JP5333115B2 - ファームウエア更新装置およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、コンサートホールまたはレコーディングスタジオ等における音声信号のミキシングに用いて好適なファームウエア更新装置およびプログラムに関する。
近年、コンサートホールまたはレコーディングスタジオ等における音響信号処理システムにおいては、システムを構成する各機器(デバイス)間でネットワークを介して音声信号および制御信号のやりとりをするものが知られている。その一例が特許文献1に開示されている。システムを構成するデバイスは、ユーザが操作を行うためのコンソール、音声信号に対してミキシングなどの処理を行うエンジン、およびマイクやスピーカ等を制御するI/Oユニットなどであり、これらは何れもCPUによって制御され、そのためのファームウエアを記憶するメモリが設けられている。これらファームウエアは、しばしば、バグの修正や新機能の追加のためにアップデートされることがある。デバイスのメーカーは、インターネット等を介して最新のファームウエアを提供するが、実際にこれをダウンロードしてファームウエアをアップデートするか否かは機器の所有者が独自に判断することである。
各デバイスのファームウエアのバージョンアップを行うにあたっては、不整合(コンフリクト)が生じないように実行する必要がある。例えば、コンソールおよびエンジンのファームウエアのバージョンが共に「1.00」であれば、コンソールおよびエンジンは正常に動作し、これらファームウエアのバージョンが共に「2.00」であっても、両者は正常に動作するものとする。しかし、例えばコンソールのファームウエアのバージョンが「1.00」であるのに対して、エンジンのファームウエアのバージョンが「2.00」であれば、正常に動作しない場合がある。デバイスのメーカーがインターネット等を介して最新版のファームウエアを提供する場合、当然その点は考慮されており、全てのデバイスに対して最新版のファームウエアを適用する限りにおいては、ファームウエアにコンフリクトが生じる余地が無いようにしている。
特開2008−17084号公報
しかし、メーカーから各デバイスの最新のファームウエアが提供されている場合であっても、ユーザが全てのデバイスのファームウエアを最新バージョンに揃えることを望まない場合(または揃えることができない場合)がある。これは、概ね次のような理由によるものである。
(1)まず、最新バージョンのファームウエアには、過去のバージョンにはなかったバグが混入する場合がある。この結果、過去のバージョンにて常用していた機能が使えなくなる場合には、ユーザはファームウエアのバージョンアップを望まないものである。
(2)また、最新バージョンにバグが混入しているか否かが明確ではなかったとしても、その危険は常に存在する。例えばコンサートの本番が直近に迫っているタイミングでは、古いバージョンのファームウエアが安定して動作しているのであれば、ユーザは古いバージョンのまま使い続ける事を要望する場合が多い。
(3)また、多数のデバイスのバージョンアップには長時間を要するという問題がある。すなわち、デバイス一台あたりのアップデート時間はさほど長くはないが、大規模なイベントにおいては、数百台のデバイスが使用される。このような場合、必要な全てのデバイスを業者が所有しているという事は稀であり、大抵の場合は複数のレンタル会社からデバイスを借用することになる。これらのデバイスは、そもそも所有者(レンタル会社)が異なるため、ファームウエアの整合性が確保できている保障はない。通常は、レンタル費用を抑制するために、デバイスの借用はコンサート等の直前であることが多く、ファームウエアのバージョンアップのために充分な時間を確保することができない。
(4)さらに、借用したデバイスのファームウエアをバージョンアップすることについて、所有者(レンタル会社)の了解が得られない場合がある。
上述したような理由により、音響信号処理システムを構成する全てのデバイスのファームウエアを最新バージョンに揃えるのではなく、ファームウエアのアップデートをコンフリクトが生じない範囲に抑えるという要望は従来から存在した。しかし、これを実現するためには、コンフリクトが生じないようにユーザがファームウエアのバージョンを管理する必要があり、この事はユーザにとってきわめて煩雑であった。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ファームウエアの部分的なバージョンアップを簡易かつ確実に行うことができるファームウエア更新装置およびプログラムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載のファームウエア更新装置にあっては、各々が複数のデバイス種別のうち何れかに分類され相互にネットワークを介して音声信号を送信または受信する複数の音響処理デバイス(1502〜1510)と通信し、これら各音響処理デバイス(1502〜1510)に記憶され各々の音響処理デバイスを制御する制御プログラムであるファームウエアを更新するファームウエア更新装置(1000)であって、ユーザの操作に基づいて、前記複数の音響処理デバイスのうち一の音響処理デバイスをリファレンス・デバイスとして指定するリファレンス・デバイス指定手段(154)と、前記各音響処理デバイスに記憶されているファームウエアのバージョン番号を前記各音響処理デバイスから取得するバージョン番号取得手段(SP8)と、前記各ファームウエアのバージョン番号の組み合わせのうち整合性のある組み合わせを定めるマッチングテーブル(70)を記憶するマッチングテーブル記憶手段(24)と、前記リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアを基準として、前記マッチングテーブル(70)に規定された整合性を満たしていないファームウエアを記憶している音響処理デバイスを特定する表示を行う不整合デバイス表示手段(156)と、ユーザの操作に基づいて、前記複数のデバイス種別のうちファームウエアの更新対象となるデバイス種別を指定する更新対象種別選択手段(172)と、前記更新対象種別選択手段(172)によって選択されたデバイス種別に属する一または複数の音響処理デバイスに対して、前記ファームウエアを更新すべき旨を指令するアップデートコマンドを送信するファームウエア更新指令手段(SP32,SP34)とを具備することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載のファームウエア更新装置において、前記複数の音響処理デバイスは、各々が複数のデバイスグループのうち何れかに属するものであり、ユーザの操作に基づいて、前記複数のデバイスグループのうち前記ファームウエアの更新対象となる一のデバイスグループを指定するデバイスグループ指定手段(152)をさらに具備し、前記ファームウエア更新指令手段(SP32,SP34)は、前記デバイスグループ指定手段(152)によって指定されたデバイスグループに属する音響処理デバイスであって、かつ、前記更新対象種別選択手段(172)によって選択されたデバイス種別に属する一または複数の音響処理デバイスに対して、前記アップデートコマンドを送信するものであることを特徴とする。
さらに、請求項3記載の構成にあっては、請求項1記載のファームウエア更新装置において、前記マッチングテーブル(70)に基づいて、前記リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアに対して整合性を有する一または複数のバージョン番号を前記デバイス種別毎に列挙するとともに、列挙されたバージョン番号の中からアップデート先のバージョン番号である一のバージョン番号を前記各デバイス種別毎にユーザ操作に基づいて選択するバージョン番号選択手段(178)をさらに具備することを特徴とする。
また、請求項4記載のプログラムにあっては、各々が複数のデバイス種別のうち何れかに分類され相互にネットワークを介して音声信号を送信または受信する複数の音響処理デバイス(1502〜1510)と通信し、これら各音響処理デバイス(1502〜1510)に記憶され各々の音響処理デバイスを制御する制御プログラムであるファームウエアを更新するファームウエア更新装置(1000)に適用されるプログラムであって、前記ファームウエア更新装置(1000)は、処理装置(10)と、前記各ファームウエアのバージョン番号の組み合わせのうち整合性のある組み合わせを定めるマッチングテーブル(70)を記憶するマッチングテーブル記憶手段(24)とを有するものであり、ユーザの操作に基づいて、前記複数の音響処理デバイスのうち一の音響処理デバイスをリファレンス・デバイスとして指定するリファレンス・デバイス指定過程(154)と、前記各ファームウエアのバージョン番号を前記各音響処理デバイスから取得するバージョン番号取得過程(SP8)と、前記リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアを基準として、前記マッチングテーブル(70)に規定された整合性を満たしていないファームウエアを記憶している音響処理デバイスを特定する表示を行う不整合デバイス表示過程(156)と、ユーザの操作に基づいて、前記複数のデバイス種別のうちファームウエアの更新対象となるデバイス種別を指定する更新対象種別選択過程(172)と、前記更新対象種別選択過程(172)によって選択されたデバイス種別に属する一または複数の音響処理デバイスに対して、前記ファームウエアを更新すべき旨を指令するアップデートコマンドを送信するファームウエア更新指令過程(SP32,SP34)とを前記処理装置(10)に実行させることを特徴とする。
本発明によれば、不整合デバイス表示手段は、リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアを基準として、マッチングテーブルに規定された整合性を満たしていないファームウエアを記憶している音響処理デバイスを特定する表示を行うから、ユーザは、コンフリクトが生じている音響処理デバイスを一見して把握することができる。
また、バージョン番号選択手段を有する構成によれば、リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアに対して整合性を有する一または複数のバージョン番号をデバイス種別毎に列挙するとともに、列挙されたバージョン番号の中からアップデート先のバージョン番号である一のバージョン番号を各デバイス種別毎にユーザ操作に基づいて選択するから、ユーザはコンフリクトの生じないバージョンのファームウエアを確実に選択することができる。
本発明の一実施例の音響信号処理システムの全体構成を示すブロック図である。 ネットワーク構成および各デバイスの詳細構成を示すブロック図である。 PC(パーソナルコンピュータ)1000のブロック図である。 ファームウエアのモジュール構成の説明図である。 PC1000に表示されるデバイスグループ設定ウィンドウ100を示す図である。 PC1000に表示されるウィンドウ150を示す図である。 リファレンス変更イベント処理ルーチンのフローチャートである。 アップデート開始イベント処理ルーチンのフローチャートである。
1.実施例の構成
1.1.全体構成
次に、本発明の一実施例の音響信号処理システムの全体構成を図1を参照し説明する。本実施例の音響信号処理システムは複数のデバイスをネットワークで接続することによって構成されている。これらのデバイスは、「コンソール」、「エンジン」または「I/Oユニット」の3種類の「デバイス種別」うち何れかに分類される。「コンソール」とは、ユーザが操作するフェーダ、ノブなどを多数備えており、主としてこれらの操作状態に基づく制御信号をネットワークを介して出力するものである。また、「エンジン」とは、主としてネットワークを介して供給された音声信号に対して、上記コンソールから供給された制御信号に基づいて、ミキシング処理やイコライジング処理を行い、その結果をネットワークを介して出力するものである。また、「I/Oユニット」は、マイク等から入力された音声信号をパケットに変換してネットワークを介して出力するとともに、ネットワークを介して供給されたパケットを音声信号に変換し、アンプを介してスピーカに供給するものである。
図1の例において、1502,1510,1606はコンソール、1504,1604はエンジン、1506,1508,1602はI/Oユニットである。これらのデバイス1502〜1510,1602〜1606は、何れもネットワークに接続するために1枚または2枚のネットワーク・カードを装着する必要がある。そのため、ネットワーク・カードを装着するためのスロットとして、第1および第2スロット(Slot 1, Slot 2)が設けられている。ここで、各々の第1スロットを介して接続された一群のデバイスを「デバイスグループ」と呼ぶ。図示の例においては、デバイス1502〜1510は各々の第1スロットを介して接続されているから、デバイスグループを構成し、これを「第1デバイスグループ1500」と呼ぶ。同様に、デバイス1602〜1606は、第2デバイスグループ1600を構成している。
また、コンソール1510およびI/Oユニット1602は、第1スロットのみならず第2スロットにもネットワーク・カードが装着されており、この第2スロットを介してパケットを送受信する。このように、第2スロットを介してパケットを送受信するデバイスの状態を「パーシャルブリッジを構成する」という。第1,第2デバイスグループ1500,1600は、各々あるまとまった範囲の音声信号を処理するものであり、例えば各々が「100チャンネル」の音声信号を処理するものであるとする。両デバイスグループが協同するためには、相互に音声信号を入出力する必要があるが、全ての音声信号を相互に供給する必要はなく、一部の音声信号、例えば相互に「10チャンネル」の音声信号を供給すれば協同できる。このように、デバイスグループ間で入出力される音声信号は部分的(パーシャル)であるため、「パーシャルブリッジ」と称している。
パーシャルブリッジを経由して接続された複数のデバイスグループは「ゾーン」を形成する。図示の例においては、第1,第2デバイスグループ1500,1600によってゾーン1400が形成されている。但し、一のゾーンに属するデバイスグループの数は「3」以上にすることも可能である。この場合、各デバイスグループに属する各一のデバイスにおいて第2スロットにもネットワーク・カードを装着し、これら第2スロットのネットワーク・カードを相互に接続すればよい。デバイスグループは、様々な「まとまった役割」(例えばバックコーラスのミキシング、楽器音のミキシングなど)を果たすように構成する他、デバイスの所有者(例えば業者自身、レンタル会社A、レンタル会社Bなど)毎にまとめて構成すると好適である。
1000はPC(パーソナルコンピュータ)であり、任意のデバイスに接続することができる。PC1000は、接続されたデバイスを介して、ゾーン全体の情報(例えば、ゾーン1400に接続されている全てのデバイスにおけるファームウエアのバージョン情報)を取得することができ、ゾーン1400に属する任意のデバイスに対して、アップデートコマンド(ファームウエアのバイナリデータとともに、ファームウエアのアップデートを指令するコマンド)を送信することができる。PC1000に接続されているデバイスが属していない他のデバイスグループの情報取得、および当該他のデバイスグループに対するアップデートコマンドの送信は、パーシャルブリッジを経由して実現されることになる。なお、本実施例にいう「アップデート」とは、ファームウエアを新しいバージョンに更新することのみならず、ファームウエアを古いバージョンに戻すこと(いわゆるダウンデート)も含む概念である。
1.2.ネットワーク構成
本実施例において、各デバイスグループに属するデバイスは、第1スロットに装着されたネットワーク・カードが相互に接続されることにより、トークンリング形式のネットワークを構成する。第1デバイスグループ1500におけるネットワーク1520の構成例を図2(a)に示す。トークンリング形式のネットワークにおいては、何れか一つのデバイス(図示の例ではI/Oユニット1508)がマスタノードになり、「トークン」と呼ばれる信号を発生させる。このトークンは、第1デバイスグループ1500に属する各デバイスに所定の順序で循環的に伝送される。
ここで、データの送信権はトークンを得たデバイスのみが有する。すなわち、データを送信しようとするデバイスは、まず空いているトークンを捕捉し、それをフレームに変えてデータを搭載して送信する。各デバイスでは、回ってくるフレームが監視され、受信先として自機のアドレスが指定されている場合にのみ、その内容を取り込み、自機宛ではないフレームについては、そのまま次のノードに回すようになっている。これにより、データの衝突が起きることなく、各デバイス間でデータ通信を行うことができる。以上、第1デバイスグループ1500のネットワーク構成について説明したが、第2デバイスグループ1600のネットワークも同様に構成されており、さらにパーシャルブリッジを構成するデバイス相互間においても、第2スロットに装着されたネットワーク・カードを接続することにより同様にトークンリング形式のネットワークが形成されている。このように、パーシャルブリッジを介して複数のネットワークを相互接続することにより、デバイスグループ相互間のデータ交換を行うことも可能になっている。
1.3.各デバイスの構成
次に、各デバイスの詳細構成を説明する。まず、「コンソール」の構成を図1(b)を参照し説明する。図において1110はパネル表示部であり、大型のドットマトリクスディスプレイおよびタッチパネルによって構成され、ユーザに対して各種情報を表示する。1112はパネル操作子部であり、ノブ、ボタンなどの操作子から構成されている。1122は電動フェーダであり、入出力チャンネルの音量調整などに用いられる。1116はメモリであり、フラッシュROMおよびRAMから構成され、フラッシュROMにはコンソールの制御プログラムであるファームウエアが記憶される。1114はCPUであり、該ファームウエアに基づいて、CPUバス1120を介してコンソール内の各部を制御する。1118はPCIO部であり、PC1000と通信するためのインタフェースが設けられている。1124は音声I/O部であり、作業員間の通信用、モニタ信号などの小規模な音声信号の入出力を行う。
1126はネットワークI/O部であり、上述した第1および第2スロットが設けられており、これらのスロットにネットワーク・カードを装着することにより、一または二のネットワークを介して他のデバイスとの間でデータを送受信することができる。すなわち、ネットワークI/O部1126においては、CPUバス1120から供給された制御信号およびオーディオ・バス1130から供給された音声信号等をパケットに変換し、ネットワークに送信するとともに、ネットワークから供給されたパケットを制御信号または音声信号に変換し、CPUバス1120またはオーディオ・バス1130を介して出力する。
次に、「エンジン」の構成を図1(c)を参照し説明する。1212はメモリであり、フラッシュROMおよびRAMから構成され、フラッシュROMにはエンジンの制御プログラムであるファームウエアが記憶される。1210はCPUであり、該ファームウエアに基づいて、CPUバス1220を介してエンジン内の各部を制御する。1214はPCIO部であり、PC1000と通信するためのインタフェースが設けられている。1216は簡易UI部であり、ユーザに操作される操作子とユーザに各種情報を表示する表示器とから構成されている。1218は音声I/O部であり、作業員間の通信用の小規模な音声信号の入出力を行う。1222はDSPであり、オーディオ・バス1230を介して受信した音声信号に対してミキシング処理あるいはイコライジング処理等を施し、その結果をオーディオ・バス1230を介して出力する。このDSP1222を制御するためのマイクロプログラムも上記ファームウエアに含まれている。
1226はネットワークI/O部であり、上述した第1および第2スロットが設けられており、これらのスロットにネットワーク・カードを装着することにより、一または二のネットワークを介して他のデバイスとの間でデータを送受信することができる。すなわち、ネットワークI/O部1226においては、CPUバス1220から供給された制御信号およびオーディオ・バス1230から供給された音声信号等をパケットに変換し、ネットワークに送信するとともに、ネットワークから供給されたパケットを制御信号または音声信号に変換し、CPUバス1220またはオーディオ・バス1230を介して出力する。
次に、「I/Oユニット」の構成を図1(d)を参照し説明する。1312はメモリであり、フラッシュROMおよびRAMから構成され、フラッシュROMにはI/Oユニットの制御プログラムであるファームウエアが記憶される。1310はCPUであり、該ファームウエアに基づいて、CPUバス1320を介してI/Oユニット内の各部を制御する。1314はPCIO部であり、PC1000と通信するためのインタフェースが設けられている。1316は簡易UI部であり、ユーザに操作される操作子とユーザに各種情報を表示する表示器とから構成されている。1324は音声I/O部であり、オーディオ・バス1330を介して受信した音声信号をアナログ信号または対象とするアンプに適合するデジタル信号にに変換し出力する一方、マイク等から入力された音声信号をデジタル信号に変換し、オーディオ・バス1330を介してネットワークI/O部1326に供給する。
1326はネットワークI/O部であり、上述した第1および第2スロットが設けられており、これらのスロットにネットワーク・カードを装着することにより、一または二のネットワークを介して他のデバイスとの間でデータを送受信することができる。すなわち、ネットワークI/O部1326においては、CPUバス1320から供給された制御信号およびオーディオ・バス1330から供給された音声信号等をパケットに変換し、ネットワークに送信するとともに、ネットワークから供給されたパケットを制御信号または音声信号に変換し、CPUバス1320またはオーディオ・バス1330を介して出力する。
1.4.PCの構成
次に、PC1000の構成を図3を参照し説明する。
図において、2は通信インタフェースであり、ファームウエアのダウンロード等のためにインターネットを介してファイルサーバ等と通信するとともに、ゾーン1400の制御のために任意のデバイスのPCIO部1118,1214,1314と通信するために設けられている。4は入力装置であり、文字入力用キーボードおよびマウス等から構成されている。8はディスプレイであり、ユーザに対して各種情報を表示する。10はCPUであり、後述するプログラムに基づいて、CPUバス16を介して他の構成要素を制御する。12はROMであり、イニシャルプログラムローダ等が記憶されている。18はリムーバルディスクドライブ装置であり、CD−ROM、MO等のリムーバルディスク20に対して読出し/書込みを行う。24はハードディスクであり、オペレーティングシステム、ゾーン1400内のデバイスのファームウエア、これらファームウエアをアップデートするためのアプリケーションプログラム等が格納される。30はRAMであり、CPU10のワークメモリとして用いられる。
2.ファームウエアの構成
2.1.デバイス内のファームウエア・モジュール構成
上述したように、各デバイスのメモリ1116,1212,1312(フラッシュROM)には各々のデバイスを制御するファームウエアが記憶されているが、これらのファームウエアは、各々複数のモジュールから構成されている。その内容を図4(a)を参照し説明する。まず、コンソール内のファームウエア40は、パネル操作子部1112および電動フェーダ1122等を制御するパネルモジュール41と、パネル表示部1110等を制御するディスプレイモジュール44と、第1,第2スロットに装着されたネットワーク・カードを制御するネットワークモジュール46,48と、その他の制御を行うCPUモジュール42とから構成されている。
また、エンジン内のファームウエア50は、DSP1222のマイクロプログラムであるDSPモジュール54と、第1,第2スロットに装着されたネットワーク・カードを制御するネットワークモジュール56,58と、その他の制御を行うCPUモジュール52とから構成されている。また、I/Oユニット内のファームウエア60は、音声I/O部1324の機能を制御する音声I/Oモジュール64と、第1,第2スロットに装着されたネットワーク・カードを制御するネットワークモジュール66,68と、その他の制御を行うCPUモジュール62とから構成されている。
なお、図4(a)の例においては、何れのデバイスも第1および第2スロットの双方にネットワーク・カードが装着されているものと仮定しているが、第2スロットにネットワーク・カードが装着されていない場合には、対応するモジュール48,58,68はこれらのデバイス内のファームウエアには含まれない。また、これらのデバイスにおいては、それぞれ伝送容量の異なる(例えば1Gbpsおよび2Gbpsの)2種類のネットワーク・カード(以下、タイプAおよびタイプBという)の何れかを選択して装着することができる。従って、ネットワーク・カードの採用態様としては、1枚または2枚のタイプAのネットワーク・カードのみが装着される場合、1枚または2枚のタイプBのネットワーク・カードのみが装着される場合、およびタイプA,Bのネットワーク・カードが各1枚装着される場合が考えられる。
2.2.PC内のファームウエア・モジュール構成
また、PC1000のハードディスク24の所定のフォルダには、各デバイス種別に対応してアップデート用のファームウエアが記憶されており、これらのファームウエアも、各々複数のモジュールから構成されている。その内容を図4(b)を参照し説明する。まず、コンソール用のファームウエア240には、上述したコンソール内のファームウエア40におけるモジュール41,42,44に各々対応して、これらをアップデートするためのパネルモジュール241と、CPUモジュール242と、ディスプレイモジュール244とが含まれている。また、ファームウエア240には、タイプA,Bのネットワーク・カードに対応して、タイプA用ネットワークモジュール246と、タイプB用ネットワークモジュール248とが含まれている。
ネットワークモジュール246,248の双方が必要か否かは実際のデバイス(この場合はコンソール)の構成に応じて異なるが、PC1000に含まれるモジュールには、必要となる可能性のあるモジュールが全て含まれており、実際にデバイスのファームウエアをアップデートする際には、必要なモジュールのみが選択され各デバイスに転送される。ファームウエア240内の各モジュール241〜248は、各々異なった事情によってアップデートされるため、図示のように、これらの個別のモジュールのバージョン番号(例えば「1.0」、「2.0」、「1.5」など)は区々としている。また、図示のように、コンソール用のファームウエア240には、「2.0」のバージョン番号が付与されている。このバージョン番号は、換言すれば、図示のモジュール241〜248全体の集合に対して付与されているバージョン番号である。
また、エンジン用のファームウエア250には、上述したエンジン内のファームウエア50におけるモジュール52,54に各々対応して、これらをアップデートするためのCPUモジュール252と、DSPモジュール254とが含まれており、さらにタイプA,B用のネットワークモジュール256,258が含まれている。なお、ネットワークモジュール256,258は、上述したコンソール用のネットワークモジュール246,248と同様のものである。そして、エンジン用のファームウエア250に対して(換言すればエンジン用のモジュール全体の集合に対して)、「2.5」というバージョン番号が付与されている。
また、I/Oユニット用のファームウエア260には、上述したI/Oユニット内のファームウエア60におけるモジュール62,64に各々対応して、これらをアップデートするためのCPUモジュール262と、音声I/Oモジュール264とが含まれており、さらにタイプA,B用のネットワークモジュール266,268が含まれている。なお、ネットワークモジュール266,268は、上述したコンソール用のネットワークモジュール246,248と同様のものである。そして、I/Oユニット用のファームウエア260に対して(換言すればI/Oユニット用のモジュール全体の集合に対して)、「1.5」というバージョン番号が付与されている。上述した各モジュール毎のバージョン番号および各デバイス毎のモジュールの集合としてのバージョン番号は、ファームウエアをアップデートする際にPC1000から各デバイスに送信され、各デバイス内のメモリ1116,1212,1312のフラッシュROMには、これらバージョン番号も記憶される。
2.3.マッチングテーブル
また、PC1000のハードディスク24の上記所定のフォルダには、図4(c)に示すマッチングテーブル70が記憶されている。このテーブルは、各デバイスのファームウエアのバージョン(デバイス単位のバージョン)について、不整合(コンフリクト)が生じない組み合わせを規定したものである。例えば、図4(c)の最上欄によれば、コンソール内のファームウエア40のバージョンが「2.0」であるならば、このコンソールと協働するエンジン内のファームウエア50のバージョンは「2.5」または「2.0」でなければならず、また、このコンソールと協働するI/Oユニット内のファームウエア60のバージョンは「1.5」でなければならない。
3.実施例の動作
3.1.デバイスグループ設定ウィンドウにおける処理
次に、本実施例の動作を説明する。まず、PC1000のハードディスク24には、ゾーン1400内の各デバイスグループの構成を記録したデータ(デバイスグループ・データ)が記憶されている。ユーザが、PC1000にて所定の操作を行うと、デバイスグループ・データを編集するために、図5に示すデバイスグループ設定ウィンドウ100がディスプレイ8に表示される。図5において102はデバイスグループ選択リストボックスであり、設定対象となる一のデバイスグループを選択する。103はデバイス設定欄であり、当該デバイスグループに属するデバイスの一覧が表示される。デバイス設定欄103の内部において104は識別番号表示欄であり、この選択されたデバイスグループに属する各デバイスに対して自動的に付与される、一意の識別番号(ID)を表示する。106はデバイス名表示部であり、各デバイスの名称を表示する。
108はデバイス種別表示部であり、各デバイスの属するデバイス種別を表示する。110はパーシャルブリッジ設定部であり、各デバイスがパーシャルブリッジを構成するデバイスであるか否かを設定するチェックボックスによって構成されている。図示の例においては、「ID=5」のコンソールがパーシャルブリッジを構成する。112はデバイス種別選択部であり、新たに追加しようとするデバイスの種別を選択するラジオボタンから構成されている。114はAddボタンであり、マウスでクリックされると、デバイス種別選択部112において選択された種別のデバイスが現在のデバイスグループに追加される。
116はリネーム・ボタンであり、任意のデバイスの名称を変更するために設けられている。すなわち、ユーザがデバイス設定欄103において任意のデバイスを選択しリネーム・ボタン116をマウスでクリックすると、デバイス名表示部106内の対応するデバイスの欄がテキストボックスに変更され、ユーザは該テキストボックスにおいて当該デバイスの名称を変更することができる。118はリムーブ・ボタンであり、任意のデバイスを削除するために設けられている。すなわち、ユーザがデバイス設定欄103において任意のデバイスを選択しリムーブ・ボタン118をマウスでクリックすると、当該デバイスが現在選択されているデバイスグループから削除される。122はOKボタンであり、マウスでクリックされると、デバイスグループ設定ウィンドウ100における設定内容に基づいてハードディスク24内のデバイスグループ・データが更新され、該ウィンドウ100が閉じられる。120はキャンセル・ボタンであり、マウスでクリックされると、該ウィンドウ100における設定内容が破棄され、デバイスグループ・データが更新されることなく該ウィンドウ100が閉じられる。
図5におけるデバイス設定欄103の内容は、図1に示した第1デバイスグループ1500の構成に対応している。すなわち、IDが「1」〜「5」の各デバイスは、デバイス1502〜1510に対応する。デバイスグループ設定ウィンドウ100は、PC1000のハードディスク24に記憶されているデバイスグループ・データを編集するためのものであるから、実際のデバイスグループの構成と異なるようにデバイスグループ・データを編集することもでき、PC1000が何れのデバイスに接続されていない状態であってもデバイスグループ・データを編集することができる。
その後、ユーザがPC1000を何れかのデバイスに接続し、PC1000において所定の操作を行うと、PC1000内のデバイスグループ・データと実際に構成されているデバイスグループの状態とが照合され、両者に相違がある場合には、何れか一方を修正するようにエラーメッセージがPC1000に表示される。一方、PC1000内のデバイスグループ・データと実際のデバイスグループの状態との間に矛盾が無い場合には、接続されたデバイスを介して、ゾーン1400内の全てのデバイス内のファームウエアのバージョン番号が取得され、その結果がデバイスグループ・データに取り込まれる。
3.2.ファームウエア更新ウィンドウの表示
PC1000内のデバイスグループ・データにゾーン1400内のデバイスのバージョン番号が取り込まれた後、PC1000においてユーザが所定の操作を行うと、図6に示すファームウエア更新ウィンドウ150が表示される。図6において、152はデバイスグループ選択リストボックスであり、ユーザの操作に基づいて、ファームウエア更新の対象となるデバイスグループを選択する。本実施例においては、このデバイスグループ選択リストボックス152を設けたことにより、例えば全てのデバイスのバージョンアップを行う時間が無い場合には、バージョンアップが必要であるデバイスグループのみに対してバージョンアップを行うことができる。また、所有者(レンタル会社)の都合等により、ファームウエアのバージョンアップが禁止されているデバイスについては、そのようなデバイスのみによってデバイスグループを構成しておくことにより、他の(バージョンアップした)デバイスとの間でコンフリクトが生じないようにしておくことができる。
153はデバイス設定欄であり、当該デバイスグループに属するデバイスの一覧が表示される。なお、図6におけるデバイス設定欄153の内容は、図1に示した第1デバイスグループ1500の構成および図4におけるデバイス設定欄103の内容に対応している。デバイス設定欄153の内部において154はリファレンス設定部であり、ユーザの操作に基づいて、デバイスグループ内の任意の一のデバイスを択一的に「リファレンス・デバイス」として設定する。この「リファレンス・デバイス」とは、ファームウエアのバージョンのコンフリクトの有無を判断する際の基準となるデバイスである。156はコンフリクト表示部であり、リファレンス・デバイスに対して、コンフリクトが生じているか否かを表示する。158はデバイス名表示部であり、当該デバイスの名称を表示する。160はデバイス種別表示部であり、当該デバイスの種別を表示する。162はパーシャルブリッジ表示部であり、当該デバイスがパーシャルブリッジを構成する場合には点灯状態になる。164は現バージョン表示部であり、各デバイス内に現時点で記憶されているファームウエアのバージョンを表示する。
ここで、デバイス設定欄153における表示内容について具体的な内容を説明しておく。図示の例においては、リファレンス・デバイスはデバイス設定欄153内の第1行目のデバイスであり、これは「Main Console」なる名称を有し、デバイス種別が「コンソール」である。そして、現バージョン表示部164によれば、そのファームウエアの現在のバージョンは「2.0」である。そして、先に図4(c)に示したマッチングテーブル70によれば、コンソールのファームウエアのバージョンが「2.0」であるならば、該コンソールと協働するエンジンのファームウエアのバージョンは「2.5」または「2.0」でなければならず、該コンソールと協働するI/Oユニットのファームウエアのバージョンは「1.5」でなければならない。
しかし、図示のデバイス設定欄153の第3,第4行目のI/Oユニットのバージョンは「1.2」および「1.1」であるから、上記マッチングテーブル70の内容に従っていない。すなわち、これらI/Oユニットのファームウエアは、リファレンス・デバイスのファームウエアに対して、コンフリクトが生じていることになる。これにより、デバイス設定欄153にあっては、これらI/Oユニットに対応するコンフリクト表示部156が点灯状態になっている。168はファームウエア・フォルダ設定部であり、ハードディスク24内においてファームウエア(図4(b)におけるファームウエア240,250,260)が格納されているフォルダを指定するテキストボックスによって構成されている。170はブラウズ・ボタンであり、マウスでクリックされるとブラウズ用のウィンドウが開き、ファームウエア・フォルダ設定部168に記述すべきフォルダ名をブラウズ操作によって入力することができるようになる。なお、ファームウエア240,250,260は最新バージョンのものであるが、これらよりも古いバージョンのファームウエアを同一のフォルダに格納しておくと、古いバージョンのファームウエアもアップデート先として選択できるようになる。
171はアップデート設定欄であり、各々がデバイス種別に対応する複数の行から構成されている。アップデート設定欄171の内部において176はデバイス種別名表示部であり、各行に対応するデバイス種別名「コンソール(Console)」、「エンジン(Engine)」および「I/Oユニット(I/O)」が表示される。172は更新対象デバイス選択部であり、デバイス種別毎のチェックボックスから成り、ユーザの操作に基づいて、ファームウエアをアップデートする対象となるデバイス種別を選択する(チェックを入れる)。174はコンフリクト表示部であり、コンフリクトが生じているデバイス種別を点灯状態によって表示する。なお、当該デバイス種別に属するデバイスのうち、少なくとも一のデバイスにコンフリクトが生じている場合は、当該デバイス種別にコンフリクトが生じていることになる。
178はバージョン選択リストボックスであり、リファレンス・デバイスに対して適合する一または複数のバージョン番号から、ユーザ操作に基づいてアップデート先のバージョン番号をデバイス種別毎に選択するものである。これらリストボックスに列挙される選択肢は、マッチングテーブル70に記述された内容の通りになっている。すなわち、リファレンス・デバイスであるコンソールにおけるファームウエアのバージョンが「2.0」であれば、他のコンソールにおけるファームウエアのバージョンも「2.0」でなければならないから、コンソールに対してはバージョン番号「2.0」のみが選択可能になっている。また、エンジンについては、ファームウエアのバージョンは「2.5」または「2.0」の双方が適合するから、両者が選択肢としてリストボックスにセットされている。また、I/Oユニットについては、ファームウエアのバージョンは「1.5」でなければならないから、「1.5」のみが選択可能になっている。
このように、本実施例においては「デバイス種別」毎にファームウエアのアップデート先のバージョンをユーザが指定できるから、デバイスグループ内のデバイスの数が多い場合であっても、これらデバイスのアップデート先のバージョンの指定を少ない操作で簡易に指定することができる。このように、デバイス種別毎にバージョンを指定するようにした理由は、一般的に、同一のデバイスグループに属する同一種別のデバイスに対して、ファームウエアのバージョンを異ならせる理由が無いためである。
また、本実施例によれば、バージョン選択リストボックス178においてファームウエアのバージョンを選択するようにしたため、ユーザは、リファレンス・デバイスに対して整合性を有する(コンフリクトが生じない)バージョンを確実に選択することができる。
180はステータス表示部であり、アップデートの進捗状況が表示される。図中の「Rebooting」とは、ファームウエアの更新が終了した後、各デバイスを再立上げしている状態を指す。「Complete」とは、再立上げが完了した状態を指す。また、「Updating」とは、ファームウエアをフラッシュROMに書き込み中であることを指す。182はパーシャルブリッジ除外チェックボックスであり、パーシャルブリッジ用に第2スロットに装着されたネットワーク・カード用のファームウエアについて、アップデート対象から除外するか否かをユーザの操作に基づいて設定する。すなわち、該チェックボックスがチェックされていると、当該ネットワーク・カードはアップデートの対象から除外される。
184はアップデート開始ボタンであり、マウスでクリックされると、アップデート設定欄171およびチェックボックス182の指定に従って、PC1000から対象となるデバイスに対して、アップデートコマンド(ファームウエアのバイナリデータとともに、ファームウエアのアップデートを指令するコマンド)の送信が開始される。このアップデートの進捗状況に伴って、上述したようにステータス表示部180の表示内容が適宜更新される。186はキャンセルボタンであり、マウスでクリックされると、ファームウエア更新ウィンドウ150における設定内容を破棄した上で該ウィンドウ150が閉じられる。188はクローズボタンであり、ウィンドウ150における設定内容に基づいてデバイスグループ・データが更新された上で該ウィンドウ150が閉じられる。なお、アップデート開始ボタン184が一旦クリックされると、アップデート自体は別プロセスで実行されるため、ウィンドウ150が閉じられたとしてもアップデートは続行される。
ここで、上述したパーシャルブリッジ除外チェックボックス182を設けた意義について、再び図1を参照し説明する。図1において第1デバイスグループ1500に属するデバイス1502〜1510は、ある業者が自社で所有するデバイスであり、第2デバイスグループ1600に属するデバイス1602〜1606は、その業者がレンタル会社から借用したものであるとする。これら借用したデバイスについては、上述したように、「ファームウエアをアップデートする時間が確保できない」、あるいは「ファームウエアのアップデートが禁止される」などの事情がしばしば生じるものである。その場合、まずI/Oユニット1602の第2スロットに装着されているネットワーク・カード(レンタル品)のファームウエアのバージョンを調査し、コンソール1510の第2スロットに装着されているネットワーク・カード(業者の所有品)のファームウエアのバージョンをこれに一致させるようにマニュアル操作で(図6に係るアプリケーションプログラムを使用せず)アップデート(またはダウンデート)させるとよい。
これにより、パーシャルブリッジを構成する第2スロットのネットワーク・カードのバージョン番号が揃うから、コンソール1510およびI/Oユニット1602の間の通信には支障が生じないはずである。しかる後に、図6に係るアプリケーションプログラムを起動し、チェックボックス182をチェックした上で、当該ネットワーク・カードを除いた部分のファームウエアをアップデートするとよい。これにより、第2デバイスグループ1600についてはファームウエアのアップデートを一切行うことなく、第1,第2デバイスグループ1500,1600間の通信が可能になるのである。
3.3.リファレンス変更イベント処理(図7)
次に、図6においてリファレンス設定部154が操作され、リファレンス・デバイスが変更されたときに実行される処理の詳細を説明する。当該操作が検出されると、図7に示すリファレンス変更イベント処理ルーチンが起動される。
図において処理がステップSP2に進むと、リファレンス設定部154においてチェックされている一のデバイス、すなわちリファレンス・デバイスが特定される。次に、処理がステップSP4に進むと、当該リファレンス・デバイスのデバイス種別と、ファームウエアのバージョンとが取得される。次に、処理がステップSP6に進むと、マッチングテーブル70(図4(c)参照)から、該取得したバージョンに対応する欄の内容が取得される。
次に、処理がステップSP8に進むと、リファレンス・デバイス以外の他の全てのデバイスについてバージョン番号が取得される。そして、リファレンス・デバイスと、他の全てのデバイスについて、バージョンの不整合(コンフリクト)が生じているか否かが各々判定され、その結果に基づいてコンフリクト表示部174内の各デバイスに対応する表示内容が更新される。次に、処理がステップSP10に進むと、リファレンス・デバイスと、他の全てのデバイスについて、バージョンの不整合を起こさないバージョンのリストがバージョン選択リストボックス178における選択肢としてセットされる。以上により、本ルーチンの処理が終了する。
3.4.アップデート開始イベント処理(図8)
次に、図6においてアップデート開始ボタン184がマウスでクリックされたときに実行される処理の詳細を説明する。当該操作が検出されると、図8に示すアップデート開始イベント処理ルーチンが起動される。
図8において処理がステップSP20に進むと、全てのアップデート対象のデバイス種別に対してアップデートコマンドの送信開始処理(後述するステップSP32,SP34)が完了したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP22に進み、未処理のデバイス種別のうち一の種別が選択される。次に、処理がステップSP24に進むと、選択されたデバイス種別に属する全てのデバイスについて、アップデートコマンドの送信開始処理が完了したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP26に進み、当該種別に属するデバイスのうち一のデバイスが選択される。ここで選択されたデバイスを「対象デバイス」という。
次に、処理がステップSP28に進むと、対象デバイスの第2スロットにパーシャルブリッジ用のネットワーク・カードが装着されているか否かが判定される。ここで「NO」(装着されていない)と判定されると、処理はステップSP34に進み、対象デバイスに記憶されている全てのモジュールについて、先にバージョン選択リストボックス178で指定されたバージョン内のモジュールにアップデートするように、アップデートコマンドの送信が開始される。すなわち、アップデートコマンドを送信するための新たなプロセスが立ち上げられ、当該プロセスにおいてアップデートコマンドの送信が実行される。一方、対象デバイスの第2スロットにパーシャルブリッジ用のネットワーク・カードが装着されている場合はステップSP28において「YES」と判定され、処理はステップSP30に進む。ここでは、上述したパーシャルブリッジ除外チェックボックス182にチェックが付されているか否かに基づいて、この第2スロットに装着されたパーシャルブリッジ用のネットワーク・カードもファームウエアのアップデートの対象にされているか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると処理はステップSP34に進み、上述のように対象デバイスに記憶されている全てのモジュールについて、指定されたバージョン内のモジュールにアップデートするように、アップデートコマンドの送信が開始される。
一方、上述したパーシャルブリッジ除外チェックボックス182がチェックされていた場合は、ステップSP30において「NO」(アップデートの対象外)と判定され、処理はステップSP32に進む。ここでは、パーシャルブリッジ用の第2スロットのネットワーク・カードをアップデートすることなく、これ以外の全てのモジュールについて、先にバージョン選択リストボックス178で指定されたバージョン内のモジュールにアップデートするように、対象デバイスに対してアップデートコマンドの送信が開始される。ステップSP32またはSP34の処理が終了すると、処理はステップSP24に戻り、先にステップSP22において選択されたデバイス種別に属する全てのデバイスに対してアップデートコマンドの送信開始処理(SP32,SP34)が完了したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、ステップSP26〜SP34の処理が繰り返され、その度に新たな対象デバイスに対してステップSP32,SP34を介してアップデートコマンドの送信が開始される。
一方、選択されたデバイス種別に属する全てのデバイスに対してアップデートコマンドの送信開始処理が完了すると、ステップSP24において「YES」と判定され、処理はステップSP20に戻る。ここで、アップデート対象である全てのデバイス種別についてアップデートコマンドの送信開始処理が完了していなければ、ステップSP20において「NO」と判定され、ステップSP22〜SP34の処理が繰り返される。そして、アップデート対象のデバイスグループに属し、かつ、アップデート対象のデバイス種別に属する全てのデバイスに対してアップデートコマンドの送信開始処理が完了すると、ステップSP20において「YES」と判定され、本ルーチンの処理が終了する。
4.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記実施例においては、PC1000上で動作するアプリケーションプログラムによってアップデート等の処理を行ったが、このアプリケーションプログラムのみをCD−ROM、メモリカード等の記録媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布することもできる。
(2)上記実施例においては、「バージョン選択リストボックス178において、デバイス種別毎にファームウエアのバージョンを指定すること(特徴1)」「パーシャルブリッジ除外チェックボックス182によって、パーシャルブリッジに係る第2スロットのネットワーク・カードのアップデートを禁止する(特徴2)」という2つの特徴を共に有していたが、一方の特徴のみを適用してもよい。「特徴1」のみを適用する場合は、単にチェックボックス182をウィンドウ150から除去すればよい。また、「特徴2」のみを適用する場合は、アップデート設定欄171は、「デバイス種別」ではなく、デバイス設定欄153と同様に「デバイス」毎に行を設け、デバイス毎にアップデート先のバージョン番号を指定するとよい。
2:通信インタフェース、4:入力装置、8:ディスプレイ、10:CPU(処理装置)、12:ROM、16:CPUバス、18:リムーバルディスクドライブ装置、20:リムーバルディスク、24:ハードディスク、30:RAM、40,50,60:ファームウエア、41:パネルモジュール、42:CPUモジュール、44:ディスプレイモジュール、46,48:ネットワークモジュール、52:CPUモジュール、54:DSPモジュール、56,58:ネットワークモジュール、62:CPUモジュール、64:音声I/Oモジュール、66,68:ネットワークモジュール、70:マッチングテーブル、100:デバイスグループ設定ウィンドウ、102:デバイスグループ選択リストボックス、103:デバイス設定欄、104:識別番号表示欄、106:デバイス名表示部、108:デバイス種別表示部、110:パーシャルブリッジ設定部、112:デバイス種別選択部、114:Addボタン、116:リネーム・ボタン、118:リムーブ・ボタン、120:キャンセル・ボタン、122:OKボタン、150:ウィンドウ、150:ファームウエア更新ウィンドウ、152:デバイスグループ選択リストボックス(デバイスグループ指定手段)、153:デバイス設定欄、154:リファレンス設定部、156:コンフリクト表示部(不整合デバイス表示手段)、158:デバイス名表示部、160:デバイス種別表示部、162:パーシャルブリッジ表示部、164:現バージョン表示部、168:ファームウエア・フォルダ設定部、170:ブラウズ・ボタン、171:アップデート設定欄(更新対象デバイス選択手段)、172:更新対象デバイス選択部(更新対象種別選択手段)、174:コンフリクト表示部、176:デバイス種別名表示部、178:バージョン選択リストボックス(バージョン番号選択手段)、180:ステータス表示部、182:チェックボックス、182:パーシャルブリッジ除外チェックボックス、184:アップデート開始ボタン、186:キャンセルボタン、188:クローズボタン、240,250,260:ファームウエア、241:パネルモジュール、242,252,262:CPUモジュール、244:ディスプレイモジュール、246,248,256,258,266,268:ネットワークモジュール、254:DSPモジュール、264:音声I/Oモジュール、1000:PC(ファームウエア更新装置)、1400:ゾーン、1500:第1デバイスグループ、1600:第2デバイスグループ、1502〜1510,1602〜1606:デバイス。

Claims (4)

  1. 各々が複数のデバイス種別のうち何れかに分類され相互にネットワークを介して音声信号を送信または受信する複数の音響処理デバイスと通信し、これら各音響処理デバイスに記憶され各々の音響処理デバイスを制御する制御プログラムであるファームウエアを更新するファームウエア更新装置であって、
    ユーザの操作に基づいて、前記複数の音響処理デバイスのうち一の音響処理デバイスをリファレンス・デバイスとして指定するリファレンス・デバイス指定手段と、
    前記各音響処理デバイスに記憶されているファームウエアのバージョン番号を前記各音響処理デバイスから取得するバージョン番号取得手段と、
    前記各ファームウエアのバージョン番号の組み合わせのうち整合性のある組み合わせを定めるマッチングテーブルを記憶するマッチングテーブル記憶手段と、
    前記リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアを基準として、前記マッチングテーブルに規定された整合性を満たしていないファームウエアを記憶している音響処理デバイスを特定する表示を行う不整合デバイス表示手段と、
    ユーザの操作に基づいて、前記複数のデバイス種別のうちファームウエアの更新対象となるデバイス種別を指定する更新対象種別選択手段と、
    前記更新対象種別選択手段によって選択されたデバイス種別に属する一または複数の音響処理デバイスに対して、前記ファームウエアを更新すべき旨を指令するアップデートコマンドを送信するファームウエア更新指令手段と
    を具備することを特徴とするファームウエア更新装置。
  2. 前記複数の音響処理デバイスは、各々が複数のデバイスグループのうち何れかに属するものであり、
    ユーザの操作に基づいて、前記複数のデバイスグループのうち前記ファームウエアの更新対象となる一のデバイスグループを指定するデバイスグループ指定手段
    をさらに具備し、
    前記ファームウエア更新指令手段は、前記デバイスグループ指定手段によって指定されたデバイスグループに属する音響処理デバイスであって、かつ、前記更新対象種別選択手段によって選択されたデバイス種別に属する一または複数の音響処理デバイスに対して、前記アップデートコマンドを送信するものである
    ことを特徴とする請求項1記載のファームウエア更新装置。
  3. 前記マッチングテーブルに基づいて、前記リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアに対して整合性を有する一または複数のバージョン番号を前記デバイス種別毎に列挙するとともに、列挙されたバージョン番号の中からアップデート先のバージョン番号である一のバージョン番号を前記各デバイス種別毎にユーザ操作に基づいて選択するバージョン番号選択手段
    をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のファームウエア更新装置。
  4. 各々が複数のデバイス種別のうち何れかに分類され相互にネットワークを介して音声信号を送信または受信する複数の音響処理デバイスと通信し、これら各音響処理デバイスに記憶され各々の音響処理デバイスを制御する制御プログラムであるファームウエアを更新するファームウエア更新装置に適用されるプログラムであって、
    前記ファームウエア更新装置は、処理装置と、前記各ファームウエアのバージョン番号の組み合わせのうち整合性のある組み合わせを定めるマッチングテーブルを記憶するマッチングテーブル記憶手段とを有するものであり、
    ユーザの操作に基づいて、前記複数の音響処理デバイスのうち一の音響処理デバイスをリファレンス・デバイスとして指定するリファレンス・デバイス指定過程と、
    前記各ファームウエアのバージョン番号を前記各音響処理デバイスから取得するバージョン番号取得過程と、
    前記リファレンス・デバイスに記憶されているファームウエアを基準として、前記マッチングテーブルに規定された整合性を満たしていないファームウエアを記憶している音響処理デバイスを特定する表示を行う不整合デバイス表示過程と、
    ユーザの操作に基づいて、前記複数のデバイス種別のうちファームウエアの更新対象となるデバイス種別を指定する更新対象種別選択過程と、
    前記更新対象種別選択過程によって選択されたデバイス種別に属する一または複数の音響処理デバイスに対して、前記ファームウエアを更新すべき旨を指令するアップデートコマンドを送信するファームウエア更新指令過程と
    を前記処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
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