JP5342176B2 - 微粉末セラミックス衝撃焼結被覆法 - Google Patents

微粉末セラミックス衝撃焼結被覆法 Download PDF

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Description

本発明は耐熱性、伝熱性、電気的絶縁性、耐食性などの機能を有するセラミックス皮膜と微粉末を用いた衝撃焼結被覆法に関するものである。
金属・合金、セラミックスは温度が変化することにより変態し特性が変わる。処理温度が高い表面改質プロセスにおいて、常温での材料特性が高温処理によって変態し別の特性に変わる。特に従来の溶射プロセスでは電気式溶射法のプラズマ溶射では4000℃から30000℃、ガス式溶射法2200℃から3400℃でその温度以下で制御して溶射することは困難である。材料が変態しない低温度で精度良く制御して、皮膜構成を変化させて被覆する方法が強く望まれている。また、溶射用粉末10μm以下、特に5μm以下では、通常の粉末供給装置では、間欠的に供給されたり、ブリッジを起こし、通路に詰まったりして、安定して供給ができない。
特開平10―60617 フレーム温度2200から3400℃、内部から粉末を供 給 特開2006-108178 Al2O3粒子プラズマ溶射未溶融のまま 特開2006-104496 プラズマ溶射法、超高速フレーム溶射法による皮膜における溶融粒子の扁平比率 特開2005-2446 スラリー状微粉末供給方法及び装置
被覆プロセス
Ar+水素、Ar+窒素、He+水素などの作動ガスを用いる従来のプラズマ溶射はフレーム中心温度が5000℃から30000℃にもなる。一方燃料と酸素を用いる従来のフレーム溶射において、酸素/灯油、空気/灯油、酸素/水素、酸素/プロピレン、酸素/プロパン、酸素/エチレン、酸素/アセチレン、酸素/天然ガスのいずれかの混合ガスを用いて燃焼させ熱を発生させる。フレーム溶射温度は2200℃から3400℃になり、連続燃焼反応であるので、それ以下の温度に制御するのは非常に困難である。
粉末供給装置
セラミックスのような熱伝導性の低い材料を瞬間的に加熱し、溶融する場合は粉末の粒度が細かい方が優れている。また被覆粉末が細かいと皮膜の面粗さは細かく、後の表面の仕上げ工程は省略できる利点がある。しかし粒径0.1μmから5μmの微粉末は凝集し易く、間欠的に流れ、安定した送給は困難である。
被覆材料
酸化物のαAl2O3は1000℃以上でγAl2O3に変態し、2030℃で溶解する。アナターゼTiO2は700℃から800℃でルチルTiO2に変態する。スピネルMgO・Al2O3は2135℃で溶解する。SiO2は1710℃で溶解する。Hf2O3は2812℃で溶解する。Y2O32は2460℃で溶解する。CeO2は2600℃で溶解する。ZnOは1975℃で溶解する。Gd2O3は2310℃で溶解する。Cr2O3は2435℃で溶解する。Sm2O3は2350℃で溶解する。Yb2O3は2410℃で溶解する。
窒化物のAlNは2450℃で昇華分解し、Si3N4は1900℃で昇華する。BNは3000℃で昇華分解
する。NbNは2050℃で分解する。CrNは1500℃で分解する。VNは2050℃で溶解する。TiNは2930℃で溶解する。ZrNは2980℃で溶解する。
炭化物のαSiCは2100℃で変態し2830℃で分解する。Cr3C2は1800℃で溶解する。WCは2730℃で溶解する。VCは2830℃で溶解する。TiCは3180℃で溶解する。
ホウ化物のMoBは2180℃で溶解する。CrB2は2760℃で溶解する。TiB2は2980℃で溶解する。ZrB2は3040℃で溶解する。TaB2は3000℃で溶解する。
従来のプラズマ溶射の場合、30000℃にもなることがあり、酸化物Al2O3、SiO2の微粉末を投入した場合、容易に変態し、或いは溶融し、分解してしまい、基材に被覆することは非常に困難である。また、比較的融点の低い昇華分解しやすい窒化物AlN、Si3N4、 BNや結合エネルギーの低い炭化物SiCは分解してしまい、同様に基材に被覆することは非常に困難である。ZrN、Hf2O3、TaC、TiB2は高融点であり、ガス溶射法の温度限界が約3400℃なので被覆は厳しい。
皮膜構成
粉末を溶融と半溶融の混合状態にした状態で基材に被覆する以外に、未溶融+粉末のごく薄い表面の一部が溶けている混合状態、或いは全て未溶融状態での粉末を衝撃で基材に噴射して焼結状の皮膜を形成することが望まれる。機能性を持たせる皮膜構成において、電気的絶縁性については緻密な皮膜が良く、断熱性を持たせるには適度な気孔がある皮膜が良く、耐熱衝撃性については、孤立した球形の気孔がある方が良く、高温耐食性とガス透過性については通気孔のある気孔が要求される。
従来の高温フレーム溶射において、フレーム温度を安定して2200℃以下に下げたり、セラミックスの微粉末がフレームに投入された部位での雰囲気温度を細かく制御したりして、緻密、気孔、ラメラー、或いは球状未溶融粒子+溶融混合皮膜を被覆することは困難である。
本発明に係わる、衝撃焼結被覆方法は酸素/灯油、空気/灯油、酸素/水素、酸素/プロピレン、酸素/プロパン、酸素/エチレン、酸素/アセチレン、酸素/天然ガスを用いる燃焼室で燃焼させ、フレームを発生させる。燃焼室においてガン先端筒をガン先端に取り付け、先端筒の円筒軸に向かって180°対象の位置2箇所、或いは90°の位置に4箇所に粉末供給ノズルをガン軸に対して傾斜をつけて設置する。燃焼室で燃焼し、断面が絞られたガンにフレームが形成されて加速される。後方の圧縮空気噴射ノズルから導入される空気と、粉末供給ノズルからの燃焼ガスにより温度調節された粉末はこの加速されたフレームに乗って基材に噴射される。所要の温度になった粉末は基材に衝突し衝撃エネルギーにより発熱し、焼結状態になり、基材上に被覆される。勿論、粉末が溶融温度、半溶融温度以上に保持されれば、溶融状態、半溶融状態での被覆も可能である。
微粉末は狭い搬送チューブの中でブリッジを造り、安定した供給はできないので、微粉末をスラリー状にして搬送する。セラミックスの微粉末粒径0.1μmから5μmの微粉末を用いてエチルアルコール、メチルアルコールや灯油を溶媒にして攪拌し混ぜスラリー状にする。なお、粒径10μm以上の粉末が存在してもスラリー状化可能である。ポンプでチューブに送り、チューブのY字ユニオンからアセチレンガス、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンを送付し混合する。 スラリー状粉末とアセチレンガス、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンガスの混合物が粉末供給ノズルに搬送される。
微粉末をスラリー状にする溶媒としてエチルアルコール、メチルアルコール、灯油を用い、また可燃ガスとしてアセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンからなるガスを用いて混合物とすることにより、いずれも酸素量が多い時は燃焼して発熱し、少ない時は燃焼しないで冷却する特徴があり、このバランスにより微粉末を溶かしたり、加熱したりして温度を調整する。微粉末スラリーが均一に分散させるために粉末ホッパーは超音波発生器による超音波振動子に接している。
被覆用セラミックス材料として、酸化物セラミックス、 IIa族のBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、IIb族のZnO、CdO、IIIa族のAl2O3、Ga2O3、In2O3、IIIb族のSc2O3、Y2O3、La2O3、IVa族のSiO2、GeO2、SnO2、IVb族のTiO2、ZrO2、Hf2O3、ThO2、Vb族のV2O3、Nb2O3、Ta2O3、VIb族のCr2O3、MoO3、WO3、UO3、VIII鉄族のFe2O3、Fe3O4、NiO及び希土類La2O3、CeO2、Ce2O3、Nd2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Dy2O3、Yb2O3、などが望ましい。
窒化物セラミックスとしてIIIa族のBN、AlN、GaN、InN、IIIb族のScN、YN、LaN、IVa族のSi3N4、Ge3N4、Sn3N4、IVb族のTiN、ZrN、HfN、Th3N4、Vb族のVN、NbN、TaN、VIb族のCrN、Mo2N、WN、VIII鉄族のFe4N、希土類のLaN CeN、GdNなどが望ましい。
炭化物セラミックスとして、IIIa族のB4C、IVa族のSiC、IVb族のTiC、ZrC、HfC、ThC、Vb族のVC、NbC、TaC、VIb族のCr3C2、MoC、WC、UC、VIII鉄族のFe3C及び希土類YCなどが望ましい。
ホウ化物セラミックスとして、IVb族のTiB2、ZrB2、HfB2、ThB6、Vb族のTaB2、VIb族のMoB2、WB2、CrB2、NbB2、UB2、VIII鉄族のNiB、FeB、CoB、などが望ましい。
燃料に対して酸素が理論酸素量より多いと、燃焼ガスは酸素を含み、上記粉末供給ノズル
から搬送されるアセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンやアルコールと反応して発熱する。他方、燃料に対して酸素量が理論酸素量より少ないと、燃えない燃料が含まれ温度を下げる。また上記粉末供給ノズルから搬送されるてくるアセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンやアルコール類も燃焼しないで、フレームを冷却する。従って、酸素量が理論酸素量以上は溶射材料を高温で加熱し、逆に酸素量が理論酸素量以下の場合は溶射材料を低温で加熱する。アルコール類は燃焼しないで気化すると周りから気化熱を奪い、冷却効果を発揮する。
参考:C12H26+37/2O2→12CO2+13H2O
衝撃焼結被覆条件因子として灯油或いは燃焼ガスと酸素の比率、その全体量、先端筒における粉末供給ノズルのガンからの距離、アセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレン供給量、スラリー供給量があり、それらのバランスで加熱粒子或いは溶融粒子のフレームの雰囲気温度や加熱粒子或いは溶融粒子の速度を制御し、目標にあった皮膜構成に造り込む。
例えば、燃料として灯油/酸素の混合体を使用する場合の衝撃焼結被覆条件は、酸素ガスを圧力0.5 〜1.5MPa、流量400〜1900リットル/分に、灯油圧力0.4〜1.4 MPa、流量0.2〜0.5リットル/分、圧縮空気を圧力0.2 〜1.5MPa、250〜2000リットル/分に、スラリー状粉末供給量.100 〜900グラム/分、C2H2(アセチレン)圧力0.1 〜1.5MPa、20〜600リットル/分にする。ワークまでの距離は先端筒先から70mm〜400mmにする。
燃料としてアセチレン/酸素の混合体を使用する場合の衝撃焼結被覆条件は、酸素ガスを圧力0.15 〜0.3MPa、流量30〜70リットル/分にアセチレン圧力0.10〜0.24MPa、流量 15〜55リットル/分、圧縮空気を圧力0.2 〜1.5MPa、100〜1500リットル/分に、スラリー状粉末供給量. 100〜900グラム/分、C2H2(アセチレン)圧力0.3〜1.5MPa、60〜600リットル/分にする。ワークまでの距離は先端筒先から50mm〜300mmにする。
衝撃焼結被覆において昇華、分解し易い酸化物、窒化物、炭化物やホウ化物において、フレーム温度を下げて、温度を精度良く制御し、衝撃焼結被覆が可能となった。また、高融点の酸化物、窒化物、炭化物やホウ化物では、フレーム温度を上げて同様に衝撃焼結被覆が可能となった。
簡素な粉末供給システムと使用溶媒とガスにより微粉末の供給が可能となった。微粉末を用いた衝撃焼結被覆皮膜ができ表面粗さを細かくして表面仕上げ工程を省略できるようになった。そのためコスト増加を抑えることが可能となった。
フレーム温度を下げて、温度を精度良く制御し、衝撃焼結被覆皮膜構成を溶融しない焼結状の皮膜、また緻密なラメラー皮膜、未通気気孔を含むラメラー皮膜、或いは通気気孔を含むラメラー皮膜、球状未溶融粒子+溶融合皮膜の形成を可能にし、今まで不可能であった機能性を有する皮膜が得られるようになった。
図1の模式図に示すように衝撃焼結被覆装置は燃焼室1を有し、酸素通路2から酸素ガスを導入し、燃料通路3から灯油、アセチレン、プロピレン、プロパン、エチレン、天然ガスなどの燃焼ガスや燃料液を導入する。バーナ4で燃料と酸素は混合され、燃焼室に導かれ、点火されると燃焼する。フレームは面積を絞られたガンノズル5を通る。ガンノズル5の先端に取り付けられた先端筒6に至る。ガンノズル5にはその内部に圧縮空気通路7を有し、圧縮空気が圧縮空気噴射リング8により先端筒6の内面を層流に流れ、粉末が先端筒6内面に凝着しないように構成されている。また、圧縮空気噴射リング8から出る空気は粉末供給ノズル10から出る燃焼ガスとの燃焼反応に供される。
先端筒6にはスラリー状粉末とアセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンガスとの混合物がスラリー状粉末と燃焼ガス通路9から導入され、粉末供給ノズル10が先端筒6の軸に向かって傾斜して設置されている。その粉末供給ノズル10からスラリー状粉末と燃焼ガスが燃焼室1において燃焼し、生成したフレームの内部に噴射される。
均一なスラリー状微粉末と燃焼ガスの供給装置について図2の模式図で説明する。円筒状のスラリー容器11には超音波発生器12を有する超音波振動子13がスラリー中に挿入される。微粉末の材質、粒径及び溶媒により周波数を変えて最適な条件に設定し、スラリー状微粉末を均一に分散させる。このスラリー状微粉末をスラリーポンプ14に導入しY字ユニオン15に搬送する。ポンプの回転数で流量を調整する。スラリー流量計16で流量を確認する。一方燃焼ガスボンベ17に蓄えられた燃焼ガスは燃料ガス調整バルブで調整し、ガス流量計18で確認する。これらの混合体はスラリー状粉末と燃焼ガス通路9に導入される。
燃料に対して理論酸素量が多いと、燃焼ガスは酸素を含み、また圧縮空気噴射ノズルからの空気により先端筒6の内面において、粉末供給ノズル10から導入されるアセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンガスやスラリー状にするアルコール類と燃焼反応しフレーム温度が上がり、粉末が高温に加熱される。燃料に対して理論酸素量が少ないと、先端筒9部の内面において、アセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパン、或いはプロピレンガスが燃焼せずに冷却され、粉末が低温で加熱される。ガンノズル5と先端筒6の内径が狭くなっているので、燃焼ガスの速度が速くなり、加熱粒子或いは溶融粒子は加速されて基材に衝突し、皮膜を形成する。
放熱特性と熱伝導性を必要とする電気的絶縁基板については、Si3N4、AlN、SiC微粉末を用い
たラメラー層からなる緻密な皮膜構成を造る必要がある。Si3N4は分解する温度2000℃以下で、AlNは昇華分解する温度2450℃以下で、フレーム温度を保持し、加速して被覆する必要がある。分解しやすい材料については焼結皮膜が望ましい。
電気的絶縁性を必要とするSiO2皮膜などはラメラー層からなる緻密な皮膜構成を造る必要がある。
耐熱衝撃性については、孤立した球形の気孔があるほうが良く、10%から25%の気孔を有する皮膜を造る必要がある。SiCなどは分解する2830℃以下で加速して被覆する必要がある。
通気してガスに対する触媒性については通気気孔を含むラメラー層が良い。
スパッターリング時の耐アーク性を向上させるためには皮膜の表面が滑らかになり、スパッター膜を保持するための凹凸面、即ち面粗さが必要になる。そのためには球状未溶融粒子+溶融混合皮膜が良い。αAl2O3の大きい粒径の粒子を芯まで溶解しないようにして、小さな粒径の粒子を少量溶解するようにする。そのため、2030℃より極端に過熱しないようにフレーム温度を調整する。
本発明を実施例で詳しく説明する。
50mm×50mm×板厚さ2mmのSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット80メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す衝撃焼結被覆ガンを用いて粉末とアセチレンガスを止めて、燃焼させ、試験片を50℃から150℃に加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
CeO2-15%CaO微粉末粒径1μmから3μmを用いてエチルアルコールと混ぜる。CeO2-15%CaO嵩容量1に対して、エチルアルコールの容量1.5をスラリー容器11に入れて超音波をかけてスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、スラリーポンプ14により搬送され、Y字ユニオン15を通じてアセチレンと混合させ、スラリー状粉末と燃焼ガス通路9に導入される。先端筒先6から試験片基材の距離を150mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。即ち、ワークまでの距離は150mmにする。下記にまとめて衝撃焼結被覆条件を示す。
[衝撃焼結被覆施工条件]
燃料灯油:圧力0.8MPa, 流量 0.5 リットル/分
酸素ガス:圧力1.0MPa, 流量 750 リットル/分
圧縮空気:圧力0.5MPa, 流量 600 リットル/分
粉末供給量CeO2-15%CaO +エチルアルコール:450g/分
アセチレン:圧力0.3MPa, 流量 70 リットル/分
このようにして得られた試験片基材への衝撃焼結被覆皮膜の厚さは50μmであり、表面粗さはRa1〜2μmであった。この皮膜断面を光学顕微鏡で観察した結果、若干気孔を含んだ焼結層を有する組織である。またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果はCeO2とCaOが検出された。上記CeO2-15%CaO皮膜のイオン伝導度は1000℃においてCeO2-15%CaO焼結体の70%の値を示した。
30mm×100mmの円柱からなるSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット60メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す衝撃焼結被覆ガンを用いて粉末とアセチレンガスを止めて、試験片を50℃から150℃加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
Si3N4粉末1μmから2μmを用いてエチルアルコールと混ぜる。Si3N41嵩容量に対して、エチルアルコールの容量2をスラリー容器11に入れて超音波をかけてスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、スラリーポンプ14により搬送され、Y字ユニオン15を通じてアセチレンと混合させ、スラリー状粉末と燃焼ガス通路9に導入される。先端筒6先から試験片基材の距離を150mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。下記にまとめて衝撃焼結被覆条件を示す。
[衝撃焼結被覆施工条件]
燃料灯油:圧力0.9MPa, 流量 0.45リットル/分
酸素ガス:圧力1.0MPa, 流量 600リットル/分
圧縮空気:圧力0.4MPa, 流量 500リットル/分
粉末供給量Si3N4+エチルアルコール:500g/分
アセチレン:圧力0.4MPa, 流量 60リットル/分
このようにして得られた試験片基材への衝撃焼結被覆皮膜の厚さは40 μmであり、表面粗さはRa3〜4μmであった。この皮膜断面の組織は光学顕微鏡で観察した結果は気孔率15〜25%を含んだ焼結層からなる組織であった。またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果はSi3N4が検出された。上記Si3N4皮膜を用いて、700℃から急速冷却する高温熱衝撃試験を施した。境界面では大きな熱応力が発生する厳しい耐熱衝撃性評価試験条件の繰り返し試験においても良好な結果を得た。また、熱伝導率はSi3N4焼結体の50%の値を示した。
20mm×150mm×厚さ5mmのSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット60メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す衝撃焼結被覆装置を用いて粉末とアセチレンガスを止めて、試験片を50℃から150℃に加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
TaC粒径1μmから3μmを用いてメチルアルコールと混ぜる。TaC嵩容量1に対して、メチルアルコールの容量1.5をスラリー容器11に入れて超音波をかけてスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、スラリーポンプ14により搬送され、Y字ユニオン15を通じてアセチレンと混合させ、スラリー状粉末と燃焼ガス通路9に導入される。先端筒6先から試験片基材の距離を130 mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。下記にまとめて衝撃焼結被覆条件を示す。
[衝撃焼結被覆施工条件]
燃料灯油:圧力0.7 MPa, 流量 0.35リットル/分
酸素ガス:圧力0.8 MPa, 流量 600リットル/分
圧縮空気:圧力0.4 MPa, 流量 550リットル/分
粉末供給量TaC+メチルアルコール:300 g/分
アセチレン:圧力0.3 MPa, 流量 80 リットル/分
このようにして得られた試験片基材への衝撃焼結被覆皮膜の厚さは60μmであり、表面粗さはRa2〜3μmであった。この皮膜断面の組織は光学顕微鏡で観察した結果は若干気孔を含んだラメラー層を有する組織である。またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果TaCが検出された。上記TaC皮膜のエミッター特性は焼結体と同等の値を示し良好であった。
φ50mm×厚さ10mmのSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット60メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す衝撃焼結被覆ガンを用いて粉末とアセチレンガスを止めて、試験片を50℃から150℃加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
TiB2粒径1μmから5μmを用いてメチルアルコールと混ぜる。TiB2嵩容量1に対して、メチルアルコールの容量1を容器に入れて超音波をかけてスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、スラリーポンプ14により搬送され、Y字ユニオン15を通じてアセチレンと混合させ、スラリー状粉末と燃焼ガス通路9に導入される。先端筒先6から試験片基材の距離を 120mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。即ち、ワークまでの距離は 120 mmにする。下記にまとめて衝撃焼結被覆条件を示す。
[衝撃焼結被覆施工条件]
燃料アセチレンガス:圧力0.1 MPa, 流量 25リットル/分
酸素ガス:圧力0.2 MPa, 流量 40リットル/分
圧縮空気:圧力 0.2 MPa , 流量 100リットル/分
粉末供給量TiB2+メチルアルコール:50 g/分
アセチレン:圧力0.35 MPa, 流量 70リットル/分
このようにして得られた試験片基材への衝撃焼結被覆皮膜の厚さは110μmであり、表面粗さはRa 4〜5μmであった。この皮膜断面の組織は光学顕微鏡で観察した結果は若干気孔を含んだラメラー層を有する組織である。またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果TiB2が検出された。上記TiB2皮膜のディスクに対してSUJ2軸受合金φ6mmボールを用いて、エンジン油5W-30の潤滑液中100℃で、湿式ボールオンディスク試験を実施した。SUJ2軸受合金同士の焼付き試験と比べて3倍の高い耐焼付き荷重を示した。
本発明の衝撃焼結被覆法を実施するための衝撃焼結被覆ガンの模式図 本発明の衝撃焼結被覆法を実施するためのスラリー粉末と燃焼ガス供給装置の模式図
符号の説明
1 燃焼室
2 酸素通路
3 燃料通路
4 バーナ
5 ガンノズル
6 先端筒
7 圧縮空気通路
8 圧縮空気噴射リング
9 スラリー状粉末+燃焼ガス通路
10 粉末供給ノズル
11 スラリー容器
12 超音波発生器
13 超音波振動子
14 スラリーポンプ
15 Y字ユニオン
16 スラリー流量計
17 燃焼ガスボンベ
18 燃料ガス調整バルブ
19 ガス流量計

Claims (2)

  1. 溶射によって基材の表面にセラミックス被膜を形成する、セラミック被膜の形成方法であって、
    混合ガスを構成する燃料が灯油であり、混合ガスを燃焼室で燃焼してフレームを発生させる工程と、
    溶媒としてアルコール類を用意し、この溶媒に平均粒径が0.1〜5μmの 2 3 のセラミックス粉末を分散させてスラリーを得る工程と、
    燃焼ガスとして、アセチレン、メタン、エタン、ブタン、プロパンまたはプロピレンを用意し、この燃焼ガスと前記スラリーとを前記フレームの内部に噴射する工程と
    前記フレームの後方から圧縮空気を噴出する工程と、
    を備え、
    前記混合ガスを構成する前記酸素の圧力が0.5〜1.5MPa、流量が400〜1900リットル/分であり、
    前記混合ガスを構成する前記灯油の圧力が0.4〜1.4MPa、流量が0.2〜0.5リットル/分であり、
    前記圧縮空気の圧力が0.2〜1.5MPaであり、
    筒先の先端から基材までの距離を70〜400mmとし、
    燃料に対する酸素量を理論酸素量よりも多くし、混合ガス中の燃料を燃焼させ、さらに前記溶媒および前記燃焼ガスを燃焼させることによって前記フレームを高温にして前記セラミックス粉末を加熱し、このセラミックス粉末を噴射して前記基材の表面にセラミックス被膜を形成する、セラミックス被膜の形成方法。
  2. 溶媒としてエチルアルコール、メチルアルコールまたは灯油を用いる、請求項1に記載のセラミックス被膜の形成方法。
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