以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の株式売買注文処理システム10の全体構成が示されている。図2には、注文データ記憶手段40の構成が示され、図3には、株式売買注文処理システム10による処理の流れがフローチャートで示されている。また、図4には、買い注文を行う際の画面例が示され、図5には、売り注文を行う際の画面例が示されている。さらに、図6〜図9には、カット価格データの更新例が示されている。
図1において、株式売買注文処理システム10は、株式売買注文に関する各種処理を実行するとともに各種処理に必要なデータを記憶する株式売買注文処理サーバ20と、通信回線であるネットワーク1を介して株式売買注文処理サーバ20に接続された顧客の端末装置50と、通信回線である内部ネットワーク2を介して株式売買注文処理サーバ20に接続された入力代行者(金融機関の営業員等の担当者)の端末装置60とを備えている。
また、株式売買注文処理サーバ20には、通信回線3を介して発注システム70が接続され、この発注システム70は、通信回線4を介して取引所システム等の市場システム80に接続されている。さらに、株式売買注文処理サーバ20には、通信回線5を介して時価情報提供システム90が接続されている。
ネットワーク1は、本実施形態では、主としてインターネットであるが、インターネットと、イントラネットやLAN等との組合せ等でもよく、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わない。また、内部ネットワーク2は、証券会社等の金融機関の内部に設けられたイントラネットやLAN等であるが、株式売買注文処理サーバ20と入力代行者(金融機関の営業員等の担当者)の端末装置60との接続は、ネットワーク1で行ってもよい。さらに、通信回線3は、証券会社等の金融機関の内部に設けられた専用線であり、通信回線4,5も専用線であるが、これらはネットワーク1や内部ネットワーク2としてもよい。
株式売買注文処理サーバ20は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、株式売買注文に関する各種処理を実行する処理手段20Aと、この処理手段20Aで実行される各種処理に必要なデータを記憶する注文データ記憶手段40とを備えて構成されている。
処理手段20Aは、注文受付処理手段21と、第1の発注データ作成処理手段22と、約定データ受取処理手段23と、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24と、カット用差額算出処理手段25と、カット用差額割合算出処理手段26と、時価データ取得処理手段27と、カット判定処理手段28と、第2の発注データ作成処理手段29と、基準価格・カット価格更新処理手段30とを含んで構成されている。
注文受付処理手段21は、端末装置50からの顧客の要求または端末装置60からの入力代行者の要求に基づき、買い注文または売り注文を行うための画面(図4、図5参照)の表示用データを、ネットワーク1または内部ネットワーク2を介して端末装置50,60に送信するとともに、顧客または入力代行者により入力されて端末装置50,60からネットワーク1または内部ネットワーク2を介して送信されてくる注文データおよびカット価格設定用データを、顧客識別情報(例えば、顧客の口座番号等)とともに受信し、受信した注文データに注文識別情報(例えば、注文番号等)を自動付与し、受信した注文データおよびカット価格設定用データを、注文識別情報および顧客識別情報と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる処理を実行するものである。
より具体的には、注文受付処理手段21は、注文データとして、銘柄識別情報(例えば、銘柄コード等)、市場識別情報(例えば、市場コード等)、売りまたは買いの別を示す売買区分データ、数量データ(株数データ)、指値注文の場合の指値データ(成行注文の場合は、NULLで受信して0円に変換する。)を、顧客識別情報(例えば、顧客の口座番号等)とともに受信する。
また、注文受付処理手段21は、買い注文で購入した株式を利益減少または損失増加を止めるカットの目的で売却するときのカット価格、または売り注文で売却した株式を利益減少または損失増加を止めるカットの目的で買い戻すときのカット価格の設定のためのカット価格設定用データとして、カット差額データまたはカット差額割合データ、並びにカット差額を一定とするか更新するかの別を示すカット差額一定・更新区分データを、注文データとともに受信する。なお、本願明細書における「カット」や「カット価格」の語には、いわゆる「損切り」や「損切り価格」の概念も含まれ、本願発明によれば、従来から行われている損切りの目的での売買処理も併せて実現することができる。
ここで、注文受付処理手段21により受信されるカット差額データは、買い注文が成立した場合の約定価格からのマイナス分の差額(金額)を示すカット用差額データ(図4の場合)、または売り注文が成立した場合の約定価格からのプラス分の差額(金額)を示すカット用差額データ(図5の場合)である。注文受付処理手段21が、カット用差額データを受信する場合には、図4の「1.約定価格からのマイナス分の金額を指定する」において、カット用差額データが入力指定された場合(カット価格指定方法種別=1)と、図5の「1.約定価格からのプラス分の金額を指定する」において、カット用差額データが入力指定された場合(カット価格指定方法種別=6)とがあるが、これらの場合には、注文受付処理手段21により受信したカット用差額データは、更新されず、一定値として扱われる。
また、注文受付処理手段21により受信されるカット差額割合データは、買い注文が成立した場合の約定価格に対するマイナス分の差額(金額)の割合(パーセンテージ)を示すカット用差額割合データ(図4の場合)、または売り注文が成立した場合の約定価格に対するプラス分の差額(金額)の割合(パーセンテージ)を示すカット用差額割合データ(図5の場合)である。注文受付処理手段21が、カット用差額割合データを受信する場合には、図4の「2.約定価格に対するマイナス分の割合を指定する」において、カット用差額割合データを入力指定し、かつ、「カット用差額を一定とする」を選択した場合(カット価格指定方法種別=2)と、図4の「2.約定価格に対するマイナス分の割合を指定する」において、カット用差額割合データを入力指定し、かつ、「カット用差額を更新する」を選択した場合(カット価格指定方法種別=3)と、図5の「2.約定価格に対するプラス分の割合を指定する」において、カット用差額割合データを入力指定し、かつ、「カット用差額を一定とする」を選択した場合(カット価格指定方法種別=7)と、図5の「2.約定価格に対するプラス分の割合を指定する」において、カット用差額割合データを入力指定し、かつ、「カット用差額を更新する」を選択した場合(カット価格指定方法種別=8)とがある。このうち、カット価格指定方法種別=2,7では、入力指定されたカット用差額割合データを用いて、後述する如く基準価格・カット価格初期値設定処理手段24によりカット用差額データが算出され、算出されたカット用差額データは、更新されず、一定値として扱われる。一方、カット価格指定方法種別=3,8では、入力指定されたカット用差額割合データを用いて、後述する如く基準価格・カット価格初期値設定処理手段24によりカット用差額データの初期値が算出されるが、その後、入力指定されたカット用差額割合データが一定に保たれる状態で、カット用差額データは更新される。
なお、図4および図5の「3.カット価格を直接指定する」において、「約定価格取得」ボタン141,241をクリックすると、元の注文の約定価格が約定価格表示部142,242に表示され、この表示を見て約定価格を確認した顧客または入力代行者により、カット価格データが入力指定されるが(カット価格指定方法種別=4,5,9,10)、ここで入力指定されるカット価格データを受信するのは、注文受付処理手段21ではなく、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24であるから、詳細は基準価格・カット価格初期値設定処理手段24の説明として後述する。
また、本実施形態では、カットを目的とする注文については、成行注文での発注処理を行う構成とされているが、指値注文とする場合には、注文受付処理手段21により、図4の買い注文の画面100でカット用指値を指定するために、買い注文が成立した場合の約定価格からのマイナス分の差額を示すカット用指値・約定価格差額データ(カット価格指定方法種別=1)、あるいはカット価格からのマイナス分の差額を示すカット用指値・カット価格差額データ(カット価格指定方法種別=1,2,3)を受け付けて、それらのデータを、注文識別情報および顧客識別情報と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる構成としてもよく、図5の売り注文の画面200でカット用指値を指定するために、売り注文が成立した場合の約定価格からのプラス分の差額を示すカット用指値・約定価格差額データ(カット価格指定方法種別=6)、あるいはカット価格からのプラス分の差額を示すカット用指値・カット価格差額データ(カット価格指定方法種別=6,7,8)を受け付けて、それらのデータを、注文識別情報および顧客識別情報と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる構成としてもよい。
第1の発注データ作成処理手段22は、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶された元の買い注文または元の売り注文(カット目的の注文ではなく、カットの元になる注文)についての注文データを用いて、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、数量データ(株数データ)、指値注文の場合の指値データ(成行注文の場合には、0円とする。)等を含む元の買い注文または元の売り注文についての発注データを作成し、作成した発注データを、発注システム70へ引き渡す処理を実行するものである。
約定データ受取処理手段23は、発注システム70から、第1の発注データ作成処理手段22により作成された発注データによる発注に対し、市場システム80で約定した元の買い注文または元の売り注文(カット目的の注文ではなく、カットの元になる注文)についての約定データ(注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、約定数量データ(約定株数データ)、約定価格データ(約定単価データ)、約定日・約定時間データ等を含む。)を受け取り、受け取った約定データを、同一の注文識別情報を付された元の買い注文または元の売り注文についての注文データと関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる処理を実行するものである。
また、約定データ受取処理手段23は、発注システム70から、第2の発注データ作成処理手段29により作成された発注データによる発注に対し、市場システム80で約定したカット目的の売り注文またはカット目的の買い注文についての注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、約定数量データ(約定株数データ)、約定価格データ(約定単価データ)、約定日・約定時間データ等を含む約定データを受け取り、受け取った約定データを、同一の注文識別情報を付された元の買い注文または元の売り注文についての注文データと関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる処理も実行する。なお、本実施形態では、元の買い注文または元の売り注文についての注文識別情報(注文番号等)と、カット目的の売り注文またはカット目的の買い注文についての注文識別情報(注文番号等)とを一致させているが、カット目的の注文について、元の注文とは別の注文識別情報(注文番号等)を自動付与してもよい。
基準価格・カット価格初期値設定処理手段24は、約定データ受取処理手段23により受け取った元の買い注文または元の売り注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)と同一の値を、カット価格を設定する際の基準となる株価を示す基準価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる基準価格初期値設定処理を実行するものである。
また、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24は、注文受付処理手段21により買い注文とともにカット目的の売り注文のためのカット用差額データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている場合(カット価格指定方法種別=1)には、元の買い注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)から、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを減じることにより、カット価格データを算出する。一方、注文受付処理手段21により売り注文とともにカット目的の買い注文のためのカット用差額データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている場合(カット価格指定方法種別=6)には、元の売り注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを加算することにより、カット価格データを算出する。そして、算出したカット価格データを、カット価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させるカット価格初期値設定処理を実行する。
さらに、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24は、注文受付処理手段21により買い注文とともにカット目的の売り注文のためのカット用差額割合データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている場合(カット価格指定方法種別=2,3)には、元の買い注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、カット用差額データを算出し、算出したカット用差額データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させ、かつ、元の買い注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)から、算出したカット用差額データを減じることにより、カット価格データを算出する。一方、注文受付処理手段21により売り注文とともにカット目的の買い注文のためのカット用差額割合データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている場合(カット価格指定方法種別=7,8)には、元の売り注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、カット用差額データを算出し、算出したカット用差額データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させ、かつ、元の売り注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)に、算出したカット用差額データを加算することにより、カット価格データを算出する。そして、算出したカット価格データを、カット価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させるカット価格初期値設定処理を実行する。
また、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24は、図4の買い注文の画面100または図5の売り注文の画面200に設けられた「約定価格取得」ボタン141,241をクリックすることにより端末装置50,60からネットワーク1または内部ネットワーク2を介して送信されてくる顧客または入力代行者の約定価格取得要求信号を受信した場合には、この要求信号に応じ、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている元の買い注文または元の売り注文についての約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)の表示用データを、ネットワーク1または内部ネットワーク2を介して端末装置50,60へ送信するとともに、顧客または入力代行者により入力されて端末装置50,60からネットワーク1または内部ネットワーク2を介して送信されてくるカット価格データを受信し(カット価格指定方法種別=4,5,9,10)、受信したカット価格データを、カット価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させるカット価格初期値設定処理を実行する。なお、本実施形態では、顧客または入力代行者が、図4の買い注文の画面100または図5の売り注文の画面200に設けられた「約定価格取得」ボタン141,241をクリックすることにより、約定価格データが画面表示される構成となっているが、このように約定価格取得要求信号を受信してから約定価格データの表示用データを送信するのではなく、約定データ受取処理手段23により約定データを受け取ったときに株式売買注文処理サーバ20側から積極的に約定価格データの表示用データを送信する構成としてもよい。また、元の注文を発注してからその注文が約定するまでに時間がかかる場合には、一旦、図4の買い注文の画面100または図5の売り注文の画面200を閉じ、その後、株式売買注文処理サーバ20へ再アクセスし、注文識別情報(注文番号等)、あるいは顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、注文日・注文時間等を入力して元の注文を特定し、別の画面で、約定価格取得要求信号の送信、約定価格データの表示、カット価格データの入力・送信を行う構成としてもよい。
また、本実施形態では、カットを目的とする注文については、成行注文での発注処理を行う構成とされているが、指値注文とする場合には、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、カット価格データ(発注条件となる条件価格)とともに、顧客またはその入力代行者により入力指定されたカット用指値データを受け付け、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる構成としてもよい。この場合には、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24は、入力指定されたカット用指値データと、入力指定されたカット価格データとの差額を示すカット用指値・カット価格差額データを算出し、算出したカット用指値・カット価格差額データを注文データ記憶手段40に記憶させる。このカット用指値・カット価格差額データは、カット価格が更新されたときに、それに伴ってカット用指値の更新をするのに用いられる。
カット用差額算出処理手段25は、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24によりカット価格データを受け付ける場合(カット価格指定方法種別=4,5,9,10)に、次のような処理を行うものである。すなわち、カット用差額算出処理手段25は、カット価格指定方法種別=4,5の場合には、約定データ受取処理手段23により受け取った約定データに含まれる約定価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されている約定価格データ)から、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により受け付けたカット価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データ)を減じることにより、買い注文が成立した場合の約定価格からのマイナス分の差額を示すカット用差額データを算出し、カット価格指定方法種別=9,10の場合には、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により受け付けたカット価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データ)から、約定データ受取処理手段23により受け取った約定データに含まれる約定価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されている約定価格データ)を減じることにより、売り注文が成立した場合の約定価格からのプラス分の差額を示すカット用差額データを算出する。そして、算出したカット用差額データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる処理を実行する。
カット用差額割合算出処理手段26は、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24によりカット価格データを受け付け、かつ、カット用差額データを更新する処理が選択された場合(カット価格指定方法種別=5,10)に、次のような処理を行うものである。すなわち、カット用差額算出処理手段25により算出したカット用差額データを、約定データ受取処理手段23により受け取った約定データに含まれる約定価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されている約定価格データ)で除することにより、買い注文が成立した場合の約定価格に対するマイナス分の差額の割合、または売り注文が成立した場合の約定価格に対するプラス分の差額の割合を示すカット用差額割合データを算出し、算出したカット用差額割合データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる処理を実行する。
時価データ取得処理手段27は、時価情報提供システム90(市場システム80を含む。)から、各銘柄の株式の最新の時価データを、銘柄識別情報(銘柄コード等)とともにリアルタイムで繰り返し取得する処理を実行するものである。取得のタイミングは、例えば一定時間間隔で定期的なものとすることができる。この際、時価データ取得処理手段27は、市場システム80から一次情報としての時価データを直接に取得してもよく、市場システム80から取得した時価データを二次情報として提供する情報ベンダーのシステムから二次情報としての時価データを取得してもよく、市場システム80や情報ベンダーのシステムから取得した時価データを記憶する証券会社等の金融機関の内部の他のシステムから時価データを取得してもよい。
カット判定処理手段28は、時価データ取得処理手段27による時価データの取得の都度に、各顧客の各注文について、取得した時価データと、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット価格データとを比較し(同一の銘柄について比較する。)、元の注文が買い注文の場合には、時価データがカット価格データ以下または未満であるというカット条件を満たすか否かを判定し、元の注文が売り注文の場合には、時価データがカット価格データ以上または超過であるというカット条件を満たすか否かを判定する処理を実行するものである。
第2の発注データ作成処理手段29は、カット判定処理手段28によりカット条件を満たすと判定された場合に、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶された元の注文についての注文データおよびその約定データを用いて、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、数量データ(株数データ)、指値注文の場合の指値データ(成行注文の場合には、0円とする。)等を含むカット目的の注文についての発注データを作成し、作成した発注データを、発注システム70へ引き渡す処理を実行するものである。
より具体的には、第2の発注データ作成処理手段29は、カット目的の注文についての注文識別情報(注文番号等)については、本実施形態では、元の注文についての注文識別情報(注文番号等)と同じとするが、新たな注文識別情報(注文番号等)を付してもよい。また、カット目的の注文についての顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)については、元の注文と同じとする。カット目的の注文についての売買区分データについては、元の注文と反対の売買区分とする。カット目的の注文についての数量データ(株数データ)については、本実施形態では、元の注文についての約定数量データ(約定株数データ)と同じとするが、その一部(例えば5割の株数等)としてもよく、一部とする場合には、注文受付処理手段21または基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、カット目的の注文についての数量データ(株数データ)の入力指定を受け付けるか、あるいは元の注文の株数またはその約定株数のうちのどれぐらいの割合をカット目的の注文の対象とするのかを示すカット数量割合データの入力指定を受け付ければよい。
また、カット目的の注文は、本実施形態では、成行注文とするが、指値注文としてもよく、指値注文とする場合には、第2の発注データ作成処理手段29は、注文受付処理手段21により受け付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用指値・約定価格差額データ、および注文データ記憶手段40に記憶されている元の注文についての約定価格データを用いてカット用指値データを算出するか、注文受付処理手段21により受け付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用指値・カット価格差額データ、および注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを用いてカット用指値データを算出するか、システムで予め定められているカット用指値・カット価格差額データ、および注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを用いてカット用指値データを算出するか、あるいは基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により受け付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用指値データを用いて、カット目的の注文についての発注データを作成する。
基準価格・カット価格更新処理手段30は、カット判定処理手段28によりカット条件を満たさないと判定された場合に、時価データ取得処理手段27により取得した時価データと、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている基準価格データとを比較し、元の注文が買い注文の場合(カット価格指定方法種別=1,2,3,4,5)には、時価データが基準価格データを超えるときには、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、時価データと同一の値に置き換え、元の注文が売り注文の場合(カット価格指定方法種別=6,7,8,9,10)には、時価データが基準価格データ未満であるときには、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、時価データと同一の値に置き換える基準価格更新処理を実行するものである。
また、基準価格・カット価格更新処理手段30は、上記の基準価格更新処理の実行に伴って、カット価格指定方法種別=3,8の場合には、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)に、注文受付処理手段21により受け付けられて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、新たなカット用差額データを算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを、算出した新たなカット用差額データに置き換え、カット価格指定方法種別=5,10の場合には、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)に、カット用差額割合算出処理手段26により算出されて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、新たなカット用差額データを算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを、算出した新たなカット用差額データに置き換えるカット用差額更新処理を実行する。
さらに、基準価格・カット価格更新処理手段30は、上記の基準価格更新処理の実行に伴って、あるいは上記の基準価格更新処理およびカット用差額更新処理の実行に伴って、元の注文が買い注文の場合(カット価格指定方法種別=1,2,3,4,5)には、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)から、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データ(カット価格指定方法種別=3,5の場合には、上記のカット用差額更新処理後のカット用差額データ)を減じることにより、新たなカット価格データを算出し、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット価格データを、算出した新たなカット価格データに置き換え、元の注文が売り注文の場合(カット価格指定方法種別=6,7,8,9,10)には、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データ(カット価格指定方法種別=8,10の場合には、上記のカット用差額更新処理後のカット用差額データ)を加算することにより、新たなカット価格データを算出し、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット価格データを、算出した新たなカット価格データに置き換えるカット価格更新処理を実行する。
また、本実施形態では、カット目的の注文は、成行注文で発注されているが、指値注文とする場合には、基準価格・カット価格更新処理手段30は、上記のカット価格更新処理の実行に伴って、元の注文が買い注文の場合(カット価格指定方法種別=1,2,3,4,5)には、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用指値データを、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データ(上記のカット価格更新処理後のカット価格データ)から注文データ記憶手段40に記憶されるかまたはシステムで予め定められているカット用指値・カット価格差額データを減じて得られる新たなカット用指値データに置き換え、元の注文が売り注文の場合(カット価格指定方法種別=6,7,8,9,10)には、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用指値データを、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データ(上記のカット価格更新処理後のカット価格データ)に注文データ記憶手段40に記憶されるかまたはシステムで予め定められているカット用指値・カット価格差額データを加算して得られる新たなカット用指値データに置き換えるカット用指値更新処理を実行する。
注文データ記憶手段40は、図2に示すように、元の注文の注文データとして、注文識別情報(例えば、注文番号等)、顧客識別情報(例えば、顧客の口座番号等)、銘柄識別情報(例えば、銘柄コード等)、市場識別情報(例えば、市場コード等)、売りまたは買いの別を示す売買区分データ、数量データ(株数データ)、指値注文の場合の指値データ(成行注文の場合は、NULLで受け付けて0円に変換する。)、その他に、受注日・受注時間データ(不図示)等を記憶するものである。また、注文データ記憶手段40は、元の注文の約定データとして、約定数量データ(株数データ)、約定価格データ(約定単価データ)、その他に、約定日・約定時間データ(不図示)等を、元の注文の注文データと関連付けて(注文識別情報と関連付けて)記憶する。
さらに、注文データ記憶手段40は、カット目的の注文のためのカット価格設定用データとして、カット価格指定方法種別を示すデータ、処理の進捗状態を示す処理状態データ、カット用差額を一定とするか更新するかの別を示すカット用差額一定・更新区分データ、基準価格データ、カット価格データ、カット用差額データ、カット用差額割合データ等を、元の注文の注文データと関連付けて(注文識別情報と関連付けて)記憶する。ここで、処理状態データは、カット条件を満たすか否かの判定を行う必要がまだ生じていない状態の場合には、処理状態データ=1(カット条件監視前)となり、カット条件を満たすか否かの判定を行う必要が生じている状態の場合には、処理状態データ=2(カット条件監視中)となり、カット条件を満たすか否かの判定を行う必要がもう無くなっている状態の場合には、処理状態データ=3(カット条件監視終了)となる。なお、本実施形態では、カット目的の注文は、成行注文で発注されるが、指値注文とする場合には、注文データ記憶手段40は、カット用指値・約定価格差額データ、カット用指値・カット価格差額データ、カット用指値データも記憶する。
そして、注文データ記憶手段40は、カット目的の注文の約定データとして、約定数量データ(株数データ)、約定価格データ(約定単価データ)、その他に、約定日・約定時間データ(不図示)等を、元の注文の注文データと関連付けて(注文識別情報と関連付けて)記憶する。なお、本実施形態では、カット目的の注文は、成行注文で発注されるが、指値注文とする場合には、注文データ記憶手段40は、カット目的の注文の注文データとして、カット用指値データを記憶する。また、本実施形態では、カット目的の注文の数量(株数)は、元の注文の約定数量(約定株数)と同じとするが、一部の数量(株数)とする場合には、注文データ記憶手段40は、カット目的の注文の数量データ(株数データ)を記憶する。
以上において、株式売買注文処理サーバ20の処理手段20Aに含まれる各処理手段21〜30は、株式売買注文処理サーバ20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。
また、株式売買注文処理サーバ20は、1台のコンピュータあるいは1つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数台のコンピュータや複数のCPUで分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。
さらに、株式売買注文処理サーバ20に設けられた注文データ記憶手段40は、例えばハードディスク等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等を採用してもよい。
そして、注文データ記憶手段40は、本実施形態では、図2に示すように、説明の便宜上、1つのデータベースにより構成されているように図示されているが、複数のデータベースに分割されて構成されていてもよく、要するに、各データが注文識別情報(顧客識別情報で注文が識別できる場合には、顧客識別情報でもよい。)により関連付けられていればよい。
端末装置50,60は、コンピュータにより構成されているが、携帯電話機(PHSも含む。)や携帯情報端末(PDA)等の携帯機器であってもよい。端末装置50は、顧客が操作する端末装置であり、端末装置60は、顧客から依頼を受けて入力を行う入力代行者、例えば、証券会社の営業員やオペレータ等が操作する端末装置である。
発注システム70は、コンピュータにより構成され、市場毎に定められた電文フォームで、市場システム80へ通信回線4を介して発注データを送信するとともに、市場システム80から通信回線4を介して送信されてくる約定データを受信する処理を実行するものであり、証券会社の内部に設けられた他のシステム(既存のシステム)である。但し、新興市場が形成された場合には、新興市場の売買システムとの送受信処理を行うための機能が付加されたシステムも含まれる。
市場システム80は、コンピュータにより構成され、証券取引所等に設けられた有価証券の売買システムである。なお、新興市場が形成された場合には、新興市場の売買システムも含まれる。
時価情報提供システム90は、コンピュータにより構成され、各銘柄の株式の時価データを提供するシステムである。具体的には、一次情報源である市場システム80自体、市場システム80から時価データを取得した二次情報源である情報ベンダーのシステム、あるいは市場システム80や情報ベンダーのシステムから時価データを取得した証券会社の内部の他のシステム等である。
このような本実施形態においては、以下のようにして株式売買注文処理システム10により株式の売買注文処理が行われる。
図3において、株式売買注文処理システム10による処理を開始し(ステップS1)、顧客による端末装置50からの注文、あるいは顧客に依頼された入力代行者による端末装置60からの注文を受け付ける(ステップS2)。具体的には、注文受付処理手段21により、端末装置50からの顧客の要求または端末装置60からの入力代行者の要求に基づき、買い注文または売り注文を行うための画面(図4、図5参照)の表示用データを、ネットワーク1または内部ネットワーク2を介して端末装置50,60へ送信する(ステップS2)。すると、端末装置50,60の表示手段の画面上には、図4に示すような買い注文の画面100、または図5に示すような売り注文の画面200が表示される。
図4において、買い注文の画面100には、顧客名表示部101、口座番号表示部102、および日付表示部103が設けられている。また、買い注文の画面100には、元の買い注文の注文データを入力する部分として、銘柄名または銘柄コードを入力する銘柄入力部111、市場を入力する市場入力部112、注文の数量(株数)を入力する数量入力部113、成行選択部114、指値選択部115、および指値データ入力部116が設けられている。
さらに、買い注文の画面100には、「1.約定価格からのマイナス分の金額を指定する」ことによりカット価格を指定する方法を選択する場合に、約定価格データ(基準価格データの初期値)とカット価格データとの差額を示すカット用差額データを入力するカット用差額データ入力部121が設けられている。このカット用差額データ入力部121に入力したカット用差額データは、一定に保たれるので、基準価格データが上昇したときには、基準価格データとカット価格データとの差額が常に一定に保たれるように、カット価格データが定まる(図6参照)。これをカット価格指定方法種別=1とする。
そして、買い注文の画面100には、「2.約定価格に対するマイナス分の割合を指定する」ことによりカット価格を指定する方法を選択する場合に、約定価格データ(基準価格データの初期値)に対するマイナス分の差額(約定価格データとカット価格データとの差額)の割合(パーセンテージ)を示すカット用差額割合データを入力するカット用差額割合データ入力部131と、カット用差額データを一定に保つことを選択するカット用差額一定選択部132と、カット用差額データを更新することを選択するカット用差額更新選択部133とが設けられている。
ここで、カット用差額一定選択部132を選択した場合には、約定価格データ(基準価格データの初期値)に、カット用差額割合データ入力部131に入力したカット用差額割合データを乗じて得られるカット用差額データは、一定に保たれるので、基準価格データが上昇したときには、基準価格データとカット価格データとの差額が常に一定に保たれるように、カット価格データが定まる(図6参照)。これをカット価格指定方法種別=2とする。
一方、カット用差額更新選択部133を選択した場合には、約定価格データ(基準価格データの初期値)に、カット用差額割合データ入力部131に入力したカット用差額割合データを乗じることにより、カット用差額データの初期値が得られるが、このカット用差額データは更新される。この際、カット用差額割合データ入力部131に入力したカット用差額割合データは、一定に保たれる。すなわち、基準価格データが上昇したときには、その上昇した基準価格データに、カット用差額割合データ入力部131に入力したカット用差額割合データ(これは一定値である。)を乗じることにより、新たなカット用差額データ(値が大きくなっている。)が得られ、上昇した基準価格データから、この新たなカット用差額データを減じることにより、カット価格データが定まる(図7参照)。これをカット価格指定方法種別=3とする。
また、買い注文の画面100には、「3.カット価格を直接指定する」方法を選択する場合に、約定価格データの表示要求を行うための「約定価格取得」ボタン141と、この「約定価格取得」ボタン141をクリックして取得した約定価格データを表示する約定価格表示部142と、カット価格データを入力するカット価格入力部143と、カット用差額データを一定に保つことを選択するカット用差額一定選択部144と、カット用差額データを更新することを選択するカット用差額更新選択部145とが設けられている。
ここで、カット用差額一定選択部144を選択した場合には、約定価格データ(基準価格データの初期値)から、カット価格入力部143に入力したカット価格データを減じて得られるカット用差額データは、一定に保たれるので、基準価格データが上昇したときには、基準価格データとカット価格データとの差額が常に一定に保たれるように、カット価格データが定まる(図6参照)。これをカット価格指定方法種別=4とする。
一方、カット用差額更新選択部145を選択した場合には、約定価格データ(基準価格データの初期値)から、カット価格入力部143に入力したカット価格データを減じることにより、カット用差額データの初期値が得られるが、このカット用差額データは更新される。この際、カット用差額データの初期値を約定価格データ(基準価格データの初期値)で除して得られるカット用差額割合データは、一定に保たれる。すなわち、基準価格データが上昇したときには、その上昇した基準価格データに、カット用差額データの初期値を約定価格データ(基準価格データの初期値)で除して得られるカット用差額割合データ(これは一定値である。)を乗じることにより、新たなカット用差額データ(値が大きくなっている。)が得られ、上昇した基準価格データから、この新たなカット用差額データを減じることにより、カット価格データが定まる(図7参照)。これをカット価格指定方法種別=5とする。
図5において、売り注文の画面200には、顧客名表示部201、口座番号表示部202、および日付表示部203が設けられている。また、売り注文の画面200には、元の売り注文の注文データを入力する部分として、銘柄名または銘柄コードを入力する銘柄入力部211、市場を入力する市場入力部212、注文の数量(株数)を入力する数量入力部213、成行選択部214、指値選択部215、および指値データ入力部216が設けられている。
さらに、売り注文の画面200には、「1.約定価格からのプラス分の金額を指定する」ことによりカット価格を指定する方法を選択する場合に、約定価格データ(基準価格データの初期値)とカット価格データとの差額を示すカット用差額データを入力するカット用差額データ入力部221が設けられている。このカット用差額データ入力部221に入力したカット用差額データは、一定に保たれるので、基準価格データが下落したときには、基準価格データとカット価格データとの差額が常に一定に保たれるように、カット価格データが定まる(図8参照)。これをカット価格指定方法種別=6とする。
そして、売り注文の画面200には、「2.約定価格に対するプラス分の割合を指定する」ことによりカット価格を指定する方法を選択する場合に、約定価格データ(基準価格データの初期値)に対するプラス分の差額(約定価格データとカット価格データとの差額)の割合(パーセンテージ)を示すカット用差額割合データを入力するカット用差額割合データ入力部231と、カット用差額データを一定に保つことを選択するカット用差額一定選択部232と、カット用差額データを更新することを選択するカット用差額更新選択部233とが設けられている。
ここで、カット用差額一定選択部232を選択した場合には、約定価格データ(基準価格データの初期値)に、カット用差額割合データ入力部231に入力したカット用差額割合データを乗じて得られるカット用差額データは、一定に保たれるので、基準価格データが下落したときには、基準価格データとカット価格データとの差額が常に一定に保たれるように、カット価格データが定まる(図8参照)。これをカット価格指定方法種別=7とする。
一方、カット用差額更新選択部233を選択した場合には、約定価格データ(基準価格データの初期値)に、カット用差額割合データ入力部231に入力したカット用差額割合データを乗じることにより、カット用差額データの初期値が得られるが、このカット用差額データは更新される。この際、カット用差額割合データ入力部231に入力したカット用差額割合データは、一定に保たれる。すなわち、基準価格データが下落したときには、その下落した基準価格データに、カット用差額割合データ入力部231に入力したカット用差額割合データ(これは一定値である。)を乗じることにより、新たなカット用差額データ(値が小さくなっている。)が得られ、下落した基準価格データに、この新たなカット用差額データを加算することにより、カット価格データが定まる(図9参照)。これをカット価格指定方法種別=8とする。
また、売り注文の画面200には、「3.カット価格を直接指定する」方法を選択する場合に、約定価格データの表示要求を行うための「約定価格取得」ボタン241と、この「約定価格取得」ボタン241をクリックして取得した約定価格データを表示する約定価格表示部242と、カット価格データを入力するカット価格入力部243と、カット用差額データを一定に保つことを選択するカット用差額一定選択部244と、カット用差額データを更新することを選択するカット用差額更新選択部245とが設けられている。
ここで、カット用差額一定選択部244を選択した場合には、カット価格入力部243に入力したカット価格データから、約定価格データ(基準価格データの初期値)を減じて得られるカット用差額データは、一定に保たれるので、基準価格データが下落したときには、基準価格データとカット価格データとの差額が常に一定に保たれるように、カット価格データが定まる(図8参照)。これをカット価格指定方法種別=9とする。
一方、カット用差額更新選択部245を選択した場合には、カット価格入力部243に入力したカット価格データから、約定価格データ(基準価格データの初期値)を減じることにより、カット用差額データの初期値が得られるが、このカット用差額データは更新される。この際、カット用差額データの初期値を約定価格データ(基準価格データの初期値)で除して得られるカット用差額割合データは、一定に保たれる。すなわち、基準価格データが下落したときには、その下落した基準価格データに、カット用差額データの初期値を約定価格データ(基準価格データの初期値)で除して得られるカット用差額割合データ(これは一定値である。)を乗じることにより、新たなカット用差額データ(値が小さくくなっている。)が得られ、下落した基準価格データに、この新たなカット用差額データを加算することにより、カット価格データが定まる(図9参照)。これをカット価格指定方法種別=10とする。
顧客または入力代行者は、図4の買い注文の画面100において、銘柄入力部111、市場入力部112、および数量入力部113にデータを入力するとともに、成行選択部114を選択するか、または指値選択部115を選択して指値データ入力部116にデータを入力することにより、元の買い注文の注文データを入力する。
そして、カット価格指定方法種別=1を選択する場合には、カット用差額データ入力部121にデータを入力して「送信」ボタン151をクリックする。カット価格指定方法種別=2を選択する場合には、カット用差額割合データ入力部131にデータを入力し、かつ、カット用差額一定選択部132を選択して「送信」ボタン151をクリックする。カット価格指定方法種別=3を選択する場合には、カット用差額割合データ入力部131にデータを入力し、かつ、カット用差額更新選択部133を選択して「送信」ボタン151をクリックする。また、カット価格指定方法種別=4,5を選択する場合には、元の買い注文の注文データを入力しただけの状態で「送信」ボタン151をクリックする(カット価格入力部143へのカット価格データの入力は、約定価格データの決定後であるから、この段階では行わない。)。
また、顧客または入力代行者は、図5の売り注文の画面200において、銘柄入力部211、市場入力部212、および数量入力部213にデータを入力するとともに、成行選択部214を選択するか、または指値選択部215を選択して指値データ入力部216にデータを入力することにより、元の売り注文の注文データを入力する。
そして、カット価格指定方法種別=6を選択する場合には、カット用差額データ入力部221にデータを入力して「送信」ボタン251をクリックする。カット価格指定方法種別=7を選択する場合には、カット用差額割合データ入力部231にデータを入力し、かつ、カット用差額一定選択部232を選択して「送信」ボタン251をクリックする。カット価格指定方法種別=8を選択する場合には、カット用差額割合データ入力部231にデータを入力し、かつ、カット用差額更新選択部233を選択して「送信」ボタン251をクリックする。また、カット価格指定方法種別=9,10を選択する場合には、元の売り注文の注文データを入力しただけの状態で「送信」ボタン251をクリックする(カット価格入力部243へのカット価格データの入力は、約定価格データの決定後であるから、この段階では行わない。)。
すると、端末装置50,60から、元の買い注文または元の売り注文の注文データおよびカット価格設定用データが、ネットワーク1または内部ネットワーク2を介して株式売買注文処理サーバ20へ送信される。株式売買注文処理サーバ20では、注文受付処理手段21により、顧客または入力代行者により入力されて端末装置50,60からネットワーク1または内部ネットワーク2を介して送信されてくる注文データおよびカット価格設定用データを、顧客識別情報(例えば、顧客の口座番号等)とともに受信し、受信した注文データに注文識別情報(例えば、注文番号等)を自動付与し、受信した注文データおよびカット価格設定用データを、注文識別情報および顧客識別情報と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる(ステップS2)。なお、カット価格指定方法種別を示すデータも、端末装置50,60で画面入力の状態により判別され、カット価格設定用データとして、端末装置50,60から株式売買注文処理サーバ20へ送信される。但し、株式売買注文処理サーバ20側で、受信するデータの状態から、カット価格指定方法種別を判別するようにしてもよい。
例えば、図4の例のように、元の買い注文の注文データが、「顧客:大和太郎(口座番号=XXXX)、銘柄:A社株(銘柄コード=AAAAA)、市場:東証、売買区分:買、数量:1,000株、成行」であり、カット価格設定用データが、「カット価格指定方法種別=1、カット用差額一定・更新区分:一定、カット用差額データ=150円」であるときには、図2の注文データ記憶手段40の例における注文番号=T01のようにデータが格納される。また、元の買い注文の注文データが、図4の例と同じで、カット価格設定用データが、「カット価格指定方法種別=2、カット用差額一定・更新区分:一定、カット用差額割合データ=13%」であるときには、図2の注文データ記憶手段40の例における注文番号=T02のようにデータが格納される。さらに、元の買い注文の注文データが、図4の例と同じで、カット価格設定用データが、「カット価格指定方法種別=3、カット用差額一定・更新区分:更新、カット用差額割合データ=13%」であるときには、図2の注文データ記憶手段40の例における注文番号=T03のようにデータが格納される。なお、カット価格指定方法種別=4,5が選択される場合には、この段階では、まだカット価格データが入力されていない状態であり、かつ、カット用差額を一定とするか更新するかの選択も行われていない状態でカット価格指定方法種別も未定であるから、元の買い注文の注文データとともに、カット価格設定用データとして「カット価格指定方法種別=0(未定)」のみが送信されてくる。
そして、図5の例のように、元の売り注文の注文データが、「顧客:大和花子(口座番号=YYYY)、銘柄:B社株(銘柄コード=BBBBB)、市場:東証、売買区分:売、数量:1,500株、指値:1,150円」であり、カット価格設定用データが、「カット価格指定方法種別=6、カット用差額一定・更新区分:一定、カット用差額データ=150円」であるときには、図2の注文データ記憶手段40の例における注文番号=T06のようにデータが格納される。また、元の売り注文の注文データが、図5の例と同じで、カット価格設定用データが、「カット価格指定方法種別=7、カット用差額一定・更新区分:一定、カット用差額割合データ=13%」であるときには、図2の注文データ記憶手段40の例における注文番号=T07のようにデータが格納される。さらに、元の売り注文の注文データが、図5の例と同じで、カット価格設定用データが、「カット価格指定方法種別=8、カット用差額一定・更新区分:更新、カット用差額割合データ=13%」であるときには、図2の注文データ記憶手段40の例における注文番号=T08のようにデータが格納される。なお、カット価格指定方法種別=9,10が選択される場合には、この段階では、まだカット価格データが入力されていない状態であり、かつ、カット用差額を一定とするか更新するかの選択も行われていない状態でカット価格指定方法種別も未定であるから、元の売り注文の注文データとともに、カット価格設定用データとして「カット価格指定方法種別=0(未定)」のみが送信されてくる。
また、カット価格指定方法種別=0(未定),1〜3,6〜8のいずれの場合でも、この段階では、カット条件を満たすか否かの判定を行う必要が生じていない状態なので、処理状態データ=1(カット条件監視前)が格納される。
続いて、第1の発注データ作成処理手段22により、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶された元の買い注文または元の売り注文についての注文データを用いて、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、数量データ(株数データ)、指値注文の場合の指値データ(成行注文の場合には、0円とする。)等を含む元の買い注文または元の売り注文についての発注データを作成し、作成した発注データを、通信回線3を介して発注システム70へ引き渡す(ステップS3)。
発注システム70では、第1の発注データ作成処理手段22から受け取った発注データを、通信回線4を介して市場システム80へ送信する。その後、発注システム70では、市場システム80から通信回線4を介して送信されてくる約定データを受信する。
それから、約定データ受取処理手段23により、発注システム70から、市場システム80で約定した元の買い注文または元の売り注文についての約定データ(注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、約定数量データ(約定株数データ)、約定価格データ(約定単価データ)、約定日・約定時間データ等を含む。)を受け取り、受け取った約定データを、同一の注文識別情報を付された元の買い注文または元の売り注文についての注文データと関連付けて(注文識別情報と関連付けて)注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる(ステップS4)。
続いて、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、基準価格初期値設定処理を行う(ステップS5)。具体的には、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている元の買い注文または元の売り注文についての約定価格データ、すなわちステップS3で約定データ受取処理手段23により受け取った約定データに含まれる約定価格データ(約定単価データ)と同一の値を、カット価格を設定する際の基準となる株価を示す基準価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる(ステップS5)。
また、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、カット価格初期値設定処理を行う(ステップS5)。具体的には、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=1が記憶されている場合には、注文受付処理手段21によりカット目的の売り注文のためのカット用差額データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40に記憶されているので、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、注文データ記憶手段40に記憶されている元の買い注文についての約定価格データ(約定単価データ)から、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを減じることにより、カット価格データを算出する(ステップS5)。例えば、図2の注文番号=T01のように、約定価格データ=1,150円、カット用差額データ=150円であれば、カット価格データ=1,150円−150円=1,000円となる。一方、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=6が記憶されている場合には、注文受付処理手段21によりカット目的の買い注文のためのカット用差額データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40に記憶されているので、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、注文データ記憶手段40に記憶されている元の売り注文についての約定価格データ(約定単価データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを加算することにより、カット価格データを算出する(ステップS5)。例えば、図2の注文番号=T06のように、約定価格データ=1,150円、カット用差額データ=150円であれば、カット価格データ=1,150円+150円=1,300円となる。そして、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、算出したカット価格データを、カット価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40に記憶させる(ステップS5)。
さらに、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=2,3が記憶されている場合には、注文受付処理手段21によりカット目的の売り注文のためのカット用差額割合データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40に記憶されているので、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、注文データ記憶手段40に記憶されている元の買い注文についての約定価格データ(約定単価データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、カット用差額データを算出し、算出したカット用差額データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させ、かつ、注文データ記憶手段40に記憶されている元の買い注文についての約定価格データ(約定単価データ)から、算出したカット用差額データを減じることにより、カット価格データを算出する(ステップS5)。例えば、図2の注文番号=T02またはT03のように、約定価格データ=1,150円、カット用差額割合データ=13%であれば、カット用差額データ=1,150円×13%=150円となり、カット価格データ=1,150円−150円=1,000円となる。一方、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=7,8が記憶されている場合には、注文受付処理手段21によりカット目的の買い注文のためのカット用差額割合データの入力が受け付けられて注文データ記憶手段40に記憶されているので、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、注文データ記憶手段40に記憶されている元の売り注文についての約定価格データ(約定単価データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、カット用差額データを算出し、算出したカット用差額データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させ、かつ、注文データ記憶手段40に記憶されている元の売り注文についての約定価格データ(約定単価データ)に、算出したカット用差額データを加算することにより、カット価格データを算出する(ステップS5)。例えば、図2の注文番号=T07またはT08のように、約定価格データ=1,150円、カット用差額割合データ=13%であれば、カット用差額データ=1,150円×13%=150円となり、カット価格データ=1,150円+150円=1,300円となる。そして、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、算出したカット価格データを、カット価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40に記憶させる(ステップS5)。
また、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=0(未定)が記憶されている場合には、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、図4の買い注文の画面100または図5の売り注文の画面200に設けられた「約定価格取得」ボタン141,241をクリックすることにより端末装置50,60からネットワーク1または内部ネットワーク2を介して送信されてくる顧客または入力代行者の約定価格取得要求信号を受信し、この要求信号に応じ、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている元の買い注文または元の売り注文についての約定価格データ(約定単価データ)の表示用データを、ネットワーク1または内部ネットワーク2を介して端末装置50,60へ送信する(ステップS5)。
すると、端末装置50,60では、図4の買い注文の画面100の約定価格表示部142、または図5の売り注文の画面200の約定価格表示部152に、約定価格データが表示される。顧客または入力代表者は、この約定価格データを参照してカット価格を決め、図4の買い注文の画面100において、カット価格指定方法種別=4を選択する場合には、カット価格入力部143にカット価格データを入力し、かつ、カット用差額一定選択部144を選択して「送信」ボタン152をクリックする。カット価格指定方法種別=5を選択する場合には、カット価格入力部143にカット価格データを入力し、かつ、カット用差額更新選択部145を選択して「送信」ボタン152をクリックする。また、顧客または入力代表者は、図5の売り注文の画面200において、カット価格指定方法種別=9を選択する場合には、カット価格入力部243にカット価格データを入力し、かつ、カット用差額一定選択部244を選択して「送信」ボタン252をクリックする。カット価格指定方法種別=10を選択する場合には、カット価格入力部243にカット価格データを入力し、かつ、カット用差額更新選択部245を選択して「送信」ボタン252をクリックする。
すると、端末装置50,60から、カット価格設定用データとして、カット価格データ、カット価格指定方法種別データ(カット価格指定方法種別=4,5,9,10のいずれか)、およびカット用差額一定・更新区分データが、ネットワーク1または内部ネットワーク2を介して株式売買注文処理サーバ20へ送信される。株式売買注文処理サーバ20では、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により、端末装置50,60からネットワーク1または内部ネットワーク2を介して送信されてくるカット価格データ、カット価格指定方法種別データ、およびカット用差額一定・更新区分データを受信する。そして、受信したカット価格データを、カット価格データの初期値として、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させるとともに、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格指定方法種別データ=0(未定)を、受信したカット価格指定方法種別データ=4,5,9,10のいずれかに置き換え、さらに、受信したカット用差額一定・更新区分データも、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる(ステップS5)。例えば、端末装置50,60からのカット価格設定用データが、「カット価格指定方法種別=4、カット用差額一定・更新区分:一定、カット価格データ=1,000円」であるときには、図2の注文データ記憶手段40の例における注文番号=T04のようにデータが格納される。
それから、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=4,5が記憶されている場合には、カット用差額算出処理手段25により、約定データ受取処理手段23により受け取った約定データに含まれる約定価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されている約定価格データ)から、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により受け付けたカット価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データ)を減じることにより、買い注文が成立した場合の約定価格からのマイナス分の差額を示すカット用差額データを算出する(ステップS5)。例えば、図2の注文番号=T04のように、約定価格データ=1,150円、カット価格データ=1,000円であれば、カット用差額データ=1,150円−1,000円=150円となる。一方、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=9,10が記憶されている場合には、カット用差額算出処理手段25により、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24により受け付けたカット価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データ)から、約定データ受取処理手段23により受け取った約定データに含まれる約定価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されている約定価格データ)を減じることにより、売り注文が成立した場合の約定価格からのプラス分の差額を示すカット用差額データを算出する(ステップS5)。例えば、図2の注文番号=T09のように、約定価格データ=1,150円、カット価格データ=1,300円であれば、カット用差額データ=1,300円−1,150円=150円となる。そして、カット用差額算出処理手段25により、算出したカット用差額データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる(ステップS5)。
さらに、注文データ記憶手段40(図2参照)にカット価格指定方法種別データ=5,10が記憶されている場合には、カット用差額割合算出処理手段26により、カット用差額算出処理手段25により算出したカット用差額データ(注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データ)を、約定データ受取処理手段23により受け取った約定データに含まれる約定価格データ(注文データ記憶手段40に記憶されている約定価格データ)で除することにより、買い注文が成立した場合の約定価格に対するマイナス分の差額の割合、または売り注文が成立した場合の約定価格に対するプラス分の差額の割合を示すカット用差額割合データを算出する(ステップS5)。例えば、図2の注文番号=T05のように、カット用差額データ=150円、約定価格データ=1,150円であれば、カット用差額割合データ=150円÷1,150円=13%となる。そして、カット用差額割合算出処理手段26により、算出したカット用差額割合データを、注文識別情報(注文番号等)と関連付けて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる(ステップS5)。
そして、基準価格・カット価格初期値設定処理手段24による処理、あるいはこの処理に加えてカット用差額算出処理手段25やカット用差額割合算出処理手段26による処理を終了した注文について、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている処理状態データ=1(カット条件監視前)を、処理状態データ=2(カット条件監視中)に更新する。
その後、時価データ取得処理手段27により、時価情報提供システム90(市場システム80を含む。)から、各銘柄の株式の最新の時価データを、銘柄識別情報(銘柄コード等)とともに取得する(ステップS6)。
続いて、カット判定処理手段28により、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶された各顧客の各注文のうち、処理状態データ=2(カット条件監視中)となっている注文について、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(図示されない時価データ記憶手段に、銘柄識別情報と関連付けて記憶されている時価データ)と、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データとを比較し(同一の銘柄について比較する。)、元の注文が買い注文の場合には、時価データがカット価格データ以下または未満であるというカット条件を満たすか否かを判定し、元の注文が売り注文の場合には、時価データがカット価格データ以上または超過であるというカット条件を満たすか否かを判定する(ステップS7)。
そして、カット判定処理手段28によりカット条件を満たさないと判定された場合(ステップS8)には、基準価格・カット価格更新処理手段30により、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(図示されない時価データ記憶手段に、銘柄識別情報と関連付けて記憶されている時価データ)と、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている基準価格データとを比較し(同一の銘柄について比較する。)、元の注文が買い注文(カット価格指定方法種別=1,2,3,4,5)のときには、時価データが基準価格データを超えているか否かを判断し、元の注文が売り注文(カット価格指定方法種別=6,7,8,9,10)のときには、時価データが基準価格データ未満になっているか否かを判断する(ステップS9)。
このステップS9の処理で、元の注文が買い注文(カット価格指定方法種別=1,2,3,4,5)のときに、基準価格・カット価格更新処理手段30により時価データが基準価格データを超えていると判断するか、または元の注文が売り注文(カット価格指定方法種別=6,7,8,9,10)のときに、時価データが基準価格データ未満になっていると判断した場合(ステップS10)には、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、時価データと同一の値に置き換える基準価格更新処理を行う(ステップS11)。
また、基準価格・カット価格更新処理手段30により、上記の基準価格更新処理の実行に伴って、カット価格指定方法種別=3,8の場合には、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)に、注文受付処理手段21により受け付けられて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、新たなカット用差額データを算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを、算出した新たなカット用差額データに置き換えるカット用差額更新処理を行う(ステップS11)。そして、カット価格指定方法種別=5,10の場合には、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)に、カット用差額割合算出処理手段26により算出されて注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット用差額割合データを乗じることにより、新たなカット用差額データを算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを、算出した新たなカット用差額データに置き換えるカット用差額更新処理を行う(ステップS11)。
さらに、基準価格・カット価格更新処理手段30により、上記の基準価格更新処理の実行に伴って、あるいは上記の基準価格更新処理およびカット用差額更新処理の実行に伴って、元の注文が買い注文(カット価格指定方法種別=1,2,3,4,5)のときには、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)から、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データ(カット価格指定方法種別=3,5の場合には、上記のカット用差額更新処理後のカット用差額データ)を減じることにより、新たなカット価格データを算出し、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット価格データを、算出した新たなカット価格データに置き換えるカット価格更新処理を行う(ステップS11)。そして、元の注文が売り注文(カット価格指定方法種別=6,7,8,9,10)のときには、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ(つまり、上記の基準価格更新処理後の基準価格データ)に、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データ(カット価格指定方法種別=8,10の場合には、上記のカット用差額更新処理後のカット用差額データ)を加算することにより、新たなカット価格データを算出し、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されているカット価格データを、算出した新たなカット価格データに置き換えるカット価格更新処理を行う(ステップS11)。
それから、以上のような基準価格・カット価格更新処理手段30による基準価格、カット用差額、およびカット価格の更新処理(ステップS11)を終了した後、ステップS6の時価データの取得処理に戻る。
一方、ステップS9の処理で、元の注文が買い注文(カット価格指定方法種別=1,2,3,4,5)のときに、基準価格・カット価格更新処理手段30により時価データが基準価格データを超えていないと判断するか、または元の注文が売り注文(カット価格指定方法種別=6,7,8,9,10)のときに、時価データが基準価格データ未満になっていないと判断した場合(ステップS10)には、基準価格・カット価格更新処理手段30による基準価格、カット用差額、およびカット価格の更新処理(ステップS11)を行うことなく、ステップS6の時価データの取得処理に戻る。
また、ステップS7のカット判定処理手段28による判定処理で、カット条件を満たすと判定された場合(ステップS8)には、第2の発注データ作成処理手段29により、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶された元の注文についての注文データおよびその約定データを用いて、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、数量データ(株数データ)、指値注文の場合の指値データ(成行注文の場合には、0円とする。)等を含むカット目的の注文についての発注データを作成し、作成した発注データを、発注システム70へ引き渡す(ステップS12)。
そして、第2の発注データ作成処理手段29による処理を終了した注文について、注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶されている処理状態データ=2(カット条件監視中)を、処理状態データ=3(カット条件監視終了)に更新する。
発注システム70では、第2の発注データ作成処理手段29から受け取った発注データを、通信回線4を介して市場システム80へ送信する。その後、発注システム70では、市場システム80から通信回線4を介して送信されてくる約定データを受信する。
それから、約定データ受取処理手段23により、発注システム70から、市場システム80で約定したカット目的の注文についての約定データ(注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、売買区分データ、約定数量データ(約定株数データ)、約定価格データ(約定単価データ)、約定日・約定時間データ等を含む。)を受け取り、受け取った約定データを、同一の注文識別情報を付された元の買い注文または元の売り注文についての注文データと関連付けて(注文識別情報と関連付けて)注文データ記憶手段40(図2参照)に記憶させる(ステップS13)。
以上により、株式売買注文処理システム10による処理を終了する(ステップS14)。なお、図3のフローチャートは、ある任意の1つの注文について行われる一連の処理を説明するために、便宜上、ある任意の1つの注文についての処理の流れを示したものである。従って、新たな注文の受付からその注文についての約定データの受取までの処理(ステップS2〜S4)は、他の注文がステップS6〜S11のループ処理の最中であっても実行される。
図6には、元の注文が買い注文で、カット目的の注文が売り注文であり、カット用差額を一定とする場合(カット価格指定方法種別=1,2,4)の具体的数値例が示されている。約定価格データ=1,150円で、これが基準価格データの初期値として設定され、カット用差額データ=150円(一定)が入力または算出されているものとする。
基本的には、(A)今回取得時価が上昇しているときに、(E)カット価格も追随させて上昇させるということであるが、詳細には、次のようなルールとなる。なお、(B)前回取得時価は、処理に使用していないが、参考で記載してある。
第1のルールでは、「(A)今回取得時価≦(E)カット価格」または「(A)今回取得時価<(E)カット価格」のとき、カット目的の売り注文を発注する。
第2のルールでは、「(A)今回取得時価>(E)カット価格」または「(A)今回取得時価≧(E)カット価格」であり、かつ、「(A)今回取得時価>(C)基準価格」のとき、(C)基準価格を、(A)今回取得時価と同一の値で更新する(上昇させる)とともに、(E)カット価格も、「(A)今回取得時価−(D)カット用差額」の値で更新する(上昇させる)。
第3のルールでは、「(A)今回取得時価>(E)カット価格」または「(A)今回取得時価≧(E)カット価格」であり、かつ、「(A)今回取得時価≦(C)基準価格」のとき、(C)基準価格も、(E)カット価格も維持する。従って、(A)今回取得時価が下落しているときは、(E)カット価格は、追随させて下降させるのではなく、維持し、また、(A)今回取得時価が上昇しても、(C)基準価格を超えない限り、(E)カット価格は、維持する。
図6に示すように、時価データが1,430円から1,500円に上昇した時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=1,430円、カット価格データ=1,280円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=1,500円であり、これは基準価格データ=1,430円を超えているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、1,430円から1,500円へ更新するとともに、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、1,280円から1,350円へ更新する。
これに対し、時価データが1,500円から1,450円へ下落した時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=1,500円、カット価格データ=1,350円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=1,450円であり、これは基準価格データ=1,500円よりも小さいので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データは、1,500円でそのまま維持する。また、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データも、1,350円でそのまま維持する。
また、時価データが1,450円から再び上昇して1,470円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=1,500円、カット価格データ=1,350円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=1,470円であり、これは基準価格データ=1,500円よりも小さいので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データは、1,500円でそのまま維持する。また、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データも、1,350円でそのまま維持する。従って、時価データが上昇したとしても、時価データが基準価格データを超えない限り、基準価格データは更新されず、カット価格データも更新されない。
なお、時価データが1,470円から再び下落しているので、時価データ=1470円は、直近の高値となっているが、上述したように、1,500円を超えているわけではないことから、この1470円は基準価格データにはならない。従って、直近の高値が、基準価格データになるというわけではない。
その後、時価データが上昇して1,540円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=1,500円、カット価格データ=1,350円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=1,540円であり、これは基準価格データ=1,500円を超えているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、1,500円から1,540円へ更新するとともに、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、1,350円から1,390円へ更新する。
さらに、時価データが上昇して1,560円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=1,540円、カット価格データ=1,390円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=1,560円であり、これは基準価格データ=1,540円を超えているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、1,540円から1,560円へ更新するとともに、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、1,390円から1,410円へ更新する。
それから、時価データが下落して1,400円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=1,560円、カット価格データ=1,410円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=1,400円であり、これはカット価格データ=1,410円を下回っているので、カット目的の売り注文の発注処理を行う。
図7には、元の注文が買い注文で、カット目的の注文が売り注文であり(図6と同様)、カット用差額を更新する場合(カット価格指定方法種別=3,5)の具体的数値例が示されている。前述した図6の場合(カット価格指定方法種別=1,2,4)における第1〜第3のルールは、そのまま適用されるが、(D)カット用差額が一定値ではなく、更新される点が異なる。カット用差額データの初期値は、150円であり、カット用差額割合データ=13%が入力または算出されているものとする。
図7において、時価データが1,430円から1,500円に上昇した時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=1,430円、カット用差額データ=186円、カット価格データ=1,244円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=1,500円であり、これは基準価格データ=1,430円を超えているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、1,430円から1,500円へ更新する。また、時価データ(更新後の基準価格データ)=1,500円に、カット用差額割合データ=13%を乗じることにより、新たなカット用差額データ=1,500円×13%=195円を算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを、186円から195円へ更新する。さらに、時価データ(更新後の基準価格データ)=1,500円から、算出した新たなカット用差額データ=195円を減じることにより、新たなカット価格データ=1,500円−195円=1,305円を算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、1,244円から1,305円へ更新する。
図8には、元の注文が売り注文で、カット目的の注文が買い注文であり、カット用差額を一定とする場合(カット価格指定方法種別=6,7,9)の具体的数値例が示されている。約定価格データ=1,150円で、これが基準価格データの初期値として設定され、カット用差額データ=150円(一定)が入力または算出されているものとする。
基本的には、(A)今回取得時価が下落しているときに、(E)カット価格も追随させて下降させるということであるが、詳細には、次のようなルールとなる。なお、(B)前回取得時価は、処理に使用していないが、参考で記載してある。
第1のルールでは、「(A)今回取得時価≧(E)カット価格」または「(A)今回取得時価>(E)カット価格」のとき、カット目的の買い注文を発注する。
第2のルールでは、「(A)今回取得時価<(E)カット価格」または「(A)今回取得時価≦(E)カット価格」であり、かつ、「(A)今回取得時価<(C)基準価格」のとき、(C)基準価格を、(A)今回取得時価と同一の値で更新する(下降させる)とともに、(E)カット価格も、「(A)今回取得時価+(D)カット用差額」の値で更新する(下降させる)。
第3のルールでは、「(A)今回取得時価<(E)カット価格」または「(A)今回取得時価≦(E)カット価格」であり、かつ、「(A)今回取得時価≧(C)基準価格」のとき、(C)基準価格も、(E)カット価格も維持する。従って、(A)今回取得時価が上昇しているときは、(E)カット価格は、追随させて上昇させるのではなく、維持し、また、(A)今回取得時価が下落しても、(C)基準価格を下回らない限り、(E)カット価格は、維持する。
図8に示すように、時価データが870円から800円に下落した時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=870円、カット価格データ=1,020円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=800円であり、これは基準価格データ=870円を下回っているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、870円から800円へ更新するとともに、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、1,020円から950円へ更新する。
これに対し、時価データが800円から850円へ上昇した時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=800円、カット価格データ=950円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=850円であり、これは基準価格データ=800円よりも大きいので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データは、800円でそのまま維持する。また、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データも、950円でそのまま維持する。
また、時価データが850円から再び下落して830円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=800円、カット価格データ=950円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=830円であり、これは基準価格データ=800円よりも大きいので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データは、800円でそのまま維持する。また、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データも、950円でそのまま維持する。従って、時価データが下落したとしても、時価データが基準価格データを下回らない限り、基準価格データは更新されず、カット価格データも更新されない。
なお、時価データが830円から再び上昇しているので、時価データ=830円は、直近の安値となっているが、上述したように、800円を下回っているわけではないことから、この830円は基準価格データにはならない。従って、直近の安値が、基準価格データになるというわけではない。
その後、時価データが下落して760円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=800円、カット価格データ=950円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=760円であり、これは基準価格データ=800円を下回っているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、800円から760円へ更新するとともに、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、950円から910円へ更新する。
さらに、時価データが下落して740円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=760円、カット価格データ=910円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=740円であり、これは基準価格データ=760円を下回っているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、760円から740円へ更新するとともに、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、910円から890円へ更新する。
それから、時価データが上昇して900円になった時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=740円、カット価格データ=890円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=900円であり、これはカット価格データ=890円を超えているので、カット目的の買い注文の発注処理を行う。
図9には、元の注文が売り注文で、カット目的の注文が買い注文であり(図8と同様)、カット用差額を更新する場合(カット価格指定方法種別=8,10)の具体的数値例が示されている。前述した図8の場合(カット価格指定方法種別=6,7,9)における第1〜第3のルールは、そのまま適用されるが、(D)カット用差額が一定値ではなく、更新される点が異なる。カット用差額データの初期値は、150円であり、カット用差額割合データ=13%が入力または算出されているものとする。
図9において、時価データが870円から800円に下落した時点では、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データ=870円、カット用差額データ=113円、カット価格データ=983円となっている。このとき、時価データ取得処理手段27により取得した時価データ=800円であり、これは基準価格データ=870円を下回っているので、注文データ記憶手段40に記憶されている基準価格データを、870円から800円へ更新する。また、時価データ(更新後の基準価格データ)=800円に、カット用差額割合データ=13%を乗じることにより、新たなカット用差額データ=800円×13%=104円を算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット用差額データを、113円から104円へ更新する。さらに、時価データ(更新後の基準価格データ)=800円に、算出した新たなカット用差額データ=104円を加算することにより、新たなカット価格データ=800円+104円=904円を算出し、注文データ記憶手段40に記憶されているカット価格データを、983円から904円へ更新する。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、株式売買注文処理システム10は、買い注文後のカット設定を行う場合に、時価データ取得処理手段27により時価データを繰り返し取得し、基準価格・カット価格更新処理手段30により、時価データの上昇に追随させてカット価格データを上昇させる更新処理を行う一方で、時価データが下降してもカット価格データを維持する構成とされているので、市場の状況に応じて、買い注文後のカット目的の売り注文を、最適の条件およびタイミングで市場へ発注することができる。
同様に、株式売買注文処理システム10は、売り注文後のカット設定を行う場合に、時価データ取得処理手段27により時価データを繰り返し取得し、基準価格・カット価格更新処理手段30により、時価データの下落に追随させてカット価格データを下降させる更新処理を行う一方で、時価データが上昇してもカット価格データを維持する構成とされているので、市場の状況に応じて、売り注文後のカット目的の買い注文を、最適の条件およびタイミングで市場へ発注することができる。
また、株式売買注文処理システム10は、カット価格データを設定する際の基準となる株価を示す基準価格データを設定し、買い注文後のカット設定を行う場合に、基準価格・カット価格更新処理手段30により、時価データが上昇していても、時価データが基準価格データを超えない限りは、カット価格データを上昇させる更新処理を行わない構成、すなわち時価データが基準価格データを超えたときに初めて基準価格データおよびカット価格データを上昇させる更新処理を行う構成とされているので、一旦、時価データがカット条件を満たさない範囲内で少しだけ下降し、再び、上昇するなど、時価データが細かく変動する場合であっても、カット価格データを適切な値に設定しておくことができる。
同様に、株式売買注文処理システム10は、カット価格データを設定する際の基準となる株価を示す基準価格データを設定し、売り注文後のカット設定を行う場合に、基準価格・カット価格更新処理手段30により、時価データが下落していても、時価データが基準価格データ未満にならない限りは、カット価格データを下降させる更新処理を行わない構成、すなわち時価データが基準価格データ未満になったときに初めて基準価格データおよびカット価格データを下降させる更新処理を行う構成とされているので、一旦、時価データがカット条件を満たさない範囲内で少しだけ上昇し、再び、下落するなど、時価データが細かく変動する場合であっても、カット価格データを適切な値に設定しておくことができる。
さらに、株式売買注文処理システム10は、顧客または入力代行者の選択で、基準価格・カット価格更新処理手段30により、カット用差額割合を一定に保つ状態でカット用差額を更新していきながらカット価格データを更新する処理(例えば、図7の場合等)を行うこともできる構成とされているので、買い注文後のカット設定を行う場合に、基準価格データが大きな値となったときには、それに伴って基準価格データとカット価格データとの差額を示すカット用差額データを大きくする(差額の幅を拡げる)設定を実現することができる。従って、時価データの値が大きくなれば、通常、時価データの変動幅も大きくなる傾向があるので、それに見合ったカット用差額データを設定することができる。つまり、一旦、下降し始めた時価データが、カット価格データに達しないうちに再び上昇に転じて基準価格データを更新する場合があるが、時価データの値が大きくなり、時価データの変動幅が大きくなってくれば、このような場合の許容幅(時価が下降してもよい幅)も大きくしておいてもよいということになるので、そのような処理を実現することができる。
同様に、株式売買注文処理システム10は、顧客または入力代行者の選択で、基準価格・カット価格更新処理手段30により、カット用差額割合を一定に保つ状態でカット用差額を更新していきながらカット価格データを更新する処理(例えば、図9の場合等)を行うこともできる構成とされているので、売り注文後のカット設定を行う場合に、基準価格データが小さな値となったときには、それに伴って基準価格データとカット価格データとの差額を示すカット用差額データを小さくする(差額の幅を狭める)設定を実現することができる。従って、時価データの値が小さくなれば、通常、時価データの変動幅も小さくなる傾向があるので、それに見合ったカット用差額データを設定することができる。つまり、一旦、上昇し始めた時価データが、カット価格データに達しないうちに再び下落に転じて基準価格データを更新する場合があるが、時価データの値が小さくなり、時価データの変動幅が小さくなってくれば、このような場合の許容幅(時価が上昇してもよい幅)も小さくしておいてもよいということになるので、そのような処理を実現することができる。
なお、株式売買注文処理システム10では、時価データが、一旦、利益が生じる方向に動いた場合には、基準価格データを変更し、変更後の基準価格データを基準として時価データの利益減少方向への動きを監視することができるが(時価データが約定価格データを跨ぐことにより、途中から損失増加方向への動きを監視することになる場合もある。)、時価データが、最初から、損失が生じる方向に動いた場合には、専ら時価データの損失増加方向への動きを監視することになるので、従来から行われている、いわゆる損切り(ロスカット)の目的での売買処理も併せて実現することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
すなわち、前記実施形態では、カット目的の注文は、成行注文で発注される構成とされていたが、指値注文で発注される構成としてもよい。
また、前記実施形態では、元の注文の株数またはその約定株数と、カット目的の注文の株数とを同じにする構成とされていたが、これに限定されるものではなく、カット目的の注文の株数を、元の注文の株数またはその約定株数の一部としてもよい。