JP2009161789A - セラミックス溶射皮膜とその製造法 - Google Patents

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根岸良寛
Masahiro Nakagawa
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Abstract

【課題】セラミックス粉末を使用して溶射によりセラミックス皮膜を製造する場合、プラズマ溶射を用いた場合は、フレーム温度が15000℃から30000℃にもなる。また従来のフレーム溶射はフレーム温度が2200℃から3400℃になり粉末が容易に溶融し、また昇華、分解することにより、溶射粉末と異なる変態した皮膜、組成が変わる皮膜となる。低温で溶射することにより要求を満足する機能性を有する優れた皮膜を得る安価な方法を提供する。
【解決手段】 従来のフレーム溶射と異なり、ガンの燃焼室の後に、溶射粉末と燃焼ガスを供給ノズルから
フレームの軸に向けて燃焼ガスとスラリー状溶射微粉末を噴射し、燃焼室に導入の酸素量と供給ノズルから導入する燃焼ガスとの容量を調整してフレーム中に存在するセラミックス微粉末の温度を制御し、また燃焼生成ガスにより加速して、要求機能特性と密着性を有する皮膜を形成したことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は耐熱性、伝熱性、電気的絶縁性、耐食性などの機能を有するセラミックス皮膜と溶射による製造方法に関するものである。
金属・合金、セラミックスは温度が変化することにより変態し特性が変わる。処理温度が高い表面改質プロセスにおいて、常温での材料特性が高温処理によって変態し別の特性に変わる。特に溶射プロセスでは
電気式溶射法のプラズマ溶射では4000℃から30000℃、ガス式溶射法2200℃から3400℃でその温度以下で制御して溶射することは困難である。材料が変態しない温度で精度良く制御して、皮膜構成を変化させて溶射する方法が強く望まれている。
特開平10―60617 フレーム温度2200から3400℃、内部から粉末を供給 特開2006-108178 Al2O3粒子プラズマ溶射未溶融のまま 特開2006-104496 プラズマ溶射法、超高速フレーム溶射法による皮膜における溶融粒子の扁平比率
溶射プロセス
Ar+水素、Ar+窒素、He+水素などの作動ガスを用いるプラズマ溶射はフレーム中心温度が15000℃から30000℃にもなる。一方燃料と酸素を用いる従来のフレーム溶射において、酸素/灯油、空気/灯油、酸素/水素、酸素/プロピレン、酸素/プロパン、酸素/エチレン、酸素/アセチレン、酸素/天然ガスのいずれかの混合ガスを用いて燃焼させ熱を発生させる。フレーム温度は2200℃から3400℃になり、連続燃焼反応であるので、それ以下の温度に制御するのは非常に困難である。
粉末供給装置
セラミックスのような熱伝導性の低い材料を瞬間的に加熱し、溶融する場合は粉末の粒度が細かいほうが優れている。また溶射粉末が細かいと皮膜の面粗さは細かく、後の表面の仕上げ工程は省略できる利点がある。しかし粒径0.1μmから10μmの微粉末は凝集し易く、送給は困難である。
溶射材料
窒化物のAlNは2450℃で昇華分解し、Si3N4は1900℃で昇華する。BNは3000℃で昇華分解する。炭化物のαSiCは2100℃で変態し2830℃で分解する。αAl2O3は1000℃以上でγAl2O3に変態し、2030℃で溶解する。アナターゼTiO2は700℃から800℃でルチルTiO2に変態する。スピネルMgO・Al2O3は2135℃で溶解する。SiO2は1710℃で溶解する。比較的低温で溶解する材料系、変態する材料系、昇華する材料系の溶射はフレーム温度に注意する必要がある。
AlNについては水があると反応して水酸化アルミニウムになる。AlN+3H2O→Al(OH)3+NH3
窒化物形成は不可能である。
溶射プロセス
プラズマ溶射のフレーム温度15000℃から30000℃ではAlN, Si3N4, BNは昇華や分解して被覆困難である。αAl2O3は被覆するがγAl2O3に変態した皮膜が多い。
一方従来のフレーム溶射のフレーム温度2200℃から3400℃範囲では、AlNは2400℃で昇華分解し、Si3N4は昇華し被覆しない。BNは昇華分解して被覆困難である。SiCは2830℃で分解により被覆しない。αAl2O3は1000℃以上でγAl2O3に変態するので、ほとんどγAl2O3を含んだ皮膜になり特性を損なう。SiO2は融点が1610℃と低く、溶射では蒸発してしまう
比較的融点の低い昇華分解しやすい窒化物AlN、Si3N4, BNや結合エネルギーの低い炭化物SiC、酸化物Al2O3、SiO2の微粉末を投入した場合、容易に変態し、或いは溶融し、分解してしまい、基材に被覆することは非常に困難である。
溶射皮膜構成
機能性を持たせる皮膜構成において、電気的絶縁性については緻密な皮膜が良く、断熱性を持たせるには適度な気孔がある皮膜が良く、耐熱衝撃性については、孤立した球形の気孔がある方が良く、高温耐食性とガス透過性については通気孔のある気孔が要求される。また耐アーク性については球状+溶融混合組織が良い。
従来の高温フレーム溶射において、フレーム温度を安定して2200℃以下に下げたり、セラミックスの微粉末がフレームに投入された部位での雰囲気温度を細かく制御したりして、緻密、気孔、ラメラー、或いは球状未溶融粒子+溶融混合皮膜を被覆することは困難である。
本発明に係わる、溶射方法は酸素/灯油、空気/灯油、酸素/水素、酸素/プロピレン、酸素/プロパン、酸素/エチレン、酸素/アセチレン、酸素/天然ガスを用いるフレーム溶射ガンにおいてガン先端筒をガン先端に取り付け、先端筒の円筒軸に向かって180°対象の位置2箇所、或いは90°の位置に4箇所に粉末供給ノズルを設置する。
溶射微粉末は狭い搬送チューブの中でブリッジを造り、安定した供給はできないので、微粉末をスラリー状にして搬送する。セラミックスの微粉末粒径0.1μmから10μmの微粉末を用いてエチルアルコール、メチルアルコールや灯油を溶媒にして攪拌し混ぜスラリー状にする。なお、粒径10μm以上の粉末が存在してもスラリー状化可能である。 ポンプでチューブに送り、チューブのY字ユニオンからC2H2ガスを送付し混合する。 スラリー状粉末とC2H2ガスの混合物が粉末供給ノズルに搬送される。
溶射微粉末をスラリー状にする溶媒としてエチルアルコール、メチルアルコール、灯油を用い、また可燃ガスとしてC2H2を用いて混合物とすることにより、いずれも酸素量が多い時は燃焼して発熱し、少ない時は燃焼しないで冷却する特徴があり、このバランスにより微粉末を溶かしたり、加熱したりして温度を
調整する。
AlNについては水があると反応して水酸化アルミニウムになる。アルコール類や灯油を溶媒にすると、水を含まないのでAlNは分解されず、優位になる。
燃料に対して酸素が理論酸素量より多いと、燃焼ガスは酸素を含み、上記粉末供給ノズルから搬送されるC2H2(アセチレン)ガスやアルコールと反応して発熱する。他方、燃料に対して酸素量が理論酸素量より少ないと、燃えない燃料が含まれ温度を下げる。また上記粉末供給ノズルから搬送されるてくるC2H2(アセチレン)ガスやアルコール類も燃焼しないで、フレームを冷却する。従って、酸素量が理論酸素量以上は溶射材料を高温で加熱し、逆に酸素量が理論酸素量以下の場合は溶射材料を低温で加熱する。
参考:C12H26+37/2O2→12CO2+13H2O
溶射条件因子として灯油或いは燃焼ガスと酸素の比率、その全体量、溶射距離、ガン先端筒における粉末供給ノズルのガンからの距離、C2H2供給量、スラリー供給量があり、それらのバランスで溶射加熱粒子或いは溶融粒子のフレームの雰囲気温度や溶射加熱粒子或いは溶融粒子の速度を制御し、目標にあった皮膜構成に造り込む。
例えば、燃料として灯油/酸素の混合体を使用する場合の溶射条件は、酸素ガスを圧力0.5 〜1.5MPa、流量400〜1900リットル/分に、灯油圧力0.4〜1.4 MPa、流量0.2〜0.5リットル/分、圧縮空気を圧力0.2 〜1.5MPa、250〜2000リットル/分に、スラリー状粉末供給量.100 〜900グラム/分、C2H2(アセチレン)圧力0.1 〜1.5MPa、20〜600リットル/分にする。溶射距離はガン先端筒先から70mm〜400mmにする。
燃料としてアセチレン/酸素の混合体を使用する場合の溶射条件は、酸素ガスを圧力0.15 〜0.3MPa、流量
30〜70リットル/分にアセチレン圧力0.10〜0.24MPa、流量 15〜55リットル/分、圧縮空気を圧力0.2 〜1.5MPa、100〜1500リットル/分に、スラリー状粉末供給量. 100〜900グラム/分、C2H2(アセチレン)圧力0.3〜1.5MPa、60〜600リットル/分にする。溶射距離はガン先端筒先から50mm〜300mmにする。
フレーム温度を下げて、温度を精度良く制御し、窒化物、酸化物や炭化物の溶射が可能となった。
簡素な粉末供給システムと使用溶媒とガスにより微粉末の供給が可能となった。微粉末を用いた溶射皮膜ができ表面粗さを細かくして表面仕上げ工程を省略できるようになった。そのためコスト増加を抑えることが可能となった。
フレーム温度を下げて、温度を精度良く制御し、溶射皮膜構成を緻密、ラメラー、未通気気孔を含むラメラー、或いは通気気孔を含むラメラー、球状未溶融粒子+溶融混合皮膜の形成を可能にし、今まで不可能であった機能性を有する皮膜が得られるようになった。
図1の模式図に示すようにフレーム溶射ガン1は燃焼室2を有し、酸素通路2から酸素ガスを導入し、
燃料通路4から灯油、アセチレン、プロピレン、プロパン、エチレン、天然ガスなどの燃焼ガスや燃料液を導入する。燃焼室2で燃料と酸素は混合され、ガンノズル5に導かれ、点火されると燃焼する。ガンノズルにはその内部に圧縮空気通路6を有し、圧縮空気がガン先端筒9の内面を層流に流れ、溶射粉末がガン先端筒9内面に凝着しないように構成されている。
ガン先端筒9には粉末供給ノズル7がガン先端筒9の軸に向かって設置されている。その粉末供給ノズル7はガスと溶射粉末通路8を有している。 スラリー状粉末とC2H2ガスとの混合物を粉末供給ノズル7に導入され、上記燃焼ガスのフレームの内部に噴射する。
燃料に対して理論酸素量が多いと、燃焼ガスは酸素を含み、ガン先端筒9部の内面において、フレーム温度が上がり、溶射粉末が高温に加熱される。燃料に対して理論酸素量が少ないと、ガン先端筒9部の内面において、C2H2ガスが燃焼せずに冷却され、溶射粉末が低温で加熱される。ガンノズル5とガン先端筒9の内径が狭くなっているので、燃焼ガスの速度が速くなり、加熱粒子或いは溶融粒子は加速されて基材11に衝突し、皮膜10を形成する。
放熱特性と熱伝導性を必要とする電気的絶縁基板については、AlN微粉末を用いた図2のラメラー層からなる緻密な皮膜構成を造る必要がある。AlNは昇華分解する温度2450℃以下で、フレーム温度を保持し、加速して被覆する必要がある。
電気的絶縁性を必要とするSiO2皮膜は図2のラメラー層からなる緻密な皮膜構成を造る必要がある。
耐熱衝撃性については、図3のような孤立した球形の気孔があるほうが良く、15%から25%の気孔を有する皮膜を造る必要がある。SiCは分解する2830℃以下で加速して被覆する必要がある。
通気してガスに対する触媒性については図4の通気気孔を含むラメラー層が良い。
スパッターリング時の耐アーク性を向上させるためには皮膜の表面が滑らかになり、スパッター膜を保持するための凹凸面、即ち面粗さが必要になる。そのためには図5のような球状未溶融粒子+溶融混合皮膜が良い。αAl2O3の大きい粒径の粒子を芯まで溶解しないようにして、小さな粒径の粒子を少量溶解するようにする。そのため、2030℃より極端に過熱しないようにフレーム温度を調整する。
本発明を実施例で詳しく説明する。
100mm×100mm×板厚さ2mmのSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット60メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す溶射ガンを用いて粉末とアセチレンガスを止めて、燃焼させ、試験片を50℃から150℃に加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
AlN微粉末粒径1μmから3μmを用いてエチルアルコールと混ぜる。AlN嵩容量1に対して、エチルアルコールの容量1.5を容器に入れて撹拌しスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、チューブのY字ユニオンからアセチレンを混合させガス/粉末通路8に導入される。
ガン先端筒先から試験片基材の距離を150mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。即ち、溶射距離は150mmにする。下記にまとめて溶射条件を示す。
[溶射施工条件]
燃料灯油:圧力0.8MPa, 流量 0.4 リットル/分
酸素ガス:圧力1.0MPa, 流量 700 リットル/分
圧縮空気:圧力0.5MPa, 流量 600 リットル/分
粉末供給量AlN+エチルアルコール:500g/分
アセチレン:圧力0.3MPa, 流量 60 リットル/分
このようにして得られた試験片基材への溶射皮膜の厚さは30μmであり、表面粗さはRa1〜2μmであった。この皮膜断面の組織は図6に示す。若干気孔を含んだラメラー層を有する組織である。
またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果を図7に示す。AlNが検出された。
上記AlN皮膜の熱伝導率はZrO2皮膜の約10倍であった。
100mm×100mm×板厚さ2mmのSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット60メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す溶射ガンを用いて粉末とアセチレンガスを止めて、試験片を50℃から150℃加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
SiC粒径5μmから10μmを用いてエチルアルコールと混ぜる。SiC1嵩容量に対して、エチルアルコールの容量2を容器に入れて撹拌しスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、チューブのY字ユニオンからアセチレンを混合させガス/粉末通路8に導入される。
ガン先端筒先から試験片基材の距離を150mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。即ち、溶射距離は150mmにする。下記にまとめて溶射条件を示す。
[溶射施工条件]
燃料灯油:圧力0.9MPa, 流量 0.45リットル/分
酸素ガス:圧力1.0MPa, 流量 700リットル/分
圧縮空気:圧力0.4MPa, 流量 480リットル/分
粉末供給量SiC+エチルアルコール:450g/分
アセチレン:圧力0.4MPa, 流量 80リットル/分
このようにして得られた試験片基材への溶射皮膜の厚さは20 μmであり、表面粗さはRa3〜4μmであった。
この皮膜断面の組織は図8に示す。若干気孔を含んだラメラー層を有する組織である。
またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果を図9に示す。SiCが検出された。
上記SiC皮膜の水冷却バーナー繰り返しによる熱衝撃試験を施した。大気中酸素アセチレンバーナで1000℃に加熱し、15秒保持後、13℃の水中に投入し、皮膜の割れ、剥離が出る回数を測った。結果は3回目で境界部が一部亀裂・剥離した。高温からの急冷による皮膜境界面では大きな熱応力が発生し、厳しい評価試験条件下でも良好な結果を得た。
20mm×1500mm×厚さ2mmのSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット60メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す溶射ガンを用いて粉末とアセチレンガスを止めて、試験片を50℃から150℃加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
SiO2粒径15μmから45μmを用いてメチルアルコールと混ぜる。SiO2嵩容量1に対して、メチルアルコールの容量1.5を容器に入れて撹拌しスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、チューブのY字ユニオンからアセチレンを混合させガス/粉末通路8に導入される。
ガン先端筒先から試験片基材の距離を130 mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。即ち、溶射距離は130 mmにする。下記にまとめて溶射条件を示す。
[溶射施工条件]
燃料灯油:圧力0.7 MPa, 流量 0.35リットル/分
酸素ガス:圧力0.8 MPa, 流量 560リットル/分
圧縮空気:圧力0.4 MPa, 流量 480リットル/分
粉末供給量SiO2+メチルアルコール:550 g/分
アセチレン:圧力0.3 MPa, 流量 60 リットル/分
このようにして得られた試験片基材への溶射皮膜の厚さは20μmであり、表面粗さはRa2〜3μmであった。
この皮膜断面の組織は図10に示す。若干気孔を含んだラメラー層を有する組織である。
またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果を図11に示す。SiO2が検出された。
上記SiO2皮膜の電気的抵抗率は1.2×1011Ωcmであった。
20mm×1500mm×厚さ2mmのSUS304の試験片を使用した。皮膜を形成する前に予め洗浄し粗面化処理としてグリットブラスト処理をおこなう。アルミナグリット60メッシュを用いて0.5Mpa程度の圧力で試験片基材に吹き付ける。ブラスト後の表面粗さRa10〜15μmであった。
図1に示す溶射ガンを用いて粉末とアセチレンガスを止めて、試験片を50℃から150℃加熱して予熱処理を行った。この処理により湿気、水、水蒸気を除去した。
αAl2O3粒径15μmから45μmを用いてメチルアルコールと混ぜる。αAl2O3嵩容量1に対して、メチルアルコールの容量1を容器に入れて撹拌しスラリー状にする。これらの混合物はスラリー搬送チューブを通じて、チューブのY字ユニオンからアセチレンを混合させガス/粉末通路8に導入される。
ガン先端筒先から試験片基材の距離を 75mmに保ち、ガンの軸と試験片面を垂直に保持する。即ち、溶射距離は 75 mmにする。下記にまとめて溶射条件を示す。
[溶射施工条件]
燃料アセチレンガス:圧力0.1 MPa, 流量 25リットル/分
酸素ガス:圧力0.2 MPa, 流量 40リットル/分
圧縮空気:圧力 0.2 MPa , 流量 100リットル/分
粉末供給量αAl2O3+メチルアルコール:50 g/分
アセチレン:圧力0.35 MPa, 流量 70リットル/分
このようにして得られた試験片基材への溶射皮膜の厚さは110μmであり、表面粗さはRa 4〜5μmであった。
この皮膜断面の組織は図12に示す。若干気孔を含んだラメラー層を有する組織である。
またこの皮膜をX線回折装置で調べた結果を図13に示す。αAl2O3が検出された。
上記αAl2O3皮膜の耐プラズマ性試験はスパッター条件としてRFを用いたArスパッターにより一定時間後の皮膜の重量減で計測した結果は従来のプラズマ皮膜の20%少ない皮膜消耗率であった。
本発明のフレーム溶射方法を実施するための溶射ガンの模式図 溶射皮膜断面のラメラー層の模式図 溶射皮膜断面の気孔を含むラメラー層の模式図 溶射皮膜断面の通気気孔を含むラメラー層の模式図 溶射皮膜断面の球状未溶融粒子を含むラメラー層の模式図 AlN皮膜断面写真 AlN X線回折チャート SiC皮膜断面写真 SiC X線回折チャート SiO2皮膜断面写真 SiO2 X線回折チャート Al2O3皮膜断面写真 Al2O3 X線回折チャート
符号の説明
1 フレーム溶射ガン
2 燃焼室
3 酸素通路
4 燃料通路
5 ガンノズル
6 圧縮空気通路
7 粉末供給ノズル
8 スラリー状溶射粉末+C2H2:ガス/粉末通路
9 ガン先端筒
10 溶射皮膜
11 基材
12 ラメラー
13 気孔
14 球状未溶融粒子

Claims (5)

  1. 燃料と酸素を用いるフレーム溶射において、酸素/灯油、空気/灯油、酸素/水素、酸素/プロピレン、酸素/プロパン、酸素/エチレン、酸素/アセチレン、酸素/天然ガスのいずれかの混合ガスを用いてフレームを発生させる。
    フレームの後方に粉末供給用ノズルを設置する。そのノズルから微粉末からなる溶射粉末や或いはそれらをスラリー状にした溶射粉末と燃焼ガスとしてアセチレンからなる混合物を噴射する。その際、燃焼室の酸素量、ノズルからのアセチレン量を調整して溶射粉末の温度を制御して被覆する溶射方法。
  2. 上記請求項の溶射微粉末をスラリー状にする媒体として、エチルアルコール、メチルアルコール、灯油を用いた粉末供給方法。
  3. 上記請求項の溶射材料としてAlN,Si3N4,BN, SiC, Al2O3,SiO2からなるセラミックス。
  4. 上記請求項により形成された皮膜は AlN,Si3N4,BN, SiC, Al2O3,SiO2からなり、緻密、ラメラー、気孔、或いは球状+溶融混合などを有し、その単体、複合構造からなる。またその構造は単層や組み合わせられる2層構造を特徴とする皮膜。
  5. 上記請求項の形成された皮膜は耐熱性、断熱性、伝熱性、放熱性、電気的絶縁性、耐食性、触媒性、抗菌性、耐摩耗性、圧電性機能を有することを特徴とする皮膜。
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