JP5348955B2 - インク組成物、インクセット、インクジェット記録方法、及び、印刷物 - Google Patents

インク組成物、インクセット、インクジェット記録方法、及び、印刷物 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録用として好適に用いられるインク組成物、前記インク組成物を含むインクセット、前記インク組成物を用いるインクジェット記録方法、及び、前記インク組成物を用いて得られる印刷物に関するものである。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
また、インクジェット方式では、階調性、粒状性等を改善する方法として、濃色インクと淡色インクを用いる手法が知られている。例えば、特許文献1及び2では、染料濃度の異なる複数の水性染料インクについて述べている。
特許文献3には、紫外線を照射することにより硬化する、少なくとも濃色インク及び淡色インクからなるインクジェットインクセットであって、該インクジェットインクセットを構成するインクが、少なくとも色材、重合性化合物、光重合開始剤を含有し、該濃色インクと該淡色インクの該色材の濃度比が2:1〜10:1であり、かつ、該光重合開始剤の濃度比が1:1〜3:1であることを特徴とするインクジェットインクセットが記載されている。
特開昭60−56557号公報 特開昭57−156264号公報 特開2004−359946号公報
本発明の目的は、硬化感度に優れ、かつ硬化して得られる画像の色再現性に優れる淡色インク組成物、前記インク組成物を含むインクセット、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、前記インク組成物を用いて得られた印刷物を提供することである。
上記目的は、下記<1>、<8>、<9>及び<10>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<7>と共に以下に示す。
<1> (A)着色剤、(B)式(I)で表される化合物、(C)重合性化合物、及び、(D)重合開始剤を含有し、前記(A)着色剤の含有量が、インク組成物全体の2重量%以下であることを特徴とするインク組成物、
Figure 0005348955
(式(I)中、XはO、S、又は、NRを表し、nは0又は1を表し、Rは水素原子、アルキル基、又は、アシル基を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及び、R8はそれぞれ独立に、水素原子、又は、一価の置換基を表し、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよく、R5又はR6とR7又はR8とは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。)
<2> (E)分散剤をさらに含有する上記<1>に記載のインク組成物、
<3> 前記(C)重合性化合物が、エチレン性不飽和化合物である上記<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> 前記(C)重合性化合物が、単官能重合性化合物及び二官能重合性化合物である上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<5> 前記(D)重合開始剤が、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキサイド類よりなる群から選択される重合開始剤である上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<6> 前記(A)着色剤が、マゼンタ顔料又はシアン顔料である上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<7> 前記(B)式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物全体に対し、0.05〜30重量%である上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<8> 少なくとも1つの上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインク組成物を含むインクセット、
<9> (a1)被記録媒体上に、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法、
<10> 上記<9>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
本発明によれば、硬化感度に優れ、かつ硬化して得られる画像の色再現性に優れる淡色インク組成物、前記インク組成物を含むインクセット、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、前記インク組成物を用いて得られた印刷物を提供することができた。
(1)インク組成物
本発明のインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)は、(A)着色剤、(B)式(I)で表される化合物、(C)重合性化合物、及び、(D)重合開始剤を含有し、前記(A)着色剤の含有量が、インク組成物全体の2重量%以下であることを特徴とする。
Figure 0005348955
(式(I)中、XはO、S、又は、NRを表し、nは0又は1を表し、Rは水素原子、アルキル基、又は、アシル基を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及び、R8はそれぞれ独立に、水素原子、又は、一価の置換基を表し、R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよく、R5又はR6とR7又はR8とは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。)
本発明のインク組成物は、着色剤の含有量がインク組成物全体の2重量%以下と、着色剤の含有量の少ないインク組成物であり、「ライトインク組成物」、「ライトインク」、「淡色インク組成物」、又は、「淡色インク」ともいう。
従来、放射線硬化型インクジェットインクにおいては、重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させる、いわゆる高感度化のために増感剤を含有させることが知られている。しかしながら、一般的に増感剤は黄色等の色味を呈しており、インク組成物中に存在することにより、インクジェット記録後に本来所望するインクの色を混濁なく再現することは困難であった。特にインクセットにおいて用いられる淡色インク組成物では、含有させることができる着色剤の量が限られるため、増感剤によるインク組成物の色再現性不良が顕著であった。すなわち、高感度化と色再現性とを両立させた淡色インク組成物が切望されていた。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のインク組成物は、放射線により硬化可能なインク組成物であり、また、油性のインク組成物である。
本発明でいう「放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
(A)着色剤
本発明のインク組成物は、(A)着色剤を含有する。
本発明のインク組成物における着色剤の含有量は、インク組成物全体に対して、2重量%以下であり、1.0重量%以下であることが好ましく、0.8重量%以下であることがより好ましく、0.01〜0.8重量%であることがさらに好ましく、0.2〜0.7重量%であることが特に好ましい。
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はないが、顔料や溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。
これらの中でも、本発明のインク組成物は、顔料を含有することが好ましく、マゼンタ顔料、シアン顔料又はブラック顔料を含有することがより好ましく、マゼンタ顔料又はシアン顔料を含有することがさらに好ましい。
顔料とは、一般に、種々溶媒(有機溶剤、水)に対して難溶の着色剤を意味し、通常のインク組成物においては、含有する着色剤の全固形分がインク組成物中に溶解している量が10重量%以下のものを意味する。
本発明のインク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red3、5、19、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange13、16、20、36等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60等が挙げられる。
緑顔料としては、Pigment Green7、26、36、50等が挙げられる。
黄顔料としては、Pigment Yellow1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、120、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193等が挙げられる。
黒顔料としては、Pigment Black7、28、26等が挙げられる。
白色顔料としては、Pigment White6、18、21等が挙げられる。
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。したがって、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドン等のようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に適用可能な前記油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29及び34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、19、29、30、56、82、93及び162;C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、49、51、72、73、109、122、132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー2、11、25、35、38、67及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
また、着色剤として油溶性染料を使用する際、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、201、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9;等が挙げられる。
本発明に使用することができる着色剤は、本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に添加された後、適度に当該インク内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
着色剤は、本発明のインク組成物の調製に際して各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用するラジカル重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化及び残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。これらの着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、本発明のインク組成物中において固体のまま存在する顔料等の着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、さらに好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
(B)式(I)で表される化合物
本発明のインク組成物は、増感剤として、(B)式(I)で表される化合物を含有する。
Figure 0005348955
前記式(I)において、Xは、O、S又はNRを表す。Rは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表し、アルキル基又はアシル基であることが好ましい。
前記式(I)において、nは、0又は1を表す。
Xとしては、O又はSであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
なお、nが0の場合、R7及びR8と結合した炭素原子は存在せず、ヘテロ原子を含むXと、R5及びR6と結合した炭素原子と、が直接結合して、Xを含む5員のヘテロ環を構成することになる。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8における一価の置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基などが挙げられる。中でも、アルキル基又はハロゲン原子であることが好ましい。
式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものがより好ましい。
同様に、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが好ましく挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
1、R2、R3及びR4は、それぞれ隣接する2つが互いに連結、例えば、縮合、して環を形成していてもよい。
これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士がさらに組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。さらにこれらの環構造は、前記式(I)において、R1乃至R8が一価の置換基を表す場合に例示した置換基をさらに有していてもよい。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
n=1の場合、R5又はR6と、R7又はR8は互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。脂肪族環は、3〜6員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
前記式(I)で表される化合物は、下記式(I-A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005348955
前記式(I-A)において、XはO又はSを表し、nは0又は1を表し、R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。R1A、R2A、R3A及びR4Aは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5A又はR6Aと、R7A又はR8Aは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
さらにこれらの環構造は、前記式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合に例示した各置換基をさらに有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
また、前記式(I)で表される化合物は、下記式(I-B)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0005348955
前記式(I-B)において、XはO又はSを表し、R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B及びR8Bはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。また、R1B、R2B、R3B及びR4Bは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5B又はR6Bと、R7B又はR8Bは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
さらにこれらの環構造は、前記式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合に例示した各置換基をさらに有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
さらに、前記式(I)で表される化合物は、下記式(I-C)で表される化合物であることがさらに好ましい。
Figure 0005348955
前記式(I-C)において、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
1C、R2C、R3C及びR4Cは、それぞれ隣接する2つが互いに縮合して5又は6員環の脂肪族環、芳香族環を形成していてもよく、これらの環は、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士がさらに組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。R5C又はR6Cと、R7C又はR8Cは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
さらにこれらの環構造は、前記式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合に例示した各置換基をさらに有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
また、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cのうちの少なくとも1つはハロゲン原子であることが好ましい。好ましい置換位置としてはR1C、R2C、R3C、R4Cが挙げられ、R2Cが最も好ましい。R1C〜R8Cにおけるハロゲン原子の数としては、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
2Cは、水素以外の置換基であることが好ましく、中でも、光源とのマッチングがよく高感度であるため、アルキル基、ハロゲン原子、アシルオキシ基又はアルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基又はハロゲン原子がより好ましい。
7C及びR8Cのいずれかは、水素以外の置換基であるほうが好ましく、両方とも水素以外の置換基であることがさらに好ましい。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基があげられ、中でもアルキル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数が1〜4個のものがより好ましい。
アシルオキシ基としては炭素数2〜10個の脂肪族アシルオキシ基が好ましく、炭素数が2〜5個の脂肪族アシルオキシ基がより好ましい。
アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜10個の脂肪族アルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数が2〜5個のアルコキシカルボニル基がより好ましい。
本発明に好適に用いることのできる式(I)で表される化合物の具体例〔例示化合物(I-1)〜(I-133)〕を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明における化学式の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。また、下記具体例において、Meはメチル基を表し、Butはt−ブチル基を表し、Priはイソプロピル基を表す。
Figure 0005348955
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これらの中でも、例示化合物(I-4)、(I-14)、(I-17)、(I-71)、(I-116)又は(I-129)が好ましく、例示化合物(I-14)が特に好ましい。
式(I)で表される化合物の合成方法としては、例えば、特開2004−189695号公報、Tetrahedron,第49巻,p939(1993年)、Journal of Organic Chemistry,p893(1945年)、及び、Journal of Organic Chemistry,p4939(1965年)などに記載の公知の方法によって合成することができる。
本発明のインク組成物における式(I)で表される化合物の含有量は、インク組成物の全量に対して、0.05〜30重量%が好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましく、0.2〜10重量%であることがさらに好ましい。
本発明のインク組成物中における含有量について、後述する(D)重合開始剤との関連において述べれば、重量比で、(D)重合開始剤:(B)式(I)で表される化合物=200:1〜1:200であることが好ましく、50:1〜1:50であることがより好ましく、20:1〜1:5であることがさらに好ましい。
〔他の増感剤〕
本発明においては、前記した式(I)で表される化合物に加え、公知の増感剤を本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができるが、本発明のインク組成物は、他の増感剤を含有しないことが好ましい。
本発明のインク組成物が他の増感剤を含有する場合、その含有量は、重量比で、式(I)で表される化合物に対して、式(I)で表される化合物:他の増感剤=1:5〜100:1であることが好ましく、1:1〜100:1であることがより好ましく、2:1〜100:1であることがさらに好ましい。
併用可能な他の増感剤の例としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、アントラキノン、3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン、エリスロシン、α−(p−ジメチルアミノベンジリデン)ケトンなどが挙げられる。
併用可能な他の増感剤のさらなる例は、下記に示す通りである。
(1)チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジ−エチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
(2)ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド;
(3)3−アシルクマリン
3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニルビス〔5,7−ジ(プロポキシ)クマリン〕、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ〔f〕クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
(4)3−(アロイルメチレン)チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレンベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
(5)アントラセン
9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチルアントラセン、
(6)他のカルボニル化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−ナフトラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド。
(C)重合性化合物
本発明のインク組成物は、(C)重合性化合物を含有する。
本発明に用いることができる重合性化合物は、付加重合性化合物であることが好ましく、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物であることがより好ましく、ラジカル重合性化合物であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和化合物であることが特に好ましい。
また、本発明に用いることができる重合性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、また、例えば、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを併用してもよい。
本発明のインク組成物中における重合性化合物の含有量は、インク組成物全量に対し、60〜95重量部であることが好ましく、65〜90重量部であることがより好ましく、70〜90重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、硬化性に優れ、また、粘度が適度である。
本発明のインク組成物中における重合性化合物のうち、少なくとも1つは単官能重合性化合物であることが好ましく、少なくとも1つは単官能エチレン性不飽和化合物であることがより好ましく、少なくとも1つは単官能アクリレート化合物であることがさらに好ましい。インク組成物に単官能重合性化合物を用いると、十分な硬化性に加え、インク組成物を硬化して得られる膜の柔軟性が十分得られる。
本発明のインク組成物は、単官能重合性化合物と2官能重合性化合物とを含有することが好ましく、本発明のインク組成物に含有される重合性化合物が単官能重合性化合物及び2官能重合性化合物のみであることがより好ましい。
重合性化合物として単官能重合性化合物を用いる場合、単官能重合性化合物がインク組成物中に占める割合は、30〜80重量%であることが好ましく、40〜70重量%であることがより好ましく、50〜60重量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、基材への密着性に優れ、また、硬化後の画像表面のベタつきを抑制できる。
重合性化合物として、2官能重合性化合物を有する場合、2官能重合性化合物がインク組成物中に占める割合は、15〜45重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましく、25〜35重量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、硬化性に優れ、硬化膜の強度が十分であり、ひび割れ等の発生を減らすことができる。
(ラジカル重合性化合物)
本発明において、ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を使用することが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニル化合物(例えば、脂肪族ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、N−ビニル化合物)が例示できる。
この他、重合性のオリゴマー類も、モノマー同様に配合可能である。重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が挙げられる。
本発明のインク組成物において、単官能重合性化合物として、環状構造を有するラジカル重合性モノマーを使用することが好ましく、N−ビニル化合物及び/又は芳香族単官能ラジカル重合性モノマーを使用することがより好ましく、N−ビニル化合物及び芳香族単官能ラジカル重合性モノマーを使用することがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物において、多官能重合性化合物として、多官能脂肪族(メタ)アクリレート化合物及び/又は多官能ビニルエーテル化合物を使用することが好ましく、2官能脂肪族(メタ)アクリレート化合物及び/又は2官能ビニルエーテル化合物を使用することがより好ましく、2官能脂肪族(メタ)アクリレート化合物及び2官能ビニルエーテル化合物を使用することがさらに好ましく、脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物及びジビニルエーテル化合物を使用することが特に好ましい。
<(メタ)アクリレート化合物>
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、各種(メタ)アクリレート化合物が好ましく使用できる。
例えば、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイキシエチルコハク酸、2−アクリロイキシエチルフタル酸、2−アクリロイキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ラクトン変性可とう性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
また、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
本発明のインク組成物は、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有していることが好ましく、ジ(メタ)アクリレート化合物を含有していることがより好ましく、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレートを含有していることがさらに好ましい。
<N−ビニル化合物>
本発明において、N−ビニル基を有し、環状構造を有する基を有する重合性化合物(N−ビニル化合物)を使用することが好ましい。中でも、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルラクタム類を使用することが好ましく、N−ビニルラクタム類を使用することがさらに好ましい。
本発明に用いることができるN−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(N)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005348955
式(N)中、mは1〜5の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、支持体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、mは2〜4の整数であることが好ましく、mが2又は4であることがより好ましく、mが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の支持体への密着性が得られるので好ましい。
また、前記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していてもよい。
前記N−ビニルラクタム類は、インク組成物中に1種のみ含有されていてもよく、複数種含有されていてもよい。
本発明において、N−ビニル化合物は、インク組成物全体の5重量%〜40重量%含有することが好ましく、10重量%〜30重量%含有することがより好ましく、12重量%〜20重量%含有することがさらに好ましい。上記範囲において多重合性化合物との良好な共重合性を示し、硬化性、耐ブロッキング性に優れるインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物は、式(N)で表されるN−ビニルラクタム類をインク組成物全体の10重量%以上含有することが好ましく、10〜40重量%含有することがより好ましく、10重量%〜30重量%含有することがさらに好ましく、12重量%〜20重量%含有することが特に好ましい。
N−ビニルラクタム類の使用量が上記の数値の範囲内であると、硬化性、硬化膜柔軟性、硬化膜の支持体への密着性に優れる。また、N−ビニルラクタム類は比較的融点が高い化合物である。N−ビニルラクタム類が40重量%以下の含有率であると、0℃以下の低温下でも良好な溶解性を示し、インク組成物の取り扱い可能温度範囲が広くなる。
<ビニルエーテル化合物>
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテルと多官能ビニルエーテルを詳しく例示する。
単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、多官能ビニルエーテル化合物を含有することが好ましく、二官能ビニルエーテル化合物を含有することがより好ましい。
<環状構造を有するラジカル重合性モノマー>
環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマーは、以下の式(A1)で表される単官能ラジカル重合性モノマーであることが好ましい。なお、芳香族単官能ラジカル重合性モノマーとは、芳香族基を有する単官能ラジカル重合性モノマーであり、脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマーとは、ヘテロ原子を含んでもよい脂環式炭化水素基を有する単官能ラジカル重合性モノマーである。また、単官能ラジカル重合性モノマーは、重合性のあるエチレン性不飽和結合を1つのみ有する化合物であり、重合性のあるエチレン性不飽和結合を有する基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が好ましく例示できる。
Figure 0005348955
上記式(A1)において、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は、単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NH−、又は、−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)−)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた第2の二価の連結基が結合してもよく、第1の二価の連結基のみ又は第2の二価の連結基を有する場合はエーテル結合、エステル結合及び炭素数20以下のアルキレン基を有するものが好ましい。
2は単環芳香族基及び多環芳香族基を含む芳香族基又は脂環式炭化水素基であり、前記芳香族基及び脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を有していてもよく、前記芳香族基又は脂環炭化水素基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
上記式(A1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
また、X1はエステル結合(−C(O)O−)を有するものであることが好ましい。
すなわち、本発明において、脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマー及び芳香族単官能ラジカル重合性モノマーは、アクリレート(アクリル酸エステル)又はメタクリレート(メタクリル酸エステル)であることが好ましい。
〔芳香族単官能ラジカル重合性モノマー〕
芳香族単官能ラジカル重合性モノマーは、以下の式(A5)で表される重合性モノマーであることが好ましい。
Figure 0005348955
(式(A5)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、R6は置換基を表し、uは0〜5の整数を表し、また、u個存在するR5はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよく、複数のR5がお互いに結合して環を形成してもよく、その環は芳香環であってもよい。)
式(A5)中、R1として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
1は式(A2)におけるX1と同義であり、その好ましい範囲も同じである。
u個存在するR5は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、又は、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基であることが好ましい。
式(A5)中、複数のR5は、お互いに結合して環を形成している場合には、芳香環を形成していることが好ましい。
すなわち、式(A5)中、芳香族基として好ましいものは、単環芳香族であるベンゼンから1つ以上の水素を除いた基(フェニル基、フェニレン基等)のほか、2〜4つの環を有する多環芳香族基であり、限定されるものではない。具体的には、ナフタレン、アントラセン、1H−インデン、9H−フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェニレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアンデン等から1つ以上の水素原子を除いた基が例示できる。
これらの芳香族基は、O、N、S等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基であってもよい。具体的には、フラン、チオフェン、1H−ピロール、2H−ピロール、1H−ピラゾール、1H−イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、2H−ピラン、2H−チオピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール等の単環芳香族複素環化合物から、少なくとも1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
また、チアントレン、イソベンゾフラン、イソクロメン、4H−クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピロリジン等の多環芳香族複素環化合物から、少なくとも1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
上記の芳香族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を1又は2以上有していてもよい。例えば無水フタル酸や無水フタルイミドのように芳香族基が有する2以上の置換基でO、N、S等のヘテロ原子を含む環状構造を形成してもよい。
本発明において、多環芳香族基としてさらに好ましいものは、2〜3つの環を有する多環芳香族基であり、特に好ましいものは、ナフチル基である。
芳香族ラジカル重合性モノマーの具体例として[L−1]〜[L−71]が好ましく挙げられるが、下記に限定されたものではない。これらの中でも、芳香族単官能ラジカル重合性モノマーが好ましい。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
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〔脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマー〕
式(A1)のR2は脂環式炭化水素基でもよい。また、O、N、Sなどのヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基を有する基でもよい。
脂環式炭化水素基は、炭素数3〜12のシクロアルカン類を有する基でもよい。
上記O、N、Sなどのヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基は、具体的には、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、イソオキサゾリジン、イソチアゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオモルフォリン、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾールから1つ以上の水素を除いた基が例示できる。
これらの脂環式炭化水素基及びヘテロ環を有する脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくはO、N、S等のヘテロ原子を含む複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
なお、脂肪族環状構造を有するラジカル重合性モノマーは、脂肪族環状構造の他にラジカル重合性基を有しており、脂肪族環状構造内に有するエチレン性不飽和結合は、重合性のあるエチレン性不飽和結合に該当しない。
脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマーは、下記式(A2)で表される脂環骨格を有する化合物を用いてもよい。
Figure 0005348955
式(A2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、エーテル基(−O−)、エステル基(−C(O)O−若しくは−OC(O)−)、アミド基(−C(O)NR’−)、カルボニル基(−C(O)−)、窒素原子(−NR’−)、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキレン基、又は、これらを2以上組み合わせた二価の基であることが好ましい。なお、R’は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表す。R2は置換基を表し、rは0〜5の整数を表し、qは環状炭化水素構造を表し、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外にカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよく、r個存在するR2はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよく、また、ノルボルネン骨格中の一炭素原子をエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよい。
式(A2)中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
式(A2)におけるX1のビニル基と結合する端部は、X1のカルボニル炭素とビニル基とが結合するエステル基又はアミド基であることが好ましく、より好ましくはエステル結合である。特に、H2C=C(R1)−C(O)O−の構造を有するものであることが好ましい。その場合、ノルボルネン骨格と結合するX1の他の部分は、単結合であっても、前記の基から任意に選択したものであってもよい。
1及びX1を含むビニル部分(H2C=C(R1)−X1−)は、脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。なお、「各脂環式炭化水素構造上」とは、式(A2)におけるノルボルネン構造上及びqを含む環状炭化水素構造上を指す。
また、着色剤との親和性を向上させるという観点から、式(A2)におけるX1の脂環式炭化水素構造と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましく、式(A2)におけるX1は−C(O)O(CH2CH2O)p−(pは1又は2を表す。)であることがさらに好ましい。
式(A2)におけるR2はそれぞれ独立に置換基を表し、脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、r個存在するR2はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
r個存在するR2は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
2の置換数rは0〜5の整数を表す。
式(A2)におけるqは、環状炭化水素構造を表し、その両端はノルボルネン骨格の任意の位置で置換していてもよく、単環構造であっても、多環構造であってもよく、また、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外に、カルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。
前記式(A2)で表されるモノマーとしては、式(A3)又は式(A4)で表されるモノマーであることが好ましい。なお、式(A4)中の環状炭化水素構造中の不飽和結合は、ラジカル重合性が低く、本発明において、式(A4)で表される化合物は単官能ラジカル重合性モノマーである。
Figure 0005348955
式(A3)及び式(A4)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、s及びtはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR3及びt個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(A3)又は式(A4)におけるR1及びX1は、式(A2)におけるR1及びX1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A3)又は式(A4)におけるR1及びX1を含むビニル部分は、式(A3)又は式(A4)における下記に示す各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。
Figure 0005348955
式(A3)又は式(A4)におけるR3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、式(A3)、又は式(A4)における上記各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。R3及びR4における置換基は、式(A2)のR2における置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A3)又は式(A4)におけるs及びtはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR3及びt個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(A2)で表されるモノマーとして、単官能アクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
Figure 0005348955
式(A2)で表されるモノマーとして、単官能メタクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
Figure 0005348955
式(A2)で表されるモノマーとして、単官能アクリルアミドの好ましい具体例を以下に示す。
Figure 0005348955
(カチオン重合性化合物)
本発明に用いることができるカチオン重合性化合物としては、後述するカチオン重合開始剤から発生するカチオン重合開始種により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが好ましく挙げられる。また、カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂が知られており、最近では400nm以上の可視光波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も、例えば特開平6−43633号、特開平8−324137号の各公報等に公開されている。
(D)重合開始剤
本発明のインク組成物は、(D)重合開始剤を含有する。
本発明で用いることができる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができる重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
本発明に用いることのできる重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
本発明で用いることができる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
(ラジカル重合開始剤)
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
(a)芳香族ケトン類、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J. P. FOUASSIER J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、及び、(e)チオ化合物より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルフェニルスルフィド等が例示できる。また、チオキサントン化合物としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が例示できる。
また、(a)芳香族ケトンとしては、α−ヒドロキシケトンが好ましく、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
これらの中でも、(a)芳香族ケトンとしては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物が特に好ましい。なお、本発明において、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物とは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが任意の置換基で置換された化合物を意味するものである。置換基としては、ラジカル重合開始剤としての能力を発揮しうる範囲で任意に選択することができ、具体的にはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)が例示できる。
また、(b)アシルホスフィン化合物としては、アシルホスフィンオキサイド化合物が好ましい。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、化合物の構造中に式(7)又は式(8)の構造式を有するものが例示できる。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
特に、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、式(9)又は式(10)の化学構造を有するものが特に好ましい。
Figure 0005348955
(式中、R6、R7、R8はメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
Figure 0005348955
(式中、R9、R10、R11はメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイド化合物及びビスアシルホスフィンオキサイド化合物等を使用することができ、モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、公知のモノアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することができる。例えば特公昭60−8047号公報、特公昭63−40799号公報に記載のモノアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、イソブチリルメチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、o−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、p−t−ブチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリルジフェニルホスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、o−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−t−ブチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、3−ピリジルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルジフェニルホスフィンオキサイド、p−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド、4−(t−ブチル)ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイルビスジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチルシクロヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル及びピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル等が挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては公知のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が使用できる。例えば特開平3−101686号公報、特開平5−345790号公報、特開平6−298818号公報に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−工トキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、本発明において、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819:チバスペシャルティーケミカルズ社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur TPO:チバスペシャルティーケミカルズ社製、Lucirin TPO:BASF社製)などが好ましい。
(c)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の15、16及び17族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び同422570号の各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び同2833827号の各明細書に記載されるジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び特公昭46−42363号の各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、及び同52−14279号の各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
(d)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系の化合物が好ましい。
(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(g)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(h)ボレート化合物の例としては、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号の各明細書に記載されている化合物が挙げられる。
(i)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、及び特公昭46−42363号の各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(j)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号の各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル]チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイルアミノ)フェニル]チタン等を挙げることができる。
(k)活性エステル化合物の例としては、欧州特許第0290750号、同046083号、同156153号、同271851号及び同0388343号の各明細書、米国特許3901710号及び同4181531号の各明細書、特開昭60−198538号及び特開昭53−133022号の各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許第0199672号、同84515号、同199672号、同044115号及び同0101122号の各明細書、米国特許第4618564号、同4371605号及び同4431774号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号及び特開平4−365048号の各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号及び特開昭59−174831号の各公報に記載される化合物等が挙げられる。
(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan,42,2924(1969)記載の化合物、英国特許第1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許第3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem.,29,1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、及び、ドイツ特許第3021599号に記載の化合物群等を挙げることができる。
(カチオン重合開始剤)
本発明においてカチオン重合性化合物を用いる場合、カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。本発明に用いることができるカチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレーン錯体を挙げることができる。
本発明のインク組成物における(D)重合開始剤の含有量は、重合性化合物の総含有量に対して、0.01〜35重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましく、1.0〜15重量%であることがさらに好ましい。0.01重量%以上であると、組成物を十分硬化させることができ、35重量%以下であると、硬化度が均一な硬化膜を得ることができる。
(E)分散剤
本発明のインク組成物は、(E)分散剤を含有することが好ましく、着色剤として顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、(E)分散剤を含有することが特に好ましい。
本発明に用いることができる分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(BYKケミー社製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブズ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース(Solsperse)3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,22000,24000,26000,28000,32000,36000,39000,41000,71000などの各種ソルスパース分散剤(アビシア社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、楠本化成(株)製「ディスパロン KS−860,873SN,874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、それぞれ0.05〜15重量%であることが好ましい。
本発明において、着色剤(好ましくは顔料)に対する分散剤の重量比は、インク組成物中における着色剤の重量をAと、インク組成物中における分散剤の重量Eとした場合、その重量比(E/A)が、0.01≦E/A≦5であることが好ましく、0.05≦E/A≦2.5であることがより好ましく、0.1≦E/A≦1であることがさらに好ましい。上記範囲であると、経時保存後の顔料の凝集・沈降、インク組成物の粘度上昇が生じず、インク組成物が経時保存安定性に優れ、また、インク組成物の粘度が低粘度であり、インク組成物が吐出安定性に優れる。
(F)その他の成分
本発明のインク組成物には、必要に応じて、前記成分以外の他の成分を添加することができる。
その他の成分としては、例えば、強増感剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
<強増感剤>
本発明のインク組成物は、強増感剤(「共増感剤」、又は、「強色増感剤」という場合もある。)を含有することも好ましい。本発明において強増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、又は、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な強増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著,Journal of Polymer Society,第10巻,3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられる。
具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
強増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられる。
具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−54735号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物中における強増感剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
界面活性剤としては、ポリジアルキルシロキサン類であることが好ましく、ポリエトキシ変性ポリジメチルシロキサンであることがより好ましい。
インク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、それぞれ0.0001〜1重量%であることが好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
<酸化防止剤>
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<褪色防止剤>
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<導電性塩類>
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
<溶剤>
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
<高分子化合物>
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
<塩基性化合物>
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
〔インク物性〕
本発明においては、吐出性を考慮し、インク組成物の25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましく、5〜40mPa・sであることがより好ましく、7〜30mPa・sであることがさらに好ましく。また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。さらにインク組成物の液滴着弾時におけるインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の25℃における表面張力は、20〜35mN/mであることが好ましく、23〜33mN/mであることがより好ましい。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点では、35mN/m以下が好ましい。
(2)インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として好適に使用される。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a1)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインク組成物を使用して得られた印刷物であり、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法における(a1)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置が用いることができる。
〔インクジェット記録装置〕
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、本発明のインク組成物のように放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いて、本発明のインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能にラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物の、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、LED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源はUV−LEDであり、特に好ましくは350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、このような活性放射線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法には、本発明のインクセットを好適に使用することができる。吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の低い着色インク組成物から被記録媒体に付与することが好ましく、本発明のインク組成物及びイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、本発明のインク組成物→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→本発明のインク組成物→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。さらに、本発明はこれに限定されず、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトブラックの本発明のインク組成物とシアン、マゼンタ、グレー、ブラック、ホワイト、イエローの濃色インク組成物の計8色が少なくとも含まれる本発明のインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→ライトブラック→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。
本発明において、被記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の被記録媒体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。また、本発明における被記録媒体として、非吸収性被記録媒体が好適に使用することができる。
(インクセット)
本発明のインクセットは、本発明のインク組成物を少なくとも1つ含み、本発明のインク組成物又は本発明以外のインク組成物とを組み合わせた2種以上のインク組成物を有するインクセットであれば、特に制限はないが、ライトマゼンタ、ライトシアン、及び、ライトブラック(グレー)よりなる群から選択された色の本発明のインク組成物を少なくとも1つ含むことが好ましく、ライトマゼンタ、及び、ライトシアンよりなる群から選択された色の本発明のインク組成物を少なくとも1つ含むことがより好ましく、ライトマゼンタ色及びライトシアン色の本発明のインク組成物を含むことがさらに好ましい。
また、本発明のインクセットは、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインク組成物を使用してフルカラー画像を得るためには、本発明のインクセットとして、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックよりなる4色の濃色インク組成物と本発明のインク組成物を少なくとも1つ組み合わせたインクセットであることが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色の濃色インク組成物と本発明のインク組成物を少なくとも1つ組み合わせたインクセットであることがより好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色の濃色インク組成物とライトシアン、ライトマゼンタ、ライトブラックよりなる3色の本発明のインク組成物を組み合わせたインクセットであることがさらに好ましい。
なお、本発明における「濃色インク組成物」とは、着色剤の含有量がインク組成物全体の2重量%を超えているインク組成物を意味する。前記着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤を用いることができ、顔料や油溶性染料が例示できる。
また、本発明のインクセットには、前記式(I)で表される化合物を含有しないインク組成物を含んでいてもよいことは言うまでもない。
本発明のインクセットが、少なくとも1つの濃色インク組成物、及び、本発明のインク組成物を含んでおり、濃色インク組成物と本発明のインク組成物とが同系色の着色剤を用いている場合、濃色インク組成物と本発明のインク組成物との着色剤濃度の比が、濃色インク組成物:淡色インク組成物=15:1〜4:1であることが好ましく、12:1〜4:1であることがより好ましく、10:1〜4.5:1であることがさらに好ましい。上記範囲であると、粒状感の少ない、鮮やかなフルカラー画像が得られる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
本発明で使用したインク組成物(ラジカル重合性インク組成物)の素材は下記に示す通りである。
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−335 D(マゼンタ顔料、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
・N−ビニルカプロラクタム(NVC、BASF社製)
・SR9003(プロピレングリコール変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、サートマー社製)
・Solsperse36000(Noveon社製分散剤)
・DisperBYK−168(BYK168、BYK Chemie社製高分子分散剤、固形分30%)
・NKエステルAMP−10G(NK AMP−10G、PEA(フェノキシエチルアクリレート)、新中村化学工業(株)製)
・Rapi−Cure DVE−3(DVE−3、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ISP Europe社製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、Chem First社製)
・BYK307(ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、BYK Chemie社製)
・IRGACURE 819(重合開始剤、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
・IRGACURE 184(重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
・Darocur TPO(重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ル−フォスフィンオキサイド、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
・ベンゾフェノン(重合開始剤、和光純薬工業(株)製)
・式(I)で表される化合物(例示化合物(I-4)、(I-14)、(I-17)、(I-71)、(I-116)、(I-129))
Figure 0005348955
・FIRSTCURE ITX(増感剤、Chem First社製、比較例)
Figure 0005348955
(シアンミルベースAの調製)
IRGALITE BLUE GLVOを300重量部と、NK AMP−10Gを400重量部と、BYK168を300重量部とを撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。なお、シアンミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
(マゼンタミルベースAの調製)
CINQUASIA MAGENTA RT−335 Dを300重量部と、NK AMP−10Gを400重量部と、BYK168を300重量部とを撹拌混合し、マゼンタミルベースAを得た。なお、マゼンタミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
(イエローミルベースAの調製)
NOVOPERM YELLOW H2Gを300重量部と、NK AMP−10Gを400重量部と、BYK168を300重量部とを撹拌混合し、イエローミルベースAを得た。なお、イエローミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
(ブラックミルベースAの調製)
SPECIAL BLACK 250を300重量部と、NK AMP−10Gを400重量部と、BYK168を300重量部とを撹拌混合し、ブラックミルベースAを得た。なお、ブラックミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行った。
(ホワイトミルベースAの調製)
タイペークCR60−2を500重量部と、NK AMP−10Gを450重量部と、Solsperse36000を50重量部とを撹拌混合し、ホワイトミルベースAを得た。なお、ホワイトミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで3時間分散を行った。
(インク組成物の作製)
<実施例1〜4>
各素材を表1〜4に示す割合で撹拌機により混合することで、各色のインク組成物を作製し、インクセット1〜4を得た。なお、表中の数値は重量部を示し、Cはシアンを、Mはマゼンタを、Yはイエローを、Kはブラックを、Wはホワイトを表す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
<比較例1〜4>
各素材を表5〜8に示す割合で撹拌機により混合することで、各色のインク組成物を作製し、インクセット5〜8を得た。なお、表中の数値は重量部を示す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
<比較例5〜8>
各素材を表9〜12に示す割合で撹拌機により混合することで、各色のインク組成物を作製し、インクセット9〜12を得た。なお、表中の数値は重量部を示す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
《インクジェット画像記録方法》
インクセット1〜12を用いて、下記インクジェット記録方法により、平均膜厚が12μmのカラー印刷画像1〜12を作製した。
インクジェット記録方法としては、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度1,630mW/cm2、に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を1,000mJ/cm2となるようにした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサコーポレーション社製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡績(株)製)を用いた。
(硬化感度の測定方法)
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が12μmの各色ベタ画像の描画をそれぞれ行い、紫外線照射後の画像面において、触診により、画像のべとつきの程度を評価した。
また、硬化感度は以下の基準で評価した。
3: 画像にべとつきなし。
2: 画像がややべとついている。
1: 未硬化のインクが手に転写するほど固まっていない。
(ライト色画像部における色差の測定方法)
色差ΔEは、ライト色画像部の色度(a*1、b*1)及び明度(L1)、並びに、比較例の増感剤が無いライト色画像部の色度(a*2、b*2)及び明度(L2)をグレタグ社製SPM100−IIにて測定し、下記式によりΔEを計算して求めた。
ΔE={(a*1−a*22+(b*1−b*22+(L1−L221/2
ΔEが小さい方が、色変化が少ないため好ましい。ΔEが1.0以下であると、淡色における色再現性に特に優れる。
インクセット1〜12の評価結果を、表13〜15に示す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
(インク組成物の作製)
<実施例5〜8>
各素材を表16〜19に示す割合で撹拌機により混合することで、各色のインク組成物を作製し、インクセット13〜16を得た。なお、表中の数値は重量部を示す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
<比較例9〜12>
各素材を表20〜23に示す割合で撹拌機により混合することで、各色のインク組成物を作製し、インクセット20〜23を得た。なお、表中の数値は重量部を示す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
<比較例13〜16>
各素材を表24〜27に示す割合で撹拌機により混合することで、各色のインク組成物を作製し、インクセット21〜24を得た。なお、表中の数値は重量部を示す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
《インクジェット画像記録方法》
インクセット13〜24を用いて、前記インクジェット記録方法により、平均膜厚が12μmのカラー印刷画像13〜24を作製し、前記と同様に、硬化感度の評価、及び、ライト色画像部における色差を評価した。
評価結果を表28〜30に示す。
Figure 0005348955
Figure 0005348955
Figure 0005348955
<実施例13〜16>
例示化合物(I-14)を例示化合物(I-17)に代えた以外は、実施例1〜4と同様に、各色のインク組成物を作製し、インクセット25〜28をそれぞれ得た。
インクセット25〜28を用いて、前記インクジェット記録方法により、平均膜厚が12μmのカラー印刷画像25〜28を作製した。
インクセット9〜12から同様に得られたカラー印刷画像9〜12を基準として前記と同様に、インクセット25〜28の硬化感度の評価、及び、ライト色画像部における色差を評価したところ、それぞれ実施例5〜8と同様の結果であった。
<実施例17〜20>
例示化合物(I-14)を例示化合物(I-129)に代えた以外は、実施例1〜4と同様に、各色のインク組成物を作製し、インクセット29〜32をそれぞれ得た。
インクセット29〜32を用いて、前記インクジェット記録方法により、平均膜厚が12μmのカラー印刷画像29〜32を作製した。
インクセット9〜12から同様に得られたカラー印刷画像9〜12を基準として前記と同様に、インクセット29〜32の硬化感度の評価、及び、ライト色画像部における色差を評価したところ、それぞれ実施例5〜8と同様の結果であった。
<実施例21〜24>
例示化合物(I-14)を例示化合物(I-71)に代えた以外は、実施例1〜4と同様に、各色のインク組成物を作製し、インクセット33〜36をそれぞれお得た。
インクセット33〜36を用いて、前記インクジェット記録方法により、平均膜厚が12μmのカラー印刷画像33〜36を作製した。
インクセット9〜12から同様に得られたカラー印刷画像9〜12を基準として前記と同様に、インクセット33〜36の硬化感度の評価、及び、ライト色画像部における色差を評価したところ、それぞれ実施例5〜8と同様の結果であった。
<実施例25〜28>
例示化合物(I-14)を例示化合物(I-116)に代えた以外は、実施例1〜4と同様に、各色のインク組成物を作製し、インクセット37〜40をそれぞれ得た。
インクセット37〜40を用いて、前記インクジェット記録方法により、平均膜厚が12μmのカラー印刷画像37〜40を作製した。
インクセット9〜12から同様に得られたカラー印刷画像9〜12を基準として前記と同様に、インクセット37〜40の硬化感度の評価、及び、ライト色画像部における色差を評価したところ、それぞれ実施例5〜8と同様の結果であった。

Claims (12)

  1. (A)着色剤、
    (B)式(I)で表される化合物、
    (C)重合性化合物、及び、
    (D)重合開始剤を含有し、
    前記(D)重合開始剤が、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキサイド類よりなる群から選択される重合開始剤であり、
    前記(A)着色剤の含有量が、インク組成物全体の2重量%以下であることを特徴とする
    インク組成物。
    Figure 0005348955
    (式(I)中、XはS、又は、NRを表し、nは0又は1を表し、Rは水素原子、アルキル基、又は、アシル基を表し、 1 、R 2 、R 3 、及び、R 4 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、R 5 、R 6 、R 7 、及び、R 8 はそれぞれ独立に、水素原子、又は、アルキル基である。)
  2. (E)分散剤をさらに含有する請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記(C)重合性化合物が、エチレン性不飽和化合物である請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記(C)重合性化合物が、単官能重合性化合物及び二官能重合性化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記R 1 、R 2 、R 3 、及び、R 4 はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、又は、塩素原子であり、前記R 5 、R 6 、R 7 、及び、R 8 はそれぞれ独立に、水素原子、又は、メチル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記XがSであり、前記R 2 が塩素原子である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 前記(B)式(I)で表される化合物が、下記化合物(I-14)である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
    Figure 0005348955
    (化合物(I-14)中、Meはメチル基を表す。)
  8. 前記(A)着色剤が、マゼンタ顔料又はシアン顔料である請求項1〜のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. 前記(B)式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物全体に対し、0.05〜30重量%である請求項1〜のいずれか1つに記載のインク組成物。
  10. 少なくとも1つの請求項1〜のいずれか1項に記載のインク組成物を含むインクセット。
  11. (a1)被記録媒体上に、請求項1〜のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
    (b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
  12. 請求項11に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
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