JP2020023052A - 表面の疎水性もしくは親水性が高められた基体 - Google Patents

表面の疎水性もしくは親水性が高められた基体 Download PDF

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鐘一 宮原
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伸也 田光
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昌宏 仲山
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Abstract

【課題】基体の表面に工業的に有利に利用できる表面処理を施し、次いでその表面処理を施した表面に自己組織化単分子膜を形成することにより、超疎水性や超親水性などを含む所望の疎水性や親水性を示す基体を得る。【解決手段】基体の表面に、化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理、但しフラーレン誘導体が組織化されて形成された超分子組織体をテンプレートとして転写することにより多孔性かつフラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を示すフレーク状表面を形成する処理を除く、により基体の表面に連続的な凹凸面を形成する工程、そして当該表面に自己組織化単分子膜を形成する工程を含む処理を行うことにより基体表面の疎水性もしくは親水性を高める。【選択図】なし

Description

本発明は、表面の疎水性もしくは親水性が高められた基体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、金属材料やセラミック材料などの固体材料から形成された基体の表面を、工業的に有利に実施できる方法を用いて超撥水性から超親水性までの所望の撥水性もしくは親水性を示すように改質することができる表面特性改質方法及び当該方法により表面特性が改質された基体に関する。
近年、μ−TAS(Total Analysis System)と呼ばれる化学・生化学分析総合システムが開発され、微量の体液(例、血液)の分析や微量成分の化学反応の実施に利用されるようになっている。このμ−TASは、ガラスなどの微小のチップに微小な流路(マイクロチャンネル)を形成し、その流路を利用して生化学反応や化学反応を実施することを主な目的として開発された器具である。上記の微小な流路に試料液として体液を供給する場合には、流路の表面が高い親水性を持つことが望ましく、また流路からの試料体液の漏出を防ぐためには、その流路の周囲の壁部(堤部)は高い撥水性を持つことが望ましい。従って、実用性の高いμ−TASを作製するためには、固体材料からなる各種の基体の表面の特性を撥水性あるいは親水性に改質する処理が必要となる。
固体材料からなる基体の表面特性改質方法としては様々な方法が知られているが、基体の表面の特性を超撥水性から超親水性まで所望の物理的性質を示すように改質することのできる表面特性改質方法については、特許文献1に記載が見られる。
これを詳しく云うと、特許文献1には、フラーレン誘導体が組織化されたフラーレン構造体(超分子組織体)をテンプレートとして用いることにより超分子組織体の構造が転写された多孔性の基板であって、フラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を有し、表面がフレーク状で金属複合基板の表面に自己組織化単分子膜(SAM膜)または高分子薄膜を形成した金属複合基板が開示されている。そして、特許文献1には、そこに開示された構成の金属複合基板の表面に、超/高親水性から超/高撥水性まで制御された濡れ性を発現させることができるとの記載がある。なお、この特許文献1の[0051]には、水との接触角を指標として、90°以上である場合を撥水性、110°以上150°未満を高撥水性、そして150°以上を超撥水性と定義している。なお、超/高親水性についての詳しい説明については記載がない。
特許文献1の実施例には、当該文献に記載の方法を利用することにより金属複合基板を作製し、具体的には、水に対する接触角が、約11°の超親水性から、約157°の超撥水性を示す表面特性を持つ基板を得ることができたことの記載が見られるしている。
特許文献2には、固体表面への吸着性を示す吸着性基と鎖状疎水性基とを有する吸着性化合物と官能基と鎖状疎水性基とを有し実質的に固体表面に吸着性を示さない非吸着性化合物とを組み合わせて用い、固体表面上に吸着性化合物と非吸着性化合物とからなる自己組織化単層膜を形成することによって、固体表面の固体表面を上記非吸着性化合物の官能基にて改質することからなる固体表面の改質方法が記載されている。
特開2010−99817号公報 特開2007−270278号公報
特許文献1には、そこに記載の方法を利用することにより、超/高親水性から超/高撥水性まで制御された濡れ性を発現させることが明らかにされている。しかしながら、この特許文献1に記載の方法は、前述のように、フラーレン誘導体が組織化されたフラーレン構造体(超分子組織体)をテンプレートとして用いることにより超分子組織体の構造が転写された多孔性の基板であって、フラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を有し、表面がフレーク状で金属複合基板を用いる方法であるため、基板表面に超/高親水性から超/高撥水性まで制御された濡れ性を発現させるための工業的に有利に利用できる方法とは云えない。
従って、本発明の課題は、基板表面に超/高親水性から超/高撥水性まで制御された濡れ性を発現させるための工業的に有利に実施できる方法を提供することにある。
本発明の発明者は、基板表面に超/高親水性から超/高撥水性まで制御された濡れ性を発現させるための工業的に有利に利用できる方法を開発するために研究を続けてきた。そして、その研究の結果、まず、基板表面に通常の表面が平滑なメッキ層を形成するメッキ処理条件とは異なる条件にて貴金属メッキ処理を行なうことにより基体表面に連続的な凹凸面(粗面)を有する貴金属メッキ層を形成し、次いでこのように連続的な凹凸が形成された貴金属メッキ層の表面に特許文献1に記載の自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer、通称SAM)を形成する方法によっても、基板表面の疎水性もしくは親水性を高めることができることを見出した。
本発明者は更に、上記の基体の表面に連続的な凹凸面を有する貴金属メッキ層の表面を形成し、その凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成する方法は、基板表面に、凹凸面を有する貴金属メッキ層の代わりに凹凸面を有する卑金属メッキ層を形成し、その卑金属メッキ層の上に自己組織化単分子膜を形成する方法によっても、基板表面の疎水性もしくは親水性が高めることができることも見出した。
本発明者は更に研究を続け、その結果、上記の基体の表面に連続的な凹凸面を有するメッキ層の表面を形成し、その凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成する方法に限らず、これまでに知られている各種の化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理を利用して基板表面に凹凸面を形成した後、その基体の凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成する方法によっても、基板表面の疎水性もしくは親水性が高めることができることも見出した。
即ち、本発明者の研究により、特許文献1に記載の基板表面の疎水性もしくは親水性を高めて濡れ性を制御する方法は、当該文献に記載の「フラーレン誘導体が組織化されたフラーレン構造体(超分子組織体)をテンプレートとして用いることにより超分子組織体の構造が転写された多孔性の基板であって、フラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を有し、表面がフレーク状で金属複合基板」を用いなくとも、工業的な実施が容易な通常の化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理を利用して形成された凹凸面を有する基板表面を用いた場合であっても同様に機能し、疎水性もしくは親水性が高められ、超/高親水性から超/高撥水性までの表面特性を持つ基板の作製に用いることができることが判明した。
従って、本発明により、化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理により表面に連続的な凹凸面が形成された基体、但しフラーレン誘導体が組織化されて形成された超分子組織体をテンプレートとして転写することにより得られた多孔性かつフラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を示すフレーク状表面を持つ基体を除く、の当該表面に自己組織化単分子膜を形成することにより表面の疎水性もしくは親水性が高められた基体が提供される。
また、本発明により、基体の表面に、化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理、但しフラーレン誘導体が組織化されて形成された超分子組織体をテンプレートとして転写することにより多孔性かつフラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を示すフレーク状表面を形成する処理を除く、により基体の表面に連続的な凹凸面を形成する工程、そして当該表面に自己組織化単分子膜を形成する工程を含む基体表面の疎水性もしくは親水性を高める方法が提供される。
なお、本発明に従って、通常の化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理により表面に連続的な凹凸面が形成された基体の表面に自己組織化単分子膜を形成することにより、基体表面が、その表面に単に自己組織化単分子膜を形成した場合に比べて顕著に疎水性もしくは親水性が高められる理由については、現在のところ明確とは云えないが、本発明者は、基板表面が粗面化されて連続的な凹凸が形成されることにより、自己組織化単分子膜を構成する一方の端部付近に疎水性基あるいは親水性基が配置された分子の基体表面に対する付着量が顕著に高まるためであろうと推定している。
本明細書では、特許文献1に記載の定義に準じて、水との接触角を指標として、90°以上である場合を撥水性、110°以上150°未満を高撥水性、そして150°以上を超撥水性とする。同様に、水との接触角を指標として、90°未満である場合を親水性、70°未満30°以上である場合を高親水性、そして30°未満である場合を超親水性と定義する。
また、表面積が増えた分、基体表面に付着する自己組織化単分子膜の構成分子の付着量が高まるとともに、連続的な凹凸面の微細な凹凸構造を阻害することなく、自己組織化単分子膜の構成分子が配向性良く緻密に付着することにより、他方の端部に備えられた官能基が外側に整列した極薄層(数mm厚)を形成され、Youngの式あるいはWenzelの式等に示される効果が得られたためだろうと推定している。
本発明の表面の疎水性もしくは親水性が高められた基体及びその製造方法の好ましい態様を以下に記載する。
(1)化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理が、メッキ処理、化学的エッチング、陽極酸化処理、及びレーザ照射からなる群から選ばれる処理又はそれらの組み合わせである。
(2)化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理が、少なくとも金メッキ処理を含む。
(3)基体が金属製基体である。
(4)基体がセラミック製基体である。
(5)凹凸面を構成する凸部の半値幅と高さの平均値がいずれも0.005〜100μmの範囲、好ましくは0.01〜10μmの範囲にある。
(6)基体が板状基体、棒状基体もしくは管状基体である。
(7)自己組織化単分子膜が、一方の末端にチオール基を持ち、他方の末端に親水性基を持つ化合物、両末端にカルボキシル基を持つジスルフィド化合物、一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に臭素原子を持つ化合物とチオ尿素との反応により生成したチオール化合物、アルカンチオール化合物、そして一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に疎水性基を持つ化合物からなる群より選ばれる化合物から構成されている。
(8)自己組織化単分子膜が、一方の末端にチオール基を持ち、他方の末端に親水性基を持つ化合物、両末端にカルボキシル基を持つジスルフィド化合物、一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に臭素原子を持つ化合物とチオ尿素との反応により生成したチオール化合物からなる群より選ばれる硫黄原子含有化合物から構成されていて、自己組織化単分子膜の表面が高められた親水性を示す。
(9)自己組織化単分子膜が、アルカンチオール化合物もしくは一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に疎水性基を持つ化合物から構成されていて、自己組織化単分子膜の表面が高められた疎水性を示す。
本発明の方法を利用することにより、特許文献1に記載の「フラーレン誘導体が組織化されたフラーレン構造体(超分子組織体)をテンプレートとして用いることにより超分子組織体の構造が転写された多孔性の基板であって、フラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を有し、表面がフレーク状で金属複合基板」を用いなくとも、工業的な実施が容易な通常の化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理を利用して形成された凹凸面を有する基板表面を用いることにより、疎水性もしくは親水性が高められ、超/高親水性から超/高撥水性までの表面特性を持つ基板の作製が可能となる利点を持つ。
表面が平滑な金箔表面を基体とし、この基体の表面に、シアン化金カリウムを金として10g/Lの濃度で含む金メッキ液を用い、電流密度を2A/dm2としてメッキ処理を施すことにより凹凸に有する金メッキ層を生成させ、次いでその凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成した基体の表面の電子顕微鏡写真(×3000)である。 図1の基体の表面に純水5μLを滴下した後、マイクロスコープにて水滴の接触角を観察した結果を示す図である。 表面が平滑な金箔表面を基体とし、この基体の表面に、シアン化金カリウムを金として5g/Lの濃度で含む金メッキ液を用い、電流密度を100mA/dm2としてメッキ処理を施すことにより凹凸に有する金メッキ層を生成させ、次いでその凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成した基体の表面の電子顕微鏡写真(×3000)である。 図3の基体の表面に純水5μLを滴下した後、マイクロスコープにて水滴の接触角を観察した結果を示す図である。 表面が平滑な金箔表面を基体とし、この基体の表面に、シアン化金カリウムを金として2g/Lの濃度で含む金メッキ液を用い、電流密度を3A/dm2としてメッキ処理を施すことにより凹凸に有する金メッキ層を生成させ、次いでその凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成した基体の表面の電子顕微鏡写真(×3000)である。 図5の基体の表面に純水5μLを滴下した後、マイクロスコープにて水滴の接触角を観察した結果を示す図である。 表面が平滑な白金箔表面を基体とし、この基体の表面に、ジニトロジアミン白金を白金として10g/Lの濃度で含む白金メッキ液を用い、電流密度を3A/dm2としてメッキ処理を施すことにより凹凸に有する白金メッキ層を生成させ、次いでその凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成した基体の表面の電子顕微鏡写真(×3000)である。 図7の基体の表面に純水5μLを滴下した後、マイクロスコープにて水滴の接触角を観察した結果を示す図である。
次に、本発明を実施するための材料および処理方法などを詳しく説明する。
本発明で用いられる基体は通常の温度で固体を示す材料からなり、一般には、金や白金などの貴金属、鉄、銅、ニッケル、真鍮などの卑金属などの金属、あるいはガラス、シリカなどのセラミックから形成された基板であるが、目的によっては、プラスチック製あるいは各種の複合材料からなる基体を用いることができる。なお、基体の具体的な例については、特許文献1や特許文献2に記載があるので、それらの特許文献の記載を本明細書の記載とする。
基体は、板状基体、棒状基体もしくは管状基体のいずれであっても良い。板状基体は表面が平面であっても、全体的もしくは部分的な曲面を持っていても良い。また、μ−TAS(Total Analysis System)と呼ばれる化学・生化学分析総合システムのように、基体表面に各種の構造物が形成されていても良い。
本発明で基体表面に連続的な凹凸面を形成する手段に特に限定はなく、通常の工業的処理として採用が容易な化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理が利用される。但し、特許文献1に記載の「フラーレン誘導体が組織化されて形成された超分子組織体をテンプレートとして転写することにより多孔性かつフラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を示すフレーク状表面を形成する方法」は除く。
本発明で利用可能な化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理としては、前述のメッキ処理(特に化学メッキ処理)、化学的エッチング処理(化学薬品を用いて基体表面を粗面化する処理)、陽極酸化処理、レーザ処理などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、メッキ処理は、通常は平滑表面を持つメッキ層を形成する処理であるが、メッキ条件(メッキ液の化学組成、メッキ液中の化学成分濃度、電流密度、メッキ処理時間等)を調整することにより表面が平滑ではないメッキ層が形成されることは当業者が知るところである。また、各種の化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理を組み合わせて用いることもできる。
基体表面に形成される凹凸面を構成する凸部の半値幅と高さの平均値は、いずれについても0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、特に0.1〜50μmの範囲にあることが好ましい。
一方の端部もしくはその近傍に疎水性基あるいは親水性基を持ち、他方の端部もしくはその近傍あるいは分子内に基体表面に強い親和性を持つ極性基を持つ鎖状分子を用い、主として液相にて反応させて基体表面に自己組織化単分子膜を形成する方法は、基体の表面特性を改質する技術として以前より知られており、例えば、前記の特許文献1や特許文献2に詳しい記載がある。従って、特許文献1や特許文献2の記載内容は本明細書の記載とする。
本発明の粗面化処理された基板の上に形成される自己組織化単分子膜を構成する化合物(鎖状分子)の例としては下記の化合物を挙げることができる。
一方の末端にチオール基を持ち、他方の末端に親水性基を持つ化合物;
両末端にカルボキシル基を持つジスルフィド化合物;
一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に臭素原子を持つ化合物とチオ尿素との反応により生成したチオール化合物;
アルカンチオール化合物、そして一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に疎水性基を持つ化合物。
なお、粗面化処理された基体に設けられる自己組織化単分子膜の表面が高められた親水性を示すようにするためには、自己組織化単分子膜を、一方の末端にチオール基を持ち、他方の末端に親水性基を持つ化合物、両末端にカルボキシル基を持つジスルフィド化合物、一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に臭素原子を持つ化合物とチオ尿素との反応により生成したチオール化合物からなる群より選ばれる硫黄原子含有化合物から構成することが望ましい。
粗面化処理された基体に設けられる自己組織化単分子膜の表面が高められた疎水性を示すようにするためには、自己組織化単分子膜を、アルカンチオール化合物もしくは一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に疎水性基を持つ化合物から構成することが望ましい。
[実施例1]
表面が平滑な金箔を基体とし、この基体の表面に下記の金メッキ液を用いてメッキ処理を施すことにより凹凸に有する金メッキ層を生成させた。
金メッキ液組成(pH 6〜8):
シアン化金カリウム 10g/L(金として)
リン酸二水素カリウム 60g/L
クエン酸カリウム 60g/L
温度:
60℃
電流密度:
2A/dm2
通電時間:
5分間

次いでオクタデカンチオール3mM溶液を用い、この溶液に上記の金メッキ層形成基体を48時間浸漬させたのち乾燥させることにより、基体の金メッキ層の凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成した。得られた基体表面の電子顕微鏡写真(×3000)を図1に示す。
図1に示した基体の表面に純水5μLを滴下した後、マイクロスコープにて水滴の接触角を観察した結果を図2に示す。図2から分かるように、観察された接触角は157°であった。
[実施例2]
金メッキ液組成の金濃度を5g/Lに変更し、電流密度を100mA/dm2に変更した以外は、実施例1と同じメッキ処理を実施することにより、表面に凹凸に有する金メッキ層を生成させた基体を得た後、この基体の表面に、同じく実施例1記載の方法により自己組織化単分子膜を形成した。得られた基体表面の電子顕微鏡写真(×3000)を図3に示す。
図3に示した基体の表面の水に対する接触角を実施例1に記載の方法により観察した結果を図4に示す。図4から分かるように、観察された接触角は147°であった。
[実施例3]
金メッキ液組成の金濃度を2g/Lに変更し、電流密度を3A/dm2に変更した以外は、実施例1と同じメッキ処理を実施することにより、表面に凹凸に有する金メッキ層を生成させた基体を得た後、この基体の表面に、同じく実施例1記載の方法により自己組織化単分子膜を形成した。得られた基体表面の電子顕微鏡写真(×3000)を図5に示す。
図5に示した基体の表面の水に対する接触角を実施例1に記載の方法により観察した結果を図6に示す。図6から分かるように、観察された接触角は161°であった。
[実施例4]
表面が平滑な白金箔を基体とし、この基体の表面に下記の白金メッキ液を用い、メッキ処理を施すことにより凹凸に有する白金メッキ層を生成させた。
白金メッキ液組成(pH 9〜10):
ジニトロジアミン白金 10g/L(白金として)
硝酸アンモニウム 100g/L
亜硝酸ナトリウム 10g/L
水酸化アンモニウム 55g/L
クエン酸カリウム 60g/L
温度:
90℃
電流密度:
3A/dm2
通電時間:
5分間

次いでオクタデカンチオール3mM溶液を用い、この溶液に上記の白金メッキ層形成基体を48時間浸漬させたのち乾燥させることにより、基体の白金メッキ層の凹凸面の上に自己組織化単分子膜を形成した。得られた基体表面の電子顕微鏡写真(×3000)を図7に示す。
図7に示した基体の表面に純水5μLを滴下した後、マイクロスコープにて水滴の接触角を観察した結果を図8に示す。図8から分かるように、観察された接触角は137°であった。
[実施例5]
表面が平滑なアルミニウム板を基体とし、この基体の表面に陽極酸化処理とアルカリエッチングとを施して凹凸面を形成し、この凹凸面が形成されたアルミニウム板をステアリン酸溶液に浸漬させて、自己組織化単分子膜を形成した。得られた自己組織化単分子膜の表面の水に対する接触角を実施例1と同じ方法により観察したところ、150°を越える接触角が観察された。
[実施例6]
表面が平滑な黄銅板に厚さ0.5〜3μmのニッケルめっきを施した基体を用い、この基体の表面にレーザ処理により凹凸面を形成した。この凹凸面が形成された基体を15−カルボキシ−1−ペンタデカンチオール3mM(エタノール溶液)に16時間浸漬させて、自己組織化単分子膜を形成した。得られた自己組織化単分子膜の表面の実施例1と同様な方法により純水を滴下したところ、水は素早く広がった。従って、水に対する接触角は15°未満であると判断された。
[実施例7]
表面が平滑な黄銅板に厚さ0.5〜3μmのニッケルめっきを施した基体を用い、この基体の表面にレーザ処理により凹凸面を形成した。この凹凸面が形成された基体を2−アミノエタンチオール3mM(エタノール溶液)に16時間浸漬させて、自己組織化単分子膜を形成した。得られた自己組織化単分子膜の表面の実施例1と同様な方法により純水を滴下したところ、水は素早く広がった。従って、水に対する接触角は15°未満であると判断された。


Claims (12)

  1. 化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理により表面に連続的な凹凸面が形成された基体、但しフラーレン誘導体が組織化されて形成された超分子組織体をテンプレートとして転写することにより得られた多孔性かつフラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を示すフレーク状表面を持つ基体を除く、の当該表面に自己組織化単分子膜を形成することにより表面の疎水性もしくは親水性が高められた基体。
  2. 化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理が、メッキ処理、化学的エッチング、陽極酸化処理、及びレーザ照射からなる群から選ばれる処理又はそれらの組み合わせである請求項1に記載の基体。
  3. 化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理が、少なくとも金メッキ処理を含む請求項1に記載の基体。
  4. 基体が金属製基体である請求項1乃至3の内のいずれかの項に記載の基体。
  5. 基体がセラミック製基体である請求項1乃至3の内のいずれかの項に記載の基体。
  6. 凹凸面を構成する凸部の半値幅と高さの平均値がいずれも0.005〜100μmの範囲にある請求項1乃至5の内のいずれかの項に記載の基体。
  7. 基体が板状基体、棒状基体もしくは管状基体である請求項1乃至6の内のいずれかの項に記載の基体。
  8. 自己組織化単分子膜が、一方の末端にチオール基を持ち、他方の末端に親水性基を持つ化合物、両末端にカルボキシル基を持つジスルフィド化合物、一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に臭素原子を持つ化合物とチオ尿素との反応により生成したチオール化合物、アルカンチオール化合物、そして一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に疎水性基を持つ化合物からなる群より選ばれる化合物から構成されている請求項1乃至7の内のいずれかの項に記載の基体。
  9. 自己組織化単分子膜が、一方の末端にチオール基を持ち、他方の末端に親水性基を持つ化合物、両末端にカルボキシル基を持つジスルフィド化合物、一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に臭素原子を持つ化合物とチオ尿素との反応により生成したチオール化合物からなる群より選ばれる硫黄原子含有化合物から構成されていて、自己組織化単分子膜の表面が高められた親水性を示す請求項1乃至7の内のいずれかの項に記載の基体。
  10. 自己組織化単分子膜が、アルカンチオール化合物もしくは一方の末端にカルボキシル基を持ち、他方の末端に疎水性基を持つ化合物から構成されていて、自己組織化単分子膜の表面が高められた疎水性を示す請求項1乃至7の内のいずれかの項に記載の基体。
  11. 基体の表面に、化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理、但しフラーレン誘導体が組織化されて形成された超分子組織体をテンプレートとして転写することにより多孔性かつフラクタル表面構造を持つ超分子組織体の除去痕跡様孔の形状を示すフレーク状表面を形成する処理を除く、により基体の表面に連続的な凹凸面を形成する工程、そして当該表面に自己組織化単分子膜を形成する工程を含む基体表面の疎水性もしくは親水性を高める方法。
  12. 化学的粗面化処理あるいは物理的粗面化処理が、メッキ処理、化学エッチング、及びレーザ照射からなる群から選ばれる処理又はそれら組み合わせである請求項1に記載の方法。
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