JP5320782B2 - 植物色素体への遺伝子導入法 - Google Patents
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Description
上述のとおり、色素体形質転換において、カルスのような非緑色組織へ遺伝子導入を行う場合、従来の色素体へ遺伝子導入を行う方法では導入効率が低かった。
そこで本発明では、色素体形質転換を行う植物材料に、あらかじめ色素体の分化を促進する転写因子をコードする遺伝子を過剰発現させた組織を用いることにより、色素体が分化した組織へ遺伝子導入することを可能にし、導入効率を高めることを可能とした。
〔1〕 以下の工程を含む、植物色素体への遺伝子導入方法。
(a)植物の細胞において、色素体の分化を誘導させる工程、
(b)工程(a)で得られた植物細胞を含む組織より、色素体が分化したカルスを誘導する工程、
(c)工程(b)で得られたカルスの色素体ゲノムに目的遺伝子を導入する工程、
(d)目的遺伝子を導入したカルスを培養して、植物体を形成させる工程
〔2〕 以下の工程を含む、植物色素体への遺伝子導入方法。
(a)植物の細胞において、色素体の分化を誘導させる工程、
(b)工程(a)で得られた植物細胞を含む組織の色素体ゲノムに目的遺伝子を導入する工程、
(c)目的遺伝子を導入した植物組織を培養して、植物体を形成させる工程
〔3〕 色素体が葉緑体である、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕 植物が単子葉植物である、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔5〕 植物がイネである、〔4〕に記載の方法。
〔6〕 植物細胞が非緑色組織由来である、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔7〕 色素体の分化を誘導させる工程が、色素体の分化を促進するタンパク質をコードするDNAを過剰発現させる方法によることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔8〕 〔1〕または〔2〕に記載の方法により、色素体ゲノムに目的遺伝子が導入された形質転換植物体。
〔9〕 〔8〕に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
〔10〕 〔8〕または〔9〕に記載の形質転換植物体の繁殖材料。
本発明は遺伝子組換え植物を利用する全産業分野で利用することが可能である。まず、従来の遺伝子組換え植物は核ゲノムに遺伝子を導入するため、花粉を介した遺伝子拡散が問題になってきた。害虫抵抗性や除草剤耐性等の農作物の利用する農業分野に関して、遺伝子拡散を防止する技術として国民の安心や区分管理を実現する技術として利用することができる。
本発明らは、イネカルスに転写調節因子OsGLK1を過剰発現させて葉緑体を発達させ、外来遺伝子を効率的かつ安定的に色素体ゲノムへの導入することに成功した。本発明はこの知見に基づくものである。
色素体の分化を誘導する工程の第一の態様としては、植物において色素体の分化を誘導するタンパク質をコードするDNAを過剰発現させる方法が挙げられる。色素体の分化を誘導するタンパク質としては、植物細胞核に存在する遺伝子にコードされ、植物細胞内において直接または間接的に色素体の分化を誘導する機能を有するタンパク質であればよく、例えば、原色素体から葉緑体または別の色素体への分化を誘導する因子など当該機能を有する公知の因子を用いることができる。
本発明の方法の第三の工程として、上記色素体が分化したカルスにおいて、色素体ゲノムに目的遺伝子を導入する工程を挙げることができる。
なお、これら上述の色素体への形質転換方法は、宿主となる植物などの種類に応じて適宜選択することが好ましい。
なお、このように再生され、かつ栽培した形質転換植物体中の導入された外来DNAの存在は、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、または植物体中のDNAの塩基配列を解析することによって確認することができる。
OsGLK1過剰発現系統のカルスは、公知の方法(Nakamura, H., et al., Plant Mol. Biol. 65, 357-371 (2007) 参照)に基づき作成することができる。該カルスでは葉緑体の分化が誘導され、緑色カルスとなる。
図1に記載の構造を持つベクターpOS-aadA-GFP-mALSを作製した。このベクターはtrnIとtrnAの遺伝子間領域に目的の遺伝子を導入するためのベクターで、相同組換えのための配列としてイネのtrnI-trnA intergenic 領域近傍の配列を持ち、選抜マーカー遺伝子としてaadA遺伝子(ストレプトマイシン抵抗性遺伝子)を持つ。本発明でtrnIとtrnAの遺伝子間領域に導入した遺伝子配列を配列番号:1に示す。
OsGLK1過剰発現系統の種子から籾を取り除き、70%エタノールで1分処理した後、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度1.5%)で30分処理して滅菌した。滅菌した種子は滅菌水で洗浄し、カルス誘導培地(Fukuoka, H., et al., Plant Cell Rep., 19, 815-820. (2000) 参照)に胚を上にして置床し、2週間培養して胚盤由来のカルスを誘導した。パーティクルガンによる遺伝子導入を行うために、カルスを切除し、カルス誘導培地の中央に移植した。1日培養した後、パーティクルガン法によりイネ葉緑体形質転換用ベクターpOS-aadA-GFP-mALSをカルスに遺伝子導入した。パーティクルガンには0.6μmの金粒子と1,100 psiのラプチャーディスクを用い、ラプチャーディスクからサンプルまでの距離は9cmで行った。遺伝子導入したプレートは暗所で2日間培養した後、カルスを200 mg/l ストレプトマイシンを含むカルス誘導培地に移植し、1週間培養した。その後、200 mg/l ストレプトマイシンを含む再分化培地(30 g/l sucrose, 2 g/l casamino acids, 0.1 mg/l naphthaleneacetic acid, 0.1 mg/l kinetin, 4 g/l Gelriteを含むMurashige and Skoog (MS) 培地(pH 5.8))に移植し、選抜を行った。培地は3週間ごとに新しいものに交換した。カルスより分化したストレプトマイシン耐性シュートは、200 mg/l ストレプトマイシンを含むMS培地に移植し発根させた。
遺伝子が導入されたことを確認するために、GUS遺伝子を含むフラグメントをPCRで増幅した(図1および2)。GUS遺伝子の導入が確認された系統では、葉緑体ゲノム中に遺伝子が導入されたことを確認するために、導入遺伝子上のプライマーと導入遺伝子の外側に位置する葉緑体DNA上のプライマーでPCRを行い、左右の葉緑体DNAと導入遺伝子の境界領域を増幅した(図1)。このPCRでは核に導入された場合には境界領域が増幅されない。増幅されたPCR断片はクローニングし、塩基配列決定により非特異的増幅でないことを確認した。GUS遺伝子、境界領域全てが増幅された個体を葉緑体形質転換体とした(図2)。
葉緑体形質転換体をポットに移植し、ストレプトマイシンを処理しながら温室で栽培し採種した。得られた種子は200 mg/l ストレプトマイシンを含むMS培地で播種させた。得られたシュートよりDNAを抽出し、GUS遺伝子および右側境界領域を含むフラグメントをPCRで増幅を行い、導入遺伝子の確認を行った(図3)。両フラグメントの増幅が確認され、導入された遺伝子が次世代に遺伝することを確認した。
Claims (7)
- 以下の工程を含む、単子葉植物色素体へ目的遺伝子が導入された形質転換単子葉植物体の作製方法。
(a)単子葉植物の細胞において、色素体の分化を誘導させることにより、色素体が分化し、かつ、再分化能が低下していないカルスを作出する工程であって、ここで、色素体の分化の誘導が、OsGLK1遺伝子を該単子葉植物へ導入し過剰発現させることによる、工程、
(b)工程(a)で得られたカルスの色素体ゲノムに目的遺伝子を導入する工程、
(c)目的遺伝子を導入したカルスを培養して、単子葉植物体を形成させる工程 - 色素体が葉緑体である、請求項1に記載の方法。
- 単子葉植物がイネである、請求項1または2に記載の方法。
- 植物細胞が非緑色組織由来である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により、色素体ゲノムに目的遺伝子が導入された形質転換単子葉植物体であって、該目的遺伝子が色素体ゲノムへ保持され、かつ、導入されたOsGLK1遺伝子が単子葉植物ゲノムへ保持されていることを特徴とする、形質転換単子葉植物体。
- 請求項5に記載の形質転換単子葉植物体の子孫またはクローンである、形質転換単子葉植物体であって、該目的遺伝子が色素体ゲノムへ保持され、かつ、導入されたOsGLK1遺伝子が単子葉植物ゲノムへ保持されていることを特徴とする、形質転換単子葉植物体。
- 請求項5または6に記載の形質転換植物体の繁殖材料であって、該目的遺伝子が色素体ゲノムへ保持され、かつ、導入されたOsGLK1遺伝子が単子葉植物ゲノムへ保持されていることを特徴とする、繁殖材料。
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