JP5321398B2 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents
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Description
ポリエステルポリカーボネート型エラストマーが提案されている(例えば、特許文献3、4)。
B=1/x+1/y (1)
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物において、熱可塑性ポリエステルエラストマー(I)は、ハードセグメントのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸は通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、特に限定されないが、主たる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であることが望ましい。その他の酸成分としては、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは樹脂の融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の30モル%未満、好ましくは20モル%未満である。
たとえば、ハードセグメントを構成するポリエステル、ソフトセグメントを構成するポリカーボネート及び必要であれば各種共重合成分を溶融下、一定時間のエステル交換反応及び解重合反応を繰返しながら得ることが好ましい(以下ブロック化反応と称することもある)。
B=1/x+1/y (1)
なお、ここで、上記ブロック性は下記(1)式で算出される。
B=1/x+1/y (1)
上記のブロック性を満たすことにより初めて高度な耐熱性と機械的特性の両立を図ることが可能となる。
すなわち、前述の熱可塑性ポリエステルエラストマー(I)は、ハードセグメントを構成するポリエステルと分子量5000〜80000の脂肪族ポリカーボネートジオールとを溶融状態で反応させて製造してなることが好ましい。脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量が大きい程、ブロック性保持性やブロック性が高くなる。該ポリカーボネートジオールの分子量は数平均分子量で5000以上が好ましく、7000以上がより好ましく、10000以上がさらに好ましい。該ポリカーボネートジオールの分子量の上限は、ハードセグメントとソフトセグメントの相溶性の観点より80000以下が好ましく、70000以下がより好ましく、60000以下がさらに好ましい。該ポリカーボネートジオールの分子量が大きすぎると相溶性が低下し、相分離を起こし、成形品の機械的性質に大きく影響を及ぼし、成形品の強度、伸度を低下させる。
本発明にかかるポリエステルエラストマー組成物の切断時引張強度は、15〜100MPaであり、好ましくは20〜60MPaである。
また、樹脂投入35分後のMFR値(MFR35)と5分後のMFR値(MFR5)の差(ΔMFR:MFR35−MFR5)は−3.0〜2.0であることが好ましく、より好ましくは−2.0〜2.0である。ΔMFRが2.0より大きいと成形時に溶融粘度の低下が抑制されず安定した成形性を得ることはできない。一方、−2.0未満であると、成形時に溶融粘度が著しく増加し、同様に安定した成形性を得ることはできなくなる。
造する際のエステル交換反応の前又は重縮合反応前のオリゴマー中に、添加及び混合することができる。
樹脂0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
〜融点(Tm)〜
50℃で15時間減圧乾燥した樹脂を示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて室温から20℃/分の昇温速度で測定し、融解による吸熱のピーク温度を融点とした。なお、測定試料は、アルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、アルゴン雰囲気で測定した。
〜融点差(Tm1−Tm3)〜
50℃で15時間減圧乾燥した熱可塑性ポリエステルエラストマーを、アルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、測定試料を調整した後、示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて、窒素雰囲気のもと昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温し、300℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素中に漬け込み急冷させた。その後、液体窒素からサンプルを取出し、室温で30分間放置した。測定試料パンを示差走査熱量計にセットして室温で30分間放置した後、再び昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温する。このサイクルを3回繰り返した時の一回目の測定で得られる融点(Tm1)と3回目の測定で得られる融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)を求めた。
〜ブロック性(B)〜
<NMR測定>
装置 : フーリエ変換核磁気共鳴装置(BRUKER製AVANCE500)
測定溶媒 : 重水素化クロロホルム
試料溶液濃度 : 3〜5vol%
1H共鳴周波数 : 500.13MHz
検出パルスのフリップ角: 45°
データ取り込み時間: 4秒
遅延時間: 1秒
積算回数 : 50〜200回
測定温度 : 室温
<計算方法>
芳香族ジカルボン酸−ブタンジオール−芳香族ジカルボン酸連鎖のブタンジオールの、酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をAとする。
芳香族ジカルボン酸−ブタンジオール−炭酸連鎖のブタンジオールの、炭酸に近い方の酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をCとする。
芳香族ジカルボン酸−炭素数5〜12の脂肪族ジオール−炭酸連鎖のヘキサンジオールの、芳香族ジカルボン酸に近い方の酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をBとする。
炭酸−炭素数5〜12の脂肪族ジオール−炭酸連鎖の炭素数5〜12の脂肪族ジオールの、酸素に隣接するメチレンのピークのH−NMR積分値(単位は任意)をDとする。
ハードセグメント平均連鎖長(x)は、
x = (((A/4)+(C/2))/((B/2)+(C/2)))×2。
ソフトセグメント平均連鎖長(y)は、
y = (((D/4)+(B/2))/((B/2)+(C/2)))×2。
ブロック性(B)は上記方法で求めたx及びyの値より下記(1)式で算出した。Bの値が小さい方がブロック性が高い。
B=1/x+1/y (1)
重水素化クロロホルム(CDCl3)に脂肪族ポリカーボネートジオールサンプルを溶解させ、H−NMRを測定することにより末端基を算出し、下記式にて求めた。
分子量=1000000/((末端基量(当量/トン))/2)
100mlのエルレンマイヤーフラスコにサンプルを秤量し、10〜15mlのメチレンクロライドを加えて、マグネチックスターラーにて攪拌溶解した。10mlのテトラエチルアンモニウムブロマイド試薬を加え、さらに6〜8滴のクリスタルバイオレット指示薬を加え、0.1規定パークロリック酸で滴定した。終点は青から緑に変色して2分間安定な点とした。滴定に要したパークロリック酸の量(ml)を読み取った。
W:サンプルの重量(g)
A:滴定に要したパークロリック酸の量(ml)
N:パークロリック酸試薬の規定度
エポキシ価(当量/106g) = (N×A×1000)/W
溶剤としてテトラヒドロフランおよび検定標準としてポリスチレンを用いるウオーターズ(Waters)ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した。
重水素化クロロホルム(CDCl3)に脂肪族ポリカーボネートジオールサンプルを溶解させ、H−NMRを測定することにより末端基を算出し、下記式にて求めた。
分子量=1000000/((末端基量(当量/トン))/2)
JIS K7210記載の試験法(A法)に準拠し、測定温度230℃、荷重2160gでのメルトフローレイト(MFR:g/10分)を測定した。また、組成物投入35分後のMFR値(MFR35)と5分後のMFR値(MFR5)の差(ΔMFR:MFR35−MFR5)を測定した。測定には水分率0.1重量部以下の組成物を用いた。
熱可塑性ポリエステルエラストマー及び、組成物の引張破断時の強度および伸びをJIS K6251に準拠して測定した。
試験片は、100℃で8時間減圧乾燥した樹脂を射出成形機(山城精機社製、model−SAV)を用いて、シリンダー温度(Tm+20℃)、金型温度30℃で、100mm×100mm×2mmの平板に射出成形した後、該平板よりダンベル状3号形の試験片を打ち抜いて製作した。
アキュムレーター方式のダイレクトブロー成形機(日本製鋼所製JB102、40mmφブロー成形機)を用いて、成形温度230℃でパリソンを押出し、ドローダウンを下記基準で判定した。
○:ドローダウン非常に小さく、形状を保持している。
△:ドローダウン大きく、形状崩れ気味だがなんとかブローできる。
×:ドローダウン激しく、形状が崩れブローできない。
上記ダイレクトブロー成形において、アキュムレーター内に溶融樹脂を滞留させた状態で20分間停止した後、再びパリソンを押出し、そのパリソンのゲル化物の有無を下記基準で判定した。
○:ゲル化物が全く認められない。
△:ゲル化物が僅かに認められる。
×:ゲル化物が顕著に認められる。
脂肪族ポリカーボネートジオール(宇部興産社製カーボネートジオールUH−CARB200、分子量2000、1,6−ヘキサンジオールタイプ)100質量部とジフェニルカーボネート8.6質量部とをそれぞれ仕込み、温度205℃、130Paで反応させた。2時間後、内容物を冷却し、ポリマーを取り出した。分子量10000であった。
数平均分子量30000を有するポリブチレンテレフタレート(PBT)100質量部と、上記方法で調製した数平均分子量10000を有するポリカーボネートジオール43質量部とを、230℃〜245℃、130Pa下で1時間攪拌し、樹脂が透明になったことを確認し、内容物を取り出し、冷却し、ポリマーを得た。得られたポリマーの還元粘度は1.20、融点は212℃、融点差は20℃、ハードセグメントの平均連鎖長は11、ソフトセグメントの連鎖長は8、ブロック性は0.22、切断時の引張強度は32MPaであった。
オイルジャケットを備えた容量1 リットルの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケット温度を、200℃に保った。次いで、スチレン(以下Stという。)90質量部、グリシジルメタクリレート(以下GMAという。)10質量部、キシレン15質量部および重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド(以下DTBPという。)0.5質量部からなる単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器内の混合液質量が580gで一定になるように反応液を出口から連続的に抜き出した。その時の反応器内温は、210℃に保たれた。抜き出した反応液を減圧度30kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発機で連続的に揮発成分を分離し、揮発成分をほとんど含まない反応性化合物(ア)を回収した。反応性化合物(ア)の重量平均分子量とエポキシ価を表1に示す。
St74質量部、GMA20質量部、アクリル酸ブチル(以下BAという。)6質量部、キシレン15質量部、DTBP0.5質量部からなる単量体混合液を用いた以外は、反応性化合物(ア)の製造と同じ方法にて反応性化合物(イ)を製造した。反応性化合物(イ)の重量平均分子量とエポキシ価を表1に示す。
反応性化合物(ア)又は(イ)と同様の製造方法で、表1に示すような重量平均分子量とエポキシ価を有する反応性化合物(ウ)〜(ケ)を製造した。
合成した熱可塑性ポリエステルエラストマー100質量部に、反応性化合物(ア)3質量部をドラムタンブラーに入れ、室温にて30分間混合した。該混合物を、ベント孔付同方向2軸押出機(35mmφ、L/D=48)を用いて230℃で溶融混練してストランド状に押出し、ストランドを水冷しながら切断してチップ化した。次いで、得られたチップを100℃にて減圧乾燥し該チップを100℃にて減圧乾燥して本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
表2に示す反応性化合物、および添加量に変更する以外は実施例1と同様にして、実施例2〜7および比較例1〜4の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
反応性化合物(ア)に変えて、トリエポキシ化合物(グリシジル基を1分子あたり3個含有し、分子量300のトリグリシジルイソシアヌレート)0.5質量部とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
反応性化合物(ア)に変えて、ジエポキシ化合物(グリシジル基を1分子あたり2個含有し、分子量220のジエチレングリコールジグリシジルエーテル)1.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
Claims (7)
- 芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント、及び、主として脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントが結合されてなる熱可塑性ポリエステルエラストマー(I)100質量部と、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量が4000〜25000であり、かつエポキシ価が400〜780当量/106gである反応性化合物(II)0.1〜30質量部を含み、
JIS K7210に規定された熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準じて測定された230℃、荷重2.16kgでのMFR値が3g/10分以下であって、樹脂投入35分後のMFR値(MFR 35 )と5分後のMFR値(MFR 5 )の差(ΔMFR:MFR 35 −MFR 5 )が−3.0〜2.0であることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー(I)が、示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で室温から300℃に昇温し、300℃で3分間保持した後に、降温速度100℃/分で室温まで降温するサイクルを3回繰り返した時の一回目の測定で得られる融点(Tm1)と3回目の測定で得られる融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)が0〜50℃であり、かつ切断時の引張強度が15〜100MPaであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 熱可塑性ポリエステルエラストマー(I)のハードセグメントがポリブチレンテレフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が200〜225℃であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 熱可塑性ポリエステルエラストマー(I)のハードセグメントがポリブチレンナフタレート単位よりなり、かつ得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が215〜240℃であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 熱可塑性ポリエステルエラストマー(I)が、核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出したハードセグメントの平均連鎖長を(x)及びソフトセグメントの平均連鎖長を(y)とした時に、ハードセグメントの平均連鎖長(x)が5〜20であり、かつ下記(1)式で算出されるブロック性(B)が0.11〜0.45であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
B=1/x+1/y (1) - 反応性化合物(II)が、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量が4000〜25000であり、かつ(X)20〜99質量%のビニル芳香族モノマー、(Y)1〜80質量%のグリシジル(メタ)アクリレート、および(Z)0〜79質量%のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物からなるブロー成形品。
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