以下、実施例に係る弾球遊技機に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機を示す正面図である。図示のパチンコ機は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行され、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右1対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ開放されるようになっている。図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。大入賞口16の内部に入賞領域16bが設けられている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。通常、この特定図柄による大当りを「確変大当り」と言う。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機1の全体回路構成を示すブロック図である。図中の破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図3に示す通り、このパチンコ機1は、AC24Vを受けて各種の直流電圧(5V,12V,32V,BU)を出力すると共に電源投入時にシステムリセット信号SYSを出力する電源基板20と、遊技動作を中心的に制御する主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた信号を各部に伝送する演出インターフェイス基板23と、演出インターフェイス基板23から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板24と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板25と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板26とを中心に構成されている。
ここで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25に搭載された回路及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、以下の説明では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25と言うことがある。また、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25の全部又は一部がサブ制御部である。
図4及び図5は、電源基板20の内部構成を示すブロック図である。図4及び図5に示す通り、電源基板20は、AC24Vを脈流電圧(DC24V)に変換する3つの全波整流回路40〜42と、全波整流回路40,41の出力電圧を平滑化する平滑回路43a〜43dと、三端子レギュレータなどによる安定化電源回路44a〜44cと、電源遮断後も直流電圧5Vを維持するバックアップ電源回路45と、直流出力電圧(12V,5V)が異常に上昇すると全波整流回路40の出力を短絡させる強制遮断回路46と、専用IC47を使用した電源リセット回路(図5の左上欄参照)などを備えて構成されている。
安定化電源回路44a〜44cは、それぞれ直流電圧5V,12V,12Vを出力する回路であり、コンデンサによる蓄電部と、ノイズ対策用のハイパスフィルタ部とが出力側に設けられている。この実施例では、同じ直流電圧値DC12Vを二系統の回路で生成しており、その一方を、主制御基板21と払出制御基板25に供給し、他方を、電源中継基板30を経由して、演出インターフェイス基板23及び液晶制御基板24に供給している(図3参照)。そのため、演出制御基板22側の高周波ノイズが、電源供給ラインを通して、主制御基板21や払出制御基板25に伝送されることが防止される。
バックアップ電源回路45は、ダイオードと大容量のコンデンサとで構成されており、その出力であるDC5Vのバックアップ電源BUは、主制御基板21及び払出制御基板25に供給されている。そして、このバックアップ電源BUは、各制御基板21,25のワンチップマイコンに内蔵されたRAMに供給されて、電源遮断状態でもRAMの記憶内容を維持するようになっている。
強制遮断回路46は、電流制限抵抗とダイオードとチェナーダイオードとで構成された異常電圧検知部に、二系統の直流12Vと直流5Vとを供給して構成されている。そして、異常電圧検知部に供給されている各電圧が、各チェナーダイオードの逆方向電圧を上回りコンデンサを所定レベル以上に充電すると、サイリスタが通電して、脈流電圧DC24Vが短絡することになる。その結果、主制御基板21と払出制御基板25に対する通電と、電源中継基板30を経由する直流電圧5Vとが一斉に遮断され各制御基板における異常動作が未然に回避される。
電源リセット回路は、図5の左上欄に示す通り、システムリセットIC47と、入力禁止回路48と、シュミットトリガで構成された出力回路49とを中心に構成されている。システムリセットIC47は、電源投入時のシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSと、電圧降下時の電源異常信号ABNとを自動的に生成する専用ICであり、例えば、M5297P(RENESAS社)が使用される。
そして、システムリセットIC47のAC入力端子に供給される脈流電圧DC24Vの値が、監視時間TOFF2以上、監視レベルを下回ると、異常信号ABNをLレベルに降下させるように動作する(図5(c)参照)。ここで監視時間TOFF2は、コンデンサC2と抵抗R2の積に比例するが、この実施例では、監視時間TOFF2を35mS程度に設計している。そのため、AC24Vの遮断状態が1〜2サイクル(60Hzでは、16〜33mS)未満で回復する瞬停であれば、電源異常信号ABNが出力されないことになる。このような瞬停対策の動作によって、直流電圧(12V,5V)が維持されている状態におけるシステムリセット信号SYSの無駄な出力動作が回避される。
また、図5(c)に記載の通り、システムリセットIC47では、電源異常信号ABNが立ち下がってから所定時間(TD+TOFF3)経過した後にシステムリセット信号SYSがLレベルに降下するよう構成されている。ここで、降下遅延時間TOFF3は、コンデンサC3と抵抗R3の積に比例するが、この実施例では、この所定の遅延時間(TD+TOFF3)を利用して、主制御部21と払出制御部25における最優先割込処理(non maskable interrupt)を終えるようにしている。したがって、主制御部21と払出制御部25では、必要なデータがRAM領域に退避された後に、各CPUコアがシステムリセット信号SYSによってリセットされることになる。なお、RAM領域に退避されたデータは、バックアップ電源BUによって少なくとも数日は維持される。
図5(b)に記載の通り、このシステムリセットIC47では、交流入力電圧AC24Vが投入されて、システムリセットIC47のAC入力端子に脈流電圧DC24Vが供給されると、第1遅延時間TON4後に電源異常信号ABNが立上がり、第2遅延時間TON5後にシステムリセット信号SYSが立上るよう構成されている。ここで、遅延時間TON4と遅延時間TON5は、それぞれ、コンデンサC4,C5と抵抗R4,R5の積に比例するが、本実施例では、CPUが正常に動作し得ないTON5−TON4の時間帯は、主制御部21のウォッチドッグタイマ53を、論理回路51,52で自動的にクリアするようにしている。
この点については、図5(a)の右欄に示す主制御基板21を参照しつつ説明する。図示の通り、主制御部21には、遅延回路50と、2N進カウンタ51と、ORゲート52と、ORゲート52の出力信号の微分パルスでクリア処理されるウォッチドッグタイマ53とが設けられている。そして、電源基板20で生成されたシステムリセット信号SYSは、遅延回路50を経てカウンタ51のクリア端子CLRに供給され、一方、カウンタ51のクロック端子CLKにはシステムクロックΦが供給されている。したがって、システムリセット信号SYSが立上るまでの遅延時間TON5の期間は、2N進カウンタ51のカウントアップ動作が可能となり、そのカウントアップ信号S1の微分パルスが、ウォッチドッグタイマ53のクリア信号WDとして機能することになる。そのため、主制御部21のCPUが機能しない時間帯に、ウォッチドッグタイマ53が自走状態となってCPUをリセットするようなトラブルが回避される。
このように、カウントアップ信号S1が、ウォッチドッグタイマ53が自走状態となることを禁止していると、やがて、システムリセット信号SYSが立上がるので(図5(b)参照)、その後はカウンタ51のカウント動作が禁止されることになる。しかし、その後は、CPUが定期的にクリアパルスS2を出力するので、このクリアパルスS2によってウォッチドッグタイマ53の自走状態が引き続き禁止される。但し、プログラムの暴走状態などによってクリアパルスS2が途絶えて、ウォッチドッグタイマ53が自走状態となると、リセット信号XURSTが出力されて主制御部21のCPUがリセット状態となる。
一方、電源投入時には、システムリセット信号SYSが遅延回路50で遅延されてリセット信号XSRSTとなるので、このリセット信号XSRSTの供給によって主制御部21のCPUがリセット状態となる。このように、本実施例では、XURST信号またはXSRST信号によってCPUがリセット状態になるが、XSRST信号については、図6に関して更に後述する。
さて、図5(a)の左上欄に戻って、電源基板20の電源リセット回路の説明を続ける。電源リセット回路の入力禁止回路48は、2つのNORゲートとスイッチングトランジスタQとを中心に構成されている。そして、システムリセット信号SYSがHレベルで、電源異常信号ABNがLレベルの場合だけ、2つのNORゲートがHレベルの信号を出力して、トランジスタQをON状態としている。
電源異常信号ABN=L、システムリセット信号SYS=Hの時間帯とは、図5(c)に示す通り、電圧降下時のTD+TOFF3の時間帯である。本実施例では、この過渡状態では、トランジスタQのON動作によって、システムリセットIC47のAC入力端子への脈流電圧DC24Vの供給が遮断されることになる。したがって、例えば、交流入力電圧AC24Vは正常レベルでありながら、何らかの理由で、直流電圧5Vのみが遮断又は降下するような異常時にも、システムリセットIC47から、不安定な信号や不合理な信号が出力されるおそれが回避され、各制御基板での異常動作が未然に防止される。
また、交流入力電圧AC24Vが降下する通常の電源遮断時にも、各制御基板での異常動作が防止されるので、電圧降下時にデータの退避処理を実行する制御基板21、25においても、正常なNMI動作が保証される。
以上で電源基板20の説明が終わったので、続いて、図3を参照しつつ主制御基板21について説明する。先に説明したように、主制御基板21は、電源基板20から、DC12V、DC32V、及びバックアップ電源BU(=DC5V)の他に(図4参照)、電圧降下時に出力される電源異常信号ABNや、電源投入時に出力されるシステムリセット信号SYSを受けている(図5参照)。そして、主制御基板21では、受けたDC12VをDC5Vに降圧させて、基板内のコンピュータ回路の電源電圧としている。このように、主制御部21では、その直流電源電圧5Vを電源基板20から直接受けないので、DC5Vの電源供給ラインを通して、他の制御基板25,23,22,24から高周波ノイズなどを受けるおそれが回避される。
また、主制御基板21は、コマンド中継基板29に接続されると共に、遊技盤中継基板27を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。なお、図柄始動口15からのスイッチ信号については、遊技盤中継基板27を経由することなく、直接、主制御部21が受けている。
また、主制御部21は、払出制御部25に対して制御コマンドCMD”を一方向に送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
更にまた、主制御部21は、乱数発生基板28に対して、電源電圧5Vを供給すると共に、乱数発生基板28から、例えば16ビット長の乱数値RNDを受けている。この乱数値RNDは、遊技状態を大当り状態に移行させるか否かの大当り抽選処理に使用される極めて重要な数値である。
図6は、乱数発生基板28の回路構成と、主制御部21の要部とを示すブロック図である。乱数発生基板28は、システムクロックΦとは無関係に20MHz程度の周波数を発振する発振器60と、発振器60の出力を受けて計数動作をする216進カウンタ61と、図柄始動口15に設けられた入賞検出スイッチからラッチパルスを受けてカウンタ61の出力値を取得するラッチ62と、216進カウンタ61のMSB(最上ケタ)のデータによってクリア処理されるウォッチドッグタイマ63と、ウォッチドッグタイマ63が出力する異常信号ERを通過又は遮断する論理回路64と、発振器60と216進カウンタ61の電源電圧を供給又は停止するアナログスイッチ65とを中心に構成されている。
ウォッチドッグタイマ63は、この実施例ではTA80305で構成され、この専用ICのTC端子には、抵抗R10とコンデンサC10とで決まる充放電電圧が供給されるよう構成されている。そして、専用ICのWD端子にクリア信号が供給されない自走状態(異常状態)では、2つの閾値VTH(L),VTH(H)で決まる充電時間TWDと放電時間TRSTとに基づいて、RST1端子から所定周期(TWD+TRST)の異常信号(警報パルス)ERを出力するようになっている(図7(a)参照)。なお、VTH(L)=4V程度、VTH(H)=2V程度であり、この実施例では、TWD=1秒程度、TRST=7m秒程度に設計されている。
したがって、専用ICのWD端子に、微分コンデンサC11を介して、周期TWD未満のクリア信号を供給すれば、供給された微分パルスによって専用IC63の内部回路が強制的に放電状態となり、RST1端子はHレベル状態を維持することになる(図7(b)参照)。そこで、この実施例では、216進カウンタ61のMSBをクリア信号(回避信号)として、WD端子に供給している。
216進カウンタ61は、16個のレジスタが直列接続されてなるバイナリ・リップルカウンタであり、カウント動作が進行するに合わせて、下位ビットから上位ビットに順次、桁上げ動作が進行する。したがって、例えば、第i番目のレジスタが故障して出力ビットが固定状態となると、第i+1番目以降のレジスタの出力ビットも固定状態となる。この動作を言い換えると、16個のレジスタの何れかに不良があると、リップルカウンタ61のMSBは変化せず、逆に、MSBが変化することは、全ての内蔵レジスタが動作していることになる。
そこで、この実施例では、216進カウンタのMSBのデータを微分コンデンサC11を通して、ウォッチドッグタイマ63のWD端子に供給している。先に説明した通り、発振器の発振パルスは20MHz程度であるので、216進カウンタ61のMSBの周波数は、20MHz/65536≒305Hz程度となり、ウォッチドッグタイマ63の内部回路は、3.3mS程度の時間間隔で放電状態となる。本実施例では、TWD=1秒程度に設計されているので、発振器60とリップルカウンタ61とが正常に動作している限り、ウォッチドッグタイマ63のRST1端子はHレベルを維持することになる。
一方、発振器60が故障して発振が停止したり発振不安定となるか、或いは、リップルカウンタ61が故障すると、カウンタのMSBデータによるクリア信号が途絶えるので、ウォッチドッグタイマ63は自走状態となり、そのRST1端子から図7(a)に示す警報パルス(異常信号)ERが繰り返し出力されることになる。
図6の論理回路64は、主制御部21が出力する制御信号(許可信号)CTLの否定信号と、異常信号ERとを受けるANDゲートと、ANDゲートの出力と制御信号CTLとを受けるORゲートとを中心に構成されている。ここで、制御信号CTLは、主制御部21のCPUをリセット状態にして良いか否かを示す許可信号であり、制御信号CTL=Hレベルではリセット禁止状態、制御信号CTL=Lレベルではリセット許可状態を意味する。
例えば、遊技機が大当り状態である場合のように、遊技者の利益に極めて大きく係わる遊技状態であればリセット禁止状態(Hレベル)となり、逆に、遊技者に特段の不信感を与えない遊技状態であれば、リセット許可状態(Lレベル)となるよう主制御部21で制御されている。なお、制御信号CTLは主制御部21の出力ポート70を通して乱数発生基板28に供給される。
図6の論理回路64は、上記の通り構成されているので、制御信号CTLがLレベル(リセット許可状態)である場合に限り、異常信号ERがORゲートから出力され、出力された異常信号ERは、主制御部21のCPUをリセットするべく主制御基板21に供給される。図5に関して説明した通り、主制御部21のワンチップマイコンのXSRST端子には、遅延回路50で遅延されたシステムリセット信号SYSも供給されており、異常信号ERとシステムリセット信号SYSは、負論理ORゲートを経由して、ワンチップマイコンのXSRST端子に供給される(図6右欄参照)。
したがって、この実施例では、電源投入時だけでなく、発振器60や216進カウンタ61の故障時にも、主制御部21のCPUが繰り返しリセットされることになり、乱数発生基板28の異常状態のままで遊技状態が進行することがない。また、例えば、不正遊技者がリップルカウンタ61の出力値を当選状態の数値に維持したような場合にも、主制御部21のCPUが繰り返しリセットされて不正遊技を成功させない。なお、制御信号CTLはプルアップ状態であるので、電源投入後のように、主制御部21による制御動作が開始されていない状態では、制御信号CTLはHレベルであり、CPUを無意味にリセットさせるおそれはない。
ところで、論理回路64から出力された異常信号ERは、抵抗及びコンデンサによる遅延回路と、NOTゲートとを介して、リップルカウンタ61のクリア端子CLRに供給されている。したがって、異常信号ERがLレベルとなるTRSTの期間に、リップルカウンタ61の出力がゼロリセットされ、この動作によってカウンタ61の異常が回復する可能性もある。
また、論理回路64から出力された異常信号ERは、アナログスイッチ65の制御端子にも供給されている。そして、異常信号ERがLレベルとなるTRSTの期間は、アナログスイッチ65がOFF状態となり、発振器60とリップルカウンタ61への電源電圧Vccが遮断される。遮断された電源電圧は、その後、復旧状態となるが、この電源電圧の再投入動作によって発振器60とリップルカウンタ61の異常が回復する可能性がある。なお、電源投入後のように、主制御部21による制御動作が開始されていない状態では、プルアップされている制御信号CTLはHレベルであるから、発振器60及びリップルカウンタ61への電源電圧Vccの供給が遮断されたり、リップルカウンタのカウント動作が禁止されるおそれはない。
図8は、電源基板20の交流入力電圧AC24Vを一括して遮断→復旧させる実施例を図示したものである。この回路は、図6のように、アナログスイッチ65を用いた、発振器60及びリップルカウンタ61への電源電圧の遮断→復旧する動作に代わる動作をする。
図示の通り、この実施例では、異常信号ERを受けるワンショットマルチバイブレータ66と、ワンショットマルチバイブレータ66の出力で開閉制御されるリレー回路67とが電源基板20に付加されている。なお、ワンショットマルチバイブレータ66やリレー回路67の電源は、バックアップ電源BUその他が利用されるので、それらの素子が交流電圧AC24Vの遮断によって影響を受けることはない。
この実施例では、乱数発生基板28の異常が検出されると、異常信号ERが立ち下がるタイミングで、ワンショットマルチバイブレータ66から所定幅の遮断パルスCUTが出力され、そのパルス幅の時間だけ交流入力電圧AC24Vが遮断される。
交流入力電圧AC24Vが遮断されると、所定の遅延時間TOFF2後に専用IC47の電源異常信号ABNがLレベルに立ち下がり、主制御部21と払出制御部25において最優先(NMI)の割込み処理プログラムが起動され、CPUの汎用レジスタの値がスタック領域に退避される(図12(b)参照)。そして、退避処理が終わるとバックアップフラグBPFが1にセットされる。なお、スタック領域(RAM)がバックアップ電源BUで保護されること、及び、電源異常信号ABNが立ち下がってから、遅延時間TD+TOFF3までの期間(図5(c)参照)は、システムリセット信号SYSが立ち下がらないよう構成され、図12(b)のNMIの処理時間が十分に確保されているのは前記した通りである。
その後、遮断パルスがHレベルに回復すると、交流入力電源AC24Vが投入状態となり、電源基板20から各制御基板に対してシステムリセット信号SYSが供給されて各ワンチップマイコンのCPUが電源リセットされる。この場合、主制御部21や払出制御部25では、メイン処理の最初のタイミングでバックアップフラグBPFの値がチェックされ、もしBPF=1であれば、スタック領域に退避されているデータがCPUの汎用レジスタに復帰される(図12(a)参照)。そして、バックアップフラグBPFをゼロにクリアした後に、電源停止前の遊技動作を再開することになる。
この実施例の場合にも、電源電圧の遮断→復旧によって発振器60やリップルカウンタ61の動作異常が回復する可能性があるので、もし乱数発生基板28の異常が回復していれば、図12(a)のプログラム処理を経て、遊技動作が正常に再開されることになる。一方、乱数発生基板28が異常状態のままであれば、電源リセット動作が繰り返されるので、本実施例では、乱数発生基板28の異常動作を放置したまま遊技状態が進行する弊害はない。
ところで、図9(a)は、本実施例の主制御部21のタイマ割込み動作の一部を示すフローチャートである。主制御部21のタイマ割込み動作は、例えば2mS毎に、図12(a)のメイン処理を中断させて開始され、図柄始動口を含む各種のスイッチ信号のON/OFF状態が毎回チェックされる。
そして、図柄始動口15へ遊技球が入賞していた場合には、乱数発生基板28から乱数値RNDが取得され、取得した乱数値RNDに基づいて大当り抽選が実行される。なお、大当り抽選に使用される乱数値RNDは、図柄始動口15に遊技球が入賞したタイミングで、ラッチパルスに同期してラッチ62に取得されたリップルカウンタ61の値である(図6参照)。また、ラッチ62に保持された乱数値RNDは、主制御部21の入力ポート71を通して取得される(図6参照)。
但し、リップルカウンタ61の値が変化しない異常時には、CPUが繰り返し自動的にリセットされるので、図9のタイマ割込み処理は、実質的には、何も実行されない。したがって、ラッチ62の値が、仮に大当り当選値に維持されていたとしても、遊技動作が進行することはない。
図10は、図6の回路を一部変更した別の実施例を示す回路図である。この実施例では異常信号ERは、直接、主制御部21の入力ポート72に供給されると共に、ワンチップマイコンのXINT端子に供給されている。
ワンチップマイコンの内部では、Z80CTCが出力する割込み信号と、XINT端子から受けた割込み信号とが、負論理ORゲートを通して、CPUコアの割込み端子INTに供給されている。なお、この割込み端子INTは、マスク可能な割込み信号(maskable interrupt)を受け付ける入力端子である。また、CTC(Counter Timer Circuit) は、主制御部21における2mS毎のタイマ割込みを実現するタイマ回路である。
図9(b)は、図10の回路における割込み処理を説明するフローチャートである。この実施例では、タイマ割込みに混在して、ウォッチドッグタイマ63による異常割込みが生じる可能性がある。そこで、タイマ割込みの最初に、入力ポート72の値をチェックして、ウォッチドッグタイマ63による異常割込みか否かを判定する(ST1)。そして、ウォッチドッグタイマ63の出力信号RST1がHレベルであれば通常の割込み処理を実行するが、出力信号RST1がLレベルの場合には、異常報知動作を実行する(ST2)。異常報知動作は、特に限定されないが液晶ディスプレイやスピーカやLEDランプを用いて実行される。
但し、ウォッチドッグタイマ63が異常信号ERを出力するタイミングでは、発振器60とリップルカウンタ61の電源電圧が遮断した後に復旧しているので、乱数発生基板28の異常が自動回復している可能性がある。そのような場合には、次のタイマ割込み時に異常信号ERがHレベルとなるので、異常報知は、自動的に停止制御されることになり(ST3)、遊技動作は問題なく再開される。
図11は、図6の回路を更に変更した別の実施例を示す回路図であり、図8に示す電源基板20と組み合わせて使用される。また、図11の回路では、図10の回路と異なり、発振器60やリップルカウンタ61への電源電圧Vccの遮断回路65は設けられていない。一方、図10の回路と同様、図11の回路構成でも、ウォッチドッグタイマ63の出力信号RST1は、主制御部21の入力ポート72に供給されると共に、ワンチップマイコンのXINT端子に供給されている。
図9(c)は、図11の回路におけるタイマ割込み処理を説明するフローチャートである。この実施例のステップST11とST12の処理は、図9(b)のステップST1とST2の処理と同様である。但し、異常報知動作(ST12)の後には、出力ポート73から電源基板20に対して異常信号ERを出力する点が相違する(ST13)。
ステップST13の処理では、異常信号ERを立ち下げるので、電源基板20のワンショットマルチバイブレータ66が機能して、交流入力電圧AC24Vが所定時間だけ遮断状態となる。その後、交流入力電圧AC24Vが回復した後、各制御基板にはシステムリセット信号SYSが供給される。
したがって、電源の遮断→復旧によって乱数発生基板28の異常が回復した場合には、遊技動作が正常に再開されることになる。一方、乱数発生基板28の異常が回復しない場合には、同一のリセット動作が繰り返されることになり、乱数発生基板28が異常状態のままで遊技動作が進行することが回避される。
以上、本発明の実施例を具体的に説明したが、具体的な記載内容は何ら本発明を限定するものではなく、各種の改変が可能である。特に、具体的に例示した回路構成や回路素子は適宜に変更されるのは勿論である。