JP5328336B2 - インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インク組成物、及びそれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。詳しくは、活性放射線の照射に対して、高感度で硬化し、形成された画像表面のべとつきが抑制された耐ブロッキング性の高いインク組成物及び該インク組成物を用いたインクジェット記録方法に関するものである。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、且つ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
紫外線などの活性放射線の照射により硬化可能なインク組成物(放射線硬化型インク組成物)、例えば、インクジェット記録用インク組成物としては、高感度で硬化し、高画質の画像を形成しうるものが求められている。このように組成物を高感度で硬化させることは、活性放射線の照射により高い硬化性が付与され、消費電力の低減や活性放射線発生器への負荷軽減による高寿命化という利点を有する。また、高感度により充分な硬化が達成されることから、未硬化の低分子化合物の揮発および未硬化低分子化合物による、形成された画像強度の低下などを抑制するという利点も有することになる。
紫外線光による硬化型インクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い被記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつある。
このような光重合硬化型のインク組成物に用いられる光重合開始剤としては例えば、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ミヒラーケトン、アントラキノン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン等が一般的に用いられてきた(例えば、非特許文献1、特許文献1および特許文献2参照)。
しかしながら、これらの光重合開始剤を用いた場合、光重合性組成物の硬化感度が低いので画像形成における像露光に長時間を要した。このため細密な画像の場合には、操作にわずかな振動があると良好な画質の画像が再現されず、さらに露光光源のエネルギー放射量を増大しなければならないために、それに伴う多大な発熱の放射を考慮する必要があった。
また従来、放射線硬化型の重合性化合物における放射線に対する感度を高める方法として、光重合開始剤と共に増感色素を用いることが提案され、種々の重合開始系を使用することが開示されている。例えば増感色素として、チオキサントン系化合物を使用することが提案されている(特許文献3および特許文献4参照)。
しかし、チオキサントン系化合物をはじめとする増感色素は、重合性組成物の硬化後にも、他の化合物と結合することなく硬化膜中にモノマーとして残存するため、硬化膜と接触している他の化合物に移動する、低分子化合物であるために硬化膜中で可塑剤と同様の挙動を示し膜強度を低下させる、或いは、硬化膜表面のべとつきを引き起こし、表面の硬化感度を低下させる、といった問題を生じやすい傾向にある。
またインク組成物を利用する技術分野においては、インク受容層に形成される画像と、該画像に接触する他の化合物との間のブロッキング、即ち、インク画像の成分が、他の化合物に移転したり、インクの成分に起因して他の化合物との所望されない接着を引き起こす事態を抑制することが重要な課題の1つとなっている。上記課題を解決する方法として、多官能チオキサントン化合物や、チオキサントン部位含有ポリマーをインク組成物に適用することが提案されているが(例えば、特許文献5および非特許文献2)、得られたインク組成物は粘度が高く、インクジェット用インクには不適である。
ブルース M.モンロー(Bruce M. Monroe)ら著,ケミカル レビュー(Chemical Reviews),第93巻,(1993年),p.435−448. Trends in Photochemistry&Photobiology, Vol.5,7−16(1999) 米国特許第4134813号明細書 特許第3112771号公報 特開平6−308727号公報 特開昭56−143202号公報 特表2005−512973号公報
本発明の目的は、高感度で硬化し、形成された画像表面のべとつきが抑制され、耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができるインク組成物を提供することにある。
更に本発明の目的は、該インク組成物を用いることで、画像表面のべとつきが抑制され、耐ブロッキング性に優れた画像を形成しうるインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の増感色素を含むインク組成物が、高感度で硬化し、硬化膜の表面べとつきが抑制され、耐ブロッキング性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、前記目的を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1>(i)下記一般式(I)で示される増感色素、(ii)重合開始剤、及び(iii)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、を含有するインク組成物。
Figure 0005328336
一般式(I)中、R、R、R、及び、Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。
Aは−[O(CHRCHR]−、−[O(CHCO]−、または−[O(CHRCO](y−1)−[O(CHRCHR]−を表す。(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、少なくとも一方は、水素原子を表す。aは1〜2の整数であり、bは4〜5の整数であり、yは1〜10の整数である。)
xは2〜6の整数を表す。
Qはヒドロキシ基をx個有するポリヒドロキシ化合物の残基である。
nは0〜3の整数であり、mは0〜1の整数である。
<2>さらに(iv)着色剤を含有する前記<1>に記載のインク組成物。
<3>一般式(I)におけるnが0である前記<1>または<2>に記載のインク組成物。
<4>α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される少なくとも一つの重合開始剤を含有する前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインク組成物。
<5>インクジェット記録用である前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物。
<6>(a)被記録媒体上に前記<5>に記載のインク組成物を吐出する工程、及び(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
<7>前記活性放射線が、発光ピーク波長が340nm以上400nm以下の範囲の紫外線である前記<6>に記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、高感度で硬化し、形成された画像表面のべとつきが抑制され、耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができるインク組成物を提供することができる。
更によれば、該インク組成物を用いることで、画像表面のべとつきが抑制され、耐ブロッキング性に優れた画像を形成しうるインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
本発明に用いられる一般式(I)で示される増感色素(以下適宜、特定増感色素と称する。)は、チオクロマノン骨格を二つ以上有しており、分子量が大きいことから、増感色素が接触している他の化合物に増感色素の成分が移動する、或いは、増感色素が硬化膜表面に配向してべとつきを引き起こすといった事態を抑制することがでるものと考えられる。また本発明で用いる特定増感色素は、1分子あたりチオクロマノン骨格を複数有するため、チオクロマノン化合物本来が有する増感能を、等量で同等以上有しているものと考えられる。
このため、このような一般式(I)で示される特定増感色素を含む本発明のインク組成物は、低出力の放射線の照射に対しても高感度で硬化する。さらに該インク組成物で形成された画像は、表面のべとつきが抑制され、耐ブロッキング性に優れるものと考えられる。
[インク組成物]
本発明のインク組成物は、(i)下記一般式(I)で示される増感色素(特定増感色素)、(ii)重合開始剤、及び(iii)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、を含有することを特徴とする。
Figure 0005328336
一般式(I)中、R、R、R、及び、Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。
Aは−[O(CHRCHR]−、−[O(CHCO]−、または−[O(CHRCO](y−1)−[O(CHRCHR]−を表す。(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、少なくとも一方は、水素原子を表す。aは1〜2の整数であり、bは4〜5の整数であり、yは1〜10の整数である。)
xは2〜6の整数を表す。
Qはヒドロキシ基をx個有するポリヒドロキシ化合物の残基である。
nは0〜3の整数であり、mは0〜1の整数である。
以下、本発明のインク組成物に必須の成分について順次説明する。
<(i)特定増感色素>
本発明のインク組成物は、重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるために、下記一般式(I)で示される特定増感色素を含有する。
一般に、増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基等の活性種の生成を促進させ、ここで発生した活性種が後述する重合性化合物の重合、硬化反応を生起、促進させるものである。
Figure 0005328336
一般式(I)中、R、R、R、及び、Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。
Aは−[O(CHRCHR]−、−[O(CHCO]−、または−[O(CHRCO](y−1)−[O(CHRCHR]−を表す。(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、少なくとも一方は、水素原子を表す。aは1〜2の整数であり、bは4〜5の整数であり、yは1〜10の整数である。)
xは2〜6の整数を表す。
Qはヒドロキシ基をx個有するポリヒドロキシ化合物の残基である。
nは0〜3の整数であり、mは0〜1の整数である。
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、以下に詳述する合成経路に起因して、一般式(1)におけるa、b、yの数が異なるいくつかの化合物の混合物として得られ、従って、分析した場合、必ずしもa、b、yが整数ではないことがあるが、それぞれの数の分析値(混合物における平均値に相当する)が整数でない場合でも、前記の定義の数値範囲に入る限りにおいて本発明の効果を奏するといえる。
、R、R、及び、Rがハロゲン原子を表す場合、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子がより好ましく、塩素原子又は臭素原子が更に好ましい。
、R、R、及び、Rがアルキル基を表す場合の該アルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、又は2−エチルヘキシル基が好ましく挙げられる。
より好ましくは、炭素数1〜3個のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。
、R、R、及び、Rがアルコキシ基を表す場合、該アルコキシ基としては、炭素数1〜8個のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、又は2−エチルヘキシルオキシ基が好ましく挙げられる。
より好ましくは、炭素数1〜3個のアアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
なかでもRは、ハロゲン原子又はアルキル基であることが好ましく、塩素原子、臭素原子、メチル基、又はエチル基であることがより好ましく、塩素原子であることが波長適性、原料入手性の観点から更に好ましい。
またR、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基であることが好ましく、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
一般式(I)におけるAは、−[O(CHRCHR]−、−[O(CHCO]−、または−[O(CHRCO](y−1)−[O(CHRCHR]−を表す。ここでRおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、少なくとも一方は水素原子を表す。aは1〜2の整数であり、bは4〜5の整数であり、yは1〜10の整数である。
一般式(I)におけるAが、−[O(CHRCHR]−を表す場合、好ましくはaは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数である。
この場合より好ましくは、aが1であり、RおよびRが水素原子である−[O(CHCH)]y−;aが1であり、Rが水素原子であり、Rがエチル基である−[OCHCHCHCH]y−;、またはaが1であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子である−[OCH(CH)CH]y−である。この場合もyは1〜5の整数が好ましい。
nは0〜3の整数であり、mは0〜1の整数であるが、nは0であることが好ましい。またnおよびmは、粘度、一分子当たりのモル吸光係数の観点から0であることがより好ましい。
一般式(I)で示される化合物は、より好ましくは、R、R及びRが水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基又はエチル基であり、Rが塩素原子、臭素原子、メチル基、又はエチル基であり、Aが−[O(CHRCHR]−であり、nが1〜2であり、mが0〜1であり、xが2〜4であり、Qがヒドロキシ基を2〜4個有するポリヒドロキシ化合物の残基である。
一般式(I)で示される化合物は、更に好ましくは、R、R及びRが水素原子であり、Rが塩素原子であり、nが0であり、mが0であり、xが2であり、Qがヒドロキシ基を2個有するポリヒドロキシ化合物の残基である化合物である。
一般式(I)で示される化合物のコアを形成する部分であるQ−(A−)xのポリヒドロキシ化合物の残基は、必要以上に分子量が大きいと、粘度上昇や、1分子あたりのチオクロマノン骨格の含有率低下による感度の低下を伴うため、上記Q−(A−)xで表される部分のコア残基の分子量が大きすぎないことが望ましく、Q−(A−)xで表される部分の分子量が、2000以下であり、好ましくは1200以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは800以下である。
Qは、エチレングリコールの残基、プロピレングリコールの残基、ブチレングリコールの残基、グリセリンの残基、トリメチロールプロパンの残基、ジトリメチロールプロパンの残基、ペンタエリトリットの残基またはジペンタエリトリットの残基であることが特に好ましい。
また、Qにおける利用可能なヒドロキシ基の数よりxが小さい数の場合は、一般式(I)で示される化合物は、遊離ヒドロキシ基を有する可能性がある。酸の存在下で化合物を調整する場合、これらの遊離ヒドロキシ基がエステル化される場合もある。この様に調整されたエステルの特性には特に制限はないが、炭素数が2〜6のアルカノイルエステルのような低級脂肪酸等のエステルが望ましい。このようなエステルとしては例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、および吉草酸エステルが挙げられる。
本発明の一般式(I)で示される化合物は、従来公知の方法で製造することができ、選択する具体的な反応経路は製造したい化合物の特性によって異なる。
例えば、上記一般式(I)で示される化合物は、下記式(II)で表される化合物を、下記式(III)で表される化合物と反応させることにより製造することができる。なお下記式(II)で表される化合物は、特開平2−255677号公報記載の方法で合成することができる。
Figure 0005328336
式(II)中、n、R、R、R、及びRは、一般式(I)におけるn、R、R、R、及びRと同義である。
(HA)x−Q 式(III)
式(III)中、A、x、およびQは、一般式(I)におけるA、x、およびQと同義である。
通常、試薬や反応に悪影響を及ぼさなければ、その特性が本発明にとって重要でない溶
媒の存在下に反応を行うことが望ましい。適当な溶媒としてはベンゼン、トルエンまたは
キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
反応は、酸触媒、例えば、pートルエンスルホン酸やメタンスルホン酸などのスルホン酸;硫酸、塩酸または燐酸などの無機酸;または、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素またはオルガノチタナートなどのルイス酸の存在下に行うことが望ましい。
同様に、反応の温度は本発明にとって重要でなく、試薬と溶媒の性質と反応条件により
大幅に変化するが、反応が完了するためには、反応の間に生成された水が取り除かれるに
足る高さの温度であればよい。したがって、一般的に、反応混合物の還流温度で反応を行
えばよいことがわかる。また、主に反応温度により、反応に必要な時間が大幅に変化することも考えられる。上記の望ましい条件であれば、通常、1〜20時間で充分である。
反応が完了すれば、反応混合物から従来の手段によって、例えば水/または水性アルカリで反応混合物を洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧下で蒸発除去することにより望みの生成物を分離することができる。
上記一般式(I)で表される特定増感色素の合成方法について、代表的な具体例を以下に示す。
(合成例1)
3.82g(0.01575モル)のカルボン酸(II−1)と、1.875gのポリテトラヒドロフラン(分子量250)を0.3gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と共に100mlのトルエンで共沸蒸留した。6.5時間後、冷却した溶液をろ過し、0.25Mの水酸化ナトリウム100mlで二度洗浄し、脱イオン水100mlで二度洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、すべての溶剤をロータリーエバポレーターで除去したところ黄色のオイル(I−1)を得た。生成物の収率は10.5 g(96%)であった。
Figure 0005328336
(合成例2)
16.5g(0.07モル)のカルボン酸(II−2)と、9.59gのエトキシ化ペンタエリスリット(Seppic製SimusolPTPE)を0.6gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と共に300mlのトルエンで共沸蒸留した。8.5時間後に、溶液を90℃でろ過し、75℃で0.1Mの水酸化ナトリウム200mlで二度洗浄し、脱イオン水200mlで二度洗浄した。有機相を共沸乾燥し、すべての溶剤をロータリーエバポレーターで除去したところ黄色のオイル(I−2)を得た。
Figure 0005328336
(合成例3)
16.49g(0.0792モル)のカルボン酸(II−3)と、10.0g(0.0226モル)のエトキシ化トリメチロールプロパン(Perstorp製TP70L)は窒素パージを行いながら0.15gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と0.05gのBHT安定剤と共にトルエン150mlで8時間共沸還流した。反応物はトルエン溶液に溶解しなかったので、すべての溶媒をデカンターに移し、反応物をジクロロメタン200mlに溶解した後、溶液をろ過し、10%炭酸カリウム水溶液100mlと脱イオン水150mlで洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、すべての溶媒をロータリーエバポレーターで除去したところ、淡黄色のオイル(I−3)を得た。生成物の収率は8.0g(35.0%)であった。
Figure 0005328336
(合成例4)
6.07g(0.025モル)のカルボン酸(II−1)と、1.15gのヘキサンジオール(0.01モル)を0.3gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と共に150mlのトルエンで共沸蒸留した。6時間後に、溶液を冷却したところ溶液から固体が沈殿した。それをろ過し、0.25M水酸化ナトリウムと脱イオン水で洗浄した後、真空オーブンで乾燥することによって淡黄色の粉末(I−4)を得た。生成物の収率は4.63g(82%)であった。
Figure 0005328336
(合成例5)
8.98g(0.035モル)のカルボン酸(II−4)と、8.46g(0.012モル)のプロポキシ化グリセリン(分子量275)を0.3gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と共に75mlのトルエンで15時間共沸還流した。溶液を冷却してろ過した後、0.25Mの炭酸ナトリウム水溶液100mlで二度洗浄し、脱イオン水100mlで一度洗浄した。溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過し、すべての溶剤をロータリーエバポレーターで除去したところ、黄色のオイル(I−5)を得た。生成物の収率は10.0g(84%)であった。
Figure 0005328336
(合成例6)
8.49g(0.035モル)のカルボン酸(II−1)と7.77g(0.008モル)のカプロラクトンポリオール(Solvay製CAPA4101)を0.3gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と共に75mlのトルエンで15時間共沸還流した。溶液を90℃まで冷却してろ過した後、0.5Mの炭酸ナトリウム水溶液100mlで二度洗浄し、脱イオン水100mlで二度洗浄した。溶液を共沸蒸留により乾燥した後、ロータリーエバポレーターですべての溶媒を除去したところ、黄色のオイル(I−6)を得た。
Figure 0005328336
(合成例7)
9.37g(0.045モル)のカルボン酸(II−3)と、1.39gのジトリメチロー
ルプロパン(0.01モル)を0.3gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と共に150mlのトルエンで共沸蒸留した。4.75時間後、溶液が冷却したところ、溶液から固体が沈殿した。すべての溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、固体反応物をジクロロメタンに再溶解した後、0.25M水酸化ナトリウム100mlで二度洗浄し、脱イオン水100mlで二度洗浄した。すべての溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、真空オーブンで一晩乾燥させ、淡黄色の粉末(I−7)を得た。生成物の収率は7.2g(81%)であった。
Figure 0005328336
(合成例8)
6.07g(0.025モル)のカルボン酸(II−1)と、0.62gのエチレングリコール(0.01モル)を0.3gのpートルエンスルホン酸1水塩触媒と共に150mlのトルエンで共沸蒸留した。6時間後に、溶液を冷却したところ溶液から固体が沈殿した。それをろ過し、0.25M水酸化ナトリウムと脱イオン水で洗浄した後、真空オーブンで乾燥することによって淡黄色の粉末(I−8)を得た。生成物の収率は4.19g(82%)であった。
Figure 0005328336
上記した例示化合物以外にも、各合成方法と同様にして、一般式(II)と一般式(III)のコア化合物を組み合わせて合成することができる。
なお上記例示化合物の中で、より好ましい化合物は(I−1)、(I−3)、(I−4)、(I−5)、(I−7)、(I−8)であり、更に好ましい化合物は(I−1)、(I−4)、(I−8)である。
本発明のインク組成物における(i)特定増感色素の含有量は、インク組成物に対して固形分で、0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜6質量%である。
特定増感色素の含有量について、後述する(ii)重合開始剤との関連において述べれば、(ii)重合開始剤:(i)特定増感色素の質量比で200:1〜1:200が好ましく、より好ましくは、50:1〜1:50、更に好ましくは、5:1〜1:5である。
<その他の増感色素>
本発明においては、前記した特定増感色素に加え、公知の、重合性基を有しない増感色素を本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができる。その他の増感色素は、特定増感色素に対して、特定増感色素:他の増感色素の質量比で1:5〜100:1が好ましく、より好ましくは1:1〜100:1、更に好ましくは2:1〜100:1である。
併用しうる公知の増感色素の例としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、チオクロマノン、ジベンゾチエピノン、アントラキノン及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンなどが挙げられる。
併用可能な光増感色素のさらなる例は、下記のとおりである。
(1)チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジ−エチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−〔2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル〕チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
(2)チオクロマノン
本発明者らが先に提案した特願2007−006019明細書に記載の化合物
(3)ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−〔2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド;
(4)3−アシルクマリン
3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(プロポキシ)クマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニルビス〔5,7−ジ(プロポキシ)クマリン〕、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ〔f〕クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
(5)3−(アロイルメチレン)チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレンベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
(6)アントラセン
9,10−ジメトキシ−アントラセン、9,10−ジエトキシ−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチル−アントラセン;
(7)他のカルボニル化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−ナフトラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α−(パラ−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン又は3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド。
<(ii)重合開始剤>
本発明のインク組成物は、重合開始剤を含有する。
本発明においては、公知の重合開始剤を使用することができる。本発明における重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
−ラジカル重合開始剤−
本発明で使用され得る好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルフォスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
上述したラジカル重合開始剤の例としては、例えば、特開2006−085049号公報の明細書の段落番号[0135]〜[0208]に記載されたラジカル重合開始剤を挙げることができる。
また、第3級アミン化合物も特定増感色素と組み合わせることで、水素引き抜き反応を起こし、開始剤として機能できる。組み合わせて使用できる第3級アミン化合物の例としてはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アルキルアミン化合物、N , N − ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N , N − ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等が上げられる。
上記のごとき、ラジカル重合開始剤は、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる上記特定増感色素との関係で、好適に用いることのできるラジカル重合開始剤としては、炭素ハロゲン結合を有する化合物、ケトオキシムエステル化合物、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択されるものがあげられ、なかでもα−アミノケトン類、アシルフォスフィンオキシド類が好ましい。
本明細書では、α−アミノケトン類、又はアシルフォスフィンオキシド類に包含される重合開始剤を「特定重合開始剤」とも称する。
炭素ハロゲン結合を有する化合物としてはトリアジン系化合物が挙げられ、例えば特開平8−269049号公報、特表2005−503545明細書、非特許文献J.Am,Chem.Soc.1999,121,p6167〜6175等に記載の化合物を挙げることができる。
ケトオキシムエステル化合物としては、例えば、特願2007−23100号明細書、特表2006−516246号公報、特開2001−233842号公報、特開2004−534797号公報、特開2005−097141号公報、特開2006−342166号公報等に記載の化合物を挙げることができる。チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ、例えばイルガキュアOXE01、CGI−242等の如き市販品としても入手可能であり、本発明に好適に使用しうる。
α−アミノケトン類に包含される化合物の例としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ、例えばイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等の如き市販品としても入手可能であり、これらもα−アミノケトン類に包含される化合物であり、本発明に好適に使用しうる。
アシルフォスフィンオキシド系化合物としては、例えば、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることができる。アシルフォスフィンオキシド類に包含される化合物の例としては、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ、ダロキュアシリーズ、例えばイルガキュア819、イルガキュア1800、イルガキュア1870、ダロキュアTPO等の如き市販品としても入手可能であり、本発明に好適に使用しうる。
なお、本発明のインク組成物を白色インクや無色のクリアインクに用いる場合には、耐変色性に優れる光重合開始剤を用いることが好ましい。このような観点からは、α−アミノケトン類に包含される化合物としては、例えば、イルガキュア907が好ましく、アシルフォスフィンオキシド系化合物としては、例えば、イルガキュア819、ダロキュアTPO等が好ましい。
本発明のインク組成物における(ii)重合開始剤の含有量は、固形分換算で、0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、1.0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、5.0〜15.0質量%の範囲であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物における(ii)重合開始剤の含有量は、後述する(iii)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜35質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは0.5〜30質量部の範囲で含有されるのが適当である。なお、ここで重合開始剤の含有量とは、上述したラジカル重合開始剤及び併用しうる他の重合開始剤を含む重合開始剤の総含有量を意味する。
<(iii)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物>
本発明のインク組成物にはエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含有する。本発明に好適に使用しうる重合性化合物とは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。
ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、
メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が挙げられる。
感度、滲み、記録媒体との密着性をより改善するためには、モノアクリレートと、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが好ましい。特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な被記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレートと、多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用は、膜に可撓性を持たせて密着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
さらに、単官能、二官能、三官能以上の多官能モノマーの少なくとも3種の重合性化合物を併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、被記録媒体との密着性をより改善することができるという観点から好ましい。
モノアクリレートとしては、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミスチルアクリレート、イソステアリルアクリレートが感度も高く、低収縮性でカールの発生を防止できるとともに、滲み防止、印刷物の臭気、照射装置のコストダウンの点で好ましい。
モノアクリレートと併用しうるオリゴマーとしては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
なお、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70質量%未満の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
本発明のインク組成物における全重合性化合物の含有量は、5〜97質量%が好ましく、30〜95質量%がより好ましく、50〜85質量%が更に好ましい。
本発明のインク組成物は、前記(i)〜(iii)の成分を必須成分として含有するが、目的に応じてインク組成物の添加剤として公知の他の成分を併用することができる。以下、これら任意成分について説明する。
<(iv)着色剤>
本発明のインク組成物を、平版印刷版の画像部形成などの用途に適用する場合には、特に着色画像を形成することは必須ではなく、インク組成物としての用途においては、特に着色剤は必要ないが、インク組成物により形成された画像部の視認性を向上するため、或いは、インク組成物を用いて着色画像を形成しようとするときは、(iv)着色剤を含有することができる。
本発明に使用することのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ(1)顔料または(2)油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。
なお本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
(1)顔料
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤あるいはマゼンタ顔料としては、例えば、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257;Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88;Pigment Orange 13、16、20、36、等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、等が挙げられる。
緑顔料としては、例えば、Pigment Green 7、26、36、50、等が挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、等が挙げられる。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7、28、26、等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、PigmentWhite 6、18、21、等が挙げられる。
これらの顔料は、目的に応じて適宜選択して使用できる。
(2)油溶性染料
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料;等を挙げることができる。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に適用可能な油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29,34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93,162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132,218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67,70;C.I.ソルベント・グリーン 3,7;C.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
また、着色剤として油溶性染料を使用する場合には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料等の着色剤を併用することもできる。
<分散染料>
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224,237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119,163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356,362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365,368;C.I.ディスパーズグリーン 6:1,9;等が挙げられる。
本発明に使用することができる着色剤は、本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に添加された後、適度に当該組成物内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
また、着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることであり、高分子分散剤としては、例えば、Zeneca社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。本発明において、これらの分散剤及び分散助剤は、着色剤100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
着色剤は、本発明のインク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤、又は本発明における特定の単官能(メタ)アクリル酸誘導体や、所望により併用される他の重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合に懸念される画像部の耐溶剤性の経時的な低下並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、特定の単官能(メタ)アクリル酸誘導体を含む重合性化合物のいずれか1つ又はそれらの混合物に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
着色剤は、インク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、本発明のインク組成物中において、固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、さらに好ましくは、0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明のインク組成物中における着色剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物の物性、着色性を考慮すれば、一般的には、インク組成物全体の質量に対して、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%含有することがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤、等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。また、本発明のインク組成物をインクジェト記録用インク組成物として使用する場合には、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインク組成物及びインクジェット記録用インク組成物が放射線硬化型インク組成物であることに鑑み、インク組成物着弾直後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、溶剤を含まないことが好ましい。しかし、インク組成物の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。本発明において、溶剤としては、有機溶剤、水が使用できる。特に、有機溶剤は、被記録媒体(紙などの支持体)との密着性を改良するために添加され得る。有機溶剤を添加すると、VOCの問題が回避できるので有効である。
有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の質量に対し、例えば、0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
この他に、必要に応じて公知の化合物を本発明のインク組成物に添加することができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワッス類等を適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6頁に記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
<インク組成物の性質>
本発明のインク組成物は、上述のように、(i)特定増感色素、(ii)重合開始剤、及び(iii)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、を含有することを要し、更に任意成分として、他の増感色素、着色剤等を含有するものである。
これらの成分は、インクジェット用インク組成物全体の質量に対して、着色剤が好ましくは1〜10質量%、より好ましくは、2〜8質量%、全重合性化合物が好ましくは5〜97質量%、より好ましくは30〜95質量%である。光重合開始剤が、全重合性化合物に対して、好ましくは0.01〜35質量%、より好ましくは、0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜15質量%、全増感色素(特定増感色素+他の併用しうる増感色素)が好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは1〜10質量%となるように含有することが適当である。
−インクジェット用インク組成物の物性−
本発明のインクジェット用インク組成物は、インクジェット記録用インクとして好適に用いられる。インクジェット記録用インクとしての使用態様における好ましい物性について説明する。
本発明のインクジェット用インク組成物は、25℃での粘度が、5mPa・s〜100mPa・sの範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。この範囲において、本発明における特定増感色素と重合開始剤の組み合わせが特に有効に機能する。即ち、インクジェット用インク組成物の粘度が、5mPa・s〜100mPa・sの範囲であることで、インク組成物の硬化性、硬化膜の膜物性、及びインクの吐出性のいずれもがより向上したものとなる。吐出性を考慮すれば、吐出時の温度(例えば、40〜80℃、好ましくは25〜50℃)において、インクジェット用インク組成物の粘度は、好ましくは5〜30mPa・sであり、より好ましくは5〜20mPa・sである。
本発明のインクジェット用インク組成物の25℃での粘度は、好ましくは5mPa・s〜50mPa・sの範囲であり、より好ましくは5mPa・s〜30mPa・sの範囲であり、更に好ましくは10mPa・s〜25mPa・sの範囲である。
本発明のインクジェット用インク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/mの範囲であり、より好ましくは23mN/m〜28mN/mの範囲である。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、表面張力は、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物は、インクジェットプリンターにより被記録媒体上に吐出し、その後、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、インク組成物を硬化して記録するインクジェット記録方法に好適に用いられる。
[インクジェット記録方法]
次に、本発明のインクジェット記録方法、及び当該方法に適用しうるインクジェット記録装置について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、被記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する方法である。
即ち、本発明のインクジェット記録方法は、(a)被記録媒体上に、本発明のインクジェット用インク組成物を吐出する工程、及び、(b)吐出されたインクジェット用インク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a)及び(b)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインクジェット用インク組成物により画像が形成される。
本発明のインクジェット記録方法における(a)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
<インクジェット記録装置>
本発明の記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインクジェット用インク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜1600×1600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
次に、(b)吐出されたインクジェット用インク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインクジェット用インク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインクジェット用インク組成物に含まれる(ii)重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能により、(iii)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の重合反応が、生起、促進されてインクジェット用インク組成物が硬化するためである。このとき、インクジェット用インク組成物において重合開始剤とともに(i)特定増感色素が存在することにより、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、340〜400nmであることが更に好ましい。
また、本発明のインクジェット用インク組成物が含有する重合開始系は、低出力の活性放射線であっても充分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、10〜1,500mJ/cmであり、更に好ましくは、20〜1,000mJ/cmである。
また、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm、好ましくは、20〜1,000mW/cmで照射されることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更にLED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、340〜370nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
また、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cmであることが好ましく、20〜1,000mW/cmであることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cmである。
本発明のインクジェット用インク組成物は、このような活性放射線に、例えば、0.01〜120秒、好ましくは、0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。
このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明の記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインクジェット用インク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化し、疎水性画像を被記録媒体表面上に形成する。
ここでインクの硬化に用いられる活性放射線源或いはその好ましい照射条件もまた、インクジェット記録方法において述べたのと同様である。
本発明のインクジェット用インク組成物は、紫外線などの活性放射線により高感度で硬化し、支持体との密着性や膜質に優れた疎水性領域を形成することができる。このため、着色画像の形成やマーキングなどに加え、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。平版印刷版のインク受容層形成用途に適用することで、高画質で耐刷性にも優れた平版印刷版を得ることも可能である。
本発明のインクジェット用インク組成物は、既述したように、活性放射線により硬化させるインクジェット記録用として優れたものであるが、一般的に使用されるインクジェット用インク組成物としても有用であることはいうまでもない。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。また、以下の説明においては、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
(顔料分散物の調製)
下記表1に示す各成分(単位は質量部)を混合し、1時間スターラーで撹拌した。撹拌後の混合物をビーズミル分散にて分散し、各色の顔料分散物を得た。分散条件は直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間は、マゼンタ顔料Aは4時間、それ以外は2時間で行った。
Figure 0005328336
上記表1に示す、顔料、分散剤、及び重合性化合物の詳細は以下の通りである。
・シアン顔料A:PB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・マゼンタ顔料A:PV19(CINQUASIA MAGENTA RT−355D;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・イエロー顔料A:PY155(NOVOPERM YELLOW 4G−01;クラリアント社製)
・カーボンブラック:SPECIAL BLACK 250(デグサ社製)
・二酸化チタン:CR60−2(石原産業(株)製)
・分散剤A:BYK−168(ビックケミー社製)
・分散剤B:ソルスパース36000(ノベオン社製)
・重合性化合物A:PEA(フェノキシエチルアクリレート;第一工業製薬(株)製)
(インクジェット用インク組成物の調製)
下記表2〜表4に示す各成分(単位は質量部)を撹拌混合溶解し、インクジェット用インク組成物(実施例1〜12および比較例1〜4)を得た。
また、別途、実施例1の組成から顔料だけを除いたインク組成物(実施例13)、実施例6における増感色素(I−1)を(I−4)に変更したインク組成物(実施例14)、実施例6における増感色素(I−1)を(I−5)に変更したインク組成物(実施例15)を調製した。
なお、これらのインクジェット用インク組成物の表面張力を、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定したところ、いずれのインクジェット用インク組成物の表面張力も、23mN/m〜25mN/mの範囲内であった。
また、各インクジェット用インク組成物の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業(株)製)を用いて測定したところ、いずれのインクジェット用インクの粘度も、10mPa・s〜25mPa・sの範囲内であった。
Figure 0005328336
Figure 0005328336
Figure 0005328336
上記表2〜表4において使用した、重合性化合物、界面活性剤、禁止剤(重合禁止剤)、光重合開始剤、及び増感剤(増感色素)の詳細を以下に示す。
・重合性化合物A:PEA(フェノキシエチルアクリレート;第一工業製薬(株)製)
・重合性化合物B:DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート;ダイセル・サイテック(株)製)
・重合性化合物C:A−TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート;新中村化学工業(株)製)
・重合性化合物D:FA−512A(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト;新中村化学工業(株)製)
・界面活性剤A:BYK―307(ビックケミー社製、界面活性剤)
・禁止剤A:FIRSTCURE ST−1(Albemarle社製)
・開始剤A:Darocur TPO(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・開始剤B:Irgacure 907(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・開始剤C:Irgacure 369(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・開始剤D:Irgacure 819(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・開始剤E:Darocure EDB(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・開始剤F:Irgacure OXE01(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・開始剤G:Darocure 184(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
Figure 0005328336
・増感色素I−1、I−3、I−7、及びI−8は、特定増感色素の具体例として前記した例示化合物である。
実施例1〜15及び比較例1〜4の各インクジェット用インク組成物に関して、インクジェット方式による下記の吐出実験を行い、硬化感度、耐ブロッキング性、保存安定性、及び吐出安定性の評価を行った。
各実施例及び比較例で得られたインクジェット用インク組成物を、ポリ塩化ビニル製のシート上に打滴し、紫外発光ダイオード(UV−LED)の光線下に特定の速度で通過させることにより照射を行って、当該インク組成物を硬化させ、印刷物を得た。
本実施例では、インク組成物の吐出は、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置により行い、硬化のための発光ダイオード(UV−LED)は、日亜化学製NCCU033を用いた。前記LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、被記録媒体(以下、メディアとも言う。)表面で0.3W/cmのパワーが得られる。打滴後露光されるまでの時間、及び露光時間はメディアの搬送速度及びヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。本実施例では着弾後、約0.5秒後に露光される。
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01〜15J/cmの間で調整することができる。
なお、評価に使用したインクジェット記録装置のインク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に40℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
このとき、以下の評価を行った。結果を下記表5に示す。
<硬化感度(タックフリー感度)>
印刷後の表面のベトツキが無くなる露光エネルギーによって硬化感度を定義した。
印刷後の表面のベトツキの有無は、印刷直後に普通紙(富士ゼロックス社製コピー用紙C2)を押し付け、色移りが起きる場合は「ベトツキ有り」、色移りが起きない場合は「ベトツキ無し」と判断した。値が小さいほど感度が高いと評価し、以下の基準で評価した。○が実用上問題のないレベルである。
−評価基準−
○:露光エネルギー1000mJ/cm以下で表面のベトツキがなくなった。
△:露光エネルギー1000mJ/cmを超え、2000mJ/cm以下で表面のベトツキがなくなった。
×:表面のベトツキがなくなるのに2000mJ/cmを超える露光エネルギーが必要であった。
<耐ブロッキング性>
印刷後の印刷物における印刷面と基材面(裏面)を重ね合わせ、一定時間後に剥ぎ取った時に、印刷面の膜の破れや基材面への転写の有無を評価した。
なお、ブロッキング試験に用いた印刷物は、いずれも硬化感度(タックフリー感度)評価において、2,000mJ/cmの露光エネルギーで露光したものを用いた。
また、印刷物の保管は、印刷面と基材面を重ね合わせた上に、重りによって均一な加重(1kg/cm)を印刷物全体にかけた状態を24時間(45℃恒温槽保管)で行った。24時間後、印刷面と基材面を剥ぎ取り、目視によって下記基準に従い評価した。○が実用上問題のないレベルである。
−評価基準−
評価は、以下の3段階で行った。
○:印刷面には膜の破れ等がなく、かつ、基材面にはインクの転写が無い
△:印刷面には膜の破れや膜の内部破壊が一部に見られるか、又は、基材面にインクの転写が一部に見られる(ここで一部とは全面積の50%未満をいう。)
×:印刷面には膜の破れや膜の内部破壊が全面に見られるか、又は、基材面にインクの転写が全面に見られる(ここで全面とは全面積の50%以上をいう。)
<吐出安定性>
得られたインクジェット用インク組成物を室温で4週間保存後、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、前記硬化感度の評価と同様にして、被記録媒体への記録を行い、常温で48時間連続印字したときの、ドット抜けおよびインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、下記基準により評価した。○が実用上問題のないレベルである。
−評価基準−
○:ドット抜けまたはインクの飛び散りが発生しないか、発生が3回以下。
△:ドット抜けまたはインクの飛び散りが4〜10回発生。
×:ドット抜けまたはインクの飛び散りが11回以上発生。
<保存安定性>
実施例1〜15及び比較例1〜4の組成から顔料だけを除いたインク組成物を別途調製した。60℃で4週間インク組成物を保存し、以下の基準にて保存安定性を評価した。○が実用上問題のないレベルである。
−評価基準−
○:変化なし。
△:粘度上昇がみられた。
×:ゲル化がみられた。
Figure 0005328336
表5から明らかなように、本発明に係る特定増感色素を含有する実施例1〜11および実施例14〜15のインク組成物は、従来公知の増感剤を用いた比較例1〜4のインク組成物に比べて、硬化感度、耐ブロッキング性、保存安定性が良好であり、吐出安定性についても全て実用上問題のないレベルであることがわかる。
一方、特定構造を有さず、単官能性である比較増感剤Aおよび比較増感剤Bを用いた比較例1〜2は、増感剤の成分が硬化膜から接触物へ移動する傾向が強く、耐ブロッキング性が良好でなかった。また、チオキサントン多官能性である比較増感剤Cを用いた比較例3は、耐ブロッキング性は向上したが、溶解性が悪いため吐出安定性が悪化し、増感剤の効果を発揮する十分な量を添加することができなかったため、硬化感度が悪化した。
また特定構造を有さず単官能性である比較増感剤Aを用いた比較例1、および、本発明の特定増感色素と連結位置が異なる構造の比較増感剤Dを用いた比較例4は、いずれも保存安定性が劣っていた。
また、実施例1、および実施例6〜11においては、印刷物に形成された画像は良好な白色を呈していた。このことより、実施例1、および実施例6〜11のインクジェット用インク組成物は、硬化感度、耐ブロッキング性、吐出安定性、保存安定性に優れ、さらに色再現性にも優れた白色インク組成物であることがわかる。
一方、比較例2〜4の白インク組成物は、比較増感剤B、比較増感剤C、比較増感剤Dに起因すると推定される黄着色があり、白色画像の色再現性が良好でなかった。

Claims (7)

  1. (i)下記一般式(I)で示される増感色素、(ii)重合開始剤、及び(iii)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、を含有するインク組成物。
    Figure 0005328336

    一般式(I)中、R、R、R、及び、Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。
    Aは−[O(CHRCHR]−、−[O(CHCO]−、または−[O(CHRCO](y−1)−[O(CHRCHR]−を表す。(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、少なくとも一方は、水素原子を表す。aは1〜2の整数であり、bは4〜5の整数であり、yは1〜10の整数である。)
    xは2〜6の整数を表す。
    Qはヒドロキシ基をx個有するポリヒドロキシ化合物の残基である。
    nは0〜3の整数であり、mは0〜1の整数である。
  2. さらに(iv)着色剤を含有する請求項1に記載のインク組成物。
  3. 一般式(I)におけるnが0である請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
  4. α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される少なくとも一つの重合開始剤を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. インクジェット記録用である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. (a)被記録媒体上に請求項5に記載のインク組成物を吐出する工程、及び(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
  7. 前記活性放射線が、発光ピーク波長が340nm以上400nm以下の範囲の紫外線である請求項6に記載のインクジェット記録方法。
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