JP5325377B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、エマルションに、ヒドラジン架橋を導入することにより、造膜性の向上と、形成塗膜の初期の乾燥性、耐久性の向上を図っている。
しかしながら、特許文献1の方法では、エマルション粒子表面の架橋反応、いわゆる粒子間架橋が主に進行すると考えられるため、エマルション粒子同士の融着が十分行われない場合がある。したがって、エマルション粒子間に微細な空隙が生じ、形成塗膜の表面がミクロ的にポーラスな状態となってしまい、塗膜の耐久性、耐候性に悪影響を及ぼすおそれがあった。
1.(A)カルボニル基を有する合成樹脂エマルション(カルボニル基含有水性ポリウレタン樹脂を除く)、
(B)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、
(C)ヒドラジド基含有水溶性化合物、を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
(A)成分と(C)成分における反応性官能基の組合せとしては、例えば、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、ヒドロキシル基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、アルコキシシリル基どうし等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸またはそのモノアルキルエステル等、あるいはこれらのアンモニウム塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。このうち、特にアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる1種以上が好適である。
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールアリルエーテル等が挙げられる。
カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル(イソ)ブチルケトン、アセトニルアクリレート、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2ーヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、タンジオールアクリレートアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等が挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジグリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のグリシジル基含有モノマー等が挙げられる。このうち、特に、(メタ)アクリル酸グリシジルが好適である。
他のモノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、
(メトキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリプロピレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル等のアルキレンオキサイド鎖含有モノマー、
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有モノマー、
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー、
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有モノマー、
メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー、
プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジンなどのヒドラジノ基含有モノマー、
ビニルオキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オタタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー、
スチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系モノマー、
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有モノマー、
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン等のその他のモノマー、
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、
ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤、
カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤、
エレミノールJS−2(三洋化成工業製)、エレミノールRS−30(三洋化成工業製)、ラテムルS−180A(花王製)、アクアロンHS−05(第一工業製薬製)、アクアロンRN−10(第一工業製薬製)、アデカリアソープSE−10N(旭電化製)等の反応性乳化剤等が挙げられる。
本発明では、特に、凍結安定性の面からポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤や、ノニオン性乳化剤の使用が好ましい。また耐水性等の面から反応性乳化剤の使用が好ましい。
なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。具体的には、動的光散乱測定装置として、マイクロトラック粒度分析計(例えば、UPA150、日機装株式会社製)を用い、検出された散乱強度をヒストグラム解析法のMarquardt法により解析した値であり、測定温度は25℃である。
なお本発明のガラス転移温度は、フォックス(FOX)の式より計算される値である。例えば、モノマー(1)及びモノマー(2)からなる2成分系において、それぞれのホモポリマーのガラス転移点Tg(1)およびTg(2)が分かっている場合には、該モノマー(1)及び(2)の2成分からなる共重合体のガラス転移点Tgは、次式に示すフォックス(FOX)の式(2成分)により計算値として求めることができる。
1/Tg=W(1)/Tg(1)+W(2)/Tg(2)(但し、W(1)+W(2)=1)
W(1):モノマー(1)の重量分率、W(2):モノマー(2)の重量分率、Tg(1):モノマー(1)のホモポリマーのTg値(単位:K)、Tg(2):モノマー(2)のホモポリマーのTg値(単位:K)
本発明におけるポリマーのTg値は上記の式を多成分系に一般化した式により計算したものである。
カルボジイミド基を含む化合物として、特開平10−60272号公報、特開平10−316930号公報、特開平11−60667号公報等に記載のもの等、
エポキシ基を含む化合物として、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等、
アジリジン基を含む化合物として、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等、
オキサゾリン基を含む化合物として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の重合性オキサゾリン化合物を該化合物と共重合可能な単量体と共重合した樹脂等、
イソシアネート基を含む化合物として、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等、あるいはこれらの誘導体等、
アミノ基を含有する化合物として、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン等の脂肪族アミノ基含有化合物;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、DBU等の脂環族アミノ基含有化合物;メタフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミノ基含有化合物;m−キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミノ基含有化合物等、
ヒドラジド基を含む化合物として、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等、
アルコキシシリル基を含有する化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン等、あるいはこれらの縮合物等、または、カルボキシル基、水酸基、スルホン基、オキシアルキレン基等を含有する化合物等、
が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
そのメカニズムは明らかではないが、おそらく次のようなメカニズムではないかと考えられる。
つまり、通常(C)成分は、水溶性の化合物であるため、(A)成分における合成樹脂エマルション粒子中と水等の媒体中とでは、水等の媒体中に多く存在する。したがって、(A)成分と(C)成分の反応は、主に合成樹脂エマルション粒子表面で進行することとなり、粒子間架橋が形成されると考えられる。このような場合、合成樹脂エマルション粒子同士の融着が十分行われず、エマルション粒子間に微細な空隙が生じ、形成塗膜の表面がミクロ的にポーラスな状態となってしまい、塗膜の物性(耐久性、耐候性や、汚れ除去性、下地への追従性等)に悪影響を与える恐れがある。
このような系に(B)成分を加えると、(B)成分が合成樹脂エマルション粒子中に入り込み、合成樹脂エマルション粒子同士の融着を促進し、緻密な塗膜を形成し、塗膜の物性に優れる塗膜を得ることができるものと考えられる。
さらに、(B)成分と(C)成分はある程度の親和性があり、(B)成分が合成樹脂エマルション粒子中へ移動する際にある特定量の(C)成分も合成樹脂エマルション粒子中へ移動するものと考えられる。このようして移動した(C)成分が(A)成分と、合成樹脂エマルション粒子内部で反応するため粒子内部架橋が起こるものと考えられる。
よって、(B)成分を加えることにより、(A)成分と(C)成分の反応が、合成樹脂エマルション粒子表面(粒子間架橋)、及び、合成樹脂エマルション粒子内部(粒子内部架橋)の両方で進行することにより、緻密な塗膜を形成し、初期の乾燥性、耐久性に優れ、かつ造膜性にも優れる水性塗料組成物が得られるものと考えられる。
溶解度パラメータが7.5(cal/cm3)1/2より小さい場合、(B)成分は合成樹脂エマルション粒子の中心付近に集まる傾向があるため、上記効果が得られにくい。また、溶解度パラメータが9.5(cal/cm3)1/2より大きい場合、(B)成分は合成樹脂エマルション粒子内部の粒子表面付近に集まる傾向があるため、上記効果が得られにくい。
(B)成分の水への溶解度が、3.0g/100g未満(好ましくは1.0g/100g以下、さらに好ましくは0.5g/100g以下)であることにより、(B)成分は、(A)成分の媒体中と合成樹脂エマルション粒子とでは、合成樹脂エマルション粒子内部にリッチに存在する。
(B)成分の沸点は、250℃以上(好ましくは260℃以上、さらに好ましくは270℃以上)である。250℃以上であることにより、上述した効果を確実に得ることができる。250℃より低い場合、早期に揮発してしまい、緻密な塗膜が形成されにくく、耐久性に劣る場合がある。また、揮発性有機化合物(VOC)等の環境面においても、好ましいものではない。
(D)成分の含有量は、(A)成分の固形分100重量部に対し、30重量部以下(好ましくは0.1重量部〜20重量部)であることが好ましい。(D)成分が30重量部より多いと、耐久性、耐水性に劣る傾向がある。
このような(D)成分としては、例えば、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等が挙げれられる。
(E)成分の含有量は、(A)成分の固形分100重量部に対し、30重量部以下(好ましくは0.1重量部〜20重量部)であることが好ましい。(E)成分が30重量部より多いと、耐久性、耐水性に劣る傾向がある。
このような(E)成分としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等が挙げれられる。
本発明では、必要に応じ、造膜助剤その他の揮発性有機化合物を混合することもできるが、その含有量は塗料中に5重量%未満(さらには1重量%未満)とすることが好ましい。本発明は、造膜助剤等の揮発性有機化合物がこのような低含有量であっても、優れた造膜性を示すことができる。
・溶剤A:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(水への溶解度:0.001g/100g以下、溶解度パラメータ:8.5、沸点:280℃)
・溶剤B:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(水への溶解度:0.5g/100g、溶解度パラメータ:9.6、沸点:253℃)
・溶剤C:トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(水への溶解度:3.1g/100g、溶解度パラメータ:8.1、沸点:274℃)
・溶剤D:エチレングリコールモノブチルエーテル(水への溶解度:∞、溶解度パラメータ:9.2、沸点:171℃)
・溶剤E:ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(水への溶解度:0.3g/100g、溶解度パラメータ:9.8、沸点:277℃)
・反応性官能基含有化合物:アジピン酸ジヒドラジド(水への溶解度:8.5g/100g)
合成樹脂エマルションA50重量部、溶剤A3重量部、反応性官能基含有化合物3重量部、酸化チタン分散液(酸化チタン60重量%)35重量部、水10重量部、消泡剤0.5重量部加え、プロペラ型攪拌羽根で30分間攪拌することにより水性塗料組成物1を製造した。得られた水性塗料組成物1について、次の各種試験を行った。
作製した水性塗料組成物1を20℃、65%RH(以下、「標準状態」という)にて、150×120×3mmの透明なガラス板にWET膜厚が150μmとなるようにアプリケーター引きし、水浸漬したときに、塗膜が流出しなくなるまでの時間を測定した。
その結果、約20分で塗膜が流出しなくなった。
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m2塗付し、温度23℃、相対湿度50%(以下、「標準状態」ともいう。)で24時間養生し、さらにその上に、アクリル樹脂(Tg:−30℃)、酸化チタン、炭酸カルシウム、寒水石を主成分とする外装厚塗材E(樹脂含有量23重量%)をスプレーで2kg/m2塗付し、標準状態で24時間養生させた後、水性塗料組成物1を刷毛にて500g/m2塗付し、温度2℃で24時間乾燥させた。24時間後の塗膜の割れの有無を目視にて評価した。結果は「○」であった。
◎:塗膜の割れ数0
〇:塗膜の割れ数1〜5
△:塗膜の割れ数6〜10
×:塗膜の割れ数11以上
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m2塗付し、標準状態で24時間養生させた後、水性塗料組成物1をスプレーにて300g/m2塗付し、標準状態で14日間乾燥させた。耐久性試験では、14日間乾燥後、23℃の水に240時間浸漬し、192時間浸漬前後の光沢度を、光沢度計(日本電色工業株式会社製)にて測定し、光沢保持率を算出することによって評価した。評価は次の通りである。結果は「◎」であった。
◎:光沢保持率80%以上
○:光沢保持率70以上以上80%未満
△:光沢保持率60以上以上70%未満
×:光沢保持率60%未満
合成樹脂エマルションA50重量部、溶剤A3重量部、溶剤C1重量部、反応性官能基含有化合物3重量部、酸化チタン分散液(酸化チタン60重量%)35重量部、水10重量部、消泡剤0.5重量部加え、プロペラ型攪拌羽根で30分間攪拌することにより水性塗料組成物2を製造した。得られた水性塗料組成物2について、実施例1と同様の試験を行った。
初期乾燥性試験の結果、約20分で塗膜が流出しなくなった。
造膜性試験の結果は「○」であった。
耐久性試験の結果は「◎」であった。
合成樹脂エマルションA50重量部、溶剤A3重量部、溶剤B1重量部、反応性官能基含有化合物3重量部、酸化チタン分散液(酸化チタン60重量%)35重量部、水10重量部、消泡剤0.5重量部加え、プロペラ型攪拌羽根で30分間攪拌することにより水性塗料組成物3を製造した。得られた水性塗料組成物3について、実施例1と同様の試験を行った。
初期乾燥性試験の結果、約20分で塗膜が流出しなくなった。
造膜性試験の結果は「◎」であった。
耐久性試験の結果は「◎」であった。
合成樹脂エマルションA50重量部、溶剤A3重量部、溶剤B0.5重量部、溶剤C0.5重量部、反応性官能基含有化合物3重量部、酸化チタン分散液(酸化チタン60重量%)35重量部、水10重量部、消泡剤0.5重量部加え、プロペラ型攪拌羽根で30分間攪拌することにより水性塗料組成物4を製造した。得られた水性塗料組成物4について、実施例1と同様の試験を行った。
初期乾燥性試験の結果、約20分で塗膜が流出しなくなった。
造膜性試験の結果は「◎」であった。
耐久性試験の結果は「◎」であった。
合成樹脂エマルションA50重量部、溶剤A3重量部、溶剤E1重量部、反応性官能基含有化合物3重量部、酸化チタン分散液(酸化チタン60重量%)35重量部、水10重量部、消泡剤0.5重量部加え、プロペラ型攪拌羽根で30分間攪拌することにより水性塗料組成物3を製造した。得られた水性塗料組成物3について、実施例1と同様の試験を行った。
初期乾燥性試験の結果、約20分で塗膜が流出しなくなった。
造膜性試験の結果は「◎」であった。
耐久性試験の結果は「◎」であった。
溶剤Aを溶剤Bに替えた以外は、実施例1と同様の方法で、水性塗料組成物を得、同様の試験を行った。
初期乾燥性試験の結果、塗膜が流出しなくなるのに約30分以上かかってしまった。
造膜性試験の結果は「◎」であった。
耐久性試験の結果は「◎」であった。
溶剤Aを溶剤Cに替えた以外は、実施例1と同様の方法で、水性塗料組成物を得、同様の試験を行った。
初期乾燥性試験の結果、その結果、約20分で塗膜が流出しなくなった。
造膜性試験の結果は「△」であった。
耐久性試験の結果は「△」であった。
溶剤Aを溶剤Dに替えた以外は、実施例1と同様の方法で、水性塗料組成物を得、同様の試験を行った。
初期乾燥性試験の結果、その結果、約20分で塗膜が流出しなくなった。
造膜性試験の結果は「△」であった。
耐久性試験の結果は「△」であった。
Claims (1)
- (A)カルボニル基を有する合成樹脂エマルション(カルボニル基含有水性ポリウレタン樹脂を除く)、
(B)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、
(C)ヒドラジド基含有水溶性化合物、を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
Priority Applications (1)
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