JP5347114B2 - 免疫学的検査具 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されたこの免疫学的検査具にあっては、毛細管現象によって輸液可能な展開器材を有し、その一端には展開液層内の展開液を吸収するための展開液供給ゾーンが設けられている。この展開器材は、さらに、酵素標識試薬を含有した酵素標識試薬ゾーンと、検体に含まれる抗原抗体を検出する検出ゾーンとを有している。上記展開液は展開液槽に保持されており、この展開液槽は、展開液吸収ゾーンの上部又は下部に設けられている。そして、この展開液槽はケースと一体に形成され、この展開液槽の開口は膜により封止されている。
また、特許文献2に示す液ポット上部タイプでは、展開液の流出速度が速く、展開液が飛び散ることにより、展開結果の再現性が悪いという問題点があった。さらに,特許文献3に示すツメ破りブリスタータイプでは、展開不良が懸念された。
また、この発明は、展開液を貯蔵している容器の薄膜を容易に穿孔することができ、試験紙に展開溶媒が展開される時間を短縮することにより、迅速かつ正確な検体の検査・診断をすることができる免疫学的検査具を提供することを目的とする。
この試験紙は、上記箱形のケースを水平に載置した際、この試験紙も水平になるようにケースに保持されている。
したがって、この検査具にあっては、検体を試験紙に滴下した後、展開溶媒パックを穿孔する。試験紙は、毛細管現象によって輸液可能な構造で形成されているため、その一端部に供給された展開溶媒は試験紙によりその他端側に向かって輸液される。この場合の輸液とは、試験紙の長さ方向の一端部から他端部に向かって展開溶媒が展開されることをいう。
また、この展開溶媒パックは、ケース内部にてケースとは別体で形成されている。この展開溶媒パックを押圧すると、展開溶媒パックを封止する薄膜は穿孔用突起によりその当接部が破断され穿孔されることとなる。展開溶媒パックに貯蔵されている展開溶媒は、下方に流れ出て、試験紙の長さ方向の一端部にしみこみさらに他端部に向かって展開されることとなる。よって、検体は、展開されてきた展開溶媒によって溶解される。この検体を溶解した展開溶媒は毛細管現象によりさらに判定部に向かって展開される。検体を溶解した展開液が判定部に到達した際に判定部では例えば発光反応が起こる。この発光反応(発色、蛍光反応などを含む)の発光(発色、蛍光反応などを含む)により検体が陽性であるか否かを判定することができる。
これらの結果、ケースより突出することなくそのケースの内部に保持された展開溶媒パックを下方に向かって(穿孔用突起に向かって)押圧するだけで展開溶媒パックを穿孔することができ、迅速かつ正確に検体の免疫学的検査を行うことができる。
さらに、展開溶媒パックは、ケースとは別体で形成されていることから、この検査具にあっては、ケースは展開溶媒パックとは別に製造することができ、このケースに対して別途製造した各種抗原抗体反応用の展開溶媒パックを準備することにより各種抗原抗体反応の免疫学的検査具とすることができる。つまり、ケースとパックを一体に形成する従来品に比べてこの免疫学的検査具はより安価に製造することができる。また、各種の市販の展開溶媒パックを使用することができる。
このように構成すれば、検体を検体滴下口から投入し、試薬を試薬投入口から投入する際、試験紙上ではこの検体の滴下箇所と試薬の投入箇所とが離間していることとなる。
そして、試験紙に展開溶媒が展開されると、この展開溶媒は検体の各種成分を展開するが、この展開速度はその成分ごとに異なる。検体中に含まれる被検物質が試験紙に展開し、この被検物質は試薬と反応し、その反応物質が検出部にて検出される。このため、検体の前処理を行わずに検体が陽性であるか否かを判断することができる。
この場合、展開溶媒パックに貯蔵された展開溶媒が試験紙に展開すると、この展開溶媒は、判定部を通過した後、吸収パッドに吸収される。このため、この展開溶媒が試験紙内を逆流することを完全に防止することができる。
また、吸収パッドの直上のケースに蒸散孔が形成されているため、吸収パッドに吸収される展開溶媒の量が多い場合、蒸散孔から展開溶媒が蒸散するため、展開溶媒の試験紙の逆流をさらに完全に防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、穿孔用突起を複数の分割片である長辺突起と短辺突起とに分割し、さらにこの短辺突起を複数の例えばT字形、十字型、H字型、E字型、U字型など同時に縦横を破断できる構造の分割突起に分割している。このため、展開溶媒パックへの押圧力が小さくても容易に展開溶媒パックに複数個の孔を形成することができる。また、このパックを形成する例えば薄膜に穿孔された複数の孔の穿孔面積がそれぞれ小さいため、このパックからの展開溶媒の流出速度を抑えることができ、展開溶媒が飛散することを防ぐことができる。
さらに、展開溶媒パックは、ケースとは別体であることから、パックとは別にケースを製造することができ、ケースとは別に各種抗原抗体反応用の展開溶媒パックを準備することにより、各種抗原抗体反応の免疫学的検査具とすることができる。つまり、この免疫学的検査具をきわめて安価に製造することができる。
この試験紙載置部21Aは、その中央部に、後述する試験紙30を載置するための台座25が形成されている。この台座25の形状は、この試験紙30を平面視した形状と同一である。この台座25は、上記下側部材21を水平に載置した場合、この下側部材21から上方に突出するように設けられている。この台座25の高さは、上記仕切板23の高さと同じである。この台座25の端部には、この試験紙30の位置ズレを防止するための突起22a,22b,22c,22dが設けられている。
上記溶媒貯留部21Bの中央部には、上記下側部材21を水平に載置した場合、この下側部材21から上方に突出した穿孔用突起24a,24b,24cが設けられている。具体的には、後述する試験紙の一端部をコの字形状に取り囲むように、上記下側部材21の長辺に平行な一対の長辺突起24a,24bが上記溶媒貯留部21Bに設けられている。そして、上記下側部材21の短辺に平行な短辺突起24cが上記溶媒貯留部21Bに設けられている。これらの穿孔用突起24a,24b,24cの突出長さは、上記仕切板23の高さより高く形成されている。
上記下側部材21におけるこの溶媒貯留部21Bが占める空間の体積は、後述する展開溶媒パック40に保持される展開溶媒の体積よりも大きい。
上記吸収パッド50は、吸水性のある材料で構成されたろ紙である。
この上側部材11は、この下側部材21に嵌合する上側本体部材11Aと、この上側本体部材の中央部分を開閉する開閉部材11Bと、が連結している。
この上側本体部材11Aの一端の内側に、後述する展開溶媒パック40の端部を掛止する掛止部15Aが形成されている。そして、この掛止部15Aに展開溶媒パック40を掛止した場合、この展開溶媒パック40の容器42の底部分が外部に露出するための展開溶媒パック露出孔15が、この上側本体部材11Aに形成されている。この展開溶媒パック露出孔15の形状は、上記容器42の平面視した形状と同一である。
上記反応試薬投入部Aに反応試薬を滴下するために、この反応試薬投入部の直上のこの上側本体部材11Aに反応試薬投入口14が形成されている。そして、検体を上記検体滴下部Bに滴下するために、この検体滴下部Bの直上のこの本体部材11Aに検体滴下口13Aが形成されている。さらに、判定部Cでの判定を目視で行うことが可能にするため、この判定部Cの直上のこの上側本体部材11Aに判定孔12が形成されている。さらにまた、上記吸収パッド50に吸収した展開溶媒を蒸発させるために、この吸収パッド50の直上のこの本体部材11Aに複数の蒸散孔16が形成されている。
上記反応試薬投入口14と、上記検体滴下口13Aとの上部に、反応試薬投入口14を開閉するように上記開閉部材11Bが取り付けられている。このため、この開閉部材11Bは、この反応試薬投入口14を閉口する蓋の役割を果たす。この開閉部材11Bにてこの反応試薬投入口14を閉口したときに、上記検体滴下口13Aに試薬を投入することができるように、この開閉部材11Bに第2の検体滴下口13Bが形成されている。この検体滴下口13Aと、この第2の検体滴下口13Bは、開閉部材11Bにて反応試薬投入口14を閉口した際、一つの滴下口13を形成する。
上記開閉部材11Bを閉じた際に、この第2の検体滴下口13Bと同位置でかつこの開閉部材11Bの裏面から下方に突出するように分離ろ紙取付突起17が設けられている。この分離ろ紙取付突起17に嵌合可能な枠11Cが上記開閉部材11Bに連結されている。
上記容器42は、平面視して矩形であり、開口を有している。この容器42はプラスチック製である。この容器42の側面はM字型に形成されている。つまり、この容器42の長さ方向の端部から中央部に向かって底面が傾斜している。このため、この容器42の中央部における容器42の高さは、端部における高さより低く形成されている。このため、容器42の中央部の押圧を容易にするとともに、後述するアルミニウム薄膜41を容易に穿孔することができる。この容器42の開口の外周にはフランジが形成されている。
上記アルミニウム薄膜41は、上記容器42の矩形の開口を封止している。具体的には、上記フランジの外周形状と同じ形状のアルミニウム薄膜41がその縁部をフランジに熱圧着などされることにより、接着されて、この容器42の開口を封止している。
上記展開溶媒パック40のフランジは、上記掛止部15Aに掛止される。この際、開口を下方に向けて取り付けられる。つまり、上記アルミニウム薄膜41が下方に、上記容器42は上方に向けて取り付けられる。
この展開溶媒パック40を掛止する掛止部15Aは、上記上側本体部材11Aに形成されているため、上記試験紙30より上方に配置されることとなる。
展開溶媒が検体滴下部Bに到達する。そして、展開溶媒は酵素標識抗体、検体とともに試験紙30の陽性判定部31に向けて展開する。
その後、展開溶媒、酵素標識抗体、検体の順に陽性判定部31に到達する。
酵素標識抗体が陽性判定部31に到達した後、この酵素標識抗体は、陽性判定部31に保持される。そして、検体が陽性判定部31に到達する。
このとき、検体中の抗FIV抗体は、上記酵素標識抗体と反応し、[抗FIV抗体−酵素標識抗体]複合体を形成する。そして、この[抗FIV抗体−酵素標識抗体]複合体は、陽性判定部31に埋設された発光基質と発光反応することで、抗HIV抗体を検出することができる。
なお、上記実施例では平面視してT字形状の突起について説明したが、平面視して+字形状、U字形状、E字形状などの縦横に辺を有する突起であれば、縦横に破れた大きな穿孔を一時にパック薄膜に形成することができ、T字突起と同様の効果を発揮することができる。
11 上側部材、
21、101 下側部材、
24a、24b 長辺突起、
24c、104 短辺突起、
30 試験紙、
40 展開溶媒パック、
B 検体滴下部、
C 判定部。
Claims (2)
- 長方形の底面および平坦な上面を有する箱形のケースと、
所定長さの帯状体で形成され、その長辺をこのケースの底面の長辺と平行にしてケースの底面に載置され、毛細管現象によって輸液可能とされる試験紙と、
このケースの長さ方向の一端部の底面に、この載置された試験紙の長さ方向の一端部を取り囲むように配置されて立設された穿孔用突起と、
上記ケースの内部であって、この穿孔用突起の上方でかつ上記試験紙の一端部の上方に配置され、展開溶媒が貯蔵される展開溶媒パックと、を備えた免疫学的検査具であって、
上記穿孔用突起は、平面視してコの字形状に配設された複数の分割片に分割されて、上記底面の長辺に平行な1対の長辺突起と、上記底面の短辺に平行な短辺突起とを有し、
上記試験紙はその長さ方向の一端部から他端部側に所定長さだけ離間した位置に検体が滴下される検体滴下部を有し、
この検体滴下部より長さ方向の他端側に滴下された検体が陽性であるか否かを判定する判定部を有するとともに、
上記展開溶媒パックを上記穿孔用突起に押し付けることにより、この展開溶媒パックに穿孔し、その展開溶媒を判定部に向かって輸送する免疫学的検査具。 - 上記短辺突起は複数の分割突起により形成される請求項1に記載の免疫学的検査具。
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