JP5326130B2 - 炭化水素用脱硫剤の製造方法 - Google Patents

炭化水素用脱硫剤の製造方法 Download PDF

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本発明は炭化水素、とりわけ燃料電池などに用いられる水素製造のための改質に使用される原燃料の脱硫に用いる脱硫剤の製造方法に関するものである。
燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであって、エネルギーの利用効率が高いという特徴を有しており、民生用、産業用あるいは自動車用などとして、実用化研究が積極的になされている。この燃料電池の水素源としては、メタノール、メタンを主体とする液化天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガスを原料とする合成液体燃料、更にはLPG、ナフサ、灯油などの石油系燃料といった、様々な炭化水素の使用が研究されている。
ところで、このような炭化水素からの水素製造においては、炭化水素と水蒸気や酸素(空気)とから水素を生成する改質反応が利用されており、この改質反応ではニッケルもしくはルテニウムを活性金属とする触媒が使用されている。これら活性金属であるニッケルやルテニウムは硫黄に対する耐性が低いため、原料炭化水素に硫黄分が含有されている場合、あらかじめ脱硫処理を施して改質反応に使用する必要がある。
そこで、定置型燃料電池発電システムにおいては、市販の炭化水素をオンサイトで吸着により脱硫する手法が種々提案されており、炭化水素、とりわけ灯油などの重質炭化水素を、200℃付近の反応条件で、ニッケル−銅系脱硫剤や、ニッケル−亜鉛系脱硫剤を用いて脱硫する方法などが提案されている。(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、従来提案されているニッケル系脱硫剤の中には、比較的短時間で破過(生成油の硫黄濃度が基準値を超える)してしまって、寿命が十分でないものもあり、したがって、その破過に達する時間(破過時間)を延長し、脱硫剤を十分に長寿命化することが、脱硫剤交換頻度の減少や装置の小型化・高効率化の観点から望まれている。
上記従来の状況に鑑み、本発明者らは、ニッケルにモリブデンを組み合わせることで、破過時間を延長し、その性能の向上を図る脱硫剤の開発を検討し、先に、ニッケルを酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、モリブデンを酸化物(MoO)換算で0.5〜25質量%、及び無機酸化物を含有する、Ni−Mo系炭化水素用脱硫剤を提案した(特許文献3参照)。
本発明者らは、更に研究を進めて、この提案したNi−Mo系の炭化水素用脱硫剤の破過時間をより延長し、その性能をより向上し得る、所定の条件下にニッケルを含む酸性溶液とモリブデンを含む塩基性溶液とを混合して共沈物を生成させる、Ni−Mo系炭化水素用脱硫剤の製造方法を開発し、この製造方法も先に提案した(特許文献4参照)。
先に本発明者らが提案したNi−Mo系脱硫剤や、Ni−Mo系脱硫剤の製造方法により得られた脱硫剤は、それぞれ相応に破過時間が延長され、長寿命化された、それぞれ相応に優れた性能のものであるが、より一層の脱硫剤交換頻度の減少や装置の小型化・高効率化の観点から、より一層破過時間の延長された寿命の長い炭化水素用脱硫剤や、その製造方法の提供が望まれている。
特開2004−230317号公報 特開2003−290660号公報 特開2007−254275号公報 特開2009−45536号公報
そこで、本発明は、より一層炭化水素中の硫黄分を効率よくppbレベルの低濃度まで除去し得て、かつ破過時間が延長された寿命の長い炭化水素用脱硫剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、先に本発明者らが提案した所定の条件下にニッケルを含む酸性溶液とモリブデンを含む塩基性溶液とを混合して共沈物を生成させる、Ni−Mo系炭化水素用脱硫剤の製造方法において、ニッケルを含む酸性溶液を、一定のニッケルの原料を用い、一定のpHとなるように調製することによって、上記目的を達成することができて、所望の、脱硫活性に優れており、破過時間が延長された寿命の長い脱硫剤を製造することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の炭化水素用脱硫剤の製造方法を提供する。
(1)ニッケルを含む酸性溶液とモリブデンを含む塩基性溶液とを混合し、反応させて沈殿物を生成させることにより、ニッケルとモリブデンを含む炭化水素用脱硫剤を製造する方法であって、前記ニッケルを含む酸性溶液と前記モリブデンを含む塩基性溶液を混合した後の溶液のpHが6〜8で、温度が50〜90℃であり、前記ニッケルを含む酸性溶液が、硫酸ニッケルをニッケルの原料として用い、pHが3〜4になるように調製されており、前記炭化水素用脱硫剤が、脱硫剤基準で、ニッケルを酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、モリブデンを酸化物(MoO )換算で0.5〜25質量%、及び無機酸化物を含有することを特徴とする炭化水素用脱硫剤の製造方法
本発明によれば、ニッケルを含む酸性溶液とモリブデンを含む塩基性溶液とを混合して共沈物を生成させてNi−Mo系脱硫剤を製造するに当たり、ニッケルを含む酸性溶液として、ニッケルの原料に硫酸ニッケルを用い、かつpHが3〜4となるように調製したニッケルを含む酸性溶液を用いることにより、より一層脱硫活性に優れ、破過時間が長く、寿命の長い脱硫剤を製造することができる。本発明の方法で製造された脱硫剤は炭化水素の脱硫に、とりわけ燃料電池などに用いられる水素製造のための改質に使用される燃料の脱硫に最適である。
〔脱硫剤の製造方法〕
本発明の脱硫剤の製造方法は、ニッケルとモリブデンを含有する脱硫剤を共沈法により製造する方法である。そして、この共沈法による脱硫剤の製造は、ニッケル原料を含む酸性溶液とモリブデン原料を含む塩基性溶液とを混合し、反応させて沈殿物を生成させることにより行われる。
本発明の方法において、ニッケル原料を含む酸性溶液のpHは3〜4であり、3.2〜4が好ましい。この酸性溶液のpHが3〜4の範囲を逸脱すると、得られる脱硫剤の破過時間が低下傾向となる。また、モリブデン原料を含む塩基性溶液のpHは8〜12が好ましく、特に9〜11が好ましい。
また、ニッケル原料を含む酸性溶液のニッケル原料として、硫酸ニッケル並びにその水和物を使用する。ニッケル原料として、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等の硫酸ニッケル以外のニッケル化合物を用いると得られる脱硫剤の破過時間が低下傾向となる。また、モリブデン原料を含む塩基性溶液のモリブデン原料としては、特に限定されないが、例えば、モリブデン酸アンモニウムや、モリブドリン酸などの水溶性モリブデン金属塩並びにその水和物が好適に使用できる。
ニッケル原料を含む酸性溶液、及びモリブデン原料を含む塩基性溶液については再度詳しく後述する。
本発明の方法において、ニッケル原料を含む酸性溶液とモリブデン原料を含む塩基性溶液を混合した後の溶液のpHは6〜8であり、6.5〜7.5が好ましい。当該pHを該特定範囲にすることは所望の脱硫性能の脱硫剤を得る上で重要である。当該混合液のpHが6未満の条件ではニッケルの沈殿が不十分となり、逆にpHが8を超える条件ではモリブデンの沈殿が不十分となる。したがって、この混合液のpHが上記の範囲を逸脱すると、脱硫剤中に含有されるニッケルまたはモリブデンの量が不足したり、排水となるろ液中のニッケルイオンまたはモリブデンイオンの量が増加することになる。この混合液のpHは、塩基性溶液中に無機塩基を含ませて、その量と種類により調整することができ、また、酸性溶液に無機酸を含ませて、その量と種類により調整することもできる。
また、本発明では、上記酸性溶液と塩基性溶液を混合した後の溶液の温度を50〜90℃とし、この温度をこの特定範囲にすることも所望の脱硫性能の脱硫剤を得る上で重要である。そして、この混合液の温度は、好ましくは60〜80℃とすることがより効果的である。50℃以上の溶液温度とすることで、酸性溶液、塩基性溶液を混合させた際のニッケルとモリブデンの共沈反応がより促進される。一方、溶液温度は90℃以上であってもよいが、90℃を超える溶液温度では、溶媒である水が蒸発しやすくなり、溶液中のニッケル、モリブデンの制御がし難くなる場合がある。
上記酸性溶液と塩基性溶液を混合した後は、上記条件下で、一般に0.5〜3時間程度撹拌し、反応を完結させる。そして、生成した沈殿物をろ過、水洗後、次いで成型し、これを50〜150℃程度の温度で乾燥処理する。このようにして得られた乾燥処理物を、好ましくは200〜450℃の範囲の温度において1〜5時間焼成する。
本発明では、上記のようにして脱硫剤が製造される。
以下、本発明の脱硫剤の製造方法に用いる各原料や、その溶液について説明する。
まず、ニッケル原料としては、上記のように硫酸ニッケル並びにその水和物を使用する。これらのニッケル原料は、それぞれ単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ニッケル原料を含む酸性溶液には、溶媒として水を用い、また、無機酸によってそのpHを3〜4に適宜調整しても良い。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸及び硝酸などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、モリブデン原料としては、上記のように、特に限定されないが、例えば、モリブデン酸アンモニウムや、モリブドリン酸などの水溶性モリブデン金属塩並びにその水和物が好適に使用できる。これらのモリブデン原料は、それぞれ単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
モリブデン原料を含む塩基性溶液には、溶媒として水を用い、また、このモリブデン原料を含む塩基性溶液は、一般に無機塩基によりそのpHを適宜調整する。無機塩基としては、例えば、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが好ましく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてよいが、特に炭酸ナトリウムが好適である。
また、後述するように、本発明の製造方法で製造される脱硫剤には、ニッケルとモリブデンの他に、無機酸化物を含有させることができ、その場合には、上記共沈反応に供するモリブデン原料を含む塩基性溶液やニッケル原料を含む酸性溶液に、無機酸化物原料を含有させ、ニッケルとモリブデンと共に沈殿させることが好ましい。
脱硫剤に含有させる無機酸化物の種類は、後述するように特に限定されないが、特に好ましいものとしてはシリカ、アルミナ及びシリカ−アルミナが挙げられる。例えば、アルミナやシリカ−アルミナを含有させる場合には、そのアルミニウム原料としては、例えば、ベーマイト、擬ベーマイト、γアルミナ及びβアルミナなどが挙げられ、これらは粉体状であってもゾルの形態であってもよい。また、例えば、シリカやシリカ−アルミナを含有させる場合には、そのシリカ原料としては、シリカや水ガラス、メタケイ酸ソーダ、珪藻土、メソポーラスシリカ(MCM41)などが挙げられる。
〔製造される脱硫剤〕
本発明の製造方法で製造される脱硫剤は、ニッケル及びモリブデンを必須とし、必要に応じて無機酸化物や他の活性成分を含有するものである。
上記脱硫剤は、ニッケルを、脱硫剤基準、酸化物(NiO)換算で50〜95質量%含有することが好ましく、より好ましくは60〜90質量%、特に好ましくは60〜85質量%である。ニッケル量が50質量%以下では所望の脱硫性能が発現されないため好ましくなく、逆に95質量%を超えてしまっては、その効果が飽和することだけでなく、ニッケル同士の凝集による脱硫性能の低下や、成形性の低下が予想される。
また、上記脱硫剤は、モリブデンを、脱硫剤基準、酸化物(MoO)換算で0.5〜20質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。モリブデン酸化物が0.5質量%以下では、所望の脱硫性能が発現されないため好ましくなく、逆に20質量%を超えてしまっては、その効果が飽和することだけでなく脱硫性能の低下や、成形性の低下が予想される。
また、上記脱硫剤は、表面積を大きくしたり、成形性を高めたり、耐破壊や耐磨耗性を高めるために、無機酸化物を含有していてもよい。このような無機酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ボリア、マグネシア、シリカ−アルミナ、アルミナ−ボリア、マグネシア−シリカ及びゼオライトなどが挙げられる。この内、上記効果の面から好ましいものは、シリカ、アルミナ、及びシリカ−アルミナである。
脱硫剤における無機酸化物含有量については、特に制限はなく、各種条件において適宜選定すればよいが、通常は全脱硫剤に対して0.5〜50質量%の範囲とすることが好ましい。更には0.5〜40質量%、特には0.5〜30質量%とすることがより好ましい。無機酸化物の含有量を0.5質量%以上とすることで効果が得やすい。一方、50質量%を超えて配合した場合には、活性成分の低下による脱硫性能の低下が予想されるため好ましくない。
更に、上記脱硫剤には、他の活性成分を含有していてもよい。例えば、より高活性とするために、ルテニウムを脱硫剤基準、酸化物(RuO)換算で0.1〜12質量%程度含有させてもよい。
脱硫剤の形状については特に規定されず、成型体(押出し円柱、タブレット円柱、球など)、メッシュ、粉末などいずれの状態でもかまわないが、取り扱いの簡便さを考えると、成型体及びメッシュが好ましい。
〔得られた脱硫剤を用いた脱硫反応〕
上記のようにして製造した脱硫剤は、脱硫反応に供す前に、還元処理しておくことが好ましい。これにより、脱硫剤の含有金属が活性化され、硫黄分を吸着しやすい状態となる。還元方法は、水素、CO等による気相還元、ホルムアルデヒド、及びエタノール等を用いた液相還元等の公知の方法を用いることが可能であるが、気相による水素化還元が好ましく、この場合、水素雰囲気で200〜500℃の温度で行うことが好ましく、より好ましくは300〜450℃とする。
なお、この水素還元処理は、実際の脱硫器内(オンサイト)でも、事前の水素還元処理装置(オフサイト)でもかまわないが、使用脱硫器の耐熱性などを考慮するとオフサイト還元が好ましい。更に、オフサイト水素化還元処理においては、還元処理後に脱硫剤の安定性を向上させるために、還元処理後の脱硫剤の表面を酸素や二酸化炭素などにより軽く酸化処理する、安定化処理を施すことが更に好ましい。
本発明で得られた脱硫剤を用いて炭化水素の脱硫を行うには、通常、吸着槽に脱硫剤を充填し、吸着槽で原料炭化水素を脱硫剤と接触することにより脱硫が行われる。炭化水素と脱硫剤を接触させる方法としては、一般的には、固定床式脱硫剤床を吸着槽内に形成し、原料を吸着槽の下部に導入し、固定床の下から上に通過させ、吸着槽の上部から生成油を流出させることが好ましい。
脱硫反応の条件としては、特に規定されないが、圧力は常圧(0.1MPa)以上が好ましく、0.1〜1.1MPaがより好ましい。圧力を0.1MPa以下にするには減圧装置など特殊な機器が必要となり、経済的に好ましくない。逆に圧力を1.1MPa以上とするには脱硫器や供給ポンプの耐圧が必要となり経済的に好ましくない。また、温度は0〜400℃が好ましく、より好ましくは100〜300℃、特に好ましくは140〜300℃である。
低温すぎると吸着脱硫速度が低下し、逆に高温すぎる場合には脱硫剤中のニッケル成分が凝集して脱硫サイト数が減少し、脱硫性能が低下する恐れがある。
また、液空間速度(LHSV)は0.01〜100hr−1とすることが好ましく、0.1〜20hr−1とすることがより好ましい。
原料とする炭化水素としては、灯油、ジェット燃料、ナフサ、ガソリン、LPG、天然ガスが好ましく、市場における流通度や取り扱いの簡便さから特に灯油が好ましい。灯油としては、硫黄分が80質量ppm程度のものまでなら本願で得られた脱硫剤による所望の効果が得られる。
脱硫条件を上記範囲で適宜選択することにより、硫黄分をppbレベルに低減した炭化水素を長時間得ることができる。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における脱硫剤の物性、及び炭化水素(生成油)中の硫黄分の機器分析方法を以下に示す。
<脱硫剤の比表面積測定>
BET(Braunauer−Emmett−Tailor specific surface area)比表面積の測定には、日本ベル社製表面積測定装置(Belsorp Mini)を用いた。
試料約200〜300mgを精秤し、これを石英製の試料管に充填し、10-1〜10-3mmHg台に減圧しながら室温から400℃まで1時間かけて昇温し、減圧下、同温度で3時間保持して脱気処理を行った。その後、減圧しながら室温まで降温させ、高純度ヘリウムガスで置換し、脱気後の試料重量を精秤した。この後、液化窒素温度で窒素吸着を行い、比表面積を測定した。
<炭化水素中の硫黄分析>
炭化水素中の硫黄分析は、HOUSTON ATLAS社製Thermo Onix XVIを用いた。
実施例1
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24gをイオン交換水1Lに加え80℃に加温後、NiSO・6HOを126.5g加え調製液Aを得た。調製液AのpHは3.7であった。別途用意したイオン交換水1Lにコロイダルシリカ スノーテクスXS(日産化学製,SiOとして20%(以下同様))33.9g、炭酸ナトリウム59.4g、(NHMo24を3.9g加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて1時間攪拌した。撹拌1時間経過後にpHを測定したところ6.83であった。その後、沈殿物をろ別し、イオン交換水5Lを用いて、洗浄、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥後、400℃で1時間焼成し、得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分けし、脱硫剤1を得た。得られた脱硫剤の組成、BET比表面積、用いたNi原料、酸性溶液のpHを表1に示す。
実施例2
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24g、1N HSO水溶液10mLをイオン交換水1Lに加え80℃に加温後、NiSO・6HOを126.5g加え調製液Aを得た。調製液AのpHは3.2であった。別途用意したイオン交換水1Lにコロイダルシリカ スノーテクスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム59.4g、(NHMo24を3.9g加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて1時間攪拌した。撹拌1時間経過後にpHを測定したところ6.91であった。その後、沈殿物をろ別し、イオン交換水5Lを用いて、洗浄、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥後、400℃で1時間焼成し、得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分けし、脱硫剤2を得た。得られた脱硫剤の組成、BET比表面積、用いたNi原料、酸性溶液のpHを表1に示す。
比較例1
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24g、1N HSO水溶液40mLをイオン交換水1Lに加え80℃に加温後、NiSO・6HOを126.5g加え調製液Aを得た。調製液AのpHは2.5であった。別途用意したイオン交換水1Lにコロイダルシリカ スノーテクスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム59.4g、(NHMo24を3.9g加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて1時間攪拌した。撹拌1時間経過後にpHを測定したところ6.95であった。その後、沈殿物をろ別し、イオン交換水5Lを用いて、洗浄、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥後、400℃で1時間焼成し、得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分けし、脱硫剤3を得た。得られた脱硫剤の組成、BET比表面積、用いたNi原料、酸性溶液のpHを表1に示す。
比較例2
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24g、1N HSO水溶液40mLをイオン交換水1Lに加え80℃に加温後、Ni(NO・6HOを139.9g加え調製液Aを得た。調製液AのpHは1.3であった。別途用意したイオン交換水1Lにコロイダルシリカ スノーテクスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム59.4g、(NHMo24を3.9g加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて1時間攪拌した。撹拌1時間経過後にpHを測定したところ7.39であった。その後、沈殿物をろ別し、イオン交換水5Lを用いて、洗浄、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥後、400℃で1時間焼成し、得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分けし、脱硫剤4を得た。得られた脱硫剤の組成、BET比表面積、用いたNi原料、酸性溶液のpHを表1に示す。
比較例3
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)6.2gをイオン交換水1Lに加え80℃に加温後、NiSO・6HOを126.5g加え調製液Aを得た。調製液AのpHは4.1であった。別途用意したイオン交換水1Lにコロイダルシリカ スノーテクスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム59.4g、(NHMo24を3.9g加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて1時間攪拌した。撹拌1時間経過後にpHを測定したところ7.14であった。その後、沈殿物をろ別し、イオン交換水5Lを用いて、洗浄、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥後、400℃で1時間焼成し、得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分けし、脱硫剤5を得た。得られた脱硫剤の組成、BET比表面積、用いたNi原料、酸性溶液のpHを表1に示す。
<実施例1〜2、比較例1〜3の脱硫剤の灯油脱硫試験>
脱硫剤1〜3を用い、灯油の脱硫試験を行い、脱硫性能を比較した。この脱硫試験では、初留温度154℃、10%留出温度171℃、30%留出温度186℃、50%留出温度201℃、70%留出温度224℃、90%留出温度253℃、終点277℃の蒸留性状を有し、硫黄分8.8質量ppmを含むJIS 1号灯油を用いた。この用いた灯油の性状を表2に示す。
まず、脱硫反応に先立ち、脱硫剤を還元・活性化した。即ち、内径16mmのSUS製反応管に脱硫剤11.6mlを充填した。そして、反応管を400℃に昇温し、常圧下、水素気流中で3時間保持することによって、脱硫剤を還元・活性化した。
その後、上記JIS1号灯油を、圧力0.7MPa、温度200℃、液空間速度2.4hr−1で、上記活性化された脱硫剤が入った各反応管に流通させ、反応管の下流で生成油を1時間ごとに採取した。採取した生成油中の硫黄分が50質量ppbを越えるまで脱硫実験を継続し、50質量ppbを破過するまでの時間を50質量ppb破過時間とした。結果を表1に示す。
Figure 0005326130
Figure 0005326130
上記表1に示す結果より、実施例1の、ニッケル原料として硫酸ニッケルを用い、pHが3〜4になるように調製したニッケルを含む酸性溶液とモリブデンを含む塩基性溶液とを混合し、反応させて沈殿物を生成させることにより製造したNi−Mo系脱硫剤は、比較例1〜3のNi−Mo系脱硫剤と比較し、50ppb破過時間が延長され、長寿命の脱硫剤であることがわかった。なお、比較例1は、ニッケル原料として硫酸ニッケルを用いたが、ニッケルを含む酸性溶液のpHが2.5と低い例であり、また、比較例2は、ニッケル原料として硝酸ニッケルを用い、ニッケルを含む酸性溶液のpHも1.3と低い例であり、また、比較例3はニッケル原料として硫酸ニッケルを用いたが、ニッケルを含む酸性溶液のpHが4.1と高い例である。

Claims (1)

  1. ニッケルを含む酸性溶液とモリブデンを含む塩基性溶液とを混合し、反応させて沈殿物を生成させることにより、ニッケルとモリブデンを含む炭化水素用脱硫剤を製造する方法であって、前記ニッケルを含む酸性溶液と前記モリブデンを含む塩基性溶液を混合した後の溶液のpHが6〜8で、温度が50〜90℃であり、前記ニッケルを含む酸性溶液が、硫酸ニッケルをニッケルの原料として用い、pHが3〜4になるように調製されており、前記炭化水素用脱硫剤が、脱硫剤基準で、ニッケルを酸化物(NiO)換算で50〜95質量%、モリブデンを酸化物(MoO )換算で0.5〜25質量%、及び無機酸化物を含有することを特徴とする炭化水素用脱硫剤の製造方法。
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