JP5343092B2 - 細胞分離を行う精密濾過の方法及び装置 - Google Patents

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Description

本開示は、精密濾過に関する。特に、本開示は、細胞分離、及び、血液からの生存循環性腫瘍細胞の濃縮に対する等の関連する調査を行うために使用することができる精密濾過のデバイス、方法、装置、及び、システムを記述している。
細胞分離は、何年もの間、特に、生化学、分子生物、及びバイオテクノロジー等の分野において分離がいくつかの調査を行うよう意図される場合に挑戦であった。細胞分離は、特に分化した機能を発現し、生存状態で有機又は無機試料から分離されるのが望ましい細胞に対して行われる調査にとって特に重要であると考慮される。そのような調査の例には、医療分野で開発された予後及び診断のアッセイが挙げられ、本明細書においては、転移性癌における腫瘍細胞に対して、特に、循環性腫瘍細胞に対して行われる調査によって例示される。転移は、一連の連続して行われるステップを介した第一部位から隣接していない第二部位までの癌の広がりであり、前記ステップには循環器系を介した癌細胞の輸送が含まれ得る。腫瘍細胞は、循環器系において輸送される場合、血流中の循環性腫瘍細胞(CTC)と呼ばれる。CTCは、臨床的ステージ、疾患再発、腫瘍転移、処置の反応、及び、治療に続く患者の生存に関連して、予後的に重大な意味を持つ。CTCは、再発のリスクを判断する、治療コースを導く、及び、癌患者を治療モニターするための代替の独立したマーカーとして使用することができる。
転移性腫瘍の大多数が、血行性起源の細胞と比較して独特の特性を有する上皮細胞に由来する。従って、血液からのCTCの分離は、CTCといくつか特徴を共有するけれども論争中の調査に対して関心のない他の細胞と共に分離されるべき細胞が含まれる試料から行われるため、特に挑戦的な細胞分離の例を構成する。
異なる細胞タイプの弁別的な特徴に基づいた、血液からCTCを分離する及び血液からCTCを濃縮するためのアプローチがいくつか展開されてきた。特に、異なる細胞タイプ間の固有の相違を利用することは、上皮起源のCTCを患者の血液から濃縮する種々の方法に対する基礎を形成する。
第一の一連のアプローチにおいて、密度勾配遠心法が、その類似した浮遊密度のためCTCを含む単核球(MNC)画分を濃縮するために伝統的に利用されている。洗浄されたMNC画分細胞は、ガラススライド上にサイトスピンされ、続いて、CTCを検出するために上皮マーカー(大部分はサイトケラチン)に対して免疫蛍光染色される。訓練された病理学者は、一般的に、CTCの存在に対して各スライドを検査する。さらに、密度勾配遠心法は、一般的に、70%までの最大の回収率を有している。
CTCの濃縮及び分析に対するより最近の技術は、上皮細胞の選択的な捕獲に対して上皮細胞接着分子(EpCAM)等の特異的な表面抗原を利用する。Cellsearch(商標)は、CTCを捕獲及び評価して転移性の乳癌、大腸癌、又は、前立腺癌の予後を決定する、唯一のFDA公認自動システムである。Cellsearchは、EpCAM結合磁気ビーズを使用して磁場の下EpCAM陽性CTCを血液から捕獲する免疫磁気分離に基づいている。臨床試験はその予後値を実証するけれども、アッセイは、表面マーカーの種々の発現のため広範囲の回収率(9%〜90%)を受けやすい。マイクロフローチャンバーのマイクロポストの表面に結合された抗体を用いてCTCが捕獲される免疫親和性ベースの「CTCチップ」が開発されてきた。この「CTCチップ」は、多数の転移性癌の患者試料からのCTCの捕獲及び検出を実証した。高い純度を有した生存CTCを得ることができるけれども、捕獲能率は、表面抗原の発現における変動性によって制限される。処理量及び処理時間は、制御された流れの厳しい条件によって制限される。
あるいは、細胞のサイズに基づいたCTCの単離に対する技術が、1960年代から使用されてきた。そのような技術は、CTCの濃縮において能率的で安く、扱いやすい方法であると実証されてきた。循環性上皮腫瘍細胞は、周囲の血液細胞よりも有意に大きく、単離媒体における直径が8μmまでのポアサイズがCTC保持に対して最適であると示されてきた。一般的に、ポリカーボネートフィルターがCTC保持に対する単離媒体として使用される。そのようなフィルターは、一般的に、トラックエッチングを使用して製造され、2つ以上のポアの融合を生じ、50〜60%という低いCTC捕獲能率を生じる場合が多い比較的低い密度でポアを無作為に配置する。
血液からのCTC分離における特に挑戦的な性質を考慮して、CTC分離のために開発された技術を適切な調整と共に適用して、広範囲の細胞タイプを広範囲の試料から分離することができる。
本明細書に記述されているのは、本発明の実施形態による、試料からの細胞の分離、及び、生存細胞に対する機能調査を含めた関連する調査の実行を可能にするデバイス、装置、方法、アレイ、及び、システムである。本明細書に記述されているのは、多孔質の上層膜及び多孔質の下層膜を有する精密濾過デバイスを使用して、循環性腫瘍細胞等の細胞を試料から分離するための精密濾過の装置及び方法である。多孔質の膜は、パリレンから形成され、微細加工技術を使用して組み立てられる。多孔質の膜は、上層膜のポアが下層膜のポアからずらされるように配置される。
特に、本発明の実施形態は、多孔質の上層膜及び多孔質の下層膜を有していることが好ましい精密濾過デバイスを使用して生存細胞を捕獲するための精密濾過の装置及び方法、並びに、関連するアレイ及びシステムを提供する。多孔質の膜は、微細加工技術を使用して形成及び組み立てられることが好ましく、上層膜のポアが下層膜のポアからずらされるように配置される。前記膜は、パリレンを含んでいることが好ましい。濾過は、上層膜のポア内、又は、上層膜と下層膜とのギャップ内での細胞の捕獲を介して提供され得る。
特に、本発明の実施形態によるデバイス、装置、方法、アレイ、及び、システムは、試料からの生存及び増殖性CTCを含めた生存腫瘍細胞の捕獲を可能にする。
さらに、本発明の実施形態によるデバイス、装置、方法、アレイ、及び、システムは、試料からの部分的に固定される必要のない細胞の捕獲、並びに/又は、さらなる生細胞の照合と両立するアプローチによる細胞の捕獲を可能にする。
さらに、本発明の実施形態によるデバイス、装置、方法、アレイ、及び、システムは、当技術分野において既知のアプローチと比較した場合に、より時間がかからず、主観的ではなく、高価ではなく、並びに/又は、労働集約的でもないアプローチによる、CTCを含めた細胞の捕獲を可能にする。
1つのフィルターパッチの切断図を例示している。 図1で描写されている1つのフィルターパッチ100の上面図を例示している。 フィルターアレイに配列された図1に示された種類のフィルターパッチを多数描写している。 1cmのシリコンダイ上に形成された9個のフィルターアレイの写真を示している。 フィルターアレイが99個のフィルターパッチを有する、図4Aで示されているフィルターアレイの一つをクローズアップした写真を示している。 図4Bで示されているフィルターパッチの一つをクローズアップした写真を示している。 3D濾過ユニットを製造するための工程を例示している。 3D濾過ユニットを製造するための工程を例示している。 3D濾過ユニットを製造するための工程を例示している。 3D濾過ユニットを製造するための工程を例示している。 3D濾過ユニットを製造するための工程を例示している。 3D濾過装置を使用したテスト機構を例示している。 図6Aで例示されている実験組立体の写真を示している。 フィルターパッチへの腫瘍細胞を含有する試料流体の適用を例示している。 フィルターパッチ内に押し込まれた腫瘍細胞を示している。 2Dマイクロフィルターデバイス及び3Dマイクロフィルターデバイスの開いたポア並びに詰められた細胞の縁に対する計算された張力を示している。 無傷な生存細胞を捕獲する機能性を実証するために、同じ流速下で、固定されていないCFSEでラベルされたMCF−7細胞を濾過することによって、2Dマイクロフィルターデバイスと3Dマイクロフィルターデバイスとの比較を示している。 無傷な生存細胞を捕獲する機能性を実証するために、同じ流速下で、固定されていないCFSEでラベルされたMCF−7細胞を濾過することによって、2Dマイクロフィルターデバイスと3Dマイクロフィルターデバイスとの比較を示している。 無傷な生存細胞を捕獲する機能性を実証するために、同じ流速下で、固定されていないCFSEでラベルされたMCF−7細胞を濾過することによって、2Dマイクロフィルターデバイスと3Dマイクロフィルターデバイスとの比較を示している。 捕獲され、多孔質の膜のポアに位置している無傷な膜を有した細胞のSEM写真を示している。 図10Aに示されている細胞の上層膜の表面に焦点を合わせながら撮った画像である。 0.5μmという垂直のステップサイズの画像スタックに基づき再構築された画像であり、図10Aに示されているポアに捕捉された細胞の鉛直断面図を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した場合のIF染色の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した場合のIF染色の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した場合のIF染色の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した場合のIF染色の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した場合のIF染色の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した細胞生存率検査の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した細胞生存率検査の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した細胞生存率検査の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した細胞生存率検査の結果を示している。 3D精密濾過デバイスを使用した細胞生存率検査の結果を示している。 より大きな直径の上層ポアを有したフィルターパッチを用いた3Dフィルターユニットを描写している。 より大きな直径の上層ポアを有したフィルターパッチを用いた3Dフィルターユニットの一部の切断側面図を描写している。 図13及び14で描写されているフィルターユニットを製造する工程を描写している。 図13及び14で描写されているフィルターユニットを製造する工程を描写している。 図13及び14で描写されているフィルターユニットを製造する工程を描写している。 図13及び14で描写されているフィルターユニットを製造する工程を描写している。 図13及び14で描写されているフィルターユニットを製造する工程を描写している。 多孔質の上層膜が多孔質の下層膜から引き離されている写真を示している。
本開示に記述された本発明による例証的な実施形態は、試料からの細胞、特に、生存細胞の分離及び捕獲に使用することができるデバイス、装置、方法、アレイ、及び、システムを提供する。
「分離」「捕獲」という用語は、細胞を参考にして本明細書において使用される場合、細胞がさらなる粒子、分子、及び/又は、他の細胞を含んだ構成成分と共に含まれる試料から所定の細胞を離す又は離して保持する行為を示している。分離の例には、それだけに限らないが、細胞集団、さらに、さらなる細胞タイプを含んだ試料からの選択された細胞タイプの単離、及び、濾過目的に適切なサイズ及び大きさ等、共通の構造特徴に基づく細胞のグループ分けが挙げられる。
「細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、通常は1又は複数の核及び産物を有した種々の他の細胞小器官を含む、半透膜によって外部的に結合された、少ない、通常は微視的な質量の原形質を示しており、個々に又は他の細胞と相互作用して生活の基本機能全てを実行する、及び、個々に機能することができる生存しているものの最小の構造ユニットを形成する能力を有している。細胞は、特に、単細胞生物(1つの細胞からなる生物)及び多細胞生物(2つ以上の細胞からなり、細胞において特別な機能を行う分化細胞を有する生物)を含めた全ての生物の構造及び機能ユニットを構成する。例証的な単細胞生物は、原核又は真核微生物種等、微視的又は超微視的なサイズの微生物であり、「原核」という用語は、細胞内に核又は他の細胞小器官を含有しない微生物種を意味し、それだけには限らないが、真正細菌及び古細菌を含み、「真核」という用語は、細胞内に核及び他の細胞小器官を含有する微生物種を意味し、それだけに限らないが、酵母菌及び糸状菌、原生動物、藻類、及び、高等原生生物等の真核生物を含む。例証的な多細胞生物は、植物界及び動物界の全てのメンバー、特に、高等動物等の動物、特に、哺乳動物等の脊椎動物、特に、ヒトを含む。
細胞は、生存する能力がある場合に、特に、化学反応又は生存状態に付随する他の事象等、特定の生物学的処理を示すために「生存可能」である。例証的な生存細胞は、細胞が元々位置づけられた環境の外で生き残ることができるように、独立したユニットとしての成長、発達、及び/又は、繁殖を含むそのような形態及び発達を達成した細胞を含む。
「試料」という用語は、本明細書において使用されている場合、制限された量の何かを示しており、より多くの量のその何かを示しており、それだけに制限されないが、関心のある細胞が一般的に関心のない少なくとも1つのさらなるタイプの細胞と共に含まれる(組織及び体液だけでなく、河川水及び他の環境試料等の)試料、及び、関心のある細胞が、細胞性質のものではないさらなる粒子と共に含まれる試料を含む。例証的な試料には、それだけに限らないが、生物学的な環境、検体、培養物、組織標本又はその一部由来の流体又は流体標本が含まれる。さらに、例証的な試料には、痰、脳脊髄液、汗、尿、精液、生検組織、パパニコロースメア試料、又は、ヒト又は動物を含めた個体から得られ、流体状態にあるか又は流体状態をとるよう適切な処置を受けさせたいかなる他の試料等の体液も含まれる。
本発明の例証的な実施形態によるデバイス、装置、アレイ、方法、及び、システムのさらなる説明が、試料が血液であり細胞がCTCである応用を参考にして提供される。当業者は、他の生物学的有機及び無機試料に対する及び他の細胞タイプに対する、血液試料及びCTCに対して詳細に記述された特徴の適用性を正しく理解するはずである。本明細書において記述された例証的な実施形態は、血液からCTCを分離するよう設計されているけれども、(他の細胞を含めた)ミクロンサイズの粒子を含有するいかなる媒体からも細胞を得るために使用することができる。
一部の実施形態において、本明細書に開示されているデバイス、装置、方法、アレイ、及び、システムは、生存細胞の分離を可能にし、細胞に対する機械的トラウマの適用を最小限にし、膜のダメージを最小限にする。機械的トラウマ(例えば、フィルターポアの通過によって引き起こされたもの)は、膜のダメージと付随してきた。人工リン脂質に対するマイクロピペットによる実験は、その張力が臨界レベルを超えて増大された、すなわち、膜の領域における増分が3%を超えた場合に膜破裂を示した。細胞溶解が生じる張力は、これらの膜モデルにおいて、3mN/m程に低くあり得る。マイクロピペット変形能調査から測定された7つの異なる種類の癌細胞の表面での最大張力は、3.7mN/mという中央値を有し、0.8から5.0mN/mに及ぶ。細胞のサイズとほぼ等しい直径を有したポアを有するフィルターに腫瘍細胞が向けられる場合、濾過工程の2つのステージのうちどちらかからダメージが生じ得る。第一のステージは、細胞がポアの縁と相互作用し始める時から始まり、細胞が完全に捕捉されるまで続く。これは、一般的に、実験条件においてミリセカンドの範囲で起こる動的な工程である。第二のステージは、この完全な捕捉から全体的な濾過工程の終わりまでである。このステージの間、細胞は、静的な背圧を経験するはずである。0.5psiの背圧の下、8μm直径のポアサイズの2次元マイクロフィルターが、静的背圧条件の下、装置に対して一定の円周で13.8mN/mの細胞質膜張力を有するよう算出される。細胞破裂に対する臨界張力と比較して、静的圧力下のこの張力が細胞にダメージを与え得るとしても、濾過の第一のステージにおける動的工程中の細胞膜張力は言うまでもない。
一部の実施形態では、上層膜のポアを有した多孔質の上層膜、及び、下層膜のポアを有した多孔質の下層膜を含む精密濾過パッチが提供される。このパッチにおいて、上層膜のポア及び下層膜のポアは、いくつかの下層膜のポアが多孔質の上層膜に分配されたいくつかの上層膜のポアから水平にずらされるように多孔質の下層膜内に分配されるよう配置することができる。さらに、前記パッチは、多孔質の上層膜と多孔質の下層膜とを隔てるギャップを含むことができ、そのギャップによって提供される多孔質の上層膜と多孔質の下層膜とのギャップの距離は、関心のある細胞を選択的に捕獲するよう長さが決められる。
特に、本発明の実施形態は、少なくとも2層の多孔質膜、好ましくは、パリレン膜を有したマイクロフィルターデバイスを使用する。本開示において、濾過は、X方向においてもY方向においても、さらに、Z方向においても分配されたポアによって提供される(すなわち、濾過は、少なくとも2つの面のポアによって提供される)ため、マイクロフィルターデバイスは、3Dマイクロフィルター、3D精密濾過のユニット、デバイス、又は、システムと呼ぶことができる。好ましい実施形態は、多孔質の上層膜及び多孔質の下層膜を有する。上層膜も下層膜も、微細加工によって画定することができるポアを有する。2つの膜間のギャップは、フォトリソグラフィーによって正確に画定することができる。好ましくは、下層膜のポアの位置は、上層膜のポアの位置から移動される。この上層及び下層のポアの位置の構成で、腫瘍細胞が上層膜のポアに捕捉された場合、下層膜は、直接的な力を背圧とは反対の方向に提供し、細胞の原形質膜に対する張力を効果的に減らすことができる。この張力の減少は、細胞がポア内に詰められる動的工程にも、後に細胞が静的圧力下にある場合にも適用される。従って、本発明の実施形態は、細胞膜にダメージを与える場合がある細胞膜の張力を減らすことができる。
図1は、本発明の実施形態による1つのフィルターパッチ100の切断図を例示している。図1では、フィルターパッチ100は、いくつかの上層膜のポア113を有した上層膜111、及び、いくつかの下層膜のポア123を有した下層膜121を含む。上層膜111と下層膜121は、ギャップ131によって上層のポア113と下層のポア123の近くで一定の間隔だけ離れて置かれている。図1は六角形を有したフィルターパッチを示しているが、他の実施形態は異なる形状を有したフィルターパッチを有することができるということに留意されたい。さらに、図1に示された上層のポア113と下層のポア123の大きさ及び数は、例証的な目的のためだけに存在する。本発明の他の実施形態は、異なる大きさ及び/又は異なる数のポアを有したフィルターパッチを有することができる。
図2は、図1に描写された1つのフィルターパッチ100の上面図を例示している。図2に示されているように、各上層のポア113のすぐ下に位置づけられる下層膜121の一部が実質的に又は完全に固体であるよう、下層のポア123は、上層のポア113からずらされていることが好ましい。図1に戻ると、上層のポア113は9μmの直径を有して、下層のポア123は8μmの直径を有して示されている。上層のポア113も下層のポア123も、20μm離れた位置に中心を有するよう示されている。図1に示されているように、上層のポア113と下層のポア123は、各ポアの上又は下にある膜111、121が固体であるようにずらされている。図1は、膜111、121が10μm厚であることをさらに例示しているが、本発明の別の実施形態は、異なる厚さを利用することができる。ギャップ131は、6.5μmの厚さを有するよう例示されているが、別の実施形態は、異なる厚さを利用することができる。上記で示され以下のさらなる詳細で記述されるように、ギャップの厚さは、非癌性の細胞がフィルターパッチ100を流れ通ることを可能にするが、細胞の原形質膜に対する張力を減らすよう選ばれることが好ましい。
濾過を介した細胞、特に、腫瘍細胞の十分な捕獲を可能にするために、多数のフィルターパッチが製造されることが好ましい(本発明の実施形態による製造工程の説明に対する以下の考察を参照されたい)。
特に、一部の実施形態では、多数のフィルターパッチが精密濾過アレイに配置されている。それらのアレイのうちいくつかにおいては、各精密濾過パッチは、第一の幾何学的アレイに配置された上層膜のポア、及び、第二の対応する幾何学的アレイに配置された下層膜のポアを含む。アレイでは、いくつかの精密濾過パッチを、上層膜が下層膜に接触する領域によって互いから隔てることができる。
図3は、図1に示されたタイプで、フィルターアレイ150に配置された多数のフィルターパッチ100を描写している。微細加工技術を使用して、フィルターパッチ100及びフィルターアレイ150をシリコンウエハー上に形成することができる。図4A、4B、及び、4Cは、1cmのシリコンダイ上に形成されたフィルターパッチ100及びフィルターアレイ150の写真を示している。図4Aは、1cmのシリコンダイ上に形成された9個のフィルターアレイ150を示している。図4Bは、フィルターアレイのうちの1つの引き伸ばしを示しており、アレイは、99個の六角形のフィルターパッチからなっている。図4Cは、他のフィルターパッチ100に取り囲まれた、フィルターアレイ150内のフィルターパッチ100のうちの1つの引き伸ばしを示している。
流体試料から選ばれた細胞タイプを捕獲するため、本明細書に開示された精密濾過デバイスを製造する方法におけるいくつかの実施形態によってフィルターパッチを製造することができる。一部の実施形態において、当該方法は:支持層の表面に第一の膜材料の層を堆積するステップ、前記第一の膜材料の層に上層又は下層のポアを作るステップ、及び、前記上層又は下層のポアの上にフォトレジスト層を堆積するステップを含む。それらの実施形態において、当該方法は、前記フォトレジスト層に第二の膜材料の層を堆積するステップ、前記第一の層内の層のポアに相補的な層のポアを第二の膜材料の層内に作るステップ、及び、フォトレジスト層を取り除くステップをさらに含む。第一の層に相補的な層のポアは、上層のポアが第一の層に作られる実施形態において特に下層のポアからなり、及び/又は、下層のポアが第一の層に作られる実施形態において上層のポアからなる。アレイに配置されるパッチを製造するために当該方法が使用される実施形態を含めた一部の実施形態では、当該方法は、多数の第一の膜材料の層及び多数の第二の膜材料の層を堆積するステップを含むことができ、並びに/又は、フォトレジスト層をエッチングして膜の層が接触する領域を作ることができる。
図5A乃至5Eは、図4A乃至4Cで描写された本発明による3D精密濾過ユニットを製造する工程の例証的な実施形態を例示している。図5Aは、精密濾過ユニットの形成に対するSiウエハーの調製を示している。位置合わせマーク(図示せず)が、第一に、根本的なSiウエハー200のどちらの側にも生成される。二酸化珪素層203が、1μmの熱酸化裏面酸化物パターン形成によってSiウエハー200の裏面に形成され、酸化物の剥離がウエハー200の表面で行われる。図4Aで描写されているように1cm×1cmのダイ上に9個のフィルターアレイを形成するために、二酸化珪素層203が9個の空洞を提供するようパターン形成される。
Siウエハー200の調製後、5μm厚のパリレン−C薄膜がウエハー200の表面に堆積され、350℃で溶解されて、図5Bで示されているように溶解パリレン層207を形成する。この層は、最終的に、焼き鈍しを介して底面フィルター膜の一部として統合され、本工程の次のステップにおけるウエットエッチング中の表面の保護も提供する。図5Bはウエハーを貫く空洞209の作製も示している。この空洞は、二酸化珪素層203をエッチングマスクとして、裏面から水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)でエッチングすることによって作製される。
図5Cは、Siウエハー200の両面への第二の2.5μm厚パリレン−C層211の堆積、及び、酸素プラズマを用いたパターン形成を描写している。空洞領域209では、この第二のパリレン層211は溶解パリレン層207をはさみ、濾過ユニットの底面フィルター層を形成している。パリレン層207、211の酸素プラズマパターン形成は、濾過ユニットの下層のポア123を形成する。
図5Dは、パリレンの上層215の堆積及びパターン形成を描写している。6.5μm厚の犠牲フォトレジスト層213が、図1で描写されたギャップ131を形成するようスピンコーティング及びパターン形成される。フォトレジストは、AZ4620、又は、装置を形成するために使用される材料と共存できるいかなる他のフォトレジストも含み得る。10μm厚のパリレン層215が、上層のポア113を形成するように表面から堆積及びパターン形成される。
図5Eは、完成した構造体を描写している。層213はアセトンで溶解され、ギャップ131を残している。好ましくは、フォトレジスト層213の除去後、190℃のパリレン焼き鈍しが前記構造体に対して48時間行われて、構造体全体を強化している。図5A乃至5Eに描写された工程において、濾過デバイスにおけるポアのサイズ、形状、及び、密度がフォトリソグラフィーによって画定され、一方、上層と下層とのギャップは犠牲フォトレジストの厚さによって画定され、最適化の工程中のキーパラメータの変化に対してこの製造工程を融通のきくものにしていることに留意されたい。
濾過の間ギャップ距離を維持するために、各空洞209は、パリレンの上層111及び下層121が接触し、縁に沿って焼き鈍されて構造的支持を提供する99個の六角形パッチからなり得る。各パッチは、36個の9μm直径のポア113をパリレンの上層111上に、37個の8μm直径のポア123をパリレンの下層121上に有することができる。上記のように、上層111及び下層121上のポアの位置を、層111、121間のギャップを流動粒子が横切らなければならないように移動させ、それは、濾過中の三次元として効果的に作用している。
一部の実施形態において、精密濾過システムに精密濾過アレイをさらに配置することができ、そこでは、1又は複数の精密濾過パッチが少なくとも2つの膜の層を含む、及び/又は、シリコンウエハーのうち少なくとも一部において形成される。それらの実施形態では、精密濾過システムは、精密濾過パッチの多孔質の上層膜の上に位置づけられる加圧可能な上方領域、及び、精密濾過パッチの多孔質の下層膜の下に位置づけられる、流体の受容を可能にするよう構成される下方領域をさらに含む。
本明細書に記述されている精密濾過のデバイス、アレイ、及び、システムの実施形態を使用して本明細書に開示されている方法により試料から細胞を分離することができ、関心のある細胞は、背圧とは反対の方向に直接的な力を提供し、細胞の原形質膜に対する張力を効果的に減らすように配置された膜によって捕獲される。
一部の実施形態では、当該方法は:第一の膜のポアをいくつか有した第一の膜に流体試料を適用するステップ;いくつかの第一の膜のポアを通して、第一の膜と第二の膜との距離によって画定されるギャップ内に流体試料を流すステップであって、第一の膜と第二の膜との距離が捕獲されることになる細胞の直径よりも小さい、ステップ;及び、第二の膜におけるいくつかの第二の膜のポアを通して流体試料を流すステップ;を含む。特に、当該方法において、第二の膜のポアは、第一の膜に位置づけられる第一の膜のポアのすぐ下にこないように第二の膜内に位置づけることができる。
好ましくは、いくつかの実施形態において、あり得る循環性腫瘍細胞を保有する試料が、いくらかの圧力の下、本発明の実施形態に従い濾過装置に適用され、より小さいサイズの細胞の濾過装置を通る流れを促進する一方で、より大きなサイズの腫瘍細胞の捕獲を可能にしている。例えば、4つのポリジメチルシロキサン(PDMS)断片321、323、331、333と2つの機械加工されたアクリル部分311、313との間で固定された、本発明の実施形態による3D精密濾過装置190を示す図6Aを参照されたい。2つの薄いPDMS断片(〜1mm厚)331、333は、試料が濾過装置190を流れ通るためのチャンバを形成する8mm×8mmの中心にある角目335を有している。2つの厚いPDMS断片(〜4mm)321、323のそれぞれは、小さな円形の中心にある穴325、327を注入又は排出のために有している。1つの穴325は、試料191の注入に対する受流口として役立ち、針と共に優れたシーリングを形成して、(いくらかのpsiまで)作動中の圧力に耐えることができる。もう一方の穴327は、濾過液の収集のため大気圧に開かれている。2つのアクリル断片311、313のそれぞれは、クランプを用いて最終的な組立体に対して構造剛性を提供しながら、注入口及び排出口へのアクセスを可能にするために3mm直径の中心にある穴315、317を有している。最終的な試料の容積に応じて、異なる容積の注射器をルアーアダプターに接続し、試料191の導入に使用することができる。実験用組立体において、図6Aで示されているもののように、10mL/min未満の流速で、試料を手動で組立体に押し通した。図6Bは、実験用組立体の写真を示している。
上記のように、本発明の実施形態は、捕獲された細胞の原形質膜に対する張力の減少を定めることができ、従って、細胞がより容易に同定されるのを可能にする。図7Aは、フィルターパッチ100に対する、腫瘍細胞403及び他のより小さいサイズの細胞401を含有する試料流体400の適用を示している。図7Aに示されているように、腫瘍細胞403は、フィルターパッチ100の上層膜111の上層のポアに押し込まれる。より小さいサイズの細胞401は、パッチ100を流れ通り、パッチ100によって通された濾過液405を形成する。図7Bは、押し込まれた腫瘍細胞403のクローズアップを示しており、腫瘍細胞403は下層膜121によって支持されている。特に、腫瘍細胞403に関して存在する力が示されており、Fは上からの流体圧力によって生じる力であり、Fは下層膜121からの支持力であり、Fは上層膜111によって生じる原形質膜に対する張力である。本発明の実施形態では、上層及び下層のポアサイズ、ポア密度、及び、ギャップは全て変えることができるということに留意されたい。血液からのCTC濃縮に対しては、CTCを直接捕獲するいかなるポアも、おおよそ3μmから15μmで必要とされるであろう。小さなサイズ(3μm)に向かうに従い、より多くの血液細胞が捕獲されるため、濃縮が劣るようになる。大きなサイズ(15μm)に向かうに従い、より多くのCTCがデバイスから逃げ出すことができるため、捕獲の能率が劣るようになる。
濾過工程中の静的な背圧により引き起こされる細胞膜の張力の効果を調査した。1つの膜のフィルターの性能を、本発明の例証的な実施形態による2つの膜構造を有したフィルターと比較した。
特に、考慮される1つの膜のフィルターは、それぞれ全内容を本出願において援用する、2006年4月20日に出願した、“Membrane Filter for Capturing Circulating Tumor Cells”と題する米国特許出願第11/408,501号、及び、2006年4月20日に出願した、“Uses of Parylene Membrane Filters”と題する米国特許出願第11/408,499号の出願人によって開発され記載された微細加工された1つのパリレン層のマイクロフィルターデバイスである。これらの出願は、費用効果の高い方法においてスタンダードな微細加工工程を使用して作製された、高密度で均一のポア及び正確に画定された幾何学を有した1つの層のマイクロフィルターを記載している。本開示において、そのような1つの層のマイクロフィルターは、X及びYの方向(ずなわち、1つの面内)に分配されたポアのアレイによって濾過が提供されるため、2Dマイクロフィルター又は2D濾過システムと呼ぶことができる。そのようなマイクロフィルターデバイスは、迅速な処理時間と共に優れた回収率及び濃縮率を提供する転移性癌患者由来の血液中のCTCの列挙に適している場合がある。
特に、1つの膜のフィルターに対して、ポア間に30μmの距離を有した5×5アレイにおける25個のポアを有した膜要素をシミュレートした。2つの膜構造に対しては、図1に示されたもの等の1つのパッチをシミュレートした。流体場のモデリング及びシミュレーションを、非圧縮性ナビエ・ストークスの定常状態分析を使用することによって行った。ヒトの血液の特性に従い、流体密度を1025kg/mとして選び、動粘性率は3×10−3Pa・sであった。「すべり/対称(slip/symmetry)」境界条件を側壁に対して使用して反復構造を表した。無すべり境界条件を流入及び流出表面以外の場所に使用した。1cm×1cmのデバイスに対する同じ効果的な全面積、及び、1つの膜のデバイスと2つの膜のデバイスに対して同じ処理時間(7.5mLの血液が2分で濾過される)を仮定すると、モデルは、どちらのケースにおいても、表面上に適用される0.002m/sの流入速度を想定した。ゼロの圧力条件を流出面に適用した。
ポアの位置は移動させられ、上層のポア自体は対称に位置づけられないけれども、流体場がほぼ均一に2つの膜構造のデバイスに分配されることがシミュレーションによって示された。従って、シミュレーションの結果は、細胞濾過調査の間、ポア全てが能率的に使用され得ることを確証している。
図8は、増加する数の細胞が、中心となる開いたポアに周りのポアに詰められるという結果を示している。図8は、2D及び3Dのマイクロフィルターデバイスに対する、空のポア及び詰った細胞の縁に対する計算された張力を示している。単純性のため、シミュレーションは、細胞が詰められた場合もそのスポットで膜を途切れなくする。周囲の詰まったポアでも中心となる開いたポアでも背圧を局所的に測定した。臨界膜張力との比較のため、圧力差は、
Figure 0005343092
に従い張力に変換され、式中、rはポアの半径である。細胞に対する張力は、詰められ静的な背圧が依然として適用された後のポアの縁における細胞膜の張力の推定である。図8において、2Dは、(濾過が1つの面でのみ提供されているため)1つの膜の濾過デバイスを意味しており、3Dは、本発明の実施形態による2つの膜の濾過デバイスを意味している。
3Dのケースに対して、捕捉された細胞に対する下層膜からの支持は考慮せず、代わりに、下層膜の表面に対する局所的な圧力だけを使用した。実際の2つの膜のデバイスに対する本当の膜張力はさらに小さいはずであると思われている。図8に示されているように、3Dデバイス(2つの膜)の細胞に対するこの過大評価された張力は、2D装置(1つの膜)のものと比較して、その約50%以下のみである。2D装置の細胞に対する張力は、前述の腫瘍細胞における限界膜張力の範囲内であり、原形質膜の破裂により静的圧力でさえも細胞にダメージを与え得ることを示唆している。ポアに対する張力は、隣接するポアのいくつかが詰まっている開いたポアに対する背圧から計算される。背圧が大きいほど、細胞がポアに詰まる動的工程の間により大きな細胞膜の張力を生じ、従って、細胞のダメージを生じそうである。2D装置の背圧は3D装置の背圧よりも約3倍大きく、3D装置と比較して、2D装置において動的な詰まり工程の間に細胞がよりダメージを受けそうであることを示唆している。
本明細書に記述されている精密濾過のデバイス、アレイ、及び、システムの実施形態を使用して、それだけに限らないが、細胞及びそれに関するバイオマーカーを含めた標的の検出及び/又は分離に対するアッセイを含めたいくつかのアッセイを行うことができる。
「検出する」又は「検出」という用語は、本明細書において使用された場合、それだけに限らないが、試料、反応混合物、分子複合体、及び基板を含めた限られたスペース部分における標的又は関連する信号の存在若しくは実態の決定を示している。標的又は信号の量の測定を参照する、前記測定に関する、又は、前記測定を含む場合に、検出は「定量的」であり(定量化とも呼ばれる)、それだけに限らないが、標的又は信号の量若しくは比率を決定するよう設計されたいかなる分析も含む。別の標的又は関連する信号に対する相対存在量という点で、標的又は関連する信号の質若しくは種類の同定を参照する、前記同定に関する、又は、前記同定を含む場合に、検出は「定性的」であり、定量化されない。
「標的」又は「標的分子」という用語は、本明細書において使用された場合、関心のある分析物を示している。「分析物」という用語は、試料内に存在しているかどうか検出されなければならない、細胞を含めた関心のある物質、化合物、又は集合体を意味する。分析物には、それだけに限らないが生体分子、及び、特にバイオマーカーが含まれる。「生体分子」という用語は、本明細書において使用された場合、それだけに限らないが、糖、アミノ酸、ペプチド蛋白質、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、有機分子、ハプテン、エピトープ、生物細胞、生物細胞の一部、ビタミン、ホルモン等を含めた、生物学的環境に関連する物質、化合物、又は構成成分を示している。「バイオマーカー」という用語は、それだけに限らないが、細胞周期の段階、健康及び疾患の状態を含めた生物学的環境の特定の状態と関連した生体分子を示している。バイオマーカーの有無、減少、増加は、特定の状態に関連しているか、又は、特定の状態を示している。例証的なバイオマーカーには、乳癌マーカーHER2、卵巣癌マーカーCA125、及び、心臓病マーカートロンビンが含まれる。
一部の実施形態では、標的に直接又は間接的に結合するラベル又はラベルされた分子を使用することによって標的の検出を行うことができ、ラベルされた分子への標的の結合は、ラベリング信号の放出と付随している。
「ラベル」及び「ラベルされた分子」という用語は、本明細書において使用された場合、検出能力を持つ分子を意味し、それだけに限らないが、放射性同位体、フルオロフォア、化学発光色素、発色団、酵素、酵素の基質、酵素の補助因子、酵素の阻害物、色素、金属イオン、ナノ粒子、金属ゾル、リガンド等(ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、又はハプテン等)を含む。「フルオロフォア」という用語は、検出可能な画像において蛍光を示すことができる物質又はその一部を意味している。結果として、「ラベリング信号」という単語は、本明細書において使用された場合、ラベルから放出され、そのラベルの検出を可能にする信号を示し、それだけに限らないが、放射活性、蛍光発光、化学発光、酵素反応の結果における化合物の生成等を含む。
「信号」又は「ラベリング信号」という用語は、本明細書において使用された場合、検出可能な物質の量又は衝撃を示しており、前記検出可能な物質の量又は衝撃によって、メッセージ又は情報を伝達することができ、それだけに限らないが、放射活性、蛍光発光、特に、免疫蛍光、化学発光、酵素反応の結果における化合物の生成等を含む。
それだけに限らないが、CTC分離工程の構成部分として免疫蛍光法を使用した捕獲された細胞における特定のタンパク質発現の検出及び捕獲された腫瘍細胞の生存の検出に対するアッセイ、並びに、本開示を読んだ当業者には明らかなさらなるアッセイを含めたいくつかのアッセイを本発明の実施形態を使用して行うことができる。
特に、以下のさらなる詳細において説明されているように、種々の試料を使用して本発明の実施形態で検査を行った。例えば、SEM写真を生成した。精密濾過デバイスを使用して試料を濾過した後、そのデバイスを第一にダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)において2分間すすぎ、ドラフトにおいて45分間、時折優しくかき混ぜて、第一のグルタルアルデヒド固定液(0.1Mのカコジル酸ナトリウム、5%のグルタルアルデヒド、0.1Mのスクロース、pH7.4のPBS)と交換した。グルタルアルデヒド固定液を後に除去し、30分間緩衝スクロース溶媒(0.1Mのカコジル酸ナトリウム、0.1Mのスクロース、pH7.4)と交換し、続いて、第二のオスミウム固定液(0.1Mのカコジル酸ナトリウム、0.1Mのスクロース、1%の四酸化オスミウム、pH7.4)で60分間インキュベートした。脱水及び乾燥手順を、5分間の蒸留水洗浄2回で開始し、続いて、35%、70%、85%、及び、95%のエタノールにおいてそれぞれ10分間、さらに、100%のエタノールにおいて20分間前記デバイスを順次に浸した。最後に、前記デバイスを100%のヘキサメチルジシラザン(HMDS)に5分間入れ、Oxford LEO 1550VP高分解能電界放射型の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察する前にデシケーター内で保持した。
癌細胞を含有した試料を使用した。ヒト前立腺癌細胞株(LNCaP)及びヒト乳腺癌細胞株(MCF−7)をAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA,USA)から購入し、5%のCO2及び37℃の加湿されたインキュベーターにおいて勧められた培地及び条件を使用して培養した。GIBCO(登録商標)Trypsin−EDTA(Invitrogen社、Carlsbed,CA,USA)を使用して接着細胞を収集し、血球計算器を使用して細胞数を評価した。収集した細胞をPBSにおいて二度洗浄し、106細胞/mLまでの濃度に再懸濁した。最終濃度が20μMのCFSEを用いた37℃で15分間のインキュベーションによって、細胞をカルボキシフルオレスセインジアセタート、スクシンイミジルエステル(CFSE)(Invitrogen社、Carlsbad,CA,USA)でラベルし、続いて、完全な培地において37℃で30分間インキュベートした。各実験の前にラベルした細胞をPBSにおいて二度洗浄した。
デバイス上で捕捉された細胞の境界をよりよく画定するために、CFSEでラベルされた細胞をLissamine(商標)ローダミンB1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム(ローダミンDHPE、Invitrogen社、Carlsbad,CA,USA)でさらにラベルした。ラベリング手順を、1mMのエタノールにおけるローダミンDHPEの原液を作製することで開始した。CFSEでラベルされた細胞をPBSにおいて106細胞/mLの濃度で懸濁した。ローダミンDHPEを細胞懸濁液に添加し、1μMの最終濃度にした。混合物を、次に、37℃で5分間インキュベートした。最後に、インキュベートした混合液を遠心分離機にかけ、PBSで一度すすいだ。共焦点顕微鏡画像を、ツァイスLSMパスカルの倒立型レーザー走査顕微鏡で撮った。画像をツァイスLSMソフトウェアで処理した。
以下のさらなる詳細において説明されるように、PBS又は健康なドナーからの血液における既知の量の培養した腫瘍細胞(MCF−7及びLNCaP)を精密濾過デバイスに通すことによって試料を調製した。捕獲された細胞を有するデバイスを、第一に、PBSで二度すすぎ、続いて、10%の中性に緩衝したホルマリンで20分間固定した。固定した試料をPBSで洗浄し、他に示されていない限りInvitrogen社、Carlsbad,CAから得た抗体を主に使用して免疫蛍光(IF)分析のために用意した。サイトケラチン(CK)に対する2つの異なるマウスの単クローン抗体におけるカクテルを、上皮腫瘍細胞の検出に使用した:低及び中間分子のI型酸性ケラチンに対するAE−1(1:600の希釈、Signet社、Dedham,MA,USA)、並びに、CK8及び18に対するCAM5.2(1:100の希釈、Beckton−Dickinson社、San Jose,CA,USA)。前記デバイスを、CheMate抗体希釈液(DakoCyotmation社、Carpinteria,CA,USA)において希釈した一次抗体のカクテルにおいて1時間インキュベートした。後に、スライドを洗浄し、Alexa Fluor488結合ヒツジ抗マウス二次抗体を用いて1時間インキュベートした。LNCaP前立腺癌細胞株を用いた二重染色に対して、ウサギ抗CKを第一の一次抗体として及びAlexa Fluor568結合ヒツジ抗ウサギIgGを第一の二次抗体としてCKの検出のために、続いて、マウス抗PSAを第二の一次抗体及びAlexa Fluor488結合ヒツジ抗マウスIgGを第二の二次抗体として、捕獲したCK陽性の細胞が前立腺起源のものであったかどうかを確かめるために使用して、類似の手順を順々に二度繰り返した。緑色の蛍光チャネルに対してB−2E/Cフィルターチューブ、及び、赤色の蛍光チャネルに対してG−2E/Cを有したNikon Eclipse80i顕微鏡(Nikon社、Japan)を使用する一方、画像捕獲のために冷却CCDカメラ(RT−KE color 3−shot、Diagnostic Instruments社、Sterling Heights, MI,USA)を使用して、IF画像を得た。
図9A乃至9Cは、同じ流速の下で固定していないCFSEでラベルしたMCF−7の細胞を濾過し、無傷の生存細胞を捕獲するという機能を実証することによる2Dマイクロフィルターデバイスと3Dマイクロフィルターデバイスとの比較を示している。図9Aは、濾過することなく、ラベルした細胞を含有する緩衝剤の液滴を2Dマイクロフィルターデバイス上に単にピペットで移すことの結果を示している。無傷の細胞が、明るいスポットとして図9Aにおいて示されている。図9Bは、2Dマイクロフィルターデバイスが無傷の細胞を保持するのに失敗したことを示している。さらに、試料の濾過液において無傷の細胞は観察されず、濾過中に無傷の細胞がポアを押し分け進む可能性を排除し、細胞溶解を示唆している。蛍光顕微鏡を使用した注意深い検査の下、ポアの縁から生じるかすかな緑色の蛍光を2Dデバイス上で観察し、細胞膜の残りであると思われた。図9Bの挿入写真に示された走査型電子顕微鏡の写真は、細胞膜の残りを示している。無傷の細胞質を示す明るい蛍光領域によって実証されているように、3Dデバイスが、細胞膜の無傷状態を保ちながらMCF−7細胞を捕獲することができるということを図9Cは示している。2Dマイクロフィルターデバイスと3Dマイクロフィルターデバイスとのこの直接の比較は、生存する固定されていない腫瘍細胞を捕獲する3Dデバイスの可能性を実証している。
検査した2Dデバイスのポア密度は約1.12×10/cmであり、5.6%の充填率(開いたポアの面積対全体の面積)に一致する。2.5×10/cm(充填率12.6%)というより高い密度の2Dフィルターを製造することができるけれども、高いポア密度は、一般的に、画像の質を乱す。本発明の実施形態による3Dマイクロフィルターデバイスを用いて、各パッチは、14.5%という充填率に一致する約2.89×10/cmというポア密度を有するが、各パッチの境界効果を考慮すると、ポア密度及び充填率は、それぞれ、1.39×10/cm及び6.96%まで下がる。2Dマイクロフィルター及び3Dマイクロフィルターの充填率は、トラックエッチングされたポリカーボネートフィルターよりもはるかに高く、一般的に、製造中の重大なポアの重複を避けるために2%未満の充填率を報告してきている。ポア密度が高いほど、詰まりなくより大きい容積の濾過が促進され、捕獲された標的細胞に対して観察者が走査する面積を制限し、全体的により能率の良い工程をもたらす。
CTCは血液において珍しい存在であるため、最大数の標的細胞を血液試料中に保持することが重要である。本発明の実施形態を使用した濾過システムの捕獲能率は、モデルシステムで特徴づけられてきた。モデルシステムは、既知の数のCFSEでラベルされたMCF−7細胞を健康なドナーから得た血液内に添加することによって構築した。342±58個のMCF−7細胞を健康なドナーから得た1mLの全血に添加し、本発明の実施形態によるマイクロフィルターデバイスに通す前に9mlのPBSで希釈した。濾過したすぐ後に、捕獲された細胞の数を蛍光顕微鏡の下手動で数え、平均296±16(n=4)個の捕獲された細胞及び86.5±16.5%の捕獲能率であった。1つの層の2Dマイクロフィルターデバイスは、類似の結果を達成したと示された。
本発明による実施形態上での無傷な固定されていない細胞の捕獲を確認するために、1mLのPBSにおける約200個のMCF−7細胞を、本発明の実施形態によるマイクロフィルターに通して濾過し、SEMで観察した。10Aで示されているように、無傷な膜を有した細胞は捕獲され、13.6±1.3μmの予想された直径と比較できる細胞のサイズを有して上のフィルター層のポア上に位置している。さらに、蛍光共焦点顕微鏡を使用して、どのようにして精密濾過デバイス上で細胞を捕獲したかを検査した。MCF−7細胞の原形質を緑色の蛍光CFSE色素でラベルし、赤色蛍光ローダミンDHPEでラベルした脂質の類似体で原形質膜をラベルした。図10Bは、上層膜の表面に焦点を合わせながら撮られた画像である。9μmの直径の環は、顕微鏡の焦点の深さ内のポアの縁にてローダミンDHPEからの蛍光が増加される上層のポアの縁に一致している。図10Cは、0.5μmという垂直のステップサイズの画像スタックに基づき再構築された画像であり、ポアに捕捉された細胞の鉛直断面図を示している。ポアの上の細胞部分は、SEM画像と比較してより平らである。これは、細胞膜のラベリング脂質類似体のためであり得る。濾過の前に、ラベルされた細胞の原形質膜は、より柔軟であり、細胞は従来の蛍光顕微鏡下で仮足を用いてその形状を変えたと思われる。
免疫蛍光(IF)染色を使用した、捕獲した細胞における特定のタンパク質発現の照合は、観察者が種々の細胞タイプを区別するのを可能にするCTC検出工程の構成部分である。モデルシステムを使用して、CKの発現に対するオンチップIFを行う能力を実証した。IF染色の結果は図11A乃至11Eに示されている。図11Aは、PBSに腫瘍細胞のみを含有した試料(すなわち、抗CKで染色される血液のないMCF7とLNCaPPとの混合物)を用いた正の対照を示している。図11Bは、培養細胞株を濾過前に血液中に混合した、すなわち、血液が抗CKで染色したMCF7とLNCaPとの混合物の結果である。捕獲した細胞の1つのマーカーの分析に加えて、CKに加えて前立腺特異的抗原(PSA)を発現するLNCaP細胞を使用した多数のマーカーのIF分析に対する能力を実証した。ほぼ100個のLNCaP細胞をPBSに添加し、3Dマイクロフィルターデバイスに通して濾過し、ホルマリンで固定した。図11Cは、血液のないLNCaP細胞の抗CKを用いた二重IF染色の赤色チャネルを示している。図11Dは、血液のないLNCaP細胞の抗PSAを用いた二重IF染色緑色のチャネルを示している。図11C及び11Dに示されているように、LNCaP細胞はCK(図11C)に対してもPSA(図11D)に対しても陽性であった。細胞を、その後、核酸選択的蛍光色素、アクリジンオレンジ(AO)で染色し、細胞核の存在を確かめた。この結果は、図11Eに示されており、AOを用いた二重IF染色の緑色のチャネルを示している。
本発明による例証的な実施形態に対して、捕獲された腫瘍細胞の生存能をさらに検証するために、細胞をデバイス上で2週間培養し、機能アッセイを用いて確かめた。健康なドナー由来の血液と混ぜ合わされたCFSEでラベルされた細胞を、精密濾過デバイスに通して濾過し、PBSで洗浄し、ペトリ皿において2週間培養した。14日目に、前記デバイスをPBSで二度洗浄し、デバイスを含有するペトリ皿に、5μMという最終濃度でC12−レザズリンを添加した。反応混合物を加湿されたインキュベーターにおいて5%のCO及び37℃で15分間インキュベートさせた。優しく混ぜながら過剰な量のPBSをペトリ皿に添加し、赤発光フィルターブロック(Nikon G−2E/C)を直ちに用いてエピ蛍光顕微鏡下で分析した。図12A乃至12Eは、これらの細胞生存能検査から得た結果を描写している。血液中に混合されたCFSEでラベルされたMCF−7細胞の試料を濾過した後すぐに、完全な培地を含有するペトリ皿の内側にマイクロフィルターデバイスを置き、明視野顕微鏡下でデバイスの完全性、及び、無傷の捕獲細胞の存在に対する蛍光をチェックした。図12Aは、明視野照明下で濾過したすぐ後のデバイスを示しており、パッチの幾何学及びポアの2つの層を示している。図12Bは、緑色蛍光発光チャネル由来の照明後すぐのデバイスを示している。
留意されているように、捕獲した細胞をペトリ皿の内側で2週間培養した。図12Cは、14日後のデバイスを緑色蛍光発光チャネル下で示している。図12Cで見られるように、捕獲した細胞の大部分が、同じ位置に残った。2週間の間に、緑色蛍光細胞の数が同じ領域において71から61まで減ったと留意することは興味深い。濾過工程の間にこれらの細胞にダメージを与えたか、培地を変える場合に流体の流れによって受動的に動かされたか、又は、ポアから細胞培地の容器内に能動的に動かされたということは可能である。元々細胞によってふさがれていないスポット上に蛍光細胞が現れた1つの興味深いケースがある。これは、細胞の受動的又は能動的な移動度の例であり得る。全体として、細胞培養の2週間後、少なくとも85%を超える腫瘍細胞が無傷の細胞膜を有した。別の陰性対照を行い(データは示されていない)、CFSEでラベルしたMCF−7細胞を3Dマイクロフィルターデバイスに通して濾過し、明るい緑色の蛍光をチェックした。一般的な固定アセトンを用いた処理後、元々の明るい緑色蛍光のスポットが暗くなった。脂質を取り除き、タンパク質を沈降させ、さらに、細胞を脱水することによってアセトンが細胞表面を透過性にすることは周知である。従って、細胞質内のCFSEが細胞から漏れ、捕獲した明るい緑色蛍光の細胞によって元々ふさがれていたスポットを暗くする。
マイクロデバイス上の捕獲した腫瘍細胞を、C12−レザズリン機能アッセイで検査し、能動的な代謝活動を実証した。C12−レザズリン(ドデシル−レザズリン)は、容易に細胞の膜を横切って拡散し、代謝的に活性の細胞において赤色蛍光C12−レザズリンに還元され、従って、代謝活性細胞を赤色にする。図12Dは、C12−レザズリン染色前のデバイスのクローズアップを示しており、図12Eは、赤蛍光発光チャネル下でのC12−レザズリン染色後のデバイスを示している。図12Eで示されているように、代謝活性細胞を、血液細胞から生じる高バックグラウンドと共に赤くラベルした。図12Dにおける捕獲した腫瘍細胞の大部分が、赤色蛍光の領域(図12Eの矢印)に一致し、2週間の培養後でさえも腫瘍細胞が代謝的に活性であったことを示した。図12D及び12Eの挿入図は、パリレン表面に載せられ、C12−レザズリンで染色された新鮮なMCF−7細胞を用いた陽性対照である。
本明細書において使用された場合、「パリレン」という用語は、以下の式I、II、及び、III、
Figure 0005343092
又は、その組合せに類似の式を有したポリマーを意味している。
式I、II、及び、IIIは、一般的なパリレン変異体の化学組成を示している。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ポリマーブレンド、又は、その組合せであり得る。式I乃至IIIにおいて、R、R、R、及び、Rは、それぞれ独立してH、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又は、ハロゲンである。前記アルキルはC−Cの炭化水素ラジカルであり得る。前記ハロゲンは、Cl、F、Br、又は、Iである。ヘテロアルキルは、O、S、N、Si、又は、P等のヘテロ原子を少なくとも1つ有するアルキル置換基である。R−Rは、それぞれ独立してH、アルキル、アリール、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アロイルアミノ、カルバモイルアミノ、アリールオキシ、アシル、チオ、アルキルチオ、シアノ、アルコキシである。アルキル基は、29個までの炭素原子を有した置換アルキルであり得る。置換アルキルは、それぞれのケースにおいて29個までの炭素原子を有した一不飽和又は多価不飽和のアルケニル又はアルキニルのラジカル、すなわち、置換C−C29アルキル、C−C29アルケニル、又は、C−C29アルキニルのラジカルであり得る。適した置換基は、環状ラジカルもある。置換アルキルは、1又は複数の同じ若しくは異なるラジカルを保有するメチル、エチル、又は、プロピルのラジカルであり得る。置換基の性質に応じて、これらは、一重結合又は多重結合を介して、又は、スピロ形態で結合させることができる。好ましい置換基は、Cl、F、Br、又は、I等のハロゲン、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、特にベンゾイルアミノ等のアロイルアミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、低級アルコキシアミノ、特にフェノキシアミノ等のアロキシアミノである。低級アルキルチオは、C−Cアルキルチオール類を含む。アリールオキシカルボニルは、フェノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ヒドロキシアミノカルボニル、アミノアシルアミノ、カルバモイル、アミジノを含む。アリールオキシは、フェニルオキシ、アミノカルボニル−オキシ、オキソ、アミノスルホニル、及び、低級アルキルスルホニル−アミノであり得る。ヘテロアルキルは、アルキル置換基において1又は複数のヘテロ原子を有したアルキル置換基、特に、29個までの炭素原子を有したメルカプトアルキル、アミノアルキル、フォスフィノアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、又は、シリルアルキルである。好ましくは、本発明の例証的な実施形態に使用されるパリレンは、式Iによって表される構造を有する。上記の好ましい実施形態において、R、R、R、及び、Rは、独立して水素又はC−Cアルキルである。上記のうち他の実施形態において、R−Rは、独立して水素又はC−Cアルキルである。上記のうち他の実施形態において、R、R、R、及び、Rは、独立して水素又はC−Cアルキルであり、R乃至Rのうち少なくとも1つ又は1つは、(例えば、アミノ、チオ、ヒドロキシ、ハロ等の)官能基を含むか、又は、官能基である。一部のさらなる実施形態では、ハロ基はクロロ又はフルオロである。上記のうちどれかにあたる一部の実施形態では、R乃至Rメンバーは、それ自体は置換されない。
官能性を持たせたパリレンポリマーも熟慮される。官能性を持たせたパリレンは、式Iを有したパリレンを含み、R乃至Rメンバーのうち少なくとも1つが官能基である。適した官能基には、それだけに限らないが任意選択で、置換したアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアミノ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、メルカプト、ホルミル、アルカノイル、カルボキシレート、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、ヒドロキシカルボニル、ハライド、シアノ、アミド、カルバモイル、チオカルバモイル、ウレイド、及び、チオウレイドが含まれる。ヘテロアルキルは、N、O、及び、Sから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ有するアルキル基(又は環)を意味し、窒素及び硫黄原子は任意選択で酸化され、1又は複数の窒素原子は任意選択で四級化される。ヘテロ原子は、炭素原子と二重結合を形成し得る。ヘテロアルキル基は、ヘテロ原子を介して分子の残りに結合することができる。ヘテロアリールは、N、O、及び、Sから選択されるヘテロ原子を1から5個有するアリール基を意味しており、窒素及び硫黄原子は任意選択で酸化され、1又は複数の窒素原子は任意選択で四級化される。上記の好ましい実施形態において、R、R、R、及び、Rは、それぞれ水素又はC−Cアルキルである。一部の実施形態では、R乃至Rメンバーのうち1つのみが官能基である。
好ましいタイプのパリレンには、商業的に入手可能なパリレンC、F、A、AM、N、及び、Dが含まれる。3つの最も一般的なタイプのパリレンは、パリレンN、パリレンC、及び、パリレンDであり、全て当業者には明らかである。特に、パリレンCは以下の式IV
Figure 0005343092
のポリマーを示している。
本発明の実施形態は、濾過膜にパリレン−Cを使用することが好ましい。パリレン−C(ポリ−パラ−キシリレン)は、その独特な特性のうちのいくつかのため、本発明の実施形態に好ましい。パリレン−Cは、展性のある(切断までの伸長200%)ポリマーであるけれども、機械的に強い(ヤング率4GPa及び引っ張り強さ:70MPa)。パリレンは任意選択で可視域において透明であるため、パリレンを使用したこの実施形態は、上記のように直接的なオンチップの病理学観察を可能にする。化学的に、パリレンは、スタンダードな化学的及び生物学的な実験に使用される化学薬品及び溶媒のうちほとんどに対して不活性であり、追加される移送ステップに関連する複雑さ及び細胞損失はなく、デバイス上で行われることになる大部分の後処理(例えば、細胞の固定、溶解、染色)ステップとの適合性をもたらす。さらに、パリレンは、非常に生体適合性のポリマーであり、示されているように長期の移植又は細胞培養に対する最も高い基準を満たし得る。最後に、パリレン膜の濾過デバイスは、減少したタンパク質吸収及び細胞接着のため、より少ない詰まり及び膜汚れを経験するはずである。循環性腫瘍細胞が検出されることになる場合、種々のパリレン及びパリレン様材料を本発明の実施形態において濾過膜に使用することができる。それなりに、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアクリレート、セルロース、Teflon(商標)、及び、ポリカーボネート等の他の材料も、適した膜材料であり得る。本発明の実施形態に使用される基板は、上記の材料に限定されず、パリレンと実質的に同じ機能を、パリレンと実質的に同じ方法で行い、パリレンと実質的に同じ結果を得る他の材料も含む。これらの他の材料を使用して、本発明による実施形態を組み立てることができるが、上記のように、パリレンが好ましい。
本発明の実施形態は、血液の複雑な流体においてまれに生じるCTCの実行可能な捕獲の方法を支持及び提供する。これらの実施形態は、数分で86%までの捕獲能率で生存CTCを濃縮することができる精密濾過デバイスを含む。これらの実施形態は、実行可能な捕獲に対する濾過工程の間、細胞膜の張力を効率的に減らすことができる。これらの実施形態は、オンチップマルチマーカー免疫蛍光分析を行う能力も支持することができる。捕獲した細胞は、デバイス上での細胞培養の2週間後でさえも生存可能であり代謝的に活性であると示された。本発明の実施形態は、転移性癌の診断、処置モニタリング、個人化薬物スクリーニング、及び、CTCの研究に対して有用なツールを提供することができる。
本発明の実施形態は、標的を、ラベリング分子及び他の適切な試薬等の他の構成要素と共に検出するためのシステムも提供することができる。
一部の実施形態において、ラベリング分子は検出システムに含ませることができ、それだけに限らないが、ラベルされたポリヌクレオチド、ラベルされた抗体、本開示を読んだ後当業者には明らかな他のラベルを含む。さらなる構成要素も含ませることができ、マイクロ流体チップ、標準品、及び、本開示を読んだ後当業者には明らかなさらなる構成要素を含む。
本発明の実施形態による検出システムは、特に、キットの形状で提供することができる。キットにおいて、ここで開示された方法を行うために、キットの構成要素を適した説明書及び他の必要な試薬と共に提供することができる。一部の実施形態では、キットは別の容器に組成物を有することができる。アッセイを実行するための、例えば紙に書かれた説明書、又は、テープ若しくはCD−ROM等の電子支持体に録音された音声説明も、キットに含ませることができる。キットは、使用される特定の方法に応じて、他の包装された試薬及び材料(すなわち、洗浄バッファー等)も有することができる。
本発明の実施形態による検出システムは、前述の実施形態並びにさらなる及び/又は別の実施形態を含めたここで開示されたいかなる実施形態にもよるデバイス、アレイ、及び/又は、精密濾過システムを含み得る。
本発明による別の実施形態は、図13及び図14に描写されている。図13は、3Dフィルターユニットのフィルターアレイにおける4つのフィルターパッチ500の上面図を示している。各フィルターパッチ500は、いくつかの上層膜のポア513及びいくつかの下層膜のポア523を有している。図14は、フィルターパッチのうちの1つのその一部の切断側面図を示している。図14に示されているように、上層膜のポア513は上層膜511内に位置づけられ、下層膜のポアは下層膜521内に位置づけられている。ギャップ531は、上層膜511を下層膜521から隔てる。
上層膜のポア513及び下層膜のポア523の直径、ポアの密度及び配置、並びに、ギャップ531は、全て変更することができる。特定の値を、種々の適用に対して選ぶことができる。血液からのCTC濃縮に対して、CTCを直接捕獲するいかなるポアも、一般的に、ほぼ3μmから15μmであることを必要とする。小さなサイズ(3μm)に向かうに従い、より多くの血液細胞が捕獲されるため、濃縮は劣るようになる。大きなサイズ(15μm)に向かうに従い、より多くのCTCがフィルターから逃げることができるため、捕獲能率は劣るようになる。
図13に描写されているフィルターパッチは、40μmの上層膜のポアの直径、及び、8μmの下層膜のポアの直径を有する。下層膜のポア523は、それぞれ横に50μm有した各上層膜のポア513の周囲に六角形の形状で配置されるため、下層膜のポア523は、上層膜のポア513からずらされる。上層膜511と下層膜521とのギャップの距離は5.5μmである。図13及び図14に描写されているフィルターパッチ500では、ギャップ531は能動的な濾過機構として使用されている。フィルターパッチ500は、大きな上層のポアサイズ(直径が40μm)を有して、ポア捕獲機構を回避している。代わりに、フィルターパッチ500は、ギャップ531を捕獲に使用している。しかし、フィルターパッチ500はさかさまに使用することができ、ポア捕獲機構を用いて細胞を捕獲するために下層膜のポア523が使用されるということに留意されたい。
図14は、より大きなサイズの上層膜のポア513を有するフィルターパッチ500の捕獲機構を例示している。上記で示され図14で示されているように、上層膜のポア513は、試料400中のCTC403よりも大きく、(血液細胞等の)小さなサイズの細胞401よりもはるかに大きい直径を有するであろう。従って、CTC403は上層膜のポア513を容易に流れ通るが、ギャップ531において上層膜511と下層膜521との間に押し込まれるようになる。より小さなサイズの細胞403は、ギャップ531及び下層膜521を容易に流れ通り、濾過液405の一部になるはずである。捕捉したCTC403は、(上層膜のポア513と下層膜のポア523とのずれのため)依然として下層膜521によって大部分が支持されており、CTC403上からの流体の力を和らげる。従って、この別の実施形態によるこの細胞捕獲は、依然として、高い割合の生存捕獲細胞を生じるはずである。フィルターパッチ500のアレイは、図6Aに関して上記で説明されたものに類似の方法及び装置で使用して、試料の濾過を定めることができるか、又は、他の装置若しくは方法を使用して、試料濾過のためにフィルターパッチ500のアレイを使用することができるということに留意されたい。上記で説明したものに類似の技術、又は、当技術分野において既知の他のものも使用して、捕獲した細胞を検出及び同定することができる。
図15A乃至15Eは、図13及び14に描写されている実施形態を作製することができる工程を例示している。図15Aにおいて、下層膜521は、シリコン基板601上に配置され、下層膜のポア523を形成するよう酸素プラズマでパターン形成されている。好ましくは、下層膜521は10μm厚のパリレンの層であるが、他の材料及び/又は他の厚さを使用することができる。図15Bは、フォトレジスト層607の堆積及びパターン形成を描写している。フォトレジスト層607は、上層膜511が下層膜521に積極する領域609を形成するようフォトリソグラフィーによってパターン形成されている。フォトレジスト層607の厚さは、ギャップ531のサイズを決定する。図15Cは、上層膜511の堆積、及び、上層膜のポア513を形成するよう酸素プラズマを用いた上層膜511のパターン形成を示している。ここでも、上層膜511は、10μm厚であるパリレンの層であることが好ましいが、他の材料及び/又は他の厚さを使用することができる。図15Dは、下層膜521と上層膜511とのギャップ531を提供するために犠牲のフォトレジスト層607の除去を示している。図15Eは、シリコン基板601からの組立体の解放、及び、所望のサイズでフィルターアレイを提供するための組立体のカッティングを描写している。
すぐ前に記述された様式で別の実施形態を組み立てることは、最終的な組立体に残るシリコン基板がないことを提供する。シリコン基板の除去は、製造工程を単純にすることができ、組立体全体を任意選択で透明にし、従って、一部のケースにおいて観察を容易にすることもできる。しかし、シリコン基板が残る製造工程において、最終的な組立体が手動で直接扱いしやすい場合がある。
最終的な組立体が単純に多孔質の上層膜及び多孔質の下層膜からなる場合、組立体の上層及び下層膜を濾過後に引き離して、捕獲された細胞をあらわにすることができる。膜を引き離すことによって、周囲の化学薬品による捕獲された細胞へのより能率的なアクセスが提供され得る。例えば、分析のために細胞を化学的に溶解することは、より速く完全であり得る。捕獲された細胞と相互作用させるために化学試薬を導入するための拡散時間は、より短くあり得る。図16は、ピンセットによって上層膜511が下層膜521から引き離される写真を示している。
図13及び14に描写されている本発明の実施形態は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)における蛍光色素でラベルされ培養された生存腫瘍細胞で検査された場合に、約87%の捕獲能率を実証した。膜の完全性(漏れる蛍光色素はない)によって判断すると、細胞は濾過後及び上層膜と下層膜を引き離す前も生存している。引き離した後、少なくとも一部の細胞が依然として明るい蛍光色を維持する。細胞がデバイスから離されるケースを観察した。それら細胞は浮かんでいるか、又は、適した細胞培地を有したペトリ皿にデバイスが置かれた後にペトリ皿に結合する。
本発明の実施形態は、オゾン環境において表面を物理的に処理することによって変更される、及び、種々の化学薬品を用いた動的な被覆によって化学的に変更されるフィルターパッチの表面特性を有し得る。後に、Becton DickinsonからのMatrigel(商標)及びオイルエチレンイミン(PEI)が、細胞から表面の間の接着を高めるために使用されてきた一方、PluronicF−68、Oluronic F−127、及び、ヒアルロン酸(HA)を使用して、細胞から表面までの接着を減らすことができる。
本発明の実施形態は、マイクロ流体ベースのアッセイの実行を可能にするようにマイクロ流体要素と関連づけることもできる。マイクロ流体ベースのアッセイは、減少した試料及び試薬の容積及び短くなったアッセイ時間等の利点を提供する。
「マイクロ流体」という用語は、本明細書において使用された場合、例えばミクロン若しくはサブミクロンの規模で一般的に作製されるチャネル及び/又はチャンバ等マイクロ流体の特徴を有する要素又はシステムを意味している。例えば、典型的なチャネル又はチャンバは、約0.1ミクロンから約1500ミクロンという範囲、より一般的には約0.2ミクロンから約1000ミクロンという範囲、さらにより一般的には約0.4ミクロンから約500ミクロンという範囲の少なくとも1つの断面寸法を有している。個々のマイクロ流体の特徴は、例えば約10ナノリットルから約5ミリリットル、より一般的には約100ナノリットルから約2ミリリットル、さらにより一般的には約200ナノリットルから約500ミクロリットル、又は、さらにより一般的には約500ナノリットルから約200ミクロリットルといった非常に小さい量の流体を一般的に保持している。
マイクロ流体要素は、統合デバイスに含ませることができる。本明細書において使用された場合、「統合デバイス」は、物理的に及び操作可能に共に結合された2つ(又はそれ以上)の要素を有するデバイスを意味している。前記要素は、互いから分けて(完全又は部分的に)作製し、その(完全又は部分的な)作製の後結合することができるか、又は、別個の要素を統合デバイス内に含んだ統合デバイスを作製することができる。統合されたマイクロ流体デバイスには、マイクロ流体要素に結合した精密濾過要素が含まれ、前記精密濾過要素及び前記マイクロ流体要素は、精密濾過要素がマイクロ流体要素のマイクロ流体特徴と流体連絡するように互いに操作可能に共同している。マイクロ流体要素は、マイクロ流体特徴を含み、精密濾過要素と操作可能に共同するようされた要素である。精密濾過要素は、精密濾過デバイス、アレイ、又は、システムを含み、マイクロ流体要素と操作可能に共同するようされた要素である。
マイクロ流体システムは、モジュラーの形状で提供することもできる。「モジュラー」という用語は、多数の標準化された要素を共に使用するために有するシステム又はデバイスを表現しており、該システム又はデバイスの機能若しくは性能を変更するために、1つの種類の要素における多数の異なる例のうちの1つが、同じ種類の要素の別のものに代わることができる。そのようなシステム又はデバイスにおいて、標準化された要素のそれぞれが「モジュール」である。
前述の例証的及び好ましい実施形態の詳細な説明は、特許法の要求に従い例示及び開示の目的のために示されている。記述された正確な形状に徹底的であるよう、又は、記述された正確な形状に本発明を限定するよう意図されないが、どのようにして本発明は特定の使用又は実行に適し得るかを当業者が理解することを可能にするよう意図される。修正及び変更の可能性は、当業者には明らかである。
耐性、特徴的な大きさ、特異的な操作条件、エンジニアリングの特定等を含めた可能性がある、及び、実行間若しくは技術的現状に対する変更で変わる可能性がある例証的な実施形態の説明による制限は意図されず、そこから暗示されるべき制限はない。特に、本開示は特定の組成物又は生物学的システムに限定されず、当然ながら変更することができるということに理解されたい。本開示は、技術的現状に関して作成されてきたが、進歩も予想し、将来的な順応はそれらの進歩を、すなわち技術的現状に従って考慮に入れることができる。本発明の範囲は、書かれた特許請求の範囲及び適用できるとして同等のものによって規定されると意図される。本明細書において使用される専門用語は特定の実施形態のみを記述するという目的のためであり、限定するよう意図されないことも理解されたい。要素を単数形で参照することは、他に明白に述べられていない限り、必ずしも「1つだけ」を意味するよう意図されない。本明細書及び付随の特許請求の範囲に使用されている場合、単数形の不定冠詞又は定冠詞は、その内容が他に明白に指示していない限り、その指示対象の複数形も含む。「いくつかの」という用語は、その内容が他に明白に指示していない限り、2つ以上の指示対象を含む。他に規定されていない限り、本明細書に使用された全ての技術的及び科学的用語は、本開示に関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有している。
さらに、本開示の要素、構成成分、又は、方法若しくは工程のステップも、その要素、構成成分、又は、ステップが特許請求の範囲に明白に記述されているかに関係なく公衆にささげられるよう意図されない。請求項中の構成要素は、本明細書中の実施例に限定されない。
本開示の実施形態がいくつか記述されてきた。しかし、本開示の真意及び範囲から逸脱することなく種々の修正を行うことができると理解される。従って、他の実施形態が以下の請求項の範囲内にある。
本出願は、2008年1月29日に出願した、“3D Micro Membrane Filtration Device for Capture Viable Rare Circulating Tumor Cells from Whole Blood”と題する米国仮特許出願第61/062,814号に基づく優先権を主張するものであり、全内容を本出願において援用する。
政府の支援に関する記述
本発明は、契約第CA123027の下、アメリカ国立衛生研究所により支援された研究の間に行われた。政府は本発明においてある種の権利を有している。

Claims (19)

  1. 精密濾過パッチであり、前記精密濾過パッチは:
    多孔質の上層膜を含み、前記多孔質の上層膜が、前記多孔質の上層膜を通じて、前記多孔質の上層膜の上部表面から前記多孔質の上層膜の下部表面へ垂直に伸びる上層膜のポアを有し;
    多孔質の下層膜を含み、前記多孔質の下層膜が、前記多孔質の下層膜を通じて、前記多孔質の下層膜の上部表面から前記多孔質の下層膜の下部表面へ垂直に伸びる下層膜のポアを有し、前記下層膜のポアのいくつかが前記下層膜内に、前記上層多孔質膜内に分布される前記上層膜のポアのいくつからか水平にずらされるように配置され;
    前記多孔質の上層膜の前記下部表面と前記多孔質の下層膜の前記上部表面との間の平面空間で定められる単一のギャップを含み、
    前記ギャップが前記多孔質の上層膜の前記下部表面と前記多孔質の下層膜の前記上部表面との間の平面空間及び複数の下層膜のポアを含み、
    前記多孔質の上層膜の前記下部表面と前記多孔質の層膜の前記上部表面のギャップ距離が前記ギャップで定められる領域にわたり実質的に等しく、
    前記ギャップ距離が、前記精密濾過パッチにより補足されないように粒子よりも大きく、かつ前記上層膜のポアから前記下層膜のポアへの粒子の流れを阻害する構造が前記ギャップには存在せず;及び
    前記ギャップを囲む周辺構造を含み、前記周辺構造が前記多孔質の上層膜を前記多孔質の下層膜に接続する、精密濾過パッチ。
  2. 請求項1に記載のいくつかの精密濾過パッチを含む精密濾過アレイであって、各精密濾過パッチが、第一の六角形のアレイに配置される上層膜のポア、及び、第二の六角形のアレイに配置される下層膜のポアを含み、前記いくつかの精密濾過パッチは、精密濾過パッチのアレイに配置され、前記いくつかの精密濾過パッチは、前記上層膜が前記下層膜に接触する領域によって互いから隔てられる、精密濾過アレイ。
  3. 請求項1に記載のいくつかの精密濾過パッチを含む精密濾過アレイであって、前記下層膜のポアは、前記上層膜のポアの位置によって画定される中心となる領域の周囲で六角形のアレイに分布され、前記いくつかの精密濾過パッチは、精密濾過パッチのアレイに配置され、前記いくつかの精密濾過パッチは、前記多孔質の上層膜が前記多孔質の下層膜に接触する領域によって互いから隔てられる、精密濾過アレイ。
  4. 請求項2に記載の1又は複数の精密濾過アレイを含む精密濾過システムであって、前記いくつかの精密濾過パッチが、シリコンウエハーの少なくとも一部内で形成され、当該精密濾過システムは:
    前記精密濾過パッチの前記多孔質の上層膜の上に位置づけられる上方領域、及び、
    前記精密濾過パッチの前記多孔質の下層膜の下に位置づけられる下方領域、
    をさらに含み、
    前記上方領域は加圧可能であり、
    前記下方領域は流体の受容を可能にするよう構成される、精密濾過システム。
  5. 請求項3に記載の1又は複数の精密濾過アレイを含む精密濾過システムであって、前記いくつかの精密濾過パッチが2つのパリレン層を含み、当該精密濾過システムが:
    前記精密濾過パッチの前記多孔質の上層膜の上に位置づけられる上方領域、及び、
    前記精密濾過パッチの前記多孔質の下層膜の下に位置づけられる下方領域、
    をさらに含み、
    前記上方領域は加圧可能であり、
    前記下方領域は流体の受容を可能にするよう構成される、精密濾過システム。
  6. 請求項1、2又は4のうちいずれか1項に記載の精密濾過パッチであって、いくつかの上層膜のポアの直径が、選択された粒子の直径を有する粒子を捕獲するような大きさにされ、前記ギャップの距離が、前記上層膜のポアのうち少なくとも1つの中に捕獲された粒子に背圧を提供するよう前記多孔質の下層膜の位置を定めるように選択される、精密濾過パッチ。
  7. 請求項6に記載の精密濾過パッチであって、前記上層膜のポア及び下層膜のポアが、血液細胞の直径よりも大きく且つ循環性腫瘍細胞の直径よりも小さい直径を有し、前記ギャップの距離が前記循環性腫瘍細胞の直径よりも小さい、精密濾過パッチ。
  8. 請求項1、3又は5のうちいずれか1項に記載の精密濾過パッチであって、いくつかの上層膜のポアの直径が、捕獲されることになる粒子の粒径よりも大きい大きさにされ、前記下層膜のポアの直径が、捕獲されることになる粒子の粒径よりも小さい大きさにされ、前記ギャップの距離が、捕獲されることになる粒子の粒径よりも小さい、精密濾過パッチ。
  9. 請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の精密濾過パッチであって、前記下層膜のポアが、血液細胞の直径よりも大きく且つ循環性腫瘍細胞の直径よりも小さい直径を有し、前記ギャップの距離が、前記循環性腫瘍細胞の直径よりも小さい、精密濾過パッチ。
  10. 前記多孔質の上層膜及び/又は多孔質の下層膜がパリレンを含む、請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載の精密濾過パッチ。
  11. 請求項1、2、4、7又は9のうちいずれか1項に記載の精密濾過パッチであって、前記上層膜のポアが約9マイクロメートルの直径を有し、前記下層膜のポアが約8マイクロメートルの直径を有し、前記ギャップの距離が約6.5マイクロメートルである、精密濾過パッチ。
  12. 請求項1、3、5、8又は9のうちいずれか1項に記載の精密濾過パッチであって、前記上層膜のポアが約40マイクロメートルの直径を有し、前記下層膜のポアが約8マイクロメートルの直径を有し、前記ギャップの距離が約5.5マイクロメートルである、精密濾過パッチ。
  13. 請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載の精密濾過パッチであり、前記上層の多孔質膜、下層の多孔質膜又はそれらの両方が、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアクリレート、セルロース、テフロン(TM)及びポリカーボネートを含む群から選択される1つの材料を含む、精密濾過パッチ。
  14. 請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載の精密濾過パッチであり、前記上層の多孔質膜が、下層の多孔質膜と、前記上層の多孔質膜が下層の多孔質膜から分離可能に接続される、精密濾過パッチ。
  15. 細胞分離装置であり、前記構造が:
    複数の上層膜のポアを含む多孔質の上層膜;
    複数の下層膜のポアを含む多孔質の下層膜を含み、
    それぞれの上層膜のポアが、それぞれの上層膜のポアの下及び回りに分布されるいくつかの下層膜のポアを含み、及び前記いくつかの下層膜のポアがそれぞれの上層膜のポアから水平にずらされ、それぞれの下層膜ポアが少なくとも1つの上層膜ポアよりも小さい直径を有し;
    前記上層の多孔質膜及び下層の多孔質膜を分離する単一のギャップを含み、
    前記上層の多孔質膜及び下層の多孔質膜のギャップ距離が、少なくとも1つの下層膜のポアの直径よりも小さく、かつ前記ギャップ内には、上層膜ポアから下層膜ポアへの粒子の流れを阻止する構造が存在せず;及び
    複数の上層膜ポア及び下層膜ポアを囲み、かつ前記単一ギャップを囲む周辺壁を含み、
    前記周辺壁が前記上層の多孔質膜及び下層の多孔質膜を接続する、細胞分離装置。
  16. 請求項15に記載の細胞分離装置であり、前記上層の多孔質膜、下層の多孔質膜またはそれらの両方が、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアクリレート、セルロース、テフロン(TM)及びポリカーボネートを含む群から選択される1つの材料を含む、細胞分離装置。
  17. 請求項15又は16のうちいずれか1項に記載の細胞分離装置であり、前記上層の多孔質膜が循環腫瘍細胞の直径よりも大きく、前記ギャップ距離が循環腫瘍細胞の直径よりも小さい、細胞分離装置。
  18. 請求項15乃至17のうちいずれか1項に記載の細胞分離装置であり、前記上層の多孔質膜が、それぞれの上層膜ポアの回りに六角型状に設けられる、細胞分離装置。
  19. 請求項15乃至18のうちいずれか1項に記載の細胞分離装置であり、前記周辺壁が、細胞が前記細胞分離構造により捕獲された後で、前記下層の多孔質膜から前記上層の多孔質膜を分離することが可能に形成される、細胞分離装置。
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