、低級一価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール)、およびアルコール−水溶液、好ましくはメタノール−水、エタノール−水、またはイソプロパノール−水溶液である。洗浄ステップを行う場合、第2の洗浄ステップを行うことが望ましいこともある。例えば、湿潤液の1つまたは複数の成分が、重合または架橋反応を阻害する可能性がある場合、第2の洗浄ステップを使用して、洗浄液を除去することができ、この洗浄液を、重合または架橋反応を阻害しない第2の洗浄液に置き換えることができる。第2の洗浄液は通常は、反応溶液中に使用される溶媒である。例えば、水性反応溶液を使用する場合、洗浄されており、記載した湿潤液で濡れている多孔膜を、その後水で洗浄して第1の湿潤液を除去し、水が充満した多孔膜を生成させる。次いで濡れた多孔膜を反応溶液と接触させて(例えば、反応溶液に浸すことによって)、多孔膜の孔中、および外面表面上に所望の反応組成物を生成させる。第1および第2の洗浄ステップは、望ましくは周囲温度、例えば20℃〜30℃、および好ましくは数秒から数分の時間で行うことが好ましい。
被覆形成用の反応溶液が、その目的の有機溶媒を含むために多孔膜を充分に濡らす場合、あるいは反応溶液中の反応物の濃度が、溶液の表面張力を低下させて反応溶液を多孔膜に完全に湿潤させるほど充分低い場合、したがって、いずれの洗浄ステップも必要とされない。したがって反応溶液は、このような洗浄ステップを回避するほど充分に反応溶液の表面張力を低下させ、後の重合反応を阻害しない、1つまたは複数の添加剤を含むことができる。このような添加剤の好ましい例には、エチルヘキシルジオール、プロピレンカーボネート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールがある。適切な湿潤を得るために必要な、反応溶液に対する添加剤の量は、使用するモノマーおよび重合開始剤の量および型に依存し、過度の実験を必要とせずに、当業者により容易に決定可能であろう。被覆用の反応溶液は、溶媒、少なくとも1つの一官能性モノマー、少なくとも1つの多官能性の架橋モノマー、および場合によっては1つまたは複数の重合開始剤を含む。反応溶液用の溶媒の選択は、モノマーおよび任意選択の重合開始剤の選択に依存する。溶媒は、反応物および任意選択の重合開始剤を溶かし、重合反応を阻害または妨害せず、多孔膜を攻撃しないことが好ましい。特に好ましい溶媒は水である。
架橋モノマーの量と一官能性モノマーの全体量の比は、約1〜約10、より好ましくは約2〜約6である。
本発明の一官能性モノマーと架橋多官能性モノマーの重合は、フリーラジカル重合の開始および生長反応によって行うことができる。いくつかの好ましい実施形態では、1つまたは複数のフリーラジカル重合開始剤を、モノマーを含む反応溶液中に含ませて、重合を容易にすることができる:当分野で知られている任意の広くさまざまな重合開始剤は、本発明において用途を見出すことができるであろう。いくつかの好ましい実施形態では、1つまたは複数の重合開始剤は水溶性である。他の好ましい実施形態では、例えば湿潤反応溶液を使用するときは、少量の水溶性の重合開始剤が好ましい。
当業者は、所与の反応溶液用の適切な重合開始剤を、容易に決定することができるであろう。適切な重合開始剤の例には、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、アゾビス(4−シアノ吉草酸、Irgacure 2959(Ciba Specialty Chemicals、Hawthorn、NY)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などがある。1つまたは複数の重合開始剤は、反応溶液全体に対して、約0.1重量%〜約1重量%の範囲で使用されることが好ましい。
多孔膜の表面を反応溶液と接触させた(すなわち、反応溶液で飽和させた)後、このような外面表面を溶液で濡らしたままの状態にしながら、過剰な反応溶液を外面表面から除去する。小さなシートに関しては、過剰な反応溶液は、例えば飽和させたシートをプラスチックフィルムの2層間に置き、例えば手刷りローラーなどのゴムロールを用いて、過剰な液体を除去することによって除去することができる。多孔膜の連続シートを加工する際には、過剰な液体の除去は、エアーの流れを外面表面に向けるエアーナイフを用いて行うことができる。エアーの流れの力によって過剰な反応溶液が除去される。1つの好ましい技法は、2つの圧力制御された接触ロールであって、その少なくとも1つがエラストマー被覆されており、シートと同じ方向に回転するロールの間にシートを施すことである。シート中に残す液体の量は、接触ロールの圧力を調整することによって、正確に制御することができる。過剰な反応溶液を除去する他の手段は、当業者には容易に利用可能である。
フリーラジカル重合によって重合することができ、フリーラジカル重合可能な多官能性のモノマーによって架橋することができるモノマーをこの方法において使用して、改質の膜を形成することができる。適切な重合可能なモノマーの完全なリストは過度に広範囲であると思われるが、当業者は、望ましい官能性または望ましい表面の性質を生み出すために必要な化学的性質に精通しているであろう。このようなモノマーには、1−ヒドロキシプロプ−2−イルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロプ−1−イルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどを含めた、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレート、またはこれらの混合物があるが、これらだけには限られない。使用することができる他の重合可能なモノマーは、ジメチルアクリルアミド、およびジアセトンアクリルアミドを含めた、アクリルアミド、メタクリルアミド、エタクリルアミドである。ビニルピロリドンを使用することができる。正または負に帯電したイオンを含むモノマー、親和性のある基を有するモノマー、または著しい疎水性を有するモノマー、例えば(3−(メタクリロイルアミノ)プロピル)トリメチル−塩化アンモニウム、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチル塩化アンモニウム、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびアミノプロピルメタクリルアミドなどを使用することができる。アクリレート、アクリルアミド、メタクリレートまたはメタクリルアミドの架橋剤の例には、二官能アクリレート、メタクリレートまたはアクリルアミド、例えばテトラエチレングリコールジアクリレート、グリシジルジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートまたはメチレンビスアクリルアミドなどがある。二官能性またはそれより高い官能性を有する架橋剤のいくつかの場合、本発明の被覆中において追加のモノマーなしで、これらの物質を使用することができる。
過剰な反応溶液を除去した後、濡れた多孔膜を熱、紫外光、電子ビームまたはガンマ放射線などのエネルギー源に曝すことによって、次いで反応溶液の重合を開始させる。熱によって開始されるフリーラジカル重合は、飽和させた膜を少なくとも約60℃に加熱し、約0.1〜約10分、好ましくは約1分と約2分の間、その温度に保つことによって、普通は行われる。使用する重合開始剤およびモノマーの組合せに応じて、沸騰または早すぎる蒸発が重合反応に悪影響を与える時点まで、高温を使用することができる。
いくつかの好ましい実施形態では、紫外光を使用して、in situで重合反応を開始させる。反応溶液(1つまたは複数の重合開始剤を場合によっては含む)で飽和された多孔膜を、「H」バルブを有するFusion Systems F600(Rockville、MD)などの紫外光源で照射することが好ましい。フィルターを使用して、改質する多孔膜に対する望ましくない損傷を引き起こす可能性がある、望ましくない波長を減少または除去することができる。当業者は、重合条件を最適化するための紫外光への露出時間とランプの強度のバランスは、通常の実験の事項であることを理解するであろう。一般に、600ワットの源では、約2秒〜約10秒、好ましくは約3秒〜約5秒の露出時間が適切であろう。
いくつかの好ましい実施形態では、例えば米国特許第4,944,879号中に記載された方法により、電子ビーム技術を使用して重合を開始させる。普通は、ウェブまたは個々のサンプルを、電子ビーム処理装置によって生成した電子のカーテンに通す。処理装置は、約100kV〜約200kVで所望の線量を送達させる。移動させるウェブまたはサンプルは、カーテン下での所望の露出時間を与えるのに適した速度で運ばれる。露出時間、および線量によって、線量率が決定される。通常の露出時間は約0.5秒〜約10秒である。線量率は一般に、0.05kGy(キログレイ)〜約5kGyである。
他の好ましい実施形態では、反応溶液のモノマーの重合を、ガンマ放射線によって開始させることができる。普通は、この方法では、モノマー飽和多孔膜の巻き取りロールを照射する。ロールを反応溶液に通し巻き取ることができ、あるいは予め巻き取りロールを反応溶液に浸すことができる。反応溶液を脱気する、すなわち溶液から空気、特に酸素を除去するように処理することが好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、空気を不活性ガス、例えば、ヘリウム、窒素またはアルゴンなどに置き換えることによって、脱気を行う。他の好ましい実施形態では、例えば真空ポンプを用いて、モノマー溶液の圧力を低下させることにより、脱気を行う。次いで、脱気したモノマー溶液を含むロールを、密封材料で密封して、脱気状態に保ち、次いで所望の線量で照射する。密封材料は照射によって劣化せず、さらにガンマ放射線を著しく妨害しないことが好ましい。密封材料として有用な広範囲の材料、例えば多くのプラスチック、およびホウケイ酸ガラスが、当分野で知られている。
普通は、約0.02〜約1.0kGyの合計線量が適切である。1時間当たり約5〜約500キロラド、より好ましくは1時間当たり約5〜約150キロラドの通常の露出を、約4〜約60時間の通常の照射時間で使用することができる。当業者は、線量率と合計線量に達する時間の適切なバランスを、容易に決定することができるであろう。
酸素の存在がフリーラジカル重合反応に悪影響を与えることは知られている。膜内の所望の体積または空間の重合を制御するために、この通常有害な影響を使用することは、本発明の一態様である。好ましい実施形態では、平たいシート膜に関して、反応溶液を含むシートは、酸素不透過性フィルムで覆われた1つの外面表面を有し、一方他の外面表面は大気中の空気に曝された状態である。大気からの酸素は、制御することができる深さまで溶液中に拡散する。拡散の深さは、反応溶液中の酸素の拡散率、周囲の大気中の酸素の濃度、および露出した表面と大気の接触時間を含めた、いくつかの変数に依存する。当業者は原則的に、このような変化が実際的である場合、例えば溶媒を変えることによって、拡散率を変えることにより深さを変えることができる。酸素の含量は、窒素などの不活性ガスで希釈することによって、あるいは酸素を周囲の大気に加えることによって、制御することができる。接触時間は、連続的なウェブプロセスが行われる場合、プロセスの速度を変えることによって、変えることができる。
酸素は好ましいPPAであるが、同じ効果を有する他の試薬を、大気に加えることができると思われる。オゾンおよび塩素ガスは、PPAとして使用することができると思われる気体状試薬の例である。
反応溶液を含ませたシートを1つの外面表面上にかぶせ、不混和液中に溶けたPPAを含む不混和液中で処理できることも考えられる。考えられる液体媒介のPPAの例は、ジフェニルピクリルヒドラジル、および塩化銅である。他の例は、「Principles of Polymerization」3rd Ed、ページ263、George Odian;Wiley−interscience、John Wiley & Sons;Publishers中で与えられている。
他の方法は、PPAが任意選択のフリーラジカル重合開始剤と反応するという事実を利用するものである。実施例5に示すように、本明細書ではさらに、任意選択のフリーラジカル重合開始剤の濃度を制御することによって、本発明人は、PPA拡散の深さの制御を可能にしている。これは、使用する任意のフリーラジカル重合開始剤の濃度に比例して拡散するために、PPAが使用されるという事実によるものである。
本発明の技法を使用してパターンを生成させるために、当業者は前述の1つの外面表面を不透過性フィルムまたはシートで覆い、所望のパターンの対向する外面表面を開口部を有するシートで覆う。PPAの拡散は開口部を介して起こり、重合が起こらなかった深さ内にパターンを形成する。
当業者は、同じであるかあるいは異なるパターンであってよいパターンシートをそれぞれの側に施用することによって、平たいシート膜の両側でのパターン形成のために選択をすることが可能であると思われる。さらに当業者は、両方の外面表面を非被覆状態にし、膜の内側に変形を形成するために選択をすることが可能であると思われる。
当業者が1つの変形に制限されることはない。例えば、第1のポリマー被覆を用いて均質に膜を改質することができ、次いで第2の被覆を用いて空間的に改質することができる。さらに、第1の空間的被覆は、第1のパターンのサブパターンのみを覆う第2の空間的被覆で被覆することができる。
膜改質の多くの変更形態を、本発明の方法によって行うことができることは、当業者には明らかであろう。
本発明の方法は、管状および中空線維膜の製造に適用可能である。被覆法は、紡績線維およびモノフィラメント業界から知られており、本発明の方法に構成することができる。
本発明を論じる目的は、考えられるすべての組合せ、置換形態または改質形態を包括的に提示することではなく、当業者を啓発するために代表的な方法を提示することである。代表的な例は、実施法を示すために提示したもので、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。本発明人は、本特許請求の範囲の作製時に、知られている広範囲の方法で本発明の広範囲の態様を包含しようと試みている。
方法
Electroscan ESEM3(Philips Electron Opticsから入手可能)を使用して、膜サンプルの湿潤性を評価した。処理したサンプルからの膜の一部分を凍結割断し(以下でさらに記載するように)、次いで断面を分析するために、5℃に冷却したペルティエステージに載せた。断面サンプルは、疎水性側を画像フレームの上部に向けた。ESEMチャンバーを、ポンプを用いて大気圧から5トールの設定圧力に圧力を下げ、次いで水蒸気で洗浄し、浸水用対照物を使用して10トールにした。次いで浸水用対照物を放出させた。チャンバーの圧力が再度5トールに達したとき、チャンバーを再度水蒸気で洗浄し10トールにした。この手順を3回続けて、チャンバー中の空気を水蒸気に交換した。次いでチャンバーの圧力を7トールに設定した。チャンバーの圧力およびステージの温度に対するわずかな制御を行って、液体状の水をサンプルの突出部に保った。膜が濡れた後に、代表的な画像を得た。500倍の倍率で15KVのビーム加速電圧を使用して、画像を得た。画像は、Orion Image Acquisition Systemによって得た。
断面の画像は、暗く特徴のない湿潤可能な領域を示した。なぜならESEMビームは水を透過せず、親水性領域中に凝縮するからである。
サンプル調製(すなわち、凍結割断)は、適切なサンプル調製テーブルにサンプルを平らに置くことによって始める。約3〜5mm×15〜20mmの大きさの長方形片を、サンプルから切断する。その長方形片を、その底部から約1/4の所でピンセットによって保持し、サンプルの温度が平衡状態に達するまでLN中に沈める。平衡状態は、普通は約10秒間起こる。次いでサンプルを液体窒素浴から除去し、第2のピンセット対を使用して曲げることによって、すぐに割断する。割断した片をサンプル調製テーブルに平らに置き、割断部分に対して約2mm垂直に切断する。切断したサンプルは、導電性接着剤を使用して、サンプルの突出部を上向きに(割断した端部を上に)載せ、次いで約20〜30Åの厚さで導電性金属をスパッタ被覆させ、その結果、画像を得るためにSEMチャンバー中に置くことは本質的に容易である。倍率の度合いは、当然ながらサンプル依存性である。
実施例
親水性0.65u Durapore(ポリフッ化ビニリデン細孔膜、Millipore Corporation、Bedford;MA)を、3.5%ゾニルフルオロアクリレート(すなわち、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)アクリル酸エチルおよび類似体、ZonylTANの商品名でDupont Corporation、Wilmington、Delawareから入手可能である)、0.5%ヘキサンジオールジアクリレート、および0.1% Irgacure 621(すなわち、2,2ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、Ciba Specialty Chemicals、Hawthorn、New Yorkから入手可能である)を、デカメチルテトラシロキサンに溶かしたものからなる調合物で処理する。この膜をポリエチレンのシート上に置く。対向する外面表面には、カバーシートは施さない。Fusion Systems F600(Rockville、MD)UV装置を介して、1分間当たり10フィートで、ポリエチレンシートによって覆われた側のみに向けてUV光線を曝しながら、膜を動かす。非被覆側は直接露出させず、特に酸素およびオゾンを含む大気と直接接触させる。装置から出現した後、膜をすぐにメタノール中に置いて、未反応種および他の非共有結合分子を洗い落とす。
乾燥後、この膜は2面的な性質を示す。酸素およびオゾンに曝した側は非常に親水性のままであり、一方反対側は非常に疎水性になっていた。親水性側に置かれた一滴の水は、半径方向に伝わり急速に広がる。メタノールが疎水性側を濡らすことはない。環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)によって、膜の約半分(60ミクロン)が親水性であり、一方残りの半分は疎水性であることが明らかである。ESEMのコピーを図1に示す。暗く、均質な層が親水性の領域である。
親水性0.65u Durapore(DVPP)を、3.5%DuPontゾニルフルオロアクリレート、0.5%ヘキサンジオールジアクリレート、および0.1% Irgacure 621を、デカメチルテトラシロキサンに溶かしたものからなる超疎水性調合物で処理する。この膜をポリエチレンのシート上に置く。パターンに対応する開口空間を有する、ポリエチレンカバーシートを施す。このパターンは任意の形状であってよい。この実施例では、ポリエチレンシートから直径約5mmの円で終わる幅約2mmのレーンを切断することによって、パターンを作製する。Fusion Systems UV装置を介して、1分間当たり10フィートで、非パターン型ポリエチレンシートによって覆われた側のみに向けてUV光線を曝しながら、膜を動かす。パターン型ポリエチレンシートによって覆われた側は直接露出させず、特に酸素およびオゾンを含む大気と直接接触させる。装置から出現した後、膜をすぐにメタノール中に置いて、未反応種および他の非共有結合分子を洗い落とす。
この膜全体は、切断したパターンに対応する領域以外は疎水性である。この領域は親水性であり、約60ミクロンの深さまで水で濡れる。
この実施例では、疎水性層または領域の深さを、調合物成分の濃度を変えることによって小さくする。疎水性領域をより小さくするために、調合物中の活性成分の濃度を低下させる。親水性0.65u Durapore(DVPP)を、2%DuPontゾニルフルオロアクリレート、0.32%ヘキサンジオールジアクリレート、および0.056% Irgacure 621を、デカメチルテトラシロキサンに溶かしたものからなる超疎水性調合物で処理する。この膜をポリエチレンのシート上に置く。対向する外面表面には、カバーシートは施さない。Fusion Systems UV装置を介して、1分間当たり10フィートで、ポリエチレンシートによって覆われた側のみに向けてUV光線を曝しながら、膜を動かす。非被覆側は直接露出させず、特に酸素およびオゾンを含む大気と直接接触させる。装置から出現した後、膜をすぐにメタノール中に置いて、未反応種および他の非共有結合分子を洗い落とす。
乾燥後、この膜は2面的な性質を示す。一方の側は非常に親水性であり、一方反対側は非常に疎水性である。親水性側に置かれた一滴の水は、半径方向に伝わり急速に広がる。メタノールが疎水性側を濡らすことはない。環境制御型走査型電子顕微鏡(ESEM)によって、膜の約85%が親水性層を形成し、一方残りの15%は疎水性であることが明らかである。ESEMのコピーを図2に示す。暗く、均質な層が親水性の領域である。
親水性0.65u Durapore(DVPP)を、正に帯電したモノマーを含む調合物で処理する。この調合物は、12%のアクリルアミドプロピルトリメチル塩化アンモニウム、1%のメチレンビスアクリルアミド、0.2%のIrgacure 2959(すなわち、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−プロピル)ケトン、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、および86.8%の水からなる。この膜をポリエチレンのシート上に置く。カバーシートは施さない。Fusion Systems UV装置を介して、1分間当たり10フィートで、ポリエチレンシートによって覆われた側のみに向けてUV光線を曝しながら、膜を動かす。非被覆側は直接露出させず、特に酸素およびオゾンを含む大気と直接接触させる。装置から出現した後、膜をすぐに水中に置いて、未反応種および他の非共有結合分子を洗い落とす。
サンプルの膜を、負に帯電した染料、Ponceau S(すなわち、(3−ヒドロキシ−4−(2−スルホ−4−(4−スルホフェニルアゾ)−フェニルアゾ)−2,7ナフタレンジスルホン酸四ナトリウム塩、Sigma−Aldrich、Milwaukee、Wisconsinから入手可能)の溶液中に置く。サンプルを15分間処理し、それ以上染料が除去されなくなるまで水で洗浄した後、このサンプルにより、ポリエチレンシートによって覆われた側が赤く染色され、したがって正に帯電し、一方ポリエチレンによって覆われなかった側は、染色されず無色のままであることが示される。
この実施例は、改質調合物中のフリーラジカル重合開始剤の濃度を変えることによって、層または領域の厚さを制御する能力を示す。系の第1の調合物は、7.0%DuPontゾニルフルオロアクリレート、1.0%ヘキサンジオールジアクリレート、および0.2% Irgacure 621を、デカメチルテトラシロキサンに溶かしたものから構成されていた。出発調合物を希釈することによって、光重合開始剤、Irgacure 651を減らした。疎水性層の厚さは段階的に低下し、対照の方法ではこのとき、実施例1の膜を実施例1に記載したのと同様に処理した。これを以下の表1に示す。
Figure 0005350327
この実験の目的は、液状担体に溶かしたPPAを使用することができることを示すことである。この実施例中のPPAは、2,2’−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)(Sigma−Aldrich)である。インク無しサインペンまたは同等物を、DPPHの1%メタノール溶液に浸し、これを使用して親水性DVPP膜のシート上に印をつける。溶液は数箇所に、完全または部分的に膜を透過する送達体積で施す。メタノールを蒸発させる。膜を実施例1からの溶液で処理し、2つのポリエチレンシートの間に置き、膜の両側が覆われて、酸素が片側から拡散しPPAとして作用するのを妨げるようにする。次いで試料を、実施例1と同様にUV光線に曝し、洗浄し、乾燥させる。
膜の両側に水を施すと、DPPHを施した場所においてのみ、印の形のみで、湿潤が起こる。これは、DPPHによって重合が妨害されることによるものである。次いで疎水性表面の変形を、DPPHがPPAとして作用する場所以外の、膜中に形成させる。メタノール溶液が深さ部分全体に浸透した位置において、膜の厚さ部分全体に、湿潤液が浸透する。メタノール溶液が部分的にのみ浸透した位置では、湿潤液も膜の深さ部分に部分的にのみ浸透した。

Claims (7)

  1. 第1の多孔質表面と、
    第2の多孔質表面と、
    膜内全体に前記第1の多孔質表面から前記第2の多孔質表面まで延在し、厚さを画定する、親水性材料でできた連続的な多孔構造と、
    疎水性のフリーラジカル重合ポリマーもしくはフリーラジカル重合架橋ポリマーの被覆層と
    を有する、多孔膜であって、
    記被覆層が、前記第1の多孔質表面の少なくとも一部を覆い、かつ前記第1の多孔質表面から前記多孔構造中へと前記多孔膜の厚さの8〜80%の深さまで延在する
    ことを特徴とする、多孔膜。
  2. 前記親水性材料が親水性ポリマー材料を含む、請求項1に記載の膜。
  3. 前記親水性ポリマー材料が芳香族ポリスルホンである、請求項2に記載の膜。
  4. 前記親水性ポリマー材料がポリ二フッ化ビニリデンである、請求項2に記載の膜。
  5. 前記被覆が、16mN/mより大きい表面張力を有する液体で濡れない、請求項1に記載の膜。
  6. 前記被覆が、21mN/mより大きい表面張力を有する液体で濡れない、請求項1に記載の膜。
  7. 第1の多孔質表面と、
    第2の多孔質表面と、
    膜内全体に前記第1の多孔質表面から前記第2の多孔質表面まで延在する、親水性材料でできた連続的な多孔構造と、
    間的に制御された疎水性フリーラジカル重合ポリマー被覆層と
    を有する、多孔膜の作製方法であって、前記被覆層は、前記第1の多孔質表面から前記多孔構造中へと前記多孔膜の厚さの8〜80%の深さまで延在し、かつ前記第1の多孔質表面の少なくとも一部を覆うものであり、前記方法が、
    (a)少なくとも1つのフリーラジカル重合可能なモノマー、前記少なくとも1つのモノマー用の重合開始剤および架橋剤を成分として、これら3つの成分のための溶媒中に含む溶液を用意するステップ、
    (b)多孔膜を前記溶液に接触させるステップ、
    (c)前記連続的な多孔構造内の或る深さまで拡散する重合防止剤と、膜とを前記第1の多孔質表面から接触させ、ここで前記重合防止剤は、接触した前記第1の多孔質表面の少なくとも一部の上および前記重合防止剤が拡散した間隙の表面上にて重合が起こるのを防止できるステップ、および
    (d)疎水性の架橋フリーラジカル重合ポリマー被覆を、前記溶液から、前記重合防止剤に接触していない前記膜の前記第2の多孔質表面上に形成させるステップ
    を含む
    ことを特徴とする、方法。
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