JP5316528B2 - 床材用化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、床材用化粧シートに関する。
床材用化粧シートは、床面に配置する基材(例えば合板などの木質基材)に貼着して、基材表面を装飾する用途に用いられる。このような床材用化粧シートは、装飾性能以外に、耐衝撃性等の特性が優れていることが要求される。
床材用化粧シートとしては、例えば、基材シート上に装飾層を設けて、基材シート裏面に熱可塑性樹脂層(合成樹脂製バッカー層)を更に設けて、全体として耐キャスター性、耐衝撃性等の特性を発現させる床材用化粧シートが知られている(特許文献1−4)。なお、バッカー層とは、木質基材などの表面凹凸の影響を緩和するとともに、上記特性の発現に有効となる、比較的厚みの大きな合成樹脂層である。
床材用化粧シートの製造において、製造工程が多くなれば、それに伴い当然生産コスト及びロスが増加するため、製造工程の数を少なくすることが求められている。
従って、バッカー層を用いなくても同じ性質が得られ、製造工程の数が少ない床材用化粧シートの開発が望まれている。
特開2004−84285号公報 特開2004−143700号公報 特開2006−218784号公報 特開2007−98855号公報
本発明は、バッカー層を用いなくても、耐衝撃性等の特性が優れている床材用化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、硬質フィルム(基材シート)の厚みを100〜500μmにし、且つ、JIS K6734の規定に従って測定した引張り
弾性率を1000MPa以上にした場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完
成するに至った。
即ち、本発明は、下記の床材用化粧シートに関する。
項1.少なくとも厚みが100〜150μmの硬質フィルム上に、絵柄模様層、及び表面保護層を順に有する床材用化粧シートであって、硬質フィルムのJIS K6734の規定に従って測定した引張り弾性率が1600〜2000MPaであり、且つ硬質フィルムが樹脂成分としてポリエステル系樹脂を含有し、
前記絵柄模様層と前記表面保護層の間に、透明性接着剤層及び透明性樹脂層を順に有し、
前記透明性樹脂層が樹脂成分として、ポリプロピレン又はホモポリプロピレンを含有する床材用化粧シート。
項2.前記表面保護層は、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有する、項1に記載の床材用化粧シート。
.項1又は2に記載の床材用化粧シートと被着材とを積層してなる床用化粧材。
以下、本発明の床材用化粧シート及び床用化粧材について説明する。
床材用化粧シート
本発明の床材用化粧シートは、少なくとも厚みが100〜500μmの硬質フィルム上に絵柄
模様層、表面保護層が順に積層されており、硬質フィルムのJIS K6734の規定に従って測定した引張り弾性率が1000MPa以上であることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の床材用化粧シートは、バッカー層を有しないが、バッカー層を有する化粧シートと比較して遜色のない耐衝撃性等の特性を有する。また、本発明の床材用化粧シートの製造において、バッカー層を積層する工程が不要となるため、生産コスト及びロスを抑えることができる。
以下、本発明の床材用化粧シート及び床用化粧材の各層について説明する。
(硬質フィルム)
硬質フィルム(以下「基材シート」とも言う)は、厚みが100〜500μmであって、引張
り弾性率が1000MPa以上のものである。
硬質フィルムの引張り弾性率は1000MPa以上、好ましくは1400MPa以上である。1000MPa
未満の場合は、床材としての衝撃試験等の物性が不十分である。引張り弾性率が1400MPa
以上であれば、更に耐傷性についても向上させることができる。なお、本明細書における引張り弾性率は、試料(例えば、ここでは硬質フィルム)の引張り弾性率をJIS K6734「プラスチック−硬質ポリ塩化ビニルシート−寸法及び特性−第2部:厚さ1mm未満のシート」の規定に従って測定した値である。前記JIS(Japanese Industrial Standards)は日本工業規格を指す。詳細には、図1に示す形状に打ち抜かれた試料の両端
(図1のA、B)を、引張り試験機(テンシロン万能試験機RTC−1250A)を用いて50mm/分の速度で引っ張った際に、試料が中央部分で切れたときの引張り弾性率(MPa)を読み取った値である。
硬質フィルムを構成する樹脂は、引張り弾性率が1000MPa以上となるものであればよく
、このような樹脂としては例えばPET-G、ホモポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ABS、ポリアリレート、ポリカ
ーボネート、メタクリル樹脂、ポリエチレン、ランダムポリプロピレン、ポリアミドなどが挙げられる。これらの中でも、特にポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂が好ましい。
硬質フィルムの厚みは、100〜500μm、好ましくは100〜450μmである。100μm未満の場合は、床材としての衝撃試験等の物性が不十分であり、500μmより大きい場合は、シートが厚すぎるためロール化できない。
硬質フィルムは、着色されているかは限定的ではないが、着色されている場合がより好ましい。被着材と積層し、表面側から溝加工を硬質フィルムに達する程度に施した場合に、硬質フィルムの着色の効果により、溝塗装を施すことなく、塗装感を付与することができる。
硬質フィルムの着色は、着色材(顔料又は染料)等の添加により着色されている。着色剤としては特に限定されず、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。硬質フィルムの着色態様には、透明着色と不透明着色(隠蔽着色)があり、これらは任意に選択できる。例えば、被着材(化粧シートを貼着する基材、例えば木質基材等)の地色を着色隠蔽する場合には、不透明着色を選択すればよい。一方、被着材の地模様を目視できるようにする場合には、透明着色を選択すればよい。
硬質フィルムには、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、発泡剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
硬質フィルムの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、硬質フィルム表面の表面張力が30dyne以上、好ましくは40dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
硬質フィルムの片面又は両面には、必要に応じて、プライマー層(例えば、被着材の接着を容易とするための裏面プライマー層、絵柄模様層の形成を容易とするためのプライマー層)を設けてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を硬質フィルムの片面又は両面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリル−ウレタン系樹脂からなるプライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
(絵柄模様層(絵柄層))
硬質フィルムの上には、絵柄模様層が形成されている。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
(着色隠蔽層)
硬質フィルムと絵柄模様層との間には、必要に応じて、さらに着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、化粧シートのおもて面から被着材の地色を隠蔽したい場合に設けられる。基材シートが透明性である場合は勿論、硬質フィルムが隠蔽着色されている場合でも、隠蔽性を安定化するために形成してもよい。
着色隠蔽層を形成するインクとしては、絵柄模様層を形成するインクであって隠蔽着色が可能なものが使用できる。
着色隠蔽層の形成方法は、基材シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法
、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
着色隠蔽層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は0.2〜10μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜5μm程度である。
(透明性接着剤層)
後記する透明性樹脂層を設ける場合には、絵柄模様層の上に透明性接着剤層を設けることが好ましい。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明性接着剤層は、絵柄模様層と透明性樹脂層とを接着するために形成されている。接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。
化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層は、例えば、接着剤を絵柄模様層の上に塗布し、透明性樹脂層を構成する塗工剤(接着剤)を塗工後、乾燥・硬化させることにより形成できる。乾燥温度・乾燥時間等の条件は特に限定されず、接着剤の種類に応じて適宜設定すればよい。接着剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度である。
(透明性樹脂層)
絵柄模様層と表面保護層の間には、透明性樹脂層が、好ましくは透明性接着層上に、形成されていてもよい。透明性樹脂層は、透明性である限り、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
透明性樹脂層に含まれる樹脂成分は限定的ではないが、熱可塑性樹脂であれば好ましく、特にポリプロピレンが好ましく、ホモポリプロピレンがより好ましい。透明性樹脂層は、実質的に上記ポリプロピレン系樹脂によって形成されていることが好ましい。
透明性樹脂層は、例えば、上記ポリプロピレン系樹脂を、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により形成する。また既成のフィルムを用いてもよい。
透明性樹脂層は、必要に応じて、耐候剤を含有してもよい。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が好ましい。これらの耐候剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。特に透明性樹脂層がポリプロピレンを含有する場合には、耐候剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好適である。これらの耐候剤の含有量は限定されないが、紫外線吸収剤・光安定剤ともに、透明性樹脂層中1000〜10000重量ppm程度とすればよい。
透明性樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には10〜150μm程度である。
透明性樹脂層の表面であって、後記する表面保護層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
また、必要に応じて、表面にプライマー層(表面保護層の形成を容易とするためのプライマー層)を設けてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤、アクリル−ウレタン系樹脂からなるプライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
(表面保護層)
絵柄模様層(透明性樹脂層)の上には、表面保護層が形成されている。表面保護層は限定的ではないが、絵柄を視認できる程度に透明であることが好ましく、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましく、特に電離放射線硬化型樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シートの耐摩性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエ
チル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常190〜380nmが好ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。その中でも、特に100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射できるものが好ましい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
表面保護層は、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤等を含んでもよい。耐候剤を含有する場合の種類、含有量については、透明性樹脂層における説明と同様である。
表面保護層は、例えば、透明性ポリプロピレン系樹脂層の上に電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成できる。電離放射線硬化型樹脂の場合には、電子線照射により樹脂硬化する。
表面保護層の厚さは特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm程度である。
表面保護層のおもて面(大気に露出している面)には、凹凸が形成されていてもよい。通常はエンボス加工により凹凸模様を形成する。エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、透明性アクリル系樹脂層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形
後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられる。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
床用化粧材
本発明の床材用化粧シートは、各種被着材と接合することにより、床用化粧材とできる。被着材の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。
具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(ガラス繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス材料などが挙げられる。
金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料(金属鋼板)が挙げられる。
木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。
プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
このような被着体の形状は特に限定されず、通常はフローリング等への設置を考慮して平板とすればよい。
被着材と接合後は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナーを用いてサネ加工、V字形状の条溝付与、四辺の面取り等を施してもよい。
本発明の床材用化粧シートは、バッカー層を有していないが耐衝撃性に優れており、ロール化することも可能である。また、バッカー層の製造工程が存在しないため、生産コスト及びロスを減少させることができる。
JIS K6734の規定に従って試料の引張り弾性率を測定する場合の、試料の形状を示す模式図(上面図)である。図中、R60は湾曲の程度を指す。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜9及び比較例1〜3
(床材用化粧シートの作製)
(1)下記表1に従って、基材シートを作製した。
(2)アクリル−ウレタン系樹脂溶液をグラビア印刷にて基材シートに印刷用プライマー層
を形成した。
(3)印刷用プライマー層の上に、アクリル−ウレタン系樹脂溶液を印刷インキとしたグラ
ビア印刷法により、4μmの木目絵柄模様層を形成した。
(4)基材シートの絵柄模様層と反対側の面にウレタン−セルロース系樹脂の溶液をグラ
ビア印刷法により固形分量が2g/m2となるように塗工してプライマー形成した。
(5)絵柄模様層の上に、ウレタン樹脂系接着剤を固形分量が8g/m2となるように塗工し、透明性接着剤層を形成した。
(6)ポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み80μmのポ
リプロピレンからなる透明性樹脂層を形成した。
(7)透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、コロナ放電処理面にアクリル−ウ
レタン系樹脂溶液をグラビア印刷法により固形分量が1g/m2となるように塗工して表
面保護層形成用プライマー層を形成した。
(8)表面保護層形成用プライマー層の上に、ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂を
ロールコート法により固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線
硬化型樹脂層を形成した。その後、酸素濃度200ppmの環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて15μm厚の電子線硬化型樹脂層(表面保護層)を形成した。
(9)表面保護層1の上から、エンボス加工により深さ50μmの木目導管状の凹凸模様を
形成した。
(床用化粧材の作製)
床材用化粧シートの基材シート側に12mmラワン合板を貼着して床用化粧材を作製した。貼着にはウレタン変性エチレン・酢酸ビニル系エマルション接着剤(100g/mwet)を利用した。
得られた床材用化粧シート及び床用化粧材について、以下の評価を行い、得られた結果を表1に示した。
(デュポン衝撃試験)
作製した床用化粧材の耐衝撃性をデュポン衝撃試験機(JIS K5600−5−3に準拠)を用いて評価した。具体的には、30cmの高さから規定重量の錘を化粧材表面に落下させて凹み量を測定することにより評価した。合板(約11.8mm)上に突き板(約0.25mm)を有し、その上にUV塗装(0.01mm)がされているカラーフロアの凹み量が500〜600μmであ
ることを判定基準とした。凹み量が500μm以下を○、500μmより大きく且つ600μm未満を△、600μm以上を×とした。
(ロール化試験)
作製した床材用化粧シートの巻き取りが可能かを調べた。ロール化した場合に巻ズレが生じない場合を巻き取可能として○、巻ズレが生じた場合をロール化不可として×とした。
(鉛筆硬度試験)
作製した床用化粧材の耐傷性能評価を、鉛筆硬度試験機を用いて行った。試験機が水平位置のときに鉛筆の先に対して1000gの荷重を与えるように試験機を設定した以外は、JIS K5600−5−4に準拠して試験を行った。一般的なカラーフロアの凹み発生荷重が4Bであることを判定基準とした。凹みが発生した硬度が4Bより小さい場合を○
、4Bである場合を△、4Bより大きい場合を×とした。
Figure 0005316528
(考 察)
表1からは、基材シートの厚さが100〜500μmであり、且つ引張り弾性率が1000MPa以上である場合に、バッカー層を用いない床材用化粧シートが、耐衝撃性及びロール化において所望の特性が得られることが分かる。また、引張り弾性率が1400MPa以上であれば、更
に耐傷性を向上できることが分かる。

Claims (3)

  1. 少なくとも厚みが100〜150μmの硬質フィルム上に、絵柄模様層、及び表面保護層を順に有する床材用化粧シートであって、硬質フィルムのJIS K6734の規定に従って測定した引張り弾性率が1600〜2000MPaであり、且つ硬質フィルムが樹脂成分としてポリエステル系樹脂を含有し、
    前記絵柄模様層と前記表面保護層の間に、透明性接着剤層及び透明性樹脂層を順に有し、
    前記透明性樹脂層が樹脂成分として、ポリプロピレン又はホモポリプロピレンを含有する床材用化粧シート。
  2. 前記表面保護層は、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有する、請求項1に記載の床材用化粧シート。
  3. 請求項1又は2に記載の床材用化粧シートと被着材とを積層してなる床用化粧材。
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