JP5345993B2 - 地震動の予測システム - Google Patents

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Description

本発明は、地震発生時の初期段階において、主要動が到達する前に、緊急地震速報および現地の地震計が観測した地震動レベルに基づいて、上記地震による現地での揺れの大きさ等を予測するための地震動の予測システムに関するものである。
近年、気象庁の緊急地震速報によって、地震発生後数秒程度で、発生した地震のマグニチュードや震源位置等に関する情報を受け取ることができるようになっている。
そして、震源から数十Km以上離れた地点においては、S波に起因する地震動の主要動が到達するまでに数秒から数十秒の余裕があるため、例えば下記特許文献1に見られるような、上記緊急地震情報により、地震被害の発生を防止する技術が提案されている。
ところが、このような緊急地震速報は、一般に第1報の精度が悪く、情報が更新されるにつれて徐々に精度が向上することが知られている。このため、上記緊急地震速報のデータを利用した地震動の予測にあっては、上述したように震源から離れた地点の建物に対しては、相応の防災対策を採ることが可能であるものの、建物から比較的短距離の地点で発生した地震や、当該建物に近い地点において発生した直下地震に対しては精度の高い情報が間に合わず、所望とする防災効果を奏することができないという問題点がある。
すなわち、直下地震の場合、地震発生から緊急地震速報の第2報が到達するまでに10秒程度の時間を要する。このため、S波速度が3km/sである場合には、震源から30kmの地点では緊急地震速報が間に合わないことになる。したがって、概ね震源から50km以上離れた地点においては、精度のよい緊急地震速報を利用することができるが、約50km以内の地点においては、有効利用することが難しいという問題点があった。
このような問題点を解決する手段として、現地に地震計を設置して、当該地震計が観測した地震の初期微動(P波)により、最終的な地震動レベルを予測する技術も提案されている。
そして、上述した震源から約50km以内の地点においては、上記地震計が観測した初期微動から算出された地震動レベルの予測値と、緊急地震速報からの地震動レベルの予測値とを、ほぼ同時に得ることができる。
そこで、下記特許文献2においては、地震発生によるS波到達予測時刻及び予測震度を含む緊急地震速報が送られてくると、前記緊急地震速報を受信して前記予測震度が設定震度を超えるか否かを判定して第1の判定結果を出力する受信手段と、前記地震発生により到来するP波を検出するP 波地震計を有し、前記P波地震計の検出結果に基づき、到来予定の地震の種類を判定すると共に到来予定のS波の震度を予測判定して第2の判定結果を出力するP波検出手段と、前記第1及び第2の判定結果に基づき、前記到来予定のS波の予測震度が設定値を超えるか否かの確認判定を行い、前記設定値を上回った時にトリガ信号を発信する判定手段と、前記トリガ信号を受信すると起動して、前記S波到来前に保護対象の動作又は停止を制御する制御手段と、を有することを特徴とする地震防災システムが提案されている。
特開2003−66152号公報 特開2007−108012号公報 福島美光・田中貞二、「気象庁マグニチュードによる震源スペクトルのスケーリング則」、日本建築学会構造系論文報告集、第425号、pp.19-25、1991。 壇一男・宮腰純一、八代和彦、「中小規模地震の観測記録から得られる地盤増幅特性に基づく大規模地震の応答スペクトルの簡易評価法」、日本建築学会構造系論文報告集、第480号、pp.35-46、1996。
しかしながら、一般に、地震計が観測した初期微動から算出された予測値や、緊急地震速報に基づく予測値には、それぞれ予測誤差があり、両者の予測結果には大きな隔たりがある場合が多いのに対して、上記従来の地震防災システムにあっては、両者を比較して、いずれか一方を採用するとともに、他方を棄却しているために、例えば半導体製造工場等の多くの嫌振機器類が設置された構造物のように、防災上、地震による揺れの速度や加速度を高い精度で予測して、上記機器類の運転を制御しようとする要請には、そのままでは対応することができないという問題点があった。
また、一般に、地震動強さを支配する要因の一つである震源特性は、震源スペクトル(ω-2モデルでモデル化されることが多い)で表される。そして、既往の研究(例えば、上記非特許文献1、2)によれば、震源スペクトルと地震の規模を表すマグニチュード(M)の関係(スケーリング則)が、M=5〜5.5程度を境界にして変化することが指摘されている。これは震源スペクトルの折れ点周期(コーナー周期)がマグニチュードによって変化するためである。
加えて、マグニチュードが大きいほど震源断層面が大きくなり、断層面が全て破壊するまでには、ある程度の時間を必要とする。このため、マグニチュードが小さい地震では、断層面が小さく、比較的短時間で断層面の全てが破壊するために、観測される地震波の初期部分を用いることによって震源特性を予測することが可能になると考えられる。
一方、マグニチュードの大きな地震では、断層面が全て破壊するまでにはある程度の時間がかかるため,観測される地震波の初期部分を用いるだけでは断層面のごく初期の破壊に関する情報しか含まれていないため,震源特性を適切に予測することが困難である。
これらの理由により、上記従来の予測システムにおいては、地震データベースを増やす等の方法では、マグニチュードの大きい地震も含めた地震全体についての予測精度向上は困難であった。このため、震源特性のスケーリングが変化するマグニチュードを参考に境界マグニチュードを設定し、それ以上あるいは未満の地震を区別して地震動の強さの予測を行う必要がある。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、特に震源から数十km以内の地点においても、地震発生時の初期段階において、緊急地震速報および現地の地震計が観測した地震動レベルに基づいて、上記地震による現地での揺れの大きさ等をより一層高い精度で予測することが可能になる地震動の予測システムを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の地震動の予測システムは、緊急地震速報の受信手段と、現地に設けられた地震計と、地震発生時に上記緊急地震速報のデータに基づく上記現地での地震動レベルの第1の予測値および上記地震計によって観測された初期微動のデータから算出した上記現地での地震動レベルの第2の予測値を併用して上記現地における予測地震動レベルを算出する解析装置とを備えてなり、上記解析装置は、予め境界マグニチュードが設定されるとともに、上記境界マグニチュード以上の複数の過去の地震時における上記緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値と上記現地で観測された実際の地震動レベルとの間の第1の予測誤差の分散と、上記境界マグニチュード以上の複数の過去の地震時に上記地震計によって現地で観測された初期微動のデータから算出した地震動レベルの予測値と上記実際の地震動レベルとの間の第2の予測誤差の分散、および、上記境界マグニチュードに満たない複数の過去の地震時における上記緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値と上記現地で観測された実際の地震動レベルとの間の第3の予測誤差の分散と、上記境界マグニチュードに満たない複数の過去の地震時に上記地震計によって現地で観測された初期微動のデータから算出した地震動レベルの予測値と上記実際の地震動レベルとの間の第4の予測誤差の分散が設定されており、上記地震発生時に受信した上記緊急地震速報のマグニチュードが上記境界マグニチュード以上の場合に、上記第1および第2の予測誤差の分散の逆比によって、上記第1の予測値および第2の予測値に重み付けをして平均することにより、上記予測地震動レベルを算出し、上記地震発生時に受信した上記緊急地震速報のマグニチュードが上記境界マグニチュードに満たない場合に、上記第3および第4の予測誤差の分散の逆比によって、上記第1の予測値および第2の予測値に重み付けをして平均することにより、上記予測地震動レベルを算出することを特徴とするものである。
ここで、上記地震動レベルとは、当該地震動の加速度、速度、変位量、SI値、計測震度もしくは建物の応答加速度である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記解析装置が、上記緊急地震速報の情報が更新された際に、その都度上記重み付けを変化させて上記予測地震動レベルを算出することを特徴とするものである。
請求項1または2に記載の発明においては、複数の過去の地震時に、上記緊急地震速報から得られた地震動レベルの予測値と現地で計測された実際の地震動レベルとの間の予測誤差の分散と、地震計によって現地で観測された初期微動のデータから得られた地震動レベルの予測値と上記実際の地震動レベルとの間の予測誤差とを求めておき、地震発生時に、解析装置によって、緊急地震速報に基づく上記現地での地震動レベルの第1の予測値と、地震計によって観測された初期微動のデータから算出した現地での地震動レベルの第2の予測値を、上記予測誤差の分散の逆比によって重み付けをして平均することにより統合して予測地震動レベルを得ている。
このため、緊急地震速報から得られた第1の予測値や地震計から得られた第2の予測値を単独で用いる場合と比較して、より多くの情報に基づいた高い精度の地震動レベルの予測を行うことができる。
加えて、本発明においては、上記解析装置に、境界マグニチュードが設定されており、当該マグニチュード以上の複数の過去の地震時における上記緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値と上記現地で観測された実際の地震動レベルとの間の第1の予測誤差の分散と、その際に上記地震計によって現地で観測された初期微動のデータから算出した地震動レベルの予測値と上記実際の地震動レベルとの間の第2の予測誤差の分散、および上記境界マグニチュードに満たない複数の過去の地震時における上記緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値と上記現地で観測された実際の地震動レベルとの間の第3の予測誤差の分散と、その際に上記地震計によって現地で観測された初期微動のデータから算出した地震動レベルの予測値と上記実際の地震動レベルとの間の第4の予測誤差の分散が設定されている。
そして、上記解析装置により、地震発生時に受信した緊急地震速報のマグニチュードが上記境界マグニチュード以上の場合に、上記第1および第2の予測誤差の分散の逆比によって、上記第1の予測値および第2の予測値に重み付けをして平均することにより、上記予測地震動レベルを算出し、上記地震発生時に受信した上記緊急地震速報のマグニチュードが上記境界マグニチュードに満たない場合に、上記第3および第4の予測誤差の分散の逆比によって、上記第1の予測値および第2の予測値に重み付けをして平均することにより、上記予測地震動レベルを算出している。
したがって、震源特性のスケーリングが変化するマグニチュードを参考にして、これに対応した適宜値(例えば、非特許文献1、2において指摘されている5〜5.5の範囲内)に上記境界マグニチュードを設定することにより、より一層高い精度の地震動レベルの予測を行うことが可能になる。
この結果、これまで実際の制御に使用することが困難であった、第1報〜第3報程度の地震発生初期の緊急地震速報等の情報を利用して、極めて高い精度で特定箇所における揺れの速度や加速度を予測することが可能になり、よって半導体製造工場等において上記機器類の運転を細かく制御することも可能になる。特に、マグニチュードが小さい、発生確率の高い地震による現地の揺れを高い精度で予測できることは、製造ラインの停止判断をより正確にできることになり、経済的メリットが大きい。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、上記緊急地震速報の情報が更新されるたびに、その都度解析装置が上記重み付けを変化させて上記予測地震動レベルを算出しているために、リアルタイムで現地でのS波による予測地震動レベルの精度を高めて行くことができる。
本発明に係る地震動の予測システムの一実施形態を示す概略構成図である。 図1の解析装置におけるデータの処理の流れを示すブロック図である。 図1の予測システムを用いた現地での予測地震動レベルの予測方法を説明するための時系列図である。 単独の予測値と統合した予測値の関係を示す模式図であって、(a)は境界マグニチュード以上の場合、(b)は境界マグニチュードに満たない場合を示す図である。 本実施形態における緊急地震速報と現地地震計とによって得られた予測値に対する重み付けの変化を時系列で示すグラフであって、(a)は境界マグニチュード以上の場合、(b)は境界マグニチュードに満たない場合を示す図である。 図1の地震動の予測システムを適用して好適な震源からの距離を示す図である。
図1は、本発明に係る地震動の予測システムの一実施形態の概略構成を示すもので、図中符号1が、このシステムが設置されている半導体製造工場等の建物(現地)であり、この建物1内には、振動を嫌う多くの設備機器(図では、そのうちの1機のみを示している。)2が設置されている。
そして、この建物1内には、地震動のレベルPを検知するための地震計3が取り付けられている。ここで、地震計3によって検出および出力される地震動のレベルとしては、地震動の加速度、速度、変位量、SI値もしくは計測震度、またはこれらの組合せを適用することが可能である。なお、本実施形態においては、以下上記地震動レベルとして計測震度を用いた場合について説明する。
また、この建物1内には、高度利用者向け緊急地震速報の受信手段4からのデータおよび地震計3からのデータが入力され、これらのデータに基づいて建物1における揺れの大きさを予測する解析装置5が設置されている。
この解析装置5には、図4(a)、(b)に示すように、予め複数の過去の地震時における緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値と建物1で観測された実際の地震動レベルとの間の予測誤差の平均値の標準偏差(分散)と、地震計3によって建物1で観測された初期微動(P波)のデータから算出した地震動レベルの予測値と実際の地震動レベルとの間の予測誤差の標準偏差(分散)が設定されている。
すなわち、この解析装置5においては、予めマグニチュード5〜5.5の範囲内に、境界マグニチュードM1が設定されている。そして、図4(a)に示すように、この境界マグニチュードM1以上のマグニチュードM0(M0≧M1)を記録した複数の過去の地震が選択され、当該地震時における緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値x0eと建物1で観測された実際の地震動レベルxobsとの間の第1の予測誤差の平均値Δx0の標準偏差(分散)σ0a(図中線分a)と、その際に地震計3によって建物1で観測された初期微動(P波)のデータから算出した地震動レベルの予測値x1と実際の地震動レベルxobsとの間の第2の予測誤差の標準偏差(分散)σ1(図中線分b)が設定されている。
また、図4(b)に示すように、この境界マグニチュードM1に満たないマグニチュードM0(M0<M1)を記録した複数の過去の地震が選択され、当該地震時における緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値x0eと建物1で観測された実際の地震動レベルxobsとの間の第3の予測誤差の平均値Δx0の標準偏差(分散)σ0b(図中線分a)と、その際に地震計3によって建物1で観測された初期微動(P波)のデータから算出した地震動レベルの予測値x1と実際の地震動レベルxobsとの間の第4の予測誤差の標準偏差(分散)σ2(図中線分b)が設定されている。
また、この解析装置5には、新たな地震発生時に高度利用者向け緊急地震情報として入力される、発生した地震のマグニチュードM、地震発生場所の緯度および経度、深さDのデータと、建物1から震源までの距離Xとから、距離減衰式等の経験式を用いて建物1の地震動レベルの予測値x0eを算出する演算回路が組み込まれている。
加えて、新たな地震発生時に、地震計3によって建物1で観測された初期微動(P波)のデータから予測式を用いて建物1での地震動レベルの第2の予測値x1を算出する演算回路が組み込まれている。なお、上記予測式としては、過去の多数の地震から統計的に得られている予測式や、解析による予測式を用いることができる。
ちなみに、P波から揺れの大きさを統計的に予測する予測式として、例えば、Wu,Y.-M. and Kanamori, H. (2005):Rapid Assessment of Damage Potential of Earthquakes in Taiwan from the Beginning of P Waves,Bulletin of the Seismological Society of America, Volume 95, Number 3,pp. 1181-1185に開示されている予測式を応用することができる。
そして、この解析装置5においては、図2および図3に示すように、地震発生時に、例えば緊急地震速報の第2報を受信した際に、当該緊急地震情報から算出された建物1の地震動レベルの第1の予測値x0eに平均的な予測誤差Δxを補正した第1の予測値x0(x0e+Δx=x0)と、地震計3によって建物1で観測された初期微動(P波)のデータから予測式を用いて建物1での地震動レベルの第2の予測値x1を、以下のように統合して予測地震動レベルx2を算出する演算回路が組み込まれている。
すなわち、先ず上記解析装置5においては、緊急地震速報によって受信した地震のマグニチュードMが、上述した境界マグニチュードM1以上であるか、あるいは境界マグニチュードM1に満たないかを判断する(M≧M1 or M<M1)。そして、上記マグニチュードMが境界マグニチュードM1以上である場合には、下記式1によって上記第1および第2の予測誤差の分散σ0a、σ1の逆比によって重み付けをして平均することにより統合して予測地震動レベルx2を算出する。
Figure 0005345993
これに対して、緊急地震速報によって受信した地震のマグニチュードMが、境界マグニチュードM1に満たない場合には、下記式2によって上記第3および第4の予測誤差の分散σ0b、σ2の逆比によって重み付けをして平均することにより統合して予測地震動レベルx2を算出する。
Figure 0005345993
なお、この解析装置5においては、図5に示すように、上記緊急地震速報の情報が第1報、第2報、第3報と更新されるたびに、その都度上述した演算を行って式1に示した重み付けを変化させて平均することにより予測地震動レベルx2を算出するようになっている。
以上の構成からなる地震動の予測システムによれば、緊急地震速報から得られた第1の予測値x0や地震計3から得られた第2の予測値x1を単独で用いる場合と比較して、より多くの情報に基づいた高い精度の地震動レベルの予測を行うことができる。
すなわち、複数の過去の地震時における緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値x0eには、建物1で観測された実際の地震動レベルxobsとの間には、予測誤差がある。その予測誤差の確率密度分布を正規分布N(Δx0、σ0a)、(Δx0、σ0b)とする(x0e+Δx0=x0)。このとき、新たな地震発生時に観測される観測値xobsの事前確率分布p0(xobs)は、図4(a)あるいは図4(b)中に線分aで示す正規分布N(x0、σ0a)あるいは(x0、σ0b)で表すことができる。
一方、複数の過去の地震時における初期微動と主要動の関係から、主要動の地震動レベルがxobsとなる場合、初期微動から予測される主要動の地震動レベルx1の確率分布p(x1|xobs)は、図4(a)あるいは図4(b)中に線分bで示す正規分布N(xobs、σ1)あるいは(xobs、σ2)で表すことができる。ここで、上記初期微動と主要動の関係は、建物1の地震計3における複数の過去の地震時におけるデータや日本各地における過去の地震時のデータから求めることができる。
なお、本実施形態においては、上記主要動の地震動レベルxobsと地震計による予測値x1の間は、予測が適切に行われていて平均的なずれがないことを前提とする。
以上により、新たな地震発生時に緊急地震速報により主要動の地震動レベルxobsが確率分布p0(xobs)で予測され、その後、地震計3で観測される初期微動から主要動の地震動レベルxobsがx1と予測される場合、緊急地震速報および現地地震計から予測される主要動の地震動レベルxobsの確率分布p1(xobs|x1)は、
Figure 0005345993
Figure 0005345993
と表すことができ、上記確率分布p1(xobs|x1)は、図4(a)あるいは図4(b)中に線分cで示すように、正規分布N(x2、σ1)あるいは正規分布N(x2、σ2)となる。ここで、x2は、上記式1、2で示した通りである。
図4(a)、(b)から、緊急地震速報から得られた第1の予測値x0や地震計3から得られた第2の予測値x1を単独で用いる場合と比較して、より多くの情報に基づいた高い精度の地震動レベルの予測を行うことができることが判る。
この結果、近年上記非特許文献1、2において指摘されている、震源スペクトルと地震の規模を表すマグニチュードの関係(スケーリング則)が、M=5〜5.5程度を境界にして変化するという事象を包含した、より一層高い精度の地震動レベルの予測を行うことが可能になるとともに、図6に示すように、これまで実際の制御に使用することが困難であった、特に震源から数十km以内の地点においても、地震発生時の初期段階において、第1報〜第3報程度の地震発生初期の緊急地震速報および現地の地震計が観測した地震動レベルに基づいて、上記地震による現地での揺れの大きさ等を高い精度で予測することが可能になり、よって半導体製造工場等の高い精度で揺れの速度や加速度を予測して上記機器類の運転を制御しようとする要請にも応えることが可能になる。特に、マグニチュードが小さい、発生確率の高い地震による現地の揺れを高い精度で予測できることは、製造ラインの停止判断をより正確にできることになり、経済的メリットが大きい。
地震発生時の初期段階において、主要動が到達する前に、緊急地震速報および現地の地震計が観測した地震動レベルに基づいて、上記地震による現地での揺れの大きさ等を予測するために利用される。
1 建物(現地)
3 地震計
4 緊急地震速報の受信手段
5 解析装置

Claims (2)

  1. 緊急地震速報の受信手段と、現地に設けられた地震計と、地震発生時に上記緊急地震速報のデータに基づく上記現地での地震動レベルの第1の予測値および上記地震計によって観測された初期微動のデータから算出した上記現地での地震動レベルの第2の予測値を併用して上記現地における予測地震動レベルを算出する解析装置とを備えてなり、
    上記解析装置は、予め境界マグニチュードが設定されるとともに、
    上記境界マグニチュード以上の複数の過去の地震時における上記緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値と上記現地で観測された実際の地震動レベルとの間の第1の予測誤差の分散と、
    上記境界マグニチュード以上の複数の過去の地震時に上記地震計によって現地で観測された初期微動のデータから算出した地震動レベルの予測値と上記実際の地震動レベルとの間の第2の予測誤差の分散、および、
    上記境界マグニチュードに満たない複数の過去の地震時における上記緊急地震速報のデータに基づく地震動レベルの予測値と上記現地で観測された実際の地震動レベルとの間の第3の予測誤差の分散と、
    上記境界マグニチュードに満たない複数の過去の地震時に上記地震計によって現地で観測された初期微動のデータから算出した地震動レベルの予測値と上記実際の地震動レベルとの間の第4の予測誤差の分散が設定されており、
    上記地震発生時に受信した上記緊急地震速報のマグニチュードが上記境界マグニチュード以上の場合に、上記第1および第2の予測誤差の分散の逆比によって、上記第1の予測値および第2の予測値に重み付けをして平均することにより、上記予測地震動レベルを算出し、
    上記地震発生時に受信した上記緊急地震速報のマグニチュードが上記境界マグニチュードに満たない場合に、上記第3および第4の予測誤差の分散の逆比によって、上記第1の予測値および第2の予測値に重み付けをして平均することにより、上記予測地震動レベルを算出することを特徴とする地震の予測システム。
  2. 上記解析装置は、上記緊急地震速報の情報が更新された際に、その都度上記重み付けを変化させて上記予測地震動レベルを算出することを特徴とする請求項1に記載の地震の予測システム。
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