JP5323743B2 - 硫化水素の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硫化水素の検出方法に関する。
船舶用燃料等の燃料油は不純物として硫化水素を含む。燃料油中の硫化水素は大気汚染や内燃機関又は燃焼設備の損傷劣化の原因となる。したがって、燃料油精製において硫化水素を除去する必要がある。そして、燃料油の精製過程又は精製後において燃料油に含まれる硫化水素を検出する技術が必要となる。
従来、燃料油に含まれる硫化水素の検出方法としては、IP 399/94として規格化された方法が知られている(下記非特許文献1参照)。IP 399/94では、燃料油を溶解した脱酸素キシレンを加熱しながら脱酸素キシレン中に窒素ガスを導入し続ける。脱酸素キシレン中から放出された窒素ガス中には、燃料油に不純物として含まれていた硫化水素等が回収されている。硫化水素が回収された窒素ガスを吸引ビン内の吸収液内へ導入する。吸収液には、アミン試験液、塩化第二鉄、リン酸水素アンモニウム等の試薬が含まれている。窒素ガス中の硫化水素は吸収液中に抽出される。硫化水素を含む吸収液を脱酸素水とともに吸光度測定用フラスコに移し替える。そして、メチレンブルー吸光光度法によって硫化水素を定量する。
IP 399/94の測定には、約3時間程度の長時間を要する。またIP 399/94は、約20種類の試薬を使用する複雑な化学反応のプロセスとメチレンブルー吸光光度法との組み合わせからなり、煩雑な操作を要する。そのため、IP 399/94の実施には、熟練の専門家が長時間従事することが必要とされる。さらに、IP 399/94は、試薬として水酸化カドミウム等の毒性の化学物質を使用するため、危険を伴う。
上記の事情から、本発明者らは、IP 399/94よりも簡便であり、かつIP 399/94と同程度の精度で燃料油中の硫化水素を検出する方法を模索した。そして、本発明者らは、キシレン中から放出され続ける窒素ガスの流れを硫化水素用検知管に直接導入することにより、硫化水素を検出することを試みた。
検知管法では、キシレン中を通過した窒素ガスの総体積を測定するともに、検知管に導入する窒素ガスの体積を適量に制御することが必要である。しかし、キシレン中を通過して検知管に流れ込む窒素ガスの体積(窒素ガスの流量)の制御及び測定は容易ではない。したがって、窒素ガスの流れを検知管に直接導入する場合、検知管法の実施は困難である。
また、窒素ガスの流量が小さ過ぎる場合、充分な量の窒素ガスが検知管に導入されず、硫化水素の検出が困難となる。窒素ガスの流れが大き過ぎる場合、窒素ガスを検知管へ導入するガス管が検知管から外れてしまう。窒素ガスの流量を簡便に制御することは容易ではないため、これらの問題が発生してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも簡便な硫化水素の検出方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る硫化水素の検出方法は、硫化水素を含む燃料油が溶解した希釈溶剤を加熱しながら希釈溶剤中にフローガスを導入し、希釈溶剤中から放出されたフローガスを捕集器内に捕集し、捕集器に捕集されたフローガスにおける硫化水素の含有量を硫化水素用検知管で測定する工程を備える。すなわち、本発明に係る硫化水素の検出方法では、検知管法により燃料油中の硫化水素の含有量を測定する。なお、フローガスとは、硫化水素等の検出対象成分を燃料油から追い出すためのガスである。
本発明では、下記のように従来よりも簡便に燃料油中の硫化水素を検出することが可能となる。
IP 399/94では、メチレンブルー吸光光度法を必要とする。またIP 399/94では、メチレンブルー吸光光度法のために多数の試薬を使用する複雑な化学反応のプロセスが必要となる。さらにIP 399/94では、水酸化カドミウム等の毒性の化学物質を必要とする。また、IP 399/94では、吸収液の発色を妨害する酸素をキシレンから除去する必要がある。またIP 399/94では、脱酸素キシレン中から放出された窒素ガスを吸収液に回収する工程も必要となる。
一方、本発明では、メチレンブルー吸光光度法を必要としない。また、本発明では、多数の試薬を使用する複雑な化学反応のプロセスも不要となる。したがって、本発明では、IP 399/94よりも簡便且つ迅速に燃料油中の硫化水素を検出できる。さらに本発明は、水酸化カドミウムを用いないため安全である。さらに本発明では、吸光光度法を用いないため、キシレンから酸素を除去する必要がない。また本発明は、希釈溶剤中から放出されたフローガスを吸収液に回収する工程を経ることなく、フローガス中の硫化水素の含有量を検知管で測定できる点においても簡便である。
本発明では、フローガスを硫化水素用検知管に直接導入しない。本発明では、希釈溶剤中を通過したフローガスを捕集器内に捕集する。したがって、本発明では、希釈溶剤中を通過したフローガスの総体積を容易且つ正確に測定できる。また本発明では、捕集器内に捕集したフローガスを硫化水素用検知管に採取するため、検知管内に採取するフローガスの体積の制御及び測定を容易且つ正確に行うことできる。
捕集器を用いずにフローガスを硫化水素用検知管に直接導入する方法では、検知管に流れ込むフローガスの流量の制御及び測定のために複雑な操作及び装置が必要となる。しかし、本発明では、捕集器を用いるため、フローガスの流量の制御及び測定のために複雑な操作及び装置が不要となる。
上記本発明では、燃料油が、硫化水素以外に亜硫酸ガス、メルカプタン類、ガソリン、アセチレン、エチレン、アンモニア、塩化水素、窒素酸化物、一酸化炭素、及び二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも一種の不純物を含有している場合、捕集器に捕集されたフローガスにおける当該不純物の含有量を各不純物に対応する検知管で測定する工程を備えてもよい。これより、燃料油中の硫化水素以外の不純物の含有量を測定することができる。
上記本発明では、亜硫酸ガス用検知管又はメルカプタン類用検知管の少なくともいずれかを捕集器と硫化水素用検知管との間に設置し、亜硫酸ガス用検知管又はメルカプタン類用検知管の少なくともいずれかを通過したフローガスにおける硫化水素の含有量を硫化水素用検知管で測定することが好ましい。
燃料油が硫化水素だけでなく亜硫酸ガスやメルカプタン類も含む場合、フローガスには硫化水素だけでなく亜硫酸ガスやメルカプタン類も回収される。亜硫酸ガスやメルカプタン類は、硫化水素と同様の化学的性質を有する。したがって、亜硫酸ガスやメルカプタン類を含むフローガスを硫化水素用検知管に直接採取すると、亜硫酸ガスやメルカプタン類が誤って硫化水素として検出されることがある。その結果、フローガス中の硫化水素の含有量の測定の精度が低下することがある。本発明では、フローガス中の亜硫酸ガスを亜硫酸ガス用検知管で吸着し、フローガス中のメルカプタン類をメルカプタン類用検知管で吸着した後で、フローガスを硫化水素用検知管に導入してもよい。その結果、本発明では、燃料油に含まれる硫化水素の検出精度が向上する。
本発明によれば、従来よりも簡便な硫化水素の検出方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る硫化水素の検出方法を実施するための検出装置の模式図である。 本発明の一実施形態に係る硫化水素の検出方法を実施するための検出装置の模式図である。 本発明の一実施形態に係る硫化水素の検出方法に用いる硫化水素用検知管の模式図である。 本発明の一実施形態に係る硫化水素の検出方法を実施するための検出装置の模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付す。また、上下左右の位置関係は図面に示す通りであるが、寸法の比率は図面に示すものに限定されない。また、従来法であるIP 399/94と硫化水素の検出値が一致しさえすれば、本実施形態の諸条件は適宜選択することができる。
本実施形態では、図1〜3に示す検出装置を用いて、燃料油中の硫化水素の検出方法を実施する。図1〜3に示す検出装置は、例えば下記の機器から構成すればよい。
[試験容器]
試験容器としては、複数口を有するフラスコであれば特に限定されないが、例えば、容量100mLの三口丸底フラスコ3を用いればよい。また、試験容器の主管4、側管5,6は他の器具とジョイントし易いようにすり合わせ口を有していてもよい。
[冷却器]
冷却器としては、フローガスに含まれる希釈溶剤14の揮発分を冷却して液化できれば特に限定されるものではないが、アーリン氏タイプ冷却器10を好ましく用いる事ができる。または、これと同等のものを用いてもよい。冷却器は、他の器具とジョイントし易いようにすり合わせ口を有していてもよい。冷却器10は、フローガスに含まれる希釈溶剤14の揮発分を冷却して液化し、希釈溶剤14が下記の捕集器に捕集されることを防止する。
[接続管]
接続管9は、丸底フラスコ3と冷却管10とを接続するもので、すり合わせ口を有してもよく、例えば、丸底フラスコ3と冷却管10のすり合わせ口径が違う場合に用いる。
[排気管]
排気管11は、冷却器10の上部とテドラーバック13とを接続するものである。冷却器10の上部がすり合わせ口の場合、排気管11は、冷却器10の上部とジョイントするためにすり合わせ口を有してもよい。
[導入管]
導入管2はフローガスを希釈溶剤に導入するものである。導入管2としては薄肉ガラス製の管を好ましく使用できる。導入管2の先端は、三口丸底フラスコ3内に導入される希釈溶剤の中に配置する。
[水浴]
水浴8中の水7は、ヒーターによって60±2℃程度に保持される。
[希釈溶剤]
希釈溶剤14としては、燃料油を溶解させることさえできれば特に限定されるものではないが、キシレン、トルエン、ドライソルベント、インク用ソルベント、硫化水素を含まない低粘度潤滑油等を挙げることができる。本施形態では希釈溶剤としてキシレンを使用する。キシレンとしては、JIS K 8271に規定されたものを用いればよい。
[捕集器]
捕集器としては、硫化水素を含有するフローガスの捕集さえできれば、特に限定されないが、ポリフッ化ビニル製のテドラーバック13を好ましく用いることができる。
[流量計]
流量計1としては、フローガスの流量を調節できるフロート式流量計又はそれと同等の性能を有するものを用いればよい。好ましいフローガスの流量は200±5mL/min程度である。
[硫化水素用検知管]
検知管は、一般的に検知管式ガス測定器とも呼ばれる。検知管とは、内径の揃ったシリンダー型ガラス管に検知剤を緊密に充填し、その両端を封じたものである。検知管の両端を折り取り、ガス採取器(ピストン)に接続し、検知管に一定量の試料ガス(フローガス)を吸入すると、試料ガスに含まれる被検出ガス(硫化水素)が検知剤と直ちに化学反応を起こし、検知剤が検知管の入り口側から変色する。試料ガスの吸入が終了した後、検知剤の変色域の先端に当たる位置を、検知管に記された濃度目盛りで読み取る。これにより、試料ガスにおける被検出ガスの含有量が定量される。検知剤とは、精製されたシリカゲル又はアルミナ等の細粒に、被検出ガスと選択的に反応して呈色する反応試薬を吸着させたものである。硫化水素用検知管20としては、市販の携帯タイプのものを用いればよい。硫化水素用検知管20が有する反応試薬は酢酸鉛である。硫化水素用検知管20に導入された硫化水素と酢酸鉛が反応して硫化鉛が生成することで、検知剤が白色から茶色に変色する。市販の硫化水素用検知管による硫化水素の測定範囲は、0.25〜120ppm程度である。
(燃料油の採取方法)
燃料油としては、常温で揮発し難いものが好ましく、60℃程度で加温しても揮発しないものが特に好ましい。このような燃料油としては、船舶用燃料油、軽油、A重油、発動機用重油、電力重油、重油基材(カットバックボトム)等が挙げられる。本実施形態に係る硫化水素の検出方法は、特に船舶用燃料油に含まれる硫化水素の定量に好適である。
燃料油は、JIS K 2251(原油及び石油製品−試料採取方法)に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法、又はそれに準じた方法によって採取及び調製することが好ましい。
試料容器から燃料油を採取(サンプリング)するには注射器等を用いればよい。注射器に採取された試料は、できる限り最短時間で測定に供試する。また、試料容器を開栓した場合には、燃料油の変質を防止するために、4時間以内に試験を終了することが好ましい。
燃料油の粘性が高く、燃料油を注射器ではかり採れない場合は、燃料油の流動性が得られる必要最低限の温度で燃料油を加温する。燃料油の加熱温度は40℃前後が望ましい。希釈溶剤の加温温度(例えば60℃)以上で燃料油を加熱したり、燃料油を長時間加熱したりすると、燃料油の変質原因になることから好ましくない。
試料容器のふたをはずして燃料油を採取した後は、燃料油の変質を防止するために、試料容器内を窒素ガスで置換して直ちに試料容器にふたをしたほうがよい。
(検出装置の準備)
本実施形態では、試験容器3の中央にある主管4に接続管9を介して冷却管10を取り付ける。側管5に導入管2を接続して、もう一方の側管6には栓(ガラス共栓またはゴム栓)をする。
試験容器3が水浴8に半分以上浸るような位置に、試験容器3を設置する。
フローガスの元栓と流量計1をフレキシブルチューブ等の配管で接続する(図示省略)。次に、流量計1の出口と導入管2を配管で接続し、冷却器10の上部に取り付けたすり合せ排気管とテドラーバック13とを排気管11で接続する。テドラーバックにつなぐ側の排気管11の管口は、あらかじめテドラーバックのガス採取口12の口径に合わせる。
フローガスとしては、少なくとも硫化水素に対して不活性であり、且つ硫化水素と化学的性質が異なるガスを用いればよい。このようなフローガスとしては、窒素ガス、不活性ガス、および空気等が好適である。なお、フローガスとして空気を用いる場合は、空気中の不純物や塵、水等を除去するために空気をフィルタに通すことが好ましい。窒素ガスとしては、JIS K 1107に規定された2級のもの又はこれと同等以上の純度のものを用いればよい。以下では、フローガスとして窒素ガスを用いる場合について説明する。
窒素ガスの供給により、組み立てた試験容器3及びテドラーバック13の気密性を確認する。
50mLの希釈溶剤14をメスシリンダにはかり採り、試験容器3において導入管2が挿入されていない側管6の栓をはずして、試験容器3内へ希釈溶剤14を注ぎ込み、直ちに側管6の栓をする。
(燃料油のはかり採り)
あらかじめ40℃前後で加温しておいた試料容器を振って、試料容器内の燃料油を均質にした後、試料容器のふたをはずし、すばやく約5mLの燃料油を針なしの注射器15で採取する。重量に換算した燃料油の採取量は1.00〜5.00gであればよい。燃料油を採取した後、注射器15の周りに付いた汚れをふき取り、燃料油を含む注射器15の重量Wを測定する。なお、燃料油が室温で充分に高い流動性を有する場合、燃料油を加熱することなく注射器15で採取してもよい。
燃料油採取後は、ただちに試料容器中の空気を窒素ガスでパージし、すばやく試料容器にふたをする。試料容器のふたを開けたままで放置しない。
(フローガスの捕集)
上記の方法で丸底フラスコ3内部を窒素ガスで10分パージした後、燃料油を注入中に希釈溶剤14が噴き出さないようにするため、窒素ガス流量を減少させることが好ましい。本実施形態では、窒素ガス流量を200mL/minから10mL/min程度まで減少させ、丸底フラスコ3の側管6の栓をはずして、注射器15の先端を丸底フラスコ3内に挿入し、丸底フラスコ3内のキシレン14へ燃料油を注入する。燃料油はキシレン14中に均一に溶解させる。
燃料油をキシレン14へ注入した後、ただちに側管6に栓をして、冷却器10の上端に接続された排気管11を容量3Lのテドラーバック13のガス採取口12に接続する。ただちに、窒素ガス流量を200mL/minに調節して、キシレン14を水浴8で60℃に加温しながら、窒素ガスをキシレン14中に15分間吹き込む。窒素ガスの導入により、燃料油が溶解したキシレン14内から硫化水素を追い出す。換言すれば、キシレン14内に導入された後にキシレン14内から放出された窒素ガス中には、燃料油に不純物として含まれていた硫化水素等が回収される。窒素ガスをキシレン14中に15分導入し続ける間に、キシレン14中から放出されたフローガスをテドラーバック13内に捕集する。硫化水素を含有した窒素ガス3Lがテドラーバック13内に捕集される。
燃料油注入後の注射器15の重量Wを測定する。下記式(1)から、キシレン14に溶解させた燃料油の重量S(g)を算出する。
=W―W (1)
窒素ガス3Lをテドラーバック13内に捕集した後、テドラーバック13を排気管11からはずして、テドラーバック13のガス採取口12を閉める。
(検知管法による硫化水素の検出)
硫化水素用検知管20の両端を付属のカッターで折り、硫化水素用検知管20に記された矢印をガス採取器21に向け、硫化水素用検知管20をガス採取器21に差し込んで取り付ける。次に下記の操作1及び2を行う。
操作1では、ガス採取器21のピストン柄(ハンドル)を完全に押し込んで硫化水素用検知管20内の空気を完全に押し出す。そして、ガス採取器21とは反対側を向く水素用検知管20の先端をテドラーバック13の採取口12に接続する(図2参照)。
操作2では、ガス採取器21本体およびピストン柄に表示されたガイドマークを100mLのガス採取量に合わせる。ピストン柄をストッパーがかかるまで一気に引いて、所定の時間硫化水素用検知管20内にテドラーバック13内の窒素ガスを吸引する。窒素ガスの吸引を完了した後、硫化水素用検知管20の変色域22の長さに対応する値を、水素用検知管20に記された目盛りから読み取る(図3参照)。目盛りから読み取った値は、窒素ガス100mLにおける硫化水素の含有量A(体積ppm)に相当する。
100mL以上の窒素ガスを採取する必要がある場合は,水素用検知管20をガス採取器21に取り付けたまま、操作1,2を繰り返して窒素ガスを必要量採取する。この場合、硫化水素の含有量Aは次のように補正する。例えば,2回の吸引によって、検知管表示値の基になる基準採取ガス量(100mL)の倍量(200mL)を硫化水素用検知管20に採取した場合、検知管の表示値の1/2(100mL/200mL)が、正しい硫化水素の含有量Aになる。
燃料油における硫化水素の含有量C(質量ppm)は、下記式(2)によって算出される。
C=(M×V×A)/(V×S)=(4.113×A)/S (2)
上記式(2)中、Mは、硫化水素の分子量34(g)である。Vは、テドラーバック13(捕集器)に捕集された窒素ガス(フローガス)の体積(L)である。本実施形態では、Vはテドラーバック13の容積3Lに等しい。Aは、上記のように、窒素ガス(フローガス)100mLにおける硫化水素の含有量(体積ppm)であり、硫化水素用検知管20から読取った値である。あるいは、Aは、窒素ガス(フローガス)100mLあたりに補正した硫化水素の含有量である。Vは、1気圧(bar)、室温(25℃)における1molの理想体積の体積24.8(L)である。Sは、上記のように、キシレン14(希釈溶剤)に溶解させた燃料油の重量S(g)である。
以上のように、検知管法による硫化水素の定量では、捕集器に捕集されたフローガスの体積V、フローガス100mLにおける硫化水素の含有量A、及び希釈溶剤に溶解させた燃料油の重量Sをそれぞれ測定し、上記式(2)を用いることにより、燃料油における硫化水素の含有量Cを定量することが可能となる。本実施形態では、IP 399/94よりも簡便に、且つIP 399/94と同程度の精度で燃料油中の硫化水素を検出することが可能となる。
燃料油は、硫化水素だけではなく、亜硫酸ガス(二酸化硫黄)、メルカプタン類、ガソリン、アセチレン、エチレン、アンモニア、塩化水素、窒素酸化物、一酸化炭素、及び二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも一種の不純物を含有することもある。本実施形態では、亜硫酸ガス用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおける亜硫酸ガスの含有量を測定してもよい。メルカプタン類用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおけるメルカプタンの含有量を測定してもよい。ガソリン用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおけるガソリンの含有量を測定してもよい。アセチレン用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおけるアセチレンの含有量を測定してもよい。エチレン用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおけるエチレンの含有量を測定してもよい。アンモニア用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおけるアンモニアの含有量を測定してもよい。塩化水素用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおける塩化水素の含有量を測定してもよい。窒素酸化物用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおける窒素酸化物の含有量を測定してもよい。一酸化炭素用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおける一酸化炭素の含有量を測定してもよい。二酸化炭素用検知管を用いて、テドラーバック13に捕集された窒素ガスにおける二酸化炭素の含有量を測定してもよい。検知管法によれば、硫化水素のみならず、上記の不純物の定量も簡便に実施できる。亜硫酸ガス用検知管、メルカプタン類用検知管、ガソリン用検知管、アセチレン用検知管、エチレン用検知管、アンモニア用検知管、塩化水素用検知管、窒素酸化物用検知管、一酸化炭素用検知管、及びに二酸化炭素用検知管としては、市販の検知管を用いればよい。
硫化水素用検知管20に加えて、亜硫酸ガス用検知管、メルカプタン類用検知管、ガソリン用検知管、アセチレン用検知管、エチレン用検知管、アンモニア用検知管、塩化水素用検知管、窒素酸化物用検知管、一酸化炭素用検知管、及び二酸化炭素用検知管の少なくともいずれかをテドラーバック13に接続してもよい。つまり、複数の種類のガス検知管をテドラーバック13に並列に接続してよい。
本実施形態では、図4に示すように、亜硫酸ガス用検知管42及びメルカプタン類用検知管41を、テドラーバック13と硫化水素用検知管20との間に設置してもよい。すなわち、テドラーバック13、亜硫酸ガス用検知管42、メルカプタン類用検知管41及び硫化水素用検知管20をこの順序で直列に接続してもよい。これにより、硫化水素の検出を阻害する亜硫酸ガスやメルカプタン類を窒素ガスから除去した後で、窒素ガス中の硫化水素を定量できる。その結果、燃料油における硫化水素の検出精度が向上する。なお、図4において、亜硫酸ガス用検知管42とメルカプタン類用検知管41とを互いに入れ替えてもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図1〜3に示す装置系を用いて、6種類の燃料油A〜Fにおける硫化水素の含有量を定量した。実施例1では、各燃料油における硫化水素の含有量を2回定量した。
実施例1では、丸底フラスコ内のキシレン50mLに5mLの燃料油を溶解させた。キシレンを60℃に加温しながら200mL/minの窒素ガスをキシレン中に導入し、キシレン中から放出した窒素ガスを3Lのテドラーバック内に捕集した。テドラーバックに捕集された窒素ガス100mLあたりの硫化水素の含有量Aを硫化水素用検知管(株式会社ガステック社製、型番:4LL)で測定した。5mLの燃料油の重量S、テドラーバックに捕集された窒素ガスの全体積3L及び窒素ガス100mLあたりの硫化水素の含有量Aを用いて、上記式(2)から、燃料油における硫化水素の含有量Cを算出した。
実施例1で求めた燃料油A〜Fにおける硫化水素の含有量を表1に示す。
(比較例1)
比較例1では、IP 399/94により、6種類の燃料油A〜Fにおける硫化水素の含有量を定量した。比較例1では、各燃料油における硫化水素の含有量を2回定量した。比較例1で求めた燃料油A〜Fにおける硫化水素の含有量を表1に示す。
Figure 0005323743
表1に示すように、実施例1で測定した各燃料油における硫化水素の含有量は、比較例1の測定結果とほぼ一致することが確認された。
(実施例2)
実施例2では、図4に示すように、亜硫酸ガス用検知管及びメルカプタン類用検知管を、テドラーバックと硫化水素用検知管との間に設置した。すなわち、実施例2では、テドラーバック、亜硫酸ガス用検知管、メルカプタン類用検知管及び硫化水素用検知管をこの順序で直列に接続した。実施例2では、亜硫酸ガス用検知管(株式会社ガステック社製、型番:5Lb)を用いて、燃料油Gにおける亜硫酸ガスの含有量を求めた。また実施例2では、メルカプタン類用検知管(株式会社ガステック社製、型番:70L)を用いて、燃料油Gにおけるメルカプタン類の含有量を求めた。燃料油Gにおけるメルカプタン類の含有量は、メルカプタン類がメチルメルカプタン又はエチルメルカプタンに相当することを前提とした換算値である。実施例2では、硫化水素用検知管(株式会社ガステック社製、型番:4LL)を用いて、燃料油Gにおける硫化水素の含有量を求めた。以上の事項以外は実施例1と同様の方法を実施例2で採用した。
燃料油Gにおける硫化水素の含有量は1mg/kg未満であった。燃料油Gにおける亜硫酸ガスの含有量は2mg/kg未満であった。燃料油Gにおけるメルカプタン類の含有量は3mg/kgであった。
以上のように、実施例2では、燃料油Gにおける硫化水素、亜硫酸ガス及びメルカプタン類の各含有量を定量することができた。
1・・・流量計、2・・・導入管、3・・・試験容器(三口丸底フラスコ)、4・・・主管、5,6・・・側管、7・・・水、8・・・水浴、9・・・接続管、10・・・冷却器、11・・・排気管、12・・・ガス採取口、13・・・テドラーバック、14・・・希釈溶剤(キシレン)、15・・・注射器、20・・・硫化水素用検知管、21・・・ガス採取器、22・・・変色域、41・・・メルカプタン類用検知管、42・・・亜硫酸ガス用検知管。

Claims (3)

  1. 硫化水素を含む燃料油が溶解した希釈溶剤を加熱しながら前記希釈溶剤中にフローガスを導入し、前記希釈溶剤中から放出された前記フローガスを捕集器内に捕集し、前記捕集器に捕集された前記フローガスにおける前記硫化水素の含有量を硫化水素用検知管で測定する工程を備える、
    硫化水素の検出方法。
  2. 前記燃料油が、亜硫酸ガス、メルカプタン類、ガソリン、アセチレン、エチレン、アンモニア、塩化水素、窒素酸化物、一酸化炭素、及び二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも一種の不純物を含有し、
    前記捕集器に捕集された前記フローガスにおける前記不純物の含有量を前記不純物に対応する検知管で測定する工程を備える、
    請求項1に記載の硫化水素の検出方法。
  3. 亜硫酸ガス用検知管又はメルカプタン類用検知管の少なくともいずれかを前記捕集器と前記硫化水素用検知管との間に設置し、前記亜硫酸ガス用検知管又は前記メルカプタン類用検知管の少なくともいずれかを通過した前記フローガスにおける前記硫化水素の含有量を前記硫化水素用検知管で測定する、
    請求項1又は2に記載の硫化水素の検出方法。

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