以下、実施例に係る弾球遊技機に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機を示す正面図である。図示のパチンコ機は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行され、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右1対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ開放されるようになっている。図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。大入賞口16の内部に入賞領域16bが設けられている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。通常、この特定図柄による大当りを「確変大当り」と言う。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機1の全体回路構成を示すブロック図である。図中の破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図3に示す通り、このパチンコ機1は、AC24Vを受けて各種の直流電圧(5V,12V,32V,BU)を出力すると共に電源投入時にシステムリセット信号SYSを出力する電源基板20と、遊技動作を中心的に制御する主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた信号を各部に伝送する演出インターフェイス基板23と、演出インターフェイス基板23から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板24と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板25と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板26とを中心に構成されている。
ここで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25に搭載された回路及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、以下の説明では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25と言うことがある。また、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25の全部又は一部がサブ制御部である。
図4及び図5は、電源基板20の内部構成を示すブロック図である。図4及び図5に示す通り、電源基板20は、AC24Vを脈流電圧(DC24V)に変換する3つの全波整流回路40〜42と、全波整流回路40,41の出力電圧を平滑化する平滑回路43a〜43dと、三端子レギュレータなどによる安定化電源回路44a〜44cと、電源遮断後も直流電圧5Vを維持するバックアップ電源回路45と、直流出力電圧(12V,5V)が異常に上昇すると全波整流回路40の出力を短絡させる強制遮断回路46と、専用IC47を使用した電源リセット回路(図5の左上欄参照)などを備えて構成されている。
安定化電源回路44a〜44cは、それぞれ直流電圧5V,12V,12Vを出力する回路であり、コンデンサによる蓄電部と、ノイズ対策用のハイパスフィルタ部とが出力側に設けられている。この実施例では、同じ直流電圧値DC12Vを二系統の回路で生成しており、その一方を、主制御基板21と払出制御基板25に供給し、他方を、電源中継基板30を経由して、演出インターフェイス基板23及び液晶制御基板24に供給している(図3参照)。そのため、演出制御基板22側の高周波ノイズが、電源供給ラインを通して、主制御基板21や払出制御基板25に伝送されることが防止される。
バックアップ電源回路45は、ダイオードと大容量のコンデンサとで構成されており、その出力であるDC5Vのバックアップ電源BUは、主制御基板21及び払出制御基板25に供給されている。そして、このバックアップ電源BUは、各制御基板21,25のワンチップマイコンに内蔵されたRAMに供給されて、電源遮断状態でもRAMの記憶内容を維持するようになっている(図7(a)参照)。
強制遮断回路46は、電流制限抵抗とダイオードとチェナーダイオードとで構成された異常電圧検知部に、二系統の直流12Vと直流5Vとを供給して構成されている。そして、異常電圧検知部に供給されている各電圧が、各チェナーダイオードの逆方向電圧を上回りコンデンサを所定レベル以上に充電すると、サイリスタが通電して、脈流電圧DC24Vが短絡することになる。その結果、主制御基板21と払出制御基板25に対する通電と、電源中継基板30を経由する直流電圧5Vとが一斉に遮断され各制御基板における異常動作が未然に回避される。
電源リセット回路は、図5の左上欄に示す通り、システムリセットIC47と、入力禁止回路48と、シュミットトリガで構成された出力回路49とを中心に構成されている。システムリセットIC47は、電源投入時のシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSと、電圧降下時の電源異常信号ABNとを自動的に生成する専用ICであり、例えば、M5297P(RENESAS社)が使用される。
そして、システムリセットIC47のAC入力端子に供給される脈流電圧DC24Vの値が、監視時間TOFF2以上、監視レベルを下回ると、異常信号ABNをLレベルに降下させるように動作する(図5(c)参照)。ここで監視時間TOFF2は、コンデンサC2と抵抗R2の積に比例するが、この実施例では、監視時間TOFF2を35mS程度に設計している。そのため、AC24Vの遮断状態が1〜2サイクル(60Hzでは、16〜33mS)未満で回復する瞬停であれば、電源異常信号ABNが出力されないことになる。このような瞬停対策の動作によって、直流電圧(12V,5V)が維持されている状態におけるシステムリセット信号の無駄な出力動作が回避される。
また、図5(c)に記載の通り、システムリセットIC47では、電源異常信号ABNが立ち下がってから所定時間(TD+TOFF3)経過した後にシステムリセット信号SYSがLレベルに降下するよう構成されている。ここで、降下遅延時間TOFF3は、コンデンサC3と抵抗R3の積に比例するが、この実施例では、この所定の遅延時間(TD+TOFF3)を利用して、主制御部21と払出制御部25における最優先割込処理(non maskable interrupt)を終えるようにしている。したがって、主制御部21と払出制御部25では、必要なデータがRAM領域に退避された後に、各CPUコアがシステムリセット信号SYSによってリセットされることになる。なお、RAM領域に退避されたデータは、バックアップ電源BUによって少なくとも数日は維持される。
図5(b)に記載の通り、このシステムリセットIC47では、交流入力電圧AC24Vが投入されて、システムリセットIC47のAC入力端子に脈流電圧DC24Vが供給されると、第1遅延時間TON4後に電源異常信号ABNが立上がり、第2遅延時間TON5後にシステムリセット信号SYSが立上るよう構成されている。ここで、遅延時間TON4と遅延時間TON5は、それぞれ、コンデンサC4,C5と抵抗R4,R5の積に比例するが、本実施例では、CPUが正常に動作し得ないTON5−TON4の時間帯は、主制御部21のウォッチドッグタイマ53を、論理回路51,52で自動的にクリアするようにしている。
この点については、図5(a)の右欄に示す主制御基板21を参照しつつ説明する。図示の通り、主制御部21には、遅延回路50と、2N進カウンタ51と、ORゲート52と、ORゲート52の出力信号の微分パルスでクリア処理されるウォッチドッグタイマ53とが設けられている。そして、電源基板20で生成されたシステムリセット信号SYSは、遅延回路50を経てカウンタ51のクリア端子CLRに供給され、一方、カウンタ51のクロック端子CLKにはシステムクロックΦが供給されている。したがって、システムリセット信号SYSが立上るまでの遅延時間TON5の期間は、2N進カウンタ51のカウントアップ動作が可能となり、そのカウントアップ信号S1の微分パルスが、ウォッチドッグタイマ53のクリア信号WDとして機能することになる。そのため、主制御部21のCPUが機能しない時間帯に、ウォッチドッグタイマ53が自走状態となってCPUをリセットするようなトラブルが回避される。
このように、カウントアップ信号S1が、ウォッチドッグタイマ53が自走状態となることを禁止していると、やがて、システムリセット信号SYSが立上がるので(図5(b)参照)、その後はカウンタ51のカウント動作が禁止されることになる。しかし、その後は、CPUが定期的にクリアパルスS2を出力するので、このクリアパルスS2によってウォッチドッグタイマ53の自走状態が引き続き禁止される。但し、プログラムの暴走状態などによってクリアパルスS2が途絶えて、ウォッチドッグタイマ53が自走状態となると、リセット信号XURSTが出力されて主制御部21のCPUがリセット状態となる。
一方、電源投入時には、システムリセット信号SYSが遅延回路50で遅延されてリセット信号XSRSTとなるので、このリセット信号XSRSTの供給によって主制御部21のCPUがリセット状態となる。このように、本実施例では、XURST信号またはXSRST信号によってCPUがリセット状態になる。
さて、図5(a)の左上欄に戻って、電源基板20の電源リセット回路の説明を続ける。電源リセット回路の入力禁止回路48は、2つのNORゲートとスイッチングトランジスタQとを中心に構成されている。そして、システムリセット信号SYSがHレベルで、電源異常信号ABNがLレベルの場合だけ、2つのNORゲートがHレベルの信号を出力して、トランジスタQをON状態としている。
電源異常信号ABN=L、システムリセット信号SYS=Hの時間帯とは、図5(c)に示す通り、電圧降下時のTD+TOFF3の時間帯である。本実施例では、この過渡状態では、トランジスタQのON動作によって、システムリセットIC47のAC入力端子への脈流電圧DC24Vの供給が遮断されることになる。したがって、例えば、交流入力電圧AC24Vは正常レベルでありながら、何らかの理由で、直流電圧5Vのみが遮断又は降下するような異常時にも、システムリセットIC47から、不安定な信号や不合理な信号が出力されるおそれが回避され、各制御基板での異常動作が未然に防止される。
また、交流入力電圧AC24Vが降下する通常の電源遮断時にも、各制御基板での異常動作が防止されるので、電圧降下時にデータの退避処理を実行する制御基板21、25においても、正常なNMI動作が保証される。
以上で電源基板20の説明が終わったので、続いて、図3を参照しつつ主制御基板21について説明する。先に説明したように、主制御基板21は、電源基板20から、DC12V、DC32V、及びバックアップ電源BU(=DC5V)の他に(図4参照)、電圧降下時に出力される電源異常信号ABNや、電源投入時に出力されるシステムリセット信号SYSを受けている(図5参照)。そして、主制御基板21では、受けたDC12VをDC5Vに降圧させて、基板内のコンピュータ回路の電源電圧としている。このように、主制御部21では、その直流電源電圧5Vを電源基板20から直接受けないので、DC5Vの電源供給ラインを通して、他の制御基板25,23,22,24から高周波ノイズなどを受けるおそれが回避される。
また、主制御基板21は、コマンド中継基板29に接続されると共に、遊技盤中継基板27を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。なお、図柄始動口15からのスイッチ信号については、遊技盤中継基板27を経由することなく、直接、主制御部21が受けている。
また、主制御部21は、払出制御部25に対して制御コマンドCMD”を一方向に送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
更にまた、主制御部21は、乱数発生基板28に対して、電源電圧5Vを供給すると共に、乱数発生基板28から、例えば16ビット長の乱数値RNDと比較値REFを受けている。この乱数値RNDは、遊技状態を大当り状態に移行させるか否かの大当り抽選処理に使用される極めて重要な数値である。
図6は、乱数発生基板28の回路構成と、主制御部21の要部とを示すブロック図である。乱数発生基板28は、システムクロックΦとは無関係に20MHz程度の周波数を発振する発振器60と、発振器60の出力を受けて計数動作をする216進カウンタ61と、図柄始動口15に設けられた入賞検出スイッチからラッチパルスを受けてカウンタ61の出力値を取得する第1ラッチ62と、主制御部21からのラッチ信号LAを受けてカウンタ61の出力値を取得する第2ラッチ63とを中心に構成されている。なお、216進カウンタ61は、0〜65535の数値範囲を循環するが、ここではリップルカウンタを採用している。
また、主制御部21が出力するラッチ信号LAとして、この実施例では、ワンチップマイコンの内蔵CTCのダウンカウント動作の満了に伴って出力されるタイムアウト信号TOを活用している。このタイムアウト信号TOについては、実施例で使用するワンチップマイコン(LE2080A/エルイーテック社)の内部構成に基づいて説明する。
図7(a)に示す通り、本実施例の主制御部21に搭載されたワンチップマイコンは、Z80PIO(パラレルI/O)とZ80CTC(Counter Timer Circuit)とを内蔵して構成されている。Z80CTCは、Z80システムに周期的割り込みや、一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や、時間計測の機能を付与するものであり、8bitのカウンタ・タイマを4つ集積して構成されている。
本実施例の主制御部21では、このZ80CTCのダウンカウント動作を利用して2mS毎のタイマ割込みを実現しているが(図7(b)参照)、この2mSのダウンカウント動作が満了すると、ワンチップマイコンからタイムアウト信号TOを出力するようになっている。そこで、乱数発生基板28の第2ラッチ63は、このタイムアウト信号TO(ラッチ信号LA)に同期して、216進カウンタ61の値を取得している(図6参照)。
ところで、主制御部21のCPUコアは、図7(c)に示す通り、2mS毎に生じるタイマ割込み処理において遊技動作を実行する一方、タイマ割込み処理終了後の残余時間では、メイン処理で無限ループ処理を実行している。これに対して、乱数発生基板28の発振器は20MHzで動作しているので、リップルカウンタ61が数値範囲を一巡するのに65536/20M=3.2768mSを要することになる。逆に言うと、タイマ割込みが生じる2mSの間に、216進カウンタ61は、2×10−3×20×106=40,000だけカウント動作が進行していることになる。
以上を踏まえて主制御部21におけるタイマ割込み処理について説明する。図8(a)は、タイマ割込みの処理内容の一部を示すフローチャートである。タイマ割込みが生じると、レジスタ類のPUSH処理を終えた後、入力ポート71(図6)を通して、第2ラッチ63の比較値REFを取得する(ST1)。なお、データと取りこぼしを防止するため、IN命令を複数回実行して、同一の取得値REFが得られることを取得条件とする。
ステップST1の処理における取得値REFは、タイムアウト信号TOをラッチ信号LAとして、今回のタイマ割込み時に取得したものであり、前回の取得値と比べ、正確に+40000の関係にある筈である。そこで、一時記憶領域BUFに格納されている前回取得値REFOLDと今回取得値REFとを比較する(ST2)。そして、多少の余裕α(2又は3程度)を加味して、REFOLD+40000−α<REF<REFOLD+40000+αを満たせば正常値と判定し、前記条件を満たさなければ異常値と判定する。REFOLD+40000−α<REF<REFOLD+40000+αを満たさない異常の原因としては、乱数発生基板28の発振器60が発振を停止している場合、リップルカウンタ61の動作が停止している場合、リップルカウンタ61の特定ビットが固定状態に故障している場合などの他、違法器具を動作させてカウンタ値を当選値に一致させている場合も考えられる。
したがって、正常値である場合には、今回の取得値REFを一時記憶領域BUFに格納するが(ST4)、異常値である場合には、異常報知処理を行って、そのまま無限ループ処理に移行する(ST5)。異常報知動作は、特に限定されないが液晶ディスプレイやスピーカやLEDランプを用いて実行される。このような異常報知処理をした状態で、遊技制御動作を停止していると、やがて係員が交流電源AC24Vを遮断して乱数発生基板28を交換し、交流電源を再投入するので、その後、遊技機は正常に復旧することになる。
図8(b)は、第2実施例の動作内容を示すフローチャートである。この実施例では、タイマ割込み毎にカウンタ61の正常判定をするのではなく、図柄始動口15に遊技球が入賞した場合だけ、乱数発生基板28の正常動作判定をしている。
具体的に説明すると、図柄始動口15を含む全てのスイッチ信号のON/OFF状態を取得した後(ST10)、図柄始動口15への入賞が認められたか否かを判定する(ST11)。図6に関して説明した通り、遊技球が図柄始動口15に入賞すると、乱数発生基板28では、そのスイッチ信号をラッチパルスとして、カウンタ61の値が第1ラッチ62に取得されている筈である。
そこで、主制御部21では、入力ポート70を経由して、第1ラッチ62の乱数値RNDを取得する(ST12)。また、入力ポート71を経由して、第2ラッチ63の値を、比較値REFとして取得する(ST13)。なお、データと取りこぼしを防止するため、これらの取得処理でもIN命令を複数回実行して、同一の取得値が得られることを取得条件とする。
図7(b)〜図7(d)に示す通り、遊技球が図柄始動口15に入賞したタイミングは、今回のタイマ割込み時をTとすると、[T−2mS+τ]から[T+τ]までの時間帯である。なお、τは、タイマ割込みからスイッチ入力処理(ST10)までの経過時間である(図8(b)参照)。したがって、今回取得した乱数値RNDは、比較値REFを基準とすると、REF−(2ms−τ)×(20×106)からREF+τ×20×106の範囲内にある筈である。そこで、多少の余裕βを加味して、REF−(2ms−τ)×(20×106)−β<RND<REF+τ×20×106+βの判定式によって正常か否かを判定する(ST14)。なお、カウンタの数値範囲0〜65535を超えた場合には、適宜な補正演算を施すのは勿論である。
そして、正常であると判定される場合には、今回取得した乱数RNDを使用して大当り抽選を行うが(ST15)、異常と判定される場合には、異常報知処理を行って、そのまま無限ループ処理に移行する(ST16)。
以上、図6に示す乱数発生基板28について説明したが、図6の回路構成に限定されるものではない。図9は、別の乱数発生基板28を図示したものであり、発振器60とリップルカウンタ61に対する電源電圧Vccの供給を、主制御部21で制御する構成を例示している。
すなわち、主制御部21は、出力ポート72を通して、通常はHレベルである制御信号CTLを出力し、出力された制御信号CTLは、プルアップ状態であるアナログスイッチ64の制御端子に供給されている。そして、アナログスイッチ64の入力端子には、主制御部21から伝送される電源電圧Vccが供給され、アナログスイッチ64の出力端子は、発振器60とリップルカウンタ61の電源ラインに接続されている。
制御信号CTLは定常的にHレベルであることから、通常、発振器60とリップルカウンタ61は、電源電圧Vccの供給を受けて正常に動作する。但し、制御信号CTLがLレベルになると、発振器60とリップルカウンタ61は、その動作を停止することになる。なお、制御信号CTLは、抵抗及びコンデンサによる遅延回路とNOTゲートとを通して、カウンタ61のクリア端子CLRに供給されており、制御信号CTLがLレベルになるとカウンタ61がクリアされるようになっている。
図8(c)は、図9の乱数発生基板28を駆動する場合の動作内容を例示したものである。この実施例の場合には、異常報知処理の後に無限ループ処理に移行するのではなく、出力ポート72を通して、一定時間だけLレベルとなるクリアパルスを制御信号CTLとして出力している(ST17)。したがって、このクリアパルスによって、発振器60とリップルカウンタ61は、電源遮断→電源復旧の動作をすることになり、異常状態が回復する可能性がある。なお、電源復旧から所定時間後にはリップルカウンタ61がゼロクリアされる。
このように、図8(c)の制御によれば、乱数発生基板28の異常状態が自動的に正常化される可能性があり、係員による保守作業を解消できる可能性がある。なお、異常状態が回復しない場合には、繰り返し、ステップST16の異常報知処理が実行されるので係員による保守作業に移行することができる。
図10は、更に別に実施例を例示したものであり、電源基板20の一部を示している。この実施例では、電源基板20の交流入力電圧AC24Vを一括して遮断→復旧させている。なお、図10の電源基板20は、図6の乱数発生基板28と、図9の主制御基板21と組み合わせて使用される。
すなわち、この実施例では、主制御部21の出力ポート72から制御信号CTLを受けるワンショットマルチバイブレータ66と、ワンショットマルチバイブレータ66の出力で開閉制御されるリレー回路67とが電源基板20に付加されている。なお、ワンショットマルチバイブレータ66とリレー回路67などの電源は、バックアップ電源BUその他が利用されるので、それらの素子が交流電圧AC24Vの遮断によって影響を受けることはない。
図8(c)に示すように、この実施例では、乱数発生基板28の異常が検出されると(ST14)、異常報知の後で(ST16)制御信号CTLがLレベルになるが、これに合わせてワンショットマルチバイブレータ66から所定幅の遮断パルスCUTが出力され、そのパルス幅の時間だけ交流入力電圧AC24Vが遮断される。
交流入力電圧AC24Vが遮断されると、所定の遅延時間TOFF2後に専用IC47の電源異常信号ABNがLレベルに立ち下がり、主制御部21と払出制御部25において最優先(NMI)の割込み処理プログラムが起動され、CPUの汎用レジスタの値がスタック領域に退避される(図11(b)参照)。そして、退避処理が終わるとバックアップフラグBPFが1にセットされる。なお、スタック領域(RAM)がバックアップ電源BUで保護されること、及び、電源異常信号ABNが立ち下がってから、遅延時間TD+TOFF3までの期間(図5(c)参照)は、システムリセット信号SYSが立ち下がらないよう構成され、図11(b)のNMIの処理時間が十分に確保されているのは前記した通りである。
その後、遮断パルスがHレベルに回復すると、交流入力電源AC24Vが投入状態となり、電源基板20から各制御基板に対してシステムリセット信号SYSが供給されて各ワンチップマイコンのCPUが電源リセットされる。この場合、主制御部21や払出制御部25では、メイン処理の最初のタイミングでバックアップフラグBPFの値がチェックされ、もしBPF=1であれば、スタック領域に退避されているデータがCPUの汎用レジスタに復帰される(図11(a)参照)。そして、バックアップフラグBPFをゼロにクリアした後に、電源停止前の遊技動作を再開することになる。
この実施例の場合にも、電源電圧の遮断→復旧によって発振器60やリップルカウンタ61の動作異常が回復する可能性があるので、もし乱数発生基板28の異常が回復していれば、図11(a)のプログラム処理を経て、遊技動作が正常に再開されることになる。一方、乱数発生基板28が異常状態のままであれば、電源リセット動作が繰り返されるので、本実施例では、乱数発生基板28の異常動作を放置したまま遊技状態が進行する弊害はない。
以上、本発明の実施例を具体的に説明したが、具体的な記載内容は何ら本発明を限定するものではなく、各種の改変が可能である。特に、具体的に例示した回路構成や回路素子は適宜に変更されるのは勿論である。なお、図8(c)に示すステップST17の処理を、図8(a)のステップST5に続けて実行しても良いのは勿論である。
また、乱数発生基板28の動作チェックは、必ずしもタイマ割込み処理で実行する必要はなく、図11(c)のように、メイン処理の末尾に設けた無限ループ処理部分で実行しても良い。また、第2ラッチ63のラッチパルスは、必ずしも、主制御部21から供給される必要はなく、図12に示すように、乱数発生基板28の内部で、例えばリップルカウンタ61の最下位ビット(LSB)データをラッチパルスとして使用しても良い。
図11(c)の実施例は、図12のような乱数発生基板28に適用するのが好適であり、入力ポート71から第2ラッチ63の比較データREFを取得し(ST21)、直前の比較データREFを格納した一次記憶領域BUFの値と対比する(ST22)。そして、今回の取得値が正常範囲か否かを判定し、異常が認められたら異常報知処理を行う(ST23)。
なお、この実施例では、異常報知をした後に、今回の取得値を一次記憶領域BUFに格納しており(ST26)、同一の処理(ST21〜ST23)を繰り返すことで遊技制御動作の進行を停止している。このような処理は、乱数発生基板28の発振器60やカウンタ61を電源リセットする図9のような回路構成と組合せると特に好適である。
また、他の実施例の場合も含め、異常報知処理においては、個々の遊技機において異常報知をすると共に、全遊技機を一括管理しているホールコンピュータに警報信号を伝送するのが好ましい。このような構成を採れば、遊技機の周りを人垣で遮って不正遊技を継続することができないので、異常検出時に、必ずしも無限ループ処理に移行させる必要が無く遊技機の動作を進行させても良い。