JP2008268542A - 光波長フィルタモジュール及び光ファイバ式温度測定装置 - Google Patents

光波長フィルタモジュール及び光ファイバ式温度測定装置 Download PDF

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達也 熊谷
Masanori Ogura
正紀 小椋
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明 小倉
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Abstract

【課題】光ファイバ型部品で構成した光波長フィルタモジュールを提供することにある。
【解決手段】第1ポートに入射された光を第2ポートから出射すると共に、第2ポートに入射された光を第3ポートから出射する第1光サーキュレータ2A及び第2光サーキュレータ2Bと、所定の波長の光を透過すると共に、他の波長の光を反射させるファイバブラッググレーティング(FBG)部6a,6bが形成された分離用光ファイバ5と、他の波長の光を分波するファイバ型分波器4とを備え、第1光サーキュレータ2Aの第3ポートと第2光サーキュレータ2Bの第1ポートとが接続され、第2光サーキュレータ2Bの第2ポートに分離用光ファイバ5が接続され、第2光サーキュレータ2Bの第3ポートにファイバ型分波器5が接続されたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、光波長フィルタモジュール及び光ファイバ中で発生するラマン散乱光を検出し、温度を演算して求める光ファイバ式温度測定装置に関する。
光ファイバに光を入射すると、光ファイバ中で散乱光が発生する。この散乱光の一部は、後方散乱光として再び入射端に戻ってくる。後方散乱光には、図6に示すように、入射光(波長λ0)と同じ波長のレイリー散乱光、その両側に発生するブリルアン散乱光(波長λ0±0.数nm)、さらにその両側に発生するラマン散乱光(波長λ0±数10nm)が含まれる。
光ファイバ中で発生したラマン散乱光のうち、長波長側のラマン散乱光をストークス光(St光)、短波長側のラマン散乱光をアンチストークス光(As光)と呼ぶ。St光とAs光の強度比は、光ファイバの温度に依存しており、この強度比がわかれば温度を求めることができる。
このため、光ファイバ温度センサには、図7に示すように、光源72と光ファイバ(センサファイバ、あるいは測定用光ファイバ)73間に接続され、光源72からの光を光ファイバ73に入射し、光ファイバ73からの後方散乱光Lbを波長分離してSt光とAs光をそれぞれ抽出するための光波長フィルタモジュール71が備えられる。
光源72からのλ0の波長の光L0は、2個の光フィルタ(例えば、誘電体多層膜フィルタ)74,75で反射されて伝搬し、光ファイバ73に入射される。光ファイバ73中では、ラマン散乱光の成分であるAs光Las(波長λas)とSt光Lst(波長λst)および光源波長と同じ波長のレイリー散乱光Lrが発生し、光源72側に戻ってくる。戻ってきた光のうち、最初の光フィルタ75でAs光Lasが、次の光フィルタ74ではSt光Lstが分離される。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
特許第2577199号公報
しかしながら、従来の光波長フィルタモジュール71を用いた光ファイバ式温度測定装置では、光ファイバ73で発生した後方散乱光を光波長フィルタモジュール71内で空間伝搬させ、光フィルタ74,75で分波していた。この構成では後方散乱光を反射させる光フィルタ74,75の位置決め(反射角度の調整)を精度よく行う必要があるため、光波長フィルタモジュール71の組み立てが複雑となり、光ファイバ式温度測定装置のコスト増の要因となっていた。
また、光波長フィルタモジュール71内で後方散乱光を空間伝搬する構造であるため、光波長フィルタモジュール71の小型化は困難であった。
そこで、本発明の目的は、光ファイバ型部品で構成した光波長フィルタモジュール及び光ファイバ式温度測定装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、第1ポートに入射された光を第2ポートから出射すると共に、第2ポートに入射された光を第3ポートから出射する第1光サーキュレータ及び第2光サーキュレータと、
所定の波長の光を透過すると共に、他の波長の光を反射させるファイバブラッググレーティング(FBG)部が形成された分離用光ファイバと、
上記他の波長の光を分波する分波するファイバ型分波器と
を備え、
上記第1光サーキュレータの第3ポートと上記第2光サーキュレータの第1ポートとが接続され、上記第2光サーキュレータの第2ポートに上記分離用光ファイバが接続され、上記第2光サーキュレータの第3ポートに上記ファイバ型分波器が接続された光波長フィルタモジュールである。
請求項2の発明は、温度を測定するためのパルス光信号を生成する光源と、上記パルス光信号を伝搬し後方散乱光を発生する測定用光ファイバと、上記後方散乱光を分波する光波長フィルタモジュールと、上記分波された後方散乱光を受光して電気信号に変換する複数の受光器と、上記電気信号から上記測定用光ファイバに沿った温度分布を求める制御回路とを備えた光ファイバ式温度測定装置において、
上記光波長フィルタモジュールは、
上記光源からの上記パルス光信号が入力される第1ポート、上記測定用光ファイバに接続されると共に上記パルス光信号を上記測定用光ファイバに入射する第2ポート、及び上記測定用光ファイバからの上記後方散乱光を出射する第3ポートを有する第1光サーキュレータと、
上記第1光サーキュレータの上記第3ポートに接続されると共に、上記後方散乱光をレイリー散乱光とラマン散乱光とに分波するレイリー散乱光抽出部と、
上記レイリー散乱光抽出部に接続されると共に、上記レイリー散乱光抽出部からの上記ラマン散乱光をストークス(St)光とアンチストークス(As)光とに分波するラマン散乱光抽出部と
を備え、
さらに上記レイリー散乱光抽出部は、
上記St光及びAs光をそれぞれ反射するファイバブラッググレーティング(FBG)部が設けられた分離用光ファイバと、
上記第1光サーキュレータの第3ポートに光ファイバで接続される第1ポート、上記分離用光ファイバに接続される第2ポート、及び上記ラマン散乱光抽出部に光ファイバで接続される第3ポートを有する第2光サーキュレータと
を備え、
上記FBG部で反射された上記St光及び上記As光とを上記ラマン散乱光抽出部に出射する光ファイバ式温度測定装置である。
請求項3の発明は、温度を測定するためのパルス光信号を生成する光源と、上記パルス光信号を伝搬し後方散乱光を発生する測定用光ファイバと、上記後方散乱光を分波する光波長フィルタモジュールと、上記分波された後方散乱光を受光して電気信号に変換する複数の受光器と、上記電気信号から上記測定用光ファイバに沿った温度分布を求める制御回路とを備えた光ファイバ式温度測定装置において、
上記光波長フィルタモジュールは、
上記光源からの上記パルス光信号が入力される第1ポート、上記測定用光ファイバに接続されると共に上記パルス光信号を上記測定用光ファイバに入射する第2ポート、及び上記測定用光ファイバからの上記後方散乱光を出射する第3ポートを有する第1光サーキュレータと、
上記第1光サーキュレータの第3ポートに接続される接続用光ファイバ、及び該接続用光ファイバに形成され、レイリー散乱光を反射するファイバブラッググレーティング(FBG)部を有するレイリー散乱光抽出部と、
上記レイリー散乱光抽出部に光ファイバで接続されると共に、上記レイリー散乱光抽出部からの上記ラマン散乱光をストークス(St)光とアンチストークス(As)光とに分波するラマン散乱光抽出部と
を備えた光ファイバ式温度測定装置である。
請求項4の発明は、温度を測定するためのパルス光信号を生成する光源と、上記パルス光信号を伝搬し後方散乱光を発生する測定用光ファイバと、上記後方散乱光を分波する光波長フィルタモジュールと、上記分波された後方散乱光を受光して電気信号に変換する複数の受光器と、上記電気信号から上記測定用光ファイバに沿った温度分布を求める制御回路とを備えた光ファイバ式温度測定装置において、
上記光波長フィルタモジュールは、
上記光源からの上記パルス光信号が入力される第1ポート、上記測定用光ファイバに接続されると共に上記パルス光信号を上記測定用光ファイバに入射する第2ポート、及び上記測定用光ファイバからの上記後方散乱光を出射する第3ポートを有する第1光カプラと、
上記第1光カプラの上記第3ポートに接続されると共に、上記後方散乱光をレイリー散乱光とラマン散乱光とに分波するレイリー散乱光抽出部と、
上記レイリー散乱光抽出部に接続されると共に、上記レイリー散乱光抽出部からの上記ラマン散乱光をストークス(St)光とアンチストークス(As)光とに分波するラマン散乱光抽出部と
を備え、
さらに上記レイリー散乱光抽出部は、
上記St光及びAs光をそれぞれ反射するファイバブラッググレーティング(FBG)部が設けられた分離用光ファイバと、
上記第1光カプラの第3ポートに光ファイバで接続される第1ポート、上記分離用光ファイバに接続される第2ポート、及び上記ラマン散乱光抽出部に光ファイバで接続される第3ポートを有する第2光カプラと
を備え、
上記FBG部で反射された上記St光及び上記As光とを上記ラマン散乱光抽出部に出射する光ファイバ式温度測定装置である。
請求項5の発明は、上記ラマン散乱光抽出部は、ファイバ型分波器からなる請求項2〜4いずれかに記載の光ファイバ式温度測定装置である。
請求項6の発明は、上記制御回路は、上記レイリー散乱光を検出して上記測定用光ファイバの異常点を検出するOTDR機能を有する請求項2〜5いずれかに記載の光ファイバ式温度測定装置である。
請求項7の発明は、金属板上に上記FBG部を設け、そのFBG部を樹脂で覆って上記金属板に固定した請求項2〜6いずれかに記載の光ファイバ式温度測定装置である。
本発明によれば、小型で信頼性の高い光波長フィルタモジュール及び光ファイバ式温度測定装置を提供できる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。まず、本実施形態に係る光波長フィルタモジュールが使用される光ファイバ温度センサを図5で説明する。
図5に示すように、光ファイバ式温度測定装置(光ファイバ温度センサ)51は、センサ本体52と、温度測定用の測定用光ファイバ(センサファイバ)53bと、後述するセンサ本体52内の制御手段を制御し、測定箇所の温度を表示する外部演算処理手段としての表示・制御用パソコン54とで構成される。
センサ本体52は、波長λ0のパルス光信号を出射する光源としてのLD(半導体レーザ)モジュール55と、LDモジュール55から光波長フィルタモジュール1まで設けられる装置内光ファイバ53aと、LDモジュール55からのパルス光信号を測定用光ファイバ53bに入射させると共に、測定用光ファイバ53bからの後方散乱光を波長分離する光波長フィルタモジュール1と、分波された後方散乱光をそれぞれ受光して電気信号に変換する3個の受光器56と、制御手段としての信号処理回路57および制御回路58とで主に構成される。
装置内光ファイバ53a、測定用光ファイバ53bとしては、シングルモード光ファイバ(SMF)やマルチモード光ファイバ(MMF)を用いる。特に、数kmの短距離で温度測定を行う場合には、接続が簡単なMMFを用いる。
LDモジュール55は、LD59と、そのLD59を駆動するドライバ60とからなる。各受光器56は、APD(アバランシェフォトダイオード)61と、APD61の出力を増幅するプリアンプ62とからなる。また、各受光器56と信号処理回路57間にはA/D(アナログ/デジタル)変換器63がそれぞれ接続される。
制御回路58は、測定用光ファイバ53bで発生するSt光とAs光の光強度比を基に、測定用光ファイバ53bに沿った温度を演算して求める。また、制御回路58は、測定用光ファイバ53bの故障点、障害点、異常点を検出するOTDR(Optical Time Domain Reflectometer:光パルス試験器)の機能(例えば、測定用光ファイバ53bの損失、接続損失、側圧状態、曲げ状態、断線などの検出機能)も有する。
信号処理回路57は、主に制御回路58に入力される前の信号を高速に演算処理するためのものである。制御回路58にはメモリなどの記憶手段を備えたCPU(Central Processing Unit)を用い、信号処理回路57にはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いる。
さて、図5の光ファイバ式温度測定装置51に用いる波長フィルタモジュールを説明する。図1は、本発明の好適な第1の実施形態を示す光波長フィルタモジュールの概略図である。
図1に示すように、光波長フィルタモジュール1は、LDモジュール55と測定用光ファイバ53b間に接続される第1光サーキュレータ2Aと、その第1光サーキュレータ2Aに接続されるレイリー散乱光抽出部(光分離部)3と、そのレイリー散乱光抽出部3に接続されるラマン散乱光抽出部(波長分波器)4とで構成される。各部材の詳しい構成は、後段にて説明する。
この光波長フィルタモジュール1は、LDモジュール55と測定用光ファイバ53bの間に、装置内光ファイバ53a(図5参照)を用いて接続され、LDモジュール55からの光(波長λ0のパルス光信号)L0を測定用光ファイバ53bに入射し、測定用光ファイバ53bからの後方散乱光Lbを波長分離するためのものである。
第1光サーキュレータ2Aは、第1ポート(入力端子)a1に装置内光ファイバ53aが接続され、第2ポート(出力端子)a2に測定用光ファイバ53bが接続され、第3ポート(波長分離側端子)a3にレイリー散乱光抽出部3が接続される。この第1光サーキュレータ2Aは、LDモジュール55からの光L0を測定用光ファイバ53bに入射すると共に、測定用光ファイバ53bからの後方散乱光Lbを第3ポートa3に出射する。
レイリー散乱光抽出部3は、後方散乱光Lbのレイリー散乱光Lrを波長分離するものであり、第2光サーキュレータ2Bと、その第2光サーキュレータ2Bに接続される分離用光ファイバ5と、その分離用光ファイバ5に形成されたFBG(ファイバブラッググレーティング、あるいはFBG部)6a(FBGa),6b(FBGb)とで構成される。分離用光ファイバ5には、装置内光ファイバ53aや測定用光ファイバ53bと同様にSMFやMMFを用いる。
第2光サーキュレータ2Bは、第1ポート(入力端子)b1に第1光サーキュレータ2Aが接続され、第2ポート(出力端子)b2に分離用光ファイバ5が接続され、第3ポート(波長分離側端子)b3にラマン散乱光抽出部4が接続される。この第2光サーキュレータ2Bは、第1光サーキュレータ2Aからの後方散乱光Lbを分離用光ファイバ5に入射すると共に、後述する分離用光ファイバ5からのSt光Lst(波長λst)とAs光Las(波長λas)を第3ポートb3に出射する。
分離用光ファイバ5に形成したFBG6aは、As光Lasを反射し、レイリー散乱光Lr(厳密には、ブリルアン散乱光を含む)とSt光Lstを透過し、FBG6bは、St光Lstを反射し、レイリー散乱光Lr(厳密には、ブリルアン散乱光を含む)を透過するように形成される。
第1光サーキュレータ2Aと第2光サーキュレータ2Bには、低挿入損失3ポート光サーキュレータを用いる。この光サーキュレータは、磁気光学効果により偏光を回転するファラデー素子を備える。
ラマン散乱光抽出部4には、ファイバ型分波器が用いられる。本実施形態では、結合特性の波長依存性を利用して、FBG6a,6bで反射されたAs光LasおよびSt光Lst(他の波長の光)を、波長ごとに異なる光路に伝搬させる分波用ファイバカプラを用いた。また、ファイバ型分波器としては、FBGを用いてもよい。
LDモジュール55は、温度により出射する光の波長が変化するという温度特性を有し、例えば、LDの温度が上昇するとLDから出射される光の中心波長が長波長側にシフトする。LDから出射される光の中心波長が変化すると、それに伴い測定用光ファイバ53bで発生する後方散乱光の中心波長も変化する。このため、測定用光ファイバ53bで発生する後方散乱光の波長シフトに合わせて、分離用光ファイバ5に形成されたFBG6a,6bの反射波長特性を調整する必要がある。
分離用光ファイバ5に形成されたFBG6a,6bは、光ファイバの光軸方向に屈折率を周期的に変化させたブラッグ格子からなり、ブラッグ格子の周期に対応した波長の光を反射する反射波長特性を有する。また、FBGが形成された光ファイバを伸縮させ、ブラッグ格子の周期を変化させることで、FBGの反射波長特性が変化する。
図2に示すように、金属板21上にFBG6a,6bを設け、これらFBG6a,6bを樹脂rで覆って金属板21に一体化させて固定した。これにより、金属板21が温度変化により伸縮する際、金属板21に一体化して設けられたFBG6a,6bを、金属板21に合わせて伸縮させることができる。
つまり、上述した構成を利用することで、FBG6a,6bは周囲温度の変化に伴って反射波長を変化させる温度特性を有することができる。
本実施形態では、LDモジュール55の温度特性(波長変動率が約0.2nm/℃)と、金属板21に一体化して設けられたFBG6a,6bの温度特性とが等しくなるように、金属板21を選定し、更にLDモジュール55と、金属板21に一体化して設けられたFBG6a,6bとを同じパッケージ7(図1参照)内に設ける。
より詳細には、分離用光ファイバ5の線膨張係数をkf、金属板21の線膨張係数をkmとし、式(1)における印加歪みεを求める。ただし、λB :FBGの反射波長(ブラッグ波長)、n:導波光に対する平均実効屈折率、Λ:グレーティングの周期、ΔT:温度変化、Pe:実効光弾性係数(≒0.22)である。
Figure 2008268542
式(1)におけるεは、
ε=(km−kf)ΔT (2)
となる。LDの温度変化に伴う波長特性は1nm/℃以下、(一般的には、約0.2〜0.4nm/℃)であるから、式(1)から得られるΔλB /ΔTをLDの波長特性に一致するようにkmを選定する。
これにより、パッケージ7内で温度変化があった場合でも、温度変化によるLDモジュール55からの出射光の波長シフトに合わせて、FBG6a,6bでの反射波長を変化させることができる。
この光波長フィルタモジュール1では、内部の各光部品同士の接続に、SMFやMMFを使用する。
第1の実施形態の作用を光ファイバ温度センサ51の動作と共に説明する。
LDモジュール55から出射された波長λ0の光L0は、第1光サーキュレータ2Aを介して測定用光ファイバ53bに入射される。測定用光ファイバ53bから戻ってきた後方散乱光Lbは、再度第1光サーキュレータ2Aを通って、レイリー散乱光抽出部3の第2光サーキュレータ2Bに入射された後、分離用光ファイバ5に入射される。
そして、分離用光ファイバ5のFBG6aでAs光Lasが反射され、FBG6bでSt光Lstが反射され、これらAs光LasとSt光Lstが第2光サーキュレータ2Bに戻される。レイリー散乱光LrはFBG6a,6bを透過することで、As光Las、St光Lstと波長分離され、1個目の受光器56で受光される。
As光LasとSt光Lstは、再度第2光サーキュレータ2Bを通ってラマン散乱光抽出部4に入射され、ラマン散乱光抽出部4でAs光LasとSt光Lstに波長分離され、それぞれ2,3個目の受光器56で受光される。
各受光器56で受信された各受信信号は、各A/D変換器63、信号処理回路57を介して制御回路58に入力される。制御回路58は、サンプリング時間間隔ごとに、測定用光ファイバ53b各点からのSt光とAs光の強度比を求め、この強度比から測定箇所の温度を求める。サンプリング時間間隔は距離分解能によって変わる。求めた温度はパソコン54に表示される。
ただし、St光とAs光は非常に微弱なので、温度測定は繰り返し行い、得られたデータを前回のデータに加算し、加算結果を利用して温度計算し、各点の温度結果を得る。位置情報は、光が測定用光ファイバ53bに入射してから後方散乱光Lbを受信するまでの時間差から求める。
また、制御回路58は、レイリー散乱光Lrから測定用光ファイバ53bに沿った伝送損失を測定することで、測定用光ファイバ53bの損失、接続損失、側圧状態、曲げ状態、断線、これらの場所(箇所)などを検出する。制御回路58は、これらの検出に基づき、信号測定用光ファイバ53bの故障点、障害点、異常点がある場合には、警告信号をパソコン54に送信し、その旨をパソコン54に表示させる。
このように、光波長フィルタモジュール1および光ファイバ式温度測定装置51は、光ファイバと接続損失が小さい光ファイバ型部品として、第1光サーキュレータ2A、レイリー散乱光抽出部3、ラマン散乱光抽出部4で構成しているため、従来の光波長フィルタモジュール71に比べ、小型かつ低損失であり、高信頼性である。
特に、第1光サーキュレータ2Aと第2光サーキュレータ2Bは、温度変化による損失特性の変動が小さく、波長依存性も小さい。この点からも、光波長フィルタモジュール1は低損失で高信頼性である。
また、光波長フィルタモジュール1は、レイリー散乱光抽出部3を第2光サーキュレータ2B、FBG6a,6bで構成することで、FBGを用いた分光により、後方散乱光Lbからレイリー散乱光Lrのみを簡単に波長分離できる。
この光波長フィルタモジュール1を用いて光ファイバ温度センサ51を構成し、レイリー散乱光Lrを測定することで、入射光L0をモニタできるため、光ファイバ温度センサ51に、測定用光ファイバ53bの故障点、障害点、異常点を検出するOTDRの機能を簡単に追加できる。
光波長フィルタモジュール1は、LDモジュール55の温度特性による出射光の波長シフト量と、金属板21上に設けられるFBG6a,6bの温度特性による反射波長の波長シフト量とが等しくなるように構成することで、LDモジュール55とFBG6a,6bを同一のパッケージ7内に収納すれば、周囲温度が変化しても、それぞれの波長シフト量を略等しくすることができる。
従って、LDモジュール55の温度を一定にするために、LDモジュール55に温度制御器などを備える必要がなく、光ファイバ式温度測定装置51を小型かつ安価に構成することができる。
次に、第2の実施形態を説明する。
図3に示すように、光波長フィルタモジュール31は、レイリー散乱光抽出部33を除き、図1の光波長フィルタモジュール1と同じ構成である。
レイリー散乱光抽出部33は、第1光サーキュレータ2Aとラマン散乱光抽出部4を接続する接続用光ファイバ34と、その接続用光ファイバ34に形成され、レイリー散乱光Lrを分離するFBG36と、そのFBG36が形成された部分の接続用光ファイバ34に光結合され、レイリー散乱光Lrを伝送する分離用光ファイバ5とで構成される。
FBG36は、接続用光ファイバ34に形成するブラッグ格子の屈折率の周期的分布を、レイリー散乱光Lrを反射し、St光LstとAs光Lasを透過するように、接続用光ファイバ34の長手方向に対して45°傾斜して形成したものである。
FBG36で反射されたレイリー散乱光Lrは、図示しないレンズにより集光され、MMFである分離用光ファイバ5に光結合され、1個目の受光器で受光される。また、FBG36で反射されたレイリー散乱光Lrを受光器で直接受光してもよい。
光波長フィルタモジュール31の動作は、基本的には光波長フィルタモジュール1と同様である。ただし、第1光サーキュレータ2Aから出射した後方散乱光Lbは、FBG36に入射されると、レイリー散乱光Lrが波長分離されて反射され、分離用光ファイバ5に入射される。また、ラマン散乱光であるSt光とAs光は、FBG36を透過し、ラマン散乱光抽出部4に入射される。
これにより、光波長フィルタモジュール31も光波長フィルタモジュール1と同じ作用効果が得られる。この波長フィルタモジュール31では、波長フィルタモジュール1と比べ、光サーキュレータを1つ省くことができるため、安価に構成できる。
第3の実施形態を説明する。
図4に示すように、光波長フィルタモジュール41は、図1の光波長フィルタモジュール1の第1光サーキュレータ2Aを第1光カプラ42Aに置き換え、第2光サーキュレータ2Bを第2光カプラ42Bに置き換えたものである。すなわち、レイリー散乱光抽出部43は、第2光カプラ42Bと、分離用光ファイバ5と、FBG6a,6bとで構成される。
第1光カプラ42Aと第2光カプラ42Bには、4ポート指向性光カプラを用いる。例えば、第1光カプラ42Aの場合、4ポート指向性光カプラの第1ポートa1に装置内光ファイバ53a(図5参照)を接続し、第2ポートa2に測定用光ファイバ53bを接続し、第3ポートa3に第2光カプラ42Bを接続し、第4ポートを不使用とする。
光波長フィルタモジュール41によっても、光波長フィルタモジュール1と同じ作用効果が得られる。
上記実施形態では、図1で2個の光サーキュレータを用いた例、図4で2個の光カプラを使用した例を説明したが、一方を光カプラや光サーキュレータに置き換えてもよい。また、図1〜図3の実施形態を種々に組み合わせてもよい。
さらに、上記実施形態で後方散乱光Lbから波長分離したレイリー散乱光Lrは、厳密には、波長λ0から約10GHz周波数シフトしたブリルアン散乱光を含む。そこで、図1〜図3の各レイリー散乱光抽出部の後段(下流側)に、ブリルアン散乱光を波長分離するFBGを用いたブルリアン散乱光抽出部を設け、図5のセンサ本体52内に4個目の受光器56、A/D変換器63を設ければ、測定用光ファイバ53bに発生したひずみも測定できる。
上記実施形態では、主に光ファイバ式温度測定装置に用いる光波長フィルタモジュールの例で説明したが、例えば、図1の波長フィルタモジュール1を、後方散乱光ではなく、第1光サーキュレータ2Aの第2ポートa2に戻ってくる戻り光を波長分離する目的(例えば、分光機器など)で使用してもよい。
本発明の好適な第1の実施形態を示す光ファイバ式温度測定装置の主要部の概略図である。 レイリー散乱光抽出部の拡大概略図である。 本発明の第2の実施形態を示す光ファイバ式温度測定装置の主要部の概略図である。 本発明の第3の実施形態を示す光ファイバ式温度測定装置の主要部の概略図である。 光ファイバ温度センサの全体概略図である。 光ファイバの後方散乱光の強度スペクトルを示す図である。 従来の光波長フィルタモジュールの概略図である。
符号の説明
1 光波長フィルタモジュール
2A 第1光サーキュレータ
2B 第2光サーキュレータ
3 レイリー散乱光抽出部(光分離部)
4 ラマン散乱光抽出部(波長分波器)
5 分離用光ファイバ
6a,6b FBG(FBG部)
43a 装置内光ファイバ
43b 測定用光ファイバ
45 LDモジュール(光源)
L0 入射光
Lb 後方散乱光
Lr レイリー散乱光
Lst St光(ストークス光)
Las As光(アンチストークス光)

Claims (7)

  1. 第1ポートに入射された光を第2ポートから出射すると共に、第2ポートに入射された光を第3ポートから出射する第1光サーキュレータ及び第2光サーキュレータと、
    所定の波長の光を透過すると共に、他の波長の光を反射させるファイバブラッググレーティング(FBG)部が形成された分離用光ファイバと、
    上記他の波長の光を分波するファイバ型分波器と
    を備え、
    上記第1光サーキュレータの第3ポートと上記第2光サーキュレータの第1ポートとが接続され、上記第2光サーキュレータの第2ポートに上記分離用光ファイバが接続され、上記第2光サーキュレータの第3ポートに上記ファイバ型分波器が接続されたことを特徴とする光波長フィルタモジュール。
  2. 温度を測定するためのパルス光信号を生成する光源と、上記パルス光信号を伝搬し後方散乱光を発生する測定用光ファイバと、上記後方散乱光を分波する光波長フィルタモジュールと、上記分波された後方散乱光を受光して電気信号に変換する複数の受光器と、上記電気信号から上記測定用光ファイバに沿った温度分布を求める制御回路とを備えた光ファイバ式温度測定装置において、
    上記光波長フィルタモジュールは、
    上記光源からの上記パルス光信号が入力される第1ポート、上記測定用光ファイバに接続されると共に上記パルス光信号を上記測定用光ファイバに入射する第2ポート、及び上記測定用光ファイバからの上記後方散乱光を出射する第3ポートを有する第1光サーキュレータと、
    上記第1光サーキュレータの上記第3ポートに接続されると共に、上記後方散乱光をレイリー散乱光とラマン散乱光とに分波するレイリー散乱光抽出部と、
    上記レイリー散乱光抽出部に接続されると共に、上記レイリー散乱光抽出部からの上記ラマン散乱光をストークス(St)光とアンチストークス(As)光とに分波するラマン散乱光抽出部と
    を備え、
    さらに上記レイリー散乱光抽出部は、
    上記St光及びAs光をそれぞれ反射するファイバブラッググレーティング(FBG)部が設けられた分離用光ファイバと、
    上記第1光サーキュレータの第3ポートに光ファイバで接続される第1ポート、上記分離用光ファイバに接続される第2ポート、及び上記ラマン散乱光抽出部に光ファイバで接続される第3ポートを有する第2光サーキュレータと
    を備え、
    上記FBG部で反射された上記St光及び上記As光とを上記ラマン散乱光抽出部に出射することを特徴とする光ファイバ式温度測定装置。
  3. 温度を測定するためのパルス光信号を生成する光源と、上記パルス光信号を伝搬し後方散乱光を発生する測定用光ファイバと、上記後方散乱光を分波する光波長フィルタモジュールと、上記分波された後方散乱光を受光して電気信号に変換する複数の受光器と、上記電気信号から上記測定用光ファイバに沿った温度分布を求める制御回路とを備えた光ファイバ式温度測定装置において、
    上記光波長フィルタモジュールは、
    上記光源からの上記パルス光信号が入力される第1ポート、上記測定用光ファイバに接続されると共に上記パルス光信号を上記測定用光ファイバに入射する第2ポート、及び上記測定用光ファイバからの上記後方散乱光を出射する第3ポートを有する第1光サーキュレータと、
    上記第1光サーキュレータの第3ポートに接続される接続用光ファイバ、及び該接続用光ファイバに形成され、レイリー散乱光を反射するファイバブラッググレーティング(FBG)部を有するレイリー散乱光抽出部と、
    上記レイリー散乱光抽出部に光ファイバで接続されると共に、上記レイリー散乱光抽出部からの上記ラマン散乱光をストークス(St)光とアンチストークス(As)光とに分波するラマン散乱光抽出部と
    を備えたことを特徴とする光ファイバ式温度測定装置。
  4. 温度を測定するためのパルス光信号を生成する光源と、上記パルス光信号を伝搬し後方散乱光を発生する測定用光ファイバと、上記後方散乱光を分波する光波長フィルタモジュールと、上記分波された後方散乱光を受光して電気信号に変換する複数の受光器と、上記電気信号から上記測定用光ファイバに沿った温度分布を求める制御回路とを備えた光ファイバ式温度測定装置において、
    上記光波長フィルタモジュールは、
    上記光源からの上記パルス光信号が入力される第1ポート、上記測定用光ファイバに接続されると共に上記パルス光信号を上記測定用光ファイバに入射する第2ポート、及び上記測定用光ファイバからの上記後方散乱光を出射する第3ポートを有する第1光カプラと、
    上記第1光カプラの上記第3ポートに接続されると共に、上記後方散乱光をレイリー散乱光とラマン散乱光とに分波するレイリー散乱光抽出部と、
    上記レイリー散乱光抽出部に接続されると共に、上記レイリー散乱光抽出部からの上記ラマン散乱光をストークス(St)光とアンチストークス(As)光とに分波するラマン散乱光抽出部と
    を備え、
    さらに上記レイリー散乱光抽出部は、
    上記St光及びAs光をそれぞれ反射するファイバブラッググレーティング(FBG)部が設けられた分離用光ファイバと、
    上記第1光カプラの第3ポートに光ファイバで接続される第1ポート、上記分離用光ファイバに接続される第2ポート、及び上記ラマン散乱光抽出部に光ファイバで接続される第3ポートを有する第2光カプラと
    を備え、
    上記FBG部で反射された上記St光及び上記As光とを上記ラマン散乱光抽出部に出射することを特徴とする光ファイバ式温度測定装置。
  5. 上記ラマン散乱光抽出部は、ファイバ型分波器からなる請求項2〜4いずれかに記載の光ファイバ式温度測定装置。
  6. 上記制御回路は、上記レイリー散乱光を検出して上記測定用光ファイバの異常点を検出するOTDR機能を有する請求項2〜5いずれかに記載の光ファイバ式温度測定装置。
  7. 金属板上に上記FBG部を設け、そのFBG部を樹脂で覆って上記金属板に固定した請求項2〜6いずれかに記載の光ファイバ式温度測定装置。
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