JP5329213B2 - 廃棄物処理設備の能力増強方法 - Google Patents
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Description
旨とするところは特許請求の範囲に記載したとおりの下記内容である。
(1)副資材としてコークスを用いるシャフト型溶融炉、燃焼炉、廃熱回収ボイラ、節炭器、減温塔、バグフィルタ、廃棄物投入装置、蒸気タービン、および、煙突を有する一般廃棄物処理設備の能力増強方法であって、下記1)〜6)のすべての工程を有することを特徴とする、廃棄物処理設備の能力増強方法。
1)記溶融炉、燃焼炉の通風設備および酸素供給設備の能力を増強する工程、
2)前記溶融炉への廃棄物投入装置の稼動速度を高速化して処理量を増加させる工程、
3)前記燃焼炉の炉体耐火物の材質若しくは厚みを変更することにより熱交換量を調整して炉本体の大きさを変更せずに所定の能力を得る工程、
4)前記節炭器の伝熱面積を増加することにより熱回収能力の向上を図る工程、
5)前記減温塔での噴霧液滴径を小さくすることにより蒸発時間を確保して冷却塔の大きさを変更することなく所定の能力を得る工程、
6)前記バグフィルタにおける濾布の長さを長くすることにより必要な濾過面積の確保を図る工程。
(2)前記一般廃棄物処理設備が、さらに、排ガス処理設備、灰処理設備、誘引通風機、ゴミクレーン、排水処理設備、冷却水設備、空気圧縮機、窒素発生装置、酸素発生装置を含み、下記8)〜18)に記載の工程のいずれか1工程を有することを特徴とする、(1)に記載の廃棄物処理設備の能力増強方法
8)前記溶融炉の出口に設置されるサイクロンの効率を向上させて排ガス処理設備に流れるダスト量を削減することにより灰処理設備の能力上昇を抑える工程、
9)前記煙突先端の内径を大きくすることにより排ガス量の増加に適応させる工程、
10)前記溶融炉、燃焼炉の燃焼用空気に酸素を付加して空気に含まれる窒素量を削減することにより排ガス量を抑制して所定の能力を得る工程、
11)前記の炉体耐火物の材質を変更して厚さを低減させることにより、炉殻本体の大きさを変更することなく処理量の向上を図る工程、
12)前記燃焼炉の燃焼空気比を低減させて排ガス量を減少することにより炉体の大きさを変更することなく所定の燃焼滞留時間を確保する工程、
13)前記排熱回収ボイラの伝熱管の径を小さくする若しくは千鳥配置にすることで、同一空間内に配置できる伝熱間の本数を増加、若しくは熱伝達を向上させてボイラ炉殻の大きさを変更することなく必要な伝熱面積を確保することにより熱回収能力を得る工程、
14)廃棄物処理量の増大に伴う排ガス量の増大に合わせ、誘引通風機の能力を大きくする工程、
15)前記溶融炉の入口に設置されるゴミピットの内部の一部に隔壁を設け、ゴミの貯留量を向上させる工程、
16)前記ゴミを搬送するゴミクレーンの巻き取り速度、走行・横行速度を向上させる工程、
17)前記バグフィルタにて捕捉した灰の一部を前記ゴミピットに戻し灰を循環濃縮することにより灰処理設備の能力向上を抑え、廃棄物の処理量を向上させる工程、
18)排水処理設備、冷却水設備、空気圧縮機、窒素発生装置、酸素発生装置の用役設備の能力を増強若しくは増設により所定の能力を得る工程。
(3)前記廃棄物燃焼炉炉本体の増強工事を実施し、その後に蒸気タービンと復水器の増強工事を実施することを特徴とする、(1)または(2)に記載の廃棄物処理設備の能力増強方法。
<作用>
1)前記溶融炉、燃焼炉の燃焼用の空気、酸素の供給能力を向上させ、燃焼・溶融に必要な酸素を供給する。
2)廃棄物の処理量を大きくする場合、炉への投入装置を大きくする必要があるが、投入装置の交換には多大なコストが発生する。前記溶融炉への廃棄物投入装置の稼動速度を高速化することにより、1回あたりの投入量を変更しない、つまり、投入装置の大きさを変更することなく処理量の向上を図ることができる。
3)廃棄物の処理量を増加させることで発熱量が増大し、局部的な温度が上がりクリンカ等の発生が起こることで能力の向上を阻害するが、前記燃焼炉の炉体耐火物の材質を熱伝導率の高いものに変更し、熱回収量を増大することで燃焼温度上昇を抑制し、処理量の向上を図ることが可能となる。脱気器の運転圧力を下げて、ボイラ給水温度を下げても良い。
4)過熱器や蒸発器の伝熱面積でなく施工単価の安価な節炭器の伝熱面積を増加させることで改造コストを抑制することが可能となる。
5)ガス量が増大するために前記減温塔で噴霧水の蒸発に必要な滞留時間が足りなくなる。その場合、減温塔での噴霧液滴を小さくすることで蒸発時間を短縮することが出来、必要滞留時間を確保できる。噴霧液滴径の大きさを変更するためには噴霧ノズルの交換、液、アトマイズ空気の圧力の向上によることが多い。
6)前記バグフィルタにおける濾布を長くすることでケーシングの大きさ、濾布の配置を変更することなく濾過面積の増大を図ることができる。
7)必要に応じて、蒸気タービン(小型タービン)を増設することでごみ処理量の増大によって増加する発生蒸気を有効に利用し、電気を得ることが可能となる。蒸気タービンが2台設置される場合の制御方法としては、小型のタービンの出力を固定し、既存の大型のタービンで蒸気溜めの圧力の制御を実施することにより、制御が単純化でき、運転管理が容易となる。既存の大型タービンの出力を一定にした場合、小型タービンで制御することとなるが、その場合、小型タービンの運転範囲より変動幅が大きい場合に小型タービンの運転停止が頻繁に発生し、安定的な制御を実現することが難しい。ガス量の増大に伴い煙突先端部での笛吹き現象等、騒音の問題が発生する可能性がある。前記煙突先端の内径を大きくすることにより適正な流速に保つことができ、騒音の問題の発生を防止することができる。
(2)の発明によれば、さらに、下記8)〜18)のいずれかの作用を奏することができる。
8)廃棄物の処理量の増加に応じて排ガス処理設備に流入する灰の量が増加し、灰処理設備の能力向上が必要になるが、溶融炉出口のサイクロンの能力を向上させることでダストの回収量を向上させ、再度溶融炉にて処理を実施することで、飛灰中に含まれる灰分のスラグ化を図り、飛灰の排ガス処理設備への流出量を抑制し、灰処理能力の向上を最低限に抑えつつ溶融炉の処理量向上を達成することができる。
9)前記溶融炉、燃焼炉の燃焼用空気に加え、酸素を付加することで必要な酸素に対し供給される窒素量が低減でき、燃焼炉、ボイラ、バグフィルタ等の排ガスを通ガスする設備の大きさへの影響を小さくできる。
10)廃棄物の処理量を増大すると炉内での滞留時間が短くなる等の要因から処理が完全に終了することなく排出される若しくは処理が進まなくなり、結果必要な能力を得ることができなくなる可能性があるため、炉の大きさを変更することが望ましいが、燃焼炉の炉体耐火物の形状、材質を見直すことで、炉の内寸法を適正な大きさにすることによって外寸法を変更することなく処理量の向上を図ることができる。
11)前記燃焼炉の燃焼空気比を低減させて燃焼用に供給する空気量を削減し、排ガス量を低減することで排ガス処理系の大きさを大きく変更することなく処理量の向上を図ることが可能となる。
12)廃棄物の処理量の増加に応じて排ガス量が増大するため、廃棄物由来のエネルギーを回収し、有効に利用するためにはボイラの伝熱面積を大きくする必要がある。ボイラの伝熱面積の拡大方法として、前記排熱回収ボイラの伝熱管の径を小さくする若しくは千鳥配置にすることにより同一体積内に配置できる伝熱間の本数、面積を増大し、ボイラの炉殻の大きさを変更することなくボイラの伝熱面積を増大させ、熱回収を十分に行うことで熱回収効率を向上することができる。ボイラ本体の大きさを変更することは大きな工事を伴うが、内部伝熱管の数量を増やすことで改造コストを削減できる。
13)バグフィルターにおける濾布の長さだけでの対応が困難な場合には前記バグフィルタにおける濾布の径を小さくし、同一炉殻断面積中に配置できる本数を増加する、配置を千鳥配置にすることでろ布間隔を変えることなく炉布の設置本数を増加させることができる。
14)廃棄物処理量の増大に伴う排ガス量の増大に合わせ、誘引通風機の能力を大きくする工程により、誘引通風機の能力向上の方法として回転数を上げることで本体の大きさを変更することなく能力を増強する若しくは、インペラを交換し能力を大きくすることができる。
15)前記溶融炉の入口に設置されるゴミピットに隔壁を設けることで貯留量の拡大を図ることができる。隔壁は鋼板製のものとすることで短期間での設置が可能となる。必要に応じて別途貯留用ピット、ヤードを設置し、ゴミ量の変動に対応することも可能である。
16)ゴミ処理量を増量するためにクレーンのつかみ量を増大させた場合、クレーン本体の交換と共にクレーンを設置する建築物の補強も必要になる場合がある。前記ゴミを搬送するクレーンの運転速度を向上させ、荷重を変更することなく処理量を増大することで、建築構造物に係る荷重を変えることなく処理能力の向上を図ることができる。
17)前記バグフィルタにて捕捉した灰の一部を前記ゴミピットに戻し再度焼却・溶融処理することで灰を循環濃縮してスラグ成分をスラグに移行させ、飛灰の発生量を抑制し、灰処理設備の増強を最低限に抑えることができる。
18)排水処理設備、冷却水設備、空気圧縮機、窒素発生装置、酸素発生装置の共通用役設備の能力を向上することで必要な用役を確保でき、所定の処理能力を達成することができる。
(3)の発明によれば、前記廃棄物燃焼炉炉本体の増強工事を実施し、その後に(並行に)蒸気タービンと復水器の増強工事を実施することにより、急な廃棄物の増加に対し対処が可能となる。
1)前記溶融炉、燃焼炉の通風設備および酸素供給設備の能力を増強することにより、前記溶融炉、燃焼炉の燃焼用の空気、酸素の供給能力を向上させ、燃焼・溶融に必要な酸素を供給する。
15)前記溶融炉の入口に設置されるゴミピットの内部の一部に隔壁を設け、ゴミの貯留量を向上させる。即ち、メンテナンス時にはゴミを貯留しつつ実施する必要があるが、ゴミピットの容積が不足する場合、十分な点検期間を確保することが難しい。そこで前記溶融炉の入口に設置されるゴミピットに隔壁を設けることで貯留量の拡大を図ることができる。隔壁は鋼板製のものとすることで短期間での設置が可能となる。必要に応じて別途貯留用ピット、ヤードを設置し、ゴミ量の変動に対応することも可能である。
17)前記バグフィルタにて捕捉した灰の一部を前記ゴミピットに戻し灰を循環濃縮することにより灰処理設備の能力向上を最低限に抑え、処理量を向上させる。即ち、前記バグフィルタにて捕捉した灰の一部を前記ゴミピットに戻し再度焼却・溶融処理することで灰を循環濃縮してスラグ成分を主灰、スラグに移行させ、飛灰の発生量を抑制し、灰処理設備の増強を最低限に抑えることができる。
7)蒸気タービンを増設し小型のタービンの出力を固定し、大型のタービンで蒸気溜めの圧力の制御を実施することにより増加した蒸気を用いて電力を発生させる。即ち、タービンを増設することで回収量の増えた蒸気を電力に変換し、所内・外で利用可能となる。2基のタービンで同時に飲込み量を制御した場合、相互の制御が干渉し、適正な運転状態が得られないことがある。そこで図4に示すように、蒸気タービンを増設し小型のタービンの出力を固定し、大型のタービンで蒸気溜めの圧力の制御を実施することにより制御が単純化でき、運転管理が容易となる。大型タービンの出力を一定にした場合、小型タービンで制御することとなるが、その場合、小型タービンの運転範囲より変動幅が大きい場合に小型タービンの運転停止が頻繁に発生し、安定的な制御を実現することが難しい。
Claims (3)
- 副資材としてコークスを用いるシャフト型溶融炉、燃焼炉、廃熱回収ボイラ、節炭器、減温塔、バグフィルタ、廃棄物投入装置、蒸気タービン、および、煙突を有する一般廃棄物処理設備の能力増強方法であって、下記1)〜6)のすべての工程を有することを特徴とする、廃棄物処理設備の能力増強方法。
1)前記溶融炉、燃焼炉の通風設備および酸素供給設備の能力を増強する工程、
2)前記溶融炉への廃棄物投入装置の稼動速度を高速化して処理量を増加させる工程、
3)前記燃焼炉の炉体耐火物の材質若しくは厚みを変更することにより熱交換量を調整して炉本体の大きさを変更せずに所定の能力を得る工程、
4)前記節炭器の伝熱面積を増加することにより熱回収能力の向上を図る工程、
5) 前記減温塔での噴霧液滴径を小さくすることにより蒸発時間を確保して冷却塔の大きさを変更することなく所定の能力を得る工程、
6)前記バグフィルタにおける濾布の長さを長くすることにより必要な濾過面積の確保を図る工程。 - 前記一般廃棄物処理設備が、さらに、排ガス処理設備、灰処理設備、誘引通風機、ゴミクレーン、排水処理設備、冷却水設備、空気圧縮機、窒素発生装置、酸素発生装置を含み、下記8)〜18)に記載の工程のいずれか1工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理設備の能力増強方法。
8)前記溶融炉の出口に設置されるサイクロンの効率を向上させて排ガス処理設備に流れるダスト量を削減することにより灰処理設備の能力上昇を抑える工程、
9)前記煙突先端の内径を大きくすることにより排ガス量の増加に適応させる工程、
10)前記溶融炉、燃焼炉の燃焼用空気に酸素を付加して空気に含まれる窒素量を削減することにより排ガス量を抑制して所定の能力を得る工程、
11)前記の炉体耐火物の材質を変更して厚さを低減させることにより、炉殻本体の大きさを変更することなく処理量の向上を図る工程、
12)前記燃焼炉の燃焼空気比を低減させて排ガス量を減少することにより炉体の大きさを変更することなく所定の燃焼滞留時間を確保する工程、
13)前記排熱回収ボイラの伝熱管の径を小さくする若しくは千鳥配置にすることで、同一空間内に配置できる伝熱間の本数を増加、若しくは熱伝達を向上させてボイラ炉殻の大きさを変更することなく必要な伝熱面積を確保することにより熱回収能力を得る工程、
14)廃棄物処理量の増大に伴う排ガス量の増大に合わせ、誘引通風機の能力を大きくする工程、
15)前記溶融炉の入口に設置されるゴミピットの内部の一部に隔壁を設け、ゴミの貯留量を向上させる工程、
16)前記ゴミを搬送するゴミクレーンの巻き取り速度、走行・横行速度を向上させる工程、
17)前記バグフィルタにて捕捉した灰の一部を前記ゴミピットに戻し灰を循環濃縮することにより灰処理設備の能力向上を抑え、廃棄物の処理量を向上させる工程、
18)排水処理設備、冷却水設備、空気圧縮機、窒素発生装置、酸素発生装置の用役設備の能力を増強若しくは増設により所定の能力を得る工程。 - 前記廃棄物燃焼炉炉本体の増強工事を実施し、その後に蒸気タービンと復水器の増強工事を実施することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の廃棄物処理設備の能力増強方法。
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