JP4531939B2 - ニッケル−銅系脱硫剤の製造方法 - Google Patents

ニッケル−銅系脱硫剤の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−銅系脱硫剤の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、石油系炭化水素中、特に灯油中の硫黄分を極めて低濃度まで効率よく除去することができ、かつ寿命の長い石油系炭化水素用ニッケル−銅系脱硫剤を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題から新エネルギー技術が脚光を浴びており、この新エネルギー技術の一つとして燃料電池が注目されている。この燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであって、エネルギーの利用効率が高いという特徴を有しており、民生用、産業用あるいは自動車用などとして、実用化研究が積極的になされている。
この燃料電池には、使用する電解質の種類に応じて、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型などのタイプが知られている。一方、水素源としては、メタノール、メタンを主体とする液化天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガスを原料とする合成液体燃料、さらには石油系のLPG、ナフサ、灯油などの石油系炭化水素の使用が研究されている。
【0003】
燃料電池を民生用や自動車用などに利用する場合、上記石油系炭化水素、特に灯油は常温常圧で液状であって、保管及び取扱いが容易である上、ガソリンスタンドや販売店など、供給システムが整備されていることから、水素源として有利である。
しかしながら、石油系炭化水素は、メタノールや天然ガス系のものに比べて、硫黄分の含有量が多いという問題がある。この石油系炭化水素を用いて水素を製造する場合、一般に、該炭化水素を、改質触媒の存在下に水蒸気改質又は部分酸化改質処理する方法が用いられる。このような改質処理においては、上記改質触媒は、炭化水素中の硫黄分により被毒されるため、触媒寿命の点から、該炭化水素に脱硫処理を施し、硫黄分含有量を、通常0.2重量ppm以下にすることが肝要である。
【0004】
石油系炭化水素の脱硫方法としては、これまで多くの研究がなされており、例えばCo−Mo/アルミナやNi−Mo/アルミナなどの水素化脱硫触媒とZnOなどの硫化水素吸着剤を用い、常圧〜5MPaの圧力下、200〜400℃の温度で水素化脱硫する方法が知られている。この方法は、厳しい条件下で水素化脱硫を行い、硫黄分を硫化水素にして除去する方法であり、しかも硫黄分を0.2重量ppm以下にすることは困難であるため、燃料電池用石油系炭化水素の製造には適用しにくい。
一方、石油系炭化水素中の硫黄分を、水素化精製処理を行うことなく、温和な条件で吸着除去し、硫黄分を0.2重量ppm以下にし得る脱硫剤として、ニッケル系あるいはニッケル−銅系吸着剤が知られている〔特公平6−65602号公報、同平7−115842号公報、同平7−115843号公報、特開平1−188405号公報、同平2−275701号公報、同平2−204301号公報、同平5−70780号公報、同平6−80972号公報、同平6−91173号公報、同6−228570号公報(以上、ニッケル系吸着剤)、特開平6−315628号公報(ニッケル−銅系吸着剤)〕。
これらのニッケル系あるいはニッケル−銅系吸着剤は、燃料電池用の石油系炭化水素に対して、脱硫剤として適用するのに有利であるが、いずれも脱硫剤としての寿命の面で実用的なレベルに対していないのが実状である。特に、上記ニッケル−銅系吸着剤では、石油系炭化水素中の硫黄分を効率よく脱硫するには未だ不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、石油系炭化水素中の硫黄分を極めて低濃度まで効率よく除去することができ、かつ寿命の長い工業的に有利な石油系炭化水素用ニッケル−銅系脱硫剤を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、ニッケル源及び銅源を含む酸性水溶液または固体を含む酸性分散液(以下、「酸性水溶液等」という)と、無機塩基を含む塩基性水溶液とを混合し、この際、上記酸性水溶液等及び必要に応じ上記塩基性水溶液に担体を含有させ、生成した固形物を焼成することにより、担体上にニッケル及び銅を担持してなる脱硫剤が得られ、このような方法により本発明の上記目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、シリカ、シリカ−アルミナの中から選ばれる少なくとも一種の担体上にニッケル及び銅を担持してなる脱硫剤を製造する方法において、ニッケル源、銅源及び前記担体を含むpH2以下の酸性水溶液等と、無機塩基を含む塩基性水溶液とを混合したのち、生成した固形物を焼成するニッケル−銅系脱硫剤の製造方法、及びシリカ、シリカ−アルミナの中から選ばれる少なくとも一種の担体上にニッケル及び銅を担持してなる脱硫剤を製造する方法において、ニッケル源、銅源及び前記担体を含むpH2以下の酸性水溶液または酸性水分散液と、無機塩基及び前記担体を含む塩基性水溶液とを混合したのち、生成した固形物を焼成するニッケル−銅系脱硫剤の製造方法を提供するものである
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に係る、担体上にニッケル及び銅を担持させてなる脱硫剤は以下に示す方法によって製造される。
まずニッケル源、銅源及び担体を含む酸性水溶液等と、無機塩基を含む塩基性水溶液を調製する。前者の酸性水溶液等に用いられるニッケル源としては、例えば塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル及びこれらの水和物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのニッケル源の使用量は、得られる脱硫剤中の金属ニッケル含有量が、40〜80重量%、更に50〜70重量%の範囲になるように選ばれる。ニッケル含有量が40重量%より少ない場合は、充分な脱硫性能が発揮されないおそれがあ、また80重量%を超える場合は脱硫剤の機械的強度や脱硫性能が低下する原因となるなど所望の性能をもつ脱硫剤が得られにくい。
【0008】
また、銅源としては、例えば塩化銅、硝酸銅、硫酸銅、酢酸銅及びこれらの水和物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの銅源の使用量は、得られる脱硫剤中の金属銅含有量が、10〜50重量%、更に15〜35重量%の範囲になるように選ばれる。銅の含有量が10重量%より少ない場合は、硫黄の吸着量が低くなり、また50重量%を超える場合は硫黄の吸着速度が低下するなど所望の性能をもつ脱硫剤が得られにくい。
担体としてはシリカシリカ−アルミを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、本発明においては特にシリカ−アルミナが好適である。このような担体は、酸性水溶液等に含まれるが、必要に応じ更に塩基性水溶液にも含むことができる。例えば、担体がシリカ−アルミナである場合には、そのアルミニウム源を含む酸性水溶液等と、シリカ源を含む無塩基性水溶液を用いることがある。
【0009】
上記ニッケル源、銅源及び担体を含む酸性水溶液等は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によって、pH2以下、好ましくは1.5以下に調整することが必要である。このpHが2を超えるとニッケル及び銅の分散性が低下する。
一方、塩基性水溶液に用いられる無機塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが好ましく、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明においては、このような無機塩基として炭酸ナトリウムあるいは水酸化ナトリウムの単独又は炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとの組合せが好適である。この無機塩基の使用量は、次の工程において前記pH2以下の酸性水溶液と、この塩基性水溶液を混合した場合、混合液が実質上中性から塩基性になるように選ぶのが有利である。
【0010】
本発明においては、このようにして調製したpH2以下の酸性水溶液等と塩基性水溶液を、それぞれ50〜90℃程度に加温したのち、両者を混合する。この混合はできるだけ素早く行うことが好ましい。さらに得られた混合液を50〜90℃程度の温度に保持し0.5〜3時間程度攪拌し、反応を完結させる。
次に、生成した固形物を充分に洗浄したのち固液分離するか、あるいは生成した固形物を固液分離したのち充分に洗浄し、次いで、この固形物を公知の方法により80〜150℃程度の温度で乾燥処理する。このようにして得られた乾燥処理物を、好ましくは200〜400℃、更に好ましくは300〜370℃の範囲の温度において焼成することにより、担体上にニッケル及び銅が担持された脱硫剤が得られる。焼成温度が上記範囲を逸脱すると、ニッケル及び銅の分散性が低くなるなど所望の性能をもつニッケル−銅系脱硫剤が得られにくい場合がある。
【0011】
本発明においては、担体上のニッケルの担持量は、脱硫剤全量に基づき、金属ニッケルとして40〜80重量%、更に50〜70重量%の範囲であることが好ましい。ニッケル含有量が40重量%より少ない場合は、充分な脱硫性能が発揮されないおそれがある。また80重量%を超える場合は脱硫剤の機械的強度や脱硫性能が低下する原因となるなど所望の性能をもつ脱硫剤が得られにくい。
また、銅の担持量は脱硫剤全量に基づき、金属銅として10〜50重量%、更に15〜35重量%の範囲であるとが好ましい。銅含有量が10重量%より少ない場合は硫黄の吸着容量が低くなり、また50重量%を超える場合は硫黄の吸着速度が低下するなど所望の性能をもつ脱硫剤が得られにくい。
本発明においては、担体上に担持されるニッケル及び銅の担持量の合計は、脱硫剤全量に基づき、金属換算で70〜90重量%、更に75〜80重量%であることが好ましい。この量が70重量%より少ない場合は、充分な脱硫性能が発揮されないおそれがある。また90重量%を超える場合は、脱硫剤の機械的強度や脱硫性能が低下する原因となるなど所望の性能をもつ脱硫剤が得られにくい。
【0012】
本発明においては、担体上にニッケル−銅成分を担持させるが、必要に応じ、コバルト、鉄、マンガン、クロムなどの他の金属を混在させてもよい。
本発明の方法により製造されるニッケル−銅系脱硫剤は、石油系炭化水素、好ましくは灯油の脱硫剤として用いられ、石油系炭化水素の中でも硫黄分含有量が80重量ppm以下のJIS1号灯油に適用するのが好ましい。このJIS1号灯油は、原油を常圧蒸留して得た粗灯油を脱硫することにより得られる。該粗灯油は、通常硫黄分が多く、そのままではJIS1号灯油とはならず、硫黄分を低減させる必要がある。この硫黄分を低減させる方法としては、一般に工業的に実施されている水素化精製法で脱硫処理するのが好ましい。この場合、脱硫触媒として、通常ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステンなどの遷移金属を適当な割合で混合したものを金属、酸化物、硫化物などの形態でアルミナを主成分とする担体に担持させたものが用いられる。反応条件は、例えば反応温度250〜400℃、圧力2〜10MPa・G、水素/油モル比2〜10、液時空間速度(LHSV)1〜5h-1などの条件が用いられる。
【0013】
本発明の脱硫剤を用いて、石油系炭化水素を脱硫処理する方法としては、例えば以下に示す方法を用いることができる。
まず、該本発明に係る脱硫剤が充填された脱硫塔に、予め水素を供給し、150〜400℃程度の温度において、該脱硫剤の還元処理を行う。次に、石油系炭化水素、好ましくは灯油1号を、脱硫塔中を上向き又は下向きの流れで通過させ、温度130〜230℃程度、圧力常圧〜1MPa・G程度、LHSV10h-1以下程度の条件で脱硫処理する。この際、必要により、少量の水素を共存させてもよい。脱硫条件を上記範囲で適当に選択することにより、硫黄分0.2重量ppm以下の石油系炭化水素を得ることができる。
【0014】
本発明の方法によって製造された脱硫剤を、燃料電池用水素の製造に用いる場合、通常、上記脱硫剤を用いて灯油等の石油系炭化水素油を前述のように脱硫した後、水蒸気改質及び/又は部分酸化を行う。上記脱硫剤を用いることにより、水蒸気改質触媒等への炭素析出がなく効率的に水素を製造することができる。
水蒸気改質の方法には特に制限はないが、通常以下のような方法で行われる。
まず、改質触媒の担持金属としては、Ni、ジルコニウムあるいはルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),白金(Pt)などの貴金属が挙げられる。これらは単独でもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。具体的には、Ruとジルコニウムとを担持したものが挙げられる。この種の担持金属の場合、さらにコバルトおよび/またはマグネシウムを添加したものが好適なものとして挙げられる。
一方、水蒸気改質に使用する触媒の担体としては、無機酸化物が用いられ、具体的には、アルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア及びそれらの混合物が挙げられる。これらの中でもアルミナとジルコニアが特に好ましい。
【0015】
さらに水素の製造においては、水蒸気改質触媒層の入口温度を630℃以下に保って水蒸気改質を行う方法が好ましい。水蒸気改質触媒層入口温度は、酸素添加により上昇する傾向にあるので、これをコントロールする必要がある。触媒層出口温度は、特に制限はないが、好ましくは650〜800℃で行う。触媒層出口温度が650℃未満では水素の生成量が充分でなく、800℃を越える温度で反応するにはリアクターを特に耐熱性材料にする必要がある場合があり、経済性の点で好ましくないからである。
水素の製造においては、反応圧力は常圧〜3MPa,さらには常圧〜1MPaであることが好ましい。また、石油系炭化水素油の流量については、LHSVで0.1〜100h-1である。
なお、水素の製造においては、石油系炭化水素は上記水蒸気改質と部分酸化を単独であるいは組み合わせて水素を製造する場合に使用しても効率的に水素を製造できる。
部分酸化反応は、好ましくはルテニウムなどの貴金属やニッケルなどを耐熱性酸化物に担持した触媒下、反応圧力が常圧〜5MPa,反応温度400〜1,100℃、酸素/炭素比0.2〜0.8,LHSV0.1〜100h-1で行われる。また、水蒸気添加する場合は、水蒸気/炭素モル比1.5〜10、好ましくは1.5〜5、更に好ましくは2〜4で行う。
上記水素の製造においては、上記水蒸気改質により得られるCOが水素生成に悪影響を及ぼすため、これを反応によりCO2 としてCOを除くことが好ましい。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた脱硫剤の脱硫性能は、下記の方法に従って評価した。
<脱硫性能>
脱硫剤15ミリリットルを、内径17mmのステンレス鋼製反応管に充填する。次いで、常圧下、水素気流中にて120℃に昇温し、1時間保持したのち、さらに昇温し、380℃で1時間保持することにより、脱硫剤を活性化する。
次に、反応管の温度を150℃に保持し、硫黄分濃度65重量ppmのJIS1号灯油を、常圧下、LHSV10h-1で反応管に供給開始する。5時間経過した時点における処理灯油中の硫黄分濃度を分析し、脱硫性能を評価する。
なお、使用するJIS1号灯油の蒸留性状は以下のとおりである。
初留温度 :152℃
10%留出温度:169℃
30%留出温度:184℃
50%留出温度:203℃
70%留出温度:224℃
90%留出温度:254℃
終点 :276℃
【0017】
実施例1
水500ミリリットルに硝酸ニッケル49.8g及び硝酸銅10.3gを溶解し、これに擬ベーマイト(担体)0.9gを加えたのち、1モル/リットル濃度の硝酸水溶液20ミリリットルを加え、pH1に調整し、(A)液を調製した。
一方、水500ミリリットルに炭酸ナトリウム33.1gを溶解し、これに水ガラス11.7g(SiO2 濃度29重量%)を加え、(B)液を調製した。
次に、上記(A)液と(B)液を、それぞれ80℃に加熱したのち、両者を瞬時に混合し、混合液の温度を80℃に保持したまま1時間撹拌した。その後、蒸留水60リットルを用いて生成物を充分に洗浄したのち、ろ過し、次いで固形物を120℃送風乾燥機にて12時間乾燥し、さらに300℃で1時間焼成処理することにより、シリカ−アルミナ担体(Si/Al比=5)にニッケルが61重量%、銅が19.8重量%担持された脱硫剤を得た。
この脱硫剤を用いて行った脱硫試験において、5時間後の灯油中の硫黄分は2重量ppmであった。
【0018】
実施例2
実施例1において、硝酸ニッケル49.8g及び硝酸銅10.3gに代えて、硝酸ニッケル56.0g及び硝酸銅5.2gを用い、更に、擬ベーマイト0.9gに代えてγ−アルミナ0.6gを用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ−アルミナ担体(Si/Al比=5)にニッケルが72.1重量%、銅が11.2重量%担持された脱硫剤を得た。
この脱硫剤を用いて行った脱硫試験において、5時間後の灯油中の硫黄分は5重量ppmであった。
実施例3
実施例1において、硝酸ニッケル49.8g及び硝酸銅10.3gに代えて、硝酸ニッケル62.2g及び硝酸銅51.7gを用い、擬ベーマイトを0.9gに代えて0.8g用い、更に炭酸ナトリウムを33.1gに代えて70g用い、なおかつ水ガラス11.7gに代えてシリカ2.5gを用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ−アルミナ担体(Si/Al比=8)にニッケルが30.2重量%、銅が50.8重量%担持された脱硫剤を得た。
この脱硫剤を用いて行った脱硫試験において、5時間後の灯油中の硫黄分は8重量ppmであった。
実施例4
実施例3において、擬ベーマイト0.9gに代えてシリカ4.0gに代え、また、水ガラスを用いなかったこと以外は、実施例3と同様にしてシリカ担体にニッケルが30.2重量%、銅が50.8重量%担持された脱硫剤を得た。
この脱硫剤を用いて行った脱硫試験において、5時間後の灯油中の硫黄分は8重量ppmであった。
【0019】
比較例1
特開平6−315628号公報に記載の実施例に従い、脱硫剤を製造した。
すなわち、水1000ミリリットルに硝酸銅58g、硝酸ニッケル69.8g、硝酸亜鉛116.6g及び硝酸アルミニウム60gを溶解し、(A)液を調製した。一方、水2000ミリリットルに炭酸ナトリウム105gを溶解して、(B)液を調製した。
次に、上記(A)液と(B)液を攪拌しながら、徐々に混合した。混合液のpHが7になった時点で炭酸ナトリウム溶液の添加を終了し、そのまま1時間撹拌した。その後、得られた沈殿ケーキを重炭酸アンモニウムを用いて洗浄したのち、固形物を110℃乾燥機にて一昼夜乾燥し、さらに400℃で1時間焼成処理することにより、ニッケル量が21重量%、銅量が22重量%である脱硫剤を得た。
この脱硫剤を用いて行った脱硫試験において、5時間後の灯油中の硫黄分は50重量ppmであった。
【0020】
実施例5
実施例1で得た脱硫剤15ミリリットルを、内径17mmのステンレス鋼製反応管に充填した。次いで、常圧下、水素気流中にて120℃に昇温し、1時間保持したのち、さらに昇温し、380℃で1時間保持することにより、脱硫剤を活性化した。
次に、反応管の温度を150℃に保持し、前記硫黄分濃度65重量ppmのJIS 1号灯油を、常圧下、LHSV2h-1で反応管を通過させ、さらに、下流にルテニウム系改質触媒(ルテニウム担持量0.5重量%)20ミリリットルが充填された改質器により、水蒸気改質処理した。
改質処理条件は、圧力:大気圧、水蒸気/炭素(S/C)モル比2.5、LHSV:1.5h-1、入り口温度:500℃、出口温度:750℃である。
その結果、150時間経過後の改質器出口での転化率は100%であった。また、この反応期間中の脱硫処理灯油の硫黄分は0.2重量ppm以下であった。
なお、転化率は、式
転化率(%)=100×B/A
〔ただし、Aは時間当たりの供給灯油中の全炭素量(モル流量)で、A=CO+CO2 +CH4 +2×C2 留分+3×C3 留分+4×C4 留分+5×C5 留分であり、Bは時間当たりの改質器出口ガス中の全炭素量(モル流量)でB=CO+CO2 +CH4 である。〕
によって算出した値である。なお、分析はガスクロマトグラフィー法による。
【0021】
比較例2
実施例5において、脱硫剤として、比較例1で得たものを用いた以外は、実施例5と同様にして、灯油の脱硫処理及び水蒸気改質処理を行った。
その結果、80時間経過後、改質器出口の転化率は100%を下回り、120時間経過後に改質器出口で油滴が確認された。なお、80時間及び120時間経過した時点における脱硫処理灯油中の硫黄分は、それぞれ10重量ppm及び18重量ppmであった。
【0022】
【発明の効果】
本発明のニッケル−銅系脱硫剤は、石油系炭化水素中の硫黄分を0.2重量ppm以下まで効率よく吸着除去することができ、かつ寿命も長い。また、この脱硫剤を用いて脱硫処理された石油系炭化水素を水蒸気改質処理することにより、燃料電池用水素を効果的に製造することができる。

Claims (6)

  1. シリカ、シリカ−アルミナの中から選ばれる少なくとも一種の担体上にニッケル及び銅を担持してなる脱硫剤を製造する方法において、ニッケル源、銅源及び前記担体を含むpH2以下の酸性水溶液または酸性水分散液と、無機塩基を含む塩基性水溶液とを混合したのち、生成した固形物を焼成するニッケル−銅系脱硫剤の製造方法。
  2. シリカ、シリカ−アルミナの中から選ばれる少なくとも一種の担体上にニッケル及び銅を担持してなる脱硫剤を製造する方法において、ニッケル源、銅源及び前記担体を含むpH2以下の酸性水溶液または酸性水分散液と、無機塩基及び前記担体を含む塩基性水溶液とを混合したのち、生成した固形物を焼成するニッケル−銅系脱硫剤の製造方法。
  3. 無機塩基を含む塩基性水溶液が、無機塩基として、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを含むものである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 200〜400℃の温度で焼成を行う請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの製造方法により製造したニッケル−銅系脱硫剤を用いて石油系炭化水素を脱硫処理した後、水蒸気改質処理を行うことを特徴とする燃料電池用水素の製造方法。
  6. 水蒸気改質処理をルテニウム系触媒からなる改質触媒を用いて行う請求項記載の製造方法。
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