JP5339142B2 - ラック軸支持装置 - Google Patents
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Description
ラック軸支持装置は、ラック軸をこのラック軸の軸方向に摺動可能に支持するサポートヨークを有している。このサポートヨークは、筒状のハウジングの保持孔に収容されており、保持孔の深さ方向に進退可能である。サポートヨークは、付勢部材によってラック軸側に付勢されることにより、ラック軸をピニオンに押圧している。また、サポートヨークは、ピニオン側へ延びる一対の端部を有している。一対の端部は、ラック軸を挟んだ両側に配置されている。
ラック軸に、ピニオンの軸方向と平行な方向(以下、本項において、平行方向という)の力が作用すると、ラック軸は、上記平行方向に移動しようとする。すなわち、左操舵のときや右操舵のときに、ラック軸が、上記平行方向に移動しようとする。
特許文献2のサポートヨークは、ラック軸の中心を挟んで相対向する一対の支持面を含んでいる。この一対の支持面は、ラック軸の中心を挟むようにして、ラック軸を上記平行方向に挟んでいる。これにより、ラック軸が上記平行方向に移動することをサポートヨークで抑制できる。その結果、右操舵の場合と左操舵の場合とで、操舵トルクに差が生じないようにすることができる。
また、サポートヨークとハウジングの収容孔の周面との間に隙間があると、サポートヨークがこの周面に衝突して異音が生じてしまう。
また、上記一対の端部は、上記ラック軸の外周面と対向する対向面を含み、上記深さ方向に沿ってみたとき、上記対向面は、上記ラック軸の軸方向に関する中央部から端部に向かうに従い上記ラック軸から離れるように湾曲しているので、下記の利点がある。すなわち、摺接面とラック軸の外周面との接触面積を少なくできる。したがって、ラック軸の摺動抵抗をより少なくできる。
また、本発明において、上記一対の端部は、上記ラック軸の外周面(18b)と対向する対向面(40;40D)を含み、上記対向面の少なくとも一部は、上記ラック軸の上記外周面の形状に沿う形状とされている場合がある(請求項2)。この場合、ラック軸保持部材は、ラック軸を深さ方向の両側から常に保持しておくことができる。これにより、ラック軸がラック軸保持部に対して保持孔の深さ方向に相対変位することをより確実に抑制できる。
この場合、ラック軸の周方向に関してラック軸と摺接面との接触領域を十分に確保することができる。これにより、ラック軸を確実に把持することができる。また、摺接面を放射状に形成することにより、摺接面を単なる湾曲面としたときよりも、摺接面とラック軸の外周面との接触面積を少なくできる。したがって、ラック軸の摺動抵抗をより少なくできる。
図1は、本発明の一参考形態にかかるラック軸支持装置を備える車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結されているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部に設けられたピニオン7aとを有している。また、車両用操舵装置1は、ピニオン7aに噛み合うラック8aを有して車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8を有している。ピニオン軸7およびラック軸8により、舵取り機構としてのラックアンドピニオン機構Aが構成されている。
図2は、図1の要部の断面図であり、主にラックアンドピニオン機構Aおよびラック軸支持装置15を示す。図1および図2を参照して、ピニオン軸7は、玉軸受からなる第1の軸受13と、円筒ころ軸受からなる第2の軸受14とを介して、円筒状のピニオンハウジング10に回転可能に支持されている。第1の軸受13と第2の軸受14との間にピニオン7aが配置されている。これにより、ピニオン7aは両持ち支持されている。ピニオン軸7のピニオン7aとラック軸8のラック8aとは、ピニオンハウジング10内で相互に噛み合わされている。ピニオン7aとラック8aは、それぞれ、はすばとされている。
円弧状部8dは、円筒面の一部を含んでいる。円弧状部8dの中心軸線が、ラック軸8の中心軸線C1とされている。
車両用操舵装置1は、ラック軸8をピニオン軸7に向けて付勢状態で支持するラック軸支持装置15を有している。ラック軸8は、ラック軸支持装置15の後述するサポートヨーク18と、ラックハウジング9内に設けられた図示しない軸受とによって、ラック軸8の軸方向X1(図2において、紙面に直交する方向に相当する。)に移動可能に支持されている。
図2を参照して、ヨークハウジング16は、ラック軸8を挟んでピニオン軸7とは反対側に配置されており、円筒状をなしている。ヨークハウジング16の保持孔17の中心軸線C2は、ラック軸8の中心軸線C1と直交しており、且つピニオン軸7の中心軸線C5と直交している。ラック軸8の中心軸線C1とピニオン軸7の中心軸線C5とは、保持孔17の中心軸線C2回りの位相が互いに90度ずらされている。保持孔17の中心軸線C2に沿う方向が、保持孔17の深さ方向X2である。
封止部材31は、柱状をなしている。封止部材31の外周に、雄ねじ31aが形成されている。封止部材31の雄ねじ31aが、保持孔17の雌ねじ17cにねじ込まれて固定されている。
封止部材31には、多角形形状の孔からなる工具係合孔33が設けられている。工具係合孔33に、図示しない工具を係合させて、封止部材31を回動させることができるようになっている。
サポートヨーク18は、ラック軸8をラック軸8の軸方向X1に移動可能に支持するものである。サポートヨーク18は、例えば、アルミニウム合金、焼結体および合成樹脂材料等を用いて形成されている。合成樹脂材料として、ポリアミド系樹脂(ポリアミド樹脂を主体とする樹脂)等のエンジニアリングプラスチックを例示できる。
サポートヨーク18は、単一材料を用いて一体に形成されている。サポートヨーク18の外側面としての外周面18aは、全体として、円筒状に形成されている。
サポートヨーク18は、封止部材31に隣接する円筒状の第1の部分23と、第1の部分23からピニオン7a側に延びる一対の第2の部分26,27と、第2の部分26,27からピニオン7a側に延びる一対の端部20,21と、を含んでいる。深さ方向X2に関して、第1の部分23は、サポートヨーク18の底面18bから後述する対向面40までの部分を形成している。
図4は、図2の一部拡大図である。図4を参照して、補強ブッシュ36は、アルミニウム合金等の金属製のブッシュ本体37と、ブッシュ本体37の一端に固定されたエラストマー系樹脂製の緩衝部材38とを含んでいる。ブッシュ本体37の外周面が、各柱部28の短片部29の内側面29aに係合していることにより、ブッシュ本体37がサポートヨーク18に保持されている。
図5(a)は、サポートヨーク18の周辺の要部の側面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vbに沿って見たサポートヨーク18の周辺の要部の側面図であり、図5(c)は、図5(b)の矢印Vcに沿って見たサポートヨーク18の周辺の要部の側面図である。なお、図5(c)では、一部を2点鎖線で示している。
一対の第2の部分26,27における外周面18aのうち、一対の端部20,21の近傍のそれぞれに突起39a,39bが千鳥状に複数形成されている。また、第1の部分23における外周面18aには、平行方向X3にける一対の端部のそれぞれに、突起39c,39dが千鳥状に複数形成されている。なお、突起39a,39bは、一対の第2の部分26,27のそれぞれにおいて、深さ方向X2に真っ直ぐに並ぶように配置されていてもよい。また、突起39c,39dは、第1の部分23において、深さ方向X2に真っ直ぐに並ぶように配置されていてもよい。
図6は、図2の一部拡大図である。図5(c)および図6を参照して、一対の端部20,21は、ラック軸8の円弧状部8dに対向する第1の対向面41をそれぞれ含んでいる。また、一対の第2の部分26,27は、ラック軸8の円弧状部8dに対向する第2の対向面42をそれぞれ含んでいる。一対の端部20,21の各第1の対向面41,41および一対の第2の部分26,27の各第2の対向面42,42によって、サポートヨーク18の対向面40が形成されている。対向面40は、全体として円弧面の一部を構成しており、円弧状部8dに対向している。
摺接面43には、コーティング加工が施されている場合がある。この場合、摩擦係数が低減されている。例えば、PA9T等のポリアミド樹脂でサポートヨーク18を形成している場合に、摺接面43にコーティング加工が施される。なお、このコーティング加工が施されていなくてもよい。摺接面43は、ラック軸8の円弧状部8dの形状に沿う形状に形成されており、内環状部44と、放射状延伸部45と、外環状部46とを含んでいる。
放射状延伸部45は、各第2の部分42,42に形成されており、内環状部44の外周に接続されている。放射状延伸部45は、サポートヨーク18の中心軸線C3を中心に放射状に形成されている。サポートヨーク18の中心軸線C3は、保持孔17の中心軸線C2と合致するように配置されている。
ここで、ラック軸8の中心軸線C1を含み保持孔17の中心軸線C2およびサポートヨーク18の中心軸線C3とは直交する基準平面Bが規定されている。基準平面Bは、一対の端部20,21と一対の第2の部分26,27とを区切っている。基準平面Bにおけるラック軸8の直径が、ラック軸8の最大幅D5とされている。
一対の第1の対向面41,41のうち、深さ方向X2に関して最もピニオン7a側における上記間隔D2は、一対の端部20,21間の最少間隔D3とされている。最小間隔D3は、ラック軸8の最大幅D5よりも小さい(D3<D5)。
以上の次第で、本実施の形態によれば、サポートヨーク18の一対の端部20,21は、ラック軸8の中心軸線C1を挟むようにして、ラック軸8を挟んでいる。これにより、平行方向X3に関して、ラック軸8がサポートヨーク18に対して移動することを規制できる。これにより、左操舵のときと右操舵のときとで、ピニオン7aに作用する操舵トルクに差が生じることを抑制できる。したがって、操舵部材2を直進状態のときの位置に戻す際の操舵部材2の動き、すなわち、いわゆるハンドル戻りを、右操舵の場合と左操舵の場合とで同じにできる。これにより、優れた操舵フィーリングを実現できる。
また、サポートヨーク18を弾性に富む合成樹脂で形成した場合には、突起39が設けられていることにより、上記合成樹脂の吸水率に拘わり無く、ヨークハウジング16の保持孔17の周面17bとの間を確実に詰めることができる。
また、摺接面43の放射状延伸部45が設けられていることにより、ラック軸8の周方向に関して、ラック軸8と摺接面43との接触長さを十分に確保することができる。これにより、サポートヨーク18によってラック軸8を確実に把持することができる。また、摺接面43の一部を放射状に形成することにより、摺接面43を単なる湾曲面としたときよりも、摺接面43とラック軸8の外周面8bとの接触面積を少なくできる。したがって、ラック軸8の摺動抵抗をより少なくできる。
例えば、図7に示すように、突起39を、ラック軸8の軸方向X1に関するサポートヨーク18の外周面18aの一対の端部18c,18cに設けてもよい。なお、突起39を、サポートヨーク18の外周面18aの全周に亘って設けてもよい。
また、図10(a)に示すように、ラック軸8の円弧状部8dとサポートヨーク18の摺接面43Cとは、ラック軸8の周方向に関して、3箇所でのみ接触していてもよい。この場合、サポートヨーク18の摺接面43Cのうち、ラック軸8の周方向に関する両端と、中央部の3箇所の接触部55で、ラック軸8の円弧状部8dを支持する。
各延設片59b,59cは、主体部59aの対応する端部から保持孔17の周面17bに向けて延びている。各延設片59b,59cには、補強リブ60が形成されている。ラック軸8の軸方向X1に関して、第3のシート59の長さは、サポートヨーク18の長さより短くてもよい。
さらに、図14および図15に示すように、封止部材31Hとサポートヨーク18との間に、中間部材64、カム機構65およびぜんまいばね66等を設けてもよい。これらの部材により、経時変化に伴う異音(ラトル音)の発生をより一層抑制できる。
ぜんまいばね66の一端66aは、封止部材31Hに形成された封止部材31Hの第1の係合柱69に係止されている。ぜんまいばね66の他端66bは、中間部材64に形成された第2の係合柱70に係止されている。ぜんまいばね66には、捩じり力が加えられている。ぜんまいばね66の捩じり戻しによる中間部材64の回転力は、カム機構65によって、中間部材64をサポートヨーク18側へ押す力に変換される。
カム機構65は、中間部材64の筒状部64aの外周に形成された螺旋状の溝カム68と、封止部材31Hに形成された筒状部67の内側に突設され溝カム68に係合するカム突起71と、を含んでいる。カム突起71は、少なくとも1つがあればよく、本実施形態では、封止部材31Hの周方向の複数カ所、例えば、2箇所に均等に配置されている。
例えば、保持孔17内へ組み付ける前のユニット75では、予め、ぜんまいばね66に所定量の弾性変形が付与されるととともに、封止部材31Hの周方向に関して封止部材31Hと中間部材64とが予め定める所定位置に互いに位置決めされる。この状態で、封止部材31Hと中間部材64とが、仮止め部材としてのピン(図示せず)により仮止めされる。仮止め時、ピンは、封止部材31Hの軸線方向に沿って封止部材31と中間部材64とを貫通している。このとき、ピンは、中間部材64の一端面64bから所定量、例えば0.05mm突出している。
45…放射状延伸部、51…潤滑剤溜まり、61…中央部、62,63…端部、C1…ラック軸の中心軸線(ラック軸の中心)、C3…サポートヨークの中心軸線(ラック軸支持部材の中心軸線)、D5…ラック軸の最大幅、D3…最小間隔、X1…ラック軸の軸方向、X2…深さ方向、X3…平行方向(深さ方向とは直交する方向)。
Claims (4)
- ハウジングに形成された保持孔内に上記保持孔の深さ方向に進退可能に保持され、ラック軸を、上記ラック軸の軸方向に移動可能に支持するラック軸支持部材と、
上記保持孔の入口の周面に形成されたねじ部に螺合した封止部材と、
上記封止部材と上記ラック軸支持部材との間に介在し、上記ラック軸支持部材を上記ラック軸側へ付勢する付勢部材と、を備え、
上記ラック軸支持部材は、上記深さ方向に関して上記ラック軸の中心よりもピニオン側に延びる一対の端部を含み、上記一対の端部は上記ラック軸を挟んだ両側に配置され、
上記深さ方向とは直交する方向に関して、上記一対の端部間の最小間隔は、上記ラック軸の最大幅よりも小さくされており、
上記ラック軸支持部材の外側面には、上記保持孔の上記周面に当接可能な突起が形成され、
上記一対の端部は、上記ラック軸の外周面と対向する対向面を含み、
上記深さ方向に沿ってみたとき、上記対向面は、上記ラック軸の軸方向に関する中央部から端部に向かうに従い上記ラック軸から離れるように湾曲していることを特徴とするラック軸支持装置。 - 請求項1において、上記一対の端部は、上記ラック軸の外周面と対向する対向面を含み、
上記対向面の少なくとも一部は、上記ラック軸の上記外周面の形状に沿う形状とされていることを特徴とするラック軸支持装置。 - 請求項1または2において、上記ラック軸支持部材は、上記ラック軸の外周面が摺動可能に接触する摺接面と、この摺接面に隣接し摺接面に対して窪んだ潤滑剤溜まりと、を含んでいることを特徴とするラック軸支持装置。
- 請求項3において、上記摺接面は、上記深さ方向とは平行なラック軸支持部材の中心軸線を中心に放射状に延びる放射状延伸部を含むことを特徴とするラック軸支持装置。
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