JP5347122B2 - 結晶化率の測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Description
さらに、図15に示すように、結晶シリコンのフォノンピーク(Sc−Si)の他にも、500cm−1に小さなナノ結晶シリコンのピーク(Snc−Si)と、480cm−1以下にブロードなアモルファスシリコンのピーク(Sac−Si)が表れている。
(式中、nは屈折率、kは消光係数、Xは結晶化率である。)
(式中、nは屈折率、kは消光係数、Xは結晶化率である。)
図1に、アモルファスシリコン及び単結晶シリコンの、屈折率n及び消光係数kのスペクトルをそれぞれ示す。アモルファスと単結晶の構造上の違いから、それぞれ異なる屈折率nと消光係数kを持っていることがわかる。
図2及び図3に示すように、屈折率n及び消光係数kの違いにより、アモルファスシリコン膜と単結晶シリコン膜とは、それぞれ異なる透過率及び反射率を持つ。単結晶シリコンは457nm付近に透過率の極大値及び反射率の極小値を持つ。
これら透過率比の低下及び反射率比の増大は、単結晶シリコン薄膜が、基体との間で光学的干渉を起こし、反射率が極大及び透過率が極小になるためである。
得られた結果として、X=1の結晶質シリコンに対する透過率及び反射率の比と、結晶化率Xとの関係を、図6に示す。
図6より、結晶化率Xが0から1に大きくなるに従い、透過率比は0.06から1へ単調増加し、一方、反射率比は3.92から1へ単調減少することがわかった。
例えば、図6に示した波長457nmにおいて、反射率が結晶質シリコンの3倍であった場合には、結晶化率X=0.4(40%)であることがわかる。
この手法は、ラマン散乱法のように、広範囲の波長に渡るスペクトルを測定し、それを解析する手法に比べて、短時間で結晶化率の評価を行うことが可能である。
また、単一波長の光の代わりに、干渉フィルターを用いて得られた狭帯域の光を用いることもできる。同様に、分光器を用いて得られた狭帯域の光を用いることもできる。
透過率や反射率から結晶化率を求めるには、予め、半導体薄膜の照射する光の、波長もしくは波長帯域における、透過率や反射率と結晶化率の関係(曲線又は関係式)を用意しておけばよい。
即ち、半導体薄膜の試料に照射するための光を出射する光源と、試料を透過した光を受光検出するセンサーとを少なくとも備えて、測定装置を構成する。さらに必要に応じて、試料を保持する試料ホルダーや、光源から出射した光を狭帯域の波長の光に絞るフィルター(干渉フィルター等)を備える。
試料ホルダーは、好ましくは試料の移動が可能な構成として、試料(例えば、ウェハ)の全体の結晶化率の測定が可能なようにする。
図7に示す測定装置は、光源11と、特定の狭帯域の光を透過する干渉フィルター12と、2次元センサーアレイ13とを備えている。
そして、光源11から発生した光ビームL1を、干渉フィルター12を通して狭帯域の光L2とした後、この狭帯域の光L2を測定する試料1に当てて、試料1を透過した透過光L3の光強度を、2次元センサーアレイ13において受光検出する。
また、試料ホルダー(図示せず)を試料1の移動が可能な構成として、試料1を光ビームL1のスポットの大きさのステップで移動させることにより、試料1全体の結晶化率分布を調べることができる。
図8に示す測定装置は、レーザ光を出射するレーザ21と、センサー22とを備えている。
そして、レーザ21から出射したレーザビームLB1を、試料1に照射して、試料1を透過した透過光LB2の光強度を、センサー22において受光検出する。
レーザ21としては、固体レーザや半導体レーザを使用することができる。試料1に照射する光の波長に応じて、その波長のレーザビームLB1を出射するレーザ21を使用する。
また、試料ホルダー(図示せず)を試料1の移動が可能な構成として、試料1をレーザビームLB1のスポットの大きさのステップで移動させることにより、試料1全体の結晶化率分布を調べることができる。
試料で反射した反射光を受光検出する場合には、反射光を受光検出できるように、光源からの光を試料表面に対して斜めに入射させると共に、反射光の光路に反射光を受光検出するセンサーを配置する。
ここで、実際に、アモルファスシリコン膜を結晶化した膜を用いて、本発明による結晶化率の測定を行った。測定方法を、図9A及び図9Bを参照して説明する。
まず、図9Aに示すように、石英ガラス基板31上に、アモルファスシリコン膜32を膜厚50nmで形成した。
次に、表面にXeClエキシマレーザビームを照射して、アモルファスシリコン膜32を結晶化した。このとき、レーザのエネルギーを8種類変化させて、図9Bに示すように、結晶化の程度の異なる8種類のシリコン膜33,34,35,36,37,38,39,40を形成した。図中左端のシリコン膜33から右端のシリコン膜40に向かうに従い、レーザのエネルギーを大きくしており、シリコン膜の結晶化率も大きくなる。
1)8種類のレーザエネルギーを照射した、それぞれのシリコン膜31,32,33,34,35,36,37,38の透過率Tsを測定した。
2)結晶化率1の単結晶シリコン膜を仮定して、その波長457nmの光に対する透過率の理論値T0を、計算により求めた。
3)測定で得られた透過率Tsと、計算により得られた単結晶シリコン(結晶化率1)の透過率の理論値T0との、比Ts/T0を求めた。
4)図6の結果を用いて、比Ts/T0の値から、各レーザエネルギーにおける、結晶化率を求めた。
図10より、レーザエネルギーを増やしていくと、比Ts/T0及び結晶化率が、共に単調に増大していくことがわかる。
また、本発明の測定方法により得た結晶化率と、ラマン散乱法を用いて求めた結晶化率とは、非常に良く一致していることがわかる。
これらの結果は、波長457nmの光の透過率を測定することにより、膜厚50nmのシリコン膜の結晶化率を精度良く測定できることを、示している。
本発明において、測定に使用する光の波長は、厳密に固定する必要はなく、実施上の都合により、測定波長を適宜変更してもよい。膜厚50nmのシリコン膜の場合、透過測定に好適な波長は400〜460nmであり、反射測定に好適な波長は440〜480nmである。上記波長を含む帯域の光を用いれば、高精度の結晶化率解析が可能である。
そのため、測定波長に応じた透過率−結晶化率の関係を、改めて理論的に求める必要がある。
ここで、波長450nmを中心とする狭帯域の光学フィルターの透過スペクトルを、図11に示す。この光学フィルターは、波長445nm〜460nmの帯域の光を透過する。
図12に示すように、図6と同様に、透過率比は結晶化率に対して単調に増大した。
即ち、図11に示す透過スペクトルを有する光学フィルターを用いても、透過率比から結晶化率を求めることが可能であることがわかる。
この場合、必ずしも、透過率を結晶化率に変換する必要はない。
さらには透過率を求める必要もなく、結晶化率に対して透過率或いは反射率が敏感に変化する波長の光を当てて、その透過光或いは反射光の強度をモニターすればよい。
従って、このように、基板や膜の材料と光の波長を選定すれば、基板がある程度厚くても、或いは、半導体上に絶縁膜が形成された積層構造であっても、本発明の測定方法を利用して、結晶化率を制度良く測定することができる。
そのため、図6に示した透過率及び反射率と結晶化率の理論的関係を、実際に用いる材料によって、適宜設定する必要がある。
シリコンの膜厚を10nmから100nmまで変えたときの、それぞれの膜厚で、アモルファスシリコン(結晶化率X=0)と単結晶シリコン(結晶化率X=1)との間において透過率比が最小及び反射率比が最大になる波長を、図13に示す。
これに対して、透過率比が最小になる波長は、薄膜の光吸収効果のために、膜厚にあまり依存せず、いずれも400nm〜450nmの範囲内であった。
このような波長の光を照射することにより、結晶化率をより精度良く測定することができる。
本発明による結晶化率の測定方法及び測定装置を適用することにより、半導体薄膜の歩留まりの向上を図り、良好な特性を有する薄膜トランジスタや太陽電池を製造することが可能になる。
Claims (6)
- 0〜1の範囲の数値であり、アモルファスの場合の結晶化率が0であり、単結晶の場合の結晶化率が1である、結晶化率を測定する方法であって、
基体上に形成された半導体薄膜に、単結晶の前記半導体薄膜の反射率が極大及び透過率が極小になる波長の光を照射し、
前記光の透過光の光強度、或いは、前記光の反射光の光強度を測定し、前記光強度の測定値と単結晶の前記半導体薄膜の当該波長における光強度の理論値との比と、下記の数式を使用して求めた結晶化率Xと透過率及び反射率との関係を使用して、前記半導体薄膜の結晶化率を算出する
ことを特徴とする結晶化率の測定方法。
(式中、nは屈折率、kは消光係数、Xは結晶化率である。) - 前記光として、レーザビームを用いることを特徴とする請求項1に記載の結晶化率の測定方法。
- 前記半導体薄膜をシリコン薄膜とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶化率の測定方法。
- 0〜1の範囲の数値であり、アモルファスの場合の結晶化率が0であり、単結晶の場合の結晶化率が1である、結晶化率を測定する測定装置であって、
光源と、光を受光検出するセンサーとを少なくとも備え、
前記光源からの光が、基体上に形成された半導体薄膜の試料に照射され、
前記試料を透過した透過光、もしくは、前記試料で反射した反射光を、前記センサーで受光検出するように、前記光源及び前記センサーが配置され、
前記センサーで受光検出した、前記透過光もしくは前記反射光の光強度の測定値と単結晶の半導体薄膜の当該波長における光強度の理論値との比と、下記の数式を使用して求めた結晶化率Xと透過率及び反射率との関係を使用して、結晶化率が算出され、
前記半導体薄膜の試料に照射される光が、単結晶の前記半導体薄膜の反射率が極大及び透過率が極小になる波長の光である
ことを特徴とする結晶化率の測定装置。
(式中、nは屈折率、kは消光係数、Xは結晶化率である。) - 前記光源がレーザであることを特徴とする請求項4に記載の結晶化率の測定装置。
- 前記半導体薄膜をシリコン薄膜とすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の結晶化率の測定装置。
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