以下に、本発明に係るアンテナ内蔵型撮像装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る薄型スキャナの外観を示す図であり、蓋部を閉じた状態を示す図である。図2は、図1に示す薄型スキャナの蓋部を開いた状態を示す図である。本発明に係るアンテナ内蔵型撮像装置の一例である実施形態に係る薄型スキャナ1は、共に薄型の略直方体、或いは略板状に形成された第1本体部である蓋部5と第2本体部である本体部6とを有しており、蓋部5と本体部6とは、双方の一辺がヒンジ8によって接続されている。これにより、蓋部5と本体部6とは、相対的に開閉可能に設けられている。また、これらの蓋部5と本体部6は、共に金属製の筐体を有しており、この蓋部5と本体部6とには、画像を読み取る画像読取部10が設けられている。詳しくは、蓋部5には、蓋部5を閉じた際における本体部6側の面に第1画像読取部11が設けられ、本体部6には、蓋部5を閉じた際における蓋部5側の面に第2画像読取部12が設けられている。これらの第1画像読取部11と第2画像読取部12とは、蓋部5と本体部6とを閉じた際に、重なり合う位置に配設されている。
また、蓋部5には、第1画像読取部11が設けられている側の面の反対側の面に、画像表示部15が設けられている。この画像表示部15は、液晶パネルによって設けられており、任意の画像が表示可能になっている。また、この画像表示部15には、表示された画像に応じて当該画像表示部15を触れることにより入力操作を行うことができる、いわゆるタッチパネルが設けられており、画像表示部15は、タッチパネル付き液晶パネルになっている。このため、画像表示部15は、操作入力部としての機能も兼ね備えている。
また、蓋部5や本体部6には、機械式センサや磁気センサ、または光センサ等により、双方の開閉の検出が可能な開閉検出機構(図示省略)が設けられている。
図3は、図2に示す画像読取部の構成を示す断面図である。第1画像読取部11と第2画像読取部12との双方の画像読取部10は、共に図3に示すような同様な構成で設けられている。この画像読取部10は、バックライト35と、このバックライト35上に設けられる透明なガラス基板21と、ガラス基板21上に所定の間隔で二次元配列状に複数が配設される受光部である受光素子25とが、積層されて設けられている。このうち、ガラス基板21上に配設される受光素子25は、詳しくはガラス基板21におけるバックライト35が位置する側の反対側の面に配設されている。また、バックライト35は、光源であるLED(Light Emitting Diode)38と、このLED38で発した光をガラス基板21全体に導く導光板36及び反射板37と、を備えている。
このように、光源としてLED38が用いられる画像読取部10では、LED38をR(Red)、G(Green)、B(Blue)の3色とし、順次発光して画像を読み取り、読み取った画像を合成することでカラー画像を得ることができる。なお、LED38をRGB3色にする代わりに、受光素子25にRGBのカラーフィルターを備えることでも、カラー化が可能になる。
また、バックライト35が有する光源は、本実施形態に係る薄型スキャナ1ではLED38を用いているが、この光源はLED38以外のものを用いてもよく、例えば、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の光源を用いてもよい。
また、バックライト35は、ガラス基板21における受光素子25が位置する側の反対側に設けられているが、このバックライト35は、LED38の発光時に、LED38で発した光を導光板36と反射板37とによってガラス基板21全体に導くことが可能になっており、また、ガラス基板21は透明な部材により設けられている。これらのため、LED38の発光時、即ち、バックライト35の発光時には、バックライト35からの光はガラス基板21を透過し、複数の受光素子25同士の間から、ガラス基板21においてバックライト35が位置する側の反対側の方向に照射される。
このように、透明に設けられるガラス基板21上における複数の受光素子25同士の間の部分は、バックライト35の発光時に、この光を用いて、ガラス基板21においてバックライト35が位置する側の反対側の方向に発光可能な発光部26として設けられている。つまり、ガラス基板21上に配設される受光素子25同士は離間しているので、発光部26は、各受光素子25の周囲にそれぞれ設けられた状態になっている。また、これらのようにガラス基板21には受光素子25が設けられていると共に発光部26も設けられており、このため、受光素子25を含めたガラス基板21からなる層は、受光と発光とが可能な受発光層20として設けられている。
このように設けられる画像読取部10は、受発光層20に設けられる受光素子25で、原稿で反射した光を受光することにより、原稿の画像を読み取ることができるように設けられているため、画像読取部10で原稿の画像を読み取る場合は、画像読取部10において受光素子25が設けられている側の面で読み取る。また、画像読取部10は、原稿の画像を読み取る側の面の反対側に原稿を照射する照射光を発光するバックライト35が配設されている。
図4は、NFCアンテナの搭載状態を示す説明図である。図5は、図4のA−A矢視図であり、アンテナパターンを示す説明図である。また、本実施形態に係る薄型スキャナ1は、IC(Integrated Circuit)が組み込まれることにより情報を記憶することができる記憶媒体として設けられ、非接触で情報の読み書きを行うことができるICカードであるNFC(Near Field Communication)カードを原稿として当該薄型スキャナ1で画像を読み取る場合に、NFCカードとの間で通信を行うことができる通信機能を備えている。このため、本実施形態に係る薄型スキャナ1は、NFCカードとの間で通信可能なアンテナパターン41を有するアンテナであるNFCアンテナ40を搭載している。
NFCアンテナ40は、プリント板によって設けられており、本体部6に内設されて、バックライト35の反射板37側の位置に設けられている。つまり、バックライト35における受発光層20が位置する側の反対側に配設されている。このNFCアンテナ40は、実際にNFCカードとの間で通信可能な部分であるアンテナパターン41が設けられていない部分にも、樹脂やFR4(Flame Retardant Type 4)などのプリント板を形成する材料が設けられており、プリント板全体で均一な厚さとなって形成されている。
さらに、このNFCアンテナ40におけるバックライト35が位置する側の反対側には、磁性材料を含んで形成されることにより磁性力を有し、均一な厚さで形成される磁性体である磁性シート50がNFCアンテナ40に沿って配設されている。これらのNFCアンテナ40と磁性シート50とは、共にバックライト35が有する導光板36や反射板37以上の大きさで設けられており、少なくとも導光板36や反射板37全体をカバーできる大きさで形成されている。つまり、NFCアンテナ40は、画像読取部10におけるNFCカードの画像を読み取る側の面の反対側に画像読取部10の全面を覆って筐体7に内設されており、磁性シート50は、NFCアンテナ40における画像読取部10側の面の反対側に画像読取部10の全面を覆って筐体7に内設されている。このため、バックライト35における受発光層20が位置する側の反対側には、NFCアンテナ40と磁性シート50とが、それぞれ均一な厚さでバックライト35の全体に配設されている。
なお、これらのNFCアンテナ40と磁性シート50とは、同じ大きさである必要はなく、双方が共に画像読取部10の全面を覆うことができる大きさで形成されていれば、NFCアンテナ40と磁性シート50との間では、大きさは異なっていてもよい。
NFCアンテナ40は、このようにプリント板により形成されているが、NFCアンテナ40のアンテナパターン41は、原稿として画像を読み取るNFCカード内のアンテナパターンと正対するように設けるのが好ましい。つまり、NFCカードには、外部の通信機器との送受信を行う際に用いるアンテナが備えられているが、NFCアンテナ40のアンテナパターン41は、このNFCカードのアンテナとほぼ同等のパターンになるように設けるのが好ましい。
また、ここでいう正対とは、同一形状のアンテナを同一座標に重ね合わせることを意味する。このNFCアンテナ40のアンテナパターン41と、NFCカード内のアンテナパターンとの正対についての実測例では、外形寸法に対し、10%程度の位置ずれがあった場合には、磁界強度の低下も10%程度になる。
ここで、NFCアンテナ40のアンテナパターン41とNFCカードのアンテナパターンとの相対的な位置と磁界強度との関係を、実測例に基づいて説明する。図6−1〜図6−3は、NFCアンテナのアンテナパターンとNFCカードのアンテナパターンとのずれについての説明図である。この図6−1〜図6−3は、NFCアンテナ40のアンテナパターン41とNFCカード100内のアンテナパターン101とを同一形状にし、NFCカード100外形に対する中心と、NFCアンテナ40のアンテナパターン41の中心とを配置の基準位置として、NFCカード100をNFCアンテナ40のアンテナパターン41の中心から一定距離ずらし、そのときの磁界強度を測定した際における配置例を示している。このうち、図6−1は、横方向の相対位置が−6.0mm、縦方向の相対位置が±0.0mmの状態を示している。図6−2は、横方向の相対位置と縦方向の相対位置とが共に±0.0mmの状態を示している。図6−3は、横方向の相対位置が±0.0mm、縦方向の相対位置が+±3.5mmの状態を示している。
図7は、NFCアンテナのアンテナパターンとNFCカードのアンテナパターンとの相対的な位置に対する磁界強度の説明図である。磁界強度は、図7に示すように、相対位置のずれが0mmのときが最も大きくなり、縦方向と横方向とのいずれの方向にずれた場合でも、位置がずれて行くに従い磁界強度は弱くなる。このため、できる限りNFCアンテナ40のアンテナパターン41は、NFCカード100内のアンテナパターン101とずれないように配置するのが望ましい。
図8−1は、NFCアンテナのアンテナパターンとNFCカードのアンテナパターンとが同サイズの状態を示す説明図である。図8−2は、NFCアンテナのアンテナパターンが、NFCカードのアンテナパターンに対して2倍の大きさの状態を示す説明図である。図9は、NFCアンテナのアンテナパターンとNFCカードのアンテナパターンとの相対的な大きさと磁界強度との関係を示す説明図である。また、アンテナ形状について説明すると、通常、アンテナは大きい方が放射ゲインが大きくなり、大きな電力を放射できる。しかし、これは広範囲に放射されるだけで、NFCのように近接した場合では、送信側のアンテナが発生した磁束の一部した通らなくなってしまい、磁束強度は反って小さくなる。例えば、図9に示すように、NFCアンテナ40のアンテナパターン41をNFCカード100のアンテナパターン101に対して2倍の大きさにした場合(図8−2)には、NFCアンテナ40のアンテナパターン41とNFCカード100のアンテナパターン101とが同サイズ(図8−1)の場合と比較して、磁界強度は低下する。従って、NFCアンテナ40のアンテナパターン41は、できる限りNFCカード100内のアンテナパターン101と同サイズにすることが望ましい。
NFCアンテナ40は、このようにアンテナパターン41が設けられるが、このNFCアンテナ40や磁性シート50等を内設する本体部6には、本実施形態に係る薄型スキャナ1を制御する回路が搭載された主制御基板60が設けられている。この主制御基板60は、本体部6の金属製の筐体7の外側に設けられている。また、蓋部5の筐体7も金属製となっているが、磁性シート50は、この蓋部5にも内設されている(図15参照)。即ち、蓋部5や本体部6の筐体7は、画像読取部10を支持していると共に、NFCアンテナ40や磁性シート50を内設している。
図10は、図4に示すNFCアンテナの概略図である。図11は、図10に示すNFCアンテナを搭載する際における説明図である。プリント板により形成されるNFCアンテナ40は、柔軟な基板である、いわゆるフレキシブル基板として設けられており、基板全体としては略矩形状に形成され、この基板にループアンテナの形態でアンテナパターン41が設けられている。また、このNFCアンテナ40は、略矩形状に形成される基板の一部が基板の平面方向に突出することによって形成された接続部45が設けられており、この接続部45にもアンテナパターン41が設けられている。また、接続部45の端部には、アンテナパターン41における外部の電気回路との接続部分である接続端子46が設けられている。
このように設けられるNFCアンテナ40を本体部6に搭載する場合には、接続部45を折り返して接続端子46と主制御基板60とを接続する。これにより、NFCアンテナ40は、主制御基板60と平行な状態で本体部6に配設される。
図12は、図1に示す薄型スキャナの構成の概略を示す図である。これらのように設けられる薄型スキャナ1は、主制御基板60によって制御可能になっている。この主制御基板60には、処理部、記憶部及び入出力部が設けられており、このうち処理部には、各種の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)70が設けられている。
また、処理部は、第1画像読取部11による画像の読み取りの制御を行う第1画像読取部制御部71と、第1画像読取部11で読み取った画像を取り込む第1読取画像取込部72と、第2画像読取部12による画像の読み取りの制御を行う第2画像読取部制御部75と、第2画像読取部12で読み取った画像を取り込む第2読取画像取込部76と、画像表示部15での画像表示の制御を行う画像表示制御部80と、画像表示部15に対して行われた入力操作を取得する入力操作取得部81と、開閉検出機構での検出結果に基づいて蓋部5と本体部6との開閉を検出する開閉検出部85と、NFCアンテナ40によるNFCカードとの通信の制御、即ち、NFCカードとNFCアンテナ40との間の通信の制御を行う通信制御部であるNFC制御部90と、を有している。
図13は、図12に示すNFC制御部の説明図である。NFCアンテナ40によるNFCカードとの通信の制御は、NFC制御部90で行うが、このNFC制御部90は、NFCアンテナ40に接続されてインピーダンスの整合を行うマッチング回路91と、マッチング回路91に接続されて送信増幅回路や受信検波回路等により設けられるRF(Radio Frequency)フロントエンド92と、RFフロントエンド92に接続されてNFC通信のプロトコル制御を行うNFC制御回路93と、NFC制御回路93に接続されてNFC通信の全体の制御を行うNFC主制御回路94と、を有している。
また、NFC主制御回路94には、開閉検出部85と、原稿の撮像の開始を行う際の指示の入力を行うスタートボタン86とが接続されている。なお、このスタートボタン86は、独立した入力スイッチとして蓋部5や本体部6に設けられていてもよく、または、タッチパネルが設けられることにより操作入力部としての機能も備える画像表示部15に、スタートボタン86の機能を含めてもよい。
本実施形態に係る薄型スキャナ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。図14は、原稿の画像を読み取る場合における説明図である。この薄型スキャナ1は、通常の使用時には、第2画像読取部12(図2)側を上方に向ける向きで本体部6を下側に位置させ、第2画像読取部12に対して相対的に開閉可能な蓋部5を、本体部6に対する蓋として使用する。このように設けられる薄型スキャナ1で、原稿としてNFCカード100の画像を読み取る場合について説明すると、まず蓋部5を開いた状態で、本体部6に設けられる第2画像読取部12の上にNFCカード100を置き、この状態でヒンジ8を回動中心として蓋部5を閉じる。これにより、NFCカード100は蓋部5と本体部6とで挟み込まれ、第1画像読取部11(図2)と第2画像読取部12に挟み込まれた状態になる。即ち、NFCカード100の両面に、画像読取部10(図2)が位置する状態になる。
このように蓋部5と本体部6とを閉じると、開閉検出部85(図12)は、双方が閉じた状態であることを検出する。このように、蓋部5と本体部6とが閉じた状態であることを開閉検出部85で検出すると、自動的に、または、画像表示部15(図1)への所定の入力操作によって、薄型スキャナ1は、NFCカード100の画像を画像読取部10によって読み取る制御を行う。この画像読取制御を行う場合は、第1画像読取部制御部71(図12)で第1画像読取部11を制御し、第2画像読取部制御部75(図12)で第2画像読取部12を制御する。これにより、画像読取部10は、画像の読み取りを開始する。
第1画像読取部11や第2画像読取部12で読み取ったNFCカード100の画像は、第1読取画像取込部72(図12)や第2読取画像取込部76(図12)で取り込み、画像表示制御部80(図12)で画像表示部15を制御することにより、画像表示部15で表示する。このように、画像表示部15で表示したNFCカード100の画像を薄型スキャナ1の使用者が視認し、使用者が任意のタイミングでスタートボタン86(図13)への入力操作を行うと、薄型スキャナ1は、第1読取画像取込部72や第2読取画像取込部76で取り込んだ画像を記憶部に記憶する。つまり、第1画像読取部11や第2画像読取部12で読み取った画像を保存し、これによりNFCカード100の画像を撮像する。
画像読取部10でNFCカード100の画像を読み取る場合について詳しく説明すると、NFCカード100の画像を読み取る場合は、NFCカード100を画像読取部10の受発光層20におけるバックライト35側の反対側に配置した状態で、画像読取部10のバックライト35が有するLED38を発光させる。LED38で発した光は導光板36で当該導光板36全体に導かれ、また、反射板37が位置している部分では、反射板37によって反射する。このため、LED38で発した光は、バックライト35における反射板37が位置している側の面の反対側の面から出光し、受発光層20を照射する。即ち、画像の読み取り時には、LED38を発光させることにより、バックライト35で受発光層20を照射する。
バックライト35によって受発光層20を照射した場合、バックライト35からの光は受発光層20が有するガラス基板21を透過し、ガラス基板21におけるバックライト35が位置する側の面の反対側の面において、受光素子25が配設されていない部分である発光部26からNFCカード100に向けて出光する。即ち、バックライト35を発光させた場合には、発光部26からNFCカード100に対して照射する。
このように発光部26から出光してNFCカード100に到達した光は、NFCカード100で反射をするが、その際に、NFCカード100の表面の色など表面の状態に応じた反射光となって反射をする。NFCカード100で反射した光は受発光層20の方向に向かって反射し、受発光層20に向かう。受発光層20に向かった反射光は、受発光層20における受光素子25や発光部26が位置している側の面から受発光層20に到達する。これにより、受光素子25は、NFCカード100で反射した反射光を受光する。
NFCカード100で反射した反射光は、NFCカード100の表面の状態に応じた反射光になっており、受光素子25は、受光した光に応じて電気信号を発生可能に設けられている。このため、NFCカード100で反射した反射光を受光した受光素子25は、受光した反射光が反射をしたNFCカード100の表面の状態に応じた電気信号を発生する。このように受光素子25で発生した電気信号は、第1読取画像取込部72や第2読取画像取込部76に伝達され、これらの部分で取り込まれる。
つまり、第1画像読取部11が有する受光素子25でNFCカード100からの反射光を受光することにより発生した電気信号は第1読取画像取込部72に伝達され、第2画像読取部12が有する受光素子25でNFCカード100からの反射光を受光することにより発生した電気信号は第2読取画像取込部76に伝達される。第1読取画像取込部72や第2読取画像取込部76は、第1画像読取部11や第2画像読取部12が有する複数の受光素子25からの電気信号を取得することにより、NFCカード100における第1画像読取部11や第2画像読取部12のそれぞれが面している側のNFCカード100の画像情報を取得する。つまり、NFCカード100の一方の面を第1画像読取部11で読み取り、他方の面を第2画像読取部12で読み取ることにより、NFCカード100の両面を画像読取部10で読み取る。
図15は、薄型スキャナとNFCカードとの間で通信を行う場合の説明図である。NFCカード100を原稿としてNFCカード100の画像を撮像する場合には、これらのように画像読取部10でNFCカード100の表面の画像を読み取ることにより撮像するが、NFCカード100との間で情報の通信を行う場合には、NFCアンテナ40を用いてNFC制御部90によってNFCカード100との間で通信を行う。
具体的には、NFC制御部90はNFCアンテナ40に磁界Mを発生させることにより、この磁界Mを受けるアンテナパターンを有するNFCカード100に電力を発生させ、NFCカード100内のICチップ(図示省略)を作動させる。NFCアンテナ40が発生する磁界Mの大きさを変化させることで、NFCカード100上のアンテナに発生する電圧が変化する。NFCカード100上のICチップは、この電圧変化を検出することでNFC制御部90からの情報を受け取る。また、NFCカード100上のアンテナ及びICチップは、NFC制御部90に対して負荷となるが、ICチップが負荷をオン・オフすることで、NFCアンテナ40に発生する電圧が変化する。NFC制御部90は、この電圧変化を検出することで、NFCカード100から情報を受け取る。このようにして、NFC制御部90とNFCカード100との間で通信を行う。
ここで、蓋部5や本体部6は、筐体7が金属製となっているが、この金属製の筐体7内で磁界Mを発生させて通信を行う場合、磁界Mによって金属製の筐体7に渦電流が発生し、磁界Mの発生を抑制する。このため、この場合は通信ができなくなるが、本実施形態に係る薄型スキャナ1では、金属製の筐体7内に、磁性シート50が配設されている。この磁性シート50は、透磁率が高いため、磁束が集中し易くなるので、NFCアンテナ40で発生する磁界Mの磁束は磁性シート50を通り、磁束ループを維持することができる。これにより、磁界Mを発生させることができるので、NFCカード100との間で通信を行うことができる。
薄型スキャナ1とNFCカード100との間で通信を行う場合には、これらのように磁界Mを発生させることにより行うが、次に、NFC制御部90の各部で行われる処理について説明する。例えば、NFCカード100からの信号をNFCアンテナ40で受信する場合について説明すると、NFCアンテナ40で信号を受信した場合には、マッチング回路91で、NFCアンテナ40とRFフロントエンド92とのインピーダンスの整合を行う。マッチング回路91でインピーダンスの整合を行った信号は、RFフロントエンド92に伝達され、RFフロントエンド92で受信検波を行う。さらに、この信号はRFフロントエンド92からNFC制御回路93に伝達され、NFC制御回路93でNFC通信のプロトコル制御を行う。即ち、RFフロントエンド92から伝達された信号に対して所定の変換を行い、NFC主制御回路94に変換後の信号を伝達する。これにより、NFCカード100からの信号は、NFC主制御回路94に伝達される。
また、NFC制御部90から送信する場合には、受信時とは反対にNFC主制御回路94からNFC制御回路93に対して信号を送信し、NFC制御回路93でプロトコル変換した後、変換後の信号をRFフロントエンド92に伝達する。RFフロントエンド92では、NFC制御回路93から伝達された信号を増幅し、マッチング回路91に伝達する。マッチング回路91は、RFフロントエンド92とNFCアンテナ40とのインピーダンスの整合を行ってRFフロントエンド92からの信号をNFCアンテナ40に伝達し、NFCアンテナ40からNFCカード100に対して送信する。薄型スキャナ1とNFCカード100との間でNFC通信を行う場合は、これらのようにNFC制御部90の各部で各種の処理を行うことにより、情報の通信を行う。
図16は、NFCアンテナのインピーダンスのマッチングの説明図である。ここで、ループアンテナのアンテナパターン41を有するNFCアンテナ40は、単体のインピーダンス(Z=R+jX)はコイルと同じで、虚数部(X)の値がほとんどで、実数部(R)の値は非常に小さいものとなっている。これを本体部6の筐体7等に近付けると、実数部(R)の値が非常に大きくなる。また、NFC制御部90の回路側とNFCアンテナ40とはインピーダンスを整合させる必要があるが、実数部(R)の値が大きくなり、NFCアンテナ40の特性が変化すると整合が取れなくなり、送信出力が大幅に低下したり、出力に大きな歪みが発生したりする。このようなNFCアンテナ40の特性の変化は、磁性シート50を設けることにより低減することはできるが、NFCアンテナ40単体と比較すると、磁性シート50を設けた場合でも特性は変化する。
また、本実施形態に係る薄型スキャナ1は、NFCアンテナ40を内設する本体部6と蓋部5との開閉が可能に設けられており、蓋部5を開いた状態よりも、蓋部5を閉めた状態の方がNFCアンテナ40の特性の変化は、さらに大きくなる。例えば、NFCアンテナ40の特性の変化は、図16に示すように、アンテナ単体よりも、金属製の筐体7内に設けた場合は、アンテナインピーダンス(実数部)は大きくなり、このアンテナインピーダンスは、NFCアンテナ40を金属製の筐体7内に設けた場合は、蓋部5を開いた状態でも、アンテナ単体よりも大きくなる。また、このようにNFCアンテナ40を金属製の筐体7内に設け、蓋部5を閉じた状態では、蓋部5を開いた状態よりもアンテナインピーダンスは大きくなる。
また、アンテナインピーダンスは、このように蓋部5の開閉状態により変化するが、蓋部5を開いた状態でインピーダンスの整合調整をした場合、蓋部開き時整合送信出力TOopで示すように、蓋部5を閉じるとアンテナインピーダンスが上昇することにより、整合がずれてしまい、送信出力は大幅に低下する。これに対し、蓋部5を閉じた状態でアンテナインピーダンスの整合調整を行った場合には、蓋部5を閉じた状態が最も通信に適した状態になり、送信出力は必要十分な大きさが確保できる。この整合条件で蓋部5を開けた場合、整合がずれることによる送信出力の低下があるが、第1画像読取部11の影響が無くなるため、送信出力は大きく見えてしまう。但し、これは整合がずれているため、通信に適した状態では無い。
このため、アンテナインピーダンスの整合は蓋部5を閉じた状態で行い、NFC制御部90でのNFC通信は、開閉検出部85で蓋部5の開閉状態を検出し、蓋部5を閉じたことを検出してから、通信を開始する。つまり、開閉検出部85での検出結果をNFC主制御回路94で取得し、蓋部5を閉じたことをNFC主制御回路94で検出してから、NFC主制御回路94によってNFC通信の制御を開始する。このように、NFC制御部90は、NFCカード100とNFCアンテナ40との間の通信を開始する場合には、蓋部5と本体部6との相対的な位置関係が所定の位置関係であることを検出してから開始する。これにより、NFC制御部90側からNFCアンテナ40を見たときのインピーダンスを一定にする。また、蓋部5を開けた状態での通信も必要な場合には、蓋部5を開けた状態での整合条件も確認しておき、蓋部5を閉めたときの整合条件と切り替えて使用する。
図17は、実施形態に係る薄型スキャナでNFCカードの情報を読み取る際の処理手順の概略を示すフロー図である。次に、本実施形態に係る薄型スキャナ1でNFCカード100の情報を読み取る場合の制御方法、即ち、当該薄型スキャナ1でのNFC通信時の処理手順の概略について説明する。本実施形態に係る薄型スキャナ1でNFCカード100の情報を読み取る場合、NFCカード100の読み取り開始指示をNFC主制御回路94によって行う(ステップST101)。次に、蓋部5は閉まっているか否かを判定する(ステップST102)。この判定は、開閉検出部85での判定結果に応じてNFC主制御回路94で判定する。
NFC主制御回路94での判定(ステップST102)により、蓋部5は閉まっていると判定した場合には、NFCカード100の情報の読み取りを行う(ステップST103)。このようにNFCカード100の情報の読み取りを行う場合には、上述したようにNFC制御部90の各部で各種の処理を行い、NFCアンテナ40とNFCカード100との間で通信を行うことにより、NFCカード100の情報を読み取る。
NFCカード100の情報を読み取ったら、次に、画像情報との比較判定を行ったり、読み取った情報を表示したり、情報の読み取り後の各種の処理を実行する(ステップST104)。つまり、NFC制御部90で読み取ったNFCカード100の情報と、第1読取画像取込部72や第2読取画像取込部76で取り込んだ画像情報とを比較して、必要に応じて双方で取得した情報を予め定められた手順で比較したり、画像表示制御部80で画像表示部15を制御することによって、NFC制御部90で読み取ったNFCカード100の情報を画像表示部15で表示したりする。
これらのように、蓋部5は閉まっていると判定した場合における制御に対し、NFC主制御回路94での判定(ステップST102)により、蓋部5は閉まっていないと判定した場合には、エラーストップを実行し、画像表示部15でメッセージを表示する(ステップST105)。つまり、蓋部5は閉まっていないと判定した場合には、NFC主制御回路94は、NFCカード100の情報を読み取る処理を中止する。また、この場合は、蓋部5は閉まっていないことによるNFCカード100の情報読み取り中止の情報をNFC主制御回路94から画像表示制御部80に送信し、画像表示制御部80で画像表示部15を制御することによって、その旨のメッセージを表示する。
以上の薄型スキャナ1は、NFCカード100の画像を読み取ることができる画像読取部10を設けているため、NFCカード100の画像を撮像することができる。また、NFCカード100と通信可能なNFCアンテナ40を設け、さらに、このNFCアンテナ40における画像読取部10側の反対側の面に磁性シート50を配設しているので、これらを金属製の筐体に内設する場合にも、NFCアンテナ40で確実に磁界Mを発生させることができ、NFCアンテナ40とNFCカード100との間で、より確実に通信を行うことができる。即ち、より確実にNFCカード100との非接触通信を行うことができる。
また、これらのNFCアンテナ40や磁性シート50は、画像読取部10の全面を覆って設けられている。これにより、画像読取部10に歪みが発生することを抑制することができる。図18は、図1に示す薄型スキャナでのNFCアンテナと磁性シートとの配置状態を示す説明図である。図19−1は、NFCアンテナと磁性シートとを画像読取部の全面に設けない場合におけるバックライトの変形前の説明図である。図19−2は、NFCアンテナと磁性シートとを画像読取部の全面に設けない場合におけるバックライトの変形後の説明図である。つまり、NFCアンテナ40は、アンテナパターン41が設けられていない部分にも樹脂等が設けられることにより、プリント板全体で均一な厚さとなって形成された状態で、画像読取部10におけるNFCカード100の画像を読み取る側の面の反対側の全面に設けられている。即ち、NFCアンテナ40は、図18に示すように、厚さが均一な状態で、画像読取部10におけるバックライト35が設けられる側の面の全面を覆って配設されている。
また、磁性シート50も同様に均一の厚さで形成され、NFCアンテナ40における画像読取部10側の面の反対側にNFCアンテナ40に沿って配設されることにより、画像読取部10の全面を覆って設けられている。このため、画像読取部10におけるバックライト35が設けられる側の面に配設されるNFCアンテナ40と磁性シート50とは、少なくとも画像読取部10を覆う範囲では双方を合わせて均一な厚さで形成されて、画像読取部10の全面を覆って配設されている。
これにより、NFCアンテナ40や磁性シート50を画像読取部10に近接させて設けた場合でも、これらから受ける力は画像読取部10の全面で均一になるため、画像読取部10におけるNFCアンテナ40や磁性シート50が配設される側は、平坦な形状になる。具体的には、画像読取部10においてNFCアンテナ40や磁性シート50が配設される側に位置する反射板37や導光板36は、図18に示すように平坦な形状が維持される。
これに対し、図19−1に示すように、NFCアンテナ40を、アンテナパターン41の形状とほぼ同じ形状で形成し、さらに、磁性シート50を、必要最小限の大きさにした場合には、画像読取部10に歪みが発生する場合がある。つまり、NFCアンテナ40と磁性シート50とを、画像読取部10の全面を覆わない形状で画像読取部10に近接させて配設した場合、画像読取部10には、NFCアンテナ40等が設けられている部分のみにNFCアンテナ40等からの力が作用する場合がある。このため、この場合、NFCアンテナ40等が配設される側に位置する反射板37や導光板36は、図19−2に示すように、NFCアンテナ40や磁性シート50が設けられている位置に歪みが発生する場合がある。
このように、画像読取部10に歪みが発生した場合、NFCカード100等の原稿の画像を画像読取部10で読み取る際に、正確に読み取ることが困難になり、NFCカード100の画像を撮像する場合に、歪みが発生したり不鮮明になったりする場合がある。これに対し、均一の厚さで形成されたNFCアンテナ40や磁性シート50を画像読取部10の全面に配設することにより、NFCアンテナ40等を設ける場合における画像読取部10の歪みを抑制することができる。このため、NFCカード100等の原稿を撮像する際に、画像読取部10の条件を画像読取部10全体で同一の条件にして撮像することができため、鮮明に撮像することができる。これらの結果、NFCカード100との非接触通信と、NFCカード100の鮮明な撮像とを両立することができる。
また、画像読取部10には、NFCカード100の画像を読み取る側の面の反対側にバックライト35が配設されているため、NFCアンテナ40や磁性シート50を画像読取部10の全面に配設することにより、NFCカード100をより確実に鮮明に撮像することができる。つまり、バックライト35の導光板36や反射板37に歪みが発生した場合、バックライト35で発生する光量が変化するが、画像読取部10で画像を読み取り、電気信号として処理をした場合、この光量の変化が数値として明確に現れる。このため、画像読取部10で画像を読み取ることによりNFCカード100等の原稿の画像を撮像する場合、光量の変化に起因して、撮像した画像の明るさが場所に応じて異なったり、画像が不鮮明になったりする場合がある。
これに対し、NFCアンテナ40や磁性シート50を画像読取部10の全面に配設した場合には、導光板36や反射板37の歪みを抑制することができるため、画像読取部10で画像を読み取って電気信号として処理をした場合でも、光量の変化が現れなくなる。これにより、より確実に、NFCカード100等の原稿を鮮明に撮像することができる。この結果、NFCカード100とのより確実な非接触通信を実現する場合におけるNFCカード100の鮮明な撮像を、より確実に実現することができる。
また、NFCアンテナ40が設けられ、NFCカード100との通信が可能に設けられているので、画像読取部10で画像を読み取る原稿にNFCカード100を用いた場合、NFCカード100の画像の読み取りと、NFCカード100との情報の通信とを同時に行うことができる。これにより、NFCカード100の情報の読み取りやNFCカード100への情報の書き込みと、NFCカード100の画像の撮像とを同時に行うことができる。この結果、NFCカード100の撮像と通信とを行う際に、別々で行う必要がなくなるので、利便性を向上させることができる。
また、NFCアンテナ40のアンテナパターン41を、NFCカード100内のアンテナパターンと正対して設けているので、NFCカード100の撮像と、NFCカード100との非接触通信とを、より確実に、NFCカード100の同じ載置状態で実現することができる。つまり、画像読取部10で読み取る画像への影響を考慮して、NFCアンテナ40のアンテナパターン41を画像読取部10の周囲に設けた場合、NFCアンテナ40全体が大きくなるため、何も無い空間にも磁界が発生する。このため、NFC通信を行う際における出力に対する通信の効率や、NFCアンテナ40が大きくなることに起因する空間的な効率が低減する。また、同様に画像読取部10で読み取る画像への影響を考慮し、NFCアンテナ40を小さくして画像読取部10の側方に設けた場合、NFCアンテナ40を設けるためのスペースが必要になり、また、NFCアンテナ40を小さくし過ぎると、NFCアンテナ40からの送信電力が小さくなってしまう。また、NFCアンテナ40を小さくし過ぎた場合には、画像読取部10で画像の読み取りを行う場合と、NFCアンテナ40でNFC通信を行う場合とで、NFCカード100を異なる場所に載置して処理を行う必要が出てくる場合がある。
これに対し、NFCアンテナ40のアンテナパターン41を、NFCカード100内のアンテナパターンと正対して設けた場合には、NFCカード100の画像を画像読取部10で読み取り可能な位置にNFCカード100を載置した状態で、NFCアンテナ40で発生するほぼ全ての磁束を、NFCカード100を通過させることができる。これにより、NFCカード100の撮像が可能な状態にしつつ、NFC通信を行う際における出力に対する通信の効率を高くすることができるため、撮像と非接触通信とをNFCカード100の同じ載置状態で可能にしつつ、非接触通信時の無駄なエネルギーの消費を最小限に抑えることができる。この結果、より確実に、NFCカード100との非接触通信と、NFCカード100の鮮明な撮像とを両立することができる。
また、開閉可能な蓋部5と本体部6とに画像読取部10をそれぞれ設け、NFCカード100の画像を読み取る際には、蓋部5と本体部6との間にNFCカード100を挟み込んで、NFCカード100の両面から画像を読み取っている。これにより、NFCカード100との間での非接触通信と、NFCカード100の撮像とを同時に行う際に、NFCカード100の両面を同時に撮像することができる。この結果、NFCカード100との間での非接触通信と、NFCカード100の撮像とを同時に行う際の、利便性をより向上させることができる。
また、NFCカード100とNFCアンテナ40との間の通信を開始する場合には、蓋部5と本体部6との相対的な位置関係が所定の位置関係であることを検出してから開始するので、NFCアンテナ40のインピーダンスを一定の状態にして通信することができる。この結果、NFCカード100との非接触通信を行う際の送信出力の変動や歪みを低減させることができ、良好な通信を行うことができる。
なお、上述した実施形態に係る薄型スキャナ1では、NFC通信を行う際に、NFC主制御回路94での判定(図17、ステップST102)により蓋部5は閉まっていないと判定した場合には、エラーストップを実行しているが(図17、ステップST105)、蓋部5は閉まっていないと判定した場合でも、NFC通信を実行してもよい。例えば、インピーダンスの切り替え回路を設けて、蓋部5と本体部6との相対的な位置関係が所定の位置関係ではないと判定された場合、即ち、蓋部5が閉まっていないと判定された場合には、インピーダンスを切り替えてNFC通信を実行してもよい。このように、インピーダンスの切り替えを行う際に用いるインピーダンス切り替え回路(図示省略)は、RFフロントエンド92やNFC制御回路93に設ける。
図20は、NFCカードの情報を読み取る際の処理手順の変形例を示すフロー図である。インピーダンスの切り替えを行う場合における処理手順について説明すると、NFC主制御回路94でNFCカード100の読み取り開始指示を行い(ステップST101)、蓋部5は閉まっているか否かの判定をNFC主制御回路94で行った際に(ステップST102)、蓋部5は閉まっていないと判定した場合には、インピーダンスの切り替えを行う(ステップST111)。
この切り替えは、NFC主制御回路94から、NFC制御回路93やRFフロントエンド92などのインピーダンス切り替え回路が設けられる回路に、インピーダンスの切り替えの指示を送信することにより実行する。NFC主制御回路94からインピーダンスの切り替え指示を受けたNFC制御回路93やRFフロントエンド92は、蓋部5を開いた状態におけるNFCアンテナ40のインピーダンスに整合するように、インピーダンスを切り替える。これにより、蓋部5が開いた状態でNFCアンテナ40とNFCカード100との間で通信を行うことができるので、NFCカード100の情報の読み取りを行い(ステップST103)、画像情報との比較判定を行ったり、読み取った情報を表示したり、情報の読み取り後の各種の処理を実行する(ステップST104)。
これらのように、インピーダンス切り替え回路を設け、蓋部5が開いている場合にはインピーダンスを切り替えることにより、蓋部5に開閉状態に関わらず、良好な状態で非接触通信を行うことができる。この結果、NFCカード100との間で非接触通信を行う際における使い勝手の向上を図ることができる。
また、上述した実施形態に係る薄型スキャナ1では、NFCアンテナ40は本体部6に内設されているが、NFCアンテナ40は蓋部5に内設されていてもよい。NFCアンテナ40は、蓋部5と本体部6とのいずれか一方に内設されていればよい。NFCアンテナ40が設けられる側に関わらず、NFCアンテナ40を磁性シート50と共に均一な厚さで画像読取部10の全面を覆って配設することにより、NFCカード100との非接触通信と、NFCカード100の鮮明な撮像とを両立することができる。
また、上述した実施形態に係る薄型スキャナ1において画像読取部10で読み取る原稿はNFCカード100以外のものでもよい。また、画像読取部10でNFCカード100の画像を読み取る場合でも、NFCアンテナ40とNFCカード100との間での通信を必ずしも行う必要はなく、NFCカード100の撮像のみでもよい。反対に、画像読取部10でNFCカード100の画像の読み取りは行わずに、非接触通信のみを行い、NFCカード100の情報のみを読み取ってもよい。
また、上述した実施形態に係る薄型スキャナ1は、共に画像読取部10を備える蓋部5と本体部6とを有しており、これらがヒンジ8を介して接続されることにより、NFCカード100を蓋部5と本体部6で挟み込んでNFCカード100の画像を読み取ることができるが、NFCカード100を挟み込むように設けられていなくてもよい。図21、図22は、変形例に係る薄型スキャナの斜視図である。例えば、薄型スキャナ130は、図21、図22に示すように、薄型の略直方体、或いは略板状の形状で形成された1つの本体部135のみにより設けられ、この本体部135の一方の面に画像表示部15が設けられ、他方の面に画像読取部10が設けられていてもよい。これらの画像読取部10及び画像表示部15の構成や機能は、実施形態に係る薄型スキャナ1に設けられる画像読取部10及び画像表示部15と同様な形態となって設けられている。さらに、この薄型スキャナ130には、実施形態に係る薄型スキャナ1と同様に、画像読取部10におけるバックライト35側の面に画像読取部10の全面を覆って均一な厚さでNFCアンテナ40と磁性シート50とが配設されている。
図23は、図21に示す薄型スキャナの構成の概略を示す図である。このように、薄型スキャナ130を1つの本体部135のみにより形成し、画像読取部10も1つのみ設ける場合も、薄型スキャナ130には、当該薄型スキャナ130の各部を制御する主制御基板60が設けられている。また、主制御基板60には、処理部、記憶部及び入出力部が設けられ、処理部にはCPU70が設けられている。また、処理部は、画像読取部10による画像の読み取りの制御を行う画像読取部制御部141と、画像読取部10で読み取った画像を取り込む読取画像取込部142と、画像表示制御部80と、入力操作取得部81と、NFC制御部90と、を有している。
これらのように形成される薄型スキャナ130でNFCカード100の画像を読み取る際には、読み取るNFCカード100における読み取る側の面に、当該薄型スキャナ130の画像読取部10を対向させる。このようにNFCカード100に画像読取部10を対向させた状態で、または、対向させる前に、画像表示部15に所定の入力操作を行うと、画像読取部制御部141で画像読取部10を制御することにより、画像読取部10での読み取りを開始する。
画像読取部10で読み取った画像は読取画像取込部142で取り込み、画像表示制御部80で画像表示部15を制御することにより、読み取った画像を画像表示部15で表示する。このように、画像表示部15で表示した画像を薄型スキャナ130の使用者が視認し、スタートボタン86への入力操作を行うと、薄型スキャナ130は、読取画像取込部142で取り込んだ画像を記憶部に記憶し、NFCカード100の画像を撮像する。
また、NFCアンテナ40とNFCカード100との間でNFC通信を行う場合には、画像読取部10でNFCカード100の画像を読み取る際に自動的に、或いは、使用者の所定の入力操作に応じて、NFC制御部90でNFC通信の制御を行うことにより、NFC通信を行う。この薄型スキャナ130では、NFCアンテナ40と磁性シート50とは、画像読取部10におけるバックライト35側の面に画像読取部10の全面を覆って均一な厚さで配設されているため、これらの撮像や通信を行う場合には、NFCカード100との非接触通信と、NFCカード100の鮮明な撮像とを両立することができる。
また、上述した実施形態に係る薄型スキャナ1では、蓋部5が第1本体部として設けられており、本体部6が第2本体部として設けられているが、第1本体部と第2本体部とは、蓋部5と本体部6と以外により設けられていてもよい。即ち、第1本体部が第2本体部の蓋として設けられている必要はなく、第1本体部と第2本体部との関係は、実施形態に係る薄型スキャナ1の蓋部5と本体部6との関係にとらわれない。