JP5347718B2 - 混合器および周波数変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を用いて乗算信号を生成する混合器、およびその混合器を備えた周波数変換装置に関するものである。
磁気抵抗効果素子として、磁化固定層と磁化自由層との間に非磁性材料で形成されたスペーサ層を介在させて構成されたTMR(Tunnel Magnetoresistive)素子が知られている。このTMR素子では、電流を流したときにスピン偏極電子が流れて、磁化自由層内に蓄積されるスピン偏極電子の数に応じて磁化自由層の磁化の向き(電子スピンの向き)が変化する。一定の磁場内に配置された磁化自由層では、その磁化の向きを変更しようとしたときに、磁場によって拘束される安定な方向へ復元するように電子スピンに対してトルクが働き、特定の力で揺らされたときに、スピン歳差運動と呼ばれる振動が発生する。
近年、TMR素子等の磁気抵抗効果素子に対して高い周波数の交流電流を流した場合において、磁化自由層に流れる交流電流の周波数と磁化の向きに戻ろうとするスピン歳差運動の振動数とが一致したときに、強い共振が発生する現象(スピントルク強磁性共鳴)が発見された(非特許文献1参照)。また、磁気抵抗効果素子に外部から静磁界を印加し、かつこの静磁界の方向を磁化固定層の磁化の方向に対して層内で所定角度傾けた状態では、磁気抵抗効果素子は、RF電流(スピン歳差運動の振動数(共振周波数)と一致する周波数のRF電流)が注入されたときに、注入されたRF電流の振幅の2乗に比例する直流電圧をその両端に発生させる機能、つまり、2乗検波機能(スピントルクダイオード効果)を発揮することが知られている。また、この磁気抵抗効果素子の2乗検波出力は、所定の条件下において半導体pn接合ダイオードの2乗検波出力を上回ることが知られている(非特許文献2参照)。
しかしながら、上述のようなTMR素子の現象が知られつつも、このような現象を工業的に利用できる磁気デバイスは知られておらず、発見の応用が期待されていた。このため、本願出願人は、鋭意研究を重ねることにより、磁気抵抗効果素子の2乗検波機能に着目して、低いローカルパワーで作動可能な混合器への用途を検討し、既に提案している(特願2008−89569)。
Nature, Vol.438, 17 November, 2005, pp.339-342 まぐね, Vol.2, No.6, 2007, pp.282-290
ところで、本願出願人が提案した上記の混合器について継続して検討を行った結果、この混合器では、磁気抵抗効果素子に接続される伝送路(信号ライン)のインピーダンスが低いとき(例えば、磁気抵抗効果素子を特性インピーダンスが50Ωの伝送路に直接接続したとき)には、磁気抵抗効果素子の2乗検波出力(混合器における乗算信号の信号レベル)が著しく低下するという現象が発生することを発見した。また、本願出願人は、この現象を回避するため、磁気抵抗効果素子に接続される伝送路に高抵抗を直列接続する構成の採用を検討した。しかしながら、この構成においては磁気抵抗効果素子を共振させるのに必要な電流を磁気抵抗効果素子に流すためには、磁気抵抗効果素子に対して高い電圧を印加する必要があることから、混合器の消費電力が増大するという課題が発生する。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、乗算信号の出力の低下を回避しつつ、低いローカルパワーで作動可能な混合器、およびその混合器を備えた周波数変換装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係る混合器は、磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、前記第1フィルタは、自己共振周波数帯域が前記通過帯域に規定されている容量性素子で構成されている。
また、本発明に係る混合器は、磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、前記通過帯域が互いに異なる前記第1フィルタを複数備え、前記磁場印加部は、前記磁場の強さを変更可能に構成されている。
また、本発明に係る混合器は、磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、前記第1フィルタは、当該第1フィルタに接続される伝送路に付加されて当該第1フィルタの選択度を高めるためのスタブまたは共振器を備えて構成されている。
また、本発明に係る混合器は、磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、前記乗算信号を入力して出力伝送路に当該出力伝送路の特性インピーダンスと整合する出力インピーダンスで出力すると共に、入力インピーダンスが当該出力インピーダンスよりも高い値に規定されたインピーダンス変換回路を備えている。
また、本発明に係る混合器は、前記磁場印加部は、前記磁場の強さを一定に維持する。
また、上記目的を達成すべく本発明に係る周波数変換装置は、上記のいずれかの混合器と、前記両高周波信号の周波数のうちの高い方の周波数をf1として低い方の周波数をf2としたときに、前記乗算信号のうちから周波数が(f1+f2)および(f1−f2)のうちのいずれか一方の乗算信号を通過させる第2フィルタとを備えている。
また、本発明に係る周波数変換装置は、前記第2フィルタは、増幅動作の上限周波数が前記乗算信号の周波数(f1−f2)と前記周波数f2との間に規定された増幅器で構成されている。
本発明に係る混合器および周波数変換装置によれば、第1高周波信号および第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタを介して減衰の少ない状態で第1高周波信号および第2高周波信号を出力することができるため、混合器のローカル用の第2高周波信号をより少ない電力駆動で第1高周波信号と乗算して、乗算信号を出力することができる結果、一層の省電力化を図ることができる。また、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数帯域においては第1フィルタが高いインピーダンスとなるため、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の低下(減衰)を回避することができる。
また、第1フィルタはパッシブ素子で構成することができるため、アクティブ素子で構成する場合と比較して、一層の省電力化を図ることができる。
また、この混合器および周波数変換装置によれば、自己共振周波数帯域が上記の通過帯域に規定されている容量性素子で第1フィルタを構成したことにより、混合器および周波数変換装置の構成の簡略化を図ることができる。
本発明に係る混合器および周波数変換装置によれば、第1高周波信号および第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタを介して減衰の少ない状態で第1高周波信号および第2高周波信号を出力することができるため、混合器のローカル用の第2高周波信号をより少ない電力駆動で第1高周波信号と乗算して、乗算信号を出力することができる結果、一層の省電力化を図ることができる。また、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数帯域においては第1フィルタが高いインピーダンスとなるため、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の低下(減衰)を回避することができる。
また、第1フィルタはパッシブ素子で構成することができるため、アクティブ素子で構成する場合と比較して、一層の省電力化を図ることができる。
また、この混合器および周波数変換装置によれば、通過帯域が互いに異なる複数の第1フィルタを備え、かつ磁場印加部を磁場の強さを変更可能に構成したことにより、第1高周波信号の周波数に対応させて、第2高周波信号の周波数および磁気抵抗効果素子の共振周波数を変更することができるため、装置の構成を変更することなく、様々な周波数の第1高周波信号および第2高周波信号を混合して、乗算信号を出力することができる。
本発明に係る混合器および周波数変換装置によれば、第1高周波信号および第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタを介して減衰の少ない状態で第1高周波信号および第2高周波信号を出力することができるため、混合器のローカル用の第2高周波信号をより少ない電力駆動で第1高周波信号と乗算して、乗算信号を出力することができる結果、一層の省電力化を図ることができる。また、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数帯域においては第1フィルタが高いインピーダンスとなるため、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の低下(減衰)を回避することができる。
また、第1フィルタはパッシブ素子で構成することができるため、アクティブ素子で構成する場合と比較して、一層の省電力化を図ることができる。
また、この混合器および周波数変換装置によれば、スタブまたは共振器によって第1フィルタにおける通過帯域の選択度を高めることができるため、第1高周波信号および第2高周波信号以外の不要な信号の磁気抵抗効果素子への出力を低減することができる。したがって、混合動作や周波数変換動作へのノイズの影響を大幅に低減することができる。
本発明に係る混合器および周波数変換装置によれば、第1高周波信号および第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタを介して減衰の少ない状態で第1高周波信号および第2高周波信号を出力することができるため、混合器のローカル用の第2高周波信号をより少ない電力駆動で第1高周波信号と乗算して、乗算信号を出力することができる結果、一層の省電力化を図ることができる。また、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の周波数帯域においては第1フィルタが高いインピーダンスとなるため、磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号の低下(減衰)を回避することができる。
また、第1フィルタはパッシブ素子で構成することができるため、アクティブ素子で構成する場合と比較して、一層の省電力化を図ることができる。
また、この混合器および周波数変換装置によれば、出力伝送路の特性インピーダンスよりも高い値に規定された入力インピーダンスで磁気抵抗効果素子によって発生される乗算信号を入力することができるため、乗算信号の減衰を回避することができると共に、出力伝送路の特性インピーダンスと整合する出力インピーダンスで乗算信号を出力することができる。したがって、乗算信号を効率よく生成することができる。
また、本発明に係る混合器および周波数変換装置によれば、例えば永久磁石などで構成して磁場の強さを一定に維持する構成を採用することもできるため、磁場印加部を簡易な構造とすることができ、製品コストの低減を図ることができる。
また、本発明に係る周波数変換装置によれば、両高周波信号の周波数のうちの高い方の周波数をf1として低い方の周波数をf2としたときに、混合器からは、周波数f1,f2の信号、および周波数(f1+f2),(f1−f2),2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・の各乗算信号が出力されるが、これらの信号のうちの周波数が(f1+f2)の乗算信号または周波数が(f1−f2)の乗算信号を所望の周波数の乗算信号として第2フィルタを用いて生成することができる。
また、本発明に係る周波数変換装置によれば、第2フィルタを1つの増幅器で構成することができるため、周波数変換装置の構成を一層簡略化することができる。
周波数変換装置100の構成を示す構成図である。 混合器1の等価回路図である。 磁気抵抗効果素子2(TMR素子)近傍の斜視図である。 磁気抵抗効果素子2の磁化自由層21近傍の斜視図である。 図1におけるW−W線断面図である。 磁気抵抗効果素子2に印加する磁場Hを一定としたときの周波数fと磁気抵抗効果素子2の共振状態との関係図である。 インピーダンス回路4のインピーダンス特性図を示す概念図である。 インピーダンス回路4を構成するコンデンサ4aのインピーダンス特性図を示す概念図である。 コンデンサ4aの実際のインピーダンス特性図である。 混合器1を評価する評価治具を含む評価系の構成図である。 信号S1およびローカル信号S2のスペクトル図である。 電圧信号(乗算信号)S4のスペクトル図である。 混合器1Aおよび周波数変換装置100Aの構成を示す構成図である。 図13におけるインピーダンス回路4Aのインピーダンス特性図を示す概念図である。
以下、混合器および周波数変換装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、混合器1、および混合器1を含む周波数変換装置100の構成について、図面を参照して説明する。なお、一例として周波数変換装置100を受信装置RXに適用した例を挙げて説明する。
図1に示す周波数変換装置100は、アンテナ101と共に受信装置RXを構成する。周波数変換装置100は、アンテナ101から出力されるRF信号SRFを受信する受信装置RXの高周波段に配置されて、RF信号SRFの周波数f1を乗算信号S3の周波数fmに変換する機能を有している。一例として周波数変換装置100は、混合器1と共に、アンプ11、信号生成部12、フィルタ13および出力端子14a,14b(以下、特に区別しないときには出力端子14ともいう)を備えている。アンプ11は、RF信号SRFを入力すると共に増幅して、信号S1(第1高周波信号)として出力する。信号生成部12は、いわゆる局部発振器として機能して、周波数がf2のローカル信号(第2高周波信号)S2を生成する。信号生成部12は、一例として、−15dBm±5dBmのローカル信号S2を生成して出力する。また、このようにして出力された信号S1およびローカル信号S2は、特性インピーダンスが50Ωに規定された信号伝送路(例えばマイクロストリップライン。以下、「伝送路」ともいう)L1を介してインピーダンス回路4に伝送される。
混合器1は、磁気抵抗効果素子2、磁場印加部3、インピーダンス回路4およびインピーダンス変換回路5を備え、アンプ11から出力された信号S1(周波数f1)と、信号生成部12によって生成されるローカル信号S2(周波数f2)とを乗算して、乗算信号としての出力信号S5を出力する。この場合、出力信号S5には、周波数f1,f2の信号、および周波数(f1+f2),(f1−f2),2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・などの各乗算信号が含まれている。なお、信号生成部12については、周波数変換装置100にとって必須の構成ではなく、RF信号SRFと共に周波数変換装置100の外部から入力する構成とすることもできる。また、図1に示す混合器1は、図2に示すような等価回路で表される。
磁気抵抗効果素子2は、一例として、図3,5に示すように磁化自由層21を含むTMR素子で構成されている。具体的には、磁気抵抗効果素子2は、磁化自由層21、スペーサ層22、磁化固定層23および反強磁性層24を備え、この順に積層された状態で、上部電極25と下部電極26との間に、磁化自由層21が上部電極25に接続され、かつ反強磁性層24が下部電極26に接続された状態で配設されている。この場合、磁化自由層21は、強磁性材料で感磁層として構成されている。スペーサ層22は、非磁性スペーサ層であって、絶縁性を有する非磁性材料で構成されて、トンネルバリア層として機能する。なお、スペーサ層22は、通常1nm以下の厚みで形成される。また、下部電極26はグランドに接続されている。
磁化固定層23は、一例として、図3に示すように、磁化方向が固定された強磁性層(第2磁性層)23a、Ruなどの金属からなる非磁性層23b、および磁化方向が強磁性層23aと逆向きとなるように固定された他の強磁性層(第1磁性層)23cとを備え、強磁性層23cが反強磁性層24の上部に位置するように各層がこの順に積層されて構成されている。この場合、一対の強磁性層23a,23cは、その磁化方向が磁気抵抗効果素子2の厚み方向(Z軸方向)と垂直に設定されている。また、反強磁性層24は、下側の強磁性層23cに交換結合されている。
また、磁気抵抗効果素子2は、磁化自由層21において磁化の向きの共振が発生し易いように、図4に示すように、磁化自由層21における容易磁化軸Fの向きと、後述する磁場印加部3から印加される磁場Hの向きとが、X−Y平面内において、所定の角度θ(好ましくは5°〜175°の範囲の角度、より好ましくは90°)で交差するように、磁気抵抗効果素子2と磁場印加部3との位置関係が予め規定されている。
磁場印加部3は、図1,5に示すように、磁場発生用配線31、磁気ヨーク32および電流供給部33を備えている。磁場発生用配線31は、図5に示すように、上部電極25を介して磁気抵抗効果素子2の上方に配設されている。磁気ヨーク32は、頂部磁性体32a、側面部磁性体32b,32c、下部磁性体32d,32e、および底部磁性体32f,32gを備えている。この場合、頂部磁性体32aは、磁場発生用配線31の上方に配設されている。側面部磁性体32bは、磁場発生用配線31の一方の側方(一例として、図5では右側方)に配設されて、頂部磁性体32aに接続されている。また、側面部磁性体32cは、磁場発生用配線31の他方の側方(一例として、図5では左側方)に配設されて、頂部磁性体32aに接続されている。下部磁性体32dは、磁気抵抗効果素子2の一方の側方(一例として、図5では右側方)に配設されて、側面部磁性体32bに接続されている。また、下部磁性体32eは、磁気抵抗効果素子2の他方の側方(一例として、図5では左側方)に配設されて、側面部磁性体32cに接続されている。この構成により、下部磁性体32e、側面部磁性体32c、頂部磁性体32a、側面部磁性体32bおよび下部磁性体32dは、この順に連結されて全体として短冊状に形成され、かつ図1に示すように磁場発生用配線31を跨ぐようにして磁気抵抗効果素子2の上方に配設されている。
底部磁性体32fは、図1,5に示すように、下部磁性体32dに接続された状態で下部磁性体32dの下方に配設されている。また、底部磁性体32fは、その磁気抵抗効果素子2方向の端部側が、磁気抵抗効果素子2の上部電極25および下部電極26間にこれらと絶縁された状態で進入すると共に、磁気抵抗効果素子2の磁化自由層21における一方の側面近傍に達している。底部磁性体32gは、下部磁性体32eに接続された状態で下部磁性体32eの下方に配設されている。また、底部磁性体32eも、その磁気抵抗効果素子2方向の端部側が、上部電極25および下部電極26間にこれらと絶縁された状態で進入すると共に、磁気抵抗効果素子2の磁化自由層21における他方の側面近傍に達している。
磁気ヨーク32は、上記の構成により、磁場発生用配線31に電流Iが流れたときに磁場発生用配線31の周囲に発生する磁界に対する閉磁路を形成して、図4に示すように、この閉磁路のギャップとなる部位(一対の底部磁性体32f,32g間の隙間)に配設された磁気抵抗効果素子2の磁化自由層21に対して磁場Hを印加する。また、本例では、一例として、上述した磁場印加部3の磁場発生用配線31および磁気ヨーク32は、磁気抵抗効果素子2と共に、公知の半導体製造プロセスを利用して、シリコンウェハ上に形成される。
電流供給部33は、頂部磁性体32aの両側から延出する磁場発生用配線31の各端部に接続されて、磁場発生用配線31に電流Iを供給する。また、電流供給部33は、この電流Iの電流値を変更可能に構成されている。したがって、磁場印加部3は、電流供給部33から出力される電流Iの電流値を変更することにより、磁気抵抗効果素子2に印加する磁場Hの強さを変更することで、磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0を変更可能となっている。なお、本例では、磁気ヨーク32内を通過する磁場発生用配線31の数は1つに形成されているが、磁場発生用配線31をコイル状に形成して、磁気ヨーク32内を通過する磁場発生用配線31の数を複数とする構成を採用することにより、磁場Hの強さを強めることもできる。
インピーダンス回路4は、後述する電圧信号(乗算信号)S4に対するインピーダンス(入出力間のインピーダンス)が信号S1,S2に対するインピーダンス(入出力間のインピーダンス)よりも高く、かつ上記した特性インピーダンスが50Ωに規定された伝送路(入力伝送路)L1と、磁気抵抗効果素子2に接続されて特性インピーダンスが50Ωに規定された伝送路Lmとの間に形成された僅かな長さのギャップを跨ぐようにして両伝送路L1,Lm間に配設されている。この場合、インピーダンス回路4は、伝送路L1を介して伝送された信号S1,S2に対するインピーダンスが伝送路L1の特性インピーダンス(50Ω)よりも低く、その低いインピーダンスを介して伝送路L1から伝送路Lmに信号S1,S2を出力する。つまり、インピーダンス回路4は、信号S1,S2を含む周波数帯域の信号に対しては、入出力間のインピーダンスが低いインピーダンス素子として機能して、これらの信号S1,S2を、その振幅をできる限り減衰させないようにして通過させる。また、インピーダンス回路4は、磁気抵抗効果素子2において発生する2乗検波出力(乗算信号であって、周波数(f1±f2)の電圧信号S4)の信号に対しては、磁気抵抗効果素子2側から見たインピーダンス(入出力間のインピーダンス)が伝送路L1,Lmの特性インピーダンス(50Ω)よりも高いインピーダンス(好ましくは、500Ω以上のインピーダンス)となるように規定されている。
混合器1では、後述するように、磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0をローカル信号S2の周波数f2に一致させ、かつ信号S1の周波数f1は、通常は周波数f2の近傍の周波数に設定される。したがって、インピーダンス回路4は、一例として、図7に示すようなインピーダンス特性を備えた帯域通過型フィルタ(バンドパスフィルタ)で構成することができる。この場合、この帯域通過型フィルタは、同図に示すように、磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0(ローカル信号S2の周波数f2)、および信号S1の周波数f1を通過帯域に含み、かつ磁気抵抗効果素子2で発生する2乗検波出力としての乗算信号の各周波数(f1+f2),(f1−f2),2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・を減衰帯域に含むインピーダンス特性に規定されている。また、インピーダンス回路4は、例えば、カップリングコンデンサを有して構成されて、磁気抵抗効果素子2において発生する2乗検波出力の直流成分のアンプ11側や信号生成部12への漏れ出しを阻止する機能も備えている。
この場合、コンデンサは、等価直列インダクタンスを含んでいるため、図8に示すように、自己共振周波数fsを基準として低周波数側がコンデンサとして機能する領域(コンデンサ領域、つまりインピーダンスが周波数の増加に伴って減少する領域)となり、自己共振周波数fsを基準として高周波数側がインダクタとして機能する領域(インダクタンス領域、つまりインピーダンスが周波数の増加に伴って増加する領域)となり、自己共振周波数fsを含むその前後の狭い領域は自己共振周波数fsに向けてインピーダンスが急激に減少する領域となるインピーダンス特性を有している。このため、コンデンサは、同図に示すように、簡易的な帯域通過型フィルタとして機能し得るインピーダンス特性を有している。したがって、図8に示すように、自己共振周波数fsを含むインピーダンスの低い帯域(自己共振周波数帯域)を図7に示す通過帯域として利用することにより、1つのコンデンサでインピーダンス回路4(第1フィルタ)を構成することもできる。本例では、図1,2に示すように、インピーダンス回路4を1つのコンデンサ4a(容量性素子。一例として1005形状の低容量チップコンデンサ)で構成することで、装置構成の簡略化を図っている。なお、コンデンサ4aは、カップリングコンデンサとして機能するため、磁気抵抗効果素子2において発生する2乗検波出力の直流成分のアンプ11側や信号生成部12への漏れ出しを阻止する機能も備えている。
インピーダンス変換回路5は、一例として演算増幅器5aを用いて構成されている。本例では、演算増幅器5aは、その一方の入力端子が上部電極25に接続され、他方の入力端子がグランドに接続されて、差動増幅器として機能する。これにより、演算増幅器5aは、コンデンサ4aを介して信号S1およびローカル信号S2が入力されることに起因して磁気抵抗効果素子2の両端間に発生する電圧信号S4を入力し、その電圧信号S4を増幅して出力信号S5として出力伝送路L2(以下では、「伝送路L2」ともいう。例えば、マイクロストリップライン)に出力する。また、演算増幅器5aは、一般的に入力インピーダンスは極めて高く、また出力インピーダンスは十分に低いという特性を有している。したがって、この構成により、演算増幅器5aは、磁気抵抗効果素子2の両端間に発生する電圧信号S4を、出力インピーダンスよりも高い入力インピーダンスで入力し、入力した電圧信号S4を出力信号S5に増幅して、低インピーダンスで出力するため、インピーダンス変換部として機能する。この場合、演算増幅器5aは、出力伝送路L2の特性インピーダンスと整合する出力インピーダンスで出力信号S5を出力する。フィルタ13は、一例として帯域通過型フィルタ(BPF:第2フィルタ)で構成されると共に伝送路L2に配設されて、出力信号S5から所望の周波数の信号のみを通過させることで、乗算信号S3として出力端子14に出力する。具体的には、フィルタ13は、後述するように、周波数fmとして各周波数(f1−f2),(f1+f2)のうちのいずれかの周波数(所望の周波数)の信号を通過させる。
次に、混合器1の混合動作および周波数変換装置100の周波数変換動作について説明する。一例として、アンテナ101を介して受信したRF信号SRF(周波数f1=3.05GHz)が入力され、信号生成部12はローカル信号S2(周波数f2=3.0GHz(<f1))を生成するものとする。また、インピーダンス回路4を構成するコンデンサ4aとして、図9に示すインピーダンス特性を有するコンデンサが選択されて、その自己共振周波数fs(=3.0GHz)を含む自己共振周波数帯域(通過帯域)内に、両信号S1,S2の周波数f1,f2が含まれているものとする。また、磁気抵抗効果素子2の共振特性は、図6に示すように、ローカル信号S2の周波数f2においてピークを示すのが好ましい。このため、電流供給部33から磁場発生用配線31に供給する電流Iの電流値は、共振周波数f0をローカル信号S2の周波数f2に一致させる磁場Hを磁気抵抗効果素子2に印加し得る値に規定されているものとする。また、ローカル信号S2は、磁気抵抗効果素子2に対して共振を発生させ得る電流を供給可能な電力(例えば−15dBm±5dBm)に規定されているものとする。また、混合器1による混合動作によって差動増幅部5から出力される出力信号S5には、各信号S1,S2の周波数成分(f1,f2)、および各乗算信号の周波数成分((f1+f2),(f1−f2),2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・)が含まれているが、これらの周波数成分のうちの所望の周波数成分(周波数成分(f1+f2)または周波数成分(f1−f2)。本例では一例として低域の周波数成分(f1−f2))を通過させ、これ以外の周波数の信号の通過を阻止し得るようにフィルタ13が構成されているものとする。この場合、フィルタ13は、帯域通過型フィルタで構成されているが、低域通過型フィルタであってもよい。
この周波数変換装置100では、電流供給部33から電流Iが供給されている状態(磁気抵抗効果素子2に磁場Hが印加されている状態)において、信号生成部12から混合器1にローカル信号S2(周波数f2)が入力されている。インピーダンス回路4(コンデンサ4a)のインピーダンスはローカル信号S2の周波数f2において十分に小さな値(図9では10Ω以下)になっているため、ローカル信号S2は、極めて減衰の少ない状態でインピーダンス回路4を通過して磁気抵抗効果素子2に出力される。また、この状態では、ローカル信号S2はその周波数f2が磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0と一致し、かつその電力が磁気抵抗効果素子2に対して共振を発生させ得るように規定されている。このため、強い共振(スピントルク強磁性共鳴)が磁気抵抗効果素子2に発生する。この共振状態において、アンテナ101からアンプ11にRF信号SRF(周波数f1)が入力され、アンプ11が信号S1の出力を開始すると、磁気抵抗効果素子2は、2つの信号S1,S2に対して2乗検波動作を実行する。この際に、インピーダンス回路4(コンデンサ4a)のインピーダンスは、信号S1の周波数f1においても十分に小さな値(図9では10Ω以下)になっているため、信号S1は、ローカル信号S2と同様にして、反射することなく極めて減衰の少ない状態でコンデンサ4aを通過して磁気抵抗効果素子2に出力される。
この場合、磁気抵抗効果素子2は、共振状態において半導体pn接合ダイオードと比較して僅かな順方向電圧で2乗検波動作(整流作用)を発揮する。このため、磁気抵抗効果素子2は、この順方向電圧を磁気抵抗効果素子2に発生させるためのローカル信号S2の電力が半導体pn接合ダイオードを使用したときに必要とされる電力(例えば10dBm)よりも少ない状態であっても2乗検波動作を実行して、信号S1およびローカル信号S2を乗算して、その両端間に電圧信号S4を発生させる。この際に、磁気抵抗効果素子2において直流電圧が生成されたとしても、コンデンサ4aが、その直流電圧のアンテナや信号生成部12への漏れ出しを阻止して(直流をカットして)、磁気抵抗効果素子2を保護すると共にアンテナや信号生成部12を保護する。
また、磁気抵抗効果素子2による2乗検波動作(混合動作)によって生成される電圧信号S4は、上記したように2つの周波数成分(f1+f2,f1−f2)を含む種々の周波数成分で構成されているが、これらの周波数成分はコンデンサ4aの通過帯域を外れた減衰帯域に含まれる周波数成分である。このため、これら周波数成分(f1+f2,f1−f2)についてのコンデンサ4a(つまり、インピーダンス回路4)のインピーダンスは、信号S1(周波数f1)およびローカル信号S2(周波数f2)についてのコンデンサ4aのインピーダンスよりも大きな値となる。特に、本例の周波数変換装置100において出力される乗算信号S3と同じ周波数(f1−f2=50MHz)の周波数成分についてのコンデンサ4aのインピーダンスは、図9から明らかなように、1000Ωを超える高い値となる。また、上記したように、磁気抵抗効果素子2に接続されているインピーダンス変換回路5を構成する演算増幅器5aの入力インピーダンスも極めて高い値(通常は、数百KΩ以上)となっている。したがって、磁気抵抗効果素子2によって電圧信号S4が出力される伝送路Lmのインピーダンスが高い値(1000Ωを超える値)であるため、磁気抵抗効果素子2は、上記したように、レベルの大きな電圧信号S4を発生して伝送路Lmに出力する。
一例として図10に示す評価治具ECを用いて、混合器1において発生する電圧信号S4についての評価を行った。この評価治具ECは、信号S1を生成して出力するネットワークアナライザ(アジレント社製:型名8720ES)51と、ローカル信号S2を生成して出力する信号生成部12としての信号発生器(アジレント社製:型名83620B)と、ネットワークアナライザ51および信号生成部12と同軸ケーブルで接続されると共に伝送路L1に接続されて、各信号S1,S2を伝送路L1に入力するBNC端子52と、マイクロストリップラインで形成されてBNC端子52およびコンデンサ4aを接続する伝送路L1と、コンデンサ4a(TDK社製:1005型チップコンデンサ(4pF))と、マイクロストリップラインで形成されてコンデンサ4aおよび磁気抵抗効果素子2を接続する伝送路Lmと、伝送路Lmおよびグランドプレーン53間にボンディングワイヤ54によって接続された磁気抵抗効果素子2と、伝送路Lmに接続されたλ/4スタブライン55およびこのλ/4スタブライン55に接続された扇型のλ/4スタブ56でカットフィルタに形成されて電圧信号S4を出力するフィルタ13とを備えて構成されている。ここで、λはローカル信号S2(周波数f2)の波長である。磁気抵抗効果素子2で発生する信号に含まれている上記の各周波数成分のうち、周波数成分f1,f2は他の周波数成分(f1+f2),(f1−f2),2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・と比較して、かなりレベルの大きい信号であるため、減衰させる必要がある。この場合、信号S1の周波数f1はローカル信号S2の周波数f2の近傍である。したがって、ローカル信号S2を減衰させる共振器の長さλ/4は、両周波数成分f1,f2を減衰させる長さとして有効な長さに規定されている。
この評価治具ECを用いた評価によれば、図11に示すように、信号レベルが−15dBmの信号S1(周波数f1=3.05GHz)、および信号レベルが−15dBmのローカル信号S2(周波数f2=3.0GHz)を入力したときに、磁気抵抗効果素子2は、図12に示すように、伝送路Lmのインピーダンスが高い値に維持されていることと相俟って、信号レベル(周波数(f1−f2)=50MHzのレベル)が−50dBmの電圧信号S4を発生させることができる。この電圧信号S4のレベルは、半導体pn接合ダイオードでの検波出力は一般的に約−60dBmであるため、10dB以上大きなレベルとなっている。なお、評価治具ECによって評価した電圧信号S4は、フィルタ13が上記したようにカットフィルタで構成されているため、磁気抵抗効果素子2による2乗検波動作(混合動作)によって生成される2つの周波数成分(f1+f2,f1−f2)のうちの低域側の周波数成分(f1−f2)で構成される信号となっている。
次いで、インピーダンス変換回路5を構成する演算増幅器5aが、電圧信号S4を増幅して出力信号S5として伝送路L2に出力する。次に、フィルタ13が、出力信号S5に含まれている2つの周波数成分(f1+f2,f1−f2)のうちの一方の周波数成分(中間周波数:f1−f2)を通過させ、乗算信号S3として出力端子14に出力する。これにより、混合器1から信号S1(周波数f1)とローカル信号S2(周波数f2)とを乗算した電圧信号(乗算信号)S4から所望の乗算信号S3(周波数(f1−f2))が出力される。
このように、この混合器1および周波数変換装置100では、伝送路L1と磁気抵抗効果素子2との間に配設されたインピーダンス回路4が、伝送路L1を介して入力した信号S1(周波数f1)およびローカル信号S2(周波数f2)に対しては伝送路L1の特性インピーダンスよりも低い自身のインピーダンスを介して磁気抵抗効果素子2に出力することで、磁気抵抗効果素子2に減衰の少ない状態で出力すると共に、磁気抵抗効果素子2によって発生される電圧信号(乗算信号)S4の周波数帯域においては、信号S1,S2に対するインピーダンスよりも高い出力ピーダンスとなるように規定されている。したがって、この混合器1および周波数変換装置100によれば、磁気抵抗効果素子2に対して減衰の少ない状態で信号S1およびローカル信号S2を出力することができるため、より少ない電力のローカル信号S2で信号S1とローカル信号S2とを混合(乗算)して、言い換えれば、ローカル信号S2をより少ない電力駆動で信号S1と乗算して、乗算信号S3(周波数成分(f1−f2))を出力することができる結果、一層の省電力化を図ることができる。また、磁気抵抗効果素子2によって発生される電圧信号(乗算信号)S4の周波数帯域においてインピーダンス回路4が高いインピーダンスとなるため、磁気抵抗効果素子2によって発生される電圧信号(乗算信号)S4の低下(減衰)を回避することもできる結果、乗算信号S3の出力の低下も回避することができる。
また、この混合器1および周波数変換装置100によれば、電圧信号S4に含まれている周波数成分のうち、信号S1およびローカル信号S2の各周波数f1,f2を通過帯域に含み、かつ乗算信号の周波数(f1−f2,f1+f2,2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・)を減衰帯域に含む第1フィルタ(帯域通過型フィルタ。本例では、コンデンサ4a)でインピーダンス回路4を構成したことにより、第1フィルタはコンデンサや後述するようにスタブや共振器などのパッシブ素子で構成することができるため、インピーダンス回路4をアクティブ素子で構成するのと比較して、一層の省電力化を図ることができる。さらに、自己共振周波数帯域が上記の通過帯域に規定された1つのコンデンサ4aでフィルタ(第1フィルタ)を構成したことにより、混合器1および周波数変換装置100の構成の簡略化を図ることができる。
また、この混合器1および周波数変換装置100によれば、電圧信号(乗算信号)S4を伝送路Lmの特性インピーダンスよりも高い入力インピーダンスで入力すると共に伝送路L2と整合する出力インピーダンスで電圧信号S4を出力するインピーダンス変換回路5を備えたことにより、伝送路L2の特性インピーダンスが低い構成においても、磁気抵抗効果素子2によって発生される電圧信号(乗算信号)S4の低下(減衰)を回避することもできる結果、乗算信号S3の出力の低下も回避することができる。
なお、上記の構成に限定されず、種々の構成を採用することもできる。例えば、図示はしないが、1つの増幅器(例えば演算増幅器)でインピーダンス変換回路5およびフィルタ13を構成することもできる。この構成では、この増幅器の増幅動作についての上限周波数を乗算信号S3の周波数(f1−f2)とローカル信号S2の周波数f2との間に規定する。この構成により、この増幅器が、磁気抵抗効果素子2において信号S1とローカル信号S2とを混合(乗算)することによって生成される電圧信号S4を高いインピーダンスで入力すると共に、電圧信号S4に含まれている周波数成分(f1−f2,f2,f1,f1+f2,2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・)のうちの高域側の周波数成分(f2,f1,f1+f2,2×f1,2×f2,3×f1,3×f2,・・・)を減衰させ、かつ低域側の周波数成分(f1−f2)だけを増幅(またはバッファ)しつつ通過させて、乗算信号S3として出力することができる結果、混合器1および周波数変換装置100の構成の一層の簡略化を図ることができる。
また、通過帯域が互いに異なる複数のフィルタでインピーダンス回路を構成することもできる。以下、この構成を採用した混合器1Aおよび周波数変換装置100Aについて、図13〜図14を参照して説明する。なお、上記した混合器1および周波数変換装置100と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
最初に、混合器1A、および混合器1Aを含む周波数変換装置100Aの構成について、図面を参照して説明する。なお、一例として周波数変換装置100Aを受信装置RX1に適用した例を挙げて説明する。
図13に示す周波数変換装置100Aは、アンテナ101と共に受信装置RX1を構成する。周波数変換装置100Aは、アンテナ101から出力されるRF信号SRFを受信する受信装置RX1の高周波段に配置されて、周波数f1a,f1b,f1cのうちから選択された1つの周波数f1のRF信号SRFを乗算信号S3の周波数fmに変換する機能を有している。一例として周波数変換装置100Aは、混合器1Aと共に、アンプ11、信号生成部12A、フィルタ13および出力端子14a,14bを備えている。信号生成部12Aは、いわゆる局部発振器として機能して、周波数f2a,f2b,f2cのうちから選択された任意の1つの周波数f2のローカル信号(第2高周波信号)S2を生成する。また、このようにして出力された信号S1およびローカル信号S2は、伝送路L1を介してインピーダンス回路4Aに伝送される。
混合器1Aは、磁気抵抗効果素子2、磁場印加部3A、インピーダンス回路4Aおよびインピーダンス変換回路5を備え、アンプ11から出力された信号S1(周波数f1の信号)と、信号生成部12Aによって生成されるローカル信号S2(周波数f2の信号)とを乗算して、所望の乗算信号としての出力信号S5(周波数f1±f2の信号:具体的には、f1a±f2a,f1b±f2bおよびf1c±f2cのうちのいずれかの周波数の信号)を出力する。なお、信号生成部12Aについては、周波数変換装置100Aにとって必須の構成ではなく、RF信号SRFと共に周波数変換装置100Aの外部から入力する構成とすることもできる。
磁場印加部3Aは、図13に示すように、磁場発生用配線31、磁気ヨーク32および電流供給部33を備え、磁場発生用配線31に供給する電流Iの電流値を多段階(本例では一例として3段階(Ia,Ib,Ic))に変更可能に構成されている。この構成により、磁場印加部3Aは、電流Iの電流値を変更することにより、磁気抵抗効果素子2に印加する磁場Hの強さを多段階(本例では一例として3段階)に変更して、磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0を多段階(本例では一例として、共振周波数f0a,f0b,f0cの3段階)に変更可能となっている。この場合、各共振周波数f0a,f0b,f0cは、各ローカル信号S2の周波数f2a,f2b,f2cにそれぞれ規定されている。
インピーダンス回路4Aは、伝送路L1を介して伝送された信号S1およびローカル信号S2を伝送路L1の特性インピーダンス(50Ω)よりも低いインピーダンスを介して磁気抵抗効果素子2に出力する。一例として、インピーダンス回路4Aは、複数のフィルタ(本例では3つの帯域通過型フィルタ)を含んで構成されて、3つの通過帯域Wa,Wb,Wc(互いの周波数帯域が異なる通過帯域)に含まれる周波数の信号S1,S2に対しては、入出力間のインピーダンスが低いインピーダンス素子として機能して、これらの信号S1,S2をその振幅をできる限り減衰させないようにして通過させる。また、インピーダンス回路4Aは、磁気抵抗効果素子2において発生し、かつ減衰帯域(通過帯域Wa,Wb,Wc以外の周波数帯域)に含まれる2乗検波出力(周波数(f1±f2)の電圧信号S4)に対しては、磁気抵抗効果素子2側から見たインピーダンス(入出力間のインピーダンス)が伝送路L1の特性インピーダンス(50Ω)よりも高いインピーダンス(好ましくは、500Ω以上のインピーダンス)となるように規定されている。
具体的には、インピーダンス回路4Aは、図13に示すように、コンデンサ4aおよび2つのスタブ4d,4eで構成されて、通過帯域Waが図14に示すように1.6GHz帯(1.60GHzおよび1.65GHzを含む周波数帯域)に設定されたフィルタ(帯域通過型フィルタ)と、コンデンサ4bおよび2つのスタブ4f,4gで構成されて、通過帯域Wbが同図に示すように2.4GHz帯(2.40GHzおよび2.45GHzを含む周波数帯域)に設定された他のフィルタ(帯域通過型フィルタ)と、コンデンサ4cおよび2つのスタブ4h,4iで構成されて、通過帯域Wcが同図に示すように5.0GHz帯(5.00GHzおよび5.05GHzを含む周波数帯域)に設定された他のフィルタ(帯域通過型フィルタ)とを備えている。つまり、インピーダンス回路4Aは、通過帯域が互いに相違する複数のフィルタを備えて構成されている。各スタブ4d〜4iは、本例では一例として扇型のλ/4スタブであって、目的周波数のフィルタ通過帯域の選択度(肩特性)がなだらかな部分の周波数に対する波長λの1/4に相当する長さのものを付加することで、フィルタ通過帯域の肩部分の周波数成分の信号を共振器側に吸収させ、伝達させないようにすることで、対応するフィルタの通過帯域における選択度を高めている(通過帯域の尖鋭度を向上させている)。
フィルタ13は、一例として帯域通過型フィルタで構成されると共に伝送路L2に配設されて、出力信号S5から所望の周波数の信号を通過させることで、乗算信号S3として出力端子14に出力する。具体的には、フィルタ13は、本例では、周波数fmとして各周波数(f1−f2:つまり、f1a−f2a,f1b−f2b,f1c−f2c)の信号を通過させることで、乗算信号S3を出力する。
次に、混合器1Aの混合動作および周波数変換装置100Aの周波数変換動作について説明する。本例の混合動作および周波数変換動作は、アンテナ101を介して受信するRF信号SRFの周波数f1に応じて、信号生成部12Aから出力されるローカル信号S2の周波数を選択すると共に、電流供給部33から磁場発生用配線31に供給する電流Iの電流値を選択する点において、上記した混合器1の混合動作および周波数変換装置100の周波数変換動作と相違するが、他の点については同一である。このため、相違する点を主として説明し、同一の動作については詳細な説明を省略する。また、一例として、RF信号SRFとして、周波数f1a(=1.65GH)の信号、周波数f1b(=2.45GH)の信号、および周波数f1c(=5.05GH)の信号のいずれかが入力されるものとする。また、信号生成部12Aは、ローカル信号S2として、周波数f2a(=1.6GH)の信号、周波数f2b(=2.4GH)の信号、および周波数f2c(=5.0GH)の信号のいずれかを選択的に出力可能に構成されているものとする。
最初に、RF信号SRFとして、周波数f1a(=1.65GH)の信号を入力して、周波数fmの乗算信号S3を出力する場合の動作について説明する。この場合、信号生成部12Aは、周波数f2a(=1.6GH)の信号をローカル信号S2として出力するように設定される。また、磁場印加部3Aは、電流値がIaの電流Iを磁場発生用配線31に供給するように設定される。これにより、磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0は、共振周波数f0a(=f2a)に設定される。
この設定状態において、周波数変換装置100Aでは、信号生成部12Aがローカル信号S2(周波数f2a)を出力する。この場合、インピーダンス回路4Aでは、この周波数f2aを含む周波数帯域が通過帯域Waとなっているため(つまり、インピーダンス回路4Aのインピーダンスが十分に小さな値(図14では10Ω以下)になっているため)、ローカル信号S2は、極めて減衰の少ない状態でインピーダンス回路4Aを通過して磁気抵抗効果素子2に出力される。また、この状態では、ローカル信号S2はその周波数f2aが磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0aと一致し、かつその電力が磁気抵抗効果素子2に対して共振を発生させ得るように規定されている。このため、強い共振(スピントルク強磁性共鳴)が磁気抵抗効果素子2に発生する。これにより、この共振状態においてアンテナ101からアンプ11にRF信号SRF(周波数f1a)が入力されると、磁気抵抗効果素子2は、2つの信号S1,S2に対して2乗検波動作を実行する。インピーダンス回路4Aのインピーダンスは、信号S1の周波数f1aにおいても十分に小さな値(図14では10Ω以下)になっているため、信号S1は、ローカル信号S2と同様にして、極めて減衰の少ない状態でインピーダンス回路4Aを通過して磁気抵抗効果素子2に出力される。
この場合、磁気抵抗効果素子2は、混合器1と同様にして、2乗検波動作を実行することで、信号S1およびローカル信号S2を乗算して、その両端間に電圧信号S4を発生させる。本例では、磁気抵抗効果素子2は、信号S1(周波数f1a=1.65GHz)およびローカル信号S2(周波数f2a=1.60GHz)を乗算して、所望の2つの周波数成分(f1a+f2a,f1a−f2a)を含む電圧信号S4を発生させる。この場合、これらの周波数成分のうちの少なくとも一方の周波数成分(f1a−f2a=50MHz)についてはインピーダンス回路4Aの通過帯域を外れた減衰帯域に含まれる周波数成分である。このため、この周波数成分(f1a−f2a)についてのインピーダンス回路4Aのインピーダンスは、インピーダンス回路4Aに入力される信号S1(周波数f1a)およびローカル信号S2(周波数f2a)についてのインピーダンス回路4Aのインピーダンスよりも大きな値(図14では1000Ωを超える高い値)となる。また、上記したように、磁気抵抗効果素子2に接続されているインピーダンス変換回路5を構成する演算増幅器5aの入力インピーダンスも極めて高い値(通常は、数百KΩ以上)となっている。したがって、磁気抵抗効果素子2によって電圧信号S4が出力される伝送路Lmのインピーダンスは高い値(1000Ωを超える値)であるため、磁気抵抗効果素子2は、レベルの大きな周波数成分(f1a−f2a)を含む電圧信号S4を発生して伝送路Lmに出力する。
次いで、インピーダンス変換回路5を構成する演算増幅器5aが、電圧信号S4を増幅して出力信号S5として伝送路L2に出力する。最後に、フィルタ13が、出力信号S5に含まれている所望の2つの周波数成分(f1a+f2a,f1a−f2a)のうちの一方の周波数成分(中間周波数:f1a−f2a)を通過させ、乗算信号S3として出力端子14に出力する。
また、RF信号SRFとして、周波数f1b(=2.45GH)の信号を入力して、周波数fmの乗算信号S3を出力する場合の混合器1Aの混合動作および周波数変換装置100Aの周波数変換動作についても、信号生成部12Aが、周波数f2b(=2.4GH)の信号をローカル信号S2として出力するように設定され、かつ磁場印加部3Aが、電流値がIbの電流Iを磁場発生用配線31に供給するように設定されて、磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0が共振周波数f0b(=f2b)に設定されることで、上記したRF信号SRFとして周波数f1a(=1.65GH)の信号を入力する場合と同様にして、周波数変換装置100Aは、周波数成分(中間周波数:f1b−f2b=50MHz)で構成される乗算信号S3を出力端子14から出力する。また、RF信号SRFとして、周波数f1c(=5.05GH)の信号を入力して、周波数fmの乗算信号S3を出力する場合の混合器1Aの混合動作および周波数変換装置100Aの周波数変換動作についても、信号生成部12Aが、周波数f2c(=5.0GH)の信号をローカル信号S2として出力するように設定され、かつ磁場印加部3Aが、電流値がIcの電流Iを磁場発生用配線31に供給するように設定されて、磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0が共振周波数f0c(=f2c)に設定されることで、上記したRF信号SRFとして周波数f1a(=1.65GH)の信号を入力する場合と同様にして、周波数変換装置100Aは、周波数成分(中間周波数:f1c−f2c=50MHz)で構成される乗算信号S3を出力端子14から出力する。
したがって、この混合器1Aおよび周波数変換装置100Aにおいても、混合器1および周波数変換装置100と同様にして、磁気抵抗効果素子2に対して減衰の少ない状態で信号S1およびローカル信号S2を出力することができるため、より少ない電力のローカル信号S2で信号S1とローカル信号S2とを混合(乗算)して、乗算信号S3(周波数成分(f1−f2))を出力することができ、これにより、一層の省電力化を図ることができる。また、磁気抵抗効果素子2によって発生される電圧信号(乗算信号)S4の周波数帯域においてインピーダンス回路4Aが高いインピーダンスとなるため、磁気抵抗効果素子2によって発生される電圧信号(乗算信号)S4の低下(減衰)を回避することもできる結果、乗算信号S3の出力の低下も回避することができるなどの混合器1および周波数変換装置100と同様の効果を奏することができる。
さらに、この混合器1Aおよび周波数変換装置100Aによれば、通過帯域が互いに異なる複数のフィルタを含んでインピーダンス回路4Aを構成したことにより、入力する信号S1の周波数f1に対応させて、信号生成部12Aから出力されるローカル信号S2の周波数f2および磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0を変更することにより、装置の構成を変更することなく、様々な周波数の信号S1およびローカル信号S2を混合して、乗算信号S3を出力することができる。
また、インピーダンス回路4Aを構成するフィルタを、コンデンサだけではなく、スタブを用いてフィルタにおける通過帯域の選択度を高めたことにより、信号S1やローカル信号S2以外の周波数の信号の磁気抵抗効果素子2への出力を大幅に低減することができる結果、混合動作や周波数変換動作へのノイズの影響を大幅に低減することができる。
なお、上記の構成に限定されず、種々の構成を採用することもできる。例えば、磁気抵抗効果素子2としてMgo−TMR素子などのTMR素子を使用した例について上記したが、CPP−GMR(Current−Perpendicular−to−Plane giant magnetoresistance)素子などの他の磁気抵抗効果素子を使用することもできる。また、混合器1,1Aによる混合動作によってインピーダンス変換回路5から出力される出力信号S5に含まれる所望の2つの周波数成分(f1+f2,f1−f2)のうちの低域側の周波数成分(f1−f2)を低域通過型フィルタまたは帯域通過型フィルタで通過させる例について上記したが、高域側の周波数成分(f1+f2)を通過させて乗算信号S3として出力する場合にはフィルタ13を帯域通過型フィルタまたは高域通過型フィルタとして構成することもできる。
また、インピーダンス回路4,4Aをコンデンサなどの受動素子だけで構成されたパッシブフィルタを用いて構成したが、演算増幅器を用いたアクティブフィルタを用いて構成することもできる。
また、上記の例では、磁場印加部3から磁気抵抗効果素子2に印加される磁場Hの強さを変更可能な構成を採用しているが、ローカル信号S2の周波数f2が固定であるときには、磁場印加部3が発生させる磁場Hの強さも固定でよいため、例えば永久磁石などで構成して磁場の強さを一定に維持する構成を採用することもできる。この構成によれば、磁場印加部3を簡易な構造とすることができるため、製品コストを低減することができる。
また、ローカル信号S2の周波数f2と磁気抵抗効果素子2の共振周波数f0とが一致している構成を採用しているが、周波数f2の周波数が共振周波数f0の近傍の周波数であってもよいのは勿論である。また、上記の実施例では、スタブ4e〜4iを用いてフィルタの選択度を高めているが、スタブ4e〜4iに代えて、共振器(図示せず)を用いてフィルタの選択度を高めることもできる。
1,1A 混合器
2 磁気抵抗効果素子
3,3A 磁場印加部
4 インピーダンス回路
4a〜4c コンデンサ
4e〜4i スタブ
5 インピーダンス変換回路
5a 演算増幅器
13 フィルタ
21 磁化自由層
22 スペーサ層
23 磁化固定層
51 トランジスタ
100,100A 周波数変換装置
H 磁場
RF RF信号
S1 信号
S2 ローカル信号
S3 乗算信号

Claims (7)

  1. 磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、
    前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、
    記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、
    前記第1フィルタは、自己共振周波数帯域が前記通過帯域に規定されている容量性素子で構成されている混合器。
  2. 磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、
    前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、
    前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、
    前記通過帯域が互いに異なる前記第1フィルタを複数備え、
    前記磁場印加部は、前記磁場の強さを変更可能に構成されている混合器。
  3. 磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、
    前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、
    前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、
    前記第1フィルタは、当該第1フィルタに接続される伝送路に付加されて当該第1フィルタの選択度を高めるためのスタブまたは共振器を備えて構成されている混合器。
  4. 磁化固定層、磁化自由層、および前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に配設された非磁性スペーサー層を備え、第1高周波信号およびローカル用の第2高周波信号を入力したときに磁気抵抗効果によって当該両高周波信号を乗算して乗算信号を生成する磁気抵抗効果素子と、
    前記磁化自由層に磁場を印加する磁場印加部と、
    前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を伝送する入力伝送路と前記磁気抵抗効果素子との間に配設されて、当該第1高周波信号および当該第2高周波信号の各周波数を通過帯域に含み、かつ前記乗算信号の周波数を減衰帯域に含む第1フィルタとを備えている混合器であって、
    前記乗算信号を入力して出力伝送路に当該出力伝送路の特性インピーダンスと整合する出力インピーダンスで出力すると共に、入力インピーダンスが当該出力インピーダンスよりも高い値に規定されたインピーダンス変換回路を備えている混合器。
  5. 前記磁場印加部は、前記磁場の強さを一定に維持する請求項1、3および4のいずれかに記載の混合器。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の混合器と、前記両高周波信号の周波数のうちの高い方の周波数をf1として低い方の周波数をf2としたときに、前記乗算信号のうちから周波数が(f1+f2)および(f1−f2)のうちのいずれか一方の乗算信号を通過させる第2フィルタとを備えている周波数変換装置。
  7. 前記第2フィルタは、増幅動作の上限周波数が前記乗算信号の周波数(f1−f2)と前記周波数f2との間に規定された増幅器で構成されている請求項記載の周波数変換装置。
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