JP5328473B2 - 治具およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基体の表面に形成される高分子膜によって、基体の表面の凹凸の平坦化、基体への断熱性の付与、基体の表面への保護膜の形成、基体の表面の滑り性の向上などを可能とする治具およびその製造方法に関する。
基体の表面の凹凸の平坦化、基体への断熱性の付与、基体の表面への保護膜の形成、基体の表面の滑り性の向上などを目的として、金属などからなる基体の表面に高分子膜を形成することがある。
従来、このような基体の表面への高分子膜の形成方法としては、湿式法、蒸着重合法などが用いられている。湿式法は、適当な溶媒に原料モノマーを溶解し、溶媒中にて原料モノマーを重合させて、その重合体を含む溶媒を基体の表面に塗布して、基体の表面に高分子膜を形成する方法である。また、蒸着重合法は、原料モノマーを蒸発させ、この気化した原料モノマーを、基体を配置した真空処理室内に導入して、基体の表面にて原料モノマーを重合させて、基体の表面に高分子膜を形成する方法である。
このような湿式法や蒸着重合法による高分子膜は、基体への密着力に劣るため、基体の表面処理を行って、密着力を向上する必要がある。
このような表面処理としては、環状分子と、これを串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置された環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、直鎖状分子および環状分子の少なくとも一方が疎水性を有する親油性ポリロタキサンからなる常温乾燥型溶剤系上塗り塗料用材料を用いて、基体の表面にベースコート塗膜を形成する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
また、プラズマ処理、コロナ放電処理、UV処理および電子線処理から選択された物理的処理が施された基材の表面に、重合性不飽和二重結合を側鎖に有する高分子化合物を接触させ、その後、基材を露光し、その露光により基材表面に発生したラジカルを起点として、重合性不飽和二重結合を側鎖に有する高分子化合物をグラフト重合して、基材に直接結合したグラフトポリマーを生成する基材表面改質方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−099992号公報 特開2005−359133号公報
しかしながら、基体の表面にベースコート塗膜を形成する方法では、そのベースコート塗膜を介した高分子膜の基体の表面への密着力が十分ではなかった。
また、プラズマ処理などの物理的処理を用いる方法では、物理処理によって基体の表面の極性を高めているものの、部分的にしか極性を十分に高めることができないため、高分子膜の基体の表面への密着力が十分ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、基体の表面により強固に高分子膜を密着させる治具およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の治具は、一方の面に厚みが10μm〜300μmのクロム膜と厚みが50μm〜500μmの金膜とが順に積層された基体と、該基体の一方の面に設けられた自己組織化単分子膜とを備え、前記自己組織化単分子膜上に、ポリ尿素、ポリウレタンのうち少なくとも1つからなる高分子膜が設けられてなることを特徴とする。
本発明の治具の製造方法は、基体と、該基体の一方の面に設けられた自己組織化単分子膜と、該自己組織化単分子膜上に設けられた高分子膜とを備えてなる治具の製造方法であって、基材の一方の面に、物理蒸着法により厚みが10μm〜300μmのクロム膜と厚みが50μm〜500μmの金膜を順に形成して基体を作製する工程Aと、前記基体の前記金膜上に、浸漬法または昇華法により自己組織化単分子膜を形成する工程Bと、前記自己組織化単分子膜上に、蒸着重合法によりポリ尿素、ポリウレタンのうち少なくとも1つからなる高分子膜を形成する工程Cとを有することを特徴とする
本発明の治具によれば、基体の一方の面に、厚みが均一で、かつ、基体と化学吸着した硫黄を含む官能基とは反対側にあるもう1つの末端官能基が表出した自己組織化単分子膜が設けられているので、この自己組織化単分子膜を介して、基体の一方の面上に、厚みの均一な高分子膜を密着させることができる。すなわち、上記の末端官能基と反応する官能基を有する高分子化合物を、自己組織化単分子膜と結合させることにより、自己組織化単分子膜の表面に高分子膜を形成することができる。
本発明の治具の製造方法によれば、クロム膜を介して基材上に金膜を形成し、さらに、金膜の一方の面に、自己組織化単分子膜を形成した後、自己組織化単分子膜上に、蒸着重合法により高分子膜を形成するので、原料モノマーの重合による高分子膜の形成と同時に、自己組織化単分子膜を構成する有機化合物の末端官能基と、高分子膜の官能基との化学結合が進行するので、自己組織化膜に対する密着性がより高い高分子膜を、厚みが均一でかつ安定に形成することができる。また、クロム膜を介して基材上に金膜を形成するので、基材に対する金膜の密着性が向上し、結果として、高分子膜の基体に対する密着性を高めることができる。
本発明の治具の第一の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の治具の第二の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の治具の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。 本発明の治具の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。 本発明の治具の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。 本発明の実施例において、高分子膜の密着強度の測定方法を説明する概略断面図である。 本発明の比較例において、高分子膜の密着強度の測定方法を説明する概略断面図である。 本発明の比較例において、高分子膜の密着強度の測定方法を説明する概略断面図である。 本発明の比較例において、高分子膜の密着強度の測定方法を説明する概略断面図である。
本発明の治具およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「治具」
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の治具の第一の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の治具10は、基体11と、基体11の一方の面11aに設けられた自己組織化単分子膜12とから概略構成されている。
また、基体11は、基材13、および、基材13の一方の面13aに順に積層されたクロム膜14と金膜15から構成されている。
すなわち、自己組織化単分子膜12は、金膜15のクロム膜14と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)15aに設けられている。
自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayers、SAM)12は、疎水性部位を規則的に金膜15の一方の面15aから外側に向けて、金膜15の一方の面15aに規則的に並んで結合した有機化合物の分子からなる単層の膜である。ここで有機化合物としては、金と容易に反応する官能基を好ましくは分子末端に有する、主鎖が直鎖状のものが挙げられ、このようなものとして、メルカプト基を分子末端に有する直鎖状のチオール、または、2個の硫黄原子が繋がったジスルフィド基(−S−S−)を官能基として有するジスルフィドが挙げられる。
より詳細には、自己組織化単分子膜12がチオールから構成される場合、チオールの硫黄と金膜15を構成する金との間の化学反応による吸着により、チオールが金膜15の一方の面15aに吸着し、この化学吸着過程において、チオール同士の相互作用によって吸着分子が密に集合して、分子の配向性の揃った、厚みの均一な有機単分子膜、すなわち、自己組織化単分子膜12が金膜15の一方の面15aに形成される。
同様に、自己組織化単分子膜12がジスルフィドから構成される場合、ジスルフィドの硫黄と金膜15を構成する金との間の化学反応による吸着により、ジスルフィドが金膜15の一方の面15aに吸着し、この化学吸着過程において、ジスルフィド同士の相互作用によって吸着分子が密に集合して、分子の配向性の揃った、厚みの均一な有機単分子膜、すなわち、自己組織化単分子膜12が金膜15の一方の面15aに形成される。
また、自己組織化単分子膜12の金膜15の一方の面15aと結合している面とは反対側の面(以下、「表面」という。)には、金膜15と化学吸着した硫黄を含む官能基とは反対側にあるもう1つの末端官能基が表出している。すなわち、基体11の一方の面11aは、自己組織化単分子膜12のもう1つの末端官能基によって覆われている。
チオールとしては、直鎖状のアルカンチオール、分子末端にメチル基を有する直鎖状のアルケンチオール、および、分子末端にメチル基を有する直鎖状のアルキンチオールのいずれかが好ましく、一般式C2n+1SH(式中nは8〜30の整数を示す。)で表される直鎖状のアルカンチオールがより好ましい。そして、この一般式で表される直鎖状のアルカンチオールのなかでも、ポリ尿素、ポリイミド、ポリウレタンなどからなる高分子膜との親和性の観点から、炭素数が2〜30のものが特に好ましい。
アルケンチオールおよびアルキンチオールは、不飽和結合が分子末端になければ、不飽和結合の数および場所は特に限定されないが、不飽和結合の数が少ない方が好ましく、不飽和結合が分子末端近傍にないことが好ましい。そして、ポリ尿素、ポリイミド、ポリウレタンなどからなる高分子膜との親和性の観点から、炭素数が2〜30であることが好ましく、18〜22であることがより好ましい。
ジスルフィドとしては、ジメチルジスルフィド、ジアリルジスルフィド、ジフェニルジスルフィドなどが用いられるが、これらの中でも、ポリ尿素、ポリイミド、ポリウレタンなどからなる高分子膜との親和性の観点から、ジメチルジスルフィドが好ましい。
自己組織化単分子膜12の厚みは、これを構成するチオールまたはジスルフィドの分子の大きさ(長さに)よって決定される。
基材13としては、ガラス基材が用いられる。
基材13の厚みは、特に限定されず、治具10の用途などに応じて適宜調整される。
クロム膜14は、クロム膜14は、基材13と金膜15との密着性を向上するために、スパッタや電子ビーム蒸着などの物理蒸着法により形成された膜である。
クロム膜14の厚みは、基材13と金膜15との密着性を確保する観点から、10μm〜300μm程度が好ましい。
金膜15は、この上に自己組織化単分子膜12を形成するために、スパッタや電子ビーム蒸着などの物理蒸着法により形成された膜である。
金膜15の厚みは、自己組織化単分子膜12との結合性を確保する観点から、50μm〜500μm程度が好ましい。
この治具10によれば、クロム膜14を介して基材13上に設けられた金膜15の一方の面15aに、厚みが均一で、かつ、金膜15と化学吸着した硫黄を含む官能基とは反対側にあるもう1つの末端官能基が表出した自己組織化単分子膜12が設けられているので、この自己組織化単分子膜12を介して、基体11の一方の面11a上に、厚みの均一な高分子膜を密着させることができる。すなわち、上記の末端官能基と反応する官能基を有する高分子化合物を、自己組織化単分子膜12と結合させることにより、自己組織化単分子膜12の表面12aに高分子膜を形成することができる。また、クロム膜14を介して基材13上に金膜15が形成されているので、基材13に対する金膜15の密着性が向上し、結果として、自己組織化単分子膜12の基体11に対する密着性が高くなる。
(2)第二の実施形態
図2は、本発明の治具の第二の実施形態を示す概略断面図である。
図2において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の治具20は、基体11と、基体11の一方の面11aに設けられた自己組織化単分子膜12と、自己組織化単分子膜12上に設けられた高分子膜21とから概略構成されている。
すなわち、高分子膜21は、自己組織化単分子膜12の表面12aに設けられている。
高分子膜21は、自己組織化単分子膜12を形成している有機化合物の末端官能基と化学結合する官能基を有する高分子化合物から構成されている。すなわち、高分子化合物の官能基と、自己組織化単分子膜12の表面12aに表出している末端官能基が化学結合することにより、自己組織化単分子膜12の表面12aに、厚みの均一な高分子膜が形成されている。
高分子膜21は、ポリ尿素、ポリイミド、ポリウレタンのうちすくなくとも1つから構成されている。
この治具20によれば、基体11の一方の面11aに設けられた自己組織化単分子膜12を構成する有機化合物の末端官能基と、高分子膜21の官能基が化学結合しているので、高分子膜21の自己組織化膜12に対する密着力が強くなる。したがって、自己組織化単分子膜12を介して、基体11の一方の面11a上に、厚みの均一な高分子膜21が安定に設けられている。また、クロム膜14を介して基材13上に金膜15が形成されているので、基材13に対する金膜15の密着性が向上し、結果として、高分子膜21の基体11に対する密着性が高くなる。
次に、図3〜図5を参照して、治具20の製造方法を説明する。
まず、図4に示すように、スパッタや電子ビーム蒸着などの物理蒸着法により、基材13の一方の面13aに所定の厚みのクロム膜14を形成し、次いで、クロム膜14の基材13と接している面とは反対側の面14aに所定の厚みの金膜15を形成し(工程A)、基体11を得る。
なお、クロム膜14と金膜15は、個別に成膜しても、一貫成膜法あるいは一貫二源同時傾斜成膜法により成膜してもよい。
次いで、基体11を、チオールまたはジスルフィドを含む溶液に浸漬するか、あるいは、チオールまたはジスルフィドを昇華させることにより、図4に示すように、基体11を構成する金膜15の一方の面15aに自己組織化単分子膜12を形成する(工程B)。
図4では、自己組織化単分子膜12を構成する有機化合物として、アミンチオールを用いた場合を例示する。
基体11を、チオールまたはジスルフィドを含む溶液に浸漬することにより、自己組織化単分子膜12を形成する方法(浸漬法)は、チオールまたはジスルフィドの塩を、溶媒に溶解して溶液を調製し、その溶液に、基体11を10〜50℃にて、0.5〜72時間浸漬して、金膜15の一方の面15aに自発的にチオールまたはジスルフィドからなる自己組織化単分子膜12を形成する方法である。
浸漬法において用いられるチオールの塩としては、2−アミノエタンチオール、2,2´−チオビス(エチルアミン)、11−アミノ−1−ウンデカチオール,ハイドロクロライド、4−アミノチオフェノールなどが挙げられる。
浸漬法において用いられるジスルフィドの塩としては、2,2´−ジチオビス(エチルアミン)二塩酸塩(S(CHCHNH・2HCl)、ホルムアミジンジスルフィド二塩酸、2,2´−ジチオジアニリン、DL−ホモシスチンなどが挙げられる。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどの低級アルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−1−ブチル、酢酸−2−ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)などのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などから選択される1種または2種以上が用いられる。
チオールまたはジスルフィドを昇華させることにより、基体11の一方の面11a上に、自己組織化単分子膜12を形成する方法(昇華法)は、密閉可能な容器に試薬、基板を入れて密閉し、浸漬法と同様の方法で基体11を10〜50℃にて、0.5〜72時間浸漬して、金膜15の一方の面15aに自発的にチオールまたはジスルフィドからなる自己組織化単分子膜12を形成する方法である。
次いで、自己組織化単分子膜12が設けられた基体11を、真空処理室内に配置し、この真空処理室内に、蒸発させた原料モノマーを導入し、この原料モノマーを自己組織化単分子膜12上で重合させて高分子膜21を形成するとともに、高分子膜21の官能基と、自己組織化単分子膜12を構成する有機化合物の末端官能基とを化学結合させることによって、自己組織化単分子膜12と高分子膜21を密着させて(工程C)、治具20を得る。
真空処理室内に、蒸発させた原料モノマーを導入し、自己組織化単分子膜12上で重合させて高分子膜21を形成する蒸着重合法では、目的とする高分子膜21の種類に応じて、原料モノマーが用いられる。
ポリ尿素からなる高分子膜21を形成する場合、原料モノマーとしては、アミンモノマーとイソシアネートモノマーが用いられる。
ポリイミドからなる高分子膜21を形成する場合、原料モノマーとしては、無水ピロメリト酸とビス(4−アミノフェニル)エーテルが用いられる。
ポリウレタンからなる高分子膜21を形成する場合、原料モノマーとしては、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとトリエチレングリコールが用いられる。
蒸着重合法では、真空処理室内の温度を10℃〜210℃、真空処理室内の圧力を0.01Pa〜1Pa、原料モノマーの温度を20℃〜210℃、成膜時間を1分〜24時間とする。
この治具20の製造方法によれば、クロム膜14を介して基材13上に金膜15を形成し、さらに、金膜15の一方の面15aに、自己組織化単分子膜12を形成した後、自己組織化単分子膜12上に、蒸着重合法により高分子膜21を形成するので、原料モノマーの重合による高分子膜21の形成と同時に、自己組織化単分子膜12を構成する有機化合物の末端官能基と、高分子膜21の官能基との化学結合が進行するので、自己組織化膜12に対する密着性がより高い高分子膜21を、厚みが均一でかつ安定に形成することができる。また、クロム膜14を介して基材13上に金膜15を形成するので、基材13に対する金膜15の密着性が向上し、結果として、高分子膜21の基体11に対する密着性を高めることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例」
まず、電子ビーム蒸着を用いた一貫二源同時成膜法により、基材13の一方の面13a上にクロム膜14と金膜15を順に形成し、基体11を得た。
次いで、2,2´−ジチオビス(エチルアミン)二塩酸塩(S(CHCHNH・2HCl)のエタノール溶液(濃度2mM)に、基体11を15℃にて、1日間浸漬して、金膜15の一方の面15aに自発的にジスルフィドからなる自己組織化単分子膜12を形成した。
次いで、自己組織化単分子膜12を形成した基体11を、エタノールにより3分間超音波洗浄した後、乾燥させた。
次いで、自己組織化単分子膜12が設けられた基体11を、真空処理室内に配置し、この真空処理室内に、蒸発させた4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタンと1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)を導入し、これらのモノマーを自己組織化単分子膜12上で重合させて、ポリ尿素かなる高分子膜21を形成し、治具20を得た。
蒸着重合法において、真空処理室内の温度を30℃、真空処理室内の圧力を0.3Pa、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタンの温度を80℃、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)の温度を70℃、成膜時間を15分とした。
得られた治具20について、高分子膜21の密着力(密着強度)を測定した。
高分子膜21の密着強度を、Quad Group社製のRomulus IV 薄膜強度試験により測定した。
詳細には、まず、治具20の高分子膜21の表面に、直径2.7mmのエポキシ接着剤付きアルミニウム製のスタッドピン(商品名:901106、フォトテクニカ製)31を、クリップで挟んで保持した。
次いで、この状態で、治具20とスタッドピン31を150℃にて1時間加熱することにより、スタッドピン31の高分子膜21と接している面に設けられている樹脂32を溶融させて、高分子膜21の表面にスタッドピン31を固定した。
次いで、クリップを外して、スタッドピン31が固定された治具20を、薄膜強度試験に設置し、スタッドピン31を高分子膜21の表面に対して垂直方向(図6に示す矢印の方向)に引っ張って、高分子膜21が剥離した時の強度を測定した。
結果を表1に示す。
「比較例1」
実施例と同様にして、蒸着重合法により、基材13の一方の面13aにポリ尿素かなる高分子膜21を形成し、図7に示す試料41を得た。
実施例と同様にして、得られた試料41について、高分子膜21の密着力(密着強度)を測定した。
結果を表1に示す。
「比較例2」
実施例と同様にして、電子ビーム蒸着により、基材13の一方の面13aにクロム膜14を形成し、次いで、蒸着重合法により、クロム膜14上にポリ尿素かなる高分子膜21を形成し、図8に示す試料42を得た。
実施例と同様にして、得られた試料42について、高分子膜21の密着力(密着強度)を測定した。
結果を表1に示す。
「比較例3」
実施例と同様にして、電子ビーム蒸着を用いた一貫二源同時成膜法により、基材13の一方の面13a上にクロム膜14と金膜15を順に形成し、次いで、蒸着重合法により、クロム膜14上にポリ尿素かなる高分子膜21を形成し、図8に示す試料43を得た。
実施例と同様にして、得られた試料43について、高分子膜21の密着力(密着強度)を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0005328473
表1の結果から、治具20の高分子膜21の密着強度が最も高いことが確認された。
クロム膜14を介して基材13上に設けられた金膜15上に高分子膜21を設けた比較例3は、基材13の一方の面13aに直接、高分子膜21を設けた比較例1よりも密着強度が低くなることが確認された。
本発明の治具は、基体に対する高分子膜の密着性に優れるとともに、基体上に形成された高分子膜は厚みが均一でかつ平滑性に優れるので、プラスチック成形用の金型の断熱膜として金型装置の稼働効率を高めることができ好適に用いられる。
10,20・・・治具、11・・・基体、12・・・自己組織化単分子膜、13・・・基材、14・・・クロム膜、15・・・金膜。

Claims (2)

  1. 一方の面に厚みが10μm〜300μmのクロム膜と厚みが50μm〜500μmの金膜とが順に積層された基体と、該基体の一方の面に設けられた自己組織化単分子膜とを備え、前記自己組織化単分子膜上に、ポリ尿素、ポリウレタンのうち少なくとも1つからなる高分子膜が設けられてなることを特徴とする治具。
  2. 基体と、該基体の一方の面に設けられた自己組織化単分子膜と、該自己組織化単分子膜上に設けられた高分子膜とを備えてなる治具の製造方法であって、
    基材の一方の面に、物理蒸着法により厚みが10μm〜300μmのクロム膜と厚みが50μm〜500μmの金膜を順に形成して基体を作製する工程Aと、前記基体の前記金膜上に、浸漬法または昇華法により自己組織化単分子膜を形成する工程Bと、前記自己組織化単分子膜上に、蒸着重合法によりポリ尿素、ポリウレタンのうち少なくとも1つからなる高分子膜を形成する工程Cとを有することを特徴とする治具の製造方法。
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