JP5326349B2 - フタリド誘導体及び基礎代謝調整剤 - Google Patents
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Description
この基礎代謝とは、生命維持に必要な最小限の消費エネルギーであり、一般に「快適な温度(20〜25℃)で肉体、精神ともに安静で、空腹(食後12〜16時間)、横臥時覚醒状態の消費エネルギー」と定義されている(非特許文献1を参照)。
この公知技術によれば、例えば200cc当たり1gのDHAを混合した飲料を6週間以上続けて飲用することにより、生体の基礎代謝を好適に増進させることができる(特許文献1の段落[0029]及び[0033]を参照)。
このため従来、より有効的な基礎代謝の調整作用を有する化合物及び即効性のある基礎代謝調整剤が切望されていた。
而して本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする第一の課題は、より有効的な基礎代謝の調整作用を有する新規な化合物を提供することにある。また本発明が解決しようとする第二の課題は、比較的短期間の摂取で、基礎代謝の調整作用を奏する基礎代謝調整剤を提供することにある。
なお従来、血液粘度の低下作用を有するフタリド誘導体の報告(特公平7−98815号公報)や、抗糖尿病作用を有するフタリド誘導体の報告(徳島文理大、國土ら)がある。一方、基礎代謝の調整作用を有するフタリド誘導体及びその具体的構造の報告は皆無である。
第2発明は、第1発明に記載の基礎代謝増進調整剤であって、前記一般式(1)中、R1及びR2が共にメトキシ基である。
本発明のフタリド誘導体は、基礎代謝の増進作用と、褐色脂肪組織の増加作用と、内臓脂肪の蓄積抑制作用を有する。さらに本発明のフタリド誘導体を有効成分として含有する基礎代謝増進調整剤は、より短期間の摂取で、基礎代謝の増進作用と、褐色脂肪組織の増加作用と、内臓脂肪の蓄積抑制作用を奏する。
また第2発明によれば、比較的短期間の摂取で、好適な基礎代謝の調整作用を奏する実用的な基礎代謝調整剤を提供することができる。
そして第3発明によれば、基礎代謝の調整作用と、褐色脂肪組織の増加作用と、内臓脂肪の蓄積抑制作用を有する新規なフタリド誘導体又はより実用的な基礎代謝調整剤を提供することができる。
本実施形態のフタリド誘導体は、基礎代謝の調整(維持又は増進)作用を有する上記一般式(1)で表される新規なフタリド誘導体(医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)である。
そして一般式(1)中、R1及びR2が、それぞれ独立に、比較的低分子である炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基又はイソプロポキシ基)である。これらR1及びR2は、同種のアルコキシ基であってもよく、また異なるアルコキシ基であってもよいが、好ましくはR1及びR2の少なくとも一の置換基がメトキシ基である。
で表されるフタリド誘導体(6−hydroxy−5,7−dimethoxyphthalide、IUPAC名:5,7−dimethoxy−6−hydroxy−1(3H)−isobenzofuranone)であることが好ましい。
上述の化学式(2)で表わされるフタリド誘導体は、基礎代謝の調整作用と、褐色脂肪組織の増加作用と、内臓脂肪の蓄積抑制作用を有する。
上述の一般式(1)のフタリド誘導体は、基礎代謝調整剤(基礎代謝維持剤、基礎代謝増進剤)及び抗肥満剤などの各種用途を有するものであり、とりわけ基礎代謝調整剤として好適に使用することができる。すなわち一般式(1)のフタリド誘導体を有効成分として含有する基礎代謝調整剤は、比較的短期間(例えば6週間未満)の摂取であっても好適な基礎代謝の調整作用を奏する。
そして褐色脂肪組織はミトコンドリアが豊富であり、ミトコンドリアの熱産生を通じて消費エネルギー量を増大させることが報告されている。このため化学式(2)のフタリド誘導体は、褐色脂肪組織の消費エネルギー量を増大させることで、より効率よく基礎代謝を維持又は増進することができる。
飲食物は、食用又は飲用に供されるものであればよくその種類は特に限定しない。例えば飲食物として、獣鳥肉類,乳類,卵類などの畜産食品、穀類,豆類,蔬菜類,果実類などの農産食品、魚介類,鯨類,海藻類などの水産食品、キノコ類,山菜類などの林産食品、調味料、香辛料、油脂類、菓子類、醸造食品、水,清涼飲料,酒類などの飲料類又は調味液類を例示することができる。なお上述の飲食物は、その製造段階の適当な工程において、本実施形態のフタリド誘導体(有効成分)を所定量添加する以外は常法に準じて調製することができる。
上述の脂肪成分の種類は特に限定しないが、例えば、ラード,牛脂,魚油,ミルク脂肪,バター,チーズ,ショートニング,マーガリン,細菌類油,菌類油などの動物性脂肪(脂質)、植物油、微小藻類油などの植物性脂肪(脂質)を例示することができる。
なお脂肪成分は、飲食物全重量に対して3重量%〜50重量%の範囲で含有されておればよく、好ましくは5%重量%〜40重量%である。
そして本実施形態のフタリド誘導体を飲食物全重量に対して0.1重量%〜10重量%の範囲で添加することで、実用的な基礎代謝の調整作用を奏することができる。特に化学式(2)のフタリド誘導体は、飲食物全重量に対して0.1〜1.0重量%の範囲(より好ましくは0.1重量%〜0.3重量%の範囲)で添加されることで、実用的な基礎代謝の調整作用を奏する([表1]を参照)。
特に化学式(2)のフタリド誘導体(基礎代謝調整剤)は、2週間程度の比較的短期間の食摂又は投与で、好適な基礎代謝の調整作用と、褐色脂肪組織の増加作用と、内臓脂肪の蓄積抑制作用を奏する([表1]を参照)。
そして本実施形態のフタリド誘導体は、基礎代謝調整剤としての医薬又は医薬部外品として使用することができる。
例えば医薬として使用する場合、本実施形態のフタリド誘導体の配合量は、医薬の種類、製品形態などに応じて適宜選択される。典型的には、一回の摂取(投与)で10mg〜1000mg摂取(投与)すればよく、好ましくは一回の摂取で50mg〜200mg摂取(投与)する。
また本実施形態の医薬の製剤形態は、その使用目的に応じて適宜決定されるものであり、例えば、錠剤,顆粒剤,粉末剤,丸剤又はカプセル錠剤などの固剤や、液剤,懸濁剤又は乳剤などの液剤を例示することができる。なお製剤化に際しては、医薬の使用形態や製剤形態に応じて、充填剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、表面活性剤、不湿剤、賦形剤及び希釈剤を担体として使用することができる。
なお従来技術の抗肥満等に関する薬剤として、例えば天然由来のβグルカンを含有する錠剤(特開2007−332336号公報)が公知である。そしてこのβグルカンは、1,3−β−グルカンと1,6−β−グルカンに大別されるが、いずれも単糖が重合した高分子(多糖類)であることから互いを区別することは困難である。このため、総β−グルカン量(1,3−β−グルカンと1,6−β−グルカンの総量)は酵素法などである程度測定することは出来るものの、実質的な有効成分と考えられている1,3−β−グルカン量のみを正確に測定できる技術は未だ開発されていない。
以下、本実施の形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されるものではない。
(1)実施例1のフタリド誘導体の製造方法(図1を参照)
実施例1のフタリド誘導体として、上記化学式2で表わされるフタリド誘導体(Compound2:6−hydroxy−5,7−dimethoxyphthalide)を、下記(a)〜(d)の手順により製造した。出発物質として、シリンガアルデヒド(Syringaldehyde、WAKO社製)を用いた。
窒素雰囲気下、50.00g(274.47mmol)の出発物質を2L3口フラスコに秤量し、メタノール1Lに溶解した。0℃で水素化ホウ素ナトリウム31.15g(823.41mmol)を投入し、室温まで自然昇温させて終夜で撹拌した。反応は100ml2M−HClで停止させ、水素の発生がなくなるまで撹拌した。その後、イオン交換水を2L加えスラリーを吸引ろ過で濾取、洗浄、乾燥を経て、中間体1を44.55g得た(収率88%)。
窒素雰囲気下、44.55g(241.87mmol)の中間体1を2L3口フラスコに秤量し、ピリジン200gに溶解した。0℃に冷却し、滴下ロートから無水酢酸61.73g(604.67mmol)を滴下して、自然昇温しながら終夜で撹拌した。反応溶液は、0℃で1L2M−HClに投入し2時間撹拌した。得られた固体を吸引ろ過して濾取したのち、洗浄、乾燥して中間体2を58.02g得た(収率81.0%)。
窒素雰囲気下、1L3口フラスコにジメチルホルムアミド(DMF)49.66gを秤量し、−20℃まで冷却した。滴下ロートからゆっくりと塩化ホスホリル(POCl3)63.81g(416.16mmol)を反応温度が5℃を決して超えないように加えた。滴下終了後、250g(254.81mmol)の中間体2を投入し室温まで自然昇温させた。スラリー状のまま室温で1時間撹拌しつつ、80℃まで加熱して終夜撹拌した。DMF20.0g、塩化ホスホリル(POCl3)23.45gより調製した溶液を反応系内に投入した。
5L3角フラスコ内で調製した飽和NaOAc水溶液500mlを−10℃に冷却して、30℃から40℃の反応溶液をゆっくりと投入した。2時間激しく撹拌した後、吸引ろ過で固体を濾取したのち2Lのイオン交換水で洗浄した。得られた固体を40℃の真空乾燥機で3日間乾燥し、淡緑色の中間体3を76.13g得た(収率80.8%)。
窒素雰囲気下、76.13g(256.96mmol)の中間体3を2L3口フラスコに秤量し、1,4−ジオキサン500mlに溶解した。70℃に加熱して滴下ロートからKMnO452.88g(334.05mmol)の水溶液1.5Lを加え終夜で撹拌した。反応温度を下げることなく反応溶液中に2M−NaOH水溶液を加えアルカリ性にした後、50℃以上で吸引ろ過をし、80℃のイオン交換水で洗浄、70℃のジオキサンで洗浄した。ろ液は再び加熱して、80℃に保ち、濃硫酸を加えて酸性にして3時間撹拌した。得られた赤褐色固体を吸引ろ過で濾取して、イオン交換水で洗浄した。
ケーキ状の固体をメタノールに溶解し、ゆっくりイオン交換水を加えて細かく分散したスラリー溶液を調製し、吸引ろ過で濾取したのち、洗浄、乾燥を経て実施例1のフタリド誘導体(Compound2)を30.25g得た(収率56.0%)。
参考例1として、下記化学式3で表わされるフタリド誘導体(Compound1:IUPAC名:4−hydroxy−6−methoxy−1(3H)−isobenzofuranone)を、下記(a)〜(d)の手順により製造した。
出発物質として、Methyl 3,5−Dimethoxybenzoate(WAKO社製又はALD社製)を用いた。
窒素雰囲気下、1L3口フラスコにDMF37.25g(509.68mmol)を秤量したのち−20℃まで冷却した。滴下ロートからゆっくりと塩化ホスホリル(POCl3)46.88g(305.81mmol)を反応温度が5℃を決して超えないように加えた。
そして滴下終了後、出発物質50g(254.81mmol)を投入し室温まで自然昇温させた。スラリー状のまま室温で1時間撹拌しつつ、80℃まで加熱して終夜撹拌した。DMF20.0g、POCl323.45gより調製した溶液を反応系内に投入した。5L3角フラスコ内で調製した飽和NaOAc水溶液500mlを−10℃に冷却して、30℃から40℃の反応溶液をゆっくりと投入した。2時間激しく撹拌した後、吸引ろ過で固体を濾取したのち2Lのイオン交換水で洗浄した。得られた固体を40℃の真空乾燥機で3日間乾燥し、淡緑色を呈する中間体1を50.42g得た(収率87.9%)。
窒素雰囲気下、2L3口フラスコに、50.42g(224.88mmol)の中間体1を秤量しジクロロメタン500mlに溶解した。活性の高い塩化アルミニウム(AlCl3)89.96g(674.64mmol)を空気に触れさせることなく反応系内に−5℃で投入した。室温まで自然昇温させ、24時間後に出発物質がなくなったので反応溶液を氷水中に投入し反応を終了させた。2時間撹拌して、得られた固体を吸引ろ過で濾取したのち、40℃の真空乾燥機で2日間乾燥した。ジクロロメタン:酢酸エチル:ヘキサンの混合溶媒で再結晶を行ったところ、クリーム色の固体を3.76g(収率8%)で得た。ろ液の再精製を、ジクロロメタン:メタノール:酢酸エチル:ヘキサン=100:5:5:10〜100:0:5:0の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで行った。目的物のフラクションを集め、黄土色固体状の中間体2を13.64g得た(収率28.9%)。
窒素雰囲気下、21.95g(104.43mmol)の中間体2を、2L3口フラスコに秤量し、ピリジン100mlに溶解した。0℃に冷却して、12.61g(156.65mmol)のメトキシメチルクロライド(MOM−Cl)をゆっくり滴下した。室温まで自然昇温させて終夜で撹拌した。ガスクロマトグラフィー(GC)で反応チェックを行い出発物質が残っていない事を確認し、リン酸バッファー(pH7.3)500ml中に投入した。2時間撹拌して、得られたスラリーを吸引ろ過し、メタノールに溶解した後、5%硫酸銅水溶液200ml中にゆっくり投入した。2時間撹拌後、スラリーを吸引ろ過し、2Lのイオン交換水で洗浄し、30℃の真空乾燥機で2日間乾燥し中間体3を26.78gquantで得た。
窒素雰囲気下、26.55g(104.43mmol)の中間体3を2L3口フラスコに秤量し、メタノール200mlに溶解した。0℃に冷却して水素化ホウ素ナトリウム11.85g(313.29mmol)を投入した。室温まで自然昇温して終夜で撹拌した。反応終了後、50mlの6M−HClを加え80℃で3時間加熱した。室温まで冷却してイオン交換水を加えスラリー化したのち、吸引ろ過して参考例1のフタリド誘導体(Compound1)を15.05g得た(収率80.0%)。
(実施例1)
市販のMS粉末(含5%ラード、オリエンタル酵母株式会社)を基礎飼料として用いた。そして基礎飼料中に、実施例1のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例1に係るラットの飼料とした。
そして4週令SD系雄性ラット(4匹)を1週間予備飼育したのち、実施例1の飼料を付与しつつ、23±2℃条件下で2週間飼育した。2週間の飼育試験終了後、ラットの体重及び呼吸商(RQ=VCO2/VO2)を測定した。
そして各ラットを断頭したのち、その精巣と腎臓周辺の白色脂肪及び背中の褐色脂肪を採取した。血液は、後述するTotalRNA抽出及び成分分析用に分けて採取した。
本試験では、体表面積あたりの酸素消費量(基礎代謝率)を算出するにあたり、室町機械株式会社(東京)製の小動物代謝測定計測システム(MK−202R/02、代謝計測ソフトMMS−C/02)を用いた。そして各ラットの酸素消費量(ml/min)を計測したのち、ラット体重の0.75乗で割ることにより基礎代謝率を算出した(Kouyama R et al., Endocrinology. 2005 Aug;146(8):3481−9.)。
また「褐色脂肪組織の重量割合(BAT/BW)」を、背中周囲の褐色脂肪組織を奇麗に剥離し、この褐色脂肪組織重量を測定後、ラット体重で割ることで算出した。
基礎飼料中に参考例1のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して、参考例1に係るラットの飼料とした。そして実施例1と同一の飼育条件のもと、参考例1に係るラット(4週令SD系雄性ラット4匹)を2週間飼育したのち、体重、体表面積あたりの酸素消費量(基礎代謝率)を測定した。
上記基礎飼料を比較例1に係るラットの飼料とした。そして実施例1と同一の飼育条件のもと、比較例1に係るラット(4週令SD系雄性ラット4匹)を2週間飼育したのち、体重、体表面積あたりの酸素消費量(基礎代謝率)、呼吸商、WATr/BW及びBAT/BWを測定した。
(a)RNAサンプルの調整
常法に従って、ロッシュのTriPureIsolation Kitを用いて、白色脂肪組織からTotal RNAを抽出した。Total RNAは260/280比において、2以上のものを使用した。
ラット(Whole RatGenome) 4×44K DNAチップ(一枚のスライドに44,000遺伝子セットが4つのっているもの、アジレント社)を使用し、LowRNA Linear Amp. Kitを用いて、Total RNAへのCyanine−3(Cy3)及びCyanine−5(Cy5)のラベリングを行った。また一部は、TotalRNAの増幅を行った後に、本キット等を用いて、Total RNAへのラベリングを行った。ラベリングの精製等を行い、単位ヌクレオチドあたりの色素の取込み率を一定にした。その後、常法に従ってGEHybridization Kitを用いて、60℃の条件下で24時間、Cy3とCy5による競合ハイブリダイゼーションを行った。常に、Cy3は対照群、Cy5は化合物投与群とした。
そして4×44Kアレイスライドは、ハイブリダイゼーション後、不要な色素を洗浄し、乾燥を行った。その後、マイクロアレイスキャナ(Agilent G2565BA)を使用し、遺伝子発現のデータの取込みを行った。データの取込み後、Feature Extraction ver.9.1(Agilent)を使用し、Cy5(化合物投与群)/Cy3(対象群)遺伝子発現比のLogスケールでの数値化を行った。数値化したものをエクセルにて、発現の増減を分類した。
各種試験の結果を下記の表1に示す。
実施例1のラットにおける体表面積当たりの酸素消費量(基礎代謝率)は、比較例1のラットと比較して大幅に向上した(表1及び図2を参照)。このことから実施例1のフタリド誘導体によれば、摂取開始後約2週間(短期間の摂取)で、好適な基礎代謝の増進作用を奏することがわかった。また実施例1のフタリド誘導体によれば、基礎飼料重量に対して0.1重量%(比較的少量の摂取)で好適な基礎代謝の増進作用を奏することがわかった。
そして参考例1のラットには、基礎代謝率の向上が見られなかったことから、この基礎代謝の増進作用が、実施例1のフタリド誘導体に特有の効果であることがわかった。
実施例1のラットの白色脂肪組織量は、比較例1のラットと比較して有意に低いものであった(表1及び図3を参照)。このことから実施例1のフタリド誘導体(基礎代謝調整剤)によれば、短期間且つ少量の摂取で、好適な内臓脂肪の蓄積抑制作用を奏することがわかった。
実施例1のラットの褐色脂肪組織量は、比較例1のラットと比較して増加する傾向にあった(表1及び図4を参照)。このことから実施例1のフタリド誘導体が、褐色脂肪組織量の増加により消費エネルギー量を増大させることによって、より好適な基礎代謝の増進作用を奏していることが容易に推測される。
実施例1のラットの呼吸商は、比較例1のラットと比較して増加する傾向にあった(表1及び図5を参照)。このことから実施例1のフタリド誘導体が、脂質代謝よりも優先的に糖の代謝を高めることにより、体外へのエネルギー放散を効率的に促進することが示唆された。
実施例1のフタリド誘導体により、白色脂肪組織において、コントロールに対して2倍以上の遺伝子発現が見られたのはインスリンシグナル関連遺伝子(IRS1)であった。また実施例1のフタリド誘導体によると、ヘキソキナーゼではなく、グルコキナーゼ(Glucokinase)の発現を誘導することがわかった。
このことから実施例1のフタリド誘導体が、インスリンシグナル経路を活性化し、血液中のグルコースを組織内に取込み、解糖系を活性化させることにより白色脂肪組織内での糖利用を促進させることが示唆された。そしてこの示唆は、上記呼吸商(RQ)の測定結果からも支持される(表1及び図5を参照)。
(a)本試験例では、ラットに対して食事制限をすることなく食摂試験を行ったところ、実施例1のフタリド誘導体にて好適な基礎代謝の増進が見られた。このことから、実施例1のフタリド誘導体を用いつつ被験者に対して食事制限をする場合には、その基礎代謝の低下が極力回避されて、基礎代謝が好適に維持されることが容易に推測される。
(c)また本実施例の基礎代謝調整剤には、ビタミン類、ミネラル類、ホルモン類、酸化防止剤、生理活性物質、甘み料、酸味料、香料、塩分又は糖類を、必要に応じて添加することができる。
(d)また本実施形態のフタリド誘導体(基礎代謝調整剤)は、牛、豚及び鶏などの家畜の飼料に混合して使用することができる。
(e)また本実施形態では、化学的に合成したフタリド誘導体を使用したが、定法に従い植物から単離したフタリド誘導体を使用してもよい。
Claims (2)
- 下記一般式(1):
- 前記一般式(1)中、R1及びR2が共にメトキシ基である請求項1に記載の基礎代謝増進調整剤。
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