JP2004228486A - レーザアニール装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板上に形成された非晶質の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化する際に、半導体膜の結晶状態を正確かつ容易に判定することができるレーザアニール装置を提供する。
【解決手段】上側表面にシリコン膜が形成されたガラス基板1にレーザアニール処理を施すレーザアニール装置には、検査光源2と、透過光の強度を測定する透過光用フォトセンサ3と、反射光の強度を測定する反射光用フォトセンサ4と、透過光用フォトセンサ3および反射光用フォトセンサ4の測定結果をモニタするレコーダ5とが、検査光照射室7内に設けられている。制御装置6は、レコーダ5に記録されている検査用レーザ光、透過光および反射光の強度に基づいてシリコン膜における検査用レーザ光の透過率と反射率と吸収率とを算出し、該算出結果に基づいてシリコン膜の結晶状態を正確かつ容易に判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】上側表面にシリコン膜が形成されたガラス基板1にレーザアニール処理を施すレーザアニール装置には、検査光源2と、透過光の強度を測定する透過光用フォトセンサ3と、反射光の強度を測定する反射光用フォトセンサ4と、透過光用フォトセンサ3および反射光用フォトセンサ4の測定結果をモニタするレコーダ5とが、検査光照射室7内に設けられている。制御装置6は、レコーダ5に記録されている検査用レーザ光、透過光および反射光の強度に基づいてシリコン膜における検査用レーザ光の透過率と反射率と吸収率とを算出し、該算出結果に基づいてシリコン膜の結晶状態を正確かつ容易に判定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に形成された非晶質の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化するレーザアニール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、基板、例えばガラス基板上に、多結晶化された半導体膜、例えばシリコン膜を形成すれば、高い電子移動度を有する薄膜トランジスタを得ることができる。そして、例えば、ガラス基板上へのシリコン膜の形成は、CVD等の気相形成法により行われる。しかしながら、気相形成法により形成されるシリコン膜は、非晶質であり、その電子移動度が低いので、高速動作が要求される駆動回路には適用することができない。そこで、この種の薄膜トランジスタの製造プロセスにおいては、通常、レーザアニール装置を用いて、気相形成法によりガラス基板上に形成された非晶質のシリコン膜にパルスレーザ光を照射し、該シリコン膜を多結晶化するようにしている。
【0003】
しかしながら、単純にガラス基板上の非晶質のシリコン膜にパルスレーザ光を照射したのでは、多結晶化が不充分な領域がシリコン膜に生じるおそれがある。そこで、従来のこの種のレーザアニール装置では、パルスレーザ光をシリコン膜に照射してレーザアニール処理を施す際に、シリコン膜が所定の結晶状態となっているか否かを確認するようにしている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されたレーザアニール装置では、パルスレーザ光の状態とシリコン膜を透過したパルスレーザ光の状態とを検出し、これらに基づいて、シリコン膜が所定の結晶状態となっているか否かを確認し、所定の結晶状態が得られたことが確認されれば、パルスレーザ光の照射位置に対するシリコン膜の位置を相対的に移動させて、次の領域にレーザアニール処理を施すようにしている。
【0005】
また、特許文献4に記載されたレーザアニール装置では、レーザ光の照射前に検出された反射光または透過光の強度とレーザ光の照射中に検出された反射光または透過光の強度との差と、レーザ光の照射中において反射光または透過光の強度の変化量が最大となったときから該強度がレーザ光の照射前の状態に戻るまでの経過時間とに基づいて結晶化状態を検出するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−305145号公報([0041]、図1)
【特許文献2】
特開2002−305146号公報([0039]、図1)
【特許文献3】
特開平11−121378号公報([0067]、図2)
【特許文献4】
特開平10−144621号公報([0061]、図1)
【特許文献5】
特開平11−40637号公報([0027]、図6)
【特許文献6】
特許第2916452号明細書([0025]〜[0028]、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種のレーザアニール装置では、いずれも、シリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを、正確かつ容易に判定することができないといった問題がある。
【0008】
とくに、特許文献1に記載されたレーザアニール装置では、レーザ光を走査しながらシリコン膜にレーザアニール処理を施す場合、レーザ光を照射した瞬間におけるレーザ光照射領域のシリコン膜の状態は、結晶化された状態と、結晶化されていない状態と、結晶化途上の状態とが混在しているため、シリコン膜が所定の結晶化状態であるか否かを判定することは困難である。
【0009】
また、特許文献1に記載されたレーザアニール装置では、ガラス基板を透過したレーザ光を検出器に導くために、移動ステージに穴をあける必要があるが、移動ステージに穴をあけると、ガラス基板の保持性が悪くなる。とくに、ガラス基板のたわみなどが発生する可能性が高くなり、集束されたレーザ光の実質的な焦点距離が変動し、焦点ボケを誘発してガラス基板全体に均一にレーザアニール処理を施すことができない。
【0010】
なお、特許文献4に記載されたレーザアニール装置では、反射光または透過光の強度の変化量が最大となったときから、該強度がレーザ光の照射前の状態に戻るまでの経過時間を検出しなければならないので、シリコン膜の結晶状態を判定するためのデータ処理装置ないしデータ処理装置が複雑化するといった問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、ガラス基板等の基板上に形成された非晶質のシリコン膜等の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化する際に、シリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを、正確かつ容易に判定することができるレーザアニール装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかるレーザアニール装置は、レーザアニール処理室内で、基板上に形成された非晶質の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化するレーザアニール装置において、検査光照射手段と、検査光検出手段と、結晶状態判定手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
ここで、検査光照射手段は、レーザアニール処理室内とは別の空間で、半導体膜の、レーザ光が照射された領域に所定の波長の検査光を照射する。検査光検出手段は、半導体膜および基板を透過した検査光の強度と、半導体膜で反射した検査光の強度とを検出する。結晶状態判定手段は、この検出結果に基づいて半導体膜における検査光の透過率、反射率および吸収率(透過率および反射率から求められる)を導出し、この導出結果に基づいて半導体膜の結晶状態を判定(特定)する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
まず、本発明にかかるレーザアニール装置の基本概念を説明する。本発明にかかるレーザアニール装置は、アニール処理室内で、基板上に形成された非晶質の半導体膜に、アニール用レーザ光照射手段でパルスレーザ光(以下、「アニール用レーザ光」という。)を照射して、該半導体膜を多結晶化するようになっている。
【0015】
このレーザアニール装置には、アニール処理室とは別に、検査光照射室が設けられ、この検査光照射室内において、表面に半導体膜が形成された基板を保持(セット)するステージが設けられている。そして、レーザアニール装置には、ステージに保持(セット)された基板上に所定の波長のレーザ光を検査光として照射する検査用レーザ光照射手段と、基板を透過した検査用レーザ光(透過光)の強度および基板で反射した検査用レーザ光(反射光)の強度を測定する光強度測定手段とが設けられている。
【0016】
さらに、レーザアニール装置には、光強度測定手段の測定結果に基づいて半導体膜における検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率を導出し、該導出結果に基づいて半導体膜の結晶状態を判定する結晶状態判定手段が設けられている。なお、表面に半導体膜が形成された基板の代表的な構成例としては、例えば、ガラス基板上に非晶質のシリコン膜が成膜されたものなどがあげられる。
【0017】
次に、アニール処理室内におけるアニール用レーザ光照射手段による半導体膜のレーザアニール処理を説明する。アニール用レーザ光照射手段は、レーザ光源としてのレーザ発振器と、ステージ上に同定された基板上で所定の形状になるようにアニール用レーザ光の形状を変換する光学系とを備えている。基板上でのアニール用レーザ光の形状は、長方形状または狭幅の帯状(線状)であるのが好ましい。
【0018】
そして、アニール用レーザ光照射手段は、基板上でアニール用レーザ光を、長方形の短辺の伸びる方向または帯の幅方向に走査する。これにより、シリコン膜等の半導体膜は、連続して帯状に加熱・熔融され、この後の凝固過程でシリコン膜が結晶化する。アニール用レーザ光照射手段においては、レーザ発振器と光学系との間に、レーザ出力を制御するためのアッテネータが設けられ、このアッテネータにより基板に対するアニール用レーザ光の照射強度を調節することができるようになっている。
【0019】
このレーザアニール装置のアニール用光照射手段では、基板に対しては透過性があり、シリコン膜等の半導体膜に対しては加熱のための吸収性があり、かついくらか透過性があるアニール用レーザ光が用いられる。そして、このアニール用レーザ光をシリコン膜等の半導体膜に照射してこれを加熱する。かかるアニール用レーザ光としては、例えば、次のようなものを用いることができる。
【0020】
Nd:YAGレーザの第2高調波または第3高調波
Nd:ガラスレーザの第2高調波または第3高調波
Nd:YVO4レーザの第2高調波または第3高調波
Nd:YLFレーザの第2高調波または第3高調波
Yb:YAGレーザの第2高調波または第3高調波
Yb:ガラスレーザの第2高調波または第3高調波
なお、かかるアニール用レーザ光として、Ti:Al2O3(サファイア)レーザの基本波または第2高調波や、ガスレーザであるエキシマレーザのレーザ光を用いてもよい。
【0021】
以下、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態1にかかるレーザアニール装置の具体的な構成および機能を説明する。
図1に示すように、一方の広がり面(上側表面)にシリコン膜(図示せず)が形成(成膜)されたガラス基板1にレーザアニール処理を施すレーザアニール装置には、検査光源2と、透過光の強度を測定する透過光用フォトセンサ3と、反射光の強度を測定する反射光用フォトセンサ4と、透過光用フォトセンサ3および反射光用フォトセンサ4の測定結果を記録ないしモニタするレコーダ5とが、検査光照射室7内に設けられている。
【0022】
また、検査光照射室7の外部に、該レーザアニール装置を制御する制御装置6が設けられている。さらに、検査光照射室7に隣接して、アニール処理室8が設けられている。なお、レコーダ5は検査光照射室7内に配置しなくてもよい。また、制御装置6に、直接、透過光用フォトセンサ3と反射光用フォトセンサ4とを接続して測定結果をモニタするようにしてもよい。両フォトセンサ3、4としては、例えば、CCDなどの固体撮像素子、CMOSセンサ、フォトダイオードアレイ等を用いることができる。
【0023】
詳しくは図示していないが、アニール処理室8内には、パルスレーザ光を出射するレーザ発振装置、レーザ発振装置から出射されたレーザ光の進路を変える反射ミラー、レーザ光の強度を調整するバリアブルアッテネータ、レーザ光を細帯状ビームないしは線状ビームに変換するためのビーム成形光学系、シリコン膜を備えた基板を載置ないし保持する移動ステージ、移動ステージを移動させる駆動装置等が設けられている。そして、アニール処理室8内で、ガラス基板1の上側表面に形成された非晶質のシリコン膜にレーザアニール処理が施され、該シリコン膜が多結晶化される。
【0024】
また、検査光照射室7内では、レーザアニール処理が施されたガラス基板1のシリコン膜の結晶状態(結晶化状態)が判定される。とくに、シリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、それとも多結晶状態であるかが判定される。より詳しくは、シリコン膜の、アニール用レーザ光が照射された領域に、検査光源2から所定の波長の検査用レーザ光が照射される。
【0025】
そして、シリコン膜およびガラス基板1を透過した検査用レーザ光(透過光)の強度が透過光用フォトセンサ3によって検出される一方、シリコン膜で反射した検査用レーザ光(反射光)の強度が反射光用フォトセンサ4によって検出される。また、透過光および反射光の強度を検出する前または後に、検査用レーザ光の経路にガラス基板1が配置されていない状態で、透過光用フォトセンサ3によって、検査光源2から出射(放射)される検査用レーザ光の強度が検出される。なお、ガラス基板1における検査用レーザ光の透過率はほぼ100%である。
【0026】
両フォトセンサ3、4によって検出された、検査用レーザ光、透過光および反射光の強度は、レコーダ(記憶装置)に5に記録ないし記憶される。そして、制御装置6は、レコーダ5に記録されている検査用レーザ光、透過光および反射光の強度に基づいてシリコン膜における検査用レーザ光の透過率と、反射率と、吸収率とを算出(導出)し、該算出結果に基づいてシリコン膜の結晶状態を判定する。
【0027】
以下、このレーザアニール装置におけるシリコン膜の結晶状態の判定手法を具体的に説明する。
図2、図3および図4に、それぞれ、検査用レーザ光の強度と、シリコン膜を備えたガラス基板に波長400〜700nmの検査用レーザ光を照射して測定した透過光および反射光の強度とに基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率の波長依存性を示す。
【0028】
ここで、検査光源2にはキセノンランプを用い、両フォトセンサ3、4にはシリコンフォトダイオードアレイを用いた。なお、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率および反射率は、それぞれ、検査用レーザ光強度に対する透過光強度および反射光強度の比率から算出し、吸収率は次の式1により算出した。
【数1】
吸収率[%]=100[%]−透過率[%]−反射率[%]………………式1
【0029】
検査用レーザ光を照射するガラス基板1としては、非晶質状態にあるシリコン膜を備えたもの、非晶質状態から多結晶状態への遷移状態にあるシリコン膜を備えたもの、多結晶状態にあるシリコン膜を備えたもの、および、高いパワーのアニール用レーザ光を照射してシリコン膜が焼失した状態のものの4種類のガラス基板1を用いた。非晶質状態のシリコン膜にはレーザアニール処理は施されていない。また、遷移状態のシリコン膜を備えたガラス基板、多結晶状態のシリコン膜を備えたガラス基板、シリコン膜が焼失状態のガラス基板は、いずれも、レーザアニール処理が施されているが、ガラス基板(シリコン膜)に照射したアニール用レーザ光のパワーは、この順に高くなっている。
【0030】
ここで、シリコン膜が多結晶状態に変化しているか否かを適切に判定(特定)するには、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態、焼失状態の順に、光学特性(透過率、反射率、吸収率)が波長に対して単調に変化し、かつ識別可能な程度の数値差が存在することが必要である。図2、図3および図4にかんがみれば、図4に示す吸収率については、波長が420〜450nmの範囲では、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態、焼失状態の順に、吸収率が波長に対して単調に(ほぼ直線的に)減少している。したがって、420〜450nmの範囲内の波長または波長帯の検査用レーザ光を用いて、ガラス基板1上のシリコン膜の吸収率を算出すれば、該シリコン膜が多結晶状態であるか否かを、容易に判定することができる。
【0031】
図5は、図2、図3および図4に示す測定結果から、波長が440nmの検査用レーザ光に対する光学特性を抽出(限定)して、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をグラフにあらわしたものである。なお、ここでは、シリコン膜の状態として、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態の4つの代表的な状態を示しているが、隣り合う各状態の中間状態では、透過率、反射率および吸収率の値も中間的な値となる。したがって、図5に示す結果によれば、シリコン膜における検査用レーザ光の吸収率が30%程度(およそ25〜35%)であれば、該シリコン膜は多結晶状態であるといえる。
【0032】
なお、ロボットなどを用いたアニール処理室8への基板ローディング機構が設けられている場合は、特別な検査光照射室7(検査光照射ゾーン)を設けず、アニール処理室8からガラス基板1を搬出した後、ガラス基板1のアンローディング位置で、検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度の測定を行うようにしてもよい。この場合、ガラス基板1のアンローディング位置は、外光による測定精度の低下を防ぐために、周囲から遮蔽(遮光)するのが望ましい。
【0033】
以上、実施の形態1にかかるレーザアニール装置によれば、レーザアニール処理が施されたガラス基板1のシリコン膜の結晶状態を正確かつ容易に判定することができ、とくにシリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを正確かつ容易に判定することができる。
【0034】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を説明する。ただし、実施の形態2にかかるレーザアニール装置の基本的構成および基本的機能は、図1に示す実施の形態1にかかるレーザアニール装置のそれらと共通であり、シリコン膜の結晶状態の判定手法が異なるだけである。そこで、以下では説明の重複を避けるため、主として、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0035】
前記のとおり、実施の形態1にかかるレーザアニール装置では、シリコン膜における検査用レーザ光の吸収率からシリコン膜の結晶状態を判断することができるよう、検査光源2から出射される検査用レーザ光の波長を420〜450nmに設定している。しかしながら、これ以外の所定の波長の検査用レーザ光を用いて、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率、反射率あるいは吸収率の測定結果を組み合せて比較することによっても、シリコン膜の結晶状態を判定することができる。
【0036】
図3に示す反射率についてのデータによれば、検査光源2から出射される検査用レーザ光の波長が500〜560nmの場合、遷移状態と多結晶状態とを、反射率に基づいて区別することはできない。しかしながら、遷移状態または多結晶状態では、非晶質状態に比べて反射率が10%程度高い。他方、図4に示す吸収率についてのデータによれば、検査用レーザ光の波長が500〜560nmの場合、多結晶状態では、遷移状態に比べて、明かに吸収率が大きい。そこで、これらの2つの特徴から、シリコン膜が多結晶状態であるか否かを判定することができる。
【0037】
図6は、図2、図3および図4に示す測定結果から、波長が532nmの検査用レーザ光に対する光学特性を抽出(限定)して、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をグラフにあらわしたものである。図6に示す結果によれば、シリコン膜における反射率が50%程度であり、かつ吸収率が8%程度あれば、該シリコン膜は多結晶状態であるといえる。
【0038】
このように、実施の形態2にかかるレーザアニール装置においても、実施の形態1にかかるレーザアニール装置の場合と同様に、レーザアニール処理が施されたガラス基板1のシリコン膜の結晶状態を正確かつ容易に判定することができ、とくにシリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを正確かつ容易に判定することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明にかかるレーザアニール装置によれば、半導体膜における検査光の透過率、反射率および吸収率を導出し、該導出結果に基づいて半導体膜の結晶状態を判定するようにしているので、レーザアニール処理が施された基板の半導体膜の結晶状態を正確かつ容易に判定することができ、とくに半導体膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを正確かつ容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるレーザアニール装置の模式的な立面図である。
【図2】検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度に基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率の波長依存性を示すグラフである。
【図3】検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度に基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の反射率の波長依存性を示すグラフである。
【図4】検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度に基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の吸収率の波長依存性を示すグラフである。
【図5】440nmの波長の検査用レーザ光を用いた場合における、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をあらわすグラフである。
【図6】532nmの波長の検査用レーザ光を用いた場合における、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をあらわすグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基板、 2 検査光源、 3 透過光用フォトセンサ、 4 反射光用フォトセンサ、 5 レコーダ、 6 制御装置、 7 検査光照射室、 8 アニール処理室。
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に形成された非晶質の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化するレーザアニール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、基板、例えばガラス基板上に、多結晶化された半導体膜、例えばシリコン膜を形成すれば、高い電子移動度を有する薄膜トランジスタを得ることができる。そして、例えば、ガラス基板上へのシリコン膜の形成は、CVD等の気相形成法により行われる。しかしながら、気相形成法により形成されるシリコン膜は、非晶質であり、その電子移動度が低いので、高速動作が要求される駆動回路には適用することができない。そこで、この種の薄膜トランジスタの製造プロセスにおいては、通常、レーザアニール装置を用いて、気相形成法によりガラス基板上に形成された非晶質のシリコン膜にパルスレーザ光を照射し、該シリコン膜を多結晶化するようにしている。
【0003】
しかしながら、単純にガラス基板上の非晶質のシリコン膜にパルスレーザ光を照射したのでは、多結晶化が不充分な領域がシリコン膜に生じるおそれがある。そこで、従来のこの種のレーザアニール装置では、パルスレーザ光をシリコン膜に照射してレーザアニール処理を施す際に、シリコン膜が所定の結晶状態となっているか否かを確認するようにしている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されたレーザアニール装置では、パルスレーザ光の状態とシリコン膜を透過したパルスレーザ光の状態とを検出し、これらに基づいて、シリコン膜が所定の結晶状態となっているか否かを確認し、所定の結晶状態が得られたことが確認されれば、パルスレーザ光の照射位置に対するシリコン膜の位置を相対的に移動させて、次の領域にレーザアニール処理を施すようにしている。
【0005】
また、特許文献4に記載されたレーザアニール装置では、レーザ光の照射前に検出された反射光または透過光の強度とレーザ光の照射中に検出された反射光または透過光の強度との差と、レーザ光の照射中において反射光または透過光の強度の変化量が最大となったときから該強度がレーザ光の照射前の状態に戻るまでの経過時間とに基づいて結晶化状態を検出するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−305145号公報([0041]、図1)
【特許文献2】
特開2002−305146号公報([0039]、図1)
【特許文献3】
特開平11−121378号公報([0067]、図2)
【特許文献4】
特開平10−144621号公報([0061]、図1)
【特許文献5】
特開平11−40637号公報([0027]、図6)
【特許文献6】
特許第2916452号明細書([0025]〜[0028]、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種のレーザアニール装置では、いずれも、シリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを、正確かつ容易に判定することができないといった問題がある。
【0008】
とくに、特許文献1に記載されたレーザアニール装置では、レーザ光を走査しながらシリコン膜にレーザアニール処理を施す場合、レーザ光を照射した瞬間におけるレーザ光照射領域のシリコン膜の状態は、結晶化された状態と、結晶化されていない状態と、結晶化途上の状態とが混在しているため、シリコン膜が所定の結晶化状態であるか否かを判定することは困難である。
【0009】
また、特許文献1に記載されたレーザアニール装置では、ガラス基板を透過したレーザ光を検出器に導くために、移動ステージに穴をあける必要があるが、移動ステージに穴をあけると、ガラス基板の保持性が悪くなる。とくに、ガラス基板のたわみなどが発生する可能性が高くなり、集束されたレーザ光の実質的な焦点距離が変動し、焦点ボケを誘発してガラス基板全体に均一にレーザアニール処理を施すことができない。
【0010】
なお、特許文献4に記載されたレーザアニール装置では、反射光または透過光の強度の変化量が最大となったときから、該強度がレーザ光の照射前の状態に戻るまでの経過時間を検出しなければならないので、シリコン膜の結晶状態を判定するためのデータ処理装置ないしデータ処理装置が複雑化するといった問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、ガラス基板等の基板上に形成された非晶質のシリコン膜等の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化する際に、シリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを、正確かつ容易に判定することができるレーザアニール装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかるレーザアニール装置は、レーザアニール処理室内で、基板上に形成された非晶質の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化するレーザアニール装置において、検査光照射手段と、検査光検出手段と、結晶状態判定手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
ここで、検査光照射手段は、レーザアニール処理室内とは別の空間で、半導体膜の、レーザ光が照射された領域に所定の波長の検査光を照射する。検査光検出手段は、半導体膜および基板を透過した検査光の強度と、半導体膜で反射した検査光の強度とを検出する。結晶状態判定手段は、この検出結果に基づいて半導体膜における検査光の透過率、反射率および吸収率(透過率および反射率から求められる)を導出し、この導出結果に基づいて半導体膜の結晶状態を判定(特定)する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
まず、本発明にかかるレーザアニール装置の基本概念を説明する。本発明にかかるレーザアニール装置は、アニール処理室内で、基板上に形成された非晶質の半導体膜に、アニール用レーザ光照射手段でパルスレーザ光(以下、「アニール用レーザ光」という。)を照射して、該半導体膜を多結晶化するようになっている。
【0015】
このレーザアニール装置には、アニール処理室とは別に、検査光照射室が設けられ、この検査光照射室内において、表面に半導体膜が形成された基板を保持(セット)するステージが設けられている。そして、レーザアニール装置には、ステージに保持(セット)された基板上に所定の波長のレーザ光を検査光として照射する検査用レーザ光照射手段と、基板を透過した検査用レーザ光(透過光)の強度および基板で反射した検査用レーザ光(反射光)の強度を測定する光強度測定手段とが設けられている。
【0016】
さらに、レーザアニール装置には、光強度測定手段の測定結果に基づいて半導体膜における検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率を導出し、該導出結果に基づいて半導体膜の結晶状態を判定する結晶状態判定手段が設けられている。なお、表面に半導体膜が形成された基板の代表的な構成例としては、例えば、ガラス基板上に非晶質のシリコン膜が成膜されたものなどがあげられる。
【0017】
次に、アニール処理室内におけるアニール用レーザ光照射手段による半導体膜のレーザアニール処理を説明する。アニール用レーザ光照射手段は、レーザ光源としてのレーザ発振器と、ステージ上に同定された基板上で所定の形状になるようにアニール用レーザ光の形状を変換する光学系とを備えている。基板上でのアニール用レーザ光の形状は、長方形状または狭幅の帯状(線状)であるのが好ましい。
【0018】
そして、アニール用レーザ光照射手段は、基板上でアニール用レーザ光を、長方形の短辺の伸びる方向または帯の幅方向に走査する。これにより、シリコン膜等の半導体膜は、連続して帯状に加熱・熔融され、この後の凝固過程でシリコン膜が結晶化する。アニール用レーザ光照射手段においては、レーザ発振器と光学系との間に、レーザ出力を制御するためのアッテネータが設けられ、このアッテネータにより基板に対するアニール用レーザ光の照射強度を調節することができるようになっている。
【0019】
このレーザアニール装置のアニール用光照射手段では、基板に対しては透過性があり、シリコン膜等の半導体膜に対しては加熱のための吸収性があり、かついくらか透過性があるアニール用レーザ光が用いられる。そして、このアニール用レーザ光をシリコン膜等の半導体膜に照射してこれを加熱する。かかるアニール用レーザ光としては、例えば、次のようなものを用いることができる。
【0020】
Nd:YAGレーザの第2高調波または第3高調波
Nd:ガラスレーザの第2高調波または第3高調波
Nd:YVO4レーザの第2高調波または第3高調波
Nd:YLFレーザの第2高調波または第3高調波
Yb:YAGレーザの第2高調波または第3高調波
Yb:ガラスレーザの第2高調波または第3高調波
なお、かかるアニール用レーザ光として、Ti:Al2O3(サファイア)レーザの基本波または第2高調波や、ガスレーザであるエキシマレーザのレーザ光を用いてもよい。
【0021】
以下、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態1にかかるレーザアニール装置の具体的な構成および機能を説明する。
図1に示すように、一方の広がり面(上側表面)にシリコン膜(図示せず)が形成(成膜)されたガラス基板1にレーザアニール処理を施すレーザアニール装置には、検査光源2と、透過光の強度を測定する透過光用フォトセンサ3と、反射光の強度を測定する反射光用フォトセンサ4と、透過光用フォトセンサ3および反射光用フォトセンサ4の測定結果を記録ないしモニタするレコーダ5とが、検査光照射室7内に設けられている。
【0022】
また、検査光照射室7の外部に、該レーザアニール装置を制御する制御装置6が設けられている。さらに、検査光照射室7に隣接して、アニール処理室8が設けられている。なお、レコーダ5は検査光照射室7内に配置しなくてもよい。また、制御装置6に、直接、透過光用フォトセンサ3と反射光用フォトセンサ4とを接続して測定結果をモニタするようにしてもよい。両フォトセンサ3、4としては、例えば、CCDなどの固体撮像素子、CMOSセンサ、フォトダイオードアレイ等を用いることができる。
【0023】
詳しくは図示していないが、アニール処理室8内には、パルスレーザ光を出射するレーザ発振装置、レーザ発振装置から出射されたレーザ光の進路を変える反射ミラー、レーザ光の強度を調整するバリアブルアッテネータ、レーザ光を細帯状ビームないしは線状ビームに変換するためのビーム成形光学系、シリコン膜を備えた基板を載置ないし保持する移動ステージ、移動ステージを移動させる駆動装置等が設けられている。そして、アニール処理室8内で、ガラス基板1の上側表面に形成された非晶質のシリコン膜にレーザアニール処理が施され、該シリコン膜が多結晶化される。
【0024】
また、検査光照射室7内では、レーザアニール処理が施されたガラス基板1のシリコン膜の結晶状態(結晶化状態)が判定される。とくに、シリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、それとも多結晶状態であるかが判定される。より詳しくは、シリコン膜の、アニール用レーザ光が照射された領域に、検査光源2から所定の波長の検査用レーザ光が照射される。
【0025】
そして、シリコン膜およびガラス基板1を透過した検査用レーザ光(透過光)の強度が透過光用フォトセンサ3によって検出される一方、シリコン膜で反射した検査用レーザ光(反射光)の強度が反射光用フォトセンサ4によって検出される。また、透過光および反射光の強度を検出する前または後に、検査用レーザ光の経路にガラス基板1が配置されていない状態で、透過光用フォトセンサ3によって、検査光源2から出射(放射)される検査用レーザ光の強度が検出される。なお、ガラス基板1における検査用レーザ光の透過率はほぼ100%である。
【0026】
両フォトセンサ3、4によって検出された、検査用レーザ光、透過光および反射光の強度は、レコーダ(記憶装置)に5に記録ないし記憶される。そして、制御装置6は、レコーダ5に記録されている検査用レーザ光、透過光および反射光の強度に基づいてシリコン膜における検査用レーザ光の透過率と、反射率と、吸収率とを算出(導出)し、該算出結果に基づいてシリコン膜の結晶状態を判定する。
【0027】
以下、このレーザアニール装置におけるシリコン膜の結晶状態の判定手法を具体的に説明する。
図2、図3および図4に、それぞれ、検査用レーザ光の強度と、シリコン膜を備えたガラス基板に波長400〜700nmの検査用レーザ光を照射して測定した透過光および反射光の強度とに基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率の波長依存性を示す。
【0028】
ここで、検査光源2にはキセノンランプを用い、両フォトセンサ3、4にはシリコンフォトダイオードアレイを用いた。なお、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率および反射率は、それぞれ、検査用レーザ光強度に対する透過光強度および反射光強度の比率から算出し、吸収率は次の式1により算出した。
【数1】
吸収率[%]=100[%]−透過率[%]−反射率[%]………………式1
【0029】
検査用レーザ光を照射するガラス基板1としては、非晶質状態にあるシリコン膜を備えたもの、非晶質状態から多結晶状態への遷移状態にあるシリコン膜を備えたもの、多結晶状態にあるシリコン膜を備えたもの、および、高いパワーのアニール用レーザ光を照射してシリコン膜が焼失した状態のものの4種類のガラス基板1を用いた。非晶質状態のシリコン膜にはレーザアニール処理は施されていない。また、遷移状態のシリコン膜を備えたガラス基板、多結晶状態のシリコン膜を備えたガラス基板、シリコン膜が焼失状態のガラス基板は、いずれも、レーザアニール処理が施されているが、ガラス基板(シリコン膜)に照射したアニール用レーザ光のパワーは、この順に高くなっている。
【0030】
ここで、シリコン膜が多結晶状態に変化しているか否かを適切に判定(特定)するには、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態、焼失状態の順に、光学特性(透過率、反射率、吸収率)が波長に対して単調に変化し、かつ識別可能な程度の数値差が存在することが必要である。図2、図3および図4にかんがみれば、図4に示す吸収率については、波長が420〜450nmの範囲では、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態、焼失状態の順に、吸収率が波長に対して単調に(ほぼ直線的に)減少している。したがって、420〜450nmの範囲内の波長または波長帯の検査用レーザ光を用いて、ガラス基板1上のシリコン膜の吸収率を算出すれば、該シリコン膜が多結晶状態であるか否かを、容易に判定することができる。
【0031】
図5は、図2、図3および図4に示す測定結果から、波長が440nmの検査用レーザ光に対する光学特性を抽出(限定)して、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をグラフにあらわしたものである。なお、ここでは、シリコン膜の状態として、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態の4つの代表的な状態を示しているが、隣り合う各状態の中間状態では、透過率、反射率および吸収率の値も中間的な値となる。したがって、図5に示す結果によれば、シリコン膜における検査用レーザ光の吸収率が30%程度(およそ25〜35%)であれば、該シリコン膜は多結晶状態であるといえる。
【0032】
なお、ロボットなどを用いたアニール処理室8への基板ローディング機構が設けられている場合は、特別な検査光照射室7(検査光照射ゾーン)を設けず、アニール処理室8からガラス基板1を搬出した後、ガラス基板1のアンローディング位置で、検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度の測定を行うようにしてもよい。この場合、ガラス基板1のアンローディング位置は、外光による測定精度の低下を防ぐために、周囲から遮蔽(遮光)するのが望ましい。
【0033】
以上、実施の形態1にかかるレーザアニール装置によれば、レーザアニール処理が施されたガラス基板1のシリコン膜の結晶状態を正確かつ容易に判定することができ、とくにシリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを正確かつ容易に判定することができる。
【0034】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を説明する。ただし、実施の形態2にかかるレーザアニール装置の基本的構成および基本的機能は、図1に示す実施の形態1にかかるレーザアニール装置のそれらと共通であり、シリコン膜の結晶状態の判定手法が異なるだけである。そこで、以下では説明の重複を避けるため、主として、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0035】
前記のとおり、実施の形態1にかかるレーザアニール装置では、シリコン膜における検査用レーザ光の吸収率からシリコン膜の結晶状態を判断することができるよう、検査光源2から出射される検査用レーザ光の波長を420〜450nmに設定している。しかしながら、これ以外の所定の波長の検査用レーザ光を用いて、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率、反射率あるいは吸収率の測定結果を組み合せて比較することによっても、シリコン膜の結晶状態を判定することができる。
【0036】
図3に示す反射率についてのデータによれば、検査光源2から出射される検査用レーザ光の波長が500〜560nmの場合、遷移状態と多結晶状態とを、反射率に基づいて区別することはできない。しかしながら、遷移状態または多結晶状態では、非晶質状態に比べて反射率が10%程度高い。他方、図4に示す吸収率についてのデータによれば、検査用レーザ光の波長が500〜560nmの場合、多結晶状態では、遷移状態に比べて、明かに吸収率が大きい。そこで、これらの2つの特徴から、シリコン膜が多結晶状態であるか否かを判定することができる。
【0037】
図6は、図2、図3および図4に示す測定結果から、波長が532nmの検査用レーザ光に対する光学特性を抽出(限定)して、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をグラフにあらわしたものである。図6に示す結果によれば、シリコン膜における反射率が50%程度であり、かつ吸収率が8%程度あれば、該シリコン膜は多結晶状態であるといえる。
【0038】
このように、実施の形態2にかかるレーザアニール装置においても、実施の形態1にかかるレーザアニール装置の場合と同様に、レーザアニール処理が施されたガラス基板1のシリコン膜の結晶状態を正確かつ容易に判定することができ、とくにシリコン膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを正確かつ容易に判定することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明にかかるレーザアニール装置によれば、半導体膜における検査光の透過率、反射率および吸収率を導出し、該導出結果に基づいて半導体膜の結晶状態を判定するようにしているので、レーザアニール処理が施された基板の半導体膜の結晶状態を正確かつ容易に判定することができ、とくに半導体膜が非晶質状態から多結晶状態への遷移状態であるか、多結晶状態であるかを正確かつ容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるレーザアニール装置の模式的な立面図である。
【図2】検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度に基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の透過率の波長依存性を示すグラフである。
【図3】検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度に基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の反射率の波長依存性を示すグラフである。
【図4】検査用レーザ光強度、透過光強度および反射光強度に基づいて算出した、シリコン膜における検査用レーザ光の吸収率の波長依存性を示すグラフである。
【図5】440nmの波長の検査用レーザ光を用いた場合における、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をあらわすグラフである。
【図6】532nmの波長の検査用レーザ光を用いた場合における、非晶質状態、遷移状態、多結晶状態および焼失状態での検査用レーザ光の透過率、反射率および吸収率をあらわすグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基板、 2 検査光源、 3 透過光用フォトセンサ、 4 反射光用フォトセンサ、 5 レコーダ、 6 制御装置、 7 検査光照射室、 8 アニール処理室。
Claims (4)
- レーザアニール処理室内で、基板上に形成された非晶質の半導体膜にレーザ光を照射して、該半導体膜を多結晶化するレーザアニール装置において、
前記レーザアニール処理室内とは別の空間で、前記半導体膜の、前記レーザ光が照射された領域に所定の波長の検査光を照射する検査光照射手段と、
前記半導体膜および基板を透過した検査光の強度と、前記半導体膜で反射した検査光の強度とを検出する検査光検出手段と、
前記検出結果に基づいて前記半導体膜における前記検査光の透過率、反射率および吸収率を導出し、該導出結果に基づいて前記半導体膜の結晶状態を判定する結晶状態判定手段とを備えていることを特徴とするレーザアニール装置。 - 前記検査光照射手段が、前記検査光として、所定の波長または波長帯を有する光を出射する光源を有し、
前記結晶状態判定手段が、前記波長または波長帯での検査光の透過率、反射率および/または吸収率のデータに基づいて前記半導体膜の結晶状態を判定することを特徴とする請求項1に記載のレーザアニール装置。 - 前記光源が、前記検査光として420〜450nmの波長の光を出射することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザアニール装置。
- 前記光源が、前記検査光として500〜560nmの波長の光を出射することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザアニール装置。
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