ところで、上記特許文献1に記載の発明では、発射球案内レールの始端側からファール球落下口へファール球を誘導するに際し、該発射球案内レールの始端側から飛び出したファール球を重力の作用で自由落下させるようにしている。そうすると、例えば、発射球案内レールを逆流するファール球の勢いが強いと、該ファール球が十分落下せずにファール球落下口を飛び越えてしまい、打球発射装置に衝突して跳ね返るなどして球暴れが生じてしまうことがある。その結果、該ファール球がファール球落下口の上方に暫く滞留してしまい、次いで発射される遊技球と衝突して発射不良や球詰まりを起こすなどし、安定した遊技球の発射が妨げられることがあった。
また、上記特許文献2に記載の発明では、打球発射装置が発射した遊技球を走行させるように遊技盤側に設けた発射球通路(発射された球52が通る部分)と、逆流するファール球を走行させるように透明板側に設けたファール球通路(戻ってきた玉52’が通る部分)とが発射球案内レール(レール本体46)に並行に形成されている。そして、ファール球を落下させるファール球落下口(切欠64)をファール球通路の始端部に開設すると共に、該ファール球通路の側壁に沿って磁石を配設している。これにより、前記磁石の磁力でファール球を発射球通路からファール球通路側へ引き寄せ、該ファール球をファール球落下口へ誘導するようになっている。
しかし、この様な構成では、発射球通路とファール球通路との両方が必要であるために発射球案内レールの幅が広くなってしまい、必然的に遊技盤と透明板との間の距離が離れてしまう。そうすると、遊技領域の奥行き空間が拡大し、この影響で遊技領域内における遊技球の不規則な球飛びが発生し易くなると共に、遊技盤面と透明板の奥行き方向で遊技球同士が引っ掛かり、球詰まりの原因となる恐れがあった。さらには、遊技領域の奥行き空間が拡大すると、これに伴って遊技盤をパチンコ遊技機のより内部側へ配設する必要が生じ、該パチンコ遊技機の内部スペースが圧迫されて役物の機構部や基板ボックス等の部材が配設し難くなる問題があった。
そこで本発明は、上記のような課題を解決するために、弾球遊技機の内部スペースが圧迫される等の副作用を生じさせることなく、発射球案内レールを逆流してきたファール球を速やかにファール球落下口へ誘導できるようにした弾球遊技機を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明は、遊技盤の前面一側に下方から上方へ配設された発射球案内レールと、前記発射球案内レールの球走行面の下端に離間させて配設した打球発射装置と、前記発射球案内レールと前記打球発射装置との間に設けられるファール球落下口と、前記ファール球落下口の下方に該ファール球落下口と連通するように配設したファール球回収箱とを備える弾球遊技機であって、前記発射球案内レールの球走行面の下端と前記ファール球回収箱の発射球案内レール側の内側縁との間に磁石部材を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、遊技盤の前面一側に下方から上方へ配設された発射球案内レールと、前記発射球案内レールの球走行面の下端に離間させて配設した打球発射装置と、前記発射球案内レールと前記打球発射装置との間に設けられるファール球落下口と、前記ファール球落下口の下方に該ファール球落下口と連通するように配設したファール球回収箱とを備える弾球遊技機であって、遊技盤の内部における前記ファール球落下口から前記ファール球回収箱へ流下するファール球に磁力を作用させ得る位置に磁石部材を設けたことを特徴とする。
さらに、本発明の弾球遊技機は、前記発射球案内レールの球走行面の下端に前記ファール球回収箱の発射球案内レール側の内側縁へ向けて延びる延長部を形成したことを特徴とする。
加えて、本発明の弾球遊技機において、前記磁石部材は、その表面を所定の厚みで包囲する合成樹脂製の収容ケースに内設されたことを特徴とする。
また、本発明の弾球遊技機において、前記磁石部材は、前記打球発射装置から発射された遊技球が前記発射球案内レールに最初に接触する衝突位置よりも下方に設けられたことを特徴とする。
さらに、本発明の弾球遊技機において、前記磁石部材は、前記ファール球回収箱へ近付くに従ってファール球に作用する磁力が漸次弱くなるように設けられたことを特徴とする。
本発明の弾球遊技機では、ファール球を落下させるファール球落下口が発射球案内レールの球走行面の下端と打球発射装置との間に設けられると共に、磁石部材が該発射球案内レールの球走行面の下端とファール球回収箱の発射球案内レール側の内側縁との間に設けられている。これにより、磁石部材の引き寄せ力を利用してファール球をファール球落下口へ積極的に誘導することができるようになる。従って、仮に、ファール球の逆流の勢いが強くても、その落下方向がファール球落下口へ向けて強制的に曲げられ、該ファール球がファール球落下口を飛び越えてしまうことがなくなる。よって、ファール球が打球発射装置に衝突して跳ね返りを起こすなどしてファール球落下口の上部付近に留まり、次に発射される遊技球と衝突してしまう事故を防止できる。また、このような衝突で生じる発射不良や球詰まり等の不具合を防止できる。
また、本発明の弾球遊技機では、遊技盤の内部であってファール球落下口からファール球回収箱へ流下するファール球に磁力を作用させ得る位置に磁石部材が設けられている。これにより、磁石部材の引き寄せ力を利用してファール球の落下方向をファール球落下口へ曲げることができる。また、磁石部材は、遊技盤の内部に設けられることから、遊技盤の前面一側の下隅部であって発射球案内レールの下側となる部位に空きができ、この部位に装飾部材等のコーナー部材を配設できるようになる。従って、遊技盤の装飾における設計の自由度を向上させることができるようになる。
さらに、本発明の弾球遊技機では、ファール球回収箱の発射球案内レール側の内側縁へ向けて延びる延長部が発射球案内レールの球走行面の下端に形成されている。これにより、例えば、磁石部材の打球発射装置側に該延長部を位置させて該磁石部材の打球発射装置側面を覆うようにすれば、発射された遊技球が磁石部材に不用意に衝突しないようにできる。すなわち、遊技球の衝突による磁石部材の破損を防止できるようになる。
また、本発明の弾球遊技機において、磁石部材は、その表面を所定の厚みで包囲する合成樹脂製の収容ケースに内設されている。これにより、磁石部材が発射球案内レールに直接触れることがなくなると共に、該磁石部材と該発射球案内レールとの間に磁化されにくい合成樹脂が介在することになる。従って、磁石部材の磁力の影響で発射球案内レールが磁化されてしまうことを抑制できる。また、磁石部材を収容ケースで包囲することから、遊技球が磁石部材に接触しなくなり、遊技球の衝突による磁石部材の破損を防止できるようになる。
さらに、本発明の弾球遊技機において、磁石部材は、打球発射装置から発射された遊技球が発射球案内レールに最初に接触する衝突位置よりも下方に設けられている。これにより、打球発射装置から発射された遊技球が発射球案内レールの球走行面へ飛入するに際し、該遊技球は磁石部材に対して接近し過ぎることなく所定の距離を保つようになる。したがって、磁石部材の引き寄せ力が発射した遊技球に作用してしまうことを低減し、遊技球の発射方向がずれる等の悪影響を出来るだけ少なく抑えることができる。
なお、ここで言う「遊技球が発射球案内レールに最初に接触する衝突位置」の「衝突位置」とは、少なくとも遊技領域に到達できる強度で発射された遊技球が発射球案内レールに最初に接触する位置を指す概念である。従って、そもそも遊技領域に到達できない強度で発射された遊技球が発射球案内レールに最初に接触する位置は含まない。
また、本発明の弾球遊技機において、磁石部材は、ファール球落下口へ近付くに従ってファール球に作用する磁力が漸次弱くなるように設けられている。これは、例えば、磁石部材を湾曲形成して該磁石部材がファール球落下口へ近付くにつれて遊技球の落下経路から次第に離間するようにしてもよいし、または、該磁石部材を強度の異なる複数の磁石を含めて形成すると共に磁力が弱い磁石をファール球落下口に近い側へ配置させるようにしてもよい。そうすると、ファール球が、発射球案内レールの球走行面の下端に近い位置を落下しているときには、磁石部材が該ファール球を強い磁力で引き寄せてファール球落下口へ向かわせ、一方、ファール球の流下方向がファール球落下口へ向かってしまえば、該ファール球に作用する該磁石部材の磁力が弱くなり、ファール球をファール球落下口へ滞りなく落下させることができるようになる。したがって、ファール球の回収の精度や効率を向上させることができる。
さらに、本発明の弾球遊技機では、発射球案内レールの幅を広く形成する必要がない。従って、遊技領域の奥行き空間が拡大することもなく、該遊技領域内における球詰まりの原因となる遊技球の不規則な球飛びの発生を抑制できる。また、遊技領域の奥行き空間が拡大しないので、弾球遊技機の内部スペースが圧迫されることもなく、役物の機構部や基板ボックス等の部材の配設空間を広く確保できる。
以下、本発明の弾球遊技機の第一実施形態を図面に従って説明する。本発明の弾球遊技機は、パチンコ遊技機、アレンジボール機、雀球機等であって遊技媒体として遊技球を使用する弾球遊技機に適用されるが、ここでは、本発明をパチンコ遊技機に適用した構成について説明する。
パチンコ遊技機Pは、縦長長方形状の機枠1を有し、この機枠1の前側には、該機枠1の軸支側に設けたヒンジ機構(図示せず)を介して本体枠2が横開き状に開閉自在に装着される。この本体枠2の前面には窓口3が開設され、該窓口3に臨むようにして遊技盤4が着脱自在に配設される。さらに、前記本体枠2の前側には、前記遊技盤4の前面を覆う透明板保持枠5と、該透明板保持枠5の下方にて前記本体枠2の前面下部2aを覆う前板6とが其々設けられる。
前記透明板保持枠5には、前記遊技盤4の前面が臨む開口7が開設されると共に、該開口7には、ガラス製または合成樹脂製の透明板8が装着される。そして、透明板保持枠5は、本体枠2の軸支側に設けたヒンジ機構9を介し、該本体枠2に対して横開き状に開閉自在に装着される。また、透明板保持枠5の係合側には、該透明板保持枠5の後側へ突出するように鉤部10,10が設けられる。これら鉤部10,10は、前記本体枠2の係合側に設けられた係止部11,11に係合するようになっており、これにより、透明板保持枠5が本体枠2に対し施錠状態で閉止される。また、パチンコ遊技機P前面の下部の係合側には鍵操作部12が装着されており、該鍵操作部12を解錠操作すると鉤部10と係止部11との係合が外れ、透明板保持枠5が開放される。
前記遊技盤4は、木製の合板からなる所定厚みの基材4aの前面側に樹脂製のシートからなるセル板4bを貼り付けて形成されている。そして、遊技盤4は、前記透明板保持枠5を前記本体枠2に閉止すると、前記透明板8を介して視認されるようになっている。この遊技盤4の前面には、発射球案内レールとしての金属製の外レール13および内レール14が略渦巻き状に湾曲して敷設され、これら外レール13と内レール14とで包囲することにより略円形状の遊技領域15が形成される。また、遊技領域15の一側であって本体枠2の軸支側には、前記外レール13と前記内レール14とを所定間隔で並べることにより上下方向に延びる円弧状の球案内通路16が形成される。そして、外レール13の球案内通路16側の面は、後述する打球発射装置35から発射された遊技球を上方向へ走行させると共に、遊技領域15に到達しなかったファール球を下方向へ走行させる球走行面13aとなっている。さらに、外レール13の球走行面13aの下端13bの下方には、磁石部材48が取着される。この磁石部材48については後に詳しく説明する。
前記遊技領域15中央のやや上部位置には、液晶パネル等からなる電子ディスプレー17が設けられる。その下方には、始動入賞口18と、一対の開閉翼片19a,19aを備える開閉始動入賞口19が取着され、さらに、その下方には、前側へ自在に開閉する開閉扉20aを備える大入賞口20が配設される。一方、該電子ディスプレー17の側方には、通過チャッカー21が設けられると共に、その下方には、遊技球の流下方向を変化させる回転自在の風車22が配設される。また、遊技領域15の適宜箇所には、複数の普通入賞口23,23,…,23が設けられ、さらに、該遊技領域15の最下部にあたる内レール14の内側には、遊技球をアウト球としてパチンコ遊技機Pの外部へ排出するアウト球口24が設けられる。加えて、前記遊技領域15の適宜位置には、遊技球の流下方向を変更したり規制したりするための遊技釘が多数設けられている。
前記前板6は、前記透明板保持枠5と同様に、前記ヒンジ機構9により該本体枠2に対して横開き状に開閉自在に設けられる。前板6の係合側の後面には、該前板6の後方へ突出する複数の鉤部25,25が設けられる。また、前記本体枠2の前面下部2aの係合側寄りには、該鉤部25,25に対応する係止部26,26が設けられ、これら鉤部25,25と係止部26,26とが係合して、該前板6が本体枠2に対し施錠状態で閉止される。一方、前記透明板保持枠5を開放したのちに、該鉤部25,25を押し下げることにより前記係止部26,26との係合が外れ、前板6が開放される。
前記前板6の前面には、球受皿27が装着される。この球受皿27は、パチンコ遊技機Pの後面側に設けられた球払出装置(図示せず)から払い出される遊技球を貯留する。さらに、パチンコ遊技機Pの前面下部であって該球受皿27の側方にあたる位置には、打球力調整ハンドル28が設けられる。この打球力調整ハンドル28を回転操作すると、前記球受皿27内の遊技球が後述する球発射位置43へ一球ずつ導かれると共に、該遊技球が後述する打球発射装置35により前記遊技領域15へ発射される。
前記前板6の後面には、受皿部29と打球供給装置30とファール球回収装置31とが設けられる。前記受皿部29は、前記前板6の後側へ突出するように設けられ、その前側は前記球受皿27の球入口(図示せず)と連通している。一方、該受皿部29の後側は上面が開口され、前記前板6を閉止すると、本体枠2の前面下部2aの軸支側寄りに開設した通孔32を介して該本体枠2の後面側に位置するようになっている。これにより、前記球払出装置(図示せず)から払い出された遊技球は、該受皿部29へ流入して前記球受皿27へ供給されるようになっている。
前記打球供給装置30は、前記球発射位置43へ遊技球を一球ずつ供給するための装置であって、前記前板6の後面の略中央部に設けられる。この打球供給装置30の内部には、前記球受皿27に連通して遊技球を流下させる供給樋(図示せず)が設けられると共に、該供給樋の下流端には、該遊技球を発射球送出孔33から球発射位置43へ送出する球送り装置(図示せず)が設けられる。該球送り装置は、前記打球力調整ハンドル28の回転操作に伴って作動するようになっている。
前記ファール球回収装置31は、前記打球発射装置35により前記遊技領域15へ発射したにもかかわらず、該遊技領域15に到達することなく前記球案内通路16を逆流して後述するファール球回収箱37へ戻ってきたファール球を前記球受皿27へ導く装置である。このファール球回収装置31の後面には、このようなファール球を流入させるファール球受入孔34が開設されている。
前記本体枠2の前面下部2aには、遊技球を発射する打球発射装置35と、発射された遊技球を前記外レール13へ案内する発射レール36と、ファール球を回収して前記ファール球受入孔34へ誘導するファール球回収箱37とが配設される。これらの部材は、該本体枠2の前面下部2aに装着された取付基板38の前面に設けられる。
前記打球発射装置35は、電磁ソレノイド39の中心孔に挿入された可動プランジャー40の先端にハンマヘッド41を取着して形成され、該ハンマヘッド41側へ向けて前記可動プランジャー40が上傾するように前記取付基板38に固着される。そして、上傾する該可動プランジャー40の軸方向の延長線上に前記球案内通路16の始端部が位置するようになっている。
前記発射レール36は、その上面に球案内溝42が形成され、この球案内溝42が前記可動プランジャー40の軸方向の延長線上に一致するようにして該電磁ソレノイド39のハンマヘッド41側に固着される。発射レール36の基端部は、発射に供する遊技球が待機する球発射位置43となっており、該球発射位置43の上側後方には発射球ホルダ44が取着される。前記打球供給装置30の発射球送出孔33から送出された遊技球は、該球発射位置43にて発射球ホルダ44に保持され、前記打球発射装置35により発射される。発射レール36の先端部は、前記外レール13の球走行面13aの下端13bに臨むように離間している。これにより、発射レール36の先端部と外レール13の球走行面13aの下端13bとの間が開口され、該外レール13の球走行面13aを下向きに流下してきたファール球を落下させるファール球落下口Fが形成されている。
前記ファール球回収箱37は、ファール球落下口Fの下方に配設され、その上面に形成されたファール球受口45がファール球落下口Fと連通している。そして、該ファール球回収箱37は、一方の内側37aを前記発射レール36の先端側へ位置させると共に、他方の内側37bを前記外レール13の下端13bの下方に位置させて設けられている。これにより、ファール球回収箱37の内側37bの上端である内側縁37cは、外レール13の下端13bの略真下に位置している。また、ファール球回収箱37の底面37dは、前記内側37aから前記内側37bへ向かって下傾するように形成され、さらに、該底面37dの内側37b側には、パチンコ遊技機Pの前面側へ向けて下傾させたファール球誘導溝46が形成される。このファール球誘導溝46の下流端は、前記前板6を前記本体枠2に閉止したとき、前記ファール球回収装置31のファール球受入孔34に連通するようになっている。
なお、本実施形態では、ファール球回収箱37の内側37bを外レール13の下端13bの下方に設けることにより、該内側37bの上端である内側縁37cが、外レール13の下端13bの略真下に位置する構成を示したが、これに限るものではない。例えば、ファール球回収箱37の内側37aと内側37bとの距離を大きくとって該ファール球回収箱37を広幅に形成し、ファール球回収箱37の内側37bが、外レール13の下端13bよりも本体枠2の前面下部2aの軸支側に近付いて位置するように構成してもよい。この場合、外レール13の下端13bの下方には、ファール球回収箱37の底面37dが位置するようになる。
次に、本発明の第一実施形態の要部について詳しく説明する。前記外レール13は、遊技盤4の左下から左上を経由して右上に到達するように該遊技盤4の外周縁側へ膨らんだ円形状に湾曲している。そして、外レール13の球走行面13aの下端13bは、遊技盤4の左下部に位置している。この下端13bは、球案内通路16を下向きに流下してきたファール球が、外レール13の球走行面13aから離れて空中へ飛び出す位置となっている。また、該外レール13の幅(パチンコ遊技機Pの前後方向の幅)は、遊技球の直径よりも若干広い程度の幅となっており、前記遊技盤4と前記透明板8との間の距離が遊技球の直径に対して広くなり過ぎないようにしている。
前記収容ケース47は、合成樹脂等の材料により所定の厚みの外周殻を形成した部材であって、この外周殻により前記磁石部材48の周囲を覆うようになっている。収容ケース47の外周殻は、打球発射装置35から発射された遊技球やファール球落下口F付近で球暴れを起こした遊技球が衝突しても破損することがない程度の強度を有している。この収容ケース47は、外レール13の下端13bの下方であってファール球回収箱37の内側縁37cの上方に位置するように取着される。すなわち、外レール13の下端13bからファール球回収箱37へ落下する遊技球に対し、打球発射装置35とは反対側の側方に位置するようになっている。また、収容ケース47の取着位置は、前記打球発射装置35により発射された遊技球が前記外レール13の球走行面13aに最初に接触する衝突位置Iよりも下方となっている。つまり、収容ケース47は、打球発射装置35が発射した遊技球の飛走軌道からできるだけ離間するように配設されている。この収容ケース47のファール球回収箱37側の側面47aは、その上縁にて外レール13の球走行面13aに滑らかに接続されている。さらに、側面47aの中間部から下縁までは略鉛直状に形成されている。これにより、ファール球落下口Fへ飛び出したファール球は、収容ケース47の側面47aから離れてファール球回収箱37へ落下するようになっている。また、収容ケース47の奥行き幅は、外レール13の幅と略同じになっている。
前記磁石部材48は、前記収容ケース47の内部であって、該収容ケース47のファール球回収箱37側の側面47aよりも若干内側に配設される。つまり、磁石部材48は収容ケース47の外周殻によって覆われており、該磁石部材48は遊技球の直接の衝突から保護されるようになっている。また、磁石部材48は、収容ケース47内において上下方向に延びるように配設され、その磁極(S極またはN極)の一方は、収容ケース47の側面47a側に向けられている。これにより、磁石部材48は、その磁力によってファール球を収容ケース47の方向へ引き寄せるようになっている。さらに、磁石部材48は、ファール球回収箱37のファール球受口45に近い位置となる下流側において、収容ケース47の側面47aから徐々に離れるように湾曲されている。つまり、磁石部材48と該側面47aとの距離が徐々に拡大するようになっており、これにより、収容ケース47の下縁に近付くに従い、該磁石部材48が側面47aの方向へ及ぼす磁力が漸次弱くなるようになっている。
本発明は、上述した構成からなり、遊技者が打球力調整ハンドル28を手で回動させると、打球供給装置30から発射レール36の球発射位置43へ遊技球が一球ずつ送出されると共に、該打球力調整ハンドル28の回転量に応じた強度で打球発射装置35が該遊技球を発射する。発射された遊技球は、発射レール36の球案内溝42に案内されて該発射レール36の先端部から飛び出し、ファール球落下口Fを飛び越えて前記球案内通路16へ流入する。そして、該遊技球は、衝突位置Iにて外レール13の球走行面13aと最初に接触して反射され、さらに該外レール13に誘導されつつ球案内通路16内を上昇し、その終端より前記遊技領域15へ放出されるようになっている。
一方、前記打球発射装置35による遊技球の発射強度が不十分だと、該遊技球は遊技領域15へ到達できない。こうした場合、該遊技球は、ファール球となって球案内通路16を逆流して戻ってくる。このとき、ファール球は、図4に示したように、外レール13の球走行面13aに沿って該球案内通路16内を下向きに流下し、該外レール13の下端13bから空中へ飛び出す。そうすると、ファール球は、該ファール球に作用する重力により、前記ファール球受口45が設けられた下方へ向かって落下方向を変化させる。
さらに、このとき、ファール球には前記磁石部材48の磁力が作用し、該ファール球は、該磁石部材48側へ引き寄せられる。そうすると、ファール球は、前記打球発射装置35の方向へ向かう勢いが弱められ、これにより、落下方向がファール球受口45のある下方へ向けて変化し易くなることから、該ファール球回収箱37へ確実に誘導されるようになる。従って、ファール球がファール球落下口Fを逆向きに飛び超えて発射レール36の先端部に衝突し、跳ね返りによって、所謂、球暴れが発生してしまうことを防止できるようになる。また、このような球暴れによりファール球がファール球受口の上部付近に留まって、次に発射される遊技球と衝突してしまう事故を防止できる。そして、衝突の結果として生じてしまう発射不良や球詰まり等の不具合を防止できる。
また、前記磁石部材48は、前記打球発射装置35により発射された遊技球が前記外レール13に最初に接触する衝突位置Iよりも下側に設けられている。これにより、発射された遊技球が外レール13の衝突位置Iへ接触するまでは、該遊技球と磁石部材48とが接近し過ぎることがなくなり、所定の距離を保つようになる。すなわち、発射された遊技球と磁石部材48との間に距離が付与されることで、該遊技球に意図せず作用してしまう磁石部材48の引き寄せ力を低減できる。したがって、発射された遊技球に対しては、磁石部材48の磁力の作用で発射方向がずれてしまう等の悪影響を出来るだけ少なくすると同時に、ファール球に対しては、該磁石部材48の磁力を出来るだけ作用させてファール球回収の確実性を向上させることができる。
また、磁石部材48は、ファール球受口45へ近付くにつれて湾曲し、該収容ケース47の側面47aから次第に離れるように設けられている。そうすると、ファール球が外レール13の下端13b付近を流下しているときや、該下端13bから空中へ飛び出した直後は、該ファール球と該磁石部材48との距離が近いため、強い磁力で該ファール球が磁石部材48側へ引き寄せられる。これにより、ファール球は、前記打球発射装置35の方向へ向かう勢いが弱められ、その落下方向がファール球受口45のある下方へ向かうようになる。一方、ファール球がファール球受口45へ近付くに従い、前記磁石部材48とファール球との間の距離が次第に広がることから、該ファール球に作用する磁力が弱くなる。従って、ファール球の落下方向をファール球受口45へ曲げた後は、該ファール球をファール球受口45へ滞りなく落下させることができるようになる。これにより、ファール球の回収の効率や精度を向上させることができる。
さらに、前記磁石部材48は、合成樹脂製の収容ケース47の内部に設けられたことから、該磁石部材48は、遊技球が直接衝突しないように保護されている。これにより、磁石部材48の破損の恐れが無くなり、該磁石部材48の働きを長期間に亘り安定化させると共に、磁石部材48の保守および交換の回数や手間を低減させることができる。また、磁石部材48は、外レール13の下端13bの下方に設けられたことから、該磁石部材48が外レール13に対して及ぼす磁力は微弱である。従って、磁石部材48の磁力により外レール13が磁化されてしまうことが確実に防止される。
なお、上述した第一実施形態では、収容ケース47の内部に嵌め込んだ磁石部材48をファール球受口45へ近付くにつれて外レール13から次第に離れるように湾曲させた構成を示したが、これに限るものではない。例えば、強度の異なる複数の磁石部材48を収容ケース47に嵌め込み、その中で磁力が弱い磁石部材48を該収容ケース47内におけるファール球受口45に近い側へ配置させるようにしても同様の効果を達成できる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、上述した第一実施形態と同一の構成を多く有している。従って、同一の構成については同一の符号を付すことにより詳しい説明を省略し、相違する構成について説明する。図5は、本発明の第二実施形態を示す要部拡大正面図である。第二実施形態における外レール13の球走行面13aの下端13bには、ファール球回収箱37の内側縁37cに向かって延びる延長部13cが形成される。この延長部13cは、外レール13の下端13bから下方へ湾曲されると共に、ファール球回収箱37の内側縁37cへ向かい略鉛直状に形成されている。そして、磁石部材48を内部に設けた収容ケース47は、この延長部13cの外側面、すなわち、ファール球落下口Fとは反対側の面に取着される。収容ケース47の側面47aと外レール13の延長部13cの外側面とは密着しており、これにより、該収容ケース47の側面47aは、該延長部13cに覆われるようになっている。
第二実施形態におけるパチンコ遊技機では、上述したように、外レール13の延長部13cが収容ケース47の側面47aを覆うようになっている。従って、収容ケース47およびその内部の磁石部材48は、打球発射装置35から発射された遊技球やファール球落下口F付近で球暴れを起こした遊技球の衝突から保護されるようになる。これにより、磁石部材48の破損を防止して該磁石部材48の働きを長期間安定化させると共に、収容ケース47や磁石部材48の保守および交換の回数や手間を低減させることができる。また、磁石部材48は、収容ケース47内に嵌め込まれていることから、該磁石部材48と外レール13との間には、帯磁することのない合成樹脂が介在すると共に、若干の距離が隔てられるようになっている。これにより、磁石部材48の外レール13に対する磁力の影響を弱め、該外レール13が磁化されてしまうことを防止できるようになっている。さらに、上述した第二実施形態におけるパチンコ遊技機のように、外レール13の始端寄りに延長部13cが形成されている機種は多数存在するため、このような既存のパチンコ遊技機に対し、磁石部材48を後付けで簡単に配設できる利点がある。
次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、上述した第二実施形態と略同じ構成をしているため、同一の構成については同一の符号を付すことにより詳しい説明を省略し、相違する構成について説明する。図6は、本発明の第三実施形態を示す要部拡大正面図、図7は、同要部拡大断面図である。第三実施形態では、遊技盤4の前面視においてファール球落下口Fの下方、かつ、ファール球回収箱37の上方に位置させて、該遊技盤4の基材4aに前面から後面へ貫通する取付孔50が開設される。磁石部材51が内設された収容ケース52は、この取付孔50に嵌入され、セル板4bの後面側に位置するようになっている。収容ケース52は、合成樹脂製であって、その周側が取付孔50の内周縁と同形をしており、該取付孔50に隙間なく嵌合される。そして、取付孔50の後側の開口部に押え板53を取着することにより、収容ケース52は該取付孔50の内部に固定される。また、収容ケース52の前面側は、若干の隙間を介してセル板4bに覆われている。
磁石部材51は、収容ケース52の内部であって、その前面側から若干内側の位置に上下方向に設けられる。この磁石部材51は、図6に示したように、下部へ行くに従って、ファール球回収箱37のファール球受口45へ向かって下向きに湾曲しており、また、図7に示したように、下部へ行くに従ってセル板4bから離れるようにも湾曲している。そして、磁石部材51の磁極(S極またはN極)の一方は、遊技盤4の前面であるセル板4b側に向けられている。これにより、外レール13の球走行面13aの下端13bから落下する遊技球は、磁石部材51の磁力に引き寄せられて落下軌道が下方へ曲げられ、ファール球受口45へスムーズに導かれるようになる。
このような第三実施形態においては、例えば、遊技盤4の前面一側の隅部にあたる外レール13の外側面下方にコーナー装飾部材や遊技情報表示部材等が取着されていたとしても、これらの部材の邪魔にならないように磁石部材51を取り付けられる利点がある。すなわち、外レール13の外側面下方に磁石部材51以外の部材を任意に取着できるようになり、遊技盤4の装飾に関する設計の自由度を向上させることができる。また、磁石部材51は、外レール13から離れていることに加え、遊技盤4のセル板4b側に対し略垂直な方向に磁力を及ぼすようになっていることから、該磁力により外レール13が磁化されてしまうことを最小限に防止できる。さらに、押え板53を取り外せば、遊技盤4の後面側から収容ケース52を容易に出し入れできることから、該収容ケース52の保守作業や交換作業が簡単にできる利点がある。
なお、上述した第三実施形態では、磁石部材51を内設した収容ケース52が、遊技盤4の基材4aの内部であってセル板4bの後面側に位置するように設けられている構成を示したが、これに限るものではない。基材4aの前面にセル板4bを貼着せず、該基材4aの前面に外レールや内レールが一体形成された表面板を設けているパチンコ遊技機が存在する。このようなパチンコ遊技機では、磁石部材51を内設した収容ケース52は、遊技盤4の基材4aの内部であって表面板の後面側に位置するように設けられる。また、遊技盤4を所定厚みの透明な合成樹脂材料で形成すると共に、該遊技盤4の前面に外レールや内レールを一体形成したパチンコ遊技機も存在する。この場合、磁石部材51を内設した収容ケース52は、遊技盤4の前面と該収容ケース52の前面とが段差なく面一となるようにして該遊技盤4の内部に嵌め込まれる。または、遊技盤4の取付孔50を該遊技盤4の後面側のみが開口するように凹状に形成すると共に、収容ケース52を該取付孔50に嵌め入れるようにしてもよい。