JP5340187B2 - スピーカ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気回路とコイルとで振動力を発生するスピーカに係り、特に前記磁気回路が、2つの磁石とその間に位置する中間磁性体を備えたスピーカに関する。
車載用や家庭用の音響機器や映像機器に、薄型のスピーカが多く使用されている。薄型のスピーカは、薄型の磁気回路を搭載することになるが、薄型の磁気回路は、大きな磁気駆動力を発生するのが難しく、大きな振動体を動作させようとすると、音の歪みなどが発生して音響品質が低下しやすい。
以下の特許文献1と特許文献2に記載されたスピーカは、薄型でしかも大きな磁気駆動力を得るために、2個の磁石を用いたいわゆる反発磁気回路が用いられている。反発磁気回路は、2個の磁石が、同じ磁極どうしが向き合うように組み合わされ、2つの磁石の間に中間磁性体が挟まれており、振動体を駆動するボイスコイルが、前記中間磁性体の外周部に対向している。2つの磁石からの磁界が中間磁性体を経てボイスコイルを横切るようになり、ボイスコイルを横切る磁界の磁束密度が高められている。
特許文献1に記載されている反発磁気回路は、2つのリング状の磁石と、中心に穴を有する磁性体のプレートとが重ねられている。下側の磁石の中心穴とプレートの穴の内部に、磁性材料製のセンターポールが位置しており、ボイスコイルが、プレートの穴の内周面とセンターポールの外周面との間の磁気ギャップ内に位置している。
特許文献1に記載された反発磁気回路は、組み立て工程の途中で、磁石がセンターポールに引き付けられやすい。磁石の中心穴とセンターポールとが一旦密着してしまうと、引き剥がすのが困難になる。そのために、特殊な治具を使用して組み立てなくてはならない。
特許文献1に記載されたものは、センターポールが、下側の磁石の中心穴の内部に位置しているが、上側の磁石の中心穴の内部までは延びていない。下側の磁石から発せられる磁界は、プレートからセンターポールおよび底部のヨーク板を経て磁石に戻るのに対し、上側の磁石から発せられる磁界には、センターポールを経過する磁路が形成されていない。そのため、下側の磁石から発せられてボイスコイルを横断する磁界の磁束密度と、上側の磁石から発せられてボイスコイルを横断する磁界の磁束密度とが相違することになり、ボイスコイルの振動方向に対して、磁束密度の変化の対称性を維持できず、振動体を駆動するときのバランスが崩れる問題がある。
さらに、特許文献1に記載のものは、ボイスコイルが、磁石の中心穴内に位置し、ボイスコイルを有するコイルボビンが上側の磁石からさらに上方に延びている。そのために、コイルボビンに連結される振動板が、反発磁気回路の上側に位置する2段構造となり、スピーカの全体を薄型化するのに限界がある。
特許文献2に記載された反発磁気回路は、2つのリング状の磁石と、リング状のセンタープレートが設けられ、それぞれの磁石の中心穴とセンタープレートの中心穴にセンターポールが入り込むことで、2個の磁石が位置決めされている。
この反発磁気回路は、リング状の磁石を使用しているため、磁石の体積が小さくなり、磁石から発せられる磁界の強度を高めるのに限界がある。
特許文献3に記載された反発磁気回路は、底部を有する筒状の磁性材料製のヨークの内部に、2つの磁石と、前記両磁石の間に挟まれた磁性材料製のプレートとが収納されており、ヨークの開口部がヨーク片で塞がれている。
特許文献3の反発磁気回路は、磁石をヨークの内部に収納するときに、磁石がヨークの内面に引き付けられる。そのために、組み立て作業に特殊な治具が必要になる。さらに、ボイスコイルを有するボビンが、ヨークの上方へ延び出る構造であるため、スピーカを構成する振動板と磁気回路とが上下に2段に配置された構造となり、スピーカの薄型化に限界が生じる。
特開昭60−16796号公報 特開平9−135493号公報 実願昭57−143678号(実開昭59−48197号)のマイクロフィルム
本発明は、上記従来の課題を解決できるものであり、2つの磁石を使用した磁気回路を組み立てる際に、磁石とヨークとが密着するのを防いで、2つの対向ヨークを容易に組みあわせることができるスピーカを提供するものである。
また、本発明は、コイルを横断する磁界の磁束密度が、コイルの振動方向において対称に分布しやすくなって、振動体の駆動バランスを確保でき、さらに薄型化を実現しやすいスピーカを提供するものである。
本発明は、振動体と、前記振動体に振動力を与えるコイルと、前記コイルに磁界を与える磁気回路とを有するスピーカにおいて、
前記磁気回路は、振動体の振動方向に対向する磁性材料製の一対の対向ヨークと、それぞれの対向ヨークの対向側に固定された磁石と、2つの前記磁石の間に挟まれた中間磁性体とを有し、それぞれの前記対向ヨークに、これに固定された前記磁石よりも前記振動方向に向けて突出する磁界誘導壁が一体に設けられ、
両対向ヨークの前記磁界誘導壁どうしが、前記振動方向と交叉する向きに互いに規制し合うように嵌合し、2つの前記磁石の間に前記中間磁性体が挟まれて両対向ヨークが組み合わされており、
少なくとも一方の対向ヨークの前記磁界誘導壁の内面と、前記中間磁性体の外周部との間に、前記コイルが位置する磁気ギャップが形成されていることを特徴とするものである。
本発明のスピーカは、2つの対向ヨークを組み合わせるときに、磁石が相手側の対向ヨークの磁界誘導壁の中に入り込む前に、それぞれの対向ヨークの磁界誘導壁どうしが嵌合する。そのため、磁石と相手側の対向ヨークとが磁力で吸引されても、2つの対向ヨークを横方向へずれることなく組み立てることが可能である。
本発明は、少なくとも一方の対向ヨークに設けられた前記磁界誘導壁が、相手側の対向ヨークに当たることで、2つの対向ヨークの前記振動方向の対向距離が決められている。
反発磁気回路を構成する場合には、2つの磁石の同じ磁極が対向して組み合わされ、磁石どうしが反発しようとするが、磁界誘導壁を相手の対向ヨークに当接させて、2つの対向ヨークを固定することで、2つの対向ヨークの対向間隔を正確に決めることが可能である。
本発明は、少なくとも一方の対向ヨークに設けられた前記磁界誘導壁に、前記振動方向に延びるスリットが設けられ、前記コイルを支持する支持体が、前記スリット内を通過して前記磁界誘導壁の外側に延びており、前記支持体と前記振動体とが、直接に連結され、または他の部材を介して連結されている構造が好ましい。
例えば、前記スリットは、一方の対向ヨークの前記磁界誘導壁と、他方の対向ヨークの前記磁界誘導壁との間に形成されている。
上記構造のスピーカは、対向ヨークの磁界誘導壁の外周に振動体を配置することができるため、薄型化が可能である。また、2つの対向ヨークを対称形状とすることで、下側の磁石から発せられる磁界の磁路と、上側の磁石から発せられる磁界の磁路を対称にしやすい。そのため、コイルの振動方向に対し、コイルを横断する磁界の磁束密度の変化が上下に対称となりやすく、バランスの良い駆動が可能である。
また、本発明は、前記スリットの前記振動方向の寸法は、2つの前記磁石および前記中間磁性体の厚さ寸法の合計と同じかまたはそれよりも長いことが好ましい。
上記構成では、2つの対向ヨーク内で、コイルの振幅を広く確保でき、薄型で十分な出力のスピーカを得ることが可能である。
本発明のスピーカは、2つの対向ヨークを組み合わせることで、2つの磁石を備えた磁気回路を容易に組み立てることが可能である。
また、2つの対向ヨークをほぼ対称構造とすることで、コイルの振動方向における磁束密度の変化を対称にしやすくなり、振動体の駆動バランスを良好にできるようになる。
本発明の実施の形態のスピーカを半分に切断して示す部分斜視図、 前記スピーカの断面を正面から示す縦断面図、 一対の対向ヨークと磁石を示す分解斜視図、 一対の対向ヨークが組み合わされた状態を示す縦断面図、 上側の対向ヨークを上下逆の向きで示す斜視図、 ボイスコイルとこれを保持する治具を示す斜視図、 (A)は、上下逆向きの上側の対向ヨークにボイスコイルと治具とが装着された状態を示す斜視図、(B)は、下側の対向ヨークの斜視図、 対向ヨークの構造の変形例を示す縦断面図、 対向ヨークの構造の変形例を示す縦断面図、
図1と図2に示すスピーカ1は、図において上下方向に延びる中心線Oを中心とする円形である。中心線Oの延びる方向が、振動方向である。
スピーカ1の中心部に反発磁気回路10が設けられている。反発磁気回路10は、第1の対向ヨークである下側対向ヨーク11と第2の対向ヨークである上側対向ヨークが上下に組み合わされて、全体が円柱形状である。反発磁気回路10の内部には、下側磁石21と上側磁石22と、両磁石21,22の間に挟まれた中間磁性体20が収納されている。下側磁石21と上側磁石22および中間磁性体20は、いずれも円板形状である。下側磁石21と上側磁石22は、同じ磁極どうしが対向し、下側磁石21と上側磁石22が、上下に反発し合いながら組み合わされている。
反発磁気回路10の内部には、中間磁性体20の外周に対向する円筒状に巻かれたボイスコイル23が設けられている。反発磁気回路10の周囲の外側には円筒形の支持リング24が設けられている。反発磁気回路10には振動方向に延びるスリット19が形成されており、ボイスコイル23と支持リング24とを連結するリブ25(支持体)が前記スリット19内で振動方向へ移動自在に設けられている。
反発磁気回路10の下側対向ヨーク11は、円板形状の下部フレーム31に固定されている。下部フレーム31の上にはリング形状の中間フレーム33が設けられ、下部フレーム31と中間フレーム33が連結部材32によって連結されている。中間フレーム33の上にはリング形状の上部フレーム35が設けられ、中間フレーム33と上部フレーム35とが連結部材34で連結されている。下部フレーム31と中間フレーム33および上部フレーム35は、非磁性金属または合成樹脂材料で形成され、または鉄などの磁性金属材料で形成されている。
上部フレーム35の内周部には、振動体36が連結されている。振動体36は厚紙や合成樹脂シートあるいは紙材と合成樹脂シートとのラミネート材などで形成された振動板である。振動体36の外周部は、弾性変形可能に曲げられたダンパー部36aを介して、上部フレーム35に固定されている。また、振動体36の内周部36bはテーパ形状に形成されて、その内周端が、前記支持リング24に連結されている。
中間フレーム33の内周部にはダンパー部材37が設けられている。ダンパー部材37は、厚紙や合成樹脂シートあるいは紙材と合成樹脂シートとのラミネート材などで形成されており、リング形状の凹凸部が同心円状に繰り返すコルゲート構造である。ダンパー部材37の外周部37aは、中間フレーム33に固定され、ダンパー部材37の内周部37bは支持リング24に連結されている。支持リング24と前記振動体36は、ダンパー部材37の弾性変形によって、中心線O−Oが延びる方向に向けて振動自在である。
図3ないし図7に、反発磁気回路10を構成する下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15の構造がさらに詳しく示されている。
下側対向ヨーク11は、磁性金属材料で形成されている。下側対向ヨーク11には円板形状の底部11aが設けられている。底部11aの上に向く対向部11bの中心には円板形状の凸部11cが、底部11aと一体に形成されている。下側磁石21は、前記凸部11cの上面に固定されている。なお、前記凸部11cが形成されておらず、下側磁石21が底部11aの対向部11bに直接に固定されていてもよい。
図3などに示すように、下側対向ヨーク11の底部11aの外周部には、対向部11bから上向きに突出する磁界誘導壁12が設けられている。磁界誘導壁12は3箇所において、前記底部11aと一体に形成されている。3箇所の磁界誘導壁12は、中心線Oを囲む120度の角度間隔で形成されており、それぞれの磁界誘導壁12は、下側磁石21を囲む円筒部の一部を構成している。図3に示すように、底部11aの対向部11bから磁界誘導壁12の上端までの高さ寸法H1は、前記対向部11bから下側磁石21の上面までの高さ寸法H2よりも大きい。
図3と図5に示す上側対向ヨーク15は、下側対向ヨーク11と同じ磁性金属材料で形成されている。上側対向ヨーク15には、円板形状の天井部15aが形成されている。天井部15aは、下側対向ヨーク11の底部11aと同じ直径で同じ厚さ寸法に形成されている。
図4と図5に示すように、上側対向ヨーク15の天井部15aの下面である対向部15bに上側磁石22が固定され、その下に中間磁性体20が重ねられて固定されている。上側磁石22は、下側磁石21と同じ硬磁性材料で形成されており、下側磁石21と上側磁石22は、直径および厚さ寸法が同じで、体積が同じである。中間磁性体20は、下側対向ヨーク11および上側対向ヨーク15と同じ磁性材料で形成されている。
上側対向ヨーク15の天井部15aの外周部には、対向部15bから下向きに延びる磁界誘導壁16が設けられている。磁界誘導壁16は、中心線Oを囲むように120度の角度配置で3箇所に設けられ、それぞれ天井部15aと一体に形成されている。それぞれの磁界誘導壁16は、厚肉部16aと薄肉部16bとを有している。薄肉部16bは、厚肉部16aの外周面から内側へ向けて所定厚さの範囲を削除した形状である。隣り合う磁界誘導壁16の厚肉部16aと薄肉部16bとの間に、上下に延びる前記スリット19が形成されている。
図4に示すように、天井部15aの対向部15bから、磁界誘導壁16の下端までの高さ寸法H3は、前記対向部15bから上側磁石22の下端までの高さ寸法H4よりも大きい。好ましくは、前記高さ寸法H3は、対向部15bから中間磁性体20の下端までの高さ寸法H5よりも大きい。上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の前記高さ寸法H3は、下側対向ヨーク11の磁界誘導壁12の前記高さ寸法H1と同じである。
下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15を組み立てるときは、下側対向ヨーク11の磁界誘導壁12が、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の薄肉部16bの外周面に嵌着される。下側対向ヨーク11の磁界誘導壁12と、上側対向ヨーク15の薄肉部16bとが重ねられたときの、半径方向の厚さ寸法の合計は、磁界誘導壁16の厚肉部16aの半径方向の厚さ寸法と同じである。下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15とが組み合わされると、磁石21,22および中間磁性体20の周囲を囲む同じ厚さの磁界誘導壁が、3箇所のスリット19を除いて全周に形成される。
図3に示すように、下側対向ヨーク11の磁界誘導壁12は下側磁石21の上端よりも上方に突出しており、図4に示すように、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16は、上側磁石22の下端よりも下側に突出し且つ中間磁性体20の下端よりも下側へ突出している。したがって、下側磁石21が、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の内側に入る前に、下側対向ヨーク11の磁界誘導壁12が、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の薄肉部16bの外側に嵌合する。よって、その後に下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15を接近させるときに、下側磁石21と上側の磁界誘導壁16とに中心線O−Oと直交する方向へ互いに引き付け合う力が作用しても、下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15が中心線O−Oと直交する方向にずれることがない。よって、下側磁石21は、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の内周面に吸着されることなく、磁界誘導壁16の内面と距離を空けて収納される。
同様に、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16が、上側磁石22の下端よりも下側へ突出し、さらに中間磁性体20の下端よりも下側に突出している。したがって、下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15とが組み合わされるときに、中間磁性体20が、下側対向ヨーク15の磁界誘導壁12の内側に入る前に、ならびに上側磁石22が磁界誘導壁12の内側に入り込む前に、磁界誘導壁12と磁界誘導壁16とが嵌合する。この嵌合により、中間磁性体20または上側磁石22と、下側の磁界誘導壁12とが互いに引き合っても、下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15とが、中心線O−Oと直交する向きにずれるのを防止できる。
また、下側対向ヨーク11の磁界誘導壁12の上端が、上側対向ヨーク15の対向部15bに突き当てられ、同時に、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の下端が下側対向ヨーク11の対向部11bに突き当てられて、下側磁石21が中間磁性体20に密着するように組み立てられる。下側磁石21と上側磁石22は同じ磁極どうしが対向するために、上下に互いに反発し合うが、下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15は、それぞれの磁界誘導壁12,16が相手側に突き当てられることで、対向距離を決めることができる。そして、下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15とをねじ止めなどで互いに固定することで、反発磁気回路10が組み立てられる。
図4に示すように、下側対向ヨーク11と上側対向ヨーク15とが組み合わされたときに、スリット19は、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の厚肉部16aと薄肉部16bとの対向部で、且つ下側対向ヨーク11の磁界誘導壁12との対向部に形成されている。図4に示すように、スリット19は、下側対向ヨーク11の対向部11bから上側対向ヨーク15の対向部15bまでの長さを有している。すなわち、スリット19の上下方向の寸法H6は、2つの磁石21,22と中間磁性体20の厚さ寸法の合計と等しいかまたはそれ以上の長さに形成されている。
図4に示すように、ボイスコイル23は、2つの対向ヨーク11,15の磁界誘導壁と、中間磁性体20の外周面とのギャップ内に設けられている。ボイスコイル23を支持するリブ25は、上下の寸法がボイスコイル23の上下の寸法と同じかそれよりも短くなっている。リブ25が移動するスリット19が上下に十分に長く形成されているため、反発磁気回路10の内部において、ボイスコイル23の上下の移動距離を十分に長く確保することができる。
次に、反発磁気回路10およびスピーカ1の組み立て工程の一例を説明する。
図6(A)には、ボイスコイル23とその外周に設けられた支持リング24、およびボイスコイル23と支持リング24とを連結するリブ25が示されている。ボイスコイル23は薄いコアに巻きつけられている。支持リング24とリブ25は、合成樹脂シートや紙材などの非磁性で且つ非導電性の材料で形成されている。リブ25は、120の間隔で放射状に延び、ボイスコイル23と支持リング24の双方に接着剤で固定されている。
図6には治具41が示されている。この治具41は、厚紙や合成樹脂シートなどの板材を丸めたものである。図6(B)に示すように、丸めた治具41をボイスコイル23の内側に挿入し、治具41を構成する板材が広がる力を利用してボイスコイル23を保持する。
図7(A)では、上側対向ヨーク15が上下逆向きに示されている。前記治具41を、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の内面と、上側磁石22および中間磁性体20との間に突き当たるまで挿入する。これにより、治具41で保持されているボイスコイル23を、図4に示すように、中間磁性体20の外周のギャップ内に位置決めする。また、それぞれのリブ25は、スリット19内に挿入され、支持リング24が磁界誘導壁16の外側で位置決めされる。
図7(A)に示す状態で、図1と図2に示す振動体36の内周部36bを支持リング24の外周面に接着固定し、且つダンパー部材37の内周部37bを支持リング24の外周面に接着固定する。その後、治具41を抜き取り、下側対向ヨーク11を上側対向ヨーク15に組み込み、下側対向ヨーク11を下部フレーム31に固定する。
なお、前記磁界誘導壁12,16は、3箇所に限られず、2箇所に形成されていてもよいし、4箇所以上に形成されていてもよい。
図8と図9は反発磁気回路の変形例を示している。
図8に示す反発磁気回路110は、上側対向ヨーク15が、前記実施の形態の反発磁気回路10に使用されているものと同じである。ただし、下側対向ヨーク111は、磁界誘導壁112の対向部11bからの高さ寸法H11が、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の高さ寸法H3よりも短い。下側対向ヨーク111と上側対向ヨーク15との対向距離は、上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の長さH3で決められている。
ただし、下側対向ヨーク111の磁界誘導壁112の高さ寸法H11が、下側磁石21の高さ寸法H2よりも大きくなっている。したがって、下側対向ヨーク111と上側対向ヨーク15とを組み合わせるときに、下側磁石21が上側対向ヨーク15の磁界誘導壁16の内側に入る前に、磁界誘導壁112と磁界誘導壁の薄肉部16bとが嵌合する。よって、下側磁石21と磁界誘導壁16とが左右方向に引き合っても、下側対向ヨーク111と上側対向ヨーク15とが、中心線O−Oと直交する向きにずれることなく組み立てることができる。
図9に示す反発磁気回路210は、下側対向ヨーク211に設けられた磁界誘導壁212と、上側対向ヨーク15に設けられた磁界誘導壁216とが、底部11aと天井部15aとの中間で嵌合している。
この場合も、下側対向ヨーク211の磁界誘導壁212の高さH21が、下側磁石21の上端までの高さH2よりも大きく、上側対向ヨーク215の磁界誘導壁216の高さH23が、上側磁石22の高さH4および中間磁性体20の下端までの高さH5以上となっている。したがって、下側対向ヨーク211と上側対向ヨーク215とを組み合わせるときに、下側磁石21や上側磁石22の磁力が作用しても、下側対向ヨーク211と上側対向ヨーク215とが、中心線O−Oと交叉する方向へ規制されながら組み立てられるようになる。
前記実施の形態は、反発磁気回路10,110,210の磁界誘導壁にスリット19が形成され、ボイスコイル23を支持するリブ25が、スリット19内を通過しているため、振動体36を、反発磁気回路10,110,210の外周に配置することで、スピーカ1全体を薄型化しやすい。
ただし、本発明では、ボイスコイル23から上方に延長するボビンの一部が、上側対向ヨーク15の天井部15aを貫通する複数のスリットを通過して上方に延びて、反発磁気回路の上方に振動体が位置するスピーカであってもよい。
1 スピーカ
10 反発磁気回路
11 下側対向ヨーク
11a 底部
11b 対向部
12 磁界誘導壁
15 上側対向ヨーク
16 磁界誘導壁
16a 厚肉部
16b 薄肉部
19 スリット
20 中間磁性体
21 下側磁石
22 上側磁石
23 ボイスコイル
24 支持リング
25 リブ
36 振動体
37 ダンパー部材

Claims (5)

  1. 振動体と、前記振動体に振動力を与えるコイルと、前記コイルに磁界を与える磁気回路とを有するスピーカにおいて、
    前記磁気回路は、振動体の振動方向に対向する磁性材料製の一対の対向ヨークと、それぞれの対向ヨークの対向側に固定された磁石と、2つの前記磁石の間に挟まれた中間磁性体とを有し、それぞれの前記対向ヨークに、これに固定された前記磁石よりも前記振動方向に向けて突出する磁界誘導壁が一体に設けられ、
    両対向ヨークの前記磁界誘導壁どうしが、前記振動方向と交叉する向きに互いに規制し合うように嵌合し、2つの前記磁石の間に前記中間磁性体が挟まれて両対向ヨークが組み合わされており、
    少なくとも一方の対向ヨークの前記磁界誘導壁の内面と、前記中間磁性体の外周部との間に、前記コイルが位置する磁気ギャップが形成されていることを特徴とするスピーカ。
  2. 少なくとも一方の対向ヨークに設けられた前記磁界誘導壁が、相手側の対向ヨークに当たることで、2つの対向ヨークの前記振動方向の対向距離が決められている請求項1記載のスピーカ。
  3. 少なくとも一方の対向ヨークに設けられた前記磁界誘導壁に、前記振動方向に延びるスリットが設けられ、前記コイルを支持する支持体が、前記スリット内を通過して前記磁界誘導壁の外側に延びており、前記支持体と前記振動体とが、直接に連結され、または他の部材を介して連結されている請求項1または2記載のスピーカ。
  4. 前記スリットは、一方の対向ヨークの前記磁界誘導壁と、他方の対向ヨークの前記磁界誘導壁との間に形成されている請求項3記載のスピーカ。
  5. 前記スリットの前記振動方向の寸法は、2つの前記磁石および前記中間磁性体の厚さ寸法の合計と同じかまたはそれよりも長い請求項3または4記載のスピーカ。
JP2010011896A 2010-01-22 2010-01-22 スピーカ Active JP5340187B2 (ja)

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