JP5324356B2 - 放電電力制限値演算装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両駆動電力供給用の電池について放電電力制限値を求める放電電力制限値演算装置に関する。
電気自動車、ハイブリッド自動車等の電動車両が広く用いられている。電動車両は、モータジェネレータを備え、モータジェネレータの駆動力によって加速し、モータジェネレータの回生発電制動によって減速する。モータジェネレータに電力を供給し、モータジェネレータによる発電電力を回収するため、電動車両には繰り返し充放電が可能な電池が搭載される。
下記の特許文献1および特許文献2には、本発明が解決しようとする課題に関連して、電池の充放電電力を制限する技術について記載されている。また、下記の非特許文献1および特許文献2には、本発明に係る充放電制御に用いられる、電池の電気化学的モデルについて記載されている。
グおよびワン(W.B.Gu and C.Y.Wang)著、「リチウムイオン電池の熱−電気化学結合モデリング(THERMAL-ELECTROCHEMICAL COUPLED MODELING OF A LITHIUM-ION CELL)」、ECS Proceedings Vol.99-25 (1),2000、(米国)、電気化学学会(ECS)、2000年、pp 743-762
電池の放電性能は、放電電力、電池温度等の使用条件に応じて変化する。そのため、一定の電力で放電を行うよう放電制御を行うと、その時点での電池の最大放電電力を以て電池を放電することができない等の問題が生じる。一方、電池は、その時点での放電能力以上の過剰な電力で放電を行うと、充電容量が早期に低下する等、電池の寿命が短くなるという問題が生ずる。
本発明はこのような課題に対してなされたものである。すなわち、車両駆動電力供給用の電池について放電電力制限値を求める放電電力制限値演算装置において、電池の放電能力と放電の状況に応じて最適な放電電力制限値を求めることを目的とする。
本発明は、車両駆動電力供給用の電池について放電電力制限値を求める放電電力制限値演算装置において、前記電池の電力授受状態を検出する使用状態検出部と、前記使用状態検出部の検出結果に基づいて、電池状態量を求める電池状態量推定部と、放電電圧制限値を取得し、放電可能電力の時間変化を示す放電可能電力特性を、当該放電電圧制限値と前記電池状態量とに基づいて求める放電可能電力予測部と、を備え、前記放電可能電力特性に基づく放電電力制限値を出力することを特徴とする。
また、本発明に係る放電電力制限値演算装置においては、前記放電可能電力特性に基づいて、基準時刻から所定の時間が経過した時における放電可能電力を放電電力制限値として求める電力制限値設定部を備えることが好適である。
また、本発明に係る放電電力制限値演算装置においては、前記電池状態量に基づいて前記電池の充電深度を求め、求められた充電深度が大きい程長い演算用時間を定める演算用時間調整部を備え、前記電力制限値設定部は、基準時刻から前記演算用時間が経過した時における放電可能電力を放電電力制限値として求めることが好適である。
また、本発明に係る放電電力制限値演算装置においては、前記使用状態検出部の検出結果に基づいて、前記電池の充電能力の劣化度を求める劣化度推定部と、前記劣化度推定部によって求められた劣化度が大きい程長い演算用時間を定める演算用時間調整部と、を備え、前記電力制限値設定部は、基準時刻から前記演算用時間が経過した時における放電可能電力を放電電力制限値として求めることが好適である。
また、本発明に係る放電電力制限値演算装置においては、前記劣化度推定部によって求められた劣化度が大きい程小さい放電電圧制限値を定め、定められた放電電圧制限値を前記放電可能電力予測部に与える許容電圧設定部を備えることが好適である。
また、本発明に係る放電電力制限値演算装置においては、前記使用状態検出部の検出結果に基づいて、前記電池の充電能力の劣化度を求める劣化度推定部と、前記劣化度推定部によって求められた劣化度が大きい程小さい放電電圧制限値を定め、定められた放電電圧制限値を前記放電可能電力予測部に与える許容電圧設定部を備えることが好適である。
また、本発明に係る放電電力制限値演算装置においては、前記電池状態量に基づいて前記電池の充電深度を求め、求められた充電深度が大きい程小さい放電電圧制限値を定め、定められた放電電圧制限値を前記放電可能電力予測部に与える許容電圧設定部を備えることが好適である。
また、本発明に係る放電電力制限値演算装置においては、前記電池に流れる電流を変化させる電池電流制御部と、前記電池電流制御部による電流変化に対する前記電池の出力電圧の変化に基づいて、前記電池の特性定数を求める電池特性決定部と、を求め、前記電池状態量推定部は、前記電池特性決定部によって求められた特定定数に基づいて電池状態量を求め、前記放電可能電力予測部は、前記電池特性決定部によって求められた特定定数に基づいて放電可能電力を求めることが好適である。
本発明によれば、電池の使用条件に応じて最適な電池の放電電力制限値を求めることができる。
図1に本発明の第1の実施形態に係る車両用電力制御システムの構成を示す。車両用電力制御システムは、電池10の電力をモータジェネレータ14に供給して車両を駆動し、モータジェネレータ14の発電電力によって電池10を充電して車両を回生制動する。電池10には、繰り返し充放電が可能なリチウムイオン電池等を用いることができる。
操作部16は、アクセルペダル、ブレーキペダル等を含み、ユーザの操作に応じた操作指令情報を電力制御装置12に出力する。
電力制御装置12は、モータジェネレータ14と電池10との間で、各印加電圧を調整しつつ交流直流変換を行う。電力制御装置12は、操作指令情報に応じてモータジェネレータ14に加速トルクを発生させるときは、電池10からモータジェネレータ14に電力が供給されるよう、電池10およびモータジェネレータ14に印加される電圧を調整する。また、電力制御装置12は、操作指令情報に基づきモータジェネレータ14に回生制動トルクを発生させるときは、モータジェネレータ14から電池10に電力が供給されるよう、電池10およびモータジェネレータ14に印加される電圧を調整する。
電池10からモータジェネレータ14に電力が供給される場合、電池10は電荷を放電する。このとき、電力制御装置12は、電力制限値演算装置24が出力する放電電力制限値Woを超えないよう電池10から出力される放電電力を調整する。
車両用電力制御システムは、電力制限値演算装置24が放電電力制限値Woを求めるため、電池10に流れる電流を測定する電流センサ18、電池10の出力電圧を測定する電圧センサ20、および電池10の温度を測定する温度センサ22を備える。電流センサ18は測定結果を電池電流測定値Ibとして電力制限値演算装置24に出力し、電圧センサ20は測定結果を電池電圧測定値Vbとして電力制限値演算装置24に出力する。また、温度センサ22は測定結果を電池温度測定値Tbとして電力制限値演算装置24に出力する。
電力制限値演算装置24は、電池電流測定値Ib、電池電圧測定値Vb、および電池温度測定値Tbに基づいて、放電電力制限値Woを求め電力制御装置12に出力する。
図2に第1実施例に係る電力制限値演算装置24の構成を示す。電池状態量推定部26が実行する処理を説明するため、ここでは、電池10の電気化学的モデルの例について特許文献2の内容に基づき説明する。
電池10は、複数の電池セルの直列接続によって構成することができる。図3に電池セルの構成を示す。電池セルは、負極34、セパレータ38、および正極36を備える。セパレータ38は、負極34と正極36との間に設けられた樹脂に電解液を浸透させることで構成される。
負極34および正極36は、球状の活物質の集合体で構成される。負極34の活物質40の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を放出または吸収する化学反応が行われる。一方、正極36の活物質42の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収または放出する化学反応が行われる。
負極34には負極端子48との間で電子e-を導く負極コレクタ44が設けられ、正極36には正極端子50との間で電子e-を導く正極コレクタ46が設けられる。負極コレクタ44および正極コレクタ46に用いる金属材料は、イオン化傾向の大小関係に基づき決定される。一般的には、負極コレクタ44は銅で構成され、正極コレクタ46はアルミニウムで構成される。
セパレータ38を介して正極36と負極34との間でリチウムイオンLi+が授受されることで、電池セルには、正極端子50から流出し外部回路52を介して負極端子48に流入する充電電流、または、負極端子48から流出し外部回路52を介して正極端子50に流入する放電電流が流れる。
電池セルの電気化学的モデルについて図3を参照して説明する。放電時には、負極34の活物質40からは電子e-が負極コレクタ44に放出され、負極34の活物質40内のリチウム原子LiはリチウムイオンLi+となる。これと共に負極34の活物質40からはリチウムイオンLi+がセパレータ38中の電解液に放出される。そして、正極36の活物質42は、電解液からリチウムイオンLi+を取込むと共に正極コレクタ46から電子e-を吸収し、正極36の活物質42の内部にリチウム原子Liを取込む。これによって、正極コレクタ46から流出し外部回路52を介して負極コレクタ44に流入する放電電流が流れる。
一方、充電時には、正極36の活物質42から電子e-が正極コレクタ46に放出されると共に、正極36の活物質42からリチウムイオンLi+がセパレータ38中の電解液に放出される。そして、負極34の活物質40は、電解液からリチウムイオンLi+を取込むと共に負極コレクタ44から電子e-を吸収し、負極34の活物質40の内部にリチウム原子Liを取込む。これによって、負極コレクタ44から流出し外部回路52を介して正極コレクタ46に流入する充電電流が流れる。
電気化学的モデルの解析には、充放電時における活物質40および42の各表面での電極反応、活物質40および42の各内部でのリチウムイオンの径方向への拡散、電解液中のリチウムイオンの拡散、各部位での電位分布等についての電池モデル式を用いる。電池モデル式は、以下の(M1)式〜(M15)式によって表される。これらの式の詳細については非特許文献1に記載されている。
図4に、(M1)式〜(M15)式で用いられる電池モデルパラメータを掲載する。
(M1)式〜(M3)式は電極反応を示す式であり、バトラーボルマーの式と称される。(M1)式において交換電流密度i0は、活物質の界面におけるリチウムイオン濃度の関数で与えられる(詳細は非特許文献1参照)。また、αaは正極における電極反応の移動係数を示し、αcは負極における電極反応の移動係数を示す。(M2)式は(M1)式におけるηを与え、(M3)式は(M2)式におけるUを与える。
(M4)式〜(M6)式は電解液中でのリチウムイオン保存則を示す。(M5)式は電解液中での実効拡散係数の定義を示し、(M6)式は反応電流jLiが電極の単位体積あたりの活物質表面積asと(M1)式に示された輸送電流密度/inとの積で与えられることを示す。なお、反応電流jLiの電極全体での体積積分は、電池セルに流れる電流Iに対応する。
(M7)式および(M8)式は、固層中でのリチウムイオン保存則を示す。(M7)式は球体の活物質中での拡散方程式を示し、(M8)式は、電極単位体積あたりの活物質表面積asを示す。
(M9)式〜(M11)式は、電解液中での電荷保存則に基づくものである。これらの式より電解液中での電位が示される。
(M10)式は実効イオン伝導率κeffを示し、(M11)式は電解液中での拡散導電係数κD effを示す。
(M12)式および(M13)式は、活物質での電荷保存則に基づくものである。これらの式より固層中での電位が示される。
(M14)式および(M15)式は熱エネルギ保存則に基づくものである。これらの式により、充放電現象による電池内部への局所的な温度変化を解析することが可能となる。
(M1)〜(M15)の電池モデル式は上記非特許文献1に基づくものであるので、各式の詳細な説明については、非特許文献1を援用する。
図4に示した電池モデルパラメータは、(M1)〜(M15)の電池モデル式を連立させることで求めることができる。すなわち、(M1)式〜(M15)式を、活物質、および電解液中の各点において境界条件が満たされるよう差分方程式を逐次解くことにより、図4に示した電池モデルパラメータのうち未知のものを逐次算出することができる。この際、図4に示した電池モデルパラメータのうちいずれを既知量とし、いずれを未知量とするかは、数値解析の理論において可能な限り任意とすることができる。なお、各活物質内でのリチウムイオン濃度は、活物質の半径rの関数とされ、その周方向ではリチウムイオン濃度は一様なものとして扱われる。
電池状態量推定部26は、電池電流測定値Ib、電池電圧測定値Vb、電池温度測定値Tb、および電池モデルパラメータに基づいて現時点における実際の電池の状態量を電池状態量BSとして求める。ここで、電池状態量BSは、電池モデルパラメータのうち、固層中の電位φs、電解液中の電位φe、活物質のリチウムイオン濃度cs、電解液のリチウムイオン濃度ce、および活物質界面でのリチウムイオン濃度cseの組からなる物理化学量である。
電池状態量推定部26は、(M1)〜(M15)の電池モデル式に基づき電池状態量BS(φs、φe、cs、ce、およびcse)を求め、その電池状態量BSを放電可能電力予測部28に出力する。
一方、放電許容電圧生成部30は、定電圧放電を想定して放電電圧制限値Vdを決定し、放電可能電力予測部28に出力する。ここで、放電電圧制限値とは、放電可能電力予測部28の演算用に設定する演算上の値をいう。
図5(a)に放電電圧制限値の波形の例を示す。図5(a)の横軸は時間を示し縦軸は放電電圧制限値を示す。図5(a)に示す放電電圧制限値は、基準時刻t0に電池電圧測定値Vbから放電電圧制限値Vdに減少する。
放電可能電力予測部28は、電池状態量BSおよび電池温度測定値Tbを初期値とし、放電電圧制限値Vdで定電圧放電した場合の電池10に流れる電流Iの時間変化を、上記(M1)式〜(M15)式に基づいて予測する。この際、放電電圧制限値、固層中の電位φs、反応電流jLi、および固層中電子伝導度σとの間に成立する周知の物理的関係が用いられる。また、電流Iは、反応電流jLiの電極全体での体積積分に基づいて求められる。放電可能電力予測部28は、求められた電流Iおよび放電電圧制限値に基づいて放電可能電力の時間変化を示す放電可能電力特性を求める。
図5(a)に示される放電電圧制限値に基づいて、放電可能電力予測部28が求めた放電可能電力特性の例を図5(b)に示す。図5(b)の横軸は時間を示し縦軸は放電可能電力を示す。このように、一定電圧での放電を考えた場合には、放電可能電力は、放電可能開始直後に最大となり、時間の経過と共に小さくなる。
電力制御装置12は、放電電力制限値Woを超えないよう電池10に放電させる。これによって、電池10の電池状態量BSおよび電池温度測定値Tbに応じたできる限り大きい電力を以て電池10を放電することができる。
図2に示す構成では、放電電力制限値Woが、電池10を放電する回路の許容電力以上の値となる場合がある。そこで、図6に示す第2実施例のように、電力制限値設定部32を設けてもよい。図2に示す構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
放電電力可能予測部28は、時間間隔tdごとに、時間tdより長い時間teに亘る放電可能電力特性を求め、電力制限値設定部32に出力する。電力制限値設定部32は、放電可能電力予測部28から出力された放電可能電力特性データに基づいて放電電力制限値を求める。ここで、電力制限値設定部32は、放電電力制限値を求めるための所定のWo演算用時間twを予め記憶しているものとする。電力制限値設定部32は、放電可能電力特性データを参照し、基準時刻t0からWo演算用時間twが経過したときにおける放電可能電力を放電電力制限値Woとして求める。電力制限値設定部32は、放電電力制限値Woを電力制御装置12に出力する。図5(b)の例では、基準時刻t0からWo演算用時間twが経過したときの縦軸の値が放電電力制限値Woとして求められる。このような処理によって、現時点での実際の電池状態量BSを初期値とし、一定電圧Vdで時間twの間放電し続けることができる電力の予測値が放電電力制限値Woとして求められる。
電力制限値演算装置24は、放電電力制限値Woを求める処理を所定の時間tdごとに行い、放電電力制限値Woを時間間隔tdで電力制御装置12に出力する。電力制御装置12は、放電電力制限値Woを超えないよう電池10からの放電電力を調整する。
放電可能電力特性が示す値は放電電圧制限値Vdを小さくする程大きくなり、求められる放電電力制限値Woは大きくなる。さらに、図5(b)に示されるように、放電可能電力特性が示す値はWo演算用時間twを短くする程大きくなり、求められる放電電力制限値Woは大きくなる。モータジェネレータ14の加速トルクは、放電電力が大きい程大きくなる。一方、所定値以上の充電容量を維持できる期間等で定義される電池の寿命は、放電電力が大きい程短くなる。したがって、放電電圧制限値VdおよびWo演算用時間twは、電池10の寿命と車両の加速性能とを鑑みて実験等に基づいて決定することが好ましい
図7に第3実施例に係る電力制限値演算装置24の構成を示す。この実施例では、放電許容電圧生成部54が、定電圧放電を想定し放電電圧制限値Vdを求める。図6に示した第2実施例の構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
電池状態量推定部26は、電池状態量BSに基づいて電池10の充電深度を求める。そして、電池状態量BSおよび充電深度を放電可能電力予測部28および放電許容電圧生成部54に出力する。ここで、充電深度とは、満充電時の充電電荷量に対する現時点で充電されている電荷量の割合を示す量をいう。電気化学的モデルにおいては、充電深度は、負極34の活物質40内のリチウムイオン濃度cSにより求めることができる。
放電許容電圧生成部54は、充電深度と放電電圧制限値Vdとを対応付けた充電深度対電圧制限値テーブルを記憶している。放電許容電圧生成部54は、充電深度対電圧制限値テーブルを参照し、求められた充電深度に対応する放電電圧制限値Vdを求める。
図8に、充電深度対電圧制限値テーブルが示す関係の例をグラフによって示す。図8の横軸は充電深度を示し縦軸は放電電圧制限値Vdを示す。図8の例では、充電深度が所定の閾値SOCt1以上のときは、充電深度の変化に対し放電電圧制限値Vdは一定とする。一方、充電深度が所定の閾値SOCt1未満のときは、充電深度が増加すると共に放電電圧制限値Vdを減少させる。
充電深度SOC1、SOC2およびSOC3の間に、SOC1<SOC2<SOC3<SOCt1の関係があるとき、それぞれに対応する放電電圧制限値Vd1、Vd2、およびVd3の関係は、Vd1>Vd2>Vd3となる。これによって、放電許容電圧生成部54が出力する放電電圧制限値によって示される放電電圧制限値の時間波形は、それぞれ、図9(a)の時間波形56−1、56−2、および56−3のようになる。そして、図9(a)の時間波形56−1、56−2、および56−3に対応して、放電可能電力予測部28において求められる放電可能電力特性は、それぞれ、図9(b)の特性58−1、58−2、および58−3のようになる。特性58−1、58−2、および58−3からは、共通のWo演算用時間twに対して、それぞれ、放電電力制限値Wo1、Wo2、およびWo3が求められる。これらの放電電力制限値には、Wo1<Wo2<Wo3の関係がある。
このように、本実施例では、放電許容電圧生成部54は、充電深度が所定の閾値未満であるときには、充電深度が大きい程その値が小さくなるよう、放電電圧制限値Vdを決定する。これによって、充電深度が所定の閾値未満であるときには、充電深度が大きい程放電電力制限値Woを大きくすることができる。
電池は、充電深度が大きいときには大きい電力を放電した方が、充電電力を有効に用いることができる。また、充電深度が小さいときには最低限の充電電荷量を維持するために放電を控えることが好ましい。したがって、本実施例によれば、電池の充電電力を充電深度に応じて最大限に用いることができる。
なお、ここでは、充電深度を用いた処理について説明したが、電池状態量BSから求め得る電池10の充電状態を示すその他の量を用いても同様の処理を行うことができる。また、図2に示す第1実施例と同様、電力制限値設定部32を用いない構成としてもよい。
図10に第4実施例に係る電力制限値演算装置24の構成を示す。この実施例では、演算用時間調整部60が電池状態量BSに基づいてWo演算用時間twを求め電力制限値設定部32に出力する。図6に示した第2実施例の構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
電池状態量推定部26は、電池状態量BSおよび充電深度を放電可能電力予測部28および演算用時間調整部60に出力する。
演算用時間調整部60は、充電深度とWo演算用時間twとを対応付けた充電深度対演算用時間テーブルを記憶する。演算用時間調整部60は、充電深度対演算用時間テーブルを参照し、求められた充電深度に対応するWo演算用時間twを求め、電力制限値設定部32に出力する。電力制限値設定部32は、演算用時間調整部60から出力されたWo演算用時間twに対応した放電電力制限値Woを求める。
図11に、充電深度対演算用時間テーブルが示す関係の例をグラフによって示す。図11の横軸は充電深度を示し縦軸はWo演算用時間twを示す。図11の例では、充電深度が所定の閾値SOCt2以上のときは、充電深度の変化に対しWo演算用時間twは一定とする。一方、充電深度が所定の閾値SOCt2未満のときは、充電深度が増加すると共にWo演算用時間twを短くする。
充電深度SOC1、SOC2およびSOC3の間に、SOC1<SOC2<SOC3<SOCt2の関係があるとき、それぞれに対応するWo演算用時間tw1、tw2、およびtw3の関係は、tw1>tw2>tw3となる。これによって、演算用時間調整部60が出力するWo演算用時間に対応して求められる放電電力制限値は、図12に示すように、それぞれ、Wo1、Wo2およびWo3となる。これらの放電電力制限値には、Wo1<Wo2<Wo3の関係がある。
このように、本実施例では、充電深度が所定の閾値未満であるときには、充電深度が大きい程それが示す時間が短くなるようWo演算用時間twが求められる。これによって、充電深度が所定の閾値未満であるときには、充電深度が大きい程放電電力制限値Woを大きくすることができる。したがって、上記の第3実施例と同様、電池の充電電力を最大限に用いることができる。なお、ここでは、充電深度を用いた処理について説明したが、電池状態量BSから求め得る電池10の充電状態を示すその他の量を用いても同様の処理を行うことができる。
図13に第5実施例に係る電力制限値演算装置24の構成を示す。この実施例は、第3実施例における放電許容電圧生成部54と、第4実施例における演算用時間調整部60とを組み合わせたものである。図7に示した第3実施例の構成部および図10に示した第4実施例の構成部と同一の構成部については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、充電深度が所定の閾値未満であるときには、充電深度が大きい程その値が小さくなるよう、放電電圧制限値Vdを決定する。さらに、本実施例では、充電深度が所定の閾値未満であるときには、充電深度が大きい程それが示す時間が短くなるよう、Wo演算用時間twを求める。これによって、充電深度が所定の閾値未満であるときには、充電深度が大きい程放電電力制限値Woを大きくすることができる。放電許容電圧生成部54および演算用時間調整部60の組み合わせにより、電池の充電電力を最大限に用いることができる。
図14に本発明の別の実施形態に係る車両用電力制御システムの構成を示す。図1の車両用電力制御システムの構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。電池診断/電力制限値演算装置62は電池診断モード時に電池10に流れる電流を変化させ、これに伴う電池10の出力電圧の変化に基づいて電池10の電池モデルパラメータ、電池10の劣化度等を求める。そして、求められた電池モデルパラメータ、劣化度等を用い(M1)式〜(M15)式より放電電力制限値Woを求める。
図15に第1実施例に係る電池診断/電力制限値演算装置62の構成を示す。図2に示す電力制限値演算装置24と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。この実施例は、電池10の交換電流密度i0および拡散係数Dsを測定する電池特性決定部66を備える。
電池10の両端には、それぞれモード切り換えスイッチ64が接続される。モード切り換えスイッチ64は、通常走行モード時には、電池10を電力制御装置12に接続する。一方、電池診断モード時には、電池10を電池診断/電力制御装置12に接続する。電池診断モード時に、電池特性決定部66は、電池10に流れる電流の時間波形が、例えば、図16(a)に示す時間波形となるよう、電池10に流れる電流を制御する。図16(a)の横軸は時間を示し縦軸は電池10に流れる放電電流を示す。図16(a)の電流時間波形は、時刻t1で電池10の放電電流がある初期値I1から診断電流値I2となり、その後時刻t2まで診断電流値I2を維持した後、初期値I1に戻る。図16(b)に、このときの電池電圧測定値Vbpの時間波形の例を示す。横軸は時間を示し縦軸は電池電圧測定値Vbpを示す。
電池特性決定部66は、図16(a)のように電池10の電流が変化したときにおける電池電圧測定値Vb、電池電流測定値Ib、および電池温度測定値Tbの各時間変化に基づいて、図4に掲げる電池モデルパラメータのうち交換電流密度i0および拡散係数Dsを求める。電池特性決定部66は、求められた交換電流密度i0および拡散係数Dsを、電池状態量推定部26および放電可能電力予測部28に出力する。
電池状態量推定部26は、先に用いていた交換電流密度i0および拡散係数Dsを、電池特性決定部66から新たに与えられた交換電流密度i0および拡散係数Dsに更新し、電池状態量BSを求める。放電可能電力予測部28は、先に用いていた交換電流密度i0および拡散係数Dsを、電池特性決定部66から新たに与えられた交換電流密度i0および拡散係数Dsに更新し、放電可能電力特性を求める。
本実施例によれば、経時変化等により電池10の交換電流密度i0および拡散係数Dsが変化した場合であっても、変化後の交換電流密度i0および拡散係数Dsを用いて適切な放電制御を行うことができる。
電池診断モードの処理は、イグニッションオン時等、車両用電力制御システムが動作可能な状態で車両が停止している時に行うことが好適である。
図17に第2実施例に係る電池診断/電力制限値演算装置62の構成を示す。この実施例では、劣化度推定部68が、電池診断モード時の電池電流測定値Ibp、電池電圧測定値Vbp、および電池温度測定値Tbpに基づいて電池10の劣化度を求め、放電許容電圧生成部30に出力する。放電許容電圧生成部30は、劣化度推定部68によって求められた劣化度に基づいて放電電圧制限値Vdを決定する。図15に示した第1実施例の構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
電池診断/電力制制限演算装置62は、電池診断モード時に、電池10に流れる電流の時間波形が、例えば、図16(a)に示す時間波形となるよう、電池10に流れる電流を制御する。劣化度推定部68は、図16(a)のように電池10の電流が変化したときにおける電池電圧測定値Vbp、電池電流測定値Ibp、および電池温度測定値Tbpに基づいて電池10の劣化度を求める。ここで、電池10の劣化度は、例えば、SOH(State Of Health)等によって評価することができる。SOHは、新品時における、電池を満充電状態にした場合に放電可能な電荷量(満充電時放電可能電荷量)に対する、現時点における満充電時放電可能電荷量の比として定義される。SOHは、電池モデルパラメータの値とSOHとの関係を実験等によって定めたテーブルを参照することで求めることができる。
放電許容電圧生成部30は、劣化度と放電電圧制限値Vdとを対応付けた劣化度対電圧制限値テーブルを記憶する。放電許容電圧生成部30は、劣化度対電圧制限値テーブルを参照し、求められた劣化度に対応する放電電圧制限値Vdを求める。
図18に、劣化度対電圧制限値テーブルが示す関係の例をグラフによって示す。図18の横軸は劣化度を示し縦軸は放電電圧制限値Vdを示す。図18の例では、劣化度が所定の閾値Ht1未満のときは、劣化度の変化に対し放電電圧制限値Vdを一定とする。一方、劣化度が所定の閾値Ht1以上のときは、劣化度が増加すると共に放電電圧制限値Vdを増加させる。
劣化度H4、H5およびH6の間に、Ht1<H4<H5<H6の関係があるとき、それぞれに対応する放電電圧制限値Vd4、Vd5、およびVd6の関係は、Vd4<Vd5<Vd6となる。これによって、放電許容電圧生成部30が出力する放電電圧制限値によって示される放電電圧制限値の波形は、それぞれ、図19(a)の時間波形70−4、70−5、および70−6のようになる。そして、図19(a)の時間波形70−4、70−5、および70−6に対応して、放電可能電力予測部28において求められる放電可能電力特性は、それぞれ、図19(b)の特性72−4、72−5、および72−6のようになる。特性72−4、72−5、および72−6からは、共通のWo演算用時間twに対して、それぞれ、放電電力制限値Wo4、Wo5、およびWo6が求められる。これらの放電電力制限値には、Wo4>Wo5>Wo6の関係がある。
このように、本実施例では、劣化度が所定の閾値以上となったときには、劣化度が大きい程その値が大きくなるよう、放電電圧制限値Vdを決定する。これによって、劣化度が所定の閾値以上となったときには、劣化度が大きい程放電電力制限値Woを小さくすることができる。
電池は、劣化度が大きくなったときには迅速な放電を行わず、できるだけ寿命を延ばすことが好ましい。本実施例によれば、劣化度が所定の閾値以上であるときには放電電力を小さくし、電池10の寿命を長くすることができる。
なお、図15および図17にそれぞれ示す、第1および第2実施例に係る電池診断/電力制限値演算装置62については、図2に示す電力制限値演算装置24と同様、電力制限値設定部32を用いない構成としてもよい。
図20に第3実施例に係る電池診断/電力制限値演算装置62の構成を示す。この実施例では、劣化度推定/演算用時間調整部74が、電池診断モード時の電池電圧測定値Vbp、電池電流測定値Ibp、および電池温度測定値Tbpに基づいてWo演算用時間twを求め、電力制限値設定部32に出力する。図15に示した第1実施例の構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
電池診断/電力制限値演算装置62は、電池診断モード時に電池10に流れる電流の時間波形が、例えば、図16(a)に示す時間波形となるよう、電池10に流れる電流を制御する。劣化度推定/演算用時間調整部74は、図16(a)のように電池10の電流が変化したときにおける電池電圧測定値Vbp、電池電流測定値Ibp、および電池温度測定値Tbpに基づいて、電池10の劣化度を求める。
劣化度推定/演算用時間調整部74は、劣化度とWo演算用時間twとを対応付けた劣化度対演算用時間テーブルを記憶する。劣化度推定/演算用時間調整部74は、劣化度対演算用時間テーブルを参照し、求められた劣化度に対応するWo演算用時間twを求め、電力制限値設定部32に出力する。電力制限値設定部32は、演算用時間調整部60から出力されたWo演算用時間twに対応した放電電力制限値Woを求める。
図21に、劣化度対演算用時間テーブルが示す関係の例をグラフによって示す。図21の横軸は劣化度を示し縦軸はWo演算用時間twを示す。図21の例では、劣化度が所定の閾値Ht2未満のときは、劣化度の変化に対しWo演算用時間は一定とする。一方、劣化度が所定の閾値Ht2以上のときは、劣化度が増加すると共にWo演算用時間を長くする。
劣化度H4、H5およびH6の間に、Ht2<H4<H5<H6の関係があるとき、それぞれに対応するWo演算用時間tw4、tw5、およびtw6の関係は、tw4<tw5<tw6となる。これによって、劣化度推定/演算用時間調整部74が出力するWo演算用時間twに対応して求められる放電電力制限値は、図22に示すように、それぞれ、Wo4、Wo5およびWo6となる。これらの放電電力制限値には、Wo4>Wo5>Wo6の関係がある。
このように、本実施例では、劣化度が所定の閾値以上となったときには、劣化度が大きい程それが示す時間が長くなるようWo演算用時間twが求められる。これによって、劣化度が所定の閾値以上となったときには、劣化度が大きい程放電電力制限値Woを小さくすることができる。これによって、上記の第2実施例と同様、劣化度が所定の閾値以上であるときには放電電力を小さくし、電池10の寿命を長くすることができる。
図23に第4実施例に係る電池診断/電力制限値演算装置62の構成を示す。この電力制限値演算装置は、第2実施例における劣化度推定部68と、第3実施例における劣化度推定/演算用時間調整部74とを組み合わせたものである。図17に示した第2実施例の構成部および図20に示した第3実施例の構成部と同一の構成部については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、劣化度が所定の閾値以上となったときには、劣化度が大きい程その値が大きくなるよう、放電電圧制限値が決定される。さらに、本実施例では、劣化度が所定の閾値以上となったときには、劣化度が大きい程それが示す時間が長くなるよう、Wo演算用時間twが求められる。これによって、劣化度が所定の閾値以上となったときには、劣化度が大きい程放電電力制限値Woを小さくすることができる。劣化度推定部68と劣化度推定/演算用時間調整部74との組み合わせにより、電池10の寿命を長くするという効果を大きくすることができる。
第1の実施形態に係る電力制限値演算装置24の第4実施例、および第2の実施形態に係る電池診断/電力制限値演算装置62の第2実施例は、組み合わせることが可能である。この組み合わせによる電池診断/電力制限値演算装置62を図24に示す。図10および図17に示す構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
この電池診断/電力制限値演算装置62は、放電電圧制限値を劣化度推定部68および放電許容電圧生成部30により求め、Wo演算用時間twの調整を演算用時間調整部60により行うものである。
また、第1の実施形態に係る電力制限値演算装置24の第3実施例、および第2の実施形態に係る電池診断/電力制限値演算装置62の第3実施例は、組み合わせることが可能である。この組み合わせによる電池診断/電力制限値演算装置62を図25に示す。図7および図20に示す構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
この電池診断/電力制限値演算装置62は、放電電圧制限値を放電許容電圧生成部54により求め、Wo演算用時間twの調整を劣化度推定/演算用時間調整部74により行うものである。
上記では、電力制限値設定部32が用いるWo演算用時間twを求める手段として、演算用時間調整部60、および劣化度推定/演算用時間調整部74について説明した。本発明では、このような手段の他、アクセルペダル操作量に基づいてWo演算用時間twを求める手段を採用することができる。
図26にアクセルペダル操作量に基づいてWo演算用時間twを求める構成を示す。アクセル操作/演算用時間調整部76は、操作部16から、アクセルペダル踏み込み量を示すアクセル操作量情報を取得する。
アクセル操作/演算用時間調整部76は、アクセル操作量情報に基づいて、アクセルペダル踏み込み量Aを取得し、さらに、アクセル操作量情報の時間変化に基づいて、アクセルペダル踏み込み量の時間変化dA/dtを求める。アクセル操作/演算用時間調整部76は、アクセルペダル踏み込み量A、その時間変化dA/dt、およびWo演算用時間tw0を対応付けたアクセル操作対演算用時間テーブルを記憶する。アクセル操作/演算用時間調整部76は、アクセル操作対演算用時間テーブルを参照し、アクセルペダル踏み込み量Aおよびその時間変化dA/dtに対応するWo演算用時間tw0を求め、ローパスフィルタ78に出力する。ローパスフィルタ78は、Wo演算用時間tw0にローパスフィルタ処理を施し、Wo演算用時間twとして電力制限値設定部32に出力する。なお、ローパスフィルタ78は、アクセルペダルの操作性を調整するものであり、必ずしも設ける必要はない。
図27に、アクセル操作対演算用時間テーブルが示す関係の例をグラフによって示す。図27の横軸はアクセルペダル踏み込み量Aを示し縦軸はアクセルペダル踏み込み量の時間変化dA/dtを示す。また、高さ軸はWo演算用時間tw0を示す。図27の例では、アクセルペダル踏み込み量A、およびアクセルペダル踏み込み量の時間変化dA/dtに対応するWo演算用時間tw0は曲面Stで表される。
アクセルペダル踏み込み量A、およびアクセルペダル踏み込み量の時間変化dA/dtによって表されるA−dA/dt平面内の動作点(A,dA/dt)が、所定の曲線Cより原点側の領域にあるときは、Wo演算用時間tw0は一定値twaとなる。そして、動作点(A,dA/dt)が曲線Cを隔てて原点とは反対側の領域にあるときは、アクセルペダル踏み込み量Aが大きい程、Wo演算用時間tw0が短くなり、アクセルペダル踏み込み量dA/dtの時間変化が正方向に大きい程、Wo演算用時間tw0が短くなる。
図28(a)は、アクセルペダルの操作例を示す。横軸は時間を示し縦軸はアクセルペダル踏み込み量Aを示す。図28(b)は、図28(a)に示されるアクセルペダル操作に対応して求められる、ローパスフィルタ処理後のWo演算用時間twの時間変化を示す。横軸は時間を示し縦軸はWo演算用時間twを示す。また、図28(c)は、図28(b)に示されるWo演算用時間twに対して求められる放電電力制限値Woを示す。
ここでは、時刻t3から時刻t4までの間、動作点(A,dA/dt)が曲線Cより原点側の領域にあるものとする。これによって、時刻t3から時刻t4までの間、Wo演算用時間twは一定値twaとなる。時刻t4から時刻t5までの間、アクセルペダル踏み込み量Aがatからamに達し、これによって動作点(A,dA/dt)が曲線Cを隔てて原点とは反対側の領域に入ると、Wo演算用時間twは、twaより短いtwbとなる。時刻t5から時刻t6までの間、アクセルペダル踏み込み量Aが一定になり、さらに、時刻t6以降アクセルペダル踏み込み量Aが減少すると共に、動作点(A,dA/dt)が曲線Cより原点側の領域に入ると、ローパスフィルタ78に入力されるWo演算用時間tw0はtwaに戻る。これによって、ローパスフィルタ78からアクセル操作/演算用時間調整部76に出力されるWo演算用時間twは、ローパスフィルタ78の時定数に基づき時間の経過と共にtwaに漸近する。
このようにWo演算用時間twが求められることにより、アクセルペダルが踏み込まれると共に放電電力制限値Woを増加させることができる。そして、アクセルペダル踏み込み量Aが一定になり、アクセルペダルの踏み込みが戻されると共に、放電電力制限値Woを元の値に戻すことができる。これによって、電池10の充電電力を最大限に用いることができ、車両の加速性能を向上させることができる。
10 電池、12 電力制御装置、14 モータジェネレータ、16 操作部、18 電流センサ、20 電圧センサ、22 温度センサ、24 電力制限値演算装置、26 電池状態量推定部、28 放電可能電力予測部、30,54 放電許容電圧生成部、32 電力制限値設定部、34 負極、36 正極、38 セパレータ、40,42 活物質、44 負極コレクタ、46 正極コレクタ、48 負極端子、50 正極端子、52 外部回路、56−1〜56−3,70−4〜70−6 放電電圧制限値時間波形、58−1〜58−3,72−4〜72−6 放電可能電力特性、60 演算用時間調整部、62 電池診断/電力制限値演算装置、64 モード切り換えスイッチ、66 電池特性決定部、68 劣化度推定部、74 劣化度推定/演算用時間調整部、76 アクセル操作/演算用時間調整部、78 ローパスフィルタ。
Claims (8)
- 車両駆動電力供給用の電池について放電電力制限値を求める放電電力制限値演算装置において、
前記電池の電力授受状態を検出する使用状態検出部と、
前記使用状態検出部の検出結果に基づいて、電池状態量を求める電池状態量推定部と、
放電電圧制限値を取得し、放電可能電力の時間変化を示す放電可能電力特性を、当該放電電圧制限値と前記電池状態量とに基づいて求める放電可能電力予測部と、
を備え、
前記放電可能電力特性に基づく放電電力制限値を出力することを特徴とする放電電力制限値演算装置。 - 請求項1に記載の放電電力制限値演算装置において、
前記放電可能電力特性に基づいて、基準時刻から所定の時間が経過した時における放電可能電力を放電電力制限値として求める電力制限値設定部を備えることを特徴とする放電電力制限値演算装置。 - 請求項2に記載の放電電力制限値演算装置において、
前記電池状態量に基づいて前記電池の充電深度を求め、求められた充電深度が大きい程長い演算用時間を定める演算用時間調整部を備え、
前記電力制限値設定部は、
基準時刻から前記演算用時間が経過した時における放電可能電力を放電電力制限値として求めることを特徴とする放電電力制限値演算装置。 - 請求項2に記載の放電電力制限値演算装置において、
前記使用状態検出部の検出結果に基づいて、前記電池の充電能力の劣化度を求める劣化度推定部と、
前記劣化度推定部によって求められた劣化度が大きい程長い演算用時間を定める演算用時間調整部と、
を備え、
前記電力制限値設定部は、
基準時刻から前記演算用時間が経過した時における放電可能電力を放電電力制限値として求めることを特徴とする放電電力制限値演算装置。 - 請求項4に記載の放電電力制限値演算装置において、
前記劣化度推定部によって求められた劣化度が大きい程小さい放電電圧制限値を定め、定められた放電電圧制限値を前記放電可能電力予測部に与える許容電圧設定部を備えることを特徴とする放電電力制限値演算装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放電電力制限値演算装置において、
前記使用状態検出部の検出結果に基づいて、前記電池の充電能力の劣化度を求める劣化度推定部と、
前記劣化度推定部によって求められた劣化度が大きい程小さい放電電圧制限値を定め、定められた放電電圧制限値を前記放電可能電力予測部に与える許容電圧設定部を備えることを特徴とする放電電力制限値演算装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放電電力制限値演算装置において、
前記電池状態量に基づいて前記電池の充電深度を求め、求められた充電深度が大きい程小さい放電電圧制限値を定め、定められた放電電圧制限値を前記放電可能電力予測部に与える許容電圧設定部を備えることを特徴とする放電電力制限値演算装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の放電電力制限値演算装置において、
前記電池に流れる電流を変化させる電池電流制御部と、
前記電池電流制御部による電流変化に対する前記電池の出力電圧の変化に基づいて、前記電池の特性定数を求める電池特性決定部と、
を求め、
前記電池状態量推定部は、
前記電池特性決定部によって求められた特定定数に基づいて電池状態量を求め、
前記放電可能電力予測部は、
前記電池特性決定部によって求められた特定定数に基づいて放電可能電力を求めることを特徴とする放電電力制限値演算装置。
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