JP5324775B2 - キャリアヘッド用キャリアリング - Google Patents

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Description

背景
[0001]本発明は、一般的に、基板の化学的機械的研磨に関し、より具体的には、化学的機械的研磨に用いるキャリアヘッドに関する。
[0002]集積回路は、典型的には、導電層、半導電層又は絶縁層のシリコン基板上への逐次的堆積によって、基板上に形成される。1つの製造ステップは、非平坦面を覆って充填層を堆積させることと、非平坦面が露出するまで、充填層を平坦化することとを伴う。例えば、導電性充填層を、パターン化された絶縁層上に堆積して、絶縁層中のトレンチ又はホールを充填することができる。次いで、充填層は、絶縁層の隆起したパターンが露出するまで研磨される。平坦化の後、絶縁層の隆起したパターンの間に残る導電層の部分は、基板上の薄膜回路間に導電路を提供するビア、プラグ及びラインを形成する。加えて、平坦化は、フォトリソグラフィのために基板表面を平坦化するのに必要である。
[0003]化学的機械的研磨(CMP)は、平坦化の1つの一般に認められた方法である。この平坦化方法は、典型的には、基板を、CMP装置のキャリアヘッド又はポリシングヘッドに取り付けることを要する。基板の露出した面は、回転ポリシングディスクパッド又はベルトパッドと対向して置かれる。ポリシングパッドは、標準的なパッド又は固定された研磨パッドのいずれかとすることができる。標準的なパッドは、耐久性のある粗面を有するのに対して、固定研磨パッドは、閉じ込め媒体内に封じ込められた研磨粒子を有する。キャリアヘッドは、制御可能な負荷を基板に提供し、基板を研磨パッドに押し付ける。キャリアヘッドは、ポリシング中に所定の位置に基板を支える保持リングを有する。少なくとも1つの化学反応性薬剤及び研磨粒子を含むスラリー等の研磨液が、研磨パッドの表面に供給される。
概要
[0004]一態様では、保持リングアセンブリについて説明する。保持リングアセンブリは、環状チャンバを提供するように形作られたフレキシブル膜と、フレキシブル膜の下に配置された環状保持リングとを有する。フレキシブル膜は、同心の内側及び外側側壁と、内側及び外側側壁の上部エッジから水平方向に延びる環状同心リム部と、環状下面と、環状下面から下へ延びる2つの環状同心突出部とを有する。環状保持リングは、基板のエッジを取り囲んで基板を保持するように構成された内面と、研磨パッドに接触するように構成された下面と、環状上面と、環状上面内の2つの環状同心凹部とを有する。フレキシブル膜の環状同心突出部は、環状保持リングの環状同心凹部に嵌合するように寸法付けられている。
[0005]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。フレキシブル膜の同心内側及び外側側壁は、保持リングの上環状面の下に延びる湾曲部を有してもよい。フレキシブル膜の環状同心リム部及び環状同心突出部は、内側及び外側側壁よりも厚くてもよい。フレキシブル膜の環状下面は、各々が、環状下面から下に延びる2つの環状同心突出部の間に配置された複数の円形ホールを有することができる。保持リングの環状上面は、各々が、2つの環状同心凹部の間に配置されて、フレキシブル膜が、保持リングを締結部材で保持リングに固着できるようにする複数の円形凹部を有することができる。フレキシブル膜は、キャリアヘッドにクランプすることができる。フレキシブル膜は、シリコン等の弾性材料で形成することができる。環状保持リングは、環状下面と、環状上面と、上部と下部との間の接合層とを有することができる。保持リングの環状下部は、複数の溝を有することができる。保持リングの環状上部は、その外面に沿って環状リップ部を有することができ、環状リップ部は、水平下面と、垂直外面と、非水平方向上面とを有する。保持リングの環状上面は、下環状面と上環状面とを有することができ、下環状面は、上環状面よりも幅が広い。
[0006]別の態様においては、保持リングについて説明する。保持リングは、基板のエッジを取り囲んで基板を保持するように構成された内面を有する環状リングと、研磨パッドに接触するように構成された下面と、環状上面と、環状上面内の2つの環状同心凹部と、各々が、2つの環状同心凹部の間に配置された複数の円形凹部とを含む。
[0007]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。環状リングは、下面を有する環状下部と、上面を有する環状上部とを有することができ、上部及び下部は、異なる材料で形成してもよく、また、上部は、例えば、接合層によって下部に結合することができる。環状下部は、上部内の対応する凹部内に延びる突出部を有することができ、突出部は、保持リングの内面に沿って延びることができる。上部は、下部よりも硬くしてもよい。保持リングの下環状面は、保持リングの上環状面よりも幅を広くしてもよい。下面は、内面から外面へ延びる複数の溝を含むことができる。保持リングの外面は、環状リップ部を有することができる。環状リップ部は、水平方向の下面と、傾斜した上面とを有することができる。外面は、環状リップ部の上で凹ませてもよい。内面は、底部から上部へ内方にテーパー状になっている領域を含んでもよい。
[0008]別の態様においては、保持リングに負荷をかけるフレキシブル膜について説明する。フレキシブル膜は、環状チャンバを囲む同心の内側及び外側側壁と、内側及び外側側壁の上部エッジから水平方向に延びる環状同心リム部と、側壁に接続された環状下面と、環状下面から下へ延びる2つの環状同心突出部とを含む。
[0009]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。フレキシブル膜の同心の内側及び外側側壁は、環状下面の下に延びる湾曲部を有してもよい。フレキシブル膜の環状同心リム部及び環状同心突出部は、内側及び外側側壁よりも厚くてもよい。フレキシブル膜の環状下面はさらに、各々が、2つの環状同心突出部の間に配置された複数のホール、例えば、円形ホールを含むことができる。ホールは、下面の周りに等角で離間させることができる。フレキシブル膜は、弾性材料、例えば、シリコンで形成される。
[0010]別の態様においては、キャリアリングについて説明する。キャリアリングは、保持リングを取り囲むように構成された内面を有する環状リングと、研磨パッドに接触するように構成された下面と、キャリアヘッドに取り付けられるように構成された上面とを含む。内面は、第1の領域に隣接しかつ第1の領域の上の内面の第2の領域よりも小さな内径を有する、下面に隣接した第1の領域を含む。
[0011]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。下面は、上面よりも小さい内径を有することができる。キャリアリングの外面は、下面に隣接した凹部を有することができる。凹部は、水平下面と、垂直面と、水平下面と垂直面とを接続する傾斜部とを含むことができる。垂直面は、下面から傾斜部まで延びてもよい。凹部は、外面内に環状段部を画成してもよく、また、環状段部は、下面から延びる第2の垂直面と、垂直面と第2の垂直面とを接続する第2の水平下面とを有することができる。上面の内径縁部及び外径縁部は丸くすることができる。複数の円筒形凹部を上面内に形成してもよい。複数の円筒形凹部は、上面の周りに等角で離間させることができる。下面は、内面から外面へ延びる複数の溝を含むことができる。キャリアリングは、同じ材料、例えば、プラスチックで作製された単一のユニットとすることができる。キャリアリングは、下部を上部に結合した状態で、上面を有する環状上部と、下面を有する環状下部とを含むことができる。キャリアリングの環状上部及び環状下部は、異なる材料で形成することができ、例えば、上部は金属で形成することができ、下部は、プラスチック、例えば、ポリアミドイミドで形成することができる。接合層は、上部と下部とを接続することができる。環状下部は、上部内の環状凹部内に延びている環状突出部を含むことができ、環状突出部は、内面に沿って延びることができる。凹部は、水平上面と、内壁と、水平上面と内壁との間の丸みのあるエッジとを画成することができる。内面は、下面に隣接して内方に突出する段部を有することができる。段部は、垂直内壁と水平上面とを有することができる。内面は、底部から、内方に突出する段部に向かって内方にテーパー状にしてもよい。キャリアリングは、上面に隣接して内方に突出する縁部を有することができる。縁部は、垂直内壁と、その上及び下エッジに沿った丸みのある部分とを有することができる。内面は、上部から縁部の下の底部まで内方にテーパー状にしてもよい。
[0012]別の態様においては、キャリアリングについて説明する。キャリアリングは、ベースの下に配置されるように構成された環状上部と、環状下部とを有する。キャリアリングは、保持リングを取り囲むように構成され、また、研磨パッドに接触するように構成された下面を有する。環状上部は、その上面のエッジ及びその内径及び外径に沿った丸みのある部分を有する。環状下部は、その外径に沿った凹部と、環状上部の上面よりも小さい内径を有する下面とを有する。
[0013]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。キャリアリングは、ベースに取り付けることができる。キャリアリングは、基板のエッジに接触しないように構成することができる。環状上部は、その上面に、複数の円筒形凹部を有することができる。環状下部は、複数の溝を有することができる。キャリアリングの環状上部及び環状下部は、プラスチック等の同じ材料で形成された単一のユニットとすることができる。下部は、その外径に沿って凹部から外方に突出する環状段部を含むことができる。環状段部は、水平下面を有することができる。環状下部の径方向断面に沿って測定した場合の環状段部の最も幅が広い部分は、環状段部の最も外側のエッジにある。環状上部及び環状下部は、これら2つの部分の間に接合層がある状態で、異なる材料で形成することができる。環状上部は、その内径に沿ったその下面内に凹部を有することができ、また、環状下部は、その内径に沿ったその上面から上へ突出する環状突出部を有することができ、突出部は、凹部に嵌合するように寸法付けられる。環状上部の内径に沿った凹部は、水平上面と、内壁に沿った丸みのある部分とを有することができる。環状上部は、その上面の内径に沿った内方に突出する縁部を有することができ、縁部は、垂直内壁と、その上及び下エッジに沿った丸みのある部分とを有することができる。
[0014]別の態様においては、フレキシブル膜について説明する。フレキシブル膜は、基板取り付け面を提供する下面を有する主部と、主部の外縁部から延びる外側環状部とを有する。主部と外側環状部との接合点は、周縁ヒンジと、外側環状部の外壁に沿ったヒンジの上の環状凹部とを有する。周縁ヒンジは、丸みのある内面及び外面を有し、適合するように構成される。
[0015]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。外側環状部は、その外壁に沿った環状凹部と、その内壁に沿って内方に突出する環状段部とを有することができる。環状凹部は、環状部が曲がることを可能にすることができる。環状段部は、非水平の上面及び下面を有することができる。フレキシブル膜は、外側環状部に接続された2つの環状フラップと、主部に接続された4つの同心環状フラップとを有することができる。外側環状部に接続された2つの環状フラップは、内方に延びる水平部と、厚いリム部とを有することができる。リム部は、ベースアセンブリに固着されるように構成することができる。上環状フラップは、下環状フラップよりも幅が狭い水平部を有することができる。主部に接続された最も内側の同心環状フラップは、外側に延びる水平部と、水平部の外縁部に沿った厚いリム部と、主部と水平部の間に結合された環状傾斜部とを有することができる。環状傾斜部は、水平部との接合点よりも、主部との接合点においてより大きな半径を有することができる。主部に接続された外側の3つの同心環状フラップは、それぞれ、主部から延びる垂直部と、垂直部から延びる水平部と、水平部の外縁部に沿った厚いリム部とを有することができ、厚いリム部は、ベースアセンブリに固着することができる。水平部は、主部に接続された外側の3つの同心環状フラップのうちの少なくとも1つの垂直部よりも小さい厚さを有することができる。主部に接続された第2及び第3の外側の同心環状フラップは、約1.5〜2.0の水平部の長さと垂直部の長さの比を有することができる。主部に接続された外側の3つの同心環状フラップのうちの少なくとも1つは、水平部と垂直部の間の接合点に切り欠きを含むことができ、切り欠きは、水平部が垂直方向に曲がることを可能にすることができる。同心環状フラップのうちの少なくとも1つは、主部との接合点に切り欠きを含むことができ、切り欠きは、主部における圧迫を低減することができる。
[0016]別の態様において、本発明は、前面と裏面とエッジとを有する基板の化学的機械的研磨用のキャリアヘッドに注力する。キャリアヘッドは、ベースアセンブリと、ベースアセンブリの下に配置された環状保持リングと、ベースアセンブリの下で、かつ環状保持リングの上に配置された環状チャンバを提供するように形作られた第1のフレキシブル膜と、保持リングを取り囲み、かつ研磨パッドに接触するように構成されたキャリアリングと、第2のフレキシブル膜とを有し、ベースアセンブリと第2のフレキシブル膜との間の空間は、6つの加圧可能なチャンバを形成する。環状保持リングは、環状上面内の2つの環状同心凹部と、研磨パッドに接触するように構成された下面と、基板のエッジを取り囲んで基板を保持するように構成された内面とを有する。第1のフレキシブル膜は、環状下面から下へ延びる2つの環状同心突出部を有し、環状同心突出部は、環状保持リングの環状同心凹部に嵌合するように寸法付けられている。キャリアリングは、環状上部と環状下部とを有し、下部は、その外径に沿って凹部を有する。第2のフレキシブル膜は、基板取り付け面を提供する下面を有する主部と、主部の外縁部から延びる外側環状部とを有し、主部と外側環状部との接合点は、周縁ヒンジと、外側環状部の外壁に沿ったヒンジの上の環状凹部とを備える。周縁ヒンジは、丸みのある内面及び外面を有し、適合するように構成される。
[0017]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。キャリアヘッドは、駆動軸に固着されるハウジング部をさらに含むことができ、ベースアセンブリは、ハウジング部に接続することができる。キャリアリングは、下向きの圧力を研磨パッドに加えるように構成することができる。キャリアリングによって加えられる下向きの圧力は、保持リングによって加えられる下向きの圧力よりも大きくてもよい。キャリアリングは、保持リングよりも硬い材料で形成することができる。キャリアリングの環状下部内の溝は、少なくとも保持リングの環状下部内の溝と同程度の幅とすることができる。キャリアヘッドは、アルミニウムからなるコーティングを有してもよい。第2のフレキシブル膜は、複数の環状フラップを有することができ、この場合、環状フラップのうちの少なくとも1つは、主部における圧迫を低減するために、少なくとも1つのチャンバから、環状フラップのうちの少なくとも1つを介して膜の主部に伝わる下向きの負荷を低減するように配置及び構成された切り欠きを含むことができる。第2のフレキシブル膜は、複数の環状フラップを有することができ、この場合、環状フラップのうちの少なくとも1つは、圧力が隣接する加圧可能なチャンバにおいて等しくない場合に、環状フラップのうちの少なくとも1つを曲がることを可能にするように適合された切り欠きを含むことができる。
[0018]別の態様においては、研磨パッド上の基板の化学的機械的研磨用のキャリアヘッドについて説明する。キャリアヘッドは、ベースと、環状保持リングと、キャリアリングとを有する。保持リングは、基板のエッジを取り囲んで基板を保持するように構成された内面と、外面と、研磨パッドに接触するように構成された下面とを有する。キャリアリングは、保持リングを取り囲む内面と、外面と、研磨パッドに接触する下面とを有する。保持リングの下面は保持リングの内面から保持リングの外面へ延びる複数の溝を有し、キャリアリングの下面は、キャリアリングの内面からキャリアリングの外面へ延びる複数の溝を有し、キャリアリングの下面内の複数の溝は、保持リングの下面内の複数の溝よりも幅が広い。
[0019]本発明の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。キャリアヘッドは、基板取り付け面を有する基板裏当て部材と、基板に対する基板取り付け面からの負荷とを含むことができ、研磨パッドに対する保持リングからの負荷と、研磨パッドに対するキャリアリングからの負荷は、別々に調節可能とすることができる。基板裏当て部材は、フレキシブル膜を含むことができる。キャリアリングの下面内の複数の溝は、その幅を、保持リングの下面内の複数の溝の幅の2倍程度にすることができる。キャリアリングの下面内の複数の溝は、保持リングの下面内の複数の溝と位置合わせすることができる。
[0020]本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的及び効果は、説明及び図面から、及びクレームから明確に理解できるであろう。
詳細な説明
[0033]各図において、同様の参照符号は、同様の要素を指し示す。
[0034]図1を参照すると、基板10は、キャリアヘッド100を有する化学的機械的研磨(CMP)装置によって研磨される。CMP装置の説明は、米国特許第5,738,574号に見つけることができ、特許の開示全体を本明細書に組み入れる。
[0035]キャリアヘッド100は、ハウジング102と、ベースアセンブリ104と、(ベースアセンブリ104の一部と見なしてもよい)ジンバル機構106と、ローディングチャンバ108と、保持リング200と環状チャンバ350を提供するように形作られた第1のフレキシブル膜300とを含む保持リングアセンブリと、キャリアリング400と、複数の加圧可能なチャンバを画成する第2のフレキシブル膜500を含む基板裏当てアセンブリ110とを含む。同様のキャリアヘッドについて記載されたキャリアヘッドの他の特徴は、米国特許出願公開第2006/0154580号に見つけることができ、特許の開示全体を参照として本明細書に組み入れる。
[0036]ハウジング102は、一般的に、形状を円形とすることができ、ポリシング中に一緒に回転させるために、駆動軸に接続することができる。キャリアヘッド100の空気制御のために、ハウジング102を貫通して延びる流路(図示せず)があってもよい。ベースアセンブリ104は、ハウジング102の下に置かれた垂直方向に移動可能なアセンブリである。ジンバル機構106は、ベースアセンブリ104がハウジング102に対してジンバルすることを可能にすると共に、ハウジング102に対するベースアセンブリ104の横方向の動きを防止する。ローディングチャンバ108は、負荷、すなわち、下向の圧力又は重量をベースアセンブリ104に加えるために、ハウジング102とベースアセンブリ104との間に置かれている。研磨パッドに対するベースアセンブリ104の垂直方向位置も、ローディングチャンバ108によって制御される。基板裏当てアセンブリ110は、基板10のための取り付け面を提供することができる下面512を持つフレキシブル膜500を含む。
[0037]図2A〜図3Bを参照すると、基板10は、ベースアセンブリ104にクランプされた保持リングアセンブリによって支えることができる。保持リングアセンブリは、保持リング200と、環状チャンバ350を提供するように形作られたフレキシブル膜300とから構成することができる。保持リング200は、フレキシブル膜300の下に配置することができ、また、フレキシブル膜300に固着するように構成することができる。
[0038]図2A〜図2Cに示すように、保持リング200は、内面231と下面232とを有する。内面231は、ポリシング中に、基板10のエッジを取り囲んで基板を保持するように構成することができる。保持リング200の下面232は、研磨パッドに接触させることができる。保持リング200は、2つの環状同心凹部233を有することができる環状上面を有する。環状同心凹部233は、保持リング200の上に配置されるフレキシブル膜300とかみ合うような大きさに寸法付けることができる。
[0039]保持リング200は、2つのリング、すなわち、下環状部234と上環状部235とから構成することができる。下部234は、プラスチック、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の、CMPプロセスにおいて化学的に不活性である材料で形成することができる。また、下部は、耐久性があり、低摩耗率を有していなければならない。加えて、下部は、基板の保持リングに対する接触が、基板を欠損させたり、ひび割れさせたりしないように、十分に圧縮性でなければならない。一方、下部は、弾力性のために、保持リングに対する下向きの圧力が、下部を基板収容凹部中に押し出すことがないようにすべきである。保持リングの下部は、基板ローディングシステムの位置決め許容範囲に適合するように、基板の直径よりも少しだけ大きい、例えば、基板の直径よりも1〜2mm程度大きい内径を有することができる。保持リングは、約0.5インチの半径方向幅を有することができる。
[0040]保持リング200の上部235は、下部234よりも硬い材料で形成することができる。硬い材料は、金属、例えば、ステンレス鋼、モリブデン、又はアルミニウム、あるいは、セラミック、例えば、アルミナ又は他の例示的な材料とすることができる。
[0041]保持リングの2つのリング234、235を合わせた場合、下部234の上面は、上部235の下面に隣接して配置される。2つのリングは、一般的に、2つのリング234、235が、合わされたときに2つのリング234、235が合わさる同一平面を形成するように、隣接する面上の内径及び外径において、実質的に同じ寸法を有する。
[0042]2つの環状部は、これらの隣接面の間に接合層236を取り付けることができる。2つのリングの間の接合層236は、スラリーの保持リング内への捕捉を防ぐことができる。接合層は、遅硬性又は速硬性エポキシ等の接着材料で作製することができる。接合層236の高温エポキシレジスト劣化は、ポリシングプロセス中の高熱による。特定の実施において、エポキシは、ポリアミド及び脂肪族アミンを含む。
[0043]上部235の上面は、保持リング200を保持リングの上に配置されたフレキシブル膜300に固着する、ボルト、ねじ又は他の金物類等の締結部材を収容するねじシース(図示しない)を有する円筒形凹部又はホール212を含むことができる。ホール212は、保持リングの周りに等間隔で離間させることができ、2つの環状同心凹部233の間に配置される。
[0044]幾つかの実施において、保持リング200は、下面232内に形成された1つ以上のスラリー移送チャネル222を有する。スラリー移送チャネルは、ポリシング中にスラリーが、保持リングの外部から内部へ流れることができるようにするために、下部234の内径から外径へ延びている。スラリー移送チャネル222は、保持リングの周りに等間隔で離間させることができる。各スラリー移送チャネル222は、チャネルを通る半径に対して斜めに、例えば、45°オフセットすることができる。チャネルは、約0.125インチの幅を有することができる。
[0045]幾つかの実施において、保持リング200は、流体、例えば、空気又は水が、ポリシング中に保持リングの内部から外部へ、又は、外部から内部へ流れることができるようにするために、保持リングの本体を貫通して内径から外径まで延びる1つ以上のスルーホールを有する。スルーホールは、上部235を貫通して延びることができる。スルーホールは、保持リングの周りに等間隔で離間させることができる。
[0046]幾つかの実施において、保持リングの上部235は、その外面238に沿ってリップ部237を有することができる。リップ部は、水平下面と、垂直外面と、傾斜した非水平上面とを有することができる。リップ部237は、保持リングが基板ポリシング中に摩耗した際のキャリアリング400の上部内縁に対する保持リングのためのハードストップを提供することができる。
[0047]幾つかの実施において、上部235の外面238は、リップ部237の上に凹部246を形成することができる(リップ部の上の外面の部分は、リップ部の下の外面の部分に対して凹んでいる)。この凹部246は、チャンバ350が排気されるときに回転するように、フレキシブル膜300の側壁324のためのスペースを提供する。
[0048]幾つかの実施において、保持リングの上部235は、その下面において、その上面よりも幅を広くすることができる。例えば、内面231は、垂直領域242の下で上部から底部へ内方に傾斜した(すなわち、徐々に小さくなっていく直径を有する)テーパー状領域240を有することができる。テーパー状領域240は、上部235の下面に隣接することができる。下部234の内面は、垂直にすることができる。保持リングの下部が基板ポリシング中に摩耗する際、保持リングの上のより狭い内面は、基板取り付け面を提供する隣接するフレキシブル膜に対する摩耗を防ぐ。加えて、幾つかの実施において、保持リングの外面全体は、汚れがすぐに落ちるコーティング、例えば、パリレンで被覆することができる。
[0049]図2Dに示す幾つかの実施において、下部234の上面は、上部235の下面内の対応する凹部内に延びる突出部244を有する。突出部244は、例えば、保持リングの周りに延びる環状とすることができ、また、段状部材を提供するために、保持リングの内面に配置することができる。接合層236は、突出部244の外側垂直壁に沿って延びることができる。動作中、この段状部材は、研磨パッドから下部234に対するせん断力を、突出部244の垂直壁230に対する側方力と、接合層236の関連する部分に対する圧縮力とに変換する。テーパー状領域240は、突出部244に隣接する上部235の一部として図示してあるが、テーパー状領域240は、下部234の一部とすることができ、例えば、突出部244の内面をテーパー状にすることができる。
[0050]保持リング200及びフレキシブル膜300は一緒になって保持リングアセンブリを形成する。フレキシブル膜300は、ベースアセンブリ104の上にクランプされ、環状保持リング200の下に固着されて、保持リングの上に環状チャンバ350を提供するように構成される。環状チャンバ350が加圧されると、フレキシブル膜は、保持リングに単独で制御可能な負荷を提供する。保持リングに対する負荷は、研磨パッドに負荷を提供する。保持リングに対して単独で負荷をかけることは、リングが摩耗する際に、パッド対して一貫した負荷をかけることを可能にすることができる。保持リングとキャリアヘッドとの間のフレキシブル膜の位置決めは、リングがキャリアヘッドに直接固着された場合に起きる保持リングに対するキャリアの変形の影響を低減する、又は排除することができる。このキャリアの変形の排除は、保持リングに対する一様でない摩耗を低減し、基板エッジにおけるプロセス変動を低減し、及びより低いポリシング圧力を使用できるようにし、リング寿命を延ばす。
[0051]図3A、図3Bに示すように、フレキシブル膜300は、同心の内側及び外側側壁324を有する。フレキシブル膜300は、側壁324の上縁部から水平方向及び内方に延びる1組の環状リム部322を有することができる。フレキシブル膜は、フレキシブル膜の環状リム部322の下に配置されたクランプリングによってベースアセンブリ104にクランプすることができる。また、フレキシブル膜300は、下面を有する。フレキシブル膜の環状下面から下へ延びる2つの環状同心突出部326があってもよい。これらの環状同心突出部326は、フレキシブル膜の下に配置される保持リング200の上面において、環状同心凹部233に嵌合するような大きさに形成することができる。
[0052]保持リングアセンブリのフレキシブル膜300は、弾性である材料で形成することができ、膜が加圧下で曲がることを可能にする。弾性材料は、シリコン及び他の例示的な材料を含むことができる。
[0053]フレキシブル膜の下面は、円形ホール312を含むことができる。円形ホール312は、2つの環状同心突出部326の間に配置することができ、また、フレキシブル膜の下面の周りに等間隔で離間させることができる。円形ホール312は、フレキシブル膜300を保持リング200に固着するための、ボルト、ねじ又は他の金物類等の締結部材を収容することができる。幾つかの実施においては、フレキシブル膜300を保持リング200に固着するために、接着剤、例えば、Loctiteが凹部212内に置かれ、ワンウェイねじが、フレキシブル膜300のホール312を通って収容凹部212内に挿入される。このようにして、フレキシブル膜300は、保持リング200に効果的に、恒久的に結合される。
[0054]幾つかの実施において、フレキシブル膜300の同心の内側及び外側側壁324は、湾曲部328で下面を形成するために、下を包囲することができる。フレキシブル膜が保持リング200に固着されると、湾曲部328は、保持リングの上面の下に延びることができる。湾曲部328は、フレキシブル膜の底部が、側壁324の実質的な膨隆を伴うことなく、チャンバ350の加圧又は排気に応じて上下に動けるようにする回転ヒンジを提供する。幾つかの実施において、環状リム部322は、フレキシブル膜の側壁324よりも厚くすることができる。また、環状同心突出部326は、側壁324よりも厚くすることができる。
[0055]保持リング200は、基板10を保持し、かつ能動的なエッジプロセス制御を提供できるように構成されているが、キャリアリング400は、研磨パッドの表面に対するキャリアヘッドの位置決め又はリファレンシングを提供する。加えて、キャリアリング400は、保持リング200に接触し、保持リング200の横方向リファレンシングを提供できる。キャリアリング400は、保持リング200を取り囲むように構成できる。保持リングと同様に、キャリアリング400の下面433を研磨パッドに接触させることができる。
[0056]図4A〜図4Cに示すように、キャリアリング400は、環状上部431と環状下部432とを有することができる。上部431は、ベースアセンブリ104の下に配置することができ、また、その上面434の内径及び外径に沿って丸みのある部分を有することができる。保持リング200に接触する下部432の部分の内径は、保持リングの関連する部分の外径よりもわずかに大きく、保持リングの幅が約0.5インチである場合、キャリアリングの内径は、基板よりも約1インチ大きく、例えば、300mm(12インチ)基板の場合、内径は約13インチである。
[0057]下部432は、その外径440に沿って凹部441を有することができる。凹部441は、底面433から延びる垂直面422と、外径440から延びる水平面443と、垂直面442を水平面443に接続する傾斜面444とによって画成することができる。半径方向の断面に沿って測った場合の傾斜部の最も幅が広い部分は、傾斜面444の最も外側のエッジとすることができる。下部432は、外径440及び水平面443のエッジに沿った丸みのある部分を有することができる。
[0058]図4Dに示すように、幾つかの実施において、凹部441はさらに、外方へ突出する環状段部435bによって画成されている。環状段部435bは、水平下面と、傾斜面と、これらの2つの面のエッジに沿った丸みのある部分とを有することができる。下部432の半径方向断面で測った環状段部435bの最も幅が広い部分は、環状段部435bの最も外側のエッジとすることができる。
[0059]幾つかの実施においては、図4Cに示すように、キャリアリングは、下部432において内面430に沿って内方に突出する段部を有する。他の実施においては、図4Eに示すように、キャリアリングは、図4Eにおいて点線で表すように、キャリアリングの下面433に対して直角になってはいない内面430を有する(図4Eでは単一ピースのリングが図示されているが、傾斜した内面は、図4C及び図4Dに示すような2つの部分からなるリングにも適用できる)。内面430は、下面433に隣接する内面430の領域が傾斜した状態で、上部から底部まで外方に傾斜させることができる。内面の高い方の領域に対して(隆起した面又は傾斜した面に関わらず)下面433に隣接するより小さい方の内径は、キャリアリングが、保持リング200を横方向にリファレンシングできるようにし、キャリアリングが、基板のポリシング中に摩耗しても、保持リングとキャリアリングの間の接触位置において整合性を実現できる。加えて、キャリアリングの底部における部材の配置は、保持リングがキャリアリングに接触したときに、保持リングに回転力を与えることを防ぐことができる。幾つかの実施において、下部432の下面433は、上部431の上面434よりも小さい内径を有する。
[0060]キャリアリングは、ベースアセンブリ104に取り付けることができる。一般的に、キャリアリングは、保持リング200を包囲し、かつ基板10のエッジに接触しないように構成される。キャリアリング400の上部431は、キャリアリング400をベースアセンブリ104に固着する、ボルト、ねじ、又は他の金物類等の締結部材を収容するねじシース(図示せず)を有する円筒形凹部又はホール412を含むことができる。ホール412は、キャリアリングの周りに等間隔で離間させることができる。幾つかの実施において、ホール412は、凹部441の水平面433の上に延びてはいない。例えば、図4Fに示すように、ホールは、平坦な下面433の上全体に配置することができる。また、アパーチャー又は突出部(図示せず)等の1つ以上のアラインメント部材を、上部431の上面434に配置することができる。キャリアリングがアラインメントアパーチャーを有する場合は、ベースアセンブリ104は、ベースアセンブリ104及びキャリアリングが正しく位置合わせされた場合に、アラインメントアパーチャーと一致する対応ピンを有することができる。
[0061]幾つかの実施において、キャリアリング400は、ポリシング中にスラリーが、キャリアリングの外部から内部へ流れることができるようにするために、下部432の内径から外径へ延びる1つ以上の貫通スラリー移送チャネル422を底面433上に有する。チャネル422は、キャリアリングの周りに等間隔で離間させることができる。各スラリー移送チャネル422は、チャネルを通る半径に対して斜めに、例えば、45°オフセットすることができる。図6を参照すると、キャリアリングチャネル422は、保持リングのチャネルと位置合わせすることができる。幾つかの実施形態において、キャリアリングチャネル422は、保持リングチャネル222よりも幅が広く、スラリーが保持リング200の内部に自由に流れることができるようになっている。例えば、キャリアリングチャネル422は、約0.25インチの幅を有することができる。
[0062]幾つかの実施において、キャリアリング400は、ポリシング中にスラリー又は空気が、キャリアリングの内部から外部へ、又は、外部から内部へ流れることができるようにするために、内径から外径へ延びる1つ以上のスルーホールを有する。スルーホールは、上部431を貫通して延びることができる。スルーホールは、キャリアリングの周りに等間隔で離間させることができる。幾つかの実施においては、キャリアリング内にはスルーホールがあるが、保持リング内にはスルーホールはない。従って、流体、例えば、キャリアリング内のスルーホールを通って噴霧される洗浄システムからの水は、保持リングの外側面に沿って下向きに流れ、その結果、キャリアリングと保持リングの間の空間を洗浄する。他の実施においては、キャリアリング内及び保持リング内の両方にスルーホールがあり、スルーホールは、流体が、キャリアリング及び保持リングの両方を通るように位置合わせされている。このような実施において、キャリアリング400を通るスルーホールは、保持リング200を通るスルーホールと同じか又はより幅広とすることができる。幾つかの実施において(図1参照)、スルーホール450は、キャリアリング自体を貫通してではなく、保持リングを包囲するハウジング10の一部を貫通して形成される。
[0063]図4A〜図4Cに戻って、幾つかの実施において、上部431は、その内面430に沿って内方突出するリップ部439を有することができ、リップ部は、垂直内壁と、その上及び下縁部に沿った丸みのある部分とを有する。突出するリップ部439は、段部432の内径以下の内径を有することができる。リップ部439は、リップ部237に係合して、保持リング200の過剰伸長を防ぐためのハードストップを提供することができる。幾つかの実施においては、図4Gに示すように、キャリアリング400は、傾斜した内面と、内方に突出するリップ部439の両方を含む。幾つかの実施においては、図4Hに示すように、キャリアリング400の内面は、下部432における内方に突出する段部と、底部から上部へ外側に傾斜している傾斜内面の両方を有する。
[0064]幾つかの実施においては、図4Cに示すように、キャリアリングの上部431と下部432は、異なる材料で形成される。上部431は、下部432よりも硬い材料で形成することができる。硬い材料は、金属、例えば、ステンレス鋼、モリブデン、又はアルミニウム、あるいはセラミック、例えばアルミナ、又は他の例示的な材料とすることができる。下部432は、プラスチック、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、カーボン充填PEEK、Teflon(登録商標)充填PEEK、ポリアミドイミド(PAI)又は複合材料等の、CMPプロセスにおいて化学的に不活性である材料で形成することができる。
[0065]キャリアリングの2つの部分431、432を結合すると、下部432の上面は、上部431の下面に隣接して配置される。2つの部分は、一般的に、結合されたときに、2つの部分431、432が、2つの部分431、432が合わさる箇所で同一平面を形成するように、これらの隣接する面上の内径及び外径において、実質的に同じ寸法を有する。2つの環状部は、これらの隣接する面間で接合層436によって取り付けることができる。
[0066]下部432は、段状部材438を有することができる。段状部材438は、下部432から、上部431の対応する凹部437内に垂直に突き出ている。段状部材438は、キャリアリング400の内径に隣接する環状段部である。段状部材438は、下リング432の水平部分から上へ延びている。段状部材438は、下リングの水平部分の内径を共有する。上部431における凹部437は、段状部材438に合致しているため、下部432と上部431とがくっつくと、段状部材438は、上部431の凹部437に嵌合する。凹部437は、水平上面と、丸みのある部分を有する垂直内壁とを有することができる。幾つかの実施において、ステップ438は、下リング432の内径にのみあり、外径にはない。すなわち、キャリアリング400は、キャリアリングの内径における段状部材438及び凹部437以外に他の段状部材及び対応する凹部437を有することはない。幾つかの実施において、接合層436は、キャリアリングの凹部437内の段状部材438の面まで延びていてもよい。
[0067]キャリアリングの回転中に発生したせん断力は、水平な接合層に力を及ぼす。キャリアリング400において、段状部材438は、せん断力を、段状部材438の垂直内壁に沿った接合層436に対する圧縮力に変換する。せん断力の、接合層43に対する圧縮力への変換は、段状部材を有しないキャリアリング内で起きる可能性のある、下部432の上部431からの剥離の可能性を低減する。また、キャリアリングが研磨パッドを押下した際の、キャリアリングの研磨パッドに対する水平方向の動きによって生じる側方力は、下部432から上部431のベースへ伝達される。加えて、垂直内壁は、境界における表面積の増加のため、接合層436に、より大きな接合面積を与える。また、より大きな接合面積は、下部432の上部431からの剥離の可能性を低減する。さらに、垂直内壁に沿った接合層436は、上部431の材料(例えば、ステンレス鋼等の硬い材料)と下部432の材料(例えば、PEEK複合材料等のより硬くない又はより柔軟な材料)との間の等しくない熱膨張からもたらされる応力を吸収する。
[0068]幾つかの実施においては、例えば、図4E、図4G及び図4Hに示すように、キャリアリングの上部431及び下部432は、同じ材料で作製された単一のユニットを備える。単一構造のキャリアリングは、プラスチック、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、カーボン充填PEEK、Teflon(登録商標)充填PEEK、ポリアミドイミド(PAI)又は複合材料等の、CMPプロセスにおいて化学的に不活性である材料で形成することができる。
[0069]保持リング200は、基板10のエッジを取り囲んで基板を保持するように構成されているが、フレキシブル膜500は、基板10がマウントされる面512を提供する。図5は、フレキシブル膜500の部分断面図を示し、この概して対称的なフレキシブル膜の断面の半分のみを示す。
[0070]図5に示すように、フレキシブル膜500は、概して平坦な主部510と、外側環状部520とを有することができる。主部510は、基板取り付け面512を提供する。外側部520は、主部510の外縁部から延びている。主部510と外側環状部520との間の接合点は、周縁ヒンジ530と、外側環状部520の外壁に沿ってヒンジ530の上に配かれた環状凹部532とを有することができる。周縁ヒンジ530は、その内面及び外面に沿って、丸みのある部分を有することができる。周縁ヒンジ530及び環状凹部532は、適合するように構成することができ、基板10の周辺に対するローディングの対称性を改善する。
[0071]外側環状部520は、その外壁に沿って環状凹部522を有することができ、環状凹部は、外側環状部520が曲がることができるように構成される。また、環状部520は、その内壁に沿って内方に突出する環状段部524を有することができる。環状段部524は、水平ではない(すなわち、傾斜している)上面及び下面を有することができる。
[0072]幾つかの実施において、フレキシブル膜500は、幾つかの環状フラップを有することができる。主部510は、4つの同心環状フラップ516を有することができる。外側環状部520は、1組の環状フラップ526を有することができる。外側環状部520に接続された環状フラップ526は、内方に延びて厚いリム部550を有する水平部540を有することができる。厚いリム部550は、ベースアセンブリ104に固着するように構成することができる。図5に示すように、上の環状フラップは、下の環状フラップよりも幅が狭い(すなわち、それほど延びていない)水平部を有することができる。幾つかの実施において、外側環状部520は、環状三角形状部を有することができ、また、1組の環状フラップ526の水平部540は、環状三角形状部の頂点を介して外側環状部520に接続することができる。
[0073]主部510に接続された最も内側の同心環状フラップ516は、ベースアセンブリ104に固着するように構成することができる、外方に延びて厚いリム部を有する水平部と、環状の角度のついた部分560とを含むことができる。環状の角度のついた部分560は、主部510と、環状フラップ516の水平部との間に結合することができる。環状の角度のついた部分560は、水平部との接合点においてよりも、主部510との接合点において、より大きな半径を有することができる。
[0074]主部510に接続された外側の3つの同心環状フラップ516は、主部510から延びる垂直部570と、水平部の外縁に沿った厚いリム部を有する、垂直部570から延びる水平部とを含むことができ、水平部は、ベースアセンブリ104に固着するように構成することができる。幾つかの実施形態において、同心環状フラップ516の水平部は、同心環状フラップの垂直部570よりも小さい厚みを有することができる。幾つかの実施において、第2及び第3の外側の同心環状フラップ516は、約1.5〜2.0、例えば、約1.66の水平部の長さと垂直部570の長さの比を有することができる。
[0075]幾つかの実施において、環状フラップ516、526は、1つ以上の凹み又は切り欠き(すなわち、環状凹部)を有することができる。同心環状フラップ516は、その水平部と、その垂直部570との間の接合点に切り欠き580を有することができる。切り欠き580は、同心環状フラップ516の水平部が垂直方向に曲がることを可能にする。同心環状フラップ516は、主部510との接合点において、切り欠き590を有することができる。切り欠き590は、主部510における圧縮を低減するように構成することができる。
[0076]本発明の別の態様においては、図1に示すように、CMP用キャリアヘッドは、ベースアセンブリ104と、ベースアセンブリ104の下に配置され、かつ基板10のエッジを取り囲んで基板を保持するように構成された環状保持リング200と、ベースアセンブリ104の下に、かつ環状保持リング200の上に配置された環状チャンバ350を提供するように形作られた第1のフレキシブル膜300と、保持リング200を取り囲むキャリアリング400と、基板取り付け面を提供する第2のフレキシブル膜500であって、ベースアセンブリ104と第2のフレキシブル膜500の間に生成された空間が、6つの加圧可能なチャンバを形成する第2のフレキシブル膜とを含むことができる。
[0077]加圧可能なチャンバは、第2のフレキシブル膜500を、複数の同心クランプリングを用いてベースアセンブリ104にクランプすることによって形成することができる。チャンバは、最も内側のチャンバから最も外側のチャンバへ連続的に幅が狭くなるように構成することができる。周縁ヒンジ530によって部分的に画成される第2の外側のチャンバは、基板のポリシング中に、より良好なエッジ制御を提供できるように狭く構成される。
[0078]各チャンバは、ベースアセンブリ104及びハウジング10を通る流路(図示せず)によって、ポンプ又は圧力又は真空ライン等の関連する圧力源に流体的に結合することができる。第1のフレキシブル膜300の、環状チャンバ350のための1つの流路と、ローディングチャンバ108のための1つの流路と、全部で8つの流路の場合、ベースアセンブリ104と第2のフレキシブル膜500の間の6つの加圧可能なチャンバの各々のための1つの流路とがあってもよい。ベースアセンブリ104からの1つ以上の流路は、ローディングチャンバ108の内部又はキャリアヘッド100の外部に延びるフレキシブルチューブによって、ハウジング102内の流路につなぐことができる。各チャンバの加圧と、基板10上の、フレキシブル膜500の主部510の関連するセグメントによって加えられる力は、別々に制御することができる。このことは、ポリシング中に、異なる圧力を、基板の異なる半径方向領域に加えることを可能にし、それによって、不均一なポリシング速度を補正する。加えて、保持リング200に対する圧力は、チャンバ350を使用して膜500によって画成されるチャンバ内の圧力に無関係に変化することができ、また、キャリアリング400に対する圧力は、保持リング00に対する圧力と、ローディングチャンバ108を使用して膜00によって画成されるチャンバ内の圧力とに関連して変化することができる。
[0079]上述したような保持リング200、第1のフレキシブル膜300、キャリアリング400、第2のフレキシブル膜500からなる多数の実施形態を、上記キャリアヘッドに実装することができる。
[0080]一般的に、キャリアヘッドは、ベースアセンブリ104に接続され、かつ駆動軸に固着されるように構成されたハウジング102をさらに備えることができる。キャリアヘッドは、材料、例えば、アルミニウム、PEEK又は複合材料で被覆することができる。キャリアヘッドのキャリアリング400は、下向きの圧力を研磨パッドに加えることができる。幾つかの実施形態において、キャリアリング400によって加えられる下向きの圧力は、保持リング200によって加えられる下向きの圧力よりも大きい。キャリアリング400は、保持リング200よりも硬い材料で形成することができ、保持リングよりも遅い速度で摩耗するキャリアリングをもたらす。保持リング200及びキャリアリング300の幅は、プロセス結果を調節するために変えることができる。具体的には、基板エッジ上のポリシングプロファイルは、各リングに対する幅及び圧力を変化させることによって変更することができる。
[0081]幾つかの実施形態において、保持リング200は、図1において点線で表すように、保持リング200の内面231から外面238に延びて、流体が、リングの内部から外部へ、又は外部から内部へ流れることを可能にするスロット又はスルーホールを有することができる。これらのスロットは、キャリアヘッド100内のスロットと位置合わせすることができ、また、保持リング200の内部からの過剰なスラリーを洗い流す手段を提供することができる。
[0082]幾つかの実施においては、第2のフレキシブル膜500の同心環状フラップ516内に切り欠き580、590を有することによって、ポリシングの均一性を改善することができる。切り欠きの可能性のある効果は、隣接するチャンバに同じでない圧力が存在する場合に、ポリシング均一性を改善することである。具体的には、隣接するチャンバに同じでない圧力が存在する場合、高い圧力のチャンバ内の圧力は、分離フラップを低い圧力のチャンバ内へたわませる傾向がある。分離フラップのこのたわみは、分離フラップに隣接する主部510における圧縮領域を招く可能性があり、意図せぬ圧力配分及び不均一なポリシングをもたらす。しかし、主部510と垂直部570の間の接合部に切り欠き590を有することが、環状フラップ516を接合部において、よりフレキシブルにする。このことは、フラップが同じでない圧力によって曲がった場合の主部510における圧縮を低減し、それによってポリシング均一性を改善する。切り欠き590は、同心環状フラップ516の両側の隣接する加圧可能なチャンバにおいて、圧力が同じでない場合に、同心環状フラップ516が曲がることを可能にするように適合させることができる。さらに、切り欠き580、590は、主部510における圧縮を低減するために、少なくとも1つの加圧可能なチャンバから同心環状フラップ516を介して主部510に伝わる下向きの負荷を低減するように配置しかつ構成することができる。
[0083]本発明の多数の実施形態について説明してきた。それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。例えば、上記第2のフレキシブル膜の同心環状フラップ216のうちの幾つかは、環状垂直部570の代わりに、環状の角度のついた部分560を有することができる。加えて、上記切り欠きは、環状の角度のついた部分560との接合点における、又は、水平部540と周縁550との間の接合点における垂直部570の中間に設けてもよい。従って、他の実施も、以下のクレームの範囲内にある。
本発明によるキャリアヘッドの概略断面図を示す。 保持リングの一実施の平面図である。 保持リングの一実施の底面図である。 保持リングの一実施の断面図である。 保持リングの他の実施の断面図である。 フレキシブル膜の一実施の平面図である。 フレキシブル膜の一実施の断面図である。 キャリアリングの一実施の平面図である。 キャリアリングの一実施の底面図である。 キャリアリングの一実施の断面図である。 キャリアリングの他の実施の断面図である。 単一キャリアリングの実施の断面図である。 キャリアリングの他の実施の断面図である。 単一キャリアリングの実施の断面図である。 単一キャリアリングの実施の断面図である。 フレキシブル膜の部分断面図である。 キャリアヘッドの底面図である。 [符号の説明]
符号の説明
10…基板、100…キャリアヘッド、102…ハウジング、104…ベースアセンブリ、200…保持リング、300…第1のフレキシブル膜、350…環状チャンバ、400…キャリアリング、500…第2のフレキシブル膜。

Claims (15)

  1. キャリアヘッド内に包含されて、ポリシング中に基板のエッジを取り囲んで前記基板を保持する保持リングを取り囲むように構成された内面と、
    研磨パッドに接触するように構成された下面と、
    前記キャリアヘッドに取り付けられるように構成された上面とを有する環状リングを備え、
    前記内面が、前記下面に隣接して内方へ突出した段部を含み、前記内方へ突出した段部が、前記キャリアヘッドの前記保持リングより低い高さを有し、前記内方へ突出した段部が、前記内面の第1の領域を提供し、
    前記第1の領域に隣接し、かつ前記第1の領域の上の前記内面の第2の領域よりも小さい内径を有する前記下面に、前記第1の領域が隣接し、
    前記第1の領域が、前記保持リングの横方向リファレンシングを提供し、前記保持リングに回転力を与えることを防ぐように構成されている、キャリアリング。
  2. 前記下面が、前記上面よりも小さい内径を有する、請求項1に記載のキャリアリング。
  3. 前記下面に隣接する凹部を有する外面をさらに備える、請求項1に記載のキャリアリング。
  4. 前記凹部が、水平下面と、垂直面と、前記水平下面と前記垂直面とを接続する傾斜部とを含む、請求項3に記載のキャリアリング。
  5. 前記凹部が、前記外面に環状段部を画成する、請求項4に記載のキャリアリング。
  6. 前記内面から外面へ延びる、前記下面内の複数の溝をさらに備える、請求項1に記載のキャリアリング。
  7. 前記環状リングが、前記同じ材料で作製された単一のユニットである、請求項1に記載のキャリアリング。
  8. 前記材料がプラスチックである、請求項に記載のキャリアリング。
  9. 前記上面を有する環状上部と、前記下面を有する環状下部とをさらに備え、前記下部が前記上部に結合している、請求項1に記載のキャリアリング。
  10. 前記キャリアリングの環状上部と環状下部が、異なる材料で形成される、請求項に記載のキャリアリング。
  11. 前記上部が金属で形成され、前記下部がプラスチックで形成される、請求項10に記載のキャリアリング。
  12. 前記環状下部が、前記上部内の環状凹部内へ延びる環状突出部を含む、請求項に記載のキャリアリング。
  13. 前記段部が、垂直内壁と水平上面とを有する、請求項に記載のキャリアリング。
  14. その上面の内径に沿って内方に突出するリップ部をさらに備える、請求項1に記載のキャリアリング。
  15. 前記リップ部が、垂直内壁と、その上及び下縁部に沿った丸みのある部分とを有する、請求項14に記載のキャリアリング
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