JP5344274B2 - 新規マンノシルエリスリトールリピッドおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、分子構造中の側鎖脂肪酸に少なくとも1つの水酸基を含む新規マンノシルエリスリトールリピッド、および当該マンノシルエリスリトールリピッドの製造方法に関するものである。
糖脂質は、脂質に1〜数十個の単糖が結合した物質であり、生体内において細胞間の情報伝達に関与するとともに、神経系または免疫系の機能維持にも重要な役割を果たしていることなどが明らかにされつつある。
糖脂質は、糖に由来する性質である親水性と、脂質に由来する性質である親油性との二つの性質を合わせ持つ両親媒性物質であって、このような両親媒性物質は、界面活性物質と呼ばれている。例えば、当該界面活性物質の例としては、生体成分由来であるレシチンおよびサポニン等が知られている。そして、レシチンおよびサポニン等は、石油化学工業が隆盛となるまでは、生体成分由来の界面活性剤(バイオサーファクタント)として広く利用されていた。
近年、石油化学工業の発展に伴って様々な合成界面活性剤が開発され、その生産量が飛躍的に増加するとともに、日常生活には無くてはならない物質となっている。そして、これら合成界面活性剤が、従来から用いられていたバイオサーファクタントに代わって、広く用いられるようになっている。
現在、一般に用いられている合成界面活性剤の種類は、細かな構造の違いまで考慮すれば、数千種類にものぼる。親水性基および/または疎水性基の種類が異なるものから、それぞれのドメインの組成が同じであっても分子量または立体構造の違いによって親水性疎水性バランス(HLB)の異なる同族体など、様々な合成界面活性剤が開発されている。また、合成界面活性剤は、単一種類のみで用いられるだけでなく、混合されて用いられることにより、様々な産業分野において要求される幅広い性能に対応している。
しかしながら、このような合成界面活性剤の使用量が増加するにしたがって環境汚染が広がり、これによって様々な社会問題が生じている。従って、安全性が高いとともに、環境に対する負荷を低減できる生分解性の高い界面活性剤の開発が望まれている。
微生物などが生産する界面活性物質であるバイオサーファクントは、生分解性が高いとともに、低毒性で環境に優しく、新規な生理機能を持つといわれている。このことから、食品、化粧品、医薬品、化学工業、環境分野等にこれらのバイオサーファクタントを幅広く応用すれば、環境調和型の社会を実現できるとともに、高機能な製品を提供する上で極めて有意義である。したがって、近年、バイオサーファクタントを見直す動きが広がりつつある。
微生物が生産する界面活性物質は、糖脂質系、アシルペプタイド系、リン脂質系、脂肪酸系および高分子系の界面活性物質の、5種類に分類することができる。なかでも、糖脂質系の界面活性物質については最もよく研究されている。
上記糖脂質系の界面活性物質としては、例えば、酵母(例えば、カンジダ属酵母)が生産するソホロースリピッド(例えば、特許文献1参照)およびマンノシルエリスリトールリピッド(例えば、非特許文献1〜6参照)などが知られている。
マンノシルエリスリトールリピッド(mannosyl erythritol lipid:MEL)は、界面活性物質としての機能を有する以外に、抗微生物活性、白血病細胞および神経系細胞などの細胞分化誘導活性、糖タンパク質結合活性、抗炎症および抗アレルギー活性、アポトーシス誘導活性、および癌細胞増殖抑制活性などを有するが故に、多様な機能を有することが知られている。
MELの製造方法に関しては、これまで酵母を用いた方法を中心に多くの報告があり、生産量の向上を目的として、菌株の種類、培養条件、または培地組成に関して検討されている。
酵母を用いてMELを製造する方法としては、例えば、Candida sp. B-7株を用いて5質量%の大豆油から5日間で35g/L(生産速度:0.3g/L/h、原料収率:70質量%)のMELを生産する方法(例えば、非特許文献1および2参照)、Candia antarctica T-34株を用いて8質量%の大豆油から8日間で38g/L(生産速度:0.2g/L/h、原料収率:48質量%)のMELを生産する方法(例えば、非特許文献3および4参照)、Candia antarctica T-34株を用いて6日間隔で計3回の逐次流加により24日後に25質量%のピーナッツ油から110g/L(生産速度:0.2g/L/h、原料収率:44質量%)のMELを生産する方法(例えば、非特許文献5参照)、Candida sp. SY-16株を用いて10質量%の植物油脂から回分培養法により200時間で50g/L(生産速度:0.25g/L/h、原料収率:50質量%)のMELを生産し、また、20質量%の植物油から流加培養法により200時間で120g/L(生産速度:0.6g/L/h、原料収率:50質量%)のMELを生産する方法(例えば、非特許文献6参照)、Pseudozyma aphidis株を用いて80質量%の植物油脂から流加培養法により24時間で13.9g/L(生産速度:0.57g/L/h、原料収率:92質量%)のMELを生産する方法(例えば、非特許文献7参照)などを挙げることができる。
また、醤油醸造工程において副産物として生産されるしょうゆ油を原料としてCandia antarctica T-34株を用いて7日間で8質量%のしょうゆ油から17g/L(生産速度:0.1g/L/h、原料収率:21質量%)のMELを生産する方法も報告されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−45195号公報(平成14年2月12日公開) 特開2002−101847号公報(平成14年4月9日公開) T. Nakahara, H. Kawasaki, T. Sugisawa, Y. Takamori and T. Tabuchi:J. Ferment. Technol., 61, 19(1983) H. Kawasaki, T. Nakahara, M. Oogaki and T. Tabuchi:J. Ferment. Technol., 61, 143(1983) D. Kitamoto, S. Akiba, C. Hioki and T. Tabuchi:Agric. Biol. Chem., 54, 31(1990) D. Kitamoto, K. Haneishi, T. Nakahara and T. Tabuchi:Agric. Biol. Chem., 54, 37(1990) D. Kitamoto, K. Fujishiro, H. Yanagishita, T. Nakane and T.Nakahara:Biotechnol. Lett., 14, 305(1992) 金、伊炳大、桂樹徹、谷吉樹:平成10年日本生物工学会大会要旨、p.195 Rau U, Nguyen LA, Schulz S, Wray V, Nimtz M, Roeper H, Koch H, Lang S.: Appl Microbiol Biotechnol., 66(5),551-9(2005)
しかしながら、上記従来から用いられてきたマンノシルエリスリトールリピッドは、水溶性が低いので、水溶性を必要とする用途には使用し難いという問題点を有している。
MELは、エリスリトール、2個の脂肪酸、および2個のアセチル基がマンノースに結合した糖脂質であり、アセチル基の結合位置と数とによって、4種類のMEL(MEL−A、MEL−B、MEL−C、MEL−D)が存在することが知られている。その中で、MEL−Aは水溶性が低いため、水溶性を必要とする用途では使用し難いという問題点を有している。また、マンノースの4位に1個の水酸基を有するMEL−B、マンノースの6位に1個の水酸基を有するMEL−C、マンノースの4位および6位いずれにも水酸基を有するMEL−Dは、MEL−Aと比較して親水性が向上しているものの、水溶性を必要とする用途では、やはりMEL−A同様に使用し難いという問題点を有している。なお、従来型のMEL中で、側鎖脂肪酸残基に水酸基が導入されたものは、まだ知られていない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、高い分解性を備えるとともに毒性が低く、かつ水溶性が向上したマンノシルエリスリトールリピッド、および当該マンノシルエリスリトールリピッドを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、マンノシルエリスリトールリピッドを生産する微生物の培養液中に少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸を添加することによって、従来のマンノシルエリスリトールリピッドよりも水溶性の高い新規マンノシルエリスリトールリピッドを生産できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のマンノシルエリスリトールリピッドは、上記課題を解決するために、下記の一般式(1)、つまり、
(式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるとともに、少なくとも水酸基を1つ含み、Rは、水素またはアセチル基である)
にて示されるマンノシルエリスリトールリピッドであることを特徴としている。
また、本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法は、上記課題を解決するために、
下記の一般式(1)にて示されるマンノシルエリスリトールリピッド、つまり、
(式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるとともに、少なくとも水酸基を1つ含み、Rは水素またはアセチル基である)
にて示されるマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法であって、マンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸、脂肪酸誘導体または植物油を含む培地にて培養することを特徴としている。
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法では、前記脂肪酸は、リシノール酸であることが好ましい。
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法では、前記植物油は、ヒマシ油であることが好ましい。
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法では、前記微生物は、シュードザイマ属に属する微生物であることが好ましい。
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法では、前記シュードザイマ属に属する微生物は、Pseudozyma tsukubaensis、Pseudozyma antarctica、Pseudozyma aphidis、Candida sp. SY16、Pseudozyma parantarctica、Pseudozyma rugulosa、Pseudozyma fusiformata、Pseudozyma hubeiensis、Pseudozyma shanxiensis、Pseudozyma graminicola、またはPseudozyma crassaであることが好ましい。
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドは、分子構造中の側鎖脂肪酸に少なくとも1つの水酸基を有する新規マンノシルエリスリトールリピッドである。
それゆえ、本発明のマンノシルエリスリトールリピッドは、従来のマンノシルエリスリトールリピッドと比較して水溶性が高いので、水溶性を必要とする用途に用いることができるという効果を奏する。
また、本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法は、マンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸、脂肪酸誘導体または植物油を含む培地にて培養する方法である。
それゆえ、本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法は、簡便な方法にて本発明のマンノシルエリスリトールリピッドを製造することができるという効果を奏する。
〔1.マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)〕
従来型のMELは、MEL生産菌の培養によって得られ、下記の一般式(2)に示すように、その化学構造は、4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトールまたは1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトールをその基本構造とするものである。
(式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であり、Rは、水素またはアセチル基である。また、Rは、水素または炭素数2〜24の脂肪族アシル基である)。
より具体的には、従来型のMELとしては、マンノースの4位および6位のアセチル基の有無に基づいて、MEL−A、MEL−B、MEL−C、およびMEL−Dの4種類が知られている。
MEL−Aは、上記一般式(2)中の置換基Rが、ともにアセチル基である。MEL−Bは、上記一般式(2)中、マンノースの4位の置換基Rが水素であるとともに、マンノースの6位の置換基Rがアセチル基である。MEL−Cは、上記一般式(2)中、マンノースの4位の置換基Rがアセチル基であるとともに、マンノースの6位の置換基Rが水素である。MEL−Dは、上記一般式(2)中、置換基Rがともに水素である。
上記MEL−A〜MEL−Dにおける置換基Rの炭素数は、MELを製造するための培地に含有される油脂類中のトリグリセリドを構成する脂肪酸の炭素数、および使用するMEL生産菌の脂肪酸の資化の程度によって変化させ得る。また、上記トリグリセリドが不飽和脂肪酸残基を有する場合、MEL生産菌が上記不飽和脂肪酸の二重結合部分を維持したままで、当該不飽和脂肪酸を用いてMELを合成することができれば、置換基Rとして不飽和脂肪酸残基を含ませることが可能である。つまり、得られる各MELは、通常、置換基Rの脂肪酸残基の部分が異なる化合物である。
また、上記MEL−A〜MEL−Dの置換基Rは、炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるが、当該置換基R中に水酸基は存在しない。
上記MEL−A〜MEL−Dにおける置換基Rは、水素または炭素数2〜24の脂肪族アシル基である。なお、当該置換基R中にも水酸基は存在しない。
したがって、従来型のMELは疎水性が高いので、水溶性を必要とする用途には使用し難い。
一方、本発明のMELは、一般式(1)にて示される構造を有するとともに、側鎖脂肪酸中に少なくとも1つの水酸基を有するものである。なお、上記一般式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるとともに少なくとも水酸基を1つ含み、Rは水素またはアセチル基である。
上記一般式(1)中の置換基Rは、少なくとも1つの水酸基を有する飽和脂肪酸族アシル基であってもよく、少なくとも1つの水酸基を有する不飽和脂肪酸族アシル基であってもよく、特に限定されるものではない。
また、上記一般式(1)中の置換基Rの炭素鎖は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、特に限定されない。
また、上記一般式(1)中の置換基Rに含まれる水酸基の数および位置も、特に限定されない。なお、水溶性をより増加させるためには、水酸基の数は多いほど好ましい。
また、上記一般式(1)中の置換基Rが酸素原子を含有する炭化水素基である場合、含有される酸素原子の数および位置(炭化水素基中の位置)も、特に限定されない。なお、水溶性をより増加させるためには、酸素原子の数は、多いほど好ましい。
更に具体的には、上記一般式(1)中の置換基Rとしては、例えば、12−ヒドロキシ−9−ヘキサデセノイル基、10−ヒドロキシ−7−ヘキサデセノイル基、8−ヒドロキシ−5−テトラデセノイル基、6−ヒドロキシ−3−ドデセノイル基、4−ヒドロキシデカノイル基、2−ヒドロキシオクタノイル基、6−ヒドロキシドデカノイル基、8−ヒドロキシテトラデカノイル基、10−ヒドロキシヘキサデカノイル基、12−ヒドロキシオクタデカノイル基、14−ヒドロキシテトラデカノイル基、12−ヒドロキシドデカノイル基、10−ヒドロキシデカノイル基、8−ヒドロキシオクタノイル基などであることが好ましいが、これらに限定されない。
また、上記一般式(1)中の置換基Rは、いずれもアセチル基または水素であり得る。なお、水溶性をより増加させるためには、水素であることが好ましい。
本発明のMELは、従来型のMELと同様に高い界面活性作用を有するとともに、新たな生理活性および自己集合特性を有し、界面活性剤またはファインケミカルの分野において種々の触媒として用いることができる。さらに、本発明のMELは生分解性を有するとともに、高い安全性を有する点においても非常に意義のある物質である。つまり、本発明のMELは、幅広い用途に用いることができるとともに、低毒性で環境に優しいバイオサーファクタントである。
さらに、従来型のMELは様々な生理活性作用を有することが報告されている。例えば、ヒト急性前骨髄性白血病細胞性HL60株に従来型のMELを作用させると、顆粒系細胞を分化させる白血病細胞分化誘導作用があること。また、ラット副腎髄質褐色細胞腫由来のPC12細胞に従来型のMELを作用させると、神経突起の伸長が生ずる神経系細胞分化誘導作用等の生理活性用を有すること、さらに、微生物由来の糖脂質として初めて、メラノーマ細胞のアポトーシスを誘導することが可能となり(X. Zhao et. Al., Cancer Research, 59, 482-486(1999))、癌細胞増殖抑制作用があること、等が報告されている。これら従来型のMELの生理作用から考えて、本発明のMELにも種々の生理活性を有することが期待でき、例えば、抗ガン剤等の医薬品として、または新規化粧品材料として用いられ得る。
〔2.マンノシルエリスリトールリピッドの製造方法〕
本発明のMELの製造方法は、マンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を用いることを特徴としている。なお、本明細書において「マンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物」とは、従来型のMEL(MEL−A、MEL−B、MEL−CおよびMEL−D)の少なくとも1つを生産することができる微生物が意図される。
具体的には、例えば、シュードザイマ(Pseudozyma)属に属し、かつマンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を培養することによって、上記一般式(1)にて示される構造を有する新規マンノシルエリスリトールリピッドを製造することが好ましい。なお、上記一般式(1)中、置換基Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるとともに、少なくとも水酸基を1つ含む。また、置換基Rは、水素またはアセチル基である。
次いで、本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法にて用いることができる微生物、培地および培養方法について説明する。
〔2−1.微生物〕
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法は、マンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を培養することによって、当該微生物に新規マンノシルエリスリトールリピッドを生産させる方法である。
上記微生物としては、MELを生産する能力を有するものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、上記微生物としては、シュードザイマ属に属する微生物であることが好ましい。
上記シュードザイマ属に属する微生物としては特に限定されないが、例えば、Pseudozyma tsukubaensis NBRC1940(シュードザイマ・ツクバエンシス)、Pseudozyma antarctica NBRC 10736(シュードザイマ・アンタクティカ)、Pseudozyma aphidis DSM70725、Candida sp. SY16、Pseudozyma parantarctica、Pseudozyma rugulosa、Pseudozyma fusiformata、Pseudozyma hubeiensis、Pseudozyma shanxiensis、Pseudozyma graminicola、またはPseudozyma crassa等を用いることが好ましい。なお、上記微生物が、MELを生産することは周知の事実である(例えば、(1)T. Morita, et al., FEMS Yeast Res., 7, 286-292(2007)、(2)M. Konishi, et al., Appl. Microbial. Biotechnol., 75, 521-531(2007)、(3)T. Fukuoka, et al., J. Oleo Sci., 56, 435-442(2007)、(4)特願2007−179892、(5)T. Morita, et al., J. Oleo Sci., in press.など参照)。
また、上記微生物は、例えば、ATCC(American Type Culture Collection)、CBS(Centraalbureau voor Schimmelculues)、DMST(Department of Medical Sciences, National Institute of Health, Thailand)、JCM(Japan Collection of Microorganisms)、NBRC(National Institute of Technology and Evaluation (NITE), Biological Resource Center)等から購入することが可能である。
〔2−2.培地および培養方法〕
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法では、上記微生物が、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸、脂肪酸誘導体または植物油を含む培地にて培養される。
まず、微生物を培養するための培地について説明する。
上記培地としては、基本培地に対して、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸、脂肪酸誘導体または植物油を含有させたものを用いることができる。
上記基本培地としては特に限定されず、例えば、微生物または酵母の培養に一般的に用いられる培地を用いることが好ましい。例えば、上記基本培地としては、YPD培地(イーストエクストラクト 10g、ポリペプトン 20g、およびグルコース 100g)を用いることが好ましい。
また、上記基本培地には、油脂類以外の他の成分を添加することも可能である。上記他の成分としては、炭素源、窒素源、無機塩類、および必要な栄養源等を挙げることができるが、これに限定されない。上記炭素源、窒素源、無機塩類および栄養源としては、微生物が資化し得るものであればよく、特に限定されない。
具体的に上記炭素源としては、炭水化物(グルコース、マンノース、グリセロールまたはマンニトール等の単糖、ショ糖、麦芽糖または乳糖等のオリゴ糖、デンプン、エリスリトール、ソルビトール、リビトール、グリセロール、アラビトールまたはマンニトール等の糖アルコール等)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸またはリンゴ酸等)、アルコール類(エタノールまたはプロパノール等)を用いることが好ましい。
また、具体的に上記窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩、またはペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の含窒素化合物等を用いることが好ましい。
また、具体的に上記無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅または炭酸カルシウム等が用いることが好ましい。
上記基本培地に対して、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸、脂肪酸誘導体または植物油が添加される。
上記脂肪酸としては特に限定されず、製造するMELの構造に応じて、適宜選択することができる。例えば、上記脂肪酸は、DL−2−ヒドロキシ酪酸(DL-2-hydroxybutyric acid)、DL−3−ヒドロキシ−n−酪酸(DL-3-Hydroxy-n-butyric acid)、(±)−2−ヒドロキシヘキサン酸((±)-2-Hydroxyhexanoic acid)、2−ヒドロキシ−n−オクタン酸(2-Hydroxy-n-octanoic acid)、(±)−3−ヒドロキシデカン酸((±)-3-Hydroxydecanoic acid)、(±)−2−ヒドロキシデカン酸((±)-2-Hydroxydecanoic acid)、10−ヒドロキシデカン酸(10-Hydroxydecanoic acid)、12−ヒドロキシドデカン酸(12-Hydroxydodecanoic acid)、3−ヒドロキシミリスチン酸(3-Hydroxymyristic acid)、15−ヒドロキシペンタデカン酸(15-Hydroxypentadecanoic acid)、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(16-Hydroxyhexadecanoic acid)、2−ヒドロキシパルミチン酸(2-Hydroxypalmitic acid)、12−ヒドロキシステアリン酸(12-Hydroxystearic acid)、またはリシノール酸であることが好ましい。さらに、上記脂肪酸は、リシノール酸であることが、より好ましい。リシノール酸以外のヒドロキシ脂肪酸は合成品であるので、高価である。それゆえ、リシノール酸以外のヒドロキシ脂肪酸を大量に入手するのは困難であるといえる。一方、リシノール酸はヒマシ油中に大量に含まれており、最も安価かつ安定的に入手することが可能である。また、リシノール酸では、脂肪酸鎖のほぼ中間位置に水酸基が存在するので、微生物内のMEL生合成経路において、その構造が影響を受けない。つまり、MELの側鎖脂肪酸中にリシノール酸の水酸基がそのまま残存する可能性が高いので、容易に本願発明の新規MELを得ることができる。
また、上記脂肪酸誘導体は、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸誘導体であればよく、特に限定されない。例えば、上述した脂肪酸の誘導体であることが好ましい。
なお、上記基本培地に対しては、上記脂肪酸または脂肪酸誘導体を1種類加えることも可能であるし、複数種類加えることも可能である。
また、上記少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸または脂肪酸誘導体は、例えば植物油由来のものであり得る。なお、上記植物油としては特に限定されないが、例えば、ヒマシ油であることが好ましい。ヒマシ油の主成分はリシノール酸である。したがって、上記植物油としてヒマシ油を用いれば、脂肪酸としてリシノール酸を用いた時と同様の効果を得ることができる。なお、上記基本培地に対しては、上記植物油を1種類加えることも可能であるし、複数種類加えることも可能である。
例えば、微生物としてシュードザイマ・ツクバエンシスNBRC 1940株を用いて新規MELを生産する場合、以下の成分を含む培地を用いることが好ましい。つまり、上記培地には、0.05%〜5%の酵母エキスが含まれていることが好ましく、0.1%〜3%の酵母エキスが含まれていることが特に好ましい。また、上記培地には、0.05%〜5%の硝酸ナトリウムが含まれていることが好ましく、0.1%〜3%の硝酸ナトリウムが含まれていることが特に好ましい。また、上記培地には、0.05%〜5%の大豆エキスが含まれていることが好ましく、0.1%〜3%の大豆エキスが含まれていることが特に好ましい。また、上記培地には、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸が4%〜30%含まれていることが好ましく、8%〜20%含まれていることが特に好ましい。上記構成であれば、シュードザイマ・ツクバエンシスNBRC 1940株の生育が良好であるので、新規MELの側鎖脂肪酸に少なくとも1つの水酸基を導入することが可能である。
次いで、培養方法について説明する。
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法では、上記微生物を培養することによって、新規MELを製造する。
上記微生物を培養する時の培養スケールは特に限定されない。例えば、試験管、フラスコ、またはジャー・ファーメンター等を用いて培養することが好ましい。また、上記スケールの異なる培養方法を組み合わせることも可能である。例えば、種培養、本培養およびMEL生産培養の順に、順次スケールアップしていくことも可能である。
また、培養温度も特に限定されず、微生物に応じて適宜設定することができる。例えば、培養温度としては、15℃〜45℃であることが好ましく、17℃〜40℃であることがより好ましい。上記温度であれば、微生物の生育が良好であるので、多量の新規MELを製造することができる。また、上記温度であれば、培地中に添加される油脂の分散度が良くなるので、当該油脂を微生物が資化し易くなる。その結果、多量の新規MELを製造することができる。また、上記温度であれば、製造された新規MELによって培地の粘度が上昇することを抑制することができる。その結果、製造された新規MELを容易に精製することができる。
また、培養時の培地のpHも特に限定されず、微生物に応じて適宜設定することができる。例えば、培養時の培地のpHとしては、3.0〜8.0であることが好ましく、4.0〜7.0であることがより好ましく、7.0であることが最も好ましい。上記pHであれば、微生物の生育が良好であるので、多量の新規MELを製造することができる。また、上記pHであれば、製造された新規MELが分解することを抑制することができる。なお、pHを調節する場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、塩酸、硫酸、またそれらの水溶液等を用いて培地のpHを調節することが好ましいが、これらに限定されない。
また、培養日数も特に限定されず、微生物に応じて適宜設定することができる。また、培養方法が回分培養であるか連続培養であるかによって、適宜設定することも可能である。例えば、回分培養の場合の培養日数としては、3日〜30日であることが好ましい。培養日数が上記日数よりも少なければ、新規MELの生産量が少なくなる。逆に、培養日数が上記日数よりも多ければ、培養途中で培地中の栄養源が枯渇する。
また、培養時の培地中の酸素量も特に限定されず、微生物に応じて適宜設定することができる。つまり、嫌気的条件下で培養することも可能であり、好気的条件下で培養することも可能である。本発明の製造方法では、微生物を好機的条件下で培養することが好ましい。好機的条件下で培養すれば、微生物を良好に生育させることができるとともに、新規マンノシルエリスリトールリピッドの生産量を増加させることができる。なお、好機的条件下で培養を行うためには、例えば、培養スケールに応じて、適宜公知の方法にて培地中に酸素を供給することができる。例えば、振盪培養法または通気撹拌培養法などによって、培地中に酸素を供給することができる。
更に具体的な培養方法を以下に記載するが、当該培養方法は一例であって、これらに限定されない。
例えば、Pseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株を用いてMELを製造する場合の培養条件(培養温度、培養時間など)としては、25℃、500rpm(攪拌回転)、0.75L/min(Air)の条件にて、5L−jar中で11日間培養することも可能である。
また、まず、2mLの液体培地(グルコース 40g/L、酵母エキス 5g/L、硝酸ナトリウム .3g/L、リン酸2水素カリウム .3g/L、硫酸マグネシウム .3g/L)が入った試験管に1白金耳の種菌を接種して、25℃で振とう培養を行う(種培養)。次いで、得られた菌体培養液1mLを、20mLの液体培地(酵母エキス 5g/L、硝酸ナトリウム 0.3g/L、リン酸2水素カリウム 0.3g/L、硫酸マグネシウム0.3g/L)の入った500ml容坂口フラスコに接種して、25℃で振とう培養を行う(本培養)。次いで、上記菌体培養液を、2.5Lのマンノシルエリスリトールリピッド生産培地(ヒマシ油 100g/L、酵母エキス5g/L、硝酸ナトリウム 0.3g/L、リン酸2水素カリウム 0.3g/L、硫酸マグネシウム 0.3g/L)が入った5L容ジャーファーメンターに接種して、25℃で500rpmの撹拌速度で培養を行うことも可能である。
〔2−3.マンノシルエリスリトールリピッドの回収方法〕
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの分子構造は、基本的には上記一般式(1)における置換基R1の脂肪族アシル基の炭素数、あるいは二重結合および水酸基の有無などが異なる各種化合物の混合物の形態にて得られる。したがって、本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法では、微生物を培養した後、マンノシルエリスリトールリピッドを精製することが好ましい。
新規MELを精製する方法は特に限定されず、適宜公知の脂質精製法を用いることができる。
例えば、各種溶媒を用いて、新規MELを抽出することが可能である。上記溶媒としては特に限定されず、適宜公知の溶媒を用いることができる。例えば、上記溶媒としては、水、アルコール類(例えば、メタノール、無水エタノール、エタノールなどの低級アルコール、または、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール)、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルなどのエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルムなどの有機溶媒を、単独にて、または2種類以上の混合液にて使用することが好ましい。また、別々の培養物を混ぜ合わせた後、1つの培養物として抽出することも可能である。
また、上記抽出工程の後、上記溶媒を除去することが好ましい。上記除去方法としては特に限定されないが、例えば、常温および常圧下で溶媒の沸騰させることによって溶媒を気化させ、これによって溶媒を除去すればよい。
また、溶媒が除去された後の新規MELはそのままの状態で利用できるが、更なる精製工程にかけることも可能である。これによって、更に純度の高い新規MELを取得することが可能になる。なお、上記精製工程にかけた後の新規MELは、例えば、溶液状、ペースト状、ゲル状または粉末状にすることが好ましい。
上記精製工程としては特に限定されず、適宜公知の精製方法を用いることができる。例えば、上記精製工程としては、濾過工程またはカラムによる分離工程を挙げることができるが、これに限定されない。
上記濾過工程では、公知の濾過方法(例えば、ろ紙などに代表される各種フィルターを用いる濾過方法)によって、比較的大きな夾雑物を除去することができる。また、上記カラムによる分離工程では、各種カラム(例えば、イオン交換樹脂、活性炭カラム、またはシリカゲルカラム)を用いて、比較的小さな夾雑物を除去することができ、これによって、例えば脱臭・脱色等を行うことも可能である。
〔2−4.マンノシルエリスリトールリピッドの構造解析法〕
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法によって得られる新規MELの構造解析は従来公知の方法によって行うことができ、特に限定されるものではない。
例えば、精製した後のMELを薄層クロマトグラフィー(thin layer chromatography:TLC)によって解析することが好ましい。
薄層クロマトグラフィーを用いて解析する場合、解析に用いるTLCプレートとしては特に限定されず、適宜公知のTLCプレートを用いることが可能である。例えば、上記TLCプレートとしては、分離層としてシリカゲルを有するTLCプレート(例えば、メルク社製のTLCガラスプレート5715)を用いることが好ましい。
また、上記MELをTLCプレート上に展開する場合に用いる展開溶媒は、上記分離層に応じて、適宜選択することが可能である。例えば、上記展開溶媒としては、酢酸エチル、または、クロロホルム/メタノール混合溶媒(例えば、クロロホルム/メタノール/アンモニア水(または水)=65/15/2)を用いることが好ましいが、これらに限定されない。
また、TLCプレート上に展開された試料は、硫酸(例えば、アンスロン−硫酸試薬)によって茶褐色(なお、アンスロン−硫酸試薬の場合は青色)に呈色することにより、糖脂質成分(MEL)であると判断することが可能である。
なお、薄層クロマトグラフィーを用いて解析する場合には、同時に公知の従来型のMELをTLCプレート上に展開しておけば、移動距離の違いから、新規MELであるか否か確認することが可能である。
また、MELの更に詳細な構造を解析する場合には、H NMR、13C NMR、または二次元NMRによって得られたスペクトルデータと、構造が既知である従来型のMEL(例えば、MEL−A、MEL−B、MEL−C、およびMEL−D)のスペクトルデータとを比較することによって、容易に解析することができる。
また、側鎖脂肪酸の組成を解析する場合には、GC−MS分析法を用いることが可能である。GC−MS分析法の具体的な方法としては特に限定されず、適宜分析条件を設定することができる。例えば、まず10mgのMELを1mlの5%塩酸メタノールに溶解し、95℃で30分間反応させた後、水を加えて反応を止める。次いで、ヘキサンにて脂肪酸メチルエステルを抽出し、GC−MS分析にて脂肪酸組成の解析を行えば、容易に、側鎖脂肪酸組成を確認することができる。
〔1.Pseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株の培養〕
保存培地(酵母エキス 5g/L、大豆エキス 5g/L、NaNO 5g/L、グルコース 40g/L、寒天30g/L)に保存しておいたPseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株を、2mLの液体培地(グルコース 40g/L、酵母エキス 5g/L、大豆エキス 5g/L、NaNO 5g/L)が入った試験管に、1白金耳接種した。
次いで、上記Pseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株を、25℃にて振とう培養(180rpm)した。なお、培養日数は1日であった。
得られた1mLの菌体培養液を、100g/Lの濃度にてヒマシ油が加えられた液体培地(酵母エキス 5g/L、大豆エキス 5g/L、NaNO 5g/L)が20mL入った500ml容量の坂口フラスコに接種した。
次いで、上記Pseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株を、25℃にて振とう培養(180rpm)した。なお、培養日数は11日であった。
以上のようにして得られた菌体培養液を用いて、以下の試験を行った。
〔2.マンノシルエリスリトールリピッドの単離精製〕
培養終了後、菌体培養液に対して等量の酢酸エチルを加え、上下に撹拌した。撹拌後、菌体培養液と酢酸エチルとの混合溶液を静置させ、酢酸エチル層と菌体培養液層とを分離させた。分離後、酢酸エチル層を回収し、当該酢酸エチル層に対して等量の飽和食塩水を加えた。その後、酢酸エチル層と飽和食塩水との混合溶液を上下に撹拌させ、その後、当該混合溶液を静置させて、酢酸エチル層と飽和食塩水層とを分離させた。そして、分離後、酢酸エチル層を回収した。
得られた酢酸エチル層の酢酸エチルをエバポレーションによって留去し、MEL粗抽出物を得た。得られた粗抽出物に対して等量のアセトニトリルを加え、上記粗抽出物を溶解させた。当該溶解物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、ヘプタンとアセトンとの混合比が異なる各種混合溶液を用いて、順次溶出させた。具体的には、ヘプタン:アセトン(50:10)、ヘプタン:アセトン(50:20)、ヘプタン:アセトン(10:10)、アセトンの順番にて、各溶出液を用いて溶出させた。
各溶出液を薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートにチャージし、酢酸エチルを用いて展開した。なお、上記TLCプレートとしては、メルク社製のTLCガラスプレート5715を用いた。展開終了後、TLCプレートを硫酸にて発色させ、MELが含まれている溶出液を確認した。そして、MELが含まれている溶出液を集め、当該溶出液から溶媒を留去してMELを得た。
〔3.マンノシルエリスリトールリピッドの構造解析−1〕
上述した方法によって得たMELの構造と従来型のMELの構造とを、薄層クロマトグラフィーによって比較した。
従来型のMELとしては、MEL−A、MEL−B、およびMEL−Cを用いた。なお、従来型のMEL−Aとしては、Pseudozyma antarctica KM-34(FERMP-20730)株をオリーブ油添加培地にて培養した後、原料油脂等の不純物を取り除いたものを用いた。また、従来型のMEL−Bとしては、Pseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株をオリーブ油添加培地にて培養した後、原料油脂等の不純物を取り除いたものを用いた。また、従来型のMEL−Cとしては、Pseudozyma hubeiensisをオリーブ油添加培地にて培養した後、原料油脂等の不純物を取り除いたものを用いた。なお、従来型のMEL−A、MEL−B、およびMEL−Cは、上述した一般式(2)にて示される化合物である。
薄層クロマトグラフィーの具体的な方法を以下に説明する。
まず、上述した各種MELを薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートにチャージし、酢酸エチルで展開した。なお、上記TLCプレートとしては、メルク社製のTLCガラスプレート5715を用いた。展開終了後、TLCプレートを硫酸にて発色させた。
図1に結果を示す。レーン1〜レーン3は、それぞれ従来型のMEL−A(MEL−A(OL))、MEL−B(MEL−B(OL))、およびMEL−C(MEL−C(OL))を示し、レーン4は、ヒマシ油を原料に培養したPseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株から得られたMEL(MEL−B(CL))を示す。
図1のレーン2およびレーン4に示すように、同じPseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株を用いてMELを生産しても、培地に添加する脂肪酸(植物油)の種類を変えることによって、異なる種類のMELを生産することができることが明らかになった。さらに、図1から、オリーブ油を原料に製造した従来型のMEL−B(OL)よりも、ヒマシ油を原料に製造したMEL−B(CL)の方が、親水性が高いことが明らかになった。
〔4.マンノシルエリスリトールリピッドの側鎖脂肪酸解析〕
10mgの新規MEL(MEL−B(CL))を1mlの5%塩酸メタノールに溶解し、95℃にて30分間反応させた。その後、当該反応液に1mLの水を加えて、反応を止めた。
次いで、上記反応液に2mlのヘキサンを加えてヘキサン抽出を行い、当該抽出物に対してGC−MS分析を行った。なお、GC−MS分析は以下の条件で行った。つまり、GC−MSとしてHP−6890/HP−5973(Agilent社製)、カラムとしてHP−5MS(30mm×Φ0.25mm×0.25μm)、オーブン温度として50℃(2min)−280℃(10min)、オーブン温度の変化速度として15℃/min、注入口温度として300℃、スプリット比として20:1、測定モードとしてSCANモードを用いた。
結果を、表1に示す。
表1に示すように、60%程度の側鎖脂肪酸に水酸基が含まれていた。
〔5.マンノシルエリスリトールリピッドの表面張力の測定〕
新規MEL(MEL−B(CL))の界面活性能について検討した。表面張力の測定には、協和界面科学社製のdrop master DM500を用い、添付のプロトコールにしたがって、様々な濃度のMEL−B(CL)の表面張力を測定した。
図2に示すように、表面張力の値は、MEL−B(CL)の濃度が増加するとともに減少し、臨界ミセル濃度(CMC)に達すると一定となった。なお、図2から、MEL−B(CL)のCMCは2.2×10−5Mであり、γCMCは28.5mN/mであった。
側鎖脂肪酸に水酸基を含まない従来型のMEL−Bの場合、CMCが4.5×10−6Mであることが知られている(例えば、D. Kitamotoら、J. Biotechnol., 29, 91-96(1993)参照)。したがって、MEL−B(CL)は、CMCが5倍に上昇しているので、従来型のMEL−Bと比較して水溶性が向上していることが明らかになった。
一方、MEL−B(CL)のγCMCは、従来型のMEL−BのγCMC(28.2mN/m)とほぼ同じであるので、MEL−B(CL)が優れた表面張力低下能力を保持していることも明らかになった。
〔6.マンノシルエリスリトールリピッドの構造解析−2〕
ヒマシ油を用いて微生物を培養することによって得られた新規MEL−B(MEL−B(CL))の構造を更に詳細に検討するために、H NMR測定、13C NMR測定、および二次元NMR測定によって、MEL−B(CL)の構造解析を行った。
図3(a)に、オリーブオイルを用いて微生物を培養することによって得られた従来型のMEL−B(OL)の13C NMRスペクトルの拡大図を示す。また、図3(b)に、ヒマシ油を用いて微生物を培養することによって得られた、新規化合物であるMEL−B(CL)の13C NMRスペクトルの拡大図を示す。
図3(a)および図3(b)から明らかなように、MEL−B(CL)では、MEL−B(OL)と比較して、化学シフト71.326ppmに新たなピークが確認された。なお、当該ピークは、側鎖脂肪酸に存在する水酸基が結合した炭素に由来するピークであった。
H NMRスペクトルおよび二次元NMRスペクトルからも水酸基の存在が確認されており、以上の結果から、MEL−B(CL)は側鎖脂肪酸に水酸基が結合していることが示された。なお、その化学構造を以下の、一般式(1)に示す。
(式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるとともに少なくとも水酸基を1つ含み、Rは水素またはアセチル基である)。
さらに具体的には、脂肪酸組成分析の結果から、MEL−B(CL)は、鎖長が異なるRを有する様々なMELの混合物であった。基本的には、MEL−B(CL)は、2箇所のRが、それぞれ8−ヒドロキシ−5−テトラデセノイル基である構造を有するもの(図6(a)参照)、または、2箇所のRが、それぞれ8−ヒドロキシ−5−テトラデセノイル基とオクタノイル基とである構造を有するもの(図6(b)参照)を主に含む混合物であった。なお、図6(b)に示すように、上記オクタノイル基は2’位の炭素に、上記8−ヒドロキシ−5−テトラデセノイル基は3’位の炭素に導入されていると予想された。また、上記MEL−B(CL)のRに関しては、4’位の炭素に導入されたRがアセチル基であって、6’位の炭素に導入されたRが水素であった。
は、その全体が、原料である脂肪酸または脂肪酸誘導体に由来する構造である。この時、脂質のβ酸化(例えば、D. Kitamoto, et al., Biotechnol. Lett., 20, 813-818 (1998)参照)を経て、炭素数が2ずつ減少した様々な脂肪酸が、RとしてMEL中に導入される。
例えば、植物油脂のようにC18脂肪酸が主成分である原料の場合、実際にMEL中に導入される脂肪酸は、C18〜C2である脂肪酸等の混合物である。なお、導入される脂肪酸の鎖長のバリエーションは、用いる微生物の種類によって異なる。例えば、Pseudozyma tsukubaensisの場合、C14脂肪酸などの比較的長い脂肪酸がMEL中に導入される。一方、後述するPseudozyma antarcticaなどの場合、C8〜12脂肪酸などがMEL中に導入される。
したがって、これらの事実に基づけば、培地中に添加される脂肪酸、脂肪酸誘導体または植物油を選択することによって、所望の新規MELを製造することが可能になる。
〔7.Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株の培養〕
保存培地(麦芽エキス 3g/L、酵母エキス 3g/L、ペプトン 5g/L、グルコース 10g/L、寒天 30g/L)に保存しておいたPseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株を、2mlの液体培地(グルコース 20g/L、酵母エキス 1g/L、硝酸ナトリウム 1g/L、リン酸2水素カリウム 0.5g/L、硫酸マグネシウム 0.5g/L)が入った試験管に1白金耳接種した。
次いで、上記Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株を、28℃にて振とう培養した。なお、培養日数は1日であった。
得られた菌体培養液を、40g/Lの濃度にてヒマシ油が加えられた液体培地(酵母エキス 1g/L、硝酸ナトリウム 1g/L、リン酸2水素カリウム 0.5g/L、硫酸マグネシウム 0.5g/L)が20mL入った坂口フラスコに接種した。
次いで、上記Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株を、28℃で振とう培養した。なお、培養日数は7日であった。
以上のようにして得られたPseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株のバイオサーファクタントの生産を、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって確認した。なお、展開溶媒としては、クロロホルム:メタノール:7Nアンモニア水=65:15:2である混合溶液を用い、指示薬としては糖脂質を青緑色に発色させるアンスロン硫酸試薬を用いた。また、TLCプレートとしては、メルク社製のTLCガラスプレート5715を用いた。また、対照実験としては、Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株を大豆油添加培地で培養し、原料油脂等の不純物を取り除いた精製標品を用いた。
その結果を図4に示す。図4において、レーン1は、Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株を大豆油添加培地で培養することによって得た従来型のMEL−A、MEL−BおよびMEL−Cの解析結果を示し、レーン2は、Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株をヒマシ油添加培地で培養することによって得たMELの解析結果を示す。
図4から明らかなように、Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株をヒマシ油添加培地で培養して得られた培養物をTLC分析に供したところ、従来のMEL−Aのほか、TLCチャート上において従来のMEL−Aよりもさらに下方、すなわち極性の高い領域に2つの大きなスポットが検出された。つまり、従来のMEL−Aよりも極性の高い複数のMELが生産されることを確認できた。
上記2つのスポットに相当するMELをシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、クロロホルムとアセトンとの混合比が異なる各種混合溶液を用いて、順次溶出した。具体的には、(クロロホルム:アセトン)の比が(80:20)、(50:50)、(30:70)、(0:100)である混合溶液を用いて、順次溶出した。これによって、上記2つのスポットの各々に相当するMELを分離した。
各スポットに相当するMELについてNMR測定を行ったところ、図4における上側のスポットに相当するMELは、MEL−Aタイプ(Rが共にアセチル基)の側鎖脂肪酸鎖中に水酸基が含まれる新規MELと、従来型MEL−Cとの混合物であることが明らかになった。一方、図4における下側のスポットに相当するMELは、MEL−Cタイプ(4’位のRは水素、6’位のRはアセチル基)の新規MELであることが明らかになった。
上記MEL−Aタイプの新規MELの構造を、一般式(3)として以下に示す。
なお、一般式(3)中、nは、6〜10の整数であり、mは、0〜4の整数である。
また、上記MEL−Cタイプの新規MELの構造を、一般式(4)として以下に示す。
なお、一般式(4)中、nは、6〜10の整数であり、mは、0〜4の整数である。
〔8.Pseudozyma parantarctica JCM 11752株の培養〕
Pseudozyma parantarctica JCM 11752株を用いて、上述したPseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株の場合と同じ組成の培地を用い、34℃の温度にてジャー・ファーメンターを用いてPseudozyma parantarcticaの培養を行った。なお、以下に具体的な手順について説明する。
保存培地(麦芽エキス 3g/L、酵母エキス 3g/L、ペプトン 5g/L、グルコース 10g/L、寒天 30g/L)に保存しておいたPseudozyma parantarctica JCM 11752株を、2mlの液体培地(グルコース 20g/L、酵母エキス 1g/L、硝酸ナトリウム 1g/L、リン酸2水素カリウム 0.5g/L、硫酸マグネシウム 0.5g/L)が入った試験管に1白金耳接種した。
次いで、上記Pseudozyma parantarctica JCM 11752株を、28℃にて振とう培養した。なお、培養日数は1日であった(種培養)。
得られた菌体培養液を、上記液体培地が30mL入った坂口フラスコに接種し、さらに28℃で振とう培養した。なお、培養日数は2日であった(前培養)。
得られた菌体培養液を、40g/Lの濃度にてヒマシ油が加えられた液体培地(酵母エキス 1g/L、硝酸ナトリウム 1g/L、リン酸2水素カリウム 0.5g/L、硫酸マグネシウム 0.5g/L)が500mL入ったジャー・ファーメンターに接種し、34℃にて培養した。なお、培養中は、培地に対して1mL/mL(v/v)の速度で通気するとともに、当該培地を600rpmにて撹拌した。なお、培養日数は7日であった。
培養終了後、菌体培養液に対して等量の酢酸エチルを加えて撹拌した後、遠心分離によって酢酸エチル層と菌体培養液層とを分離させた。分離後、酢酸エチル層を回収し、エバポレーションによって溶媒を留去することで、MEL粗抽出物を得た。
図5に、得られたMEL粗抽出物のTLCチャートを示す。当該TLCチャートの結果は、実施例7においてPseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株の培養物から得たMEL粗抽出物の場合と類似していた。
次いで、得られたMEL粗抽出物を実施例7と同様にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、得られた高極性糖脂質に関してNMR分析を行った。その結果、実施例7と同様に、TLCチャート上の1つのスポットに相当するMELは、MEL−Aタイプ(Rが共にアセチル基)の側鎖脂肪酸鎖中に水酸基が含まれる新規MELと、従来型MEL−Cとの混合物であることが明らかになった。また、TLCチャート上の別のスポットに相当するMELは、MEL−Cタイプ(4’位のRは水素、6’位のRはアセチル基)の新規MELであることが明らかになった。なお、得られた全MELの重量は約4.9g(収量9.8g/L)であって、そのうち新規MELであると考えられる画分は31wt%であった。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明によれば、マンノシルエリスリトールリピッド(例えば、トリアシルMEL)の側鎖脂肪酸の中に少なくとも1つの水酸基が含まれるマンノシルエリスリトールリピッドおよびその製造方法が提供される。そして、上記製造方法では、微生物を培養することによって、新規マンノシルエリスリトールリピッドを効率よく製造することができる。
本発明の新規マンノシルエリスリトールリピッドは、従来のMELよりも水溶性が高い。また、本発明の新規マンノシルエリスリトールリピッドは、分解性が高いとともに毒性が低いので、環境にやさしい。したがって、本発明の新規マンノシルエリスリトールリピッドおよびその製造方法は、例えばバイオサーファクタントとして、食品工業、化粧品工業、医薬品工業、化学工業、環境分野等において広く利用することができる。また、本発明の新規マンノシルエリスリトールリピッドから得られた液晶は、糖骨格に起因する水素結合のネットワークにより、極めて安定性が良いとともに温度変化に対して強固であるから、化粧品または医薬品等の安定化剤として利用することができる。
本発明の新規MELが従来型のMELよりも親水性が高いことを示す、薄層クロマトグラフィーの展開図である。 本発明の新規MELの特性を示すグラフである。 (a)は、従来型MELの13C NMRスペクトルの拡大図であり、(b)は、本発明の新規MELの13C NMRスペクトルの拡大図である。 Pseudozyma antarcticaKM-34(FERMP-20730)株を培養することによって製造された新規MELの、薄層クロマトグラフィーの展開図である。 Pseudozyma parantarctica JCM 11752株を培養することによって製造された新規MELの、薄層クロマトグラフィーの展開図である。 (a)および(b)は、Pseudozyma tsukubaensis NBRC 1940株を培養することによって製造された新規MELの一例を示す構造式である。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(1)にて示されるマンノシルエリスリトールリピッド。
    (式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるとともに、少なくとも水酸基を1つ含み、Rは、水素またはアセチル基である)
  2. 下記の一般式(1)にて示されるマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法であって、
    マンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を、少なくとも1つの水酸基を有する脂肪酸または植物油を含む培地にて培養することを特徴とするマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法。
    (式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜24の脂肪族アシル基であるとともに、少なくとも水酸基を1つ含み、Rは水素またはアセチル基である)
  3. 前記脂肪酸が、リシノール酸であることを特徴とする請求項2に記載のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法。
  4. 前記植物油が、ヒマシ油であることを特徴とする請求項2に記載のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法。
  5. 前記微生物は、シュードザイマ属に属する微生物であることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法。
  6. 前記シュードザイマ属に属する微生物は、Pseudozyma tsukubaensis、Pseudozyma antarctica、Pseudozyma aphidis、Candida sp. SY16、Pseudozyma parantarctica、Pseudozyma rugulosa、Pseudozyma fusiformata、Pseudozyma hubeiensis、Pseudozyma shanxiensis、Pseudozyma graminicola、またはPseudozyma crassaであることを特徴とする請求項5に記載のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法。
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