JP5322425B2 - ごま油の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、精製ごま油の製造方法に関する。より詳しくは、リグナン類等が多い精製ごま油を得る方法に関する。
ごま原油には、主にセサミン、セサモリンからなるリグナン類が多く含まれている。セサミンとセサモリンは、生体内において優れた生理作用を示すことが知られており、これを多く含む油脂の開発が望まれている(参考として、非特許文献1,2)。
一般にゴマ種子は焙煎、圧搾/抽出によって搾油した焙煎ゴマ油と、焙煎工程を経ず、通常の植物油同様に搾油後精製されて得られる、精製ゴマ油に大別される。
焙煎ゴマ油は中華料理・和食料理を中心にゴマ風味を付与する用途に利用されている。焙煎ごま油は通常精製を行わないことから、リグナン類が多く含まれるが、前記の如く、用途が限定されるため、汎用用途には向かない。そこで、汎用用途には、その適正が高い精製ごま油が用いられている。しかしながら、従来の精製ごま油は、通常の精製工程を経ることから、ごま原油や焙煎ごま油と比して、総リグナン類含量、セサミン含量、セサモリン含量が非常に少ないものである。
精製ごま油の精製工程のうち、脱色工程を工夫することにより、苦味を呈するセサミノールの発生を抑制できる製造方法が知られている(特許文献1)。
WO2005/073356 食の科学,No.334,2005.12,P4〜38 油脂,Vol.51,No.11,1998,P46〜55
しかしながら、ごま原油や焙煎ごま油と比して、総リグナン類含量、セサミン含量、セサモリン含量が少ない油脂であることには変わりない。以上の状況に鑑み、本発明の課題は、総リグナン類含量、セサミン含量、セサモリン含量が高い汎用用途の精製ごま油の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね検討した結果、精製ごま油の製造工程において、脱酸処理を行った油脂に対して脱臭処理を行うときに、総リグナン類含量、セサミン含量、セサモリン含量が高く、汎用用途に適したごま油が得られるという知見を得て、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ごま種子から圧搾及び/又は抽出して得たごま原油を原料とする精製ごま油の製造方法であり、脱酸処理前に、リン酸又は有機酸を添加し、脱酸処理を行った後に、次の処理として脱臭処理を行う工程を含む、精製ごま油の製造方法。
(2) 脱臭処理の条件が200℃以上、30分間以上である(1)記載の精製ごま油の製造方法。
(3) 油量に対して、前記リン酸の添加量が、0.01〜0.5質量%である(1)または(2)記載の精製ごま油の製造方法。
(4) 精製ごま油中のリグナン類の含量が、ごま原油中のリグナン類の含量に対して80質量%以上である、(1)から(3)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。
(5) 精製ごま油中のセサミンの含量が、ごま原油中のセサミンの含量に対して60質量%以上である、(1)から(4)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。
(6) 精製ごま油中のセサモリンの含量が、ごま原油中のセサモリンの含量に対して50質量%以上である、(1)から(5)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。
(7) 精製ごま油が、ロビボンド色相値(20℃)を測定する際の色度において、Yが35以下、Rが4以下であり、ロビボンド色相値(20℃)が75以下である、(1)から(6)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。


リグナン類含量、セサミン含量、セサモリン含量が高い汎用用途の精製ごま油の製造方法を提供する。
以下、本発明の精製ごま油の製造方法の実施形態を具体的に説明する。
以下、本発明の精製ごま油の製造方法の実施形態を具体的に説明する。なお、本発明において、特に説明がない限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
本発明において「精製ごま油」とは、本発明に係る技術分野において、焙煎工程を伴う「焙煎ごま油」との対比で使用され、焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油を意味する。
本発明において「リグナン類」とは、セサミノール、diaセサミノール、epiセサミノール、セサミン、diaセサミン、epiセサミン、セサモリンを意味する。これらの説明は、例えば、非特許文献3(食の科学,1996年4月号,P26〜32)や非特許文献4(ゴマ−その科学と機能性−,1998年11月13日,P41〜51)に記載されている。
本発明は、ごま種子から圧搾及び/又は抽出して得たごま原油を原料とする精製ごま油の製造方法であり、脱酸処理を行った後に、次の処理として脱臭処理を行う工程を含む、精製ごま油の製造方法である。
ごま原油又はごま原油に前処理を施した油脂に、脱酸処理を行い、その後、実質的に油脂の精製処理に該当する処理を行わず、次の処理として脱臭処理を行う工程を含む、精製ごま油の製造方法である。これは、脱酸処理を行った後、特別な処理を施さず、脱臭処理を行う趣旨である。これにより、食するのに適し、かつリグナン類を多く含む精製ごま油を製造できる。
ごま原油とは、ごま種子を原料として圧搾および/または抽出して得た油脂であって、いわゆる油脂の精製工程を全く施していない油脂であり、精製工程を施した「精製ごま油」と対比して用いる。
ごま原油の性状、成分等は、特に限定されず、リグナン類の量や不純物の含量などは問わない。これらは、ごま種子の種類、産地、ごま原油の製造機器や条件などにより、影響されるからである。ごま原油は、通常、精製ごま油と比してリグナン類が多く、そのリグナン類としては、主として、セサミン及びセサモリンが多い。
ごま原油の製造方法は、特に限定されず、常法により行うことができ、ごま種子を原料として圧搾および/または抽出することにより行われる。圧搾を行う際に、ごま種子を加熱してもよい。この加熱は通常100℃以上で行うことが多いが、100℃未満でも行うことができる。
(脱酸処理)
脱酸処理とは、いわゆる油脂の精製方法の一般的な工程であり、特に限定されず、常法により行うことができる。これは、油中の遊離脂肪酸を除去する目的で行われ、アルカリ水溶液を加えてかき混ぜ、油中の遊離脂肪酸を、油に溶けないセッケンの形にして分離することである。例えば、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムの水溶液を加え、加熱しながら撹拌し、その後、遠心分離機で水相を分離除去することにより、脱酸処理を行った油脂を得る。アルカリ溶液は、例えば、8〜30ボーメ(好ましくは12〜20ボーメ。約8〜14.5%に相当。)の水酸化ナトリウム水溶液を用いる。添加量は、酸価により異なるため、一概に規定することはできない。例えば、対油0.5〜5%の量である。加熱は、例えば70〜100℃で行う。
脱酸処理を行った油脂の不純物の含量などは問わない。
この脱酸処理は、必要に応じて2回繰り返すことができる。これにより、食するのに適し、かつリグナン類を多く含む精製ごま油を製造できる。
(脱臭処理)
脱臭処理とは、いわゆる油脂の精製方法の一般的な工程であり、特に限定されず、常法により行うことができる。これは、油中の有臭成分やその他の揮発性成分を除去する目的で、油脂を高温高真空下におく工程である。これは、通常、真空(又は減圧)水蒸気蒸留により行われる。
本発明では、減圧水蒸気蒸留により、200℃以上、30分間以上の条件で行うことが好ましい。これにより、食するのに適し、かつリグナン類を多く含む精製ごま油を製造できる。温度については230℃以上が好ましい。時間については60分間以上が好ましい。温度や時間の上限は、精製ごま油が必要以上に傷まない程度であれば特に限定はないが、260℃以下、90分間以下が好ましい。
本発明では、脱臭処理の後に、風味改善等を目的として、活性炭、活性白土、シリカゲル、珪藻土、イオン交換樹脂、等を使用することができる。活性炭としては、例えば市販のカートリッジ型繊維状活性炭を用いることができ、例えば、クラレケミカル(株)、ユニチカ(株)、大阪ガス(株)、アドバンテック東洋(株)、等から販売されているものが用いられる。
(脱ガム)
前処理としての脱ガム処理は、必要に応じて行うことができるが、必須の工程ではない。脱ガム処理は、いわゆる油脂の精製方法の一般的な工程である。これは、不純物を除去する目的で行われ、例えば、水蒸気を吹き込むか、水を加えてかき混ぜることにより水和して水溶液となり、水層に不純物の沈殿が生じ、その後、遠心分離機で水相を分離除去することにより、行うことができる。脱ガム処理を行うことにより、食するのに適し、かつリグナン類を多く含む精製ごま油を製造できる。
本発明では、脱酸処理の前処理として、リン酸又は有機酸を添加することが好ましい。これにより、食するのに適し、かつリグナン類を多く含む精製ごま油を製造できる。有機酸としては、例えば、有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、乳酸、りんご酸、グルコン酸、フマル酸、ジアセチル酒石酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アスコルビン酸、サリチル酸が挙げられる。リン酸、クエン酸、りんご酸が好ましい。リン酸がさらに好ましい。例えば、りん酸を加え、加熱しながら撹拌する。リン酸としては、例えば0.1〜95%水溶液であり、10〜85%水溶液が好ましく、50〜85%水溶液がさらに好ましい。りん酸は、例えば、油量に対してりん酸が0.01〜0.5%となる量を加える。加熱は、例えば70〜100℃で行う。
本発明の別の態様としては、ごま原油又はごま原油に前処理を施した油脂に対して脱臭処理を行う工程を含む、精製ごま油の製造方法が挙げられる。脱臭工程の条件を調整することにより、脱酸工程で除かれる遊離脂肪酸を同時に除去できる態様である。
(精製ごま油)
本発明は、(ごま原油と同様に)リグナン類が多い精製ごま油を得ることを目的の1つとする。また、(ごま原油と同様に)セサミン及びセサモリンが多い精製ごま油を得ることを目的の1つとする。本発明に係る製造方法により得られる精製ごま油は、以下のものであることが好ましい。
精製ごま油中のリグナン類の含量は特に限定はないが、リグナン類の含量がごま原油中の含量に対して70%以上(好ましくは80%以上、85%以上)であることが好ましい。また、上限についてはより多い方が好ましいため、特に規定はないが、100%以下、99%以下、95%以下が挙げられる。
また、精製ごま油中のセサミンの含量は特に限定はないが、ごま原油中の含量に対して50%以上(好ましくは60%以上、80%以上)であることが好ましい。また、上限についてはより多い方が好ましいため、特に規定はないが、100%以下、99%以下、95%以下が挙げられる。
また、精製ごま油中のセサモリンの含量は特に限定はないが、ごま原油中の含量に対して30%以上(好ましくは50%以上、60%以上、70%以上)であることが好ましい。また、上限についてはより多い方が好ましいため、特に規定はないが、100%以下、99%以下、95%以下が挙げられる。
リグナン類の含量、セサミン含量、セサモリン含量の絶対量は問わない。これらは、原料であるごま種子の種類、産地及び、ごま原油の状態などにより、影響をうけるからである。本発明によれば、原料であるごま原油の状態に相当した、食するのに適し、かつリグナン類を多く含む精製ごま油を提供することができる。
精製ごま油中のリグナン類の含量としては、例えば8000ppm以上が挙げられ、好ましくは、8000〜30000ppm、8000〜25000ppm、8000〜20000ppmである。
また、精製ごま油中のセサミンの含量としては、例えば5500ppm以上が挙げられ、好ましくは、5500〜25000ppm、5500〜20000ppm、5500〜15000ppmである。
また、精製ごま油中のセサモリンの含量としては、例えば2000ppm以上、3000ppm以上が挙げられ、好ましくは2000〜10000ppm、2000〜8000ppmである。
GGEに対するセサミンの質量比や、GGEに対するセサモリンの質量比も特に限定されない。GGEの説明は、後述する。
GGEに対するセサミンの質量比(セサミン含量/GGE含量)は、好ましくは7以上である。9〜20、9〜15がより好ましい。
GGEに対するセサモリンの質量比(セサモリン含量/GGE含量は、好ましくは0.1以上である。0.1〜15、2〜10がより好ましい。
(精製ごま油の製造方法)
常法により、ごま原油を得る。例えば、ごま種子を圧搾及び/又は抽出してごま原油を得る。(次に、必要に応じてりん酸を加え、撹拌する。)次に、水酸化ナトリウムを加え、撹拌し、遠心分離により油層を得て、水洗し、乾燥する。次に、水蒸気吹き込み処理を行い、(冷却時にクエン酸を添加し、)ろ過し、精製ごま油を得る。
(リグナン類の分析方法)
リグナン類の含量、セサミン含量、セサモリン含量の測定方法は、高速液体クロマトグラフィーで測定することができ、例えば、論文(Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi Vol.35,No7,483〜486(1988))の方法に基づいて行うことができる。
(ロビボンド色相値)
本発明により得られる精製ごま油は、食品として用いられるため、油脂の色を一定以下にすることが好ましい。いわゆる脱色工程を行わない場合には、油脂の色に注意を払う必要がある。本発明に係る製造方法によれば、このような場合に該当するが、油脂の色を食するのに適した状態にすることができる。油脂の色は、ロビボンド色相値により表すことができる。本発明により得られる精製ごま油のロビボンド色相値は、食品として用いられる範囲の色であれば、特に限定はないが、ロビボンド色相値(20℃)を測定する際の色度において、Yが35以下、Rが4以下であり、ロビボンド色相値(20℃)が75以下であることが好ましい。また、ロビボンド色相値(20℃)を測定する際の色度において、Yが25以下、Rが2.5以下であり、ロビボンド色相値(20℃)が50以下であることが好ましい。Bの値も特に規定はないが、1以下が好ましい。
ロビボンド色相値(20℃)は、ロビボンド法(日本油化学協会、基準油脂分析試験法2.2.1.1)に基づいて測定できる。ロビボンド色相値(20℃)は、Y+10×R+B(但し、R;赤色セルの観測数値、Y;黄色セルの観測数値、B;青色セルの観測数値)により求める。
(安定性)
本発明から得られる油脂は、上記の如く、食品として用いられるのに適した色であると共に、光安定性及び熱安定性を有する油脂である。よって、種々の有効成分を高濃度に含有し、かつ従来の精製ごま油と全く同じ用途で用いることができる、優れた油脂を提供することができる。
(GGEの説明)
本発明において「GGE」とは、ゲラニルゲラニル脂肪酸エステルを意味する。これは、鎖状イソプレノイド脂肪酸エステルの1種であり、鎖状イソプレノイドアルコール類(ここでは、ゲラニルゲラニオール)の水酸基と脂肪酸のカルボンキシル基とのエステル体をいう。脂肪酸は、特に限定されない。これらは、生体内で、骨吸収抑制、骨形成促進などの骨代謝改善作用を有することが知られているが、天然では、植物中に微量に存在するだけである。
(GGE含量)
本発明者らは、鋭意研究を重ねて結果、本発明の製造方法によりGGE含量が多い油脂を得られることを突き止めた。本発明は、生体内で有効な作用を有するGGE含量が多い精製ごま油を得ることを目的の1つとする。本発明に係る製造方法により得られる精製ごま油は、以下のものであることが好ましい。
精製ごま油中のGGE含量は特に限定はないが、ごま原油中のGGE含量に対して80%以上(好ましくは90%以上)であることが好ましい。また、上限についてはより多い方が好ましいため、特に規定はないが、100%以下、95%以下が挙げられる。
GGE含量の絶対量は問わない。これらは、原料であるごま種子の種類、産地及び、ごま原油の状態などにより、影響をうけるからである。精製ごま油中のGGE含量は特に限定はないが、450ppm以上、500ppm以上であることが好ましい。これによれば、植物から抽出され、そのまま食品の素材(ここでは、精製ごま油)として用いるものとして、非常に高濃度であり、かつ用いた場合に生体内作用が期待できるからである。また、上限についてはより多い方が好ましいため、特に規定はないが、2000ppm以下、1000ppm以下、700ppm以下が挙げられる。
本発明によれば、原料であるごま原油の状態に相当した、食するのに適し、かつGGEを多く含む精製ごま油を提供することができる。
(GGEの分析方法)
GGEの測定方法は、ガス・クロマトグラフィーにより測定することができ、例えば、後述実施例の方法により行うことができる。
他の発明としては以下のものが挙げられる。
(8)精製ごま油中のGGE含量が、ごま原油中のGGE含量に対して80%以上である、(1)から(7)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。
(9)精製ごま油中のGGE含量が、450ppm以上である、(1)から(8)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。
(10)精製ごま油中の、GGEに対するセサミンの質量比が、7以上である、(1)から(9)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。
(11)精製ごま油中の、GGEに対するセサモリンの質量比が、0.1以上である、(1)から(10)いずれか記載の精製ごま油の製造方法。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
以下において、「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
(リグナン類の分析方法)
論文(Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi Vol.35,No7,483〜486(1988))の方法を改変して行った。詳しくは、酢酸エチルに溶かした試料を、高速液体クロマトグラフィー(ODSカラム(4.6mmID×250mm)、移動相;メタノール/水=75:25、流速;0.5mL/min、検出器;288nm)で測定した。ピーク位置は、標準物質により確認した。
(GGEの分析方法)
サンプル(油脂)を、固相抽出カートリッジ(バリアン社製、MEGA BE−SI,10g,60mL)にのせ、ヘキサン・ジエチルエーテル溶液で流し、溶出溶媒を乾燥させた。その抽出物をけん化分解し、水とジエチルエーテルで十分振盪させ、ジエチルエーテル層を回収して、乾燥させた。その抽出物をTMS化し、水とヘキサンで十分振盪させて得たヘキサン層を、以下の条件でガス・クロマトグラフィーで測定した。
カラム;DB−17ht(φ0.32mm×0.15μm×15m)
オーブン温度;100〜350℃(20℃/min)
注入口/検出器温度;300/330℃
注入口圧力;5psi
スプリット比;25:1
(ロビボンド色相値の測定方法)
ロビボンド色相値(20℃)は、ロビボンド法(日本油化学協会、基準油脂分析試験法2.2.1.1)に基づいて測定した。ロビボンド色相値は、YBRの色度を測定し、以下の方法で求めた。
ロビボンド色相値=Y+10×R+B
(但し、R;赤色セルの観測数値、Y;黄色セルの観測数値、B;青色セルの観測数値)
〔実験例1〕
<製造方法>
ごま種子を100℃に加熱してから圧搾し、ごま原油を得た。前記ごま原油を80〜90℃に加熱し、リン酸を0.1%添加して、10分間撹拌した。この油脂に16ボーメの水酸化ナトリウム溶液を、遊離脂肪酸のケン化に必要な量を加え、80〜90℃、20分間で撹拌してから遠心分離を行い、水洗し、乾燥し、脱酸処理ごま油を得た。
(比較例1)
上記脱酸処理ごま油に、白土を加え、減圧状態で110℃、20分間保持し、白土を濾別し、脱色処理ごま油を得た。上記脱色処理したごま油に対して、減圧状態で240℃、60分間保持の条件で、水蒸気を吹き込み脱臭処理を行い、冷却時にクエン酸を添加し、ろ過し、精製ごま油を得た。
(実施例1〜3)
上記脱酸処理ごま油に対して、以下の条件で減圧状態で水蒸気吹き込み脱臭処理を行い、冷却時にクエン酸を添加し、ろ過し、精製ごま油を得た。実施例1;230℃、60分間保持、実施例2;240℃、60分間保持、実施例3;250℃、90分間保持。
(分析)
上記ごま原油、比較例1及び実施例1〜3について、リグナン類及びGGEの含量、ロビボンド色相値を測定した。結果を表1に示す。表中のリグナン類及びGGEの数値の単位は全てppm、「ND」は検出限界以下、「(%)」は、ごま原油中のそれぞれの含量に対する割合(%)を示す。
Figure 0005322425
(リグナン類)
表1に示すとおり、比較例1は、ごま原油と比して、セサミン含量が半分未満となり、セサモリン含量が無くなり、リグナン類の含量も70%未満となった。
一方、実施例1〜3は、比較例と比して、セサミン含量、セサモリン含量及びリグナン類の含量が顕著に多かった(ごま原油中のそれぞれの含量と比して、リグナン類の含量は70%以上(好ましくは80%以上)、セサミンの含量は、50%以上(好ましくは80%以上)。また、セサモリンが顕著に多く存在した。)。この中でも、実施例3が、より多くのリグナン類を含有していた。
(GGE)
表1に示すとおり、比較例1は、ごま原油に比して、GGE含量が約7割近くになっていた。
一方、実施例1は、比較例1と比して、GGE含量が著しく多かった(ごま原油と比して、80%以上(好ましくは90%以上))。
(ロビボンド色相値)
表1に示すとおり、実施例1〜3の油脂は、汎用性のある市販の油脂として適度な色であった。
<安定性試験>
以下の条件に置いた比較例1及び実施例1〜3の油脂について、その油脂の生風味及び、加熱時(180℃)に発生する臭いを評価し、油脂の安定性を確認した。
(曝光)
油脂を1000lux、2週間曝光した。
(熱安定性)
油脂を40℃、2週間保存した。
上記安定性試験の結果、実施例1〜3の油脂の安定性は、いずれも良好であった。
〔実験例2〕
<製造方法>
ごま種子(実験例1と異なる品種)を100℃に加熱してから圧搾し、ごま原油を得た。前記ごま原油を80〜90℃に加熱し、リン酸を0.05%添加して、10分間撹拌した。この油脂に16ボーメの水酸化ナトリウム溶液を、遊離脂肪酸のケン化に必要な量を加え、80〜90℃、20分間で撹拌してから遠心分離を行い、水洗し、乾燥し、脱酸処理ごま油を得た。
(比較例2)
上記脱酸処理ごま油に、白土を加え、減圧状態で110℃、20分間保持し、白土を濾別し、脱色処理ごま油を得た。上記脱色処理したごま油に対して、減圧状態で230℃、60分間保持の条件で、水蒸気を吹き込み脱臭処理を行い、冷却時にクエン酸を添加し、ろ過し、精製ごま油を得た。
(実施例4)
上記脱酸処理ごま油に対して、減圧状態で230℃、60分間保持の条件で、水蒸気吹き込み脱臭処理を行い、冷却時にクエン酸を添加し、ろ過し、精製ごま油を得た。
(分析)
上記ごま原油、比較例2及び実施例4について、リグナン類及びロビボンド色相値を測定した。結果を表2に示す。表中のリグナン類の数値の単位は全てppm、「ND」は検出限界以下、「(%)」は、ごま原油中のそれぞれの含量に対する割合(%)を示す。
Figure 0005322425
表2に示すとおり、実験例1と同様の結果であった。

Claims (7)

  1. ごま種子から圧搾及び/又は抽出して得たごま原油を原料とする精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法であり、
    脱酸処理前に、リン酸又は有機酸を添加し、
    脱酸処理を行った後に、次の処理として脱臭処理を行う工程を含む、
    精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法。
  2. 脱臭処理の条件が200℃以上、30分間以上である請求項1記載の精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法。
  3. 油量に対して、前記リン酸の添加量が、0.01〜0.5質量%である請求項1または2記載の精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法。
  4. 精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)中のリグナン類の含量が、ごま原油中のリグナン類の含量に対して80質量%以上である、請求項1から3いずれか記載の精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法。
  5. 精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)中のセサミンの含量が、ごま原油中のセサミンの含量に対して60質量%以上である、請求項1から4いずれか記載の精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法。
  6. 精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)中のセサモリンの含量が、ごま原油中のセサモリンの含量に対して50質量%以上である、請求項1から5いずれか記載の精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法。
  7. 精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)が、ロビボンド色相値(20℃)を測定する際の色度において、Yが35以下、Rが4以下であり、ロビボンド色相値(20℃)が75以下である、請求項1から6いずれか記載の精製ごま油(焙煎工程を行わず、かつ精製されたごま油)の製造方法。
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