JP5342266B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
本発明のポリエステルフィルムは、単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
さらに、その塗布液の均一分散や均一溶液を狙うのでならば、その溶液の超音波処理などを行うことが望ましい。
透明性の基準として、目視による透明性の評価と透過率測定が挙げられる。次のような基準で判断する。
・目視に関して
○:ほぼ透明である
△:透明であるが、少し黄色に着色している
×:黄色が強く曇っている
・透過率測定に関して
JIS − K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりフィルムの全光線透過率を測定した。一般的なポリエステルフィルムの透過率に対して、0.5〜1%の範囲内の透過率の低下を◎、1〜2%の範囲内の透過率の低下を○、2〜4%の範囲内の透過率の低下を△、4%を超える透過率の低下を×として評価した。
輝度計を用いて、UV照射前のフィルムの非着色部分とUV照射後の着色部分のコントラスト比の評価を行った。具体的には、電通産業製フラットイルミネーター:HF−SL−A48LCFにサンプルを置き、さらに、コニカミノルタセンシング社製:CS−200を用い、測定視野角1°、サンプルと輝度計との距離を500mmとし、輝度値(cd/m2)を測定した。なお、相対輝度(%)を下記式より求めた。
得られた相対輝度の値から下記基準で評価した。
○:102〜105(着色している)
△:101〜102(薄い着色)
×:101未満(ほとんど着色していない)
得られたUV照射後のポリエステルフィルムについて、色差計を用いて、UV照射前のフィルムの非着色部分とUV照射後の着色部分のL*a*b*色差の評価を行った。具体的には、JIS Z 8729に従い、コニカミノルタ製色彩色差計CR−410(サンプル径50mm)を用いて、UV照射部分と非照射部分のL*a*b*色差値を測定した。このとき、光源はC/D65で、背面を白色とし、反射法にて測定を行った。測定回数は3回行い、平均値を採用した。その後、ΔL*(照射部分のL*値−非照射部分L*値)、Δa*(照射部分のa*値−非照射部分a*値)、Δb*(照射部分のb*値−非照射部分b*値)をそれぞれ求め、ΔE値を算出し、評価した。
なお、ΔE値を下記式より求めた。
得られたΔEの値から下記基準で評価した。
○:10.0〜20.0(着色している)
△:5〜10.0(薄い着色)
×:5未満(ほとんど着色していない)
UVによる不可逆的なカラーチェンジ(着色)性能を有するポリエステルフィルムにおいて、本発明は将来的には工業的生産を目的としていて、目視で変化が見て取れる事が第一条件となるため、得られたUV照射後のポリエステルフィルムについて、目視による強度の判断を行った。次のような基準で判断する。
◎:強い着色
○:着色している
△:薄い着色
×:着色していない
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.63のポリエステル(A)を得た。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を添加した後、二酸化ゲルマニウム加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.65のポリエステル(B)を得た。
ポリエステル(A)の製造方法において、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.0μmのシリカ粒子を0.2部加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いて、極限粘度0.66のポリエステル(C)を得た。
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ85%、5%、10%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ95%、5%の割合で混合した混合原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々290℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、易接着の機能を有する下記樹脂Iを50重量部、IIを45重量部および不活性粒子IIIを5重量部含有する、水とエタノールとの混合溶液(混合比は4:6)中に有機フォトクロミック化合物であるスピロオキサジン系化合物、1,3,3−トリメチルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)(1,4)−オキサジン]を配合した塗布液を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、乾燥後の塗布層中に1,3,3−トリメチルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)(1,4)−オキサジン]を9.8重量%含有する、厚さ100μm(表層5μm、中間層90μm)のポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、無色透明なフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、高圧水銀灯によるUV(ウシオ電気株式会社:UVC−402/1HN:302/1MN:JC01)光照射(181mW/cm2,10m/分,d=100mm)を行い、カラーチェンジ性能を評価したところ、黄色着色状態への変化は良好なものであった。
バインダー樹脂I:ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸を含有し、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコールを含有する共重合ポリエステル
水溶性樹脂II:けん化度88モル%、重合度1700のポリビニルアルコール
不活性粒子III:平均粒径0.05μmのシリカゾル
1,3,3−トリメチルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)(1,4)−オキサジン]の配合量を1.2wt%にした塗布液を用いて、ポリエステルフィルムを得るということ以外は実施例1と同様の方法である。得られたポリエステルフィルムは、無色透明なフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、実施例1と同様の方法でUV照射を行い、カラーチェンジ(着色)性能を評価したところ、黄色着色状態への変化は良好なものであった。薄黄色着色状態(強度)であり、透明性についても良好なものであった。
1,3,3−トリメチルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)(1,4)−オキサジン]の配合量を20wt%にした塗布液を用いて、ポリエステルフィルムを得るということ以外は実施例1と同様の方法である。得られたポリエステルフィルムは、透明性が失われた黄色のフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、実施例1と同様の方法でUV照射を行い、カラーチェンジ(着色)性能を評価したところ、黄色着色状態への変化は顕著であった。
1,3,3−トリメチルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)(1,4)−オキサジン]の配合量を0.5wt%にした塗布液を用いて、ポリエステルフィルムを得るということ以外は実施例1と同様の方法である。得られたポリエステルフィルムは、透明なフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、実施例1と同様の方法でUV照射行い、カラーチェンジ(着色)性能を評価したところ、黄色着色状態への変化は確認できなかった。
Claims (1)
- 少なくとも一方の面にインラインコーティングにより設けられた塗布層を有するポリエステルフィルムであり、当該塗布層中にUV照射による不可逆的なカラーチェンジ(変色)性能を有する有機フォトクロミック化合物を1.0〜10重量%含有し、且つ共重合ポリエステル、ポリビニルアルコール、シリカゾルを含有することを特徴とするポリエステルフィルム。
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