JP5138658B2 - 免疫測定器具及び免疫測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、検体中の生体成分や薬物等、試料中の被検物質等を簡便に測定する免疫測定器具及び測定方法に関する。
免疫反応を利用して検体中にタンパク質等の抗原や生体成分、薬物等が入っているかいないかを簡便に検査・測定する器具や方法として、酵素を標識物質として用いて毛細管現象によって送液可能な展開基材上で検体、酵素標識試薬及び基質を反応させる測定方法や着色粒子を標識物質として用いる測定方法がイムノクロマト試薬で利用されている。
これらの、イムノクロマト試薬を用いた測定方法では、測定感度と測定精度を向上させるために判定領域のバックグラウンドでの発色または着色を抑制する必要がある。そのため、毛細管現象を利用して展開液を展開基材に輸液または展開させることが多い。
例えば、下記特許文献1に記載された酵素免疫測定用試験片においては、毛細管現象によって輸液可能な展開基材の上流側に展開液供給ゾーンを付設し、展開液供給ゾーンには酵素阻害剤を添加した展開液を貯留する展開液槽から展開液を供給可能にしている。また展開液供給ゾーンの下端には乾燥状態の基質を有する基質ゾーンを設けている。
展開基材における基質ゾーンの下流側には、検体を点着する検体点着ゾーンに、検体中の検出すべき抗原または抗体と反応する抗体または抗原等の免疫反応物質が酵素標識された酵素試薬を点着した酵素標識試薬ゾーンが設けられている。酵素標識試薬ゾーンの下流側には検出ゾーンを設けている。
そして、この試験片を用いた測定では、検体を検体点着ゾーンに添加すると共に展開液供給ゾーンに展開液槽から展開液を供給して基質ゾーンで基質を溶解する。検体点着ゾーンでは、検体が酵素標識試薬ゾーンの試薬と反応し、展開液供給ゾーンから流れてくる基質を含む展開液に流されて検出ゾーンに到達する。
検体中の抗原または抗体が検体ゾーンに固定化されている抗原または抗体にトラップされると、検体中の抗原または抗体は酵素標識試薬と結合しているために、酵素標識試薬が検出ゾーンに留まる。検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれている場合には、検出ゾーンにトラップされた酵素が展開液中の基質と反応して発色する。そのため、検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれているか否かは、検出ゾーンで発色するか否かによって判別できる。
ところで、上述のような酵素免疫測定用試験片等の酵素免疫測定器具では、検体として全血を用いると、展開液中に含まれる界面活性剤や高濃度の塩のため、赤血球が破壊されてしまい、赤血球中の赤色ヘモグロビンによって発色による色判定が不可能になる。そのため、検査に際して、予め全血を遠心分離器によって血球を除去して、検体として血液中の血漿・血清を用いるようにしていた。
このような遠心分離器によって血漿・血清分離をした検体を用いることの煩雑さを解決した測定器具として、図16及び図17に示すような酵素免疫測定器具1が提案されている。
この酵素免疫測定具1は筐体が本体2と開閉可能な蓋体3とを備えている。蓋体3にはその表面に検体として全血を滴下する窓部4が設けられ、その内面には窓部4に滴下された全血から血球を分離除去する血球分離膜5が着脱可能に装着されている。本体2には血球を除去した血漿・血清を検体として開口6を通して滴下する反応展開基材7が収容されている。その前後には展開液を滴下する投入口8と検体の発色の有無を観察する観察窓9とが設けられている。
そして、図16に示す状態で、検体として全血を酵素免疫測定具1の蓋体3の窓部4に滴下すると、分離膜5を通して血漿・血清が分離され、検体として本体2の開口6を通して反応展開基材7に供給される。次に蓋3を開いて投入口8から展開液を投入して反応展開基材7上で毛細管現象によって展開液を移送させ、血漿・血清中の抗原または抗体と標識試薬が反応し、上述のように発色の有無によって検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれているか否かを観察窓9で判定する。
また、他の同様な公知技術として特許文献2〜4に記載されたものが提案されている。
これらはいずれも検体として全血を用いて血球分離フィルタ等の血球分離膜を用いて血漿・血清を検体として取り出すようにしている。しかし、これらはいずれも展開液を用いないタイプの検体分析試験器具を示すものである。
特許第3334558号公報 特開平10−211277号公報 特開2007−206032号公報 特開2008−249606号公報
しかしながら、特許文献1に記載された酵素免疫測定方法及び試験片では、検体を試験片の展開基材における検体点着ゾーンに滴下して酵素標識試薬と検体とを反応させ、反応が進んだ一定時間経過後に展開液を展開基材中の検出ゾーンに移送する必要がある。しかしながら、この酵素免疫測定用の試験片では、検体と酵素標識試薬との反応液は展開基材の毛細管現象によって下流側だけでなく上流側にも移送させられるため、上流側に移送する反応液が展開液供給ゾーンの下流端に設けた基質ゾーンのパットに付着している基質と接触して反応してしまう。そのため基質及び酵素標識試薬が消費され、検出領域において正規の反応を生じないおそれがある。
これを防ぐために、特許文献1に記載された酵素免疫測定方法では、検体を検体点着ゾーンに添加した後、検体と酵素標識試薬とを反応させると共にこの反応液が基質ゾーンに到達する前の所定時間経過後に展開液を展開液ゾーンから流す必要があり、検体添加後の時間の管理が煩雑であるという不具合があった。
また、上述した図16及び図17に示す測定器具では、検体である全血の滴下後、血漿・血清が展開基材に輸液され、その後血球分離膜を展開基材から離脱させる為、蓋体を開いて展開液を滴下供給しなければならない。この測定方法は操作が煩雑であるという欠点がある。また、特許文献2乃至4に記載された分析または測定器具はいずれも展開液を用いない測定器具であり、本発明とは異質の測定器具である。
本発明は、このような実情に鑑みて、全血を滴下して血清・血漿を検体として分離できると共に、簡単な操作で検体の測定を確実に行えるようにした免疫測定器具及び免疫測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る免疫測定器具は、毛細管現象によって輸液可能な展開基材を用いて滴下された検体に検出すべき抗原または抗体を含むか否かを判別する免疫測定装置において、展開基材には、検体が添加される検体添加領域及び標識試薬領域と、これら検体添加領域及び標識試薬領域の下流側に設けた検出領域とが設けられ、展開基材に対向する位置に回動可能な作動部が設けられ、作動部は、検体添加領域に対向する回動の一方側に検体である全血を滴下する検体滴下部と全血から血球を分離除去する血球分離膜とを備え、回動の他方側に展開基材の検体添加領域の上流側に展開液を貯留した貯留タンクとを備え、貯留タンクに対向する位置に作動部が回動した際に貯留タンクから展開液を流出させるための破断部材が設けられたことを特徴とする。
また、本発明による免疫測定方法は、毛細管現象によって輸液可能な展開基材を用いて滴下された検体に検出すべき抗原または抗体を含むか否かを判別する免疫測定方法において、回動可能な作動部の一方側に設けた検体滴下部に全血を滴下すると、血球分離膜によって血球が分離除去されて血清と血漿とが展開基材の検体添加領域に供給されて標識試薬と反応させられ、その後、作動部を回動させると検体添加部に設けた血球分離膜が展開基材から離間すると共に、作動部の他方側に設けた貯留タンク内の展開液が展開基材の検体添加領域の上流側に供給され、展開液は展開基材を毛細管現象によって検体添加領域へ輸液されて標識試薬と検体との反応を検出領域で判別できるようにしたことを特徴とする。
本発明による免疫測定器具及び免疫測定方法によれば、作動部の一方側に設けた検体滴下部に全血を滴下すると血球分離膜によって血球が分離除去されて、血清と血漿とが展開基材の検体添加領域に供給されて標識試薬と反応させられる。その後、作動部を回動させると分離膜及び検体滴下部が展開基材から離間すると共に、作動部の他方側に設けた貯留タンク内の展開液が展開基材に供給され、展開液は展開基材を毛細管現象によって検体添加領域へ輸液されて標識試薬と検体との反応を検出領域で判別できる。しかも、作動部の回動によって検体滴下部に設けた血球分離膜を展開基材の検体添加領域から離間させることで、輸液される展開液中に含まれる界面活性剤と塩が血球分離膜に捕捉された赤血球に接触して破壊されてヘモグロビンが溶出して着色するのを抑止できるから、検体に抗原または抗体を含むか否かを発色又は着色の有無によって確実に判別できる。
本発明による免疫測定器具及び免疫測定方法によれば、検体が全血であっても検体滴下部の分離膜によって血清・血漿を分離することで血清・血漿と標識試薬とを反応させることができ、また作動部の簡単な回動操作によって、貯留タンクから展開液を展開基材に供給できて展開液を輸液して検体の反応を判別できると共に、血清・血漿と標識試薬との反応後に分離膜を展開基材の検体添加領域から分離させることで、展開液の成分によって赤血球が破壊されて赤色に着色するのを抑止できる為、検体に抗原または抗体を含むか否かを発色又は着色の有無によって判別できる。
そのため、本発明によれば、免疫測定器具の構成が簡単で測定操作が容易で取り扱い易い。
本発明の第一実施例による免疫測定器具の斜視図である。 図1に示す免疫測定器具の作動部を押した状態の斜視図である。 図1に示す免疫測定器具の中央縦断面図である。 図2に示す免疫測定器具の中央縦断面図である。 下部筐体の平面図である。 (a)は下部筐体の側面図、(b)は下部筐体の中央縦断面図である。 (a)は爪部の斜視図、(b)は爪部の変形例を示す斜視図である。 上部筐体の長穴部に作動部を組み込む前の状態を示す斜視図である。 作動部を長穴部の凹部に組み込む前段階を示す図である。 上部筐体の長穴部に作動部を組み込んだ状態を示す斜視図である。 作動部と長穴部の凹部との組み込み終了段階を示す部分拡大図である。 上部筐体の長穴部の凹部と作動部の支軸とを示す要部斜視図であり、(a)は組み込み前段階、(b)は組み込み終了段階の図である。 長穴部の凹部と支軸との嵌合状態を示すもので、(a)は押し込み嵌合状態、(b)は作動部を長穴部に嵌合した状態を示す断面図である。 本発明の第二実施例による免疫測定器具の中央縦断面図である。 図14に示す免疫測定器具において作動部を回動させた状態を示す中央縦断面図である。 従来の免疫測定器具において検体を滴下する状態の斜視図である。 図16に示す免疫測定器具において蓋体を開いて展開液を供給する状態の斜視図である。
本発明による免疫測定器具によれば、作動部は回動の支点から貯留タンクまでの長さが検体滴下部までの長さより大きく設定されていることが好ましい。
これにより検体滴下部に検体である全血を滴下した後、作動部を回動させることで貯留タンクを容易に展開基材に近づけることができて貯留タンク内の展開液を展開基材へ流出させ易い。
また、破断部材は貯留タンク内に展開液を封止する封止膜を破るための爪部であってもよく、これによって貯留タンクの封止膜を容易に破断できる。爪部は展開基材の両側に対向してまたはずれて配設されていてもよく、これによって展開基材を挟持できる。
また、展開基材を保持すると共に作動部を回動可能に支持する筐体が設けられ、作動部の貯留タンクと筐体には互いに係合可能な係合部と係止部とが設けられ、貯留タンクは係合部が筐体の係止部を乗り越えて回動可能とされている。
作動部における貯留タンクの係合部は筐体の係止部を乗り越えて傾斜した状態、即ち貯留タンクの封止膜が爪部に破断された状態に保持できる。
また、標識試薬は酵素標識試薬であってもよい。
また、貯留タンクと展開基材との間には基質を含む展開液パッドが展開基材と非接触に配設され、作動部が回動して破断部材によって貯留タンクから展開液が流出した際に展開液パッドが展開基材に当接させられるようにしてもよい。
検体と酵素標識試薬との反応液が展開液によって検出領域に到達し、検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれている場合には、検体中の抗原または抗体は酵素標識試薬と反応し、次いで検出領域に固定保持された抗体または抗原にトラップされる。トラップされた酵素標識抗体の酵素と展開液中の基質が反応して発色する。
また、標識試薬は着色粒子標識試薬であってもよい。
検体と着色粒子標識試薬との反応液が展開液によって検出領域に到達し、検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれている場合には、検体中の抗原または抗体は着色粒子表面に結合された抗体または抗原と反応し、次いで検出領域に固定保持された抗体または抗原にトラップされ、着色粒子による着色ラインが形成される。
以下、本発明による免疫測定器具及び測定方法の実施例について添付図面によって詳細に説明する。
本発明の第一実施例による免疫測定器具について図1乃至図13により説明する。第一実施例による免疫測定器具は展開液を用いた酵素法によるイムノクロマト器具からなる酵素免疫測定器具である。
図1及び図2に示す酵素免疫測定器具10は添加する検体を酵素標識試薬と結合させて抗体または抗原でトラップし、酵素標識試薬と基質とを反応させて、基質の発色の有無によって検体中に検出すべき抗原または抗体を含むか否か等を検査・測定するものである。酵素免疫測定器具10はイムノクロマト法によって測定される。
図1乃至図4において、酵素免疫測定器具10は例えば合成樹脂からなる嵌合可能な上部筐体11と下部筐体12とを嵌合した筐体13で形成されている。
下部筐体12は図5及び図6に示すように、例えば略長方形板状の底部12aとその周囲を囲う側部12bとで形成され、底部12aの中央部に長手方向に沿う台座14が設けられている。図3,図4において、台座14の上には展開基材15が載置されている。展開基材15は毛細管現象によって展開液を流動させる材質であればよく、例えばニトロセルロース、スポンジ、吸水性の不織布等が用いられる。
なお、帯状の展開基材15には後述するように一端側(図3、図4の右側)から他端側(図3,図4の左側)に向けて展開液が流れるが、本明細書ではその一端側を上流側、上方といい他端側を下流側、下方という。
台座14は下流側から上流側近傍まで水平に延びた水平面14aとされ、上流端部近傍から上流端までは底部12aに向けて次第に傾斜して拡幅する傾斜面14bが形成されている。台座14に載置された展開基材15は下流端から上流側まで水平方向に延びているが、台座14の傾斜部14b付近で押されることで部分的に傾斜可能とされている。展開基材15は台座14の水平面14aに支持された帯状領域を水平部15aとされ、傾斜面14bに向けて下方に傾斜可能な帯状領域を可動傾斜部15bとされている。
可動傾斜部15bにはその両側に各一対の爪部16,17が植設されている。そのため、展開基材15は可動傾斜部15bが両側の爪部16,17間に挟持されており、常態で、展開基材15は可動傾斜部15bも含めて水平に保持される。その状態で、爪部16,17は展開部材15よりも上方に突出している。
また、図1及び図2において、酵素免疫測定器具10の上部筐体11は、天面11aと側部11bとで形成されている。天面11aの上流側領域には長穴状の長穴部19にシーソーのように揺動可能、具体的には一方向に回動可能な作動部20が開閉可能に装着されている。また、天面11aにおいて、作動部20の下方側には検体と酵素標識試薬との反応の有無を検知するための反応観察窓21が天面11aに形成されている。
作動部20は例えば長円の板状に形成されており、その長円方向の略中央近辺には両側に揺動のための支軸22、22が突出して長孔部19に回動可能に装着されている。作動部20の支軸22、22に対して反応観察窓21から遠い側には揺動または回動のための押圧部23が設けられ、反応観察窓21に近い側には検体として全血を滴下するための検体滴下部24が略先細筒状孔として形成されている。
次に、作動部20について、図3、図4により説明する。
略長円板状の作動部20において反応観察窓21に近い側に設けた検体滴下部24は作動部20側から展開基材15に向けて例えば円錐台状のテーパ部24aと略円筒状の滴下穴24bとで形成されている。滴下穴24bの下端開口には投下された検体である全血から血清・血漿を透過させて赤血球等の血球を捕捉するフィルター(分離膜)として血球分離膜26が取り付けられている。
作動部20が天面11aと面一に係止された状態で、検体滴下部24は血球分離膜26が展開基材15に当接または圧接されている。
この血球分離膜26は、例えば繊維質または非繊維質からなり、親水性表面を有する多孔性物質を用いることが好ましい。繊維質の多孔性物質としては、例えば親水化処理された織物、ガラス繊維、セルロース繊維、紙などを挙げることができる。また、非繊維質の多孔性物質としては、セルロースエステル類、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテート/ブチレート、酢酸セルロースからなるブラッシュポリマー(一般名メンブランフィルター)、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の微多孔性物質、ポリマー小粒子、ガラス粒子、けい藻土等が親水性または非吸水性ポリマーで結合された連続空隙を有する多孔性物質などを挙げることができる。
作動部20において、押圧部23の裏面には展開液28を貯留するための展開液貯留タンク29が設けられている。この貯留タンク29は作動部20から下方に延びる筒状の側壁29aの下方開口が封止膜30によって液密に封止されている。この貯留タンク29内の展開液28として、酢酸緩衝液、硼酸緩衝液、トリス緩衝液、ジェタノールアミン緩衝液等の各種緩衝液が用いられる。
また、封止膜30として、例えばアルミシールまたはポリエチレンフィルムシート等が緊張状態で液密に密封されている。封止膜30はアルミシールまたはポリエチレンフィルムシート等に限定されることなく、液密性があって破断容易な構造を形成することが可能な材質であればよい。
密封の方法は熱溶着、超音波溶着、接着剤による接着、成形品での嵌着等が用いられる。これによって、作動部20が貯留タンク29を下向きに保持しても展開液28が下方に漏れ出すことはない。図3に示すように、貯留タンク29内には展開液28が例えば200〜400マイクロリットル貯留されている。
図3に示す上部筐体11において、検体滴下部24の端縁24cは係合部として隣接する上部筐体11の係止突起31と係脱可能に係止される。また、押圧部23の端縁23aは外側に突出する突起部(以下、突起部23aという)を形成し、上部筐体11の係止突部32と係合される。なお、突起部23aは係合部、係止突部32は係止部を構成する。
また、筐体13内の上流側端部には、上部筐体11と下部筐体12とでシート状の展開液パッド34が一端を固定支持され、他端側の自由端は貯留タンク29と展開基材15との間に進出して展開基材15とは非接触で保持されている。この展開液パッド34には乾燥状態の基質が含まれており、後述するように貯留タンク29内の展開液28が落下・投入されると基質を溶解して含んだ状態で展開基材15に輸液させられる。展開液パッド34は好ましくは展開基材15と同一材質であり、同一幅に形成され、展開基材15の上方に分離した状態で位置している。
そして、天面11aの作動部20は、支軸22から検体滴下部24の端縁24cまでの長さをL1とし、支軸22から押圧部23の突起部23aまでの長さをL2とした場合、寸法比はL1<L2に設定されている。
そのため、作動部20は支軸22に対して貯留タンク29を有する部分の方が重量は大きいが、作動部20の端縁24cと突起部23aが筐体13の係止突起31と係止突部32にそれぞれ係止されることで、作動部20は天面11aと面一に保持される。そして、作動部20の押圧部23を押すと突起部23aが上部筐体11の係止突部32を乗り越えて図4に示すように支軸22を中心に貯留タンク29が下方に回動してその側壁29aで展開液パッド34を押して展開基材15に圧接させる。貯留タンク29が押されることで、封止膜30が爪部16,17で破られて展開液28が展開液パッド34及び展開基板15上に供給されることになる。
貯留タンク29の封止膜30を破るための爪部16,17は例えば図7(a)に示す形状を有している。爪部16は展開基材15を挟んで対向して一対設けられており、展開基材15に望む面を形成する頂面が2つの水平角部36a、36bを有する段付きの角板36とこの角板36を裏面側から支える三角形の支持板37とで構成されている。爪部17についても同一の形状を有している。これら各一対の爪部16,17は下部筐体12の底部12aに設けた台座14の傾斜面14bにそれぞれ対向して傾斜状態で固定されている。
これに対し、作動部20の押圧部23を押して支軸22を中心に回動させた際、貯留タンク29の封止膜30は傾斜して台座14の水平面14aに近い側の爪部16、16の一方の角部36aに当接して破断され、更に支持板37に衝突して裂け目が押し広げられる。そして、更に作動部20が傾斜すると、次の一対の爪部17,17の一方の角部36aに別の部分の封止膜30が当接して破断され、更に支持板37に衝突して裂け目が押し広げられる。
このようにして貯留タンク29の封止膜30は少なくとも4箇所で破断されて破れ目を押し広げられるために貯留タンク29内の展開液28の流出口と空気の流入口が確保されて展開液28が外部の展開基板15上に流出する。
また、貯留タンク29の側壁29aは展開液パッド34を展開基板15に押し付けるために、展開液パッド34に吐出する展開液28は展開液パッド34に輸液されて乾燥状態の基質を溶解して展開液パッド34から展開基材15に移動して下流側へ展開する。
なお、爪部16,17は図7(a)に示す形状に限定されることはなく、例えば図7(b)に示すように両側に角部36a、36bを有する頂面に三角形状の頂部を形成してもよい。
また、爪部16、17の形状は頂部または頂面に角部等の鋭角部を有することが好ましいが、作動部20の傾斜によって貯留タンク29の封止膜30を突き破ることができればどのような形状でもよく、図7に示す例に限定されない。
また、爪部16,17は本実施例では、展開基材15を挟むように各一対づつ設けたが、かならずしも4個の爪部16,17は必要なく、好ましくは展開部材15を挟んで両側に対向して、或いは展開部材15の長手方向にずれて2個以上設けられていればよい。なお、爪部16,17は破断部材を構成する。
次に上部筐体11の長穴部19に対する作動部20の取り付け構造について図8乃至図13により説明する。
図8、10において、上部筐体11の天面11aに形成した長穴部19に揺動可能に装着する作動部20はその長手方向略中央部の両側から略円柱状の支軸22、22を突出させており、各支軸22の端縁24c方向を向く端部はテーパ状に切除されたテーパ部22aを形成している(図12参照)。
一方、各支軸22、22を受け入れる長穴部19の両側凹部40,40は、図12に拡大斜視図が示されている。図12に示す凹部40は、支軸22を受け入れるための上方に開口する略鍵穴形状を有しており、凹部40内にはテーパ状凸片41と、開口を狭める一対の幅狭部42、42と、凸片41を乗り越えた支軸22を回転可能に支持する円形の軸受凹部43とが設けられている。なお、図9と図11は作動部20の支軸22、22を嵌合させる凹部40,40のみを断面で示している。
そのため、上部筐体11の長穴部19への作動部20の装着に際して、図8において、天面11aに対して略垂直に立てた作動部20の支軸22、22を凹部40、40内の開口に押し込む。すると、図9、図12(a)に示すように、各支軸22のテーパ部22aが凹部40のテーパ状凸片41と面接触または線接触して弾性変形してテーパ状凸片41を乗り越える。これと同時に各支軸22に押された凹部40の開口近傍に設けた幅狭部42,42が弾性変形して後退することで、図10,図11に示すように支軸22は幅狭部42,42を乗り越えて軸受凹部43内に収容される。そして、テーパ状凸片41と幅狭部42,42が弾性復帰することで支軸22が軸受凹部43から脱落するのを防止させて回転可能に保持する(図12(b)参照)。
この状態で、作動部20を支軸22回りに略90°回転させると、作動部20は長穴部19を閉鎖させ、作動部20の端縁24cと突起部23aは上部筐体11の係止突起31と係止突部32とにそれぞれ係合して天面11aと面一に係止させられる。そして、図13(a)に示すように凹部40に対して下向きにテーパ部22aを設けた支軸22は作動部20の略90°の回転によって横向き状態に保持される。
また、図3、図4に示す展開基材15は、作動部20の検体滴下部24の下方に検体添加領域44が設けられ、検体添加領域44上には、検体の検出すべき抗原、抗体と反応する抗体、抗原等の免疫反応物質を酵素標識した多量の標識試薬が含有されている標識試薬パッド45が酵素標識試薬領域として設置されている。
標識試薬パッド45は展開基材15と同一材質でもよく、吸水性のある材質であればよい。標識試薬パッド45は、例えばニトロセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール等の多孔質の天然または合成の高分子化合物からなる材料で形成されたスポンジ、吸水性不織布、濾紙等を用いることができる。
標識試薬パッド45において、付着される標識試薬として用いる酵素は、公知の標識に用いられる任意の酵素があげられる。具体的には、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、エステラーゼ、β−D−グルクロニダーゼなどが挙げられる。好ましくはより高感度で安定な検出を達成することが可能なペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼである。かかる酵素は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
また、展開液パッド34に乾燥状態で付着させる基質は、酵素と反応して発色し得る基質であればよく、発色基質、蛍光基質、発光基質等の発色性化学物質を用いることができる。例えば、酵素がアルカリフォスファターゼの場合、p−ニトロフェニルホスフェート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)、AS−TRホスフェート等が挙げられる。また、酵素がペルオキシダーゼの場合、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン)−6−スルホン酸、o−フェニレンジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、o−ジアニジジン、5−アミノサリサイクリックアシッド、3,3’−ジアミノベンジシン、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、4−クロロ−1−ナフトール等が挙げられる。
基質としての発色性化学物質の塗布量としては、BCIPを例にとると、発色を明瞭にするという観点から塗布部1cm 当たり0.1〜10mg程度が好ましい。発色基質の量が低いと発色強度が得られず、一方で発色基質の量が多いとバックグランドが高くなり、検出感度が得られなくなる。
展開基材15において、検体添加領域44の下流側には反応観察窓21に対向する位置に検出領域46が設けられている。検出領域46では検体中の検出すべき抗原または抗体と反応する抗体、抗原等の免疫反応物質を物理的吸着や化学結合等によって展開基材15に保持する。検体中の抗原または抗体は、検出領域46に固定化されている抗体または抗原にトラップされて留まり、検体中の抗原または抗体は酵素標識試薬と結合しているために酵素標識試薬が検出領域46に留まり、検出領域46ではトラップされた酵素が展開液28で輸液された基質と反応する。検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれているか否かを発色の有無によって検出する。
発色の有無は上部筐体11における反応観察窓21を通して観察できる。
検出領域46の下流側には吸収パッド47が配設され、検出領域46でトラップされない余分な展開液28や検体や酵素が吸収される。また検体に検出すべき抗体または抗原を含まない場合には標識試薬や展開液28等が吸収パッド47に吸収されて液止めされる。
なお、展開液28には酵素阻害剤は含まれていないが、発色を停止させるために含めてもよい。酵素阻害剤は、酵素の基質結合部位に基質の代わりに結合し、酵素活性を可逆的に阻害する拮抗型酵素阻害剤、または基質結合部位とは異なる部位で酵素と結合して酵素分子の構造を変化させて阻害する非拮抗型酵素阻害剤である。なお、酵素阻害剤は、展開液パッド34上の基質より上流側に添加し乾燥させて設けても良い。
ここで、酵素としてアルカリ性ホスファターゼを用いる場合、酵素阻害剤としては、例えばリン酸、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)、リン酸モノエステル、ナフトールリン酸、グリセロールリン酸、フェニルホスフェート、ホスフォエタノールアミン、ホスフォリルコリン、フェナンスロリン、グリコースリン酸等のリン酸化合物、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコースビス四酢酸等のキレート化合物を挙げることができる。
酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合には、酵素阻害剤として、アスコルビン酸等の還元剤、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム等のアジ化化合物を挙げることができる。酵素としてβ−Dガラクトシダーゼを用いる場合には、酵素阻害剤として、ラクトース等を挙げることができる。また、いずれの酵素の場合においても、所定時間後の検出ゾーンでの酵素の至適pHをずらすために、酸又は塩基等を酵素阻害剤として使用することもできる。
本実施形態による酵素免疫測定器具10は上述の構成を備えており、次にこの酵素免疫測定器具10を用いた酵素免疫測定方法について説明する。
図1に示す酵素免疫測定器具1の未使用状態では、作動部20は上部筐体11の長穴部19に嵌合されており、図3に示すように、展開液28は作動部20の裏面の貯留タンク29内に封止されている。貯留タンク29の封止膜30の下側に片持ち支持した基質を含む展開液パッド34が下方の水平に保持された展開基材15と離間している。
この状態から、図3において、検体として全血を検体滴下部24からスポイトやピペット等の器具を使用して展開基材15の検体添加領域44に向けて滴下する。すると、検体滴下部24の下面に固定された血球分離膜26では血清・血漿を分離透過させ、赤血球等の血球類を分離除去する。そして、血球分離膜26を透過した検体としての血清・血漿は、検体添加領域44で、検体が酵素標識試薬を含有させた標識試薬パッド45の酵素標識試薬と抗原抗体反応し、検体添加領域44から展開基材15を毛細管現象によって下流側の検出領域46に向けて流れると共に上流側にも流れて拡散する。上流側に拡散する検体と酵素標識試薬の反応液は、展開基材15が展開液パッド34と非接触であるために反応液中の酵素が基質と反応することはない。
そして、この酵素免疫測定方法では、標識試薬パッド45を中心に検体と酵素標識試薬との抗原抗体反応が起こってから、展開液28を標識試薬パッド45に流す必要があるため、検体の滴下後、所定時間経過した時点で酵素免疫測定器具10における作動部20の押圧部23を下方に押す(図2参照)。
すると、図4に示すように、作動部20の押圧部23の端縁に設けた突起部23aが、上部筐体11に設けた係止突部32を弾性変形させて乗り越え、作動部20は支軸22を中心に図4で時計回りに回動する。ここで、作動部20は支軸22、22から検体滴下部24の端縁24cまでの距離L1よりも支軸22、22から押圧部23の突起部23aまでの距離のL2の方が長く、しかも押圧部23の裏面には展開液28の貯留タンク29が設けられているために容易に時計回りに回動する。
支軸22、22を中心に下方に回動する突起部23aが係止突部32を乗り越えると、貯留タンク29の封止膜30は台座14の傾斜面14bに設けた各一対の爪部16,17の角部によって順次破断されて展開液28の流出穴と空気の流入穴が形成される。これと同時に検体滴下部24は上方に回動して展開基材15の検体添加領域44から離間する。これによって、血球分離膜26で分離された血球も検体添加領域44から離間する。
そして、突起部23aが係止突部32を乗り越えた位置で突起部23aの上端は係止突起部32に係止させられ、作動部20は逆転することなく傾斜した状態に保持される(図4参照)。また、貯留タンク29が下方に傾斜することで、その側壁29aが展開液パッド34を押して展開基材15に押し付ける。これによって展開基材15の可動傾斜部15bは押されて曲がり台座14の傾斜部14bに押し付けられる。
貯留タンク29から流出した展開液28は展開基材15に吸収され、毛細管現象によって検体添加領域44方向に展開する。また、一部の展開液28は貯留タンク29内から展開液パッド34に吸収されて基質を溶解させ、他の展開液28と共に展開基材15に吸い取られる。そして、展開基材15を毛細管現象で輸液される基質を含む展開液28は、標識試薬パッド45における検体と酵素標識試薬との反応液を下流側の検出領域46に移送させる。
ここで、検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれている場合には、検体中の抗原または抗体が検出領域46に固定保持されている抗体または抗原にトラップされ、検体中の抗原または抗体は酵素標識試薬と反応しているため、酵素標識試薬も検出領域46に留まる。
次に、検出領域46にトラップされた酵素は展開液28中の基質と反応し、基質は発色する。検出領域46における発色の有無は上部筐体11の反応観察窓21を通して観察できる。展開液28やトラップされなかった反応液等はその下流側の吸収パッド47に吸収される。
一方、検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれていない場合には、酵素標識試薬が検出領域46でトラップされないために発色せず、吸収パッド47に吸収される。
なお、検体滴下部24における血球分離膜26が滴下された全血から血球と血清・血漿とを分離した後、検体滴下部24が展開基材15から分離することなく展開基材15(検体添加領域44)に接触したままに保持されていると、展開基材15を輸液される展開液28中に含まれる界面活性剤及び塩が血球分離膜26に捕捉された赤血球に接触して赤血球が破壊され、赤色のヘモグロビンが溶出してしまう。すると、検出領域46にトラップされた酵素と展開液28中の基質とが反応して発色する場合でも、検出領域46での判定が困難になる。
この点、本実施例では、上述のように、検体を滴下した後、検体滴下部24を展開基材15から離脱させることで、赤血球の破壊を防止することができ、検体中に抗原または抗体が含まれるか否かを確実に判定できる。
上述のように本実施例による酵素免疫測定器具10及び酵素免疫測定方法によれば、検体として全血を用いる場合、予め遠心分離器等で血清・血漿を分離することなく全血を供給して血球分離膜26で血球を簡単に分離除去して血清・血漿を抽出して検査できる。
しかも、作動部20の押圧部23を押すことによって、貯留タンク29から展開液28を展開基材15に供給して検体の測定を行える。しかも、この押圧操作によって、血球分離膜26を設けた検体滴下部24を展開基材15(検体添加領域44)から分離できるから、血球分離膜26に捕捉された血球中の赤血球が展開基材15を移動する展開液28に含まれる界面活性剤及び塩によって破壊されて基質と酵素による発色反応を判別できなくなることを防止できる。
そのため、構成が簡単で小型の酵素免疫測定器具10を用いて、全血を検体としながらも簡単な操作で血清・血漿を分離して検体中の抗原や抗体の有無を確実に判定できる。
また、本第一実施例では、下部筐体12における台座14の上流側部分に傾斜部14bを設けたから、作動部20の押圧部23を押して支軸22回りに傾斜させる際、貯留タンク29が一体に傾斜して展開液パッド34と展開基材15の可動傾斜部15bを水平状態から台座14の傾斜部14bに当接するまで傾斜させることができる。そのため、酵素免疫測定器具10の筐体13の厚みを比較的小さく形成でき、酵素免疫測定器具10を小型化できる。
しかも、展開液26に酵素阻害剤を含まないから、その分コストを低減できる。
以上、本発明の第一実施例について説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。次に、本発明の他の実施例について説明するが、上述の第一実施例と同一または同様な部材、部品等には同一の符号を用いて説明を省略する。
図14、図15は本発明の第二実施例による免疫測定器具50を示す縦断面図である。
第二実施例による免疫測定器具50は、着色粒子法を用いたイムノクロマト法による測定器具である。着色粒子法による特異抗体の測定では特異抗体以外の抗体の除去、展開基材15における展開を阻害する物質の除去や検体中の非特異的な反応を生じる物質の除去のために、上述した酵素免疫測定器具10を用いた酵素免疫測定方法と同様に、展開液28を展開基材15に輸液する必要がある。
そのため、本第二実施例による着色粒子法を用いた免疫測定器具50は基本的に第一実施例による酵素免疫測定器具10と同一構成を備えている。本第二実施例による免疫測定器具50において、着色粒子法では気質を用いないので展開液パッド34に基質を含浸させる必要がない。この場合でも、展開液パッド34を設けることで展開液の輸液がスムーズになる。また、展開液パッド34を除くこともできる。また、展開基材15において検体添加領域51には酵素標識試薬に代えて、着色粒子標識として例えば金コロイド等の着色粒子標識抗体または抗原を標識試薬パッド52に含浸させるものとする。
本第二実施例による免疫測定器具50はこのような構成を備えており、次に着色粒子法を用いた免疫測定方法について説明する。
図14において、作動部20の検体滴下部24に全血を検体として滴下し、展開基材15の検体添加領域51に接触させた検体滴下部24の血球分離膜26で血球を分離して血清・血漿を検体添加領域51に含浸させる。そして、検体である血清・血漿を標識試薬パッド52に含浸させた金コロイド等の着色粒子標識抗体または着色粒子標識抗原からなる着色粒子標識と反応させる。
着色粒子標識試薬を用いたイムノクロマト法で血清・血漿中の抗原を測定する場合には、一般的に展開液は用いられない。しかし、感染症の梅毒、HBV、HCV等の抗体測定やダニ、スギ、卵白、牛乳等に対するアレルギー診断のために測定される特異的1gEの測定では検出領域における特異抗体以外の抗体の除去が必要となり、展開液が輸液される。このようなケースで、全血を測定試料として使用する際には本発明の免疫測定器具と免疫測定方法が利用される。
血清・血漿は、検体添加領域51で、標識試薬パッド52に含浸させた着色粒子標識試薬と抗原抗体反応し、検体添加領域51から展開基材15を毛細管現象によって下流側の検出領域46に向けて流れると共に上流側にも流れて拡散する。
そして、この免疫測定方法では、標識試薬パッド52を中心に検体と着色粒子標識試薬との抗原抗体反応が起こってから展開液28を標識試薬パッド52に流す必要がある。そのため、検体の滴下後、所定時間経過した時点で免疫測定器具50における作動部20の押圧部23を下方に押す。
そして、図15に示すように、突起部23aが係止突部32を下方に乗り越えた位置で突起部23aの上端は係止突部32に係止させられ、作動部20は逆回転することなく傾斜状態に保持される。貯留タンク29が下方に傾斜することで、封止膜30は爪部16,17に順次破断され、裂け目が広がる。これによって、貯留タンク29内の展開液28が流出して展開基材15に吸収され、毛細管現象によって検体添加領域51方向に展開する。
そして、展開基材15を毛細管現象で輸液される展開液28は、標識試薬パッド52における検体と着色粒子標識試薬との反応液を下流側の検出領域46に移送させる。
ここで、検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれている場合には、検体中の抗原または抗体が検出領域46に固定保持されている抗体または抗原にトラップされ、検体中の抗原または抗体は着色粒子標識試薬と反応しているため、着色粒子標識試薬も検出領域46に留まる。
このように検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれている場合には、検出領域46でトラップされた着色粒子が蓄積し、着色ラインが形成される。検出領域46における着色の有無は筐体13の反応観察窓21を通して観察できる。展開液28やトラップされなかった反応液等はその下流側の吸収パッド47に吸収される。
一方、検体中に検出すべき抗原または抗体が含まれていない場合には、着色粒子標識試薬が検出領域46でトラップされないために着色せず、吸収パッド47に吸収される。
なお、上述した免疫測定器具10,50及びその測定方法は、高感度測定機等の設備を所有していない開業医や小病院や保健所等の施設で診断用に用いられているイムノクロマト試薬において、高感度な検査や迅速な診断が求められる検査に特に有用である。例えば、特に高感度及び迅速診断が求められる心筋梗塞の診断用試薬や夜間等の緊急検査に利用される感染症の診断用試薬のための免疫測定器具として利用できる。
また、本発明による免疫測定器具と免疫測定方法は、上述したように酵素免疫測定法を利用したイムノクロマト試薬、着色粒子法を利用したイムノクロマト試薬等を用いて全血を測定試料とした検査に適用できる。更には血液中の薬物の測定や、豚コレラ、牛のアカバネ病等の動物の診断や食品中のO157等の微生物検査にも利用できる。
なお、上述の各実施例で、作動部20の回動の支点をなす支軸22は必ずしも作動部20の長手方向中央付近に設けなくてもよいし、支軸22から作動部20の長手方向両端までの距離の比がL1<L2でなくてもよい。支軸22から突起部23aまでの距離L2がL1より短くても作動部20の突起部23aは筐体13の係止突部32で逆回転しないように係止されるので不具合はない。
10 酵素免疫測定器具(免疫測定器具)
13 筐体
14b 傾斜部
15 展開基材
16、17 爪部
20 作動部
21 反応観察部
22 支軸
23 押圧部
23a 突起部
24 検体滴下部
24c 端縁
26 血球分離膜
28 展開液
29 貯留タンク
30 封止膜
31 係止突起
32 係止突部
34 展開液パッド
44、51 検体添加領域
45 酵素標識パッド
47 吸収パッド
50 免疫測定器具
52 着色粒子標識パッド

Claims (8)

  1. 毛細管現象によって輸液可能な展開基材を用いて滴下された検体に検出すべき抗原または抗体を含むか否かを判別する免疫測定器具において、
    前記展開基材には、検体が添加される検体添加領域及び標識試薬領域と、これら検体添加領域及び標識試薬領域の下流側に設けた検出領域とが設けられ、
    前記展開基材に対向する位置に回動可能な作動部が設けられ、
    該作動部は、前記検体添加領域に対向する回動の一方側に検体である全血を滴下する検体滴下部と全血から血球を分離除去する血球分離膜とを備え、回動の他方側に前記展開基材の検体添加領域の上流側に展開液を貯留した貯留タンクを備え、
    前記貯留タンクに対向する位置に前記作動部が回動した際に貯留タンクから展開液を流出させるための破断部材が設けられたことを特徴とする免疫測定器具。
  2. 前記作動部は回動の支点から貯留タンクまでの長さが前記検体滴下部までの長さより大きく設定されている請求項1に記載された免疫測定器具。
  3. 前記破断部材は前記貯留タンク内に展開液を封止する封止膜を破るための爪部である請求項1または2に記載された免疫測定器具。
  4. 前記展開基材を保持すると共に前記作動部を回動可能に支持する筐体が設けられ、前記作動部の貯留タンクと前記筐体には互いに係合可能な係合部と係止部とが設けられ、前記貯留タンクは係合部が前記筐体の係止部を乗り越えて回動可能とされている請求項1乃至3のいずれかに記載された免疫測定器具。
  5. 前記標識試薬は酵素標識試薬である請求項1乃至4のいずれかに記載された免疫測定器具。
  6. 前記貯留タンクと展開基材との間には基質を含む展開液パッドが前記展開基材と非接触に配設され、前記作動部が回動して貯留タンクから展開液が流出した際に前記展開液パッドが貯留タンクに押されて前記展開基材に接触するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載された免疫測定器具。
  7. 前記標識試薬は着色粒子標識試薬である請求項1乃至4のいずれかに記載された免疫測定器具。
  8. 毛細管現象によって輸液可能な展開基材を用いて滴下された検体に検出すべき抗原または抗体を含むか否かを判別する免疫測定方法において、
    回動可能な作動部の一方側に設けた検体滴下部に全血を滴下すると、血球分離膜によって血球が分離除去されて血清と血漿とが前記展開基材の検体添加領域に供給されて標識試薬と反応させられ、
    その後、前記作動部を回動させると前記検体滴下部に設けた前記血球分離膜が展開基材から離間すると共に、前記作動部の他方側に設けた貯留タンク内の展開液が前記展開基材の検体添加領域の上流側に供給され、
    展開液は前記展開基材を毛細管現象によって前記検体添加領域へ輸液されて前記標識試薬と検体との反応を判別させるようにしたことを特徴とする免疫測定方法。
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