JP5342889B2 - 医療用プローブ、および医療用観察システム - Google Patents

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Description

この発明は、対象物を観察するための医療用プローブに関連し、詳しくは、極細径の光ファイバの先端を共振させてパルス光により対象物を走査し画像情報を取得する走査型医療用プローブに関する。また、該医療用プローブを有する医療用観察システムに関する。
医師が患者の体腔内を観察するときに使用する医療機器として電子スコープが一般的に知られている。電子スコープを使用する医師は、電子スコープの挿入部を体腔内に挿入して、挿入部の先端に備えられた先端部を観察対象近傍に導く。医師は、先端部に搭載されたCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子により体腔内を撮影するため、電子スコープやビデオプロセッサの操作部を必要に応じて操作する。医師は、各種操作を行った結果得られる体腔内の映像をモニタを通じて観察し検査や施術等を行う。
このように電子スコープは、患者の体腔内に挿入されて使用される。そのため、電子スコープに関して、患者の負担を軽減すべく挿入部を細径化させる要望が恒常的にある。電子スコープを細径化させるためには、各種内蔵部品の配置等を工夫する以外に各種内蔵部品自体を小型化させることが望まれる。なお、電子スコープには、固体撮像素子以外に、固体撮像素子の周辺回路やシールド部材、絶縁部材、対物レンズ、照明レンズ、レンズ保持枠、光ファイババンドル等の多数の部品が内蔵されている。
電子スコープの内蔵部品のなかでも特に固体撮像素子や光ファイババンドルは外形寸法が大きい。また、対物レンズや照明レンズ等の他の部品の設計上可能な最小寸法は、固体撮像素子の有効画素領域や光ファイババンドルの外形寸法等によって規定される。従って、小型な固体撮像素子や細径な光ファイババンドルを採用する場合には、細径な電子スコープを設計しやすい。しかし、一般に、固体撮像素子を小型化するほど解像度やダイナミックレンジ、SN比等の種々のパラメータに関して所望の性能を満たすことが難しくなる。また、光ファイババンドルを細径化、すなわち光ファイバの本数を削減した場合には、体腔内を照明するために十分な光量を導光できない問題が生じる。そのため、固体撮像素子や光ファイババンドルを安易に小型化や細径化させることはできない。
そこで、固体撮像素子自体を不要とした構成を採用することによって、従来型の電子スコープ(つまり固体撮像素子を搭載した電子スコープ)よりも細径化させることが可能な医療用プローブが提案されている。
この種の医療用プローブを有する医療用観察システムの一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の医療用プローブは、単一の光ファイバの先端を共振させて所定の走査光により対象物を所定の走査パターンで走査する。かかる医療用プローブは、対象物からの反射光を検出して光電変換しビデオプロセッサに順次出力する。ビデオプロセッサは、光電変換された信号を処理して画像化しモニタに出力する。医師は、このようにして得られた体腔内の映像を、電子スコープを使用した場合と同じくモニタを通じて観察し検査や施術等を行うことができる。なお、医療用観察システムには、カラー画像に対応するため、対象物からの反射光を検出する手段としてRGBの各波長の光を検出する複数の光検出器が備えられている。
米国特許第6,563,105号明細書
ところで、特許文献1に記載の医療用観察システムは、従来型の電子スコープを用いるシステムと同じく蛍光観察等の特殊光観察に対応するように構成することができる。特殊光観察に対応するため、医療用観察システムは、カラー画像用の光源と光検出器以外に特殊光用の光源と光検出器を更に備えることとなる。この種の医療用観察システムが有する光検出器には、例えば光電子増倍管等の高感度光検出器が適している。これは、単一の光ファイバにより導光されて体腔内を走査し反射される微弱な光を、より確実にかつ低ノイズで検出するためである。しかし、高感度光検出器には単価が高いという問題がある。そのため、医療用観察システムの製造コストを抑える上では光検出器の個数を削減することが望まれる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光検出器の個数を削減しつつも特殊光観察に対応した医療用プローブおよび該医療用プローブを有する医療用観察システムを提供することである。
上記の課題を解決する本発明の一形態に係る医療用プローブは、所定の光源から射出された、可視光域と特殊光観察に適した波長との各パルス光を導光して対象物に射出する導光手段と、該パルス光により照明された対象物からの反射パルス光が入射される第一の光ファイバと、反射パルス光に対して波長毎に異なる光路差が付与されるように、第一の光ファイバの導光路中の異なる位置に配置された、互いに異なる可視光域の波長の可視反射パルス光を光源側に反射する複数の波長選択手段と、光源側に反射された可視反射パルス光が入射される第二の光ファイバとを有し、何れの波長選択手段にも反射されること無く第一の光ファイバの終端に達した、特殊光観察に適した波長に対応する反射特殊パルス光を第一の光検出手段に出力すると共に、第二の光ファイバに導光されて終端に達した可視反射パルス光を第二の光検出手段に出力することを特徴としたものである。
このように本発明に係る医療用プローブは、各可視反射パルス光を時分割して共通の光検出手段に出力するように構成されている。そのため、従来のカラー画像対応の医療用プローブよりも光検出手段の個数が少ないにも拘わらず特殊光観察に対応した、コストダウンに有利な構成となっている。
光検出手段の更なる個数削減を達成すべく、第一と第二の光検出手段は単一の光検出手段であってもよい。この場合、第一と第二の光ファイバの終端は束ねられる。第一又は第二の光ファイバの終端に達した可視反射パルス光又は反射特殊パルス光は、単一の光検出手段に出力される。
第一の光ファイバの導光路中に形成された波長選択手段の各々は、例えば異なる可視光域の波長それぞれに適したファイバブラッググレーティングである。
医療用プローブが有する導光手段には、例えば入射端が光源に光学的に接続されたシングルモードファイバが適している。
また、本発明に係る医療用プローブは、導光手段から射出されたパルス光が対象物上で走査されるように導光手段の射出端近傍を振動させる振動手段をさらに有する構成としてもよい。
また、上記の課題を解決する本発明の一形態に係る医療用観察システムは、上記何れかに記載の医療用プローブを有するシステムであり、以下の構成を有している。すなわち、かかる医療用観察システムは、光源と、反射特殊パルス光を受光して信号を検出する第一の光検出手段と、それぞれ異なる光路差が付与された各波長の可視反射パルス光を順次受光して信号を検出する第二の光検出手段と、第一の光検出手段により検出された信号に基づき特殊光観察画像を生成すると共に、第二の光検出手段により検出された各波長に対応する信号の検出タイミングに基づき該各信号に色情報を付加してカラー観察画像を生成する画像情報生成手段と、生成された特殊光観察画像またはカラー観察画像の少なくとも一方を表示する画像表示手段とを有することを特徴としたシステムである。
光検出手段が単一であり、該単一の光検出手段に適した構成を有する医療用プローブを備えた医療用観察システムにおいて、第一の光ファイバは、反射特殊パルス光が何れの可視反射パルス光とも異なるタイミングで単一の光検出手段に検出されるように、該反射特殊パルス光に各波長の該可視反射パルス光と異なる光路差を付与する導光路長を有した構成としてもよい。この場合、画像情報生成手段は、単一の光検出手段における各信号の検出タイミングに基づき各波長の可視反射パルス光、反射特殊パルス光を区別して、各該可視反射パルス光を用いてカラー観察画像を、該反射特殊パルス光を用いて特殊光観察画像をそれぞれ生成する。より詳細には、第一の光ファイバは、例えば第二の光ファイバから光学的に最も離れた波長選択手段から該第一の光ファイバの終端までの導光路長が、該最も離れた波長選択手段から該第二の光ファイバの終端までの導光路長より長くなるように構成される。
また、振動手段を有する医療用プローブを備えた医療用観察システムは、上記の各構成に加えて、導光手段から射出されたパルス光が対象物上で所定の走査パターンを描くように振動手段の振動を制御する振動制御手段をさらに有した構成であってもよい。
医療用観察システムが有する光源は、可視光域の波長と特殊光観察に適した波長の各々のパルス光を照射する複数の発光手段と、複数の発光手段の各々が照射したパルス光を結合する光結合手段とを有したものとしてもよい。さらに、複数の発光手段の各々に同一の変調をかけて同期したパルス光を生成するパルス光生成手段が備えられた構成としてもよい。
このように、本発明の医療用プローブ、および医療用観察システムは、従来のカラー画像対応の医療用プローブよりも光検出手段の個数が少ないにも拘わらず特殊光観察に対応した構成を有しており、製造コスト面で有利である。さらに、光検出手段が単一である構成を採用することにより、従来必須とされていた、光検出手段間のパワーの校正等が不要となる。そのため、製造コスト面で有利な上、リードタイム短縮の効果も得られる。
本発明の第一実施形態の走査型医療用プローブの内部構成およびプロセッサの一部の構成を模式的に示す模式図である。 本発明の第一実施形態のプロセッサおよびモニタの構成を示すブロック図である。 本発明の第一実施形態の走査型医療用プローブの先端部の模式的な内部構造を示す側断面図である。 本発明の第一実施形態の走査型医療用プローブの先端部の内部構造を示す外観斜視図である。 観察対象上に形成されるスポットを説明するための図である。 本発明の第一実施形態において一パルスの結合パルス光を観察対象に照射した場合に光検出器により検出されるアナログ信号を例示する図である。 本発明の第一実施形態のプロセッサが有する画像処理エンジンの構成を示すブロック図である。 本発明の第一実施形態の画像処理エンジンが有するピーク値検出回路から出力されるデータの概念的に示す図である。 本発明の第一実施形態の画像処理エンジンが有する変換回路による画素アドレスの変換処理の具体例を説明するための図である。 本発明の第二施形態の走査型医療用プローブの内部構成およびプロセッサの一部の構成を模式的に示す模式図である。 本発明の第二実施形態のプロセッサおよびモニタの構成を示すブロック図である。 本発明の第二実施形態において一パルスの結合パルス光を観察対象に照射した場合に光検出器により検出されるアナログ信号を例示する図である。 本発明の第二実施形態のプロセッサが有する画像処理エンジンの構成を示すブロック図である。 本発明の第二実施形態の画像処理エンジンが有するピーク値検出回路から出力されるデータの概念的に示す図である。 本発明の第二実施形態の変形例において一パルスの結合パルス光を観察対象に照射した場合に光検出器により検出されるアナログ信号を例示する図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の走査型医療用プローブを有する医療用観察システムについて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態の走査型医療用プローブ100の内部構成およびプロセッサ200の一部の構成を模式的に示す模式図である。図2は、第一実施形態のプロセッサ200およびモニタ300の構成を示すブロック図である。なお、図2においては、走査型医療用プローブ100とプロセッサ200との接続関係等を明確にするため、走査型医療用プローブ100の一部の構成も模式的に示している。また、モニタ300は周知の構成を有した受像装置であるため、図2においてモニタ300の詳細な構成は図示省略している。これらの図面に示されるように、第一実施形態の医療用観察システム1は、走査型医療用プローブ100、プロセッサ200、およびモニタ300を有している。
プロセッサ200は、走査型医療用プローブ100を駆動制御するとともに走査型医療用プローブ100により取得される観察光に基づき画像信号を生成する信号処理装置と、自然光の届かない体腔内に走査型医療用プローブ100を通じて走査光を照射する光源装置とを内蔵した一体型のプロセッサである。なお、別の実施形態では信号処理装置と光源装置とを別体で構成してもよい。
図2に示されるように、走査型医療用プローブ100は、基端部に光学コネクタ部110および電気コネクタ部120を有している。また、プロセッサ200は、光学コネクタ部210および電気コネクタ部220を有している。光学コネクタ部110が光学コネクタ部210に差し込まれることにより、走査型医療用プローブ100とプロセッサ200が光学的に接続される。同じく、電気コネクタ部120が電気コネクタ部220に差し込まれることにより、走査型医療用プローブ100とプロセッサ200が電気的に接続される。プロセッサ200とモニタ300は、所定のケーブルを介して電気的に接続される。なお、図1においては、走査型医療用プローブ100とプロセッサ200の接続関係等を分かり易くするため、光学コネクタ部110と210との接続部分を敢えて三つに分けて図示している。
このように走査型医療用プローブ100、プロセッサ200、モニタ300がそれぞれ接続されて電源が投入されると、術者は、医療用観察システム1を使用して患者の体腔内を検査、施術等できるようになる。具体的には、術者は、走査型医療用プローブ100の挿入部130を体腔内に挿入して挿入部130の先端130aを観察対象近傍に導き、プロセッサ200の操作部(不図示)を操作する。術者は、このような操作を行った結果得られる体腔内の映像をモニタ300を通じて観察し検査や施術等を行う。
なお、第一実施形態においては、体腔内を観察するために走査型医療用プローブ100単体が体腔内に直接挿入される。別の実施形態においては、例えば先端130aを観察対象近傍にスムーズに導くために挿入部130にガイドワイヤ等を添えて挿入するようにしてもよい。また、例えば電子スコープ等が有する鉗子チャンネルに挿入部130を挿入し通して先端部130aを観察対象近傍に近接させるようにしてもよい。
次に、走査型医療用プローブ100およびプロセッサ200の構成を説明しつつ、医療用観察システム1において体腔内の映像がモニタ300に表示されるまでの一連の処理を詳細に説明する。かかる一連の処理は、
(1)観察対象を走査して観察光を取得する処理
(2)観察光に基づき画像を生成し表示する処理
に大別される。
まず、「(1)観察対象を走査して観察光を取得する処理」について説明する。プロセッサ200は、観察対象を走査するための光源としてRGBの各波長に対応した光を発振するレーザ光源230R、230G、230Bを有している。また、蛍光観察等の特殊光観察に適した波長の光(以下、「特殊光」と記す。)を発振するレーザ光源230Sを有している。なお、これら4つのレーザ光源は、例えば広帯域(可視光および特殊光を含む帯域)であるスーパーコンティニューム光等を発振する単一のファイバレーザに置き換えてもよい。また、光源は、レーザ光源に限らず例えばLED(Light Emitting Diode)等の他の形態の光源としてもよい。
プロセッサ200は、該プロセッサ200の各回路の信号処理タイミングを統括的に制御するタイミングコントローラ240を有している。タイミングコントローラ240は、ドライバ232R、232G、232B、232Sの各ドライバ回路に同一の変調信号を同時に出力する。ドライバ232R、232G、232B、232Sはそれぞれ、入力された変調信号に基づきレーザ光源230R、230G、230B、230Sを駆動する。これにより、レーザ光源230R、230G、230B、230Sはそれぞれ、R、G、B、特殊光の各波長に対応するパルス光(以下、「Rパルス光」、「Gパルス光」、「Bパルス光」、「特殊パルス光」と記す。)を同期したタイミングで発振する。
各レーザ光源から発振されたRパルス光、Gパルス光、Bパルス光、特殊パルス光は、光結合器234に入射される。光結合器234は、入射された各パルス光を位相が揃った状態で結合して射出する。以下、説明の便宜上、光結合器234により結合されたパルス光を「結合パルス光」と記す。
なお、光源が単一のファイバレーザである場合には、各波長のパルス光を同期させるといったタイミング制御が不要となる。そのため、レーザ光源周辺の回路構成等を簡素化できるメリットがある。また、既に結合された状態のパルス光が発振されるため、光結合器234が不要になるメリットもある。
光結合器234から射出された結合パルス光は、走査型医療用プローブ100が有するシングルモードファイバ112の入射端112aに入射される。シングルモードファイバ112は、光学コネクタ部110から先端部130aに亘って、走査型医療用プローブ100の外皮部材(後述の図3に示されるシース132)に収容されている。入射端112aに入射された結合パルス光は、シングルモードファイバ112内部を全反射を繰り返すことにより伝搬される。伝搬された結合パルス光は、先端部130a内部に配置されたシングルモードファイバ112の射出端112bから射出される。
図3に、第一実施形態の先端部130aの模式的な内部構造を側断面図で示す。また、図4に、第一実施形態の先端部130aの内部構造を外観斜視図として示す。なお、以降においては、走査型医療用プローブ100の構成を説明するにあたり、便宜上、走査型医療用プローブ100の長手方向をZ方向、Z方向に直交しかつ互いに直交する二方向をX方向、Y方向と定義する。かかる定義によれば、例えば図3は、走査型医療用プローブ100の中心軸AXを含むY−Z平面での先端部130aの断面図となっている。
図3に示されるシース132は、可撓性を有する走査型医療用プローブ100の保護チューブである。シース132は、先端部130aから光学コネクタ部110にまで延びた形状を有し、走査型医療用プローブ100が有する各種内蔵部品を保護している。シース132の外径は、走査型医療用プローブ100が固体撮像素子等を搭載しない構成であるため、従来型の電子スコープの外径に比べて格段に細い。そのため、走査型医療用プローブ100は、従来型の電子スコープに比べてより一層の低浸襲性が達成されている。
図3に示されるように、シース132内部には、支持体134が支持されている。シングルモードファイバ112の先端部112cは、支持体134の貫通穴に挿入され通されて片持ち梁の状態で支持されている。支持体134は、圧電素子等のアクチュエータ136、138も支持している。アクチュエータ136、138は、図示省略された電極を有している。各電極は、終端が電気コネクタ部120内部に収容された電線(不図示)と接続されている。各電線は、電気コネクタ部120と電気コネクタ部220とを接続させたときに、プロセッサ200が有するX軸ドライバ236X又はY軸ドライバ236Yに接続される。
タイミングコントローラ240は、X軸ドライバ236X、Y軸ドライバ236Yの各ドライバ回路に所定の駆動制御信号を出力する。X軸ドライバ236Xは、駆動制御信号に基づきアクチュエータ136に第一の交流電圧を印加する。Y軸ドライバ236Yは、駆動制御信号に基づきアクチュエータ138に第一の交流電圧と同一周波数であって位相が直交する第二の交流電圧を印加する。
アクチュエータ136、138はそれぞれ、印加された第一、第二の交流電圧に応じて振動する。アクチュエータ136、138の振動はそれぞれ、シングルモードファイバ112の先端部112cのX方向、Y方向への共振運動を生じさせる。シングルモードファイバ112の射出端112bは、アクチュエータ136および138によるX方向およびY方向への運動エネルギーが合成されることにより、X−Y平面に近似する面(以下、「XY近似面」と記す。)上において中心軸AXをほぼ中心とする所定半径を有する円の軌跡を描く。
所定半径を有する円の軌跡を描く状態でアクチュエータ136および138に対する交流電圧の印加が停止される。すると、シングルモードファイバ112の先端部112cの振動は徐々に減衰されていく。かかる減衰に伴って、シングルモードファイバ112の射出端112bは、XY近似面上で略渦巻パターンの軌跡を描きながら中心軸AXに向かい、最終的には中心軸AX上で停止する。結合パルス光は、各アクチュエータへの交流電圧の印加停止直後からシングルモードファイバ112の射出端112bが中心軸AX上で停止する迄の期間(以下、「渦巻パターン期間」と記す。)、射出端112bから射出され続ける。
シース112の先端は、集光レンズ140により封止されている。そのため、結合パルス光は、シングルモードファイバ112の射出端112bから射出されて一旦発散するものの、集光レンズ140により集光されて観察対象上にスポットを形成する。かかるスポット径は、例えば数ミクロンオーダであり極めて小さい。なお、射出端112bにはコリメートレンズ(不図示)が取り付けられてもよい。この場合、結合パルス光は、射出端112bから平行光として射出されて集光レンズ140を介して観察対象上にスポットを形成する。
図5に、観察対象上に形成されるスポットを説明するための図を示す。走査型医療用プローブ100は、一枚の画像を得るために観察対象上に渦巻パターンSPを描くようにn個のスポットをスポットS、S、S、・・・、Sの順に形成する。各スポットの間隔は、シングルモードファイバ112の射出端112bの運動速度や各レーザ光源の変調周波数等に依存して決まる。渦巻パターンSPは、観察対象上にパルス光で無く連続光を走査した場合を想定して描かれた仮想的な走査軌跡である。
なお、実験等を重ねた結果、シングルモードファイバ112の射出端112bが停止した状態から所定半径を有する円の軌跡を描く状態に達する迄にかかる時間は既知である。同じく、渦巻パターン期間が開始され終了する迄にかかる時間も既知である。さらに、渦巻パターン期間中のXY近似面におけるシングルモードファイバ112の射出端112bの位置(又は観察対象上における各スポット形成位置)も既知である。そのため、タイミングコントローラ240は、かかる既知の情報に基づき、X軸ドライバ236X、Y軸ドライバ236Yに対するタイミング制御(つまり、各アクチュエータに対する交流電圧の印加と停止のタイミング)、およびドライバ232R、232G、232B、232Sに対するタイミング制御(つまり、渦巻パターン期間中における各レーザ光源の変調制御)のそれぞれをフレームレートに応じた周期で繰り返す。
図4に示されるように、支持体134の端面134aには、円環上に並ぶ複数の貫通穴が形成されている。各貫通穴には検出用ファイバ142が埋設されている。図4において図示省略するが、各検出用ファイバ142は支持体134の後方で束ねられ、光ファイババンドル142Bを構成している。光ファイババンドル142Bは、先端部130aから光学コネクタ部110に延びて、終端が光学コネクタ部110に収容されている。
光ファイババンドル142Bの終端は、光サーキュレータ144により波長選択ファイバ146の一端と結合されている。なお、ファイババンドル142Bは、数十本程度(例えば80本)の光ファイバを束ねたものに過ぎない。そのため、ファイババンドル142Bは、従来型の電子スコープやファイバスコープの光ファイババンドル(例えば数百〜千本の光ファイバを束ねた光ファイババンドル)と比べて遙かに径が細い。また、第一実施形態において、検出用ファイバ142は最低限一本あればよい。検出用ファイバ142が一本の場合には、走査型医療用プローブ100をより一層細径化させることができる。
観察対象上に形成された各結合パルス光のスポットは、観察対象にて反射され集光レンズ140を介してシース132内部に入射される。シース132内部に戻された反射パルス光は、各検出用ファイバ142の入射端142aに入射される。入射端142aに入射された反射パルス光は、ファイババンドル142B(検出用ファイバ142)内部を終端に向かって伝搬される。
ファイババンドル142B内部を伝搬された反射パルス光は、光サーキュレータ144によりファイババンドル142Bの終端と結合された波長選択ファイバ146の結合端に入射される。なお、光サーキュレータ144は、ファイババンドル142Bからの反射パルス光を波長選択ファイバ146にのみ入射させるように構成されている(つまりファイババンドル142Bからの反射パルス光を後述の光ファイバ148には入射させない。)。
波長選択ファイバ146は、光学コネクタ部110内部に蜷局を巻くように収容されている。波長選択ファイバ146の導光路中には、結合端側から順にR、G、Bの各波長に対応するファイバブラッググレーティング146R、146G、146Bが形成されている。したがって、波長選択ファイバ146に入射され伝搬される反射パルス光は、まず、ファイバブラッググレーティング146RによりR成分について強い後方反射が引き起こされる。つまり、ファイバブラッググレーティング146Rは、反射パルス光に含まれるR成分のパルス光(以下、「反射Rパルス光」と記す。)のみを反射させて波長選択ファイバ146の結合端側に戻すとともに他の成分を透過させる。ファイバブラッググレーティング146G、ファイバブラッググレーティング146Bにおいても同様の光学的作用が引き起こされる。すなわち、ファイバブラッググレーティング146GにおいてはG光成分(以下、「反射Gパルス光」と記す。)のみが、ファイバブラッググレーティング146BにおいてはB光成分(以下、「反射Bパルス光」と記す。)のみが、それぞれ反射されて波長選択ファイバ146の結合端側に戻される。
ファイバブラッググレーティング146R、146G、146Bは、RGBの各色の反射パルス光に所定の光路差を付与するように位置が決められ形成されている。ここで、光サーキュレータ144は、波長選択ファイバ146からの光を光ファイバ148にのみ入射させるように構成されている(つまり波長選択ファイバ146からの光をファイババンドル142Bには入射させない。)。そのため、波長選択ファイバ146の結合端に所定の時間遅延をもって到達した各色の反射パルス光は、光ファイバ148に順次入射される。
光ファイバ148の終端148aは、光学コネクタ部110と光学コネクタ部210とを接続させたときに、プロセッサ200が有するカップリングレンズ238を介して光検出器250に結合される。したがって、光検出器250には、反射Rパルス光、反射Gパルス光、反射Bパルス光の各色の反射パルス光が所定の時間遅延をもって順次受光される。
一方、ファイババンドル142Bからの反射パルス光に含まれる特殊光に対応する成分のパルス光(以下、「反射特殊パルス光」と記す。)は、波長選択ファイバ146を伝搬中、何れのファイバブラッググレーティングによっても反射されること無く波長選択ファイバ146の終端146aから射出される。終端146aは、光学コネクタ部110と光学コネクタ部210とを接続させたときに、プロセッサ200が有するカップリングレンズ239を介して光検出器251に結合される。したがって、光検出器251には、反射特殊パルス光が所定周期で受光される。
ここで、上述したように結合パルス光は、単一のシングルモードファイバ112により導光されて観察対象を照射する。そのため、観察対象にて反射される反射パルス光の光量は非常に少ない。このような微弱な光を確実にかつ低ノイズで検出する必要があるため、光検出器250および251には光電子増倍管等の高感度光検出器が採用されている。
以上が「(1)観察対象を走査して観察光を取得する処理」についての説明になる。次に、「(2)観察光に基づき画像を生成し表示する処理」、つまり取得された観察光(各波長の反射パルス光)を画像化してモニタ300に表示させるまでの処理を説明する。かかる処理を経て、モニタ300には、プロセッサ200で設定されている表示モードに応じてカラー観察画像又は特殊光観察画像の何れか一方が表示される。或いはカラー観察画像と特殊光観察画像が二画面で表示される。表示モードは、術者によるプロセッサ200の操作により適宜設定される。
光検出器250は、受光された各色の反射パルス光を光電変換してアナログ信号を生成し後段の回路に出力する。図6に、第一実施形態において、一パルスの結合パルス光を観察対象に照射した場合に光検出器250により検出されるアナログ信号の一例を示す。図6の縦軸は出力電圧値(単位:V)を、横軸は時間(単位:sec)をそれぞれ示している。図6を参照すると、反射Gパルス光の波形λは反射Rパルス光の波形λに対してt−t(sec)の遅延が、反射Bパルス光の波形λは反射Gパルス光の波形λに対してt−t(sec)の遅延が、それぞれ付与されていることが分かる。
ところで、各ファイバブラッググレーティングは、例えば光検出器250の時間分解能を考慮して、最低限、各色の反射パルス光の波形が確実に分離(すなわち、図6の出力波形に谷(例えばクランプレベル)が確実に形成)される程度に離れた位置に形成されている。但し、各ファイバブラッググレーティングを離し過ぎた場合には、必要とされる解像度やフレームレート等を達成できない等の別の弊害が生じる。したがって、各ファイバブラッググレーティングは、これらの事項全てを考慮して適切な間隔をもって形成されている。
例えば各色の反射パルス光の波形の半値幅が10nsecである場合を考える。この場合に、各色の反射パルス光の波形間に谷が現れるようにするためには、各ファイバブラッググレーティングの間隔は例えば1m程度が適切と考えられる。
光検出器250により検出された各色の反射パルス光に応じたアナログ信号は、サンプリングおよびホールドされてA/Dコンバータ252によりデジタル信号列に変換される。プロセッサ200が有するDSP(Digital Signal Processor)254は、カラー観察画像用と特殊光観察画像用の2つの画像処理エンジン254A、254Bを有している。A/Dコンバータ252により変換された各色の反射パルス光に対応するデジタル信号列は、画像処理エンジン254Aに入力される。
光検出器251も光検出器250と同じく、受光された反射特殊パルス光を光電変換してアナログ信号を生成してA/Dコンバータ253に出力する。A/Dコンバータ253は、入力されたアナログ信号をデジタル信号列に変換して画像処理エンジン254Bに出力する。
図7に、第一実施形態の画像処理エンジン254Aの構成をブロック図で示す。図7に示されるように、画像処理エンジン254Aは、波形蓄積用メモリ254a、ピーク値検出回路254b、変換回路254c、ピーク値蓄積用メモリ254d、およびピーク値読み出し回路254eを有している。
波形蓄積用メモリ254aは、A/Dコンバータ252からのデジタル信号列をラッチする。なお、ラッチされたデジタル信号列は、波形蓄積用メモリ254aの容量を考慮して一定時間経過後順次破棄される。
ピーク値検出回路254bは、波形蓄積用メモリ254aにラッチされたデジタル信号列を監視して変極点、つまりピーク値(例えば図6に示される波形λのピーク値P、波形λのピーク値P、波形λのピーク値P)を検出する。次いで、デジタル信号列中のピーク値が検出された時点、つまり時間(例えば図6に示されるピーク値Pに対応する時間t、ピーク値Pに対応する時間t、ピーク値Pに対応する時間t)を該ピーク値に関連付けて変換回路254cに順次出力する。
図8に、ピーク値検出回路254bから出力されるデータの概念図を示す。図8に示されるように、ピーク値検出回路254bは、スポットS〜Sに対応するピーク値Pと時間Tとを関連付けたデータ(以下、「関連付けデータ」と記す。)を変換回路254cに順次出力する。
変換回路254cは、関連付けデータの時間Tを例えば固体撮像素子でいうところの画素アドレスに変換する。具体的には、変換回路254cには、各スポットに対応する時間Tと画素アドレスとの変換テーブルが予め保持されている。かかる変換テーブルは、既知の情報である渦巻パターン期間中の各スポットの形成位置および形成時間に基づき作成されている。変換回路254cは、特定の時間Tに対応する関連付けデータが入力されたとき、変換テーブルに基づき該特定の時間Tを特定の画素アドレスに変換する。
図9を用いて、変換回路254cによる画素アドレスの変換処理の具体例を説明する。ここでは、説明の便宜上、関連付けデータの各時間Tを19×19からなる画素アドレスに変換する場合を考える。変換回路254cは、例えばスポットSに対応する時間t11、t21、t31の関連付けデータが入力されたとき、上記変換テーブルに基づき時間t11、t21、t31を画素アドレス(3,10)に変換する。次いで、時間t12、t22、t32の関連付けデータが入力されたとき、上記変換テーブルに基づき時間時間t12、t22、t32を画素アドレス(3,8)に変換する。変換回路254cは、かかる画素アドレスへの変換処理を、入力される関連付けデータに対して順次行う。
画素アドレスへの変換処理により、例えば画素アドレス(3,10)には、3つの出力電圧値、つまりピーク値P11、P21、P31が関連付けられたことになる。しかし、これだけでは、ピーク値P11、P21、P31が何れの色情報を有するかが不明である。そこで、変換回路254cは、3つのピーク値に対して適切な色情報を付与する。そのために、変換回路254cは、各色に対応するファイバブラッググレーティング間の距離により予め定められた各色のピーク値の遅延時間を利用する。
すなわち、変換回路254cは、スポットSに対応する時間t11に検出されたピーク値P11にR色であることを示す色情報を付加する。そして、時間t11から所定時間(図6ではt−t(sec))遅延した時間t21に検出されたピーク値P21にG色であることを示す色情報を付加する。さらに、時間t11(又は時間t21)から所定時間(図6ではt−t(sec)(又はt−t(sec)))遅延した時間t31に検出されたピーク値P31にB色であることを示す色情報を付加する。
このようにして、変換回路254cは、画素アドレス(3,10)に関連付けられた、R色、G色、B色の輝度がそれぞれ、ピーク値P11、ピーク値P21、ピーク値P31となる画像情報を生成する。変換回路254cは、かかる色情報付加処理を、入力される関連付けデータに対して順次行う。
変換回路254cは、生成された画像情報をピーク値蓄積用メモリ254dに順次出力して書き込む。また、画像情報を有さない画素アドレスに関しては、例えば所定のマスキングデータを生成してピーク値蓄積用メモリ254dに出力して書き込む。ピーク値蓄積用メモリ254dはフレームバッファであり、変換回路254cにより生成されたスポットS〜Sに対応する一フレーム分の画像情報をバッファリングする。ピーク値読み出し回路254eは、タイミングコントローラ240のタイミング制御に従い、ピーク値蓄積用メモリ254dにバッファリングされた画像情報を読み出して画像情報出力回路255に出力する。
画像処理エンジン254Bも画像処理エンジン254Aと同様の回路構成を有している。すなわち画像処理エンジン254Bも、入力されるデジタル信号列の各ピーク値を入力タイミングに応じた画素アドレス(例えばスポットSに対応する入力タイミングのピーク値を画素アドレス(3,10))に関連付けてバッファリングする。画像処理エンジン254Bは、バッファリングされた一フレーム分の画像情報を読み出して画像情報出力回路255に出力する。なお、画像処理エンジン254Bが処理する信号は、反射特殊パルス光に対応する信号のみである。そのため、画像処理エンジン254Bでは色情報付加処理は行われない。
画像情報出力回路255は、カラー観察画像を表示させるモードに設定されている場合には、画像処理エンジン254Aからの画像情報のみを映像信号出力回路256に出力する。映像信号出力回路256は、入力された画像情報をNTSC(National Television Standards Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換してモニタ300に出力する。これにより、モニタ300に観察対象のカラー映像が表示される。また、画像情報出力回路255は、特殊光観察画像を表示させるモードに設定されている場合には、画像処理エンジン254Bからの画像情報のみを映像信号出力回路256に出力する。モニタ300には、映像信号出力回路256での信号処理を経て特殊光観察画像が表示される。さらに、画像情報出力回路255は、カラー観察画像と特殊光観察画像を同時に表示させるモードに設定されている場合には、画像処理エンジン254A、254Bからの両方の画像情報を映像信号出力回路256に出力する。この場合、映像信号出力回路256は、所定の画像合成処理(各観察画像の縮小処理、および縮小された2つの観察画像を一画面にレイアウトする処理など)を行う。これにより、モニタ300には、カラー観察画像と特殊光観察画像が二画面で表示される。
以上に説明されたように第一実施形態の走査型医療用プローブ100は、各波長の反射パルス光にそれぞれ異なる遅延時間を付与するように構成されている。プロセッサ200は、波長毎の遅延時間を利用して、使用波長の種類より少ない数の光検出器によって各波長の反射パルス光を区別しカラー観察画像と特殊光観察画像の両方の画像を生成することができる。すなわち、高価な高感度光検出器の個数を従来よりも削減できるため、製造コスト面で非常に有利である。また、上述したように、ファイバブラッググレーティング146R、146G、146Bは全て、反射特殊パルス光を透過するように構成されている。全てのファイバブラッググレーティングを透過した反射特殊パルス光の検出は、波長選択ファイバ146の終端146aで行われる。かかる構成を採用することにより、ファイバブラッググレーティングの数は、使用波長の種類より少ない数(使用波長が4種類であるのに対してファイバブラッググレーティングの数は3つ)に抑えられている。ファイバブラッググレーティングの数を抑えることにより、波長選択ファイバ146の構成の複雑化が有効に避けられている。更に、終端146aに導かれる光の波長は、ファイバブラッググレーティングにより反射される光の波長と異なり実質的に制限が無い。そのため、RGB以外の任意の波長(特殊光観察に適した種々の波長)の光を終端146aに導き、検出器251に検出させることができる。
図10は、本発明の第二実施形態の走査型医療用プローブ100zの内部構成およびプロセッサ200zの一部の構成を模式的に示す模式図である。図11は、第二実施形態のプロセッサ200zおよびモニタ300の構成を示すブロック図である。以降において、第一実施形態の構成と同一又は同様の構成には同一又は同様の符号を付して説明を省略する。
第二実施形態の走査型医療用プローブ100zは、光ファイババンドル142Bとの結合端からファイバブラッググレーティング146Bまでの波長選択ファイバ146中の導光路長をL1と定義し、波長選択ファイバ146との結合端から終端148aまでの光ファイバ148中の導光路長をL2と定義し、ファイバブラッググレーティング146Bから終端146aまでの波長選択ファイバ146中の導光路長をL3と定義した場合に、
L3>L1+L2
を満たすように構成されている。さらに、波長選択ファイバ146と光ファイバ148は終端付近で束ねられており、終端146aと148aが共に光検出器250に結合されている。そのため、光検出器250には、第一実施形態と同様に、反射Rパルス光、反射Gパルス光、反射Bパルス光が所定の時間遅延をもって順次受光される。そして、反射Bパルス光受光後に更なる所定の時間遅延をもって反射特殊パルス光が受光される。
図12に、第二実施形態において、一パルスの結合パルス光を観察対象に照射した場合に光検出器250により検出されるアナログ信号の一例を示す。図12に示されるように、反射Gパルス光の波形λは反射Rパルス光の波形λに対してt−t(sec)の遅延が、反射Bパルス光の波形λは反射Gパルス光の波形λに対してt−t(sec)の遅延が、反射特殊パルス光の波形λは反射Bパルス光の波形λに対してt−t(sec)の遅延が、それぞれ付与される。
光検出器250により検出された各反射パルス光に応じたアナログ信号は、サンプリングおよびホールドされてA/Dコンバータ252によりデジタル信号列に変換される。変換されたデジタル信号列は、DSP254zが有する画像処理エンジン254Dに入力される。
図13に、第二実施形態の画像処理エンジン254Dの構成をブロック図で示す。図13に示されるように、画像処理エンジン254Dは、波形蓄積用メモリ254a、ピーク値検出回路254b、変換回路254c、ピーク値蓄積用メモリ254d、254f、ピーク値読み出し回路254e、254gを有している。
第二実施形態のピーク値検出回路254bは、波形蓄積用メモリ254aにラッチされたデジタル信号列からピーク値(例えば図13に示される波形λのピーク値P、波形λのピーク値P、波形λのピーク値P、波形λのピーク値P)を検出する。次いで、デジタル信号列中のピーク値が検出された時点、つまり時間(例えば図13に示されるピーク値Pに対応する時間t、ピーク値Pに対応する時間t、ピーク値Pに対応する時間t、ピーク値Pに対応する時間t)を該ピーク値に関連付けて変換回路254cに順次出力する。
図14に、第二実施形態のピーク値検出回路254bから出力されるデータの概念図を示す。図14に示されるように、ピーク値検出回路254bは、スポットS〜Sに対応するピーク値Pと時間Tとの関連付けデータを変換回路254cに順次出力する。
変換回路254cは、特定の時間Tに対応する関連付けデータが入力されたとき、変換テーブルに基づき該特定の時間Tを特定の画素アドレスに変換する。変換回路254cは、例えばスポットSに対応する時間t11、t21、t31、t41の関連付けデータが入力されたとき、変換テーブルに基づき時間t11、t21、t31、t41を画素アドレス(3,10)に変換する(図9参照)。変換回路254cは、さらに、所定の遅延時間が与えられた3つのピーク値(つまり時間t1n、t2n、t3nに対応するピーク値P1n、P2n、P3n)にRGBの色情報を付加して画像情報を生成し、生成された画像情報をピーク値蓄積用メモリ254dに順次出力して書き込む。それと同時に、最も長い遅延時間が与えられたピーク値(つまり時間t4nに対応するピーク値P4n)を特殊光に対応する画像情報としてピーク値蓄積用メモリ254fに順次出力して書き込む。ピーク値読み出し回路254e、254gはそれぞれ、ピーク値蓄積用メモリ254d、254fにバッファリングされた画像情報を読み出して画像情報出力回路255に出力する。
このように画像情報出力回路255には、ピーク値読み出し回路254eからカラー観察画像に対応する画像情報が、ピーク値読み出し回路254gから特殊光観察画像に対応する画像情報が、それぞれ入力される。画像情報出力回路255は、設定されている表示モードに応じて画像情報を映像信号出力回路256に出力する。モニタ300には、映像信号出力回路256での信号処理を経てカラー観察画像又は特殊光観察画像の少なくとも一方が表示される。
第二実施形態においては、波長毎の遅延時間を利用して単一の光検出器だけで各波長の反射パルス光を区別しカラー観察画像と特殊光観察画像の両方の画像を生成することができる。別の側面によれば、第二実施形態においては、特殊光観察用に光検出器を別途備える必要がない。すなわち、高価な高感度光検出器の個数を最小限に抑えることができるため、製造コスト面で非常に有利である。さらに、第二実施形態においては光検出器が単一であるため、波長毎の検出パワー誤差を実質的に無くすことができる。光検出器間の校正等が不要であるため、製造コスト面で有利な上、リードタイム短縮の効果も得ることができる。
図15は、第二実施形態の変形例において、一パルスの結合パルス光を観察対象に照射した場合に光検出器250により検出されるアナログ信号の一例を示した図である。第二実施形態の変形例において走査型医療用プローブ100zは、
L3=L1+L2
を満たすように構成される。かかる場合、ファイバブラッググレーティング146Bにより反射された反射Bパルス光と、ファイバブラッググレーティング146Bを透過した反射特殊パルス光が光検出器250に同時に検出される。そのため、変形例の光検出器250には、図15に示されるように、反射Rパルス光、反射Gパルス光、重畳パルス光(反射Bパルス光と反射特殊パルス光とが重畳したパルス光)が所定の時間遅延をもって順次受光される。
第二実施形態の変形例においては、特殊光に反応する病変部等の特定部位の反射光の光量が他の部位の反射光の光量より相対的に多くなる。その結果、モニタ300には、病変部等が強調された(病変部等が他の部位よりも明るい)画像が表示されることとなる。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば光検出器250や251は、プロセッサ200が有する構成に限らない。別の実施形態では、走査型医療用プローブ100が光検出器250や251を有する構成としてもよい。
また、走査型医療用プローブ100は、各波長の光に光路差を付与して時間遅延を生じさせる手段として、ファイバブラッググレーティングに代わり、例えば誘電体多層膜フィルタ等の波長選択フィルタを有する構成としてもよい。
1 医療用観察システム
100 走査型医療用プローブ
146R、146G、146B ファイバブラッググレーティング
200 プロセッサ
240 タイミングコントローラ
250、251 光検出器
254 DSP
300 モニタ

Claims (11)

  1. 所定の光源から射出された、可視光域と特殊光観察に適した波長との各パルス光を導光して対象物に射出する導光手段と、
    前記パルス光により照明された前記対象物からの反射パルス光が入射される第一の光ファイバと、
    前記反射パルス光に対して波長毎に異なる光路差が付与されるように、前記第一の光ファイバの導光路中の異なる位置に配置された、互いに異なる可視光域の波長の可視反射パルス光を前記光源側に反射する複数の波長選択手段と、
    前記光源側に反射された前記可視反射パルス光が入射される第二の光ファイバと、
    を有し、
    何れの前記波長選択手段にも反射されること無く前記第一の光ファイバの終端に達した、前記特殊光観察に適した波長に対応する反射特殊パルス光を第一の光検出手段に出力すると共に、前記第二の光ファイバに導光されて終端に達した前記可視反射パルス光を第二の光検出手段に出力することを特徴とする医療用プローブ。
  2. 前記第一と第二の光検出手段が単一の光検出手段であって、
    前記第一と第二の光ファイバの終端が束ねられており、
    前記第一又は第二の光ファイバの終端に達した前記可視反射パルス光又は前記反射特殊パルス光は、前記単一の光検出手段に出力されることを特徴とする、請求項1に記載の医療用プローブ。
  3. 前記波長選択手段の各々は、前記異なる可視光域の波長それぞれに適したファイバブラッググレーティングであることを特徴とする、請求項1または請求項2の何れかに記載の医療用プローブ。
  4. 前記導光手段は、入射端が前記光源に光学的に接続されたシングルモードファイバであることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れかに記載の医療用プローブ。
  5. 前記導光手段から射出されたパルス光が前記対象物上で走査されるように前記導光手段の射出端近傍を振動させる振動手段、
    をさらに有することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れかに記載の医療用プローブ。
  6. 請求項1から請求項5の何れかに記載の医療用プローブを有する医療用観察システムであって、
    前記光源と、
    前記反射特殊パルス光を受光して信号を検出する前記第一の光検出手段と、
    それぞれ異なる光路差が付与された各波長の前記可視反射パルス光を順次受光して信号を検出する前記第二の光検出手段と、
    前記第一の光検出手段により検出された信号に基づき特殊光観察画像を生成すると共に、前記第二の光検出手段により検出された各波長に対応する信号の検出タイミングに基づき該各信号に色情報を付加してカラー観察画像を生成する画像情報生成手段と、
    前記生成された特殊光観察画像またはカラー観察画像の少なくとも一方を表示する画像表示手段と、
    を有することを特徴とする医療用観察システム。
  7. 請求項2または請求項2を引用する請求項3から請求項5の何れかに記載の医療用プローブを有する請求項6に記載の医療用観察システムであって、
    前記第一の光ファイバは、前記反射特殊パルス光が何れの前記可視反射パルス光とも異なるタイミングで前記単一の光検出手段に検出されるように、該反射特殊パルス光に各波長の該可視反射パルス光と異なる光路差を付与する導光路長を有し、
    前記画像情報生成手段は、前記単一の光検出手段における各信号の検出タイミングに基づき各波長の前記可視反射パルス光、前記反射特殊パルス光を区別して、各該可視反射パルス光を用いて前記カラー観察画像を、該反射特殊パルス光を用いて前記特殊光観察画像を、それぞれ生成することを特徴とする医療用観察システム。
  8. 前記第一の光ファイバは、前記第二の光ファイバから光学的に最も離れた前記波長選択手段から該第一の光ファイバの終端までの導光路長が、該最も離れた波長選択手段から該第二の光ファイバの終端までの導光路長より長くなるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の医療用観察システム。
  9. 請求項5に記載の医療用プローブを有する請求項6から請求項8の何れかに記載の医療用観察システムであって、
    前記導光手段から射出されたパルス光が前記対象物上で所定の走査パターンを描くように前記振動手段の振動を制御する振動制御手段、
    をさらに有することを特徴とする医療用観察システム。
  10. 前記光源は、
    前記可視光域の波長と前記特殊光観察に適した波長の各々のパルス光を照射する複数の発光手段と、
    前記複数の発光手段の各々が照射したパルス光を結合する光結合手段と、
    を有することを特徴とする、請求項6から請求項9の何れかに記載の医療用観察システム。
  11. 前記複数の発光手段の各々に同一の変調をかけて同期したパルス光を生成するパルス光生成手段、
    をさらに有することを特徴とする、請求項10に記載の医療用観察システム。
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