図1乃至図6は本発明の反応装置の一形態例を示す図で、図1は反応装置のカラム入口側の要部断面図、図2は反応装置のカラム出口側の要部断面図、図3は反応装置の要部断面拡大図、図4は整流板の分解斜視図、図5は反応装置の断面図、図6は反応装置の斜視図である。
本形態例の反応装置は、水素化触媒を充填した金属製のカラム11の入口から水素ガスHと原液L1とを導入し、これらをカラム11内の水素化触媒の作用で水素化反応させ、反応液L2をカラム11の出口から導出するもので、カラム11の入口側には、円盤状のフィルタ12と整流板21とを介して入口側エンドフィッティング31が装着され、カラム11の出口側には、円盤状のフィルタ13を介して出口側エンドフィッティング41が装着されている。さらに、入口側エンドフィッティング31には入口側ダブルフェラル部材51を介して入口側ヘッド61が着脱可能に連結され、出口側エンドフィッティング41には出口側ダブルフェラル部材71を介して出口側ヘッド81が着脱可能に連結される。
整流板21は、金属製の同径の円板部材を拡散接合又は固相拡散接合によって重合して形成されるもので、水素ガスH及び原液L1の流れ方向上流側から、第1円板部材22,第2円板部材23,第3円板部材24,第4円板部材25,第5円板部材26を順に重合して形成され、カラム中心部の流体をカラム外周側へ、カラム外周側の流体をカラム中心部へそれぞれガイドするガイド流路となっている。
第1円板部材22は、中心部に水素ガスHが通過する1つの水素ガス用第1貫通孔22aが設けられ、外周側には原液L1が通過する6つの原液用第1貫通孔22bが周方向に等間隔で設けられている。
第2円板部材23は、外周側に、第1円板部材22の原液用第1貫通孔22bに連通する6つの原液用第2貫通孔23aと、この原液用第2貫通孔23aとは別に水素ガスHが通過する6つの水素ガス用第2貫通孔23bとがそれぞれ周方向に等間隔で交互に設けられるとともに、6つの水素ガス用第2貫通孔23bと前記第1円板部材22の1つの水素ガス用第1貫通孔22aとをそれぞれ連通させる半径方向の6本の水素ガス用連通溝23cが周方向に等間隔で設けられている。
第3円板部材24は、外周側に第2円板部材23の各水素ガス用第2貫通孔23bに連通する6つの水素ガス用第3貫通孔24aと、第2円板部材23の各原液用第2貫通孔23aに連通する6つの原液用第3貫通孔24bとが周方向に等間隔で設けられている。
第4円板部材25は、外周側に第3円板部材24の水素ガス用第3貫通孔24aに連通する6つの水素ガス用第4貫通孔25aが周方向に等間隔で設けられ、中心部には原液L1が通過する1つの原液用第4貫通孔25bを設けるとともに、該原液用第4貫通孔25bと前記第3円板部材の各原液用第3貫通孔24bとを連通させる半径方向の6本の原液用連通溝25cが設けられている。
第5円板部材26は、外周側に第4円板部材25の各水素ガス用第4貫通孔25aに連通する6つの水素ガス用第5貫通孔26aが周方向に等間隔で設けられ、中心部に第4円板部材25の原液用第4貫通孔25bに連通する1つの原液用第5貫通孔26bが設けられている。
このような5枚の円板部材22,23,24,25,26で構成された整流板21では、第1円板部材中心部の1つの水素ガス用第1貫通孔22aに流入した水素ガスHを、第5円板部材外周側の6つの水素ガス用第5貫通孔26aに至るガイド流路でガイドして水素ガス用第5貫通孔26aから流出させ、第1円板部材外周側の6つの原液用第1貫通孔22bに流入した前記原液L1を、第5円板部材中心部の1つの原液用第5貫通孔26bに至るガイド流路でガイドして原液用第5貫通孔26bから流出させるようにしている。
入口側エンドフィッティング31は、カラム11側から入口側ヘッド61側に向かって順に、雄ねじ部32,六角部43,入口側の連結用円筒部34を有し、雄ねじ部42の内部に、カラム11の入口側が挿入される有底の入口側のカラム連結口31aが形成されている。該カラム連結口31aの底部外周側には、原液用周溝である周溝31bが形成され、開口端内周面には、開口側に向けて漸次拡径する凹状の円錐面31cが形成されている。連結用円筒部34は、外周にOリング34a(第3シール部材)が着脱可能に装着され、連結用円筒部34の内部には、連結用円筒部34の先端部に開口する第1の小径孔部35と、カラム連結口31aに向けて漸次縮径する第1の円錐孔部36とがカラム11の中心軸上に連続して形成されている。また、入口側エンドフィッティング31の内部には、連結用円筒部34の外周側先端面と周溝31bとに連通する液導入路37が中心軸と平行に、円錐孔部36の底面とカラム連結口31aの底部中心部とに連通する水素ガス導入路38が中心軸上に形成されている。
一方、出口側エンドフィッティング41も同様に、カラム11側から出口側ヘッド81に向かって順に、雄ねじ部42,六角部43,出口側の連結用円筒部44を有し、雄ねじ部42の内部には、カラム11の出口側が挿入される有底の出口側のカラム連結口41aが設けられている。連結用円筒部44の内部には、連結用円筒部44の先端部に開口する第2の小径孔部45と、カラム連結口41aに向けて漸次縮径する第2の円錐孔部46とがカラム11の中心軸上に連続して形成されている。出口側エンドフィッティング41の内部には、中心軸上に、カラム連結口41aの底面中心部と円錐孔部46の底部とに連通する反応液導出路47が形成されている。また、出口側エンドフィッティング41におけるカラム連結口41aの底面41bは、反応液導出路47の開口を中心としてフィルタ13側が拡開し、反応液導出路47に向かって収斂する円錐面状に形成されている。さらに、前記カラム連結口41aの開口端内周面には、開口側に向けて漸次拡径する凹状の円錐面41cが形成されている。
入口側ダブルフェラル部材51と出口側ダブルフェラル部材71とは金属で形成され、円筒部52,72と、該円筒部52,72の一端部に突設されるエンドフィッティング側フェラル部53,73と、円筒部52,72の他端部に突設されるヘッド側フェラル部54,74と、エンドフィッティング側フェラル部53,73の先端面中央部とヘッド側フェラル部54,74の先端面中央部とを貫通する貫通孔55,75とを備えている。
入口側ダブルフェラル部材51は、円筒部52の外周にシール材となるOリング52a(第1シール部材)が着脱可能に装着され、該Oリング52aを介して円筒部52が入口側エンドフィッティング31の小径孔部35に着脱可能に嵌着され、エンドフィッティング側フェラル部53が円錐孔部36にメタルシールされると共に、水素ガス導入路38と貫通孔55とが連通する。
出口側ダブルフェラル部材71は、円筒部72の外周にOリング72a(第2シール部材)が着脱可能に装着され、該Oリング72aを介して円筒部72が出口側エンドフィッティング41の小径孔部45に着脱可能に嵌着され、エンドフィッティング側フェラル部73が円錐孔部46にメタルシールされると共に、反応液導出路47と貫通孔75とが連通する。
フィルタ12,13は、粒状乃至粉状の水素化触媒をカラム内に保持するためのものであって、例えば、金属粉末を均一に焼結した焼結フィルタが用いられ、カラム11の外径及びカラム連結口31a,41aの内径に対応した外径を有する円盤状に形成されている。出口側のフィルタ13は、カラム11の出口側開口端面とカラム連結口41aの底面との間に配置され、入口側のフィルタ12は、カラム連結口31aの底面側に整流板21を重ねた状態で、カラム11の入口側開口端面とカラム連結口31aの底面との間に整流板21と共に配置される。
入口側エンドフィッティング31及び出口側エンドフィッティング41は、前記雄ねじ部32,42に螺合するナット部91aと、前記円錐面31c,41c内に食い込むフロントフェルール91b及びバックフェルール91cを有するダブルフェルールタイプの継手部材91によってカラム11の両端にそれぞれ固着されている。この継手部材91では、前記ナット部91aの内周に、前記雄ねじ部32,42に螺合する雌ねじ部91dが設けられるとともに、フロントフェルール91bの外周面には円錐面31c,41c側が縮径した先端円錐面91eが、内周面基部側には円錐面31c,41c側が縮径した凹状の基端円錐面91fがそれぞれ形成され、さらに、バックフェルール91cのフロントフェルール91b側には基端円錐面91fの内側に向けて突出する環状突部91gが、バックフェルール91cの基端面にはナット部91aの基部内面に対応した緩やかな円錐面91hがそれぞれ形成されている。
前記フロントフェルール91bの先端部を前記円錐面31c,41cの内周に配置し、前記バックフェルール91cをフロントフェルール91bの基部側に配置した状態で、ナット部91aの雌ねじ部91dを雄ねじ部32,42に螺合させて締め付けていくと、ナット部91aに押されて、バックフェルール91cの環状突部91gがカラム11の外周面とバックフェルール91cの基端円錐面91fとの間に食い込むと共に、バックフェルール91cに押されたフロントフェルール91bの先端がカラム11の外周面と円錐面31c,41cの内周面との間に食い込む状態となり、カラム11の入口側は、フィルタ12及び整流板21を挟着した状態で入口側エンドフィッティング31に、カラム11の出口側は、フィルタ13を挟着した状態で出口側エンドフィッティング41に、メタルタッチで密着した状態でそれぞれ連結固着され、所定のシール力とグリップ力とが得られる。
両端に入口側エンドフィッティング31及び出口側エンドフィッティング41をそれぞれ装着したカラム11は、入口側エンドフィッティング31が入口側ダブルフェラル部材51と入口側ヘッド61とを介して、また、出口側エンドフィッティング41が出口側ダブルフェラル部材71と出口側ヘッド81とを介してカラム保持装置101にそれぞれ着脱可能に保持される。カラム保持装置101に保持された状態で、入口側ヘッド61と入口側ダブルフェラル部材51と入口側エンドフィッティング31とには、外部から導入される水素ガスH及び原液L1をカラム11の入口側にそれぞれ導くための水素ガス導入経路と液導入経路とが形成され、出口側エンドフィッティング41と出口側ダブルフェラル部材71と出口側ヘッド81とには、反応液L2をカラム11の出口側から外部に導くための反応液導出経路が形成される。
入口側ヘッド61は、入口側エンドフィッティング31を着脱可能に連結するための入口側の連結凹部62を内部に有する入口側の嵌着部63と、水素ガスポート64及び複数の液導入ポート65を外周に有する大径ヘッド部66と、カラム保持装置101に固着される支持用突部66aとを有している。連結凹部62には、カラム11側から順に、Oリング34aを介して連結用円筒部34を液密に保持する中径孔部62aと、入口側ダブルフェラル部材51の円筒部52が挿入される第3の小径孔部62bと、入口側ダブルフェラル部材51のヘッド側フェラル部54が気密、液密に嵌合する第3の円錐孔部62cとが連続して形成されている。さらに、ヘッド側フェラル部54が円錐孔部62cに嵌合した状態で、中径孔部62a及び小径孔部62bの内周と円筒部52の外周との間には、液室R1となる空間が画成されている。
前記水素ガスポート64は、水素ガス供給路67を介して円錐孔部62cの頂点部分に連通しており、複数の液導入ポート65は、各液導入ポート65に対応した複数の液供給路68を介して前記液室R1にそれぞれ連通している。水素ガスポート64にはコネクタ69を介して水素ガス用配管69aが接続されるとともに、液導入ポート65にはコネクタ70を介して液導入用配管70aが接続される。水素ガスポート64とコネクタ69との間、液導入ポート65とコネクタ70との間は、フェラル69b,70bによってメタルシールされている。
この入口側ヘッド61と入口側エンドフィッティング31とを接合することにより、カラム11の入口側には、水素ガス用配管69aから水素ガスポート64,水素ガス供給路67,円錐孔部62c,貫通孔55,円錐孔部36,水素ガス導入路38,整流板21を経てフィルタ12に至る前記水素ガス導入経路が形成されるとともに、複数の液導入用配管70aから複数の液導入ポート65,複数の液供給路68,1つの液室R1,液導入路37,周溝31b,整流板21を経てフィルタ12に至る前記液導入経路が形成される。
水素ガス導入路38から整流板21に導入された水素ガスHは、図2の矢印A1に示すように、第1円板部材22の中心部に形成された1つの水素ガス用第1貫通孔22aから第2円板部材23の水素ガス用連通溝23cを介して第2円板部材23の外周側に形成されて6つの水素ガス用第2貫通孔23bに導入される。さらに、水素ガスHは、第3円板部材24の6つの水素ガス用第3貫通孔24aと、第4円板部材25の6つの水素ガス用第4貫通孔25aとを介して、第5円板部材26の外周側に設けた6つの水素ガス用第5貫通孔26aから触媒中に流下される。
液導入路37から周溝31bを介して整流板21に導入された原液L1は、図2の矢印A2に示すように、第1円板部材22の外周側に形成された6つの原液用第1貫通孔22bから、第2円板部材23の6つの原液用第2貫通孔23aと第3円板部材24の6つの原液用第3貫通孔24bとに導入される。さらに、原液L1は、第4円板部材25の原液用連通溝25cを介して、第4円板部材の中心部に形成された1つの原液用第4貫通孔25bに導入され、第5円板部材26の中心部に設けた1つの原液用第5貫通孔26bから触媒中に流下される。
一方、出口側ヘッド81は、出口側エンドフィッティング41を着脱可能に連結するための出口側の連結凹部82を内部に有する出口側の嵌着部83と、反応液導出ポート84を外周に有する大径ヘッド部85と、カラム保持装置101に装着される大径接続部81aと小径接続部81bとを有している。連結凹部82には、カラム11側から順に、出口側エンドフィッティング41の連結用円筒部44から突出した出口側ダブルフェラル部材71の円筒部72が挿入される第4の小径孔部82aと、ヘッド側フェラル部74が気密、液密に嵌合する第4の円錐孔部82bとが連続して形成されている。反応液導出ポート84は、反応液導出路86を介して前記円錐孔部82bの頂点部分に連通しており、反応液導出ポート84には、フェラル87aを備えたコネクタ87を介して反応液用配管87bがメタルシールされた状態で接続される。この出口側ヘッド81と出口側エンドフィッティング41とを接合することにより、ヘッド側フェラル部74と円錐孔部82bとの間がメタルシールされるとともに、カラム出口側のフィルタ13から反応液導出路47、円錐孔部46、貫通孔75、円錐孔部82b、反応液導出路86を経て反応液用配管87bに至る反応液導出経路が形成される。
カラム保持装置101は、上部ブロック101aと、該上部ブロック101aに2本の支柱102,102を介して連結された下部ブロック101bと、前記支柱102,102に沿って上部ブロック101aと下部ブロック101bとの間を上下動可能に設けられたスライドブロック101cと、上部ブロック101aの中央部に設けられた雌ねじ孔101dに螺合するとともに、下端部が前記スライドブロック101cに回転可能に取り付けられたねじ棒103とを有するもので、ねじ棒103の上端には、該ねじ棒103を回転させるためのハンドル104が設けられ、このハンドル104を回転させることにより、ねじ棒103を介してスライドブロック101cを昇降させるように形成されている。
スライドブロック101cの下面中央部には、前記入口側ヘッド61に設けられた支持用突部66aが嵌着する嵌着穴101eが形成されている。また、下部ブロック101bの中央部には、下部側の小径接続孔101fと上部側の大径接続孔101gとが上下に連続して形成されており、小径接続孔101fには出口側ヘッド81に設けられた前記小径接続部81bが、大径接続孔101gには前記大径接続部81aが、それぞれ軸方向に移動可能な状態で挿入され、小径接続孔101fと大径接続孔101gとの間の段部には、出口側ヘッド81を上方に付勢するリング状の皿ばね105が配置されている。
この反応装置を使用して原液の水素化反応を行うためには、まず、カラム11の組み立てを行う。カラム11の組み立ては、最初に、カラム11の一端、例えば出口側となる端部にフィルタ13を介して出口側エンドフィッティング41を固着する。すなわち、出口側エンドフィッティング41のカラム連結口41a内にフィルタ13を挿入した後、カラム11の一端をカラム連結口41a内に挿入し、カラム11の他端から継手部材91のフロントフェルール91b、バックフェルール91c、ナット部91aの順に挿通し、カラム11を出口側エンドフィッティング41方向に押し付けながらナット部91aの雌ねじ部91dを雄ねじ部42に螺合させてナット部91aを締め付けることにより、カラム11の一端が、カラム連結口31a内にフィルタ13を挟んでメタルシールされた状態で固着される。
次に、カラム11の他端である入口側を上に向けた状態で、カラム11内に水素化触媒を充填するとともに、入口側エンドフィッティング31を固着するための継手部材91をナット部91a、バックフェルール91c、フロントフェルール91bの順でカラム11に挿通させた後、カラム11の入口側端部にフィルタ12を載置し、フィルタ12の上部に、第1円板部材22を上方に向けて整流板21を載置する。続いて、Oリング34aを装着した入口側エンドフィッティング31をカラム11の入口側に被せ、ナット部91aの雌ねじ部91dと雄ねじ部32とを螺合させてナット部91aを締め付けることにより、入口側エンドフィッティング31がカラム11の入口側に、カラム連結口31a内にフィルタ12及び整流板21を挟んでメタルシールされた状態で固着される。
また、入口側ダブルフェラル部材51の円筒部52にOリング52aを嵌着し、連結用円筒部34の小径孔部35内に円筒部52を挿入するとともに、エンドフィッティング側フェラル部53を円錐孔部36に挿入し、入口側エンドフィッティング31と入口側ダブルフェラル部材51とを着脱可能に連結する。同様に、出口側ダブルフェラル部材71の円筒部72にOリング72aを嵌着し、連結用円筒部44の小径孔部45内に円筒部72を挿入するとともにエンドフィッティング側フェラル部73を円錐孔部46に挿入し、出口側エンドフィッティング41と出口側ダブルフェラル部材71とを着脱可能に連結する。
一方、カラム保持装置101には、スライドブロック101cの嵌着穴101eに入口側ヘッド61の支持用突部66aを嵌着させて固定するとともに、下部ブロック101bの大径接続孔101g内に皿ばね105を配置した後、小径接続孔101f内に出口側ヘッド81の小径接続部81bを、大径接続孔101g内に大径ヘッド部85を、それぞれ挿入して下部ブロック101bに出口側ヘッド81を配置した状態とする。
また、入口側ヘッド61の水素ガスポート64にコネクタ69を介して水素ガス用配管69aを、複数の液導入ポート65にコネクタ70を介して所定の液導入用配管70aをそれぞれ接続するとともに、出口側ヘッド81の反応液導出ポート84にコネクタ87を介して反応液用配管87bを接続する。なお、使用しない液導入ポート65は栓で密封する。
入口側エンドフィッティング31及び出口側エンドフィッティング41を両端にそれぞれ固着したカラム11をカラム保持装置101に装着する際には、スライドブロック101cを上昇させた状態で、出口側エンドフィッティング41の連結円筒部44から突出した出口側ダブルフェラル部材71の円筒部72を出口側ヘッド81の小径孔部82aに、ヘッド側フェラル部74を円錐孔部82bにそれぞれ挿入するとともに、カラム11を直立させて入口側エンドフィッティング31を入口側ヘッド61の下方に位置させた状態で、ハンドル104でねじ棒103を回転させてスライドブロック101cを下降させ、入口側エンドフィッティング31の連結用円筒部34と該連結用円筒部34から突出した入口側ダブルフェラル部材51の円筒部52とヘッド側フェラル部54とを、入口側ヘッド61の連結凹部62内に進入させ、連結用円筒部34を中径孔部62aに、円筒部52を小径孔部52bに、ヘッド側フェラル部54を円錐孔部62cにそれぞれ挿入する。
この状態でハンドル104を適当数回転させることにより、カラム11が入口側ヘッド61と出口側ヘッド81との間に挟着された状態となる。この挟着状態で、出口側ダブルフェラル部材71は、エンドフィッティング側フェラル部73が出口側エンドフィッティング41の円錐孔部46に、ヘッド側フェラル部74が出口側ヘッド81の円錐孔部82bに、それぞれ押し付けられて出口部がメタルシールされた状態になる。同様に、入口側ダブルフェラル部材51は、エンドフィッティング側フェラル部53が入口側エンドフィッティング31の円錐孔部36に、ヘッド側フェラル部54が入口側ヘッド61の円錐孔部62cにそれぞれ押し付けられて水素ガスの入口部がメタルシールされた状態になる。さらに、液入口部である前記液室R1がOリング34a,52aによってシールされた状態になる。
この状態では、入口側エンドフィッティング31と入口側ヘッド61との間は、入口側ダブルフェラル部材51のエンドフィッティング側フェラル部53とヘッド側フェラル部54の外周面が各円錐孔部36,62cの内周面にそれぞれ圧接しているのみであり、出口側エンドフィッティング41と出口側ヘッド81との間は、出口側ダブルフェラル部材71のエンドフィッティング側フェラル部73とヘッド側フェラル部74の外周面が各円錐孔部46,82bの内周面に圧接しているのみであり、スライドブロック101cと下部ブロック101bに設けた皿ばね105との間の挟着力は、そのすべてが各フェラル部のシール力として作用する。
また、カラム11の外周には、カラム11内を所定の反応温度に加熱するための加熱器を装着する。加熱器としては任意の構造の加熱器を使用可能であるが、例えば、二つ割りのアルミブロック恒温槽を用いることにより、カラム11内を水素化反応に適した100℃以上の温度に保つことができる。
このようにして形成した反応装置を用いて原液の水素化反応を行う際には、まず、加熱器によってカラム11を所定の温度に昇温し、水素ガスポート64から水素ガスHを、1つ又は複数の液導入ポート65から1種又は複数種の原液L1を、それぞれ所定圧力及び所定流量で水素ガス供給路67と液供給路68とを介してカラム11の入口側に供給し、整流板21及びフィルタ12を介してカラム11内に導入し、触媒層を通過させて出口側のフィルタ13を介して反応液導出路86から反応液導出ポート84に導出することにより、カラム11内のコンディショニングを行う。コンディショニングによって反応液導出ポート84から安定した状態で反応液L2が得られるようになった後、反応液導出ポート84から導出する目的の反応液L2を捕集する。
このとき、水素ガスHは、水素ガス導入路38から整流板21の第1円板部材22の中心部に設けられた水素ガス用第1貫通孔22aに導入され、第2円板部材の水素ガス用連通溝23c,水素ガス用第2貫通孔23b、第3円板部材24の水素ガス用第3貫通孔24a、第4円板部材25の水素ガス用第4貫通孔25aを介して、第5円板部材26の外周側に設けられた6つの水素ガス用第5貫通孔26aから触媒層外周側で軸線方向に導入される。また、原液L1は、液導入路37から周溝31bを介して整流板21の第1円板部材22の外周側に設けられた6つの原液用第1貫通孔22bに導入され、第2円板部材23の原液用第2貫通孔23a、第3円板部材24の原液用第3貫通孔24b、第4円板部材25の原液用連通溝25c,原液用第4貫通孔を介して、第5円板部材26の中心部に設けられた1つの原液用第5貫通孔26bから触媒層中心部の軸線方向に導入される。
このように、カラム11内の中心部に原液L1を導入し、その外周を囲むように水素ガスHを導入することにより、カラム11内の触媒層中で両者を効果的に混合することができ、水素化反応を効率よく行うことができ、反応液L2の収率を向上させることができる。また、複数の原液を使用する場合も、各液導入ポート65から液室R1に導入されて混合し、さらに、液導入路37を流れながら混合してカラム11に導入されることから、複数の原液を混合させた状態で効率よく水素化反応を行うことができる。
このようにして水素化反応を行う際に、カラム入口側の流体導入経路において、外部に漏れると危険な水素ガスHの導入経路を中心部に配置し、その外周側に原液L1の導入経路を配置することができるとともに、水素ガスHを中心部から、原液L1を外周側からカラム11に導入しても、整流板21により、水素ガスHを外周側に、原液L1を中心部にガイドすることができ、水素化反応における収率向上を図ることができる。
また、整流板21の外周側に位置する各貫通孔22a,22b,23a,23b,24a,24b,25a,26a,26bや各流体用連通溝23c,25cを周方向に等間隔で設けることにより、最終的に水素ガス用第5貫通孔26aからカラム外周側に流出する水素ガスHをカラム外周側に均等に流出させることができる。
さらに、第1円板部材22の流れ方向上流側となるカラム連結孔31aの底部に周溝31bを設けることにより、カラム入口側の液導入路37が外周側に1つであっても、周溝31bを介して原液L1を複数の原液用第1貫通孔22bにガイドできるので、整流板21の方向性を解消することができる。
また、整流板21は、前記各貫通孔や各流体用連通溝を設けた各円板部材22,23,24,25,26を重ねて拡散接合又は固相拡散接合によって容易に一体化することができ、整流板内での流体の混合や整流板外周への流体の漏れ出しを確実に防止することができる。
また、入口側エンドフィッティング31の円錐孔部36及び入口側ヘッド61の円錐孔部62cと、入口側ダブルフェラル部材51のエンドフィッティング側フェラル部53及びヘッド側フェラル部54とをメタルタッチでそれぞれシールすることにより、樹脂製のシール材を使用した場合に比べて水素ガスHが漏れ出すことを確実に防止できる。さらに、入口側エンドフィッティング31の連結用円筒部34と入口側ヘッド61の中径孔部62aとをOリング34aによってシールしているので、原液L1が外部に漏れ出ることを防止できる。また、万一、ヘッド側フェラル部54と円錐孔部62cのメタルシール部分から水素ガスHが漏れ出すことがあっても、Oリング24aによりシールされた液室R1から液導入路29を通ってカラム11内に流れていくので、水素ガスHが外部に漏れることを防止できるとともに、エンドフィッティング側フェラル部53と円錐孔部36のメタルシール部分から水素ガスHが漏れ出すことがあっても、入口側ダブルフェラル部材51の円筒部52は、Oリング52aを介して入口側エンドフィッティング31の小径孔部35に嵌着されていることから、水素ガスHが外部に漏れることを防止できる。
さらに、水素化反応中に高温となっているカラム11からの熱伝導で入口側エンドフィッティング31が昇温しても、入口側エンドフィッティング31と入口側ダブルフェラル部材51と入口側ヘッド61とを同一金属、例えばステンレス鋼で形成しておくことにより、シール性が損なわれる虞はない。
しかも、カラム11の両端に入口側エンドフィッティング31と出口側エンドフィッティング41とをあらかじめ固着し、入口側エンドフィッティング31に入口側ダブルフェラル部材51を、出口側エンドフィッティング41に出口側ダブルフェラル部材71をそれぞれ装着しておくとともに、水素ガス用配管69a及び液導入用配管70aを接続した入口側ヘッド61と反応液用配管87bを接続した出口側ヘッド51とをカラム保持装置101に設けておくことにより、入口側ヘッド61を設けたスライドブロック101cを昇降させるだけでカラム11の着脱を行うことができるので、スパナなどの工具を用いることなくカラム11の着脱を行うことができる。
カラム保持装置101に保持されたカラム11は、ねじ棒103によって昇降するスライドブロック101cと皿ばね105を備えた下部ブロック101bとの間に挟着されるので、ねじ棒103による締付力と皿ばね105のバネ特性とを適宜設定することにより、カラム11が加熱されて膨張したときでもカラム11を確実に支持することができるとともに十分なシール性を確保することができる。
また、入口側ヘッド61には複数の液導入ポート65を設けることができるので、水素化反応を行う原液だけでなく、洗浄液を導入するための液導入ポートを入口側ヘッド61に設けて洗浄液用配管をあらかじめ接続しておくことができる。これにより、水素化反応を中断する場合には、水素ガスH及び原液L1の供給を停止して液導入ポートの1つから洗浄液を導入することにより、カラム11内を洗浄することができる。したがって、カラム11内を洗浄する際にカラム11をカラム保持装置101から取り外す必要がなくなるので、カラム11の洗浄作業を容易に行うことができ、作業時間を大幅に短縮することができる。加えて、水素ガス用配管69a、液導入用配管70a及び反応液用配管87bについては、カラム11の洗浄や交換に際して脱着する必要はなく、必要に応じて洗浄した後に各ヘッド61,81にそれぞれ接続したままの状態で待機させておくことができる。
さらに、入口側ダブルフェラル部材51及び出口側ダブルフェラル部材71は、入口側エンドフィッティング31の小径孔部35及び出口側エンドフィッティング41の小径孔部45に、抜け止めとなるOリング52a,72aを介してそれぞれ着脱可能に嵌着されているので、カラム保持装置101から取り外したときに、入口側ダブルフェラル部材51や出口側ダブルフェラル部材71の各フェラル部が変形していても、入口側ダブルフェラル部材51や出口側ダブルフェラル部材71のみを新品に交換すればよく、入口側エンドフィッティング31や出口側エンドフィッティング41は、新品に交換することなくそのまま再利用することができるので、部品コストの削減を図れる。
また、整流板21は、通孔や放射状の溝を所定位置に設けた5枚の円板部材を組み合わせて形成されることから簡単に形成することができ、さらに、各円板部材は、接着剤を使用せずに、拡散接合又は固相拡散接合によって接合されることから、溶媒によって接着剤が浸食される虞がない。また、接合の際に局部的に加熱されることがないので歪みが発生することがないことから、安価で高品質の整流板21を形成することができる。さらに、入口側エンドフィッティング31に形成される液導入路37はカラムの中心軸と平行に、また、水素ガス導入路38はカラム11の中心軸に沿って形成されることから、これら導入路の加工を簡単に行うことができる。
図7は、本発明の他の形態例を示す反応装置の斜視図で、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
このカラム保持装置は、上部ブロック101aに倒伏可能に枢着されたハンドル106の倒伏により、スライドブロック101cを支柱102,102に沿って昇降させるもので、上部ブロック101aの両端部に、ハンドル106の連結腕106a,106aが枢支され、各連結腕106a,106aの上方にピン107によってトグルリンク108の一端部が回動可能にそれぞれ連結されている。さらに、トグルリンク108の他端部は、ピン109によってスライドブロック101cの両端部に回動可能に連結され、ハンドル104を倒伏させると、トグルリンク108,108を介してスライドブロック101cが支柱102,102に沿って昇降し、ピン107がデッドポイントを通過することでカラム11を保持することができる。また、スライドブロック101cの中央部には、入口側ヘッド61の位置調整を行うための調整ねじ部材101hが設けられており、カラム11の製作誤差等による寸法違いに対応できるようにしている。このように、トグルリンク108,108を利用したスライドブロック101cの昇降機構は、部品点数が増えるものの操作が単純で、カラム11の着脱を容易に行うことができる。
なお、本発明の反応装置は、上述の水素化反応以外の反応にも用いることができ、気液反応だけでなく、気体同士、液体同士の反応にも利用可能である。また、整流板の構造やガイド流路の形状も上述の形態例に示したものに限定されるものではなく、例えば、外周側に設ける貫通孔及び半径方向の連通溝を1個のみとし、整流板の上流側に流体ガイド用の部材を別途設けたり、下流側に流体分散用の部材を別途設けたりすることもできる。さらに、前記形態例では、第1円板部材の外周側に設けた複数の原液用第1貫通孔を連通させるための周溝を入口側エンドフィッティングに設けた例を示したが、第1円板部材の表面に周溝を設けることも可能である。
また、本形態例では、整流板をカラムの入口側開口端面に配置しているが、カラムの中間位置に整流板を配置して整流作用や分散作用を得ることもできる。
11…カラム、12,13…フィルタ、21…整流板、22…第1円板部材、22a…水素ガス用第1貫通孔、22b…原液用第1貫通孔、23…第2円板部材、23a…原液用第2貫通孔、23b…水素ガス用第2貫通孔、23c…水素ガス用連通溝、24…第3円板部材、24a…水素ガス用第3貫通孔、24b…原液用第3貫通孔、25…第4円板部材、25a…水素ガス用第4貫通孔、25b…原液用第4貫通孔、25c…原液用連通溝、26…第5円板部材、26a…水素ガス用第5貫通孔、26b…原液用第5貫通孔、31…入口側エンドフィッティング、31a…カラム連結口、31b…周溝、31c…円錐面、32…雄ねじ部、33…六角部、34…連結用円筒部、34a…Oリング、35…小径孔部、36…円錐孔部、37…液導入路、38…水素ガス導入路、41…出口側エンドフィッティング、41a…カラム連結口、41b…底面、41c…円錐面、42…雄ねじ部、43…六角部、44…連結用円筒部、45…小径孔部、46…円錐孔部、47…反応液導出路、51…入口側ダブルフェラル部材、52…円筒部、52a…Oリング、53…エンドフィッティング側フェラル部、54…ヘッド側フェラル部、55…貫通孔、61…入口側ヘッド、62…連結凹部、62a…中径孔部、62b…小径孔部、62c…円錐孔部、63…嵌着部、64…水素ガスポート、65…導入ポート、66…大径ヘッド部、66a…支持用突部、66b67…水素ガス供給路、68…液供給路、69,70…コネクタ、69a…水素ガス用配管、70a…液導入用配管、71…出口側ダブルフェラル部材、72…円筒部、72a…Oリング、73…エンドフィッティング側フェラル部、74…ヘッド側フェラル部、75…貫通孔、81…出口側ヘッド、81a…大径接続部、81b…小径接続部、82…連結凹部、82a…小径孔部、82b…円錐孔部、83…嵌着部、84…反応液導出ポート、85…大径ヘッド部、86…反応液導出路、87…コネクタ、87a…フェラル部、87b…反応液用配管、91…継手部材、91a…ナット部、91b…フロントフェルール、91c…バックフェルール、91d…雌ねじ部、91e…先端円錐面、91f…基端円錐面、91g…環状突部、91g…円錐面、91h…円錐面、101…カラム保持装置、101a…上部ブロック、101b…下部ブロック、101c…スライドブロック、101d…雌ねじ孔、101e…嵌着穴、101f…小径接続孔、101g…大径接続孔、102…支柱、103…ねじ棒、104…ハンドル、105…皿ばね、106…ハンドル、106a…連結腕、107…ピン、108…トグルリンク、109…ピン