以下、本発明による冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、図1〜図7を用いて本発明の実施の形態1の冷蔵庫の構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫の正面図である。
図1に示すように実施の形態1の冷蔵庫51は、観音開き式の扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体52内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
実施の形態1の冷蔵庫51は、具体的には上部より冷蔵室53、製氷室54、製氷室54に併設され庫内の温度が可変できる切換室55、野菜室56、および冷凍室57を備えている。
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。具体的には、冷蔵室53には断熱箱体52の開口部を開閉可能に塞ぐ左扉60aおよび右扉60bが設けられている。
また、製氷室54、切換室55、野菜室56、および冷凍室57にはそれぞれ引き出し式の扉61、扉62、扉63、および扉64が設けられている。
収納性や使い勝手の観点から、左扉60aは右扉60bより左右方向の長さ、つまり横幅が短く構成されており、製氷室54と切換室55とが分割された位置とほぼ同じ左右方向の位置で分割されている。
なお、貯蔵室の扉は、収納形態等によって、左扉と右扉の横幅が同一の観音開き式扉である場合もあり、また、左扉および右扉のいずれか一方を引き出し式扉で構成することもある。ここで、「横幅が同一」とは完全一致のみを意味するのみならず実質的に同一であることを意味する。他の寸法および位置等を「同一」または「一致」という場合も同様である。
また、野菜室56と冷凍室57の後側には、図示しない冷却器およびファンが設けられており、冷蔵庫51の本体下部に設置された圧縮機により冷却器が駆動され、冷却器から冷却された空気が各貯蔵室に送られる。また、それぞれの貯蔵室ごとに所定の温度に冷却制御される。
図2は、実施の形態1の冷蔵庫51の扉を開けた状態の斜視図であり、図3は、冷蔵庫51の縦断面図(図1に示すA−A断面図)である。
図2および図3に示すように、冷蔵室53には、食品などを整理して収納するための複数の棚板80が左側面から右側面に渡って架橋状に設置されている。
これら複数の棚板80により冷蔵室53内に複数段に亘る収納空間が形成されている。
また、冷蔵室53の開口部には、上述のように左扉60aおよび右扉60bが設置されている。具体的には、左扉60aおよび右扉60bはそれぞれ断熱箱体52の左右の端部にヒンジ81で枢支されている。
このような観音開き式の左扉60aと右扉60bの内側縁部には、ガスケット85が取り付けられており冷蔵室53内の冷気の外部への流出が防止される。
また、左扉60aは冷蔵室53側に上下方向に複数の左ドアポケット90を有しており、右扉60bは同様に複数の右ドアポケット91を有している。
具体的には、各ドアポケットは、扉内板89などに一体形成した図示しない保持部材などにより固定され、収納物を保持する際の保持強度を確保している。また、扉内板89および各ドアポケットの貯蔵室側の面で庫内面が形成されている。
これら各扉における複数のドアポケットは冷蔵室53内に複数段に亘る収納空間を形成している。また、これら複数のドアポケットのそれぞれは、主に飲料などのペットボトルや調味料などのビン類を収納する目的で、前後左右に壁を有し上方が開口した形状である。
つまり、各ドアポケットは扉内壁に内方突出状に設けられる突出部の一例であり、上方に開口する凹陥部を有している。
なお、突出部は凹陥部を必ずしも必要とするものではなく、物品を載置できるものであればよい。
また、各ドアポケットが扉側の壁(後壁)を持たず、扉内板89を後壁として利用する場合もある。
また、冷蔵室53の壁面を構成する内箱70の前方位置の左右両側を凹ませた空間に照明装置87が設けられ、図示しないカバーなどでその空間が覆われている。この照明装置87により、貯蔵室内が前方から照らされる。照明装置87の光源は、複数のLED(発光ダイオード)である。すなわち、照明装置87は、冷蔵室53の左側面および右側面のそれぞれに取り付けられ、棚板80の前端面よりも前方から冷蔵室53内を発光ダイオードを光源として照射する装置の一例である。
棚板80の前端面よりも前方から冷蔵室53内を照らすことで収納物に影ができず、利用者は収納物を見易くなる。そのため、利便性が向上する。また、発光ダイオードは、従来の電球に比べて、消費電力が小さく、また、長持ちする。したがって、省エネルギー化が可能になる。
また、冷蔵室53内の収納空間の最下段には、肉魚などの保鮮性向上のためのチルドケース82やタマゴ等を収納する小物ケース83が配置されている。
また、図3に示すように、断熱箱体52は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱70とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱71とで構成された空間に発泡断熱材72が注入された断熱壁で構成されている。
また、冷蔵室53の後方、つまり棚板80の後側には、上述の冷却器によって冷やされた冷気を貯蔵室内に送風するための冷気ダクト84が設けられている。
一般的に冷気ダクト84は断熱箱体52内部の奥側のほぼ全体で構成するものであり、必要に応じて棚板80のそれぞれの間に図示しない吐出孔が設けられ、それぞれの収納空間に冷気を行き渡らせるよう構成されている。また、冷気ダクトは、複数の棚板80の位置決め手段や固定手段として用いることもできる。
図4は、実施の形態1の冷蔵庫51の横断面図(図1に示すB−B断面図)である。
図4に示すように、冷蔵室53の開口部に位置する両扉間においては、仕切体86が配置され、両扉が閉まった時にその仕切体86とガスケット85とによって、両扉間の隙間がシールされる構造になっている。
仕切体86は、左扉60aの右端に取り付けられており、右扉60bが先に閉められた後からでも左扉60aを閉めることができるよう左扉60aの開閉とともに回動する構造になっている。
そのため、仕切体86の後方側(冷蔵室側)には仕切体86が回動する空間が若干ながら必要である。
なお、両扉の周縁部に取り付けられたガスケット同士の接触により両扉間の隙間がシールできる場合は、中央部に仕切体86を設置しなくてもよい。
また、棚板80は、左ドアポケット90、右ドアポケット91と冷気ダクト84との間の貯蔵室空間内に配置されており、かつ、左ドアポケット90および右ドアポケット91と干渉しないようにある程度のこれらドアポケットとの間に隙間を設けられている。
なお、棚板80は、内箱70に一体成形された突起等に載置されることで断熱箱体52に支持固定され、かつ、ほぼ水平になるよう配置されている。
ここで、本実施の形態においては、左右の扉の関係と同様に左ドアポケット90は右ドアポケット91よりも幅方向が短い。さらに左ドアポケット90の上面開口の奥行き寸法Cと右ドアポケット91の上面開口の奥行き寸法Dとの関係がC<Dとなっている。
このように、冷蔵庫51においては、右ドアポケット91の方がより貯蔵室内側へ突出し収納スペースを大きくするよう構成されている。つまり、観音開き式の扉の内扉面から冷蔵室53の奥面までの距離が左右で異なっており、左側の方が当該距離が長くなっている。
また、棚板80は、このような大小関係にある左ドアポケット90および右ドアポケット91の形状に対応し、奥行き寸法が冷蔵室53の開口部から向かって左右で異なる長さになっている。
棚板80がこのような形状をすることにより、冷蔵庫51全体の大きさを変えることなく、従来の冷蔵庫よりも収納スペースを増加させている。
以下に、本実施の形態における棚板80並びに左ドアポケット90および右ドアポケット91がもたらす効果について説明する。
冷蔵室53の開口部に構成される観音開き式の左扉60a、右扉60bはヒンジ81を軸にして左扉60aおよび右扉60bの境界から外側に回転して開く。この動きに伴い、各扉が有する左ドアポケット90および右ドアポケット91もそれぞれの扉とともに回動する。
このとき一方の扉と他方の扉(それぞれ、取り付けられたドアポケットも含む)とを干渉させないように、各ドアポケットをそれぞれの扉の回転軌跡内(一点鎖線)に収まる形状にする必要がある。
本実施の形態においては、右ドアポケット91は左側に傾斜部分を設け、右扉60bの回転軌跡内に収まる範囲で奥行き寸法を左ドアポケット90より長くする。また、左ドアポケット90は上述のような傾斜部分を作ることなく左扉60aの回転軌跡内に収まるよう幅及び奥行き寸法を比較的短くする。
つまり、左ドアポケット90の収容可能量は比較的小さなものとなるが、右ドアポケット91を大きくすることで左右のドアポケットの合計収納可能量は一定の量が担保される。
ここで、右ドアポケット91の奥行き寸法が長くなればなるほどその傾斜部分は急になり、右ドアポケット91および左ドアポケット90と棚板80と間の空間、つまり仕切体86の後方付近に無効スペースが大きくなるのが一般的である。
なお、ドアポケットが左側であるか右側であるかに関わらず、その奥行きが長くなればなるほどその傾斜部分は急になり、上述の無効スペースが増加することとなる。
そこで、本実施の形態では、棚板80の奥行き寸法が短い側の前端面と、内扉面から奥面までの距離が短い側の内扉面とが対向し、棚板80の奥行き寸法が長い側の前端面と、内扉面から奥面までの距離が長い側の内扉面とが対向するよう構成される。
具体的には、図4に示すように、棚板80の奥行き寸法が短い右側の前端面と、奥行き寸法が長い右ドアポケット91とが対向し、棚板80の奥行き寸法が長い左側の前端面と、奥行き寸法が短い左ドアポケット90とが対向している。
つまり、右ドアポケット91および左ドアポケット90で構成される突出部の奥行き寸法は、棚板80の奥行き寸法に沿って対応する寸法である。
これにより、仕切体86の後方付近にできる無効スペースを小さくし、貯蔵室内の収納スペースを増加させることが可能となる。
具体的には、図4に示すように、棚板80は、棚板80の左端辺の奥行き寸法をE、右端辺の奥行き寸法をFとすると、E>Fを満たしかつ、EとCとの和がFとDとの和とおおよそ等しくなる形状である。
このように、棚板80はその前端部の左右方向の形状が左ドアポケット90と右ドアポケット91とに相対した形状をしている。
従って、本実施の形態における棚板80は、その前端辺に従来の冷蔵庫の棚板にはなかった前後方向の段差を有していることになる。この段差を構成する部位を段差部92とする。
段差部92は、棚板の左側の前端面と右側の前端面とを曲面により連続的に繋ぐ部位である。ここで、照明装置87は段差部92を照射する。これにより、利用者が冷蔵庫の扉を開けたときの美観を向上させることが可能になる。
また、奥行き寸法がEである部分を含む棚板80の左側の部分を大棚板部93とし、奥行き寸法がFの部分を含む棚板80の右側の部分を通常棚板部94とする。
大棚板部93と通常棚板部94とは、おおよそ段差部92の左右方向の中心点から奥行き方向に延伸した直線の左側(大棚板部93)と右側(通常棚板部94)とで区別することができる。
なお、大棚板部93と通常棚板部94との区別の方法は上記方法に限られず、例えば、図4において奥行き寸法がFである領域のみを通常棚板部94とし、他の領域を大棚板部93としてもよい。
本実施の形態において、大棚板部93の前端面と通常棚板部94の前端面とは段差部92により連続的に繋げられている。
またこの曲線形状は、傾斜部分を含む右ドアポケット91の形状に合わせた結果の形状である。このように右ドアポケット91の形状に沿うような形で通常棚板部94の各寸法を決定することは、無効スペースを小さくする上で特に効果的である。
そのため、本実施の形態の棚板80の形状は、左ドアポケット90、右ドアポケット91および棚板80を合わせた貯蔵室全体の収納可能な棚底面積が拡大し、収納スペースを効率良く増加させる形状であるといえる。
なお、段差部92の形状は、奥行き寸法の長い右ドアポケット91に干渉しないような形状であればよい。ここで、右ドアポケット91の形状は、左扉60aに干渉しない形状であり、つまり、右扉60bの回転軌跡内に収まる形状である。
従って、段差部92は右扉60bの回転軌跡の外側であれば、右ドアポケット91に干渉しないことになる。また、無効スペースを少なくするためは、段差部92が有する曲面は、右扉60bの回転軌跡の弧に対応した弧を有する曲面であればよい。
また、左ドアポケット90の小さくなった収納スペースを補うべく、右ドアポケット91を通常の奥行き寸法よりも長いものとする。
これにより、両ドアポケットを合わせた収納スペースはおおよそ変えることなく棚板80の収納スペースのみを増加させたことになる。
つまり、本実施の形態の冷蔵庫51は、その全体の大きさを変えることなく、従来の冷蔵庫よりも収納スペースを増加させている。
また、前述したような観音開き式の扉の回転軌跡による無効スペースは、ヒンジ81の位置を前に移動させることなどによって回転軌跡の位置を前方へ移動させて、その大きさを抑制することは可能である。
しかし、近年、ペットボトルやビン類の消費量の増加や、使用者が扉を開けてすぐに物を出し入れできるという利便性からドアポケットの収納スペースを大きくすることに対するニーズが高まっている。
これにより、近年の冷蔵庫ではドアポケットが貯蔵室内側へより突出する傾向が高まり、結果として貯蔵室内の無効スペースが増加する傾向にある。
このような傾向に対し、本実施の形態の冷蔵庫51は、全体の大きさを変えることなく、従来の冷蔵庫よりも収納スペースを増加させている。すなわち、従来よりも収納効率および利便性の高い冷蔵庫である。
これら説明した内容は、図4に示す冷蔵室53の単なる1つの横断面における効果である。しかし、観音開き式の扉の全高において左ドアポケット90および右ドアポケット91の回転軌跡形状はほぼ同じである。
そのため、複数段に亘って収納空間を構成している複数の棚板80及び複数の左ドアポケット90および右ドアポケット91をほぼ同様の形状にすることによって、貯蔵室内の全高に亘って収納スペースを増加することができ、大きな効果を得ることができる。
また、上下方向の複数の棚板80を、上段から下段までの各棚の前端辺を平行となる位置にする、つまり、複数の棚板80は、各前端面の奥行き方向の位置が同一となるように設置される。
これにより、使用者による見た目の統一感がとれるとともに、非常にデザイン性にも優れるものとなる。
さらに、複数の棚板80を同一部品により構成することができ、このことは、部品の兼用化による製造コストの削減や、製造工程での作業負担軽減による製造コストの削減にも寄与する。
左ドアポケット90、右ドアポケット91に関しても棚板80と同様に上下に亘る複数のドアポケットについて部品を兼用化できる可能性もあり、その場合も同様に製造コストの削減等に非常に効果的である。
また、棚板80は、上述のように、奥行きの大小を構成する左ドアポケット90および右ドアポケット91の形状に応じて、大棚板部93と通常棚板部94とを有している。つまり、大棚板部93に従来にないような大きな収納可能な領域を有している。
大棚板部93は、奥行きが長いことが特徴であり、取っ手つきの鍋や一升瓶などの比較的長い収納物を、他の収納物等の出し入れを邪魔することなく安定的に置くことができる。
このことは、使用者からすると、多量の物を区分けして冷蔵庫51に収納する上で、また、多量の収納物の中から所望の収納物を取り出す上で便利である。
このような効果は、単に左ドアポケット90および右ドアポケット91の奥行き寸法CおよびDを小さくし、棚板80の奥行き寸法EおよびFを大きくすれば得ることは可能である。
しかし、この場合、使用者にとって非常に利便性の高いドアポケットの収納量を減少させてしまうため、逆に貯蔵室の収納性が悪くなり使い難いものになってしまうことから現実的ではない。
また、棚板80は比較的薄い平板状にすることで、複数段に亘る収納空間を極力大きくすることができる。つまり、収納スペースを増加させることができる。また、最も視覚的に気になる棚板80の前端辺に圧迫感を持たせることがない。
さらに棚板80を透明性の材質で作製することにより、棚板80が与える圧迫感を少なくし、かつ広々感が損なわれることがない。また、冷蔵室53内に清潔感を持たせることもできる。
また、本実施の形態においては、棚板80の段差部92は角張った段ではなく、滑らかなウェーブ状の形状、例えばR形状またはC面とり形状等である。
このことは、棚板80において応力集中の発生や歪みを防止するための補強構造としての効果もある。そのため、収納物を載置したときでも、たわみや割れを防止できるとともに、見た目にもキレイでデザイン的にも優れたものになることからも非常に有効な手段である。
ここで、収納物を出し入れする間口を形成する棚板80の前端辺はどこにも支持されないのが一般的である。そこで、本実施の形態においては、図5に示すように、棚板80は、ステンレスなどで成形した金属板95を縁材として有している。
図5は、実施の形態1における棚板80の斜視図である。
図5に示すように、棚板80が前端面に金属板95を備えることで、強度を増すことができるとともに、化粧板として使うことができるという利点を有する。
なお、図5では、前端面の全幅に金属板95が取り付けられているが、少なくとも段差部92を含む部分に縁材を有していればよい。段差部92付近が最も応力集中が発生し易いためである。
また、図5に示すように、棚板80の上面および下面を挟み込むように金属板95を取り付けた場合、棚板80上に置かれたものが前端部から落下し難くすることもできる。
また、棚板80は、収納物の形状などに応じて、高さ方向に差替えができたり、棚板80を折りたたんで奥行き方向の寸法を可変したりすることができるようにしてもよい。
また、上記の棚板80は単一の平板状で構成させるもので説明したが、ちょうど前記段差部92付近で分割された2部品構成であっても、大棚板部93を構成する棚、通常棚板部94を構成する棚とで構成され、その間に段差部92が存在していれば、無効スペースをある程度小さくするという上記と同様の効果が得られる。
ここで、透明性があり、ウェーブ状の段差部92を有する棚板80の前端面に化粧としての金属板95を取り付けた場合を想定する。
この場合、この棚板80および金属板95に貯蔵室の前方から照明装置87により光が照射されると、使用者の目線の方向とほぼ同じ方向から光が照射されることになる。これにより、貯蔵室内の収納物が非常に見やすくなるとともに、ウェーブ状の段差部92を持つ棚板80のデザイン性はさらに向上されることになる。
また、棚板80の材質をガラスにすると、光の透過性が増し、クリーンでかつ強度にも優れたものにできるので一石二鳥である。
また、照明装置87にLEDを利用し、内箱70の断熱壁に埋め込むよう構成することで、従来、主に冷気ダクト84や天井に証明装置が設けられていた場合と比べると、省スペース化することができる。
また、上述のように、左ドアポケット90は奥行長さCが比較的短い構造になっている。そのため、図6に示すように、仮に左扉60aが90度しか開かない使用環境であっても、間口寸法Gは、収納物を取り出せることができる程度の長さを有している。
つまり、本実施の形態の冷蔵庫51では、前方に突出した大棚板部93によって収納物をより手前に位置させることが可能なことも合わせ、左扉60aが十分に開かないような使用環境においても、棚板80に置かれている収納物を出し入れし易いという利点を有している。
また、本実施の形態の冷蔵室53は、冷蔵庫51において最上部に配置されている。従って、冷蔵庫51を、近年主流となっている内容積が400L超タイプである本体高さ1800mm程度の冷蔵庫とした場合、使用者の目線と同程度の高さに冷蔵室53の収納物が位置することとなる。
これにより、使用者は収納物の出し入れが簡単にできる。さらに、観音開き式の左扉60aに設けた左ドアポケット90、右扉60bに設けた右ドアポケット91、および棚板80の形状に上述したような工夫が凝らされていることで、飛躍的に貯蔵室内の収納スペースが増加し、収納物の大きさおよび形状にあわせた効率の良い収納を実現できる。
例えば、使用者は、調味量やドレッシングなどの比較的小さいビン類は左ドアポケット90に収納し、ペットボトルや牛乳パックなどの比較的大きいものは右ドアポケット91に収納するといった区分収納が可能である。
さらに、棚板80についても、奥行き寸法が長く幅が狭い大棚板部93を頻繁に出し入れしない食材を収納するストックゾーンとして使用し、奥行きが比較的短く横幅が大棚板部93より広い大棚板部93を頻繁に出し入れする食材を収納するフローゾーンとして使用するといった区分収納も可能である。
つまり、使用者は冷蔵室53内を大きく4つのゾーンに区分し、目的に応じて各区分を使用することが可能となる。
また、冷蔵室53の開口部を最も大きいものとし、その下方に引出し扉を備えた製氷室54、切換室55、野菜室56などを配置することで、非常に使い勝手のよい貯蔵室配置を実現できる。
以上説明した実施の形態は、本発明の一つの実施の形態にすぎず、種々の変更、応用が可能である。
例えば、左扉60aは右扉60bよりも左右の長さ、つまり横幅が短いという形態で説明したが、両扉を分割する比率がどのような割合であってもよい。
つまり、両扉を分割する比率がどのような割合であっても、奥行き寸法の長いドアポケットに棚板80の通常棚板部94を対向させ、奥行き寸法の短いドアポケットに棚板80の大棚板部93を対向させることで、収納スペースの増加量に若干の差はあるものの、ほぼ同様の効果が得られる。
また、左ドアポケット90の奥行き寸法を小さいものとしたが、比較的右利きの使用者が多い中で、主に使い勝手を考慮した結果であり、仮に左右ドアポケットの構成が逆であったとしても同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、左扉60aおよび右扉60bの左右方向の長さ、つまり左扉60aの横幅と右扉60bの横幅とを同一にしてもよい。
ここで、図3に示すように、左扉60aの横幅が右扉60bの横幅よりも短い場合、おおよそではあるが、大棚板部93の横幅と通常棚板部94の横幅とが同一となる。
そこで、図7に示すように、左扉60aの横幅と右扉60bの横幅とを同一にする。これにより大棚板部93の横幅が長くなる。そのため、大棚板部93上により多くの食品等を置くことが可能となる。
また、本実施の形態において、棚板80の前端面に縁材として金属板95を取り付けることで、棚板80の強度およびデザイン性等を向上させるとした。
しかしながら、棚板80の全周に縁材を取り付けてもよい。例えば、棚板80を樹脂で作製する場合、棚板80を内箱70に設置するための係止部等を一体成型により設けることができる。つまり容易に棚板80に突起を設けることができる。
しかし、棚板80をガラスで作製した場合、例えば係止部を棚板80に設けるためには、ガラス製の棚板80に接着剤等で係止部を取り付ける必要がある。
そこで、例えば、ガラス製の棚板80の全周を覆う縁材を樹脂等で作製し、一体成型により係止部を縁材に設けることが考えられる。
この場合、当該縁材をガラス製の棚板80に取り付けることで、棚板80を内箱70に設置するための係止部も棚板80に設けられることとなる。
図8は、ガラス製の棚板80にその全周を覆う縁材を取り付けた状態を示す図である。
図8に示す縁材96は、例えば樹脂製であり、棚板80の両端に当たる部分に係止部96aが一体成型により設けられている。
また、図示していないが、縁材96の棚板80の後端にあたる位置に冷蔵室53の奥面に支持されるための突起等の係止部を設けてもよい。これにより、棚板80は、冷蔵室53の左右の側面のみならず、冷蔵室53の奥面にも支持されることになる。
ここで、ガラス製の棚板80と、図8に示す縁材96とを別々に作製し、それぞれの完成後に組み合わせてもよく、インサート成型により、棚板80と縁材96とを一体成型してもよい。
インサート成型の場合、縁材96および係止部96aを含む棚板80をより迅速に作製することができる。また、棚板80と縁材96との固着力を向上させることができる。
なお、棚板80をガラスで作製した場合、強度を高める目的では縁材を取り付ける必要がないことも考えられる。
しかし、ガラス製の棚板に取り付けられた縁材は、棚板80の周縁分の保護、棚板80上に置かれた物の落下防止、およびデザイン性の向上等の役割を果たすことができる。
また、金属板95および縁材96等の縁材は、図5および図8に示すように、棚板80の上面および下面を挟み込む形状をしている。
しかし、縁材は、このような形状でなくてもよい。例えば、樹脂製の棚板80の前端面または全周に、棚板80の厚みよりも短辺方向の幅の狭い金属板を埋め込むようにして取り付ける。
このような場合であっても、例えば棚板80の強度を向上させることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の冷蔵庫について図9を用いて説明する。
図9は、実施の形態2の冷蔵庫118の冷蔵室部分の横断面図である。なお、実施の形態1と同じ構成部に関しては同一符号にて示し説明を省略する。
また、実施の形態2の冷蔵庫118は、左右のドアポケットおよび棚板の形状が実施の形態1の冷蔵庫51とは異なっているが、その他の構成部およびその機能等は実施の形態1の冷蔵庫51と同じである。
図9に示すように、実施の形態2の冷蔵庫118は、左扉60a、右扉60b、照明装置87、左ドアポケット100、右ドアポケット101、および棚板102を備えている。
また、左ドアポケット100は左扉60aに支持固定されおり、左扉60aの上下に亘って複数配置されている。右ドアポケット101も同様に右扉60bに支持固定されており、右扉60bの上下に亘って複数配置されている。
棚板102は、これらドアポケットと干渉しない位置および形状でこれらドアポケットと冷気ダクト84との間の空間に上下に亘って複数配置されている。これら複数の棚板80により複数段に亘る収納空間が形成されている。
照明装置87は、冷蔵室の左側面および右側面のそれぞれに取り付けられ、棚板102の前端面よりも前方から冷蔵室内を発光ダイオードを光源として照射する。これにより、棚板102の収納物に影ができず、利用者は収納物を見易くなり、利便性が向上する。また、発光ダイオードは、従来の電球に比べて、消費電力が小さく、また、長持ちする。したがって、省エネルギー化が可能になる。
左ドアポケット100は、右扉60bと干渉しないように図中の左扉60aの回転軌跡内に収まる大きさであり、底面形状がほぼ四角になるような形状をしている。
右ドアポケット101は、左ドアポケット100よりも奥行き寸法を長くしている。また、左扉60aと干渉しないよう図中の右扉60bの回転軌跡内に収めるため、右ドアポケット101の左端の奥行きを短く形成している。
棚板102は、左ドアポケット100および右ドアポケット101と冷気ダクト84との間の貯蔵室空間内に左ドアポケット100および右ドアポケット101と干渉しないようにある程度の隙間が空くよう配置されている。
具体的には、棚板102は、内箱70に一体成形された突起などに載置される形態で内箱70に支持固定され、上下方向でほぼ水平になるよう配置されている。
また、棚板102の形状は、図9に示すように、その左端辺が右端辺より奥行きが長い形状である。
具体的には、左端辺の長さをHとし、右端辺の長さをJとすると、H>Jという関係にある。
また、左ドアポケット100と右ドアポケット101との間、ちょうど仕切体86の後方空間に境界部106を設け、その境界部106から右側は奥行きが徐々に短くなる形状である。
なお、境界部106とは、実施の形態1における棚板80における段差部92と同じく、棚板の奥行き寸法が変わるおおよその境界となる部分である。
つまり、棚板102の境界部106から左側が、実施の形態1における大棚板部93に相当し、境界部106から右側が、実施の形態1における通常棚板部94に相当する。
以下に、本実施の形態における棚板102並びに左ドアポケット100および右ドアポケット101がもたらす効果について説明する。
左ドアポケット100は、上述のように、その底形状が略四角の形状になるよう、幅及び奥行き寸法を比較的小さくすることで、仕切体86の後方の無効スペースを極力小さくすることができる。
また、棚板102の左側を左ドアポケット100の近傍まで突出させる形状にすることで、棚板102の左側部分の奥行き寸法を長くすることができる。
また、右ドアポケット101は、左ドアポケット100の小ささを補うように、左ドアポケット100よりも大きくしている。
これにより使用者にとって非常に利便性の高いドアポケットの収納スペースを減少させずに貯蔵室内の収納スペースを飛躍的に増加させることが可能となる。
特に、棚板102の前端辺の境界部106を左ドアポケット100と右ドアポケット101との間の仕切体86の後方空間に位置させ、かつ棚板102の前端辺に沿うように右ドアポケット101の形状を構成することで、従来から常であった観音開き式に特有の仕切体86の後方空間に存在する無効スペースを最も小さくすることができる。
つまり、本実施の形態の冷蔵庫118は、棚板102、左ドアポケット100、および右ドアポケット101の形状を図9に示すような形状にすることで、実施の形態1の冷蔵庫51と同様に、貯蔵室内の収納可能な棚底面積を拡大することで、冷蔵庫118における収納効率を向上させることができる。
また、冷蔵庫118も、実施の形態1の冷蔵庫51と同様に、冷蔵室内の収納スペースを左ドアポケット100、右ドアポケット101、棚板102の左の領域および右の領域という、それぞれ奥行き寸法等の異なる4つの区画に分けることができる。
これにより、使用者は、収納物の大きさおよび形状に応じた効率のよい区分収納が可能となる。
また、棚板102の前端面には一つの境界部106が存在し、棚板102を上下方向から見た場合、前端辺はおおよそ2つの直線で構成された比較的シンプルな形状である。この場合、前端面に縁材として取り付ける化粧を兼ねた金属板(図示せず)の形状もシンプルにできることからも、安価なコストで棚板102および縁材を作製することが可能となる。
なお、棚板102は、図9に示すように、上下方向から見た場合に前端辺がおおよそ2つの直線で構成された形状でなくてもよい。つまり、棚板102の前端面が境界部106で屈曲するような形状でなくてもよい。
例えば、前端面が境界部106で緩やかにカーブする形状でもよい。また、左扉60aおよび右扉60bの回転軌跡内、および、仕切体86の回動に必要な領域に入らない範囲で、境界部106が仕切体86側に膨らんでいてもよい。
このような場合であっても、度合いの多少の違いはあるものの収納スペースを増加させるといった効果は得られる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の冷蔵庫について図10および図11を用いて説明する。
図10は、実施の形態3の冷蔵庫119の冷蔵室部分の横断面図である。図11は、実施の形態3の冷蔵庫119の左扉110aを開けた時の横断面図である。なお、実施の形態1と同じ構成部に関しては同一符号にて示し説明を省略する。
また、実施の形態3の冷蔵庫119は、左右のドアポケットおよび棚板の形状が実施の形態1の冷蔵庫51とは異なっているが、その他の構成部および機能等は実施の形態1の冷蔵庫51と同じである。
図10に示すように、実施の形態3の冷蔵庫119は、照明装置87と、左扉110aと右扉110bと右ドアポケット111を備えている。しかし、実施の形態3の冷蔵庫119は、実施の形態1および2の各冷蔵庫とは異なり、左ドアポケットは備えていない。
また、実施の形態3の冷蔵庫119はさらに、棚板112を備えており、右ドアポケット111は、右扉110bの上下に亘って複数設置されている。
棚板112は、これら右ドアポケット111と干渉しない位置および形状でこれら右ドアポケット111と冷気ダクト84との間の空間に上下に亘って複数配置されている。これら複数の棚板112により複数段に亘る収納空間が形成されている。
照明装置87は、冷蔵室の左側面および右側面のそれぞれに取り付けられ、棚板102の前端面よりも前方から冷蔵室内を発光ダイオードを光源として照射する。
棚板80の前端面よりも前方から冷蔵室53内を照らすことで収納物に影ができず、利用者は収納物を見易くなる。そのため、利便性が向上する。また、発光ダイオードは、従来の電球に比べて、消費電力が小さく、また、長持ちする。したがって、省エネルギー化が可能になる。
ここで、棚板112は、右ドアポケット111と冷気ダクト84との間の貯蔵室空間内に右ドアポケット111と干渉しないようにある程度の隙間が空くよう配置されている。
具体的には、棚板112は、内箱70に一体成形された突起などに載置される形態で内箱70に保持及び支持固定され、上下方向でほぼ水平になるよう配置されている。
また、棚板112の形状は、図10に示すように、左扉110aの冷蔵室側に位置する空間のほぼ全域を覆う形状であり、右扉110bの冷蔵室側は右ドアポケット111と前後方向で干渉しない形状になっている。
つまり、実施の形態3における棚板112は、実施の形態1における棚板80と同様に前端面に段差のある形状である。
具体的には、棚板112は、段差部114の左側の奥行き寸法をKとし、段差部114の右側の奥行き寸法をLとするとK>Lとなる関係にある。
なお、実施の形態1における棚板80と同様に、棚板112のおおよそ段差部114の左右方向の中心点から奥行き方向に延伸した直線の左側を大棚板部113とし、当該直線の右側を通常棚板部115とする。
以下に、本実施の形態における棚板112および右ドアポケット111がもたらす効果について説明する。
冷蔵庫119において、その冷蔵室内の横断面は図10に示すようにほぼ右ドアポケット111と棚板112により配分される。
また右扉110bと一体となって回転する右ドアポケット111の形状は図中の右扉110bの回転軌跡内に収められている。
さらに、棚板112には、右ドアポケット111と干渉しない奥行き寸法の通常棚板部115が存在し、大棚板部113は左扉110a付近まで突出した形状である。
これにより、従来、観音開き式の扉に特有であったドアポケットと棚板と間の空間、すなわち仕切体86の後方に存在した無効スペースを、仕切体86の回動のための必要最低限の空間を除いてほぼ皆無にすることができる。
つまり、棚板112および右ドアポケット111が図10に示すような形状であることは、収納スペースを増加させるには非常に効果的であることが分かる。
また、左扉110aは収納スペースとしてのドアポケットを有さず断熱壁のみで構成されている。これにより、棚板112を左扉110a近傍にまで突出させることができ、棚板112の奥行き寸法を、左扉110aの内扉面から貯蔵室の奥面までの長さと同程度にすることができる。
この場合、収納物を使用者の目線の正面に、かつ取り出しやすい手前に位置させることができるので、物の出し入れがし易く便利である。さらに長物の収納にも便利である。
また、図10に示すように、棚板112の上面を略L字形状にできる。そのため、右扉110bを開けた際に通常棚板部115の前側の領域に対する物の出し入れはもちろんのこと、左扉110aの庫内方向に存在する段差部114付近の領域に対する物の出し入れも容易となる。
これは、右扉110bを開けると、段差部114付近の領域に対する物の出し入れ方向、つまり、おおよそ横方向の空間が開放された空間になるためである。つまり、右扉110bを開け、横方向から当該領域に対する物の出し入れができる空間の幅が広いからである。
また、右ドアポケット111と棚板112との貯蔵室内での収納スペース配分に依存するものの、棚板112の載置領域の左右の長さを同程度にする、すなわち、図10に示すLと、大棚板部113の前端面の幅とを同程度にすることができる。
この場合、棚板112に置かれた複数の収納物を目視で確認することが非常に容易になるという利点も有する。
また、図11に示すように、仮に左扉が90度程度しか開かない使用環境であっても、左扉110aを開けたときの間口寸法Mが大きくとれることになる。つまり、従来の左ドアポケットを有するものと比べて、物の出し入れのし易さが格段に向上することになる。
さらに棚板112の大棚板部113に、図2に示すような小物ケース83であって幅方向の寸法がM以下の小物ケース置いた場合を想定する。
この場合、使用者は、左扉110aに邪魔されることなく小物ケースを手前まで引き出すことができる。さらに、時には小物ケースを貯蔵室外に取り出して使用することも簡単にできる。
また、冷蔵庫119も、実施の形態1の冷蔵庫51と同様に、大棚板部113、通常棚板部115、および右ドアポケット111を使い分けることによる区分収納が可能である。
このように、本実施の形態の冷蔵庫119は、実施の形態1および2の各冷蔵庫と同様に、効率よく収納スペースを増加させることができる。さらに、冷蔵庫119において、左扉110a側の貯蔵室空間に様々な引出し機構を設けることで、物の出し入れ性を向上させることも可能である。
つまり、本実施の形態の冷蔵庫119は従来よりも収納効率および利便性の高い冷蔵庫である。
(実施の形態4)
上述のように、実施の形態1〜3の各冷蔵庫は冷蔵室の開口部に左右2枚の扉を有する観音開き式の扉を備えている。また、棚板の左側および右側の奥行き寸法のそれぞれは、扉の内扉面の形状に応じた寸法である。
具体的には、棚板の上記各寸法は、冷蔵室内の無効スペースを埋めるような寸法である。これにより、貯蔵室内の収納スペースを増加させている。また、効率的な区分収納が可能となる等の効果もある。
ここで、棚板が上述のような形状をとることによりもたらされるこれら効果は、観音開き式の冷蔵庫だけでなく、冷蔵室の扉が1枚のみのいわゆる片開き式の冷蔵庫であっても有効である。
そこで、本発明の実施の形態4として片開き式の冷蔵庫に本発明を適用した場合について説明する。
図12は、実施の形態4の冷蔵庫の正面図である。
図12に示すように、実施の形態4の冷蔵庫120は、実施の形態1の冷蔵庫51と同じく、冷蔵室53、製氷室54、切換室55、野菜室56、および冷凍室57を備えている。
また、冷蔵室53には片開き式の扉65が設置されている。使用者は、扉65を開くことにより、冷蔵室53に対する物の出し入れを行うことができる。
図13は、実施の形態4の冷蔵庫120の横断面図(図12に示すB−B断面図)である。なお、実施の形態1と同じ構成部に関しては同一符号にて示し説明を省略する。
図13に示すように、実施の形態4の冷蔵庫120は、ドアポケット97を備えている。ドアポケット97は、扉65に支持固定されており、扉65の上下に亘って複数配置されている。
また、ドアポケット97は、回動軸88側の奥行き寸法Rが、反対側の奥行き寸法Qよりも長い形状をしている。つまり、R>Qの関係にある。
また、冷蔵庫120が備える棚板121は、ドアポケット97と干渉しない位置および形状でドアポケット97と冷気ダクト84との間の空間に上下に亘って複数配置されている。これら複数の棚板121により複数段に亘る収納空間が形成されている。
照明装置87は、冷蔵室の左側面および右側面のそれぞれに取り付けられ、棚板102の前端面よりも前方から冷蔵室内を発光ダイオードを光源として照射する。
棚板80の前端面よりも前方から冷蔵室53内を照らすことで収納物に影ができず、利用者は収納物を見易くなる。そのため、利便性が向上する。また、発光ダイオードは、従来の電球に比べて、消費電力が小さく、また、長持ちする。したがって、省エネルギー化が可能になる。
ここで、棚板121は、実施の形態1の棚板80と同様に、段差部124を有しており、奥行き寸法の長い大棚板部122と、奥行き寸法の短い通常棚板部123とを有している。
具体的には、大棚板部122の奥行き寸法をN、通常棚板部123の奥行き寸法をPとすると、N>Pであり、かつ、NとQとの和はPとRとの和とおおよそ等しい関係にある。
つまり、棚板121は、実施の形態1の棚板80と同様に、貯蔵室内の無効スペースを埋めるよう形作られている。
以下に、本実施の形態における棚板121およびドアポケット97がもたらす効果について説明する。
上述のように、ドアポケットは使用者からのニーズもあり、ある程度大型化する必要がある。またドアポケットを大型化する場合、横幅は貯蔵室の横幅までに制限されるため、奥行き寸法を長くすることとなる。
しかし、ドアポケットの奥行き寸法は、扉の開閉を考慮するとある程度までしか長くすることができない。
具体的には、片開き式の冷蔵庫である冷蔵庫120の場合、扉65の回動中心である回動軸88を中心とし、内箱70の、回動軸88とは反対側の端部を通る円(一点鎖線)内に、ドアポケット97を収める必要がある。
そこで、当該円に干渉しないように、ドアポケット97の回動軸88とは反対側、つまり、ドアポケット97の左側に傾斜部分を設けつつ奥行き寸法を長くすることも考えられる。しかし、この場合、上述のように、その奥行き寸法が長くなればなるほどその傾斜部分は急になり、無効スペースが増加することとなる。また、ドアポケット97の底面形状が三角形に近づくことになり、収納性が悪化する。
そのため、本実施の形態の冷蔵庫120では、ドアポケット97の左側の奥行き寸法を比較的短くすることで、傾斜部部分を設けることなく、扉65の開閉を可能とする。
また、ドアポケット97の右側の奥行き寸法を長くすることで、左側の奥行き寸法を短くしたことによる収容量の減少を補っている。
つまり、ドアポケット97は、全体としてみると、右側が貯蔵室内に張り出した形状になっている。
そのため、ドアポケット97の左側の貯蔵室方向に無効スペースが生じることが考えられる。そこで、ドアポケット97に相対する棚板121は、その無効スペースを埋めるように、左側をドアポケット97に干渉しない範囲で奥行き方向に長くする。
これにより、無効スペースの発生を抑制しつつ、ドアポケット97および棚板121を合わせた貯蔵室全体の収納可能な棚底面積を拡大することができる。
また、実施の形態1の冷蔵庫51と同様に、区分収納が可能であり、使用者にとって使い勝手のよい冷蔵庫である。
このように、本実施の形態の冷蔵庫120は、実施の形態1〜3の各冷蔵庫と同様に、従来よりも収納効率および利便性の高い冷蔵庫である。
なお、上述の各実施の形態において、ドアポケットの突出した部分の下方の冷蔵室の底面には比較的大きくフラットなスペースが存在することになる。
具体的には、冷蔵室の底面の、ドアポケットの下方、かつ棚板の段差部より棚板の奥行き寸法の短い側の空間の下方となる位置に当該スペースが存在する。
このスペースは、扉を閉めると直上にドアポケットが位置することになるため、食品等の載置領域としては使用できない無効スペースである。
しかし、このスペースに凹陥部を設け収納容器をこの凹陥部に埋め込むことで、収納容器に食品等を収めることができる。
図14は、実施の形態4における冷蔵庫の冷蔵室底面に収納容器を設置した場合を示す図である。
図14に示すように、ドアポケット97の下方かつ棚板121の段差部124の右側空間の下方に、収納容器98を配置する。
これにより、例えば、使用者は、棚板121やドアポケット97への収納には向かない小さなしょうゆ瓶等を収納容器98に収納することができる。つまり、冷蔵庫120の収納効率および利便性が向上する。
このような収納容器98は、実施の形態4の冷蔵庫120のみならず、他の実施の形態の冷蔵庫にも同様に設置でき、同様の効果をもたらす。
また、例えば、氷を生成する製氷装置を有する冷蔵庫であれば、製氷装置に水を供給する給水容器として、この収納容器98を使用することもできる。
また、照明装置87は冷蔵室だけでなく収納容器98も照らしてもよい。照明装置87が備えるLEDの一部を奥面に向け、残りを下部に向けることで実現できる。これにより、収納容器98内を明るく照らすことができ、収納容器98内の収納物を見易くすることが可能になる。
以上、各実施の形態の冷蔵庫について説明したが、本発明は、これらの記載内容のみに限定されることはない。また、互いに異なる実施の形態における構成部を組み合わせてもよい。例えば、実施の形態4で説明した片開き式の冷蔵庫120が、ドアポケット97に換えて実施の形態3における右ドアポケット111のように横幅の短いドアポケットを備えてもよい。
図15は、実施の形態4の冷蔵庫120が短いドアポケットのみを備えた場合の横断面図である。
図15に示すように、扉65が、回動軸88側、つまりヒンジに近い右側にのみドアポケット99を有していることにより扉65は右側に突出部を有している。
また、棚板112は、ドアポケット99に対向する右側の奥行き寸法は、棚板112とドアポケット99とが干渉しないように短くなっている。また、左側の奥行き寸法は、右側の奥行き寸法より長く、左側の前端面が扉65を構成する断熱壁の近傍にまで至る長さである。
さらに、棚板112の段差部114は、ドアポケット99に干渉せず、かつ、無効スペースを小さくするように曲面で構成されている。
このように、冷蔵庫120は、図15に示すような構成をとることによっても、本来、無効スペースとなり易い扉65の左側の貯蔵室側の空間を、棚板112によって埋めることができ、収納効率を高いものとしている。
また、図15に示す冷蔵庫120は、棚板112の大棚板部113、通常棚板部115、およびドアポケット99という3つの収納領域を有しており、使用者は効率的に区分収納をすることができる。つまり利便性の高い冷蔵庫である。
また、照明装置87は、冷蔵室の左側面および右側面のそれぞれに取り付けられ、棚板112の前端面よりも前方から冷蔵室内を発光ダイオードを光源として照射する。これにより、棚板112の収納物に影ができず、利用者は収納物を見易くなり、利便性が向上する。また、発光ダイオードは、従来の電球に比べて、消費電力が小さく、また、長持ちする。したがって、省エネルギー化が可能になる。
また、扉65は、貯蔵室側の面の左側に奥行きの浅い収納ポケットを有してもよい。例えば、調味料の入ったチューブ等を立てて保存する小物収納用のスタンドポケットを左側の貯蔵室側の面の左側に有してもよい。
この場合、棚板112の大棚板部113の奥行き寸法を僅かに短くする必要がある。しかし、扉65がこのようなスタンドポケットを備えることにより、冷蔵庫120全体としての収納可能量はさほど変化せず、かつ、棚板112およびドアポケット99への収納に向かない小物を効率よく収納することができる。
また、各実施の形態において、冷蔵室内の収納効率を向上させる棚板等の形状について説明した。
しかしながら、冷蔵室以外の貯蔵室であっても、冷蔵室と同様に、貯蔵室内に棚板が設置され、物を収納可能な突出部を貯蔵室側に備える扉が貯蔵室の開口部に存在する貯蔵室であれば本発明は適用可能であり、各実施の形態における効果と同様の効果が発揮される。
例えば、当該棚板を、図4に示す棚板80と同様の形状にし、当該突出部を、図4に示す左ドアポケット90および右ドアポケット91と同様の形状にすることで、当該貯蔵室における収納効率および利便性は従来よりも向上される。