以下、本発明の電子放出源アレイ、撮像装置、及び表示装置を適用した実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の電子放出源アレイを示す図であり、(A)は断面図を示し、(B)は平面図を示す。図1(A)に示す断面は、平面図のA−A’矢視断面を示す。また、図1(C)は、図1(A)に示す電子放出源アレイの断面の一部を拡大して示す図であり、図1(D)は図1(B)に示す電子放出源アレイの一部を拡大して示す図である。
実施の形態1では、電子放出源アレイ250としてSpindt型パッシブ電子放出源アレイを用いる場合について説明する。以下、特に断らない限り、電子放出源アレイ250と記した場合は、Spindt型パッシブ電子放出源アレイを示すこととする。
また、図1(B)において、陰極電極252とゲート電極255が交差して区画される領域を「単位領域」と称し、この単位領域内にある電子放出源アレイ250の一部分をエレメント256と称する。このため、図1(B)は、25個のエレメント256がマトリクス状に配列されている状態を示し、図1(C)、(D)は、1つのエレメント256の断面図及び平面図を示す。
図1(A)〜(D)に示すように、実施の形態1の電子放出源アレイ250は、基板251、陰極電極252、陰極253、絶縁層254、ゲート電極255、絶縁層260、及び集束電極270を具える。
基板251は、ガラス、シリコン(Si)、石英、セラミックス、又は樹脂等で構成することができるが、ここではシリコンで構成される形態について説明する。この基板251の上には、陰極電極252、絶縁層254、ゲート電極255、絶縁層260、及び集束電極270が順次形成されている。
陰極電極252は、図1(B)に示す垂直走査方向と長手方向が平行なストライプ状の電極であり、ゲート電極255は、同じく水平走査方向と長手方向が平行なストライプ状の電極である。このように、陰極電極252とゲート電極255とが互いに直交する方向に延在することにより、X−Yマトリクスが形成される。なお、陰極電極252とゲート電極255は、例えば、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、又はタングステン(W)等の融点の高い金属材料で構成される。
絶縁層254は、例えば、基板251がシリコン製である場合は、酸化シリコンで構成することができる。絶縁層254は、1つの電子放出源アレイ250について共通化された1層の絶縁層であってよい。
なお、図1(B)には、水平走査方向に5つ、垂直方向に5つの合計25個のエレメント256がマトリクス状に配列されている状態を示すが、実際の電子放出源アレイ250のエレメント256の数は、例えば、水平走査方向に640個、垂直走査方向に480個、あるいは、水平走査方向に1920個、垂直走査方向に1020個ほどであるため、図1(B)に示す25個のエレメント256は電子放出源アレイ250の一部分である。
また、各ゲート電極255のストライプ状の領域に含まれる複数の単位領域が水平走査方向に並んで構成されるラインを水平走査ライン257と称す。
図1(C)、(D)に示すように、各エレメント256内では、絶縁層254及びゲート電極255を貫通し、陰極電極252の表面に達する細孔が形成され、この細孔内で陰極電極252から突出するように陰極(エミッタ)253が配設される。
この陰極253は、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、又はタングステン(W)等の融点の高い金属材料によって作製され、電子を放出するエミッタとして機能する。通常、各エレメント256内の絶縁層254及びゲート電極255に複数の細孔を設け、各細孔に陰極253を一つずつ配設する。図1(C)、(D)には、一例として、各エレメント256が9つの細孔を有し、9つ(3行3列)の陰極253が配設される形態を示すが、1つのエレメント256に含まれる陰極253の数は9個に限られるものではなく、例えば、25個(5行5列)、あるいは、121個(11行11列)であってもよい。
単位領域毎に配列されるエレメント256内に形成された電子放出制御が可能な最小単位数(9つ)の陰極253から放出された電子群が電子放出源アレイ250に対向する光電変換膜又は蛍光体等に到達した際に、光電変換膜又は蛍光体等の上で電子群のスポットサイズによって決まる領域を「画素領域」(又は単に「画素」)と称する。すなわち、電子放出源アレイ250の単位領域は、光電変換膜又は蛍光体等の画素領域に対応する領域である。
図1(A)、(C)に示すように、絶縁層260は、ゲート電極255の上に形成される。絶縁層260は、例えば、酸化シリコンで構成することができる。絶縁層260は、1つの電子放出源アレイ250について共通化された1層の絶縁層であってよい。
集束電極270は、絶縁層260の上に形成され、陰極253から放出される電子群を集束させるために所定の電圧(集束電圧)が印加される電極である。集束電極270は、単位領域毎に独立して形成されており(すなわち、各エレメント256に1つずつ配設されており)、開口部270Aを有する。開口部270Aは、各エレメント256が有する9つの陰極253を平面視で囲むように形成されている。このため、集束電極270は、平面視で矩形環状である。
この集束電極270は、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、又はタングステン(W)等の融点の高い金属材料によって作製される。
集束電極270には、絶縁層254、ゲート電極255、及び絶縁層260を厚さ方向に貫通するビア271を介して、集束電極駆動部272が接続されている。集束電極駆動部272は、基板251の内部に形成されており、各集束電極270に独立的に集束電圧を印加することができる駆動回路である。集束電極駆動部272は、各集束電極270を水平方向及び垂直方向に走査するための水平集束走査回路部及び垂直集束走査回路部を含む。水平集束走査回路部及び垂直集束走査回路部は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide
Semiconductor)を含む駆動回路で構成することができるが、走査方法及び印加電圧等については後述する。
また、陰極電極252には、水平方向の走査を行うために、水平駆動回路としてのエミッタ電極駆動部410からパルス電圧が印加され、ゲート電極255には、垂直方向の走査を行うために、垂直駆動回路としてのゲート電極駆動部420のゲート電圧制御回路424からパルス電圧が印加される。この詳細については、図2を用いて後述する。
図2は、実施の形態1の電子放出源アレイ250の駆動系を概略的に示す図である。図2には、電子放出源アレイ250の一部(水平方向の5つのエレメント256、垂直方向の5つのエレメント256の範囲で表される25個のエレメント256を含む部分(すなわち、25個の単位領域に相当する部分))を示す。
図2に示すように、電子放出源アレイ250には、水平方向及び垂直方向の走査を行うためのエミッタ電極駆動部410及びゲート電極駆動部420が接続されている。エミッタ電極駆動部410は、水平アドレス回路411、水平バッファ回路412、及び水平電圧制御回路413を含む。
水平アドレス回路411には、電源電圧が供給されるとともに、クロック信号や同期信号を受け取り、各陰極電極に配設される水平バッファ回路412を選択して駆動する。
水平バッファ回路412は、水平アドレス回路411によって駆動される一対のトランジスタを含み、水平アドレス回路411によって選択される陰極電極にパルス電圧を供給する。
水平電圧制御回路413は、水平アドレス回路411によって制御され、水平バッファ回路412を介して陰極電極252に供給するパルス電圧の値を制御する。
このようなエミッタ電極駆動部410において、水平アドレス回路411で生成され、出力されるパルス電圧によって水平バッファ回路412が駆動制御される。この水平バッファ回路412の駆動により、水平電圧制御回路413から給電される電圧Vh1とVh2(Vhl>Vh2)とからなるパルス電圧(振幅:Vh1−Vh2)が陰極電極252に供給される。このように、水平方向の走査は、エミッタ電極駆動部410から陰極電極252にパルス電圧を印加することによって行われる。
また、ゲート電極駆動部420は、垂直アドレス回路421、垂直バッファ回路422、及び垂直電圧制御回路423を含む。
このゲート電極駆動部420は、電子放出源アレイ250のゲート電極に接続されてパルス電圧をゲート電極に供給すること以外は、エミッタ電極駆動部410と構成が同一であり、垂直アドレス回路421、垂直バッファ回路422、及び垂直電圧制御回路423の機能及び動作も、ゲート電極を走査対象とすること以外は、水平アドレス回路411、水平バッファ回路412、及び水平電圧制御回路413と同一である。
このようなゲート電極駆動部420において、垂直アドレス回路421で生成、出力されたパルス電圧によって垂直バッファ回路422が駆動制御される。この垂直バッファ回路422の駆動により、垂直電圧制御回路423から給電される電圧Vv1とVv2(Vv1>Vv2)とで構成されるパルス電圧(振幅:Vv1−Vv2)がゲート電極255に供給される。このように、垂直方向の走査は、ゲート電極駆動部420からゲート電極にパルス電圧が印加されることによって行われる。
実施の形態1の電子放出源アレイ250は、後述するタイミングで陰極電極252とゲート電極255にパルス電圧が印加されることにより、同時にパルス電圧が印加される陰極電極252とゲート電極255との交差部に位置する単位領域のエレメント256に含まれる陰極253から、電子が放出される。
そして、パルス電圧を印加する陰極電極252とゲート電極255を水平方向及び垂直方向に走査することにより、水平走査における映像信号出力期間では、図2に示す1本の水平走査ラインに含まれる各陰極253から、各単位領域のエレメント256毎に順次電子が放出される。このような動作が各水平走査ラインで順次繰り返されることにより、電子放出源アレイ250の水平方向及び垂直方向における走査が実現される。
なお、図2には、それぞれ複数ある陰極電極及びゲート電極のいずれかを選択して順次パルス電圧を供給することにより、水平方向の走査を陰極電極で行い、垂直方向の走査をゲート電極で行う構成を示すが、これに代えて、垂直方向の走査を陰極電極で行い、水平方向の走査をゲート電極で行うように構成してもよい。
図3は、実施の形態1の電子放出源アレイ250の集束電極270を駆動する集束電極駆動部272の構成を概略的に示す図である。
集束電極駆動部272は、ビア271(図1(C)参照)を介して各集束電極270に接続される選択用トランジスタ273、各集束電極270を水平方向及び垂直方向に走査するための水平集束走査回路部280及び垂直集束走査回路部290を含む。
選択用トランジスタ273は、各集束電極270に一つずつ配設されており、各集束電極270を選択して駆動するために用いられる。選択用トランジスタ273のドレインは集束電極270に接続され、ソースは水平集束走査回路部280に接続され、ゲートは垂直集束走査回路部290に接続されている。
水平集束走査回路部280は、水平アドレス回路281、水平バッファ回路282、及び水平電圧制御回路283を含む。
水平アドレス回路281には、電源電圧が供給されるとともに、クロック信号や同期信号を受け取り、水平バッファ回路282を選択して駆動する。
水平バッファ回路282は、水平アドレス回路281によって駆動される一対のトランジスタ(CMOS)を含み、CMOS回路の出力端は、選択用トランジスタ273のソースに接続されている。
水平電圧制御回路283は、水平アドレス回路281によって制御され、水平バッファ回路282を介して選択用トランジスタ273のソースに供給する電圧を制御する。
このような水平集束走査回路部280において、水平アドレス回路281で生成され、出力されるパルス電圧によって水平バッファ回路282が駆動制御される。この水平バッファ回路282の駆動により、水平電圧制御回路283から給電される電圧Vh11とVh12(Vh11>Vh12)とからなるパルス電圧(振幅:Vh11−Vh12)が選択用トランジスタ273のソースに供給される。このように、水平方向の走査は、水平集束走査回路部280から選択用トランジスタ273のソースにパルス電圧を印加することによって行われる。
また、垂直集束走査回路部290は、垂直アドレス回路291、垂直バッファ回路292、及び垂直電圧制御回路293を含む。
この垂直集束走査回路部290は、選択用トランジスタ273のゲートに接続されてパルス電圧を選択用トランジスタ273のゲートに供給すること以外は、水平集束走査回路部280と構成が同一である。このため、垂直アドレス回路291、垂直バッファ回路292、及び垂直電圧制御回路293の機能及び動作も、選択用トランジスタ273のゲートを走査対象とすること以外は、水平アドレス回路281、水平バッファ回路282、及び水平電圧制御回路283と同一である。
このような垂直集束走査回路部290において、垂直アドレス回路291で生成、出力されたパルス電圧によって垂直バッファ回路292が駆動制御される。この垂直バッファ回路292の駆動により、垂直電圧制御回路293から給電される電圧Vv11とVv12(Vv11>Vv12)とで構成されるパルス電圧(振幅:Vv11−Vv12)が選択用トランジスタ273のゲートに供給される。このように、垂直方向の走査は、垂直集束走査回路部290から選択用トランジスタ273のゲートにパルス電圧が印加されることによって行われる。
集束電極270は、水平集束走査回路部280及び垂直集束走査回路部290により、水平方向及び垂直方向に走査が行われ、水平走査及び垂直走査によって選択されると、トランジスタ273を介して集束電圧が印加される。なお、集束電極270の具体的な駆動方法については後述する。
図4は、実施の形態1の電子放出源アレイ250の集束電極270の駆動方法を概念的に説明するための図である。図4(A)は平面図であり、図4(B)は図4(A)における矢視A−A’断面を示す図である。
図4(A)に示す電子放出源アレイ250は、水平方向に5つ、垂直方向に5つの25個のエレメント256のうち、中央に位置するエレメント256Aのみがエミッタ電極駆動部410及びゲート電極駆動部420によって選択され、電子を放出する状態になっているものとする。
このような場合に、実施の形態1の電子放出源アレイ250は、電子を放出するエレメント256Aの集束電極270と、エレメント256Aに隣接する周囲の8つのエレメント256Bの集束電極270との電位を等しくするとともに、エレメント256Aに隣接する周囲の8つのエレメント256Bの集束電極270と、その他の周囲の16個のエレメント256Cの集束電極270の電位とが異なるように、水平集束走査回路部280及び垂直集束走査回路部290で集束電極270の水平方向及び垂直方向の走査を行うことによって各集束電極270に集束電圧を印加する。
例えば、エレメント256A及び256Bの集束電極(全部で9つ)に+50(V)の電圧を印加し、エレメント256Cの集束電極270(全部で16個)に0(V)の集束電圧を印加する。これにより、8つのエレメント256Bの集束電極270と、16個のエレメント256Cの集束電極270との間に電位差を生じさせる。
この結果、図4(B)に示す矢視A−A’断面における等電位線は、水平走査方向に5つ配列されるエレメント256のうちの両脇の2つのエレメント256については、1つのエレメント256内に存在する正規分布状の特性を示すが、中央の3つについては、3つのエレメント256にわたって存在する正規分布状の特性となる。
このため、集束電極270の周辺の電位分布によって形成される静電レンズ274は、図4(B)に示すように、電子を放出するエレメント256Aの単位領域よりも(すなわち、開口部270Aよりも)幅広いものとなり、平面視では、電子放出を行っているエレメント256Aの単位領域よりも大きな領域に静電レンズ274が形成されることになる。
このように単位領域よりも大きい静電レンズ274は、図5を用いて次に説明するタイミングで各集束電極270を駆動することによって実現される。
図5は、実施の形態1の電子放出源アレイ250における集束電極270の駆動方法を示すタイミングチャートである。
図5(A)に示す電子放出源アレイ250は、図1及び図4に示す電子放出源アレイ250と同一であり、水平方向に5つのエレメント256、垂直方向に5つのエレメント256が配列された部分を示すが、図5では説明の便宜上、5本の陰極電極252にE1、E2、E3、E4、E5の符号を付し、同様に、5本のゲート電極255にG1、G2、G3、G4、G5の符号を付す。
また、タイミングチャートの説明の便宜上、図5(A)に示す25個の集束電極270の各々を区別するために、集束電極270の各々の位置をF(行番号)−(列番号)と表記する。行番号は垂直走査方向に図中上側から下側にかけて1行目〜5行目とし、列番号は水平走査方向に図中左側から右側にかけて1列目〜5列目とする。図中には、表記の都合上、3行目にある5つの集束電極270の位置(F3−1、F3−2、F3−3、F3−4、F3−5)のみを代表的に示す。
また、ここでは、F3−2、F3−3、F3−4の集束電極270を含む3つのエレメント256から異なるタイミングで順番に電子を放出させる場合に、電子放出を行うエレメント256の集束電極270と、その集束電極270を囲む8つの集束電極270との合計9つの集束電極270に集束電圧(Hレベルの集束電圧)を印加する形態について説明する。このため、行方向(垂直走査方向)において3行目に隣接しない1行目と5行目の集束電極270には集束電圧を印加しない(Lレベルの集束電圧を印加する)こととなる。
図5(B)に示すタイミングチャートは、F3−2、F3−3、F3−4の集束電極270を含む3つのエレメント256から異なるタイミングで順番に電子を放出させる場合に、陰極電極E1、E2、E3、E4、E5に印加する電圧、ゲート電極G1、G2、G3、G4、G5に印加する電圧、及び2行目から4行目の(F2−1〜F2−5、F3−1〜F3−5、F4−1〜F4−5の)集束電極270に印加する集束電圧のレベルとタイミングを示す。
なお、上述のように、実施の形態1では、列方向(垂直走査方向)において3行目に隣接しない1行目と5行目の集束電極270には集束電圧を印加しないため(集束電圧はLレベルであるため)、図5(B)では、F1−1〜F1−5、及びF5−1〜F5−5についての集束電圧を省く。
また、ここでは、エミッタ電極駆動部410(図2参照)に入力される電圧Vh2は、0(V)であるものとする。このため、陰極電極E1、E2、E3、E4、E5には電圧Vh1(>0)又は0(V)が印加される。また、ゲート電極駆動部420(図2参照)に入力される電圧Vv2は、0(V)であるものとする。このため、ゲート電極G1、G2、G3、G4、G5には電圧Vv1(>0)又は0(V)が印加される。
また、各集束電極270に印加される集束電圧をHレベル/Lレベルで示す。集束電圧は、垂直集束走査回路部290(図3参照)によって水平走査方向において選択されてゲート電圧が印加されるトランジスタ273(図3参照)のうち、水平集束走査回路部280によって垂直方向において選択されるトランジスタ273(図3参照)に印加されるドレイン電圧として集束電極270に印加される。
図5(B)に示すように、時刻t=0では、陰極電極E1、E2、E3、E4、E5には電圧Vh1が印加されており、ゲート電極G1、G2、G3、G4、G5には0(V)の電圧が印加されている。また、2行目から4行目の(F2−1〜F2−5、F3−1〜F3−5、F4−1〜F4−5の)集束電極270に印加される集束電圧はLレベルである。
時刻t1になると、ゲート電極G3にVv1が印加されるとともに、陰極電極E2に0(V)が印加されることにより、ゲート電極G3と陰極電極E2が交差する単位領域のエレメント256から電子が放出される。
また、この時刻t1では、F2−1、F2−2、F2−3、F3−1、F3−2、F3−3、F4−1、F4−2、F4−3の集束電極270にHレベルの集束電圧が印加されるため、ゲート電極G3と陰極電極E2が交差する単位領域のエレメント256に含まれるF3−2の集束電極270を中心とした9つの集束電極270にHレベルの集束電圧が印加され、これにより、電子放出を行っているエレメント256Aの単位領域よりも平面視で大きな領域に静電レンズ274(図4(B)参照)が形成されることになる。
時刻t2になると、ゲート電極G3にVv1が印加された状態が保持されたまま、0(V)の電圧が印加される陰極電極がE2からE3にずれることにより、ゲート電極G3と陰極電極E3が交差する単位領域のエレメント256から電子が放出される。すなわち、電子放出を行うエレメント256が水平走査方向に1つずれることになる。
また、この時刻t2では、Hレベルの集束電圧が印加される集束電極270がF2−2、F2−3、F2−4、F3−2、F3−3、F3−4、F4−2、F4−3、F4−4にずれるため、ゲート電極G3と陰極電極E3が交差する単位領域のエレメント256に含まれるF3−3の集束電極270を中心とした9つの集束電極270にHレベルの集束電圧が印加される。これにより、電子放出を行っているエレメント256Aの単位領域よりも平面視で大きな領域に静電レンズ274(図4(B)参照)が形成されることになる。
時刻t3になると、ゲート電極G3にVv1が印加された状態が保持されたまま、0(V)の電圧が印加される陰極電極がE3からE4にずれることにより、ゲート電極G3と陰極電極E4が交差する単位領域のエレメント256から電子が放出される。すなわち、電子放出を行うエレメント256が水平走査方向にさらに1つずれることになる。
また、この時刻t3では、Hレベルの集束電圧が印加される集束電極270がF2−3、F2−4、F2−5、F3−3、F3−4、F3−5、F4−3、F4−4、F4−5にずれるため、ゲート電極G3と陰極電極E4が交差する単位領域のエレメント256に含まれるF3−4の集束電極270を中心とした9つの集束電極270にHレベルの集束電圧が印加される。これにより、電子放出を行っているエレメント256Aの単位領域よりも平面視で大きな領域に静電レンズ274(図4(B)参照)が形成されることになる。
時刻t4になると、ゲート電極G3に印加されていた電圧Vv1が0(V)に戻され、いずれの陰極電極(E1〜E5)にも電圧Vh1が印加されなくなるため、すべてのエレメント256から電子が放出されない状態になる。
また、この時刻t4では、2行目から4行目の(F2−1〜F2−5、F3−1〜F3−5、F4−1〜F4−5の)集束電極270に印加される集束電圧はLレベルに戻る。
実施の形態1の電子放出源アレイ250では、水平走査及び垂直走査に伴い、上述のように電子放出を行っているエレメント256の真上の集束電極270を中心とした9つの集束電極270にHレベルの集束電圧を印加することにより、エレメント256の単位領域よりも平面視で大きな静電レンズ274(図4(B)参照)を形成することができる。
ここで、図6を用いて比較用に従来の電子放出源アレイにおける静電レンズと電子の軌道について説明する。
図6(A)は、従来の電子放出源アレイの構造を示す平面図、(B)は(A)の矢視B−B’断面を示す図である。
比較用の従来の電子放出源アレイ1000は、集束電極1001がすべての単位領域について共通になっていて25個の単位領域用に25個の開口部1001Aを有する点が異なる。集束電極1001は、全体として単一の電圧が印加されるため、各単位領域において同電位となる。その他の構成は、実施の形態1の電子放出源アレイ250と同一である。
このような比較用の従来の電子放出源アレイ1000において、集束電極1001に所定の電圧(例えば、+50(V)、あるいは、−50(V))を印加すると、集束電極1001の全体が同電位であるため、図6(B)に示すように等電位線が分布し、単位領域毎に静電レンズ1002が形成される。このような静電レンズ1002は、直径が開口部1001Aよりも小さいため、実施の形態1の電子放出源アレイ250によって形成される静電レンズ274(図4(B)参照)よりも直径が小さい静電レンズとなる。
従って、比較用の従来の電子放出源アレイ1000において、25個あるうちの中央にあるエレメント256Aから電子が放出されると、9つある陰極253のうちの中央に位置する陰極253から放出される電子は、静電レンズ1002の中央部を通過するため真っ直ぐに放出されるが、中央部よりも凸面の湾曲率が大きい端部側に位置する8つの陰極253から放出される電子は、静電レンズ1002の凸面の湾曲率の大きい部分を通過するため、軌道が大きく屈折されてしまい、電子放出源アレイ1000に対向配置される光電変換膜や蛍光体等(図示せず)の本来放射されるべき画素領域から外れてしまう可能性がある。また、これにより、電子の焦点距離に大きなばらつきが生じる可能性がある。
このように、比較用の従来の電子放出源アレイ1000では、単位領域の端部側に陰極253を配置することが困難であるため、多くの陰極253を単位領域内に配置することができず、例えば、水平走査方向に2つ、垂直走査方向に2つの合計4つ程度のように個数を抑えていた。すなわち、比較用の従来の電子放出源アレイ1000のように、集束電極1001がすべての単位領域について共通の場合は、陰極253の数をあまり増やすことができず、特に、単位領域の中央付近にしか配置することができず、陰極253の集積度が制限され、電子の放出量も制限されていた。
図7は、電子軌道解析により実施の形態1の電子放出源アレイ250及び比較用の従来の電子放出源アレイ1000によって光電変換膜又は蛍光体面上に形成される電流密度分布を示す図である。図7(A)、(C)はHレベルの集束電圧を印加する集束電極を示しており、(B)、(D)はエレメントから放出される電子ビームが光電変換膜又は蛍光体に到達したときの電流密度分布を示している。
ここで、説明の便宜上、図7(A)では符号を省くが、5行5列の25個の枠は、水平走査方向に5つ、垂直方向に5つの合計25個の集束電極270を示す。そのうち、中央寄りの3行3列の9つの枠を黒く塗り潰して示すのは、Hレベルの集束電圧を印加する集束電極を区別するためである。塗り潰さずに示す周囲の16個の集束電極270は、Lレベルの集束電圧が印加される。なお、図7(C)に示す従来の集束電極は、全体として1つの電極であるため、すべて同電位に保持される。
なお、図7(B)、(D)の電流密度分布は、集束電極の一辺を約50倍にした距離で計算したものである。図7(B)、(D)において、ドットの密度が濃い部分は電流密度が高い領域を示し、ドットの密度が低い部分は電流密度が低い領域を示す。
また、ここでは、符号を省いた状態で実施の形態1の電子放出源アレイ250の25個の集束電極270を示すが、集束電極の下には、集束電極270に対応して配列された25個のエレメント256が存在するものとして説明を行う。同様に、従来の比較用の電子放出源アレイ1000については、集束電極1001の下に水平走査方向に5つ、垂直方向に5つの合計25個のエレメント256が配列されており、その中央にエレメント256Aが位置しているものとして説明を行う。
図7(A)に示すように、25個のエレメント256のうち、真ん中に位置するエレメント256Aから電子を放出する際に、エレメント256Aの集束電極270と、エレメント256Aの周囲の8つのエレメント256Bの集束電極270とにHレベルの集束電圧を印加すると、エレメント256Aの陰極253から放出される電子ビームは、図7(B)に示すように、中央部分で一束に集束されている。電流密度が一番高い領域は、中央のエレメント256Aの真上にあたる領域である。これにより、実施の形態1の電子放出源アレイ250により、単位領域よりも大きな領域に静電レンズ274(図4(B)参照)が形成されることを確認することができる。また、このように電子ビームが一束に集束されていることから、集束効率が向上していることを確認することができる。
一方、図7(C)に示すように、従来の比較用の電子放出源アレイ1000(図6(A)参照)の集束電極1001にHレベルの集束電圧を印加した状態で、中央のエレメント256Aから電子が放出されると、電子ビームは、図7(D)に示すように、9つの束となって集束電極1001を通過していることが分かる。これは、集束電極1001の各開口部1001Aと略同一あるいはそれ以下の大きさの静電レンズ1002が形成されてしまうため、中央の開口部1001Aを通過する電子のうち、開口部1001Aの静電レンズの端部側を通過する電子が焦点を結ぶ位置と、開口部1001Aの静電レンズの中央部を通過する電子が焦点を結ぶ位置とが離れ、別の電子ビームになっていることを表している。これにより、従来の比較用の電子放出源アレイ1000は、電子の集束効率が低く、本来放射されるべき画素領域以外の画素領域にも電子ビームが放射されてしまうことが確認できる。
このように、図7に示す解析結果より、実施の形態1の電子放出源アレイ250によれば、単位領域毎に分割された集束電極270を用いて、電子放出を行うエレメント256の周囲のエレメント256の集束電極270にHレベルの集束電圧を印加することにより、電子放出を行うエレメント256の単位領域よりも大きい静電レンズを形成でき、これによって電子の集束効率を向上させることができることが確認できた。
以上、実施の形態1の電子放出源アレイ250によれば、電子放出を行うエレメント256の単位領域よりも平面視で大きな静電レンズ274(図4(B)参照)を形成することができる。このように電子放出を行うエレメント256の単位領域よりも平面視で大きな静電レンズ274を用いれば、単位領域の中央部に位置する陰極253から放出される電子ビームだけでなく、単位領域の端部側に位置する陰極253から放出される電子ビームも静電レンズ274の中央部分を通過することになる。
そして、このように電子放出を行うエレメント256の単位領域よりも平面視で大きな静電レンズ274の中央部は凸面の湾曲率が比較的小さいので、実施の形態1の電子放出源アレイ250によれば、単位領域の中央部に位置する陰極253から放出される電子だけでなく、単位領域の端部側に位置する陰極253から放出される電子も、静電レンズ274の中央部で緩やかに屈折されるため、従来よりも高い集束効果を得ることができる。
また、電子放出を行うエレメント256の単位領域よりも平面視で大きな静電レンズ274により、電子放出源アレイ250に対向配置される光電変換膜や蛍光体等(図示せず)の本来放射されるべき画素領域に正確に電子(電子ビーム)を放射することができる。また、電子の焦点距離のばらつきを低減することができることによっても、集束効果を向上させることができる。
また、比較用の従来の電子放出源アレイ1000では、単位領域内の端部側に陰極253を配設できなかったため、陰極253の集積度が制限されていたが、実施の形態1の電子放出源アレイ250によれば、単位領域の端部側に陰極253を配置しても、電子ビームが静電レンズ274の中央部を通過するため、単位領域内の端部側にも陰極253を配置でき、陰極253の集積度を向上させることができる。
なお、以上では、一例として、エレメント256が水平走査方向に5つ、垂直走査方向に5つ配列されている電子放出源アレイ250の一部分を用いて集束電極270にHレベルの集束電圧を印加する方法について説明したが、例えば、水平走査方向に640個で垂直走査方向に480個、あるいは、水平走査方向に1920個で垂直走査方向に1020個ほどエレメント256が配列される実際の電子放出源アレイ250においても、上述の場合と同様に集束電極270にHレベルの集束電圧を印加することができる。
また、以上では、電子を放出するエレメント256の集束電極270の周囲の8つの集束電極270にもHレベルの集束電圧を印加する形態について説明したが、平面視において、電子を放出するエレメント256に対して対称に配置される集束電極270にHレベルの集束電圧を印加するのであれば、Hレベルの集束電圧を印加する集束電極270のパターンは上述のパターンに限られるものではない。
例えば、F3−3の集束電極270を含むエレメント256から電子を放出させる場合に、図8(A)に示すように、F1−3、F2−2、F2−3、F2−4、F3−1、F3−2、F3−3、F3−4、F3−5、F4−2、F4−3、F4−4、F5−3の13個の集束電極270だけにHレベルの集束電圧を印加するようにしてもよい。
また、F3−3の集束電極270を含むエレメント256から電子を放出させる場合に、図8(B)に示すように、F1−1、F1−2、F1−3、F1−4、F1−5、F2−1、F2−5、F3−1、F3−5、F4−1、F4−5、F5−1、F5−2、F5−3、F5−4、F5−5、の16個の集束電極270だけにHレベルの集束電圧を印加するようにしてもよい。
また、F3−3の集束電極270を含むエレメント256から電子を放出させる場合に、図8(C)に示すように、F2−3、F3−2、F3−3、F3−4、F4−3の5個の集束電極270だけにHレベルの集束電圧を印加するようにしてもよい。
また、F3−3の集束電極270を含むエレメント256から電子を放出させる場合に、図8(D)に示すように、F2−3、F4−2、F4−4の3つの集束電極270だけにHレベルの集束電圧を印加するようにしてもよい。
また、F3−3の集束電極270を含むエレメント256から電子を放出させる場合に、図8(E)に示すように、F1−1、F1−3、F1−5、F3−1、F3−5、F5−1、F5−3、F5−5の8つの集束電極270だけにHレベルの集束電圧を印加するようにしてもよい。
また、F3−3の集束電極270を含むエレメント256から電子を放出させる場合に、図8(F)に示すように、F1−3、F2−2、F2−4、F3−1、F3−5、F4−2、F4−4、F5−3の8つの集束電極270だけにHレベルの集束電圧を印加するようにしてもよい。
また、以上で説明したパターンに限らず、電子放出を行う単位領域のエレメント256を中心として平面視で点対称なパターンであれば、どのようなパターンで集束電極270にHレベルの集束電圧を印加してもよく、パターンと電圧値を調整することにより、静電レンズ274(図4(B)参照)の大きさ(平面視での大きさと焦点距離)を任意に設定することができる。
次に、図9を用いて実施の形態1の電子放出源アレイ250を用いた撮像装置について説明する。
図9は、実施の形態1の電子放出源アレイ250を用いた撮像装置の構成を示す断面図である。
実施の形態1の電子放出源アレイ250を用いた撮像装置200は、透光性基板210、透光性導電膜220、光電変換膜230、メッシュ状電極240、及びSpindt型の電子放出源アレイ250を具える。
透光性導電膜220は、透光性基板210の上に形成され、光電変換膜230は、透光性導電膜220の上に形成される。また、Spindt型の電子放出源アレイ250は、光電変換膜230と真空空間を隔てて対向するように保持されており、複数の開口を有するメッシュ状電極240は、光電変換膜230と電子放出源アレイ250との間に配設される。
図9では簡略化のために省略するが、実際の撮像装置200には、電子放出源アレイ250、光電変換膜230、及びメッシュ状電極240を所定間隔で対向保持する機構や、撮像装置200の駆動に必要なパルス電圧やDC電圧等を供給する電極や、電子放出源アレイ250と光電変換膜230との間を真空に保持するための真空容器等が含まれる。
透光性基板210は、例えば、撮像装置200が可視光を撮像する撮像素子である場合はガラスで構成すればよく、また、紫外光を撮像する撮像素子である場合はサファイア又は石英ガラスで構成すればよい。また、X線を撮像する撮像素子である場合は、ベリリウム(Be)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、窒化ホウ素(BN)又は酸化アルミニウム(Al2O3)等で構成すればよく、撮像する光の波長に応じて材料を選択すればよい。
透光性導電膜220は、例えば、酸化スズ(SnO2)膜、ITO膜、又はアルミニウム(Al)等の金属薄膜材料で構成することができる。この透光性導電膜220には、信号増幅・処理回路300及び電源600が接続されている。
光電変換膜230を作製するための材料としては、セレン(Se)、シリコン(Si)、等の半導体材料や、酸化鉛(PbO)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、砒化ガリウム(GaAs)、テルル化亜鉛(ZnTe)等の化合物半導体材料を用いることができる。
これらの材料のうち、セレン(Se)やシリコン(Si)等の半導体材料を用いて作製した非晶質半導体膜では、膜に高電界を印加することで、膜内で光生成電荷のアバランシェ倍増が生じて感度を飛躍的に向上させることができる。
メッシュ状電極240は、複数の開口が設けられていればよく、公知の金属材料、合金材料、又は半導体材料等によって構成される。また、このメッシュ状電極240には、電源610が接続されており、後述する電子放出源アレイ250のゲート電極に印加される電圧よりも高い電圧が印加される。
このような撮像装置200内において、透光性基板210の上面側から入射する光は、透光性基板210及び透光性導電膜220を透過し、光電変換膜230に到達する。この透過光により、光電変換膜230内に電子・正孔対が生じる。
電源600によって、陰極253に印加される電圧より高い電圧が透光性導電膜220に印加されると、光電変換膜230内の正孔が、光電変換膜230の中を電子放出源アレイ250の側に向けて(光電変換膜230の厚さ方向を電子放出源アレイ250の側に向けて)移動し、光電変換膜230の電子放出源アレイ250側に蓄積される。
また、電子放出源アレイ250にはエミッタ電極駆動部410及びゲート電極駆動部420(図1参照)からパルス電圧が印加されると、電子放出源アレイ250の各陰極253から、各単位領域のエレメント256毎に水平走査における映像信号出力期間に順次放出される電子は、ゲート電極255に印加される電圧よりも高い電圧が印加されるメッシュ状電極240によって光電変換膜230側に引き出される。
そして、電子放出源アレイ250から放出される電子と光電変換膜230に蓄積される正孔とが再結合する際に、透光性導電膜220を介して得られる電流を出力信号として取り出し、この出力信号を信号増幅・処理回路300で増幅、処理することで、信号増幅・処理回路300に接続されたモニタ620で入射光像に対応した映像信号を得ることができる。
このように実施の形態1の電子放出源アレイ250を用いた撮像装置200は、電子放出源アレイ250の集束効果が高いため、高画質及び高精細な撮像信号を得ることができる。
次に、図10を用いて実施の形態1の電子放出源アレイ250を用いた表示装置について説明する。
図10は、実施の形態1の電子放出源アレイ250を用いた表示装置の構成を示す断面図である。
表示装置500は、ガラス基板501に透明電極502及び蛍光体等の発光層503を積層した表示部510と、実施の形態1の電子放出源アレイ250を対向配置した構造を有する。
なお、ここでは、実施の形態1の電子放出源アレイ250を用いた表示装置500の概略を示すため、電子放出源アレイ250に対して表示部510を保持し、電子放出源アレイ250と表示部510との間を真空状態で密封する部材を省略するが、このような部材としては、例えば、フリットシールやスペーサを用いることができる。
また、透明電極502としては、例えば、ITO(Indium
Tin Oxide)を用いることができ、発光層503としては、例えば、青色蛍光体粒子(ZnS:Ag,Al)、緑色蛍光体粒子(Y2SiO5:Tb3+、Y3(Al,Ga)5O12:Tb3+、又はZnO:Zn)、及び赤色蛍光体粒子(Y2O3:Eu3+)を含む蛍光体を用いることができる。
このような表示装置500において、表示部510の透明電極502に電源520から正電圧を印加した状態で、電子放出源アレイ250のエミッタ電極駆動部410及びゲート電極駆動部420(図1参照)からパルス電圧が印加されると、電子放出源アレイ250の各陰極253から、各単位領域のエレメント256毎に電子が放出され、発光層503で発光が生じることにより、表示部510に画像等を表示することができる。
実施の形態1の電子放出源アレイ250は、上述のように単位領域よりも大きな静電レンズ274を形成できるので、表示装置500に用いた場合は、従来よりも高精細な表示が可能となる。
以上、実施の形態1の電子放出源アレイ250、及びこれを用いた撮像装置200と表示装置500の説明において、電子放出源アレイ250が高融点金属を陰極に用いたSpindt型電子放出源である場合について説明したが、電子放出源アレイ250は、シリコン(Si)を陰極に用いたシリコンコーン型電子放出源、又は、ポーラスシリコンや酸化シリコン等を電極で挟んだ平面型電子放出源等の公知の電子放出源からなるマトリクスアレイであってもよい。
また、電子放出源アレイ250の駆動形式には様々な形式のものがあるが、電子放出源アレイ250としては、外部の駆動回路から供給されるパルス電圧によって駆動されるパッシブ電子放出源アレイ、駆動回路が内蔵された駆動回路内蔵パッシブ電子放出源アレイ、電子放出源アレイの各単位領域にトランジスタを内蔵したアクティブ電子放出源アレイ、又は、駆動回路を内蔵し、電子放出源アレイの各単位領域にトランジスタを内蔵した駆動回路内蔵アクティブ電子放出源アレイのいずれを用いることもできる。
[実施の形態2]
図11は、実施の形態2の電子放出源アレイを示す図であり、(A)は断面図を示し、(B)は平面図を示す。図11(A)に示す断面は、平面図のA−A’矢視断面を示す。また、図11(C)は、図11(A)に示す電子放出源アレイの断面の一部を拡大して示す図であり、図11(D)は図11(B)に示す電子放出源アレイの一部を拡大して示す図である。
実施の形態2の電子放出源アレイ2250は、集束電極2270の形状が異なる点が実施の形態1の電子放出源アレイ250と異なる。その他の構成は、実施の形態1の電子放出源アレイ250と同一であるため、同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図11(A)〜(D)に示すように、実施の形態2の電子放出源アレイ2250の集束電極2270は、単位領域毎に設けられる点では実施の形態1の集束電極270と同一であるが、単位領域内にある9個の陰極253に対応した9個の開口部2270Aを有する点が実施の形態1の集束電極270と異なる。
ここで、図11(C)に示す陰極253の頂点から、集束電極2270の開口部2270Aのい開口端を結ぶ発散角について検討すると、集束電極2270が9つの開口部2270Aを有することにより、各陰極253から放出される電子ビームの発散角は、単位領域毎に一つの大きな開口部270Aを有する実施の形態1の集束電極270を用いる場合よりも小さくなる。
このため、実施の形態2の電子放出源アレイ2250によれば、実施の形態1の電子放出源アレイ250よりも、電子ビームの焦点距離の制御を行いやすくなり、高い集束効果を得やすくなる。
以上より、実施の形態2によれば、実施の形態1の電子放出源アレイ250よりも集束効果を向上させやすい電子放出源アレイ2250を提供することができる。
なお、実施の形態2では、集束電極2270が各陰極253に対応する開口部2270Aを有する形態について説明したが、単位領域内にある陰極253を幾つかのグループに分け(例えば、3つずつのグループ、5つずつのグループ、又は10個ずつのグループ等に分け)、各グループについて開口部2270Aを形成するように構成してもよい。また、単位領域の中央側と端部側でグループに含まれる陰極253の数を変えてもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態の電子放出源アレイ、撮像装置、及び表示装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。