JP5320347B2 - 複合容器 - Google Patents

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Description

この発明は、容器本体と、これに外嵌する外スリーブとからなる複合容器であって、特に外スリーブの下端に形成される内向きカール部が変形しにくい構造に関する。
容器本体に、下端に内向きのカール部を有する外スリーブを外嵌した断熱容器の構造として、例えば特開2002−255147号の断熱容器の製造方法では、二重断熱容器の外スリーブにおいては、内向きカール部の形状を良好とするため、前記外スリーブは、帯状のスリーブ材の両端部を互いに重ね合わせて接着することで形成した後、前記容器本体の周囲に巻きつけるように前記接着部を接着して前記容器本体と組み合わされ、前記スリーブ材にはその重ね合わせ面積を減少させるためのカット部が形成され、前記カット部は内向きカール部に対応する領域における重ね合わせ面積を50パーセント以上減少させるとともに、前記内向きカール部に対応する領域を越えるように前記スリーブ材をカットして形成されており、前記カット部は、前記スリーブ材の前記両端部のうち、容器内側に配される側の端部に形成され、前記スリーブ材の隅の端部を斜めに切り落として形成される構成が開示されている。
また、本出願人は、特開2007−191180の複合容器として、プラスチック容器の外周に別体の紙スリーブを巻装してなる複合容器であって、前記プラスチック容器の外周下部にて内側に凹んだ凹部が形成され、該凹部に前記紙スリーブの下端に沿って内側向きに形成されたカール部を嵌合することによって該紙スリーブを前記プラスチック容器の外周に付設した構成を開示している。
ここで、容器と外スリーブが別体に成型され、使用時に嵌合する場合には、外スリーブの内向きカール部は、外スリーブの上部が容器に固定乃至係止されていても環境の影響で湿度や結露などの水分が紙に入ってしまうと、乾燥すると復元力により紙が変形しカール部が元の形状に戻ろうとする。
従来は、ブランクの下端に沿って内向きカール形成個所が一体に連続しているので、前者のように貼り合わせる面積を狭くしても、それだけでは前記紙の復元力を軽減させることはできない。
また、内向きカール部を成形するためにシーム部の下端を押さえることができず、シーム部における下端側は貼り合わせることができない。
そして、内向きカール部は、図6の手順に示すようにカーリングツールの型を用いて、スリーブの下端部を断面略U字状の環状溝に押しつけて曲成する構成からなるため、例えば、貼合せ個所の内向きカール形成個所を全て切り欠いた場合には、ブランクの下端全てに均一な力が加わればよいが、力のバランスが僅かでも崩れれば、カール部が座屈してしまい、きれいな内向きカール部を形成することができないという問題点がある。
特開2002−255147号公報 特開2007−191180号公報
この発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その主たる課題は、
外スリーブの下端に形成される内向きカール部が成形時に座屈せず、成形後にはカール形状に戻りが生じないようにした複合容器構造を提供することにある。
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
容器と、該容器に外嵌するシート状の外スリーブからなり、該外スリーブが、扇状のブランクの一方の端縁部と他方の端縁部を二重に貼り合わせて形成されており、外スリーブの下端側には容器の中心側に向けてカールさせた内向きカール部が形成されてなる複合容器において、
外スリーブのブランクが、該ブランクの端縁部でスリーブ形成時に二重に貼り合わせた個所で重なる内側重ね合せ部と外側重ね合せ部と、前記ブランクの下端縁に沿って一定の長さで横幅方向に延びる内向きカール形成部とを有しており、
前記内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域が、隣接する内向きカール形成領域と分離するための切欠部又はスリットを設けてなることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記支柱片部が、内側重ね合せ部に対応する外側重ね合わせ部内に形成される内向きカール形成領域より狭い面積に設定されていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域と外側重ね合わせ部に形成される内向きカール形成領域とは相互に貼り合わされないことを特徴とする。
また、請求項4の発明では、
前記支柱片部が、ブランクの下端に向かって漸次幅狭となる形状からなっており、該支柱部の下部が内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域の略中央に配置されていることを特徴とする。
更に、請求項5の発明では、
前記支柱片部が、逆三角形状、倒立梯形状、半円形状又は半楕円形状からなっていることを特徴とする。
また、請求項6の発明では、
前記支柱片部の下端がブランクの下端縁部より上方に離間した位置に設定されていることを特徴とする。
この発明では、内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域が、隣接する内向きカール形成領域と切欠部又はスリットを設けて分離されているので、外スリーブの紙に結露等の水分が浸入しても、乾燥後に内向きカール部に戻りが発生しない。
また、従来は、内向きカール部の成型時に、シーム部は、スリーブを重ねた状態でカールしなければならないため、僅かな成形誤差が生じても、スリーブ全体にかかる力がシーム部に集中するためカール部が座屈していたが、この発明では前記シーム部のスリーブを巻く量が減るため、スリーブ全体にかかる力が均一になり、従来に比べて座屈せず、内カール部としての信頼性を高めることができる。
複合容器の一例を示す部分断面図である。 外スリーブの展開図であって(a)は実施例1の外スリーブ、(b)は従来の外スリーブである。 外スリーブの内向きカール形成領域の重なった状態をカール成形後を同時に示す説明図であって(a)は実施例1の外スリーブ、(b)は従来の外スリーブである。 (a)〜(e)は、切欠部及び支柱片部の形状の一例を示す部分拡大図である。 (a)はスリットで支柱片部を区切った形状の一例を示す部分拡大図、(b)は支柱片部が外側重ね合わせ部の内向きカール形成領域と同じ面積の場合を示す部分拡大図である。 内向きカール部の成形手順を示す説明図である。
この発明の複合容器は、内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域に切欠部と支柱片部を設けることで、外側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域と支柱片部が分離されるので、内向きカール部の成形時の座屈と、成形後の内向きカール部の戻りの発生防止を実現した。
以下に、この発明の複合容器の好適実施例について図面を参照しながら説明する。
本実施例の複合容器1は、図1に示すように、紙又はプラスチック製の容器2の外周に、別体の紙製の外スリーブ3を外嵌してなる複合容器1であり、前記容器2の胴部の外周下部には内側に凹んだ凹部2aが形成されており、基本構造を特開2007−191180号公報と同様とする。
外スリーブ3は、その下端側に容器2の中心側に向けてカールさせた内向きカール部4が形成されており、該内向きカール部4を前記凹部2aに嵌合することによって前記外スリーブ3を容器2の胴部外周に掛け止めている。
前記外スリーブ3のブランク10を図2(a)に示し、従来のブランク10’の形状を同図(b)に示す。
本実施例では、ブランク10の左右の端縁部11、12でスリーブ形成時に二重に貼り合わせた個所で重なる内側重ね合せ部5と外側重ね合せ部6とを有しており、また前記ブランク10の下端縁に沿って一定の長さで横幅方向に延びる内向きカール形成部7とを有している。
なお、20は紙スリーブの表面に施したラミネート被覆、21は貼合せ用接着部である。
そして、内側重ね合せ部5に形成される内向きカール形成領域7aは、隣接する内向きカール形成領域7cと分離するために切欠部8を有している(図4(a)参照)。
図示例では切欠部8はV字状の切欠からなっている。
この発明では、図5(a)に示すように、切欠部8に代えてスリット8’を設けて内向きカール形成領域7aを分離してもよい。
そして、前記内向きカール形成領域7aは、外側重ね合わせ部6内に形成される内向きカール形成領域7bと同様の面積であってもよい(図5(b)参照)が、内向きカール形成領域7bより狭い面積に設定してもよい(図4(a)〜(e)及び図5(a)参照)。
外スリーブ3のシーム個所で二重に重ね合わされるカール形成領域7a、7bは、内側のカール形成領域7aが外側のカール形成領域7bと接触する面を少なくすることで、湿度や結露による水分を吸収した紙が乾燥時の復元力によりカール形状を元に戻さないように一層抑えることができる。
また、前記カール形成領域7a、7bは、カール成形するために一体に接着してもよいが、相互に接着しなければブランクの厚みが厚くても影響を受けにくくなり、カール形状が元に戻りにくい。
一方、内向きカール形成領域7aを全く設けない場合には、前述のように内向きカールの成形に際しての強度が不足し、カール部が座屈する原因となるため、内向きカール形成領域7aには支柱片部9が必要となる。
この支柱片部9は、前述のように外側重ね合わせ部6の内向きカール形成領域7bより狭い面積であればよく、例えば長方形状であってもよい(図4(b)参照)。
従って、この場合は前記切欠部8も長方形状の切欠となる。
ここで支柱片部9として、カールの戻りの反発力を少なくするためブランクの下端に向かって漸次幅狭となる形状が好ましい。
一例を挙げると、図示のような逆三角形状、あるいは倒立梯形状(図4(c)及び(d)参照)、略半円形状、略半楕円形状(図4(e)参照)等でもよく、更に階段状に幅狭となる形状などでもよい。
また上記支柱片部9は、支柱片部9の下部乃至中心線が内側重ね合せ部5に形成される内向きカール形成領域7aの略中央に配置されていることが最も好ましいが、この発明では内向きカール形成領域7aの中央から左右にづれた範囲に設定されるものであってもカール形状の戻り抑制に相応の効果を奏することができる。
更に、支柱片部9の下端はブランク10の下端縁部と同一位置に設定されるものであってもよいが、上方位置であってもよい。
本実施例では図4(a)に示すように、ブランク10の下端縁部より短い位置(上方に離間した位置)で、内向きカール形成領域7aの高さの半分を超えた位置に設定している。
この形状によっても、カール形状の戻りを抑制すると共に支柱として機能し座屈を防止を実現できる。
ここで、図示例の場合、ブランク10下端の内向きカール形成部7の長さL1が185.63mm、ブランク10の上部の長さL2が257.22mmの扇形からなっている。
内側重ね合せ部5の横幅L3が10.5mmとした場合に、支柱片部9の下端からブランク10の一方の端縁部11までの長さが6mmに設定されている。
そして、図3(b)で示すように、従来の切欠部及び支柱部を設けない場合の内向きカール形成領域7a、7bの接触面積が32.20平方ミリメートルとした場合、本実施例では図3(a)に示すように内向きカール形成領域7a、7bの接触面積は16.43平方ミリメートルとなっている。
上記数値は一例であって、この発明の構成を限定するものではなく、配置や長さは適宜変更しうること勿論である。
また、複合容器として、容器の凹部に外スリーブの内向きカールを掛止める構造を例示したが、容器との連結構造は上記実施例に限定されず、外スリーブの上端が容器上部に固定され、内向きカールは容器の胴部外周に接するだけの構造であってもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
1 複合容器
2 容器
2a 凹部
3 外スリーブ
4 内向きカール部
5 内側重ね合せ部
6 外側重ね合せ部
7 内向きカール形成部
7a、7b、7c 内向きカール形成領域
8 切欠部又はスリット
9 支柱片部
10 ブランク
11 一方の端縁部
12 他方の端縁部

Claims (6)

  1. 容器と、該容器に外嵌するシート状の外スリーブからなり、該外スリーブが、扇状のブランクの一方の端縁部と他方の端縁部を二重に貼り合わせて形成されており、外スリーブの下端側には容器の中心側に向けてカールさせた内向きカール部が形成されてなる複合容器において、
    外スリーブのブランクが、該ブランクの端縁部でスリーブ形成時に二重に貼り合わせた個所で重なる内側重ね合せ部と外側重ね合せ部と、前記ブランクの下端縁に沿って一定の長さで横幅方向に延びる内向きカール形成部とを有しており、
    前記内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域が、隣接する内向きカール形成領域と分離するための切欠部又はスリットを設けてなることを特徴とする複合容器。
  2. 支柱片部が、内側重ね合せ部に対応する外側重ね合わせ部内に形成される内向きカール形成領域より狭い面積に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
  3. 内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域と外側重ね合わせ部に形成される内向きカール形成領域とは相互に貼り合わされないことを特徴とする請求項1又は2に記載の複合容器。
  4. 支柱片部が、ブランクの下端に向かって漸次幅狭となる形状からなっており、該支柱部の下部が内側重ね合せ部に形成される内向きカール形成領域の略中央に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の複合容器。
  5. 支柱片部が、逆三角形状、倒立梯形状、半円形状又は半楕円形状からなっていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の複合容器。
  6. 支柱片部の下端がブランクの下端縁部より上方に離間した位置に設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複合容器。
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