JP5742155B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シートに関する。
最表面に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を有する化粧シートは、耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐傷性等の物性が優れているため、例えば、床材用シートとして好適に用いられている。ここで、電離放射線硬化型樹脂とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを適宜配合してなるものである。このような化粧シートは、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2008−267126号公報
しかしながら、特許文献1に記載の化粧シートは、未だ耐傷性が不十分であるため、耐傷性に優れた化粧シートの開発が望まれている。
例えば、電離放射線硬化型樹脂を含む表面保護層の厚さを、従来の化粧シートよりも大きくすることによって、耐傷性を向上させる方法がある。しかしながら、表面保護層の厚みを大きくする(厚膜化する)と、耐衝撃性が低下し、塗膜割れが発生しやすくなるという問題がある。また、当該厚膜化によれば、表面保護層を形成するための樹脂組成物に含まれる溶剤が乾燥しにくくなり、その結果、当該溶剤が表面保護層中に残留しやすくなる。さらに、化粧シートに意匠性を付与する目的で、表面保護層に艶消し材を含有させる場合、上記艶消し材が表面保護層中の表面に存在することが難しくなり、結果として艶消し効果が得られず、意匠性が低下するという問題がある。
従って、本発明の目的は、耐傷性及び耐衝撃性に優れた化粧シートを提供することである。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を有し、かつ最表面の表面保護層に特定の樹脂を含有させる場合には、化粧シートが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シート及びその製造方法、並びに化粧板及びその製造方法に関する。
1. 基材シート上に、少なくとも第1表面保護層、プライマー層及び最表面となる第2表面保護層を順に有する化粧シートであって、
(1)前記第1表面保護層及び第2表面保護層は、いずれも樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有し、
(2)前記第1表面保護層の厚さと前記第2表面保護層の厚さの合計が20μm以上であり、
(3)前記第2表面保護層は、平均粒径が13〜30μmのシリカを含有する、
ことを特徴とする、化粧シート。
2. 前記プライマー層は、アクリル系樹脂及びアクリル−ウレタン系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する、上記項1に記載の化粧シート。
3. 前記第2表面保護層の厚さが、1〜20μmである、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4. 前記プライマー層の厚さが1〜10μmである、上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5. 被着材上に上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シートが接合されてなる、化粧材。
6. 基材シート上に、少なくとも第1表面保護層、プライマー層及び最表面となる第2表面保護層を順に有する化粧シートの製造方法であって、以下の(1)〜(3):
(1)前記第1表面保護層及び第2表面保護層は、いずれも樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有し、
(2)前記第1表面保護層の厚さと前記第2表面保護層の厚さの合計が20μm以上であり、
(3)前記第2表面保護層は、平均粒径が13〜30μmのシリカを含有する、
化粧シートであり、以下の(i)〜(v)の工程:
(i) 基材シートを含む積層体上に、前記電離放射線硬化型樹脂を含む前記第1表面保護層を形成するための組成物1を塗布する工程1、
(ii) 塗布された前記組成物1に対して電離放射線を照射することにより、前記第1表面保護層を形成する工程2、
(iii) 前記第1表面保護層上に前記プライマー層を形成するための組成物を塗布することにより、前記プライマー層を形成する工程3、
(iv) 前記プライマー層上に、前記電離放射線硬化型樹脂及び前記シリカを含む前記第2表面保護層を形成するための組成物2を塗布する工程4、及び
(v) 塗布された前記組成物2に対して電離放射線を照射することにより、前記第2表面保護層を形成する工程5、
を順に含む、化粧シートの製造方法。
7. 被着材と上記項6に記載の方法で得られる化粧シートとを接合する、化粧材の製造方法。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。
化粧シート
本発明の化粧シートは、少なくとも第1表面保護層、プライマー層及び第2表面保護層を順に有する化粧シートであって、
(1)前記第1表面保護層及び第2表面保護層は、いずれも樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有し、
(2)前記第1表面保護層の厚さ(以下、hともいう)と前記第2表面保護層の厚さ(以下、hともいう)の合計が20μm以上である、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、特定の層構成からなり、かつ第1表面保護層及び第2表面保護層がそれぞれ特定の条件を満たすため、耐傷性及び耐衝撃性に優れ、さらには、表面保護層の密着性(第1表面保護層と第2表面保護層との層間密着性)に優れる。
本発明の化粧シートの構成は限定的でなく、基材シート上に少なくとも第1表面保護層、プライマー層及び第2表面保護層が積層された化粧シートであればよい。例えば、基材シート上に絵柄模様層、着色隠蔽層、接着剤層、熱可塑性樹脂層、第1表面保護層、プライマー層及び第2表面保護層が順に積層された化粧シート等が挙げられる。以下、上記化粧シートの構成を代表例として、構成する各層について説明する。
(基材シート)
基材シートとしては、特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。前記基材シートは、これら樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合、上記のような熱可塑性樹脂等に対して着色剤(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色剤としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料を使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色剤の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20〜300μmが好ましい。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、基材シート表面の表面張力が30dyne以上、好ましくは40dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
本発明の化粧シートは、必要に応じて、基材シートの裏面側に、プライマー層(裏面プライマー層)を設けても良い。また、図示はしないが、本発明の化粧シートは基材シートの裏面プライマー層側に後述する接着剤層の接着剤を介してポリエステル系バッカー材をドライラミネート方式で積層してもよい。裏面プライマー層を設けない場合には、基材シートの裏面側に硬質ポリオレフィン系バッカー材を溶融押出しラミネート方式等で積層し、バッカー材の裏面側に裏面プライマー層を設けてもよい。
基材シートの裏面側に裏面プライマー層を設ける場合、その材質(添加剤も含む)、塗工方法等は、後述するプライマー層(第2プライマー層)と同様である。裏面プライマー層の厚みは限定的ではないが、通常1〜3μm程度が好ましい。
(絵柄模様層)
基材シートの上には、必要に応じて、絵柄模様層を形成することができる。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点から、水性組成物を使用することもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等をさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度がよい。
(着色隠蔽層)
基材シートと絵柄模様層との間には、必要に応じて、更に着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、化粧シートのおもて面から被着材の地色を隠蔽したい場合に設けられる。本発明では基材シートは着色されているが、隠蔽性を安定させるために着色隠蔽層を更に形成しても良い。
着色隠蔽層を形成するインクとしては、隠蔽着色が可能な公知のインクが使用できる。
着色隠蔽層の形成方法は、基材シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
着色隠蔽層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は0.2〜10μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜5μm程度がよい。
(接着剤層)
後述する熱可塑性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、必要に応じて、接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、意匠性を損なわせないものであれば、特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては、特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シート分野における公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層の形成には、公知の印刷法を採用することができる。例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度がよい。
(熱可塑性樹脂層)
接着剤層の上には、必要に応じて、熱可塑性樹脂層を形成することができる。
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱可塑性樹脂層の形成方法は限定的でなく、例えば予め形成されたシート又はフィルムを隣接する層にラミネートする方法、熱可塑性樹脂層を形成し得る樹脂組成物を溶融押出し、隣接する層と一緒にラミネートする方法等がある。ラミネート方法としては、例えばドライラミネート方式によるラミネート方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂層の厚みは、通常は20〜200μm程度であるが、化粧シートの用途等に応じて上記範囲を超えても良い。
(第1表面保護層)
本発明の化粧シートは、前記熱可塑性樹脂層のおもて面に第1表面保護層が形成されている。
第1表面保護層は、樹脂成分として少なくとも電離放射線硬化型樹脂を含有する。そのため、化粧シートとしての耐傷性、耐衝撃性等を高めることができる。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。例えば、ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーがウレタン(メタ)アクリレートである場合、ポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリカプロラクトンジオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)を反応させて得られる末端イソシアネート基を有する化合物に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、または2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)等のアクリレート基を反応させることで、両末端にアクリロイル基を有する2官能の(メタ)アクリレート化合物として得られるものである。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
第1表面保護層には、樹脂成分として、電離放射線硬化型樹脂の他、各種樹脂を併用することができる。上記併用できる樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
第1表面保護層の硬化方法は特に限定されないが、例えば前記電離放射線を照射することが挙げられる。
電離放射線の照射によれば、少なくとも第1表面保護層に含まれる電離放射線硬化型樹脂を架橋硬化させることができる。電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常190〜380nmが好ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。その中でも、特に100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射できるものが好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましく、3〜7Mradがより好ましい。
第1表面保護層は、表面の艶消し効果(マット化)を更に高めることを目的として、艶消し材を使用してもよい。艶消し材としては、後述する第2表面保護層の項に記載する艶消し材と同様のものを使用することができる。艶消し材の含有量についても、第2表面保護層の項に記載する含有量と同様とすることができる。
第1表面保護層は、さらに紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、溶剤、染料、顔料等の着色剤、耐摩材、艶調整剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。前記紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤及び耐摩材については、後述する第2表面保護層の項に記載されたものと同様のものを使用することができる。
電離放射線硬化型樹脂を含む第1表面保護層の形成方法については、公知の方法に従えば良い。例えば、電離放射線硬化型樹脂を含む組成物(塗料)を調製し、これをグラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布すれば良い。この場合の前記組成物の塗布量としては、特に限定されず、表面保護層の厚みが上記範囲になるよう適宜設定すればよい。
第1表面保護層の厚さ(h)は、第1表面保護層の厚さ及び第2表面保護層の厚さの合計(即ち、h+h)が後述する値の範囲内である限り特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、通常1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度がよい。
(プライマー層)
第1表面保護層のおもて面に直接第2表面保護層を形成する場合、各層の電離放射線硬化型樹脂が硬化する時に発生する応力差によって、隣接する層との間に歪み(内部応力)が生じ、表面保護層間で十分な密着性を得ることができない。そこで、第1表面保護層と第2表面保護層との間にプライマー層(以下、第2プライマー層ともいう。)を形成することにより、上記問題が解消される。即ち、プライマー層を形成することにより、上記第1表面保護層と第2表面保護層との間に優れた密着性を付与することができる。また、プライマー層は、電離放射線によって硬化しないため、第1表面保護層及び第2表面保護層に比べ柔軟性があり、表面保護層間の歪みを緩和する効果がある。そのため、密着性だけでなく、優れた耐衝撃性も付与する。
プライマー層を形成するための材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル−ウレタン共重合体(アクリル−ウレタン系樹脂)、2液硬化型ウレタン樹脂等の樹脂類のほか、アルキルチタネート、エチレンイミン等の化合物も使用することができる。なかでも、アクリル系樹脂及びアクリル−ウレタン系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。これらのプライマー層を形成するための材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前記プライマー層は、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
プライマー層には、艶消し剤としてシリカを含有させてもよい。プライマー層中におけるシリカの含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ましい。
プライマー層は、さらに、必要に応じて、プライマー剤に公知の添加剤を含有させてもよい。例えば、プライマー剤にヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を含有させることにより、前記第1表面保護層と後述する第2表面保護層との密着性をより向上させることができる。
プライマー層の形成には、公知の方法を利用できる。例えば、上記の電離放射線硬化型樹脂を含む第1表面保護層の形成方法と同様の方法を採用できる。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、1〜10μm、より好ましくは2〜4μmであればよい。プライマー層の厚みが大きすぎると、耐衝撃性が低下してしまう。
また、プライマー層には、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の耐候剤を加えてもよい。
(第2表面保護層)
本発明の化粧シートは、前記プライマー層のおもて面に第2表面保護層が形成されている。
第2表面保護層(及び第1表面保護層)は、樹脂成分として少なくとも電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記第1表面保護層の厚さと第2表面保護層の厚さの合計(即ち、h+h)は、20μm以上であることで、本発明の化粧シートは耐傷性及び耐衝撃性に優れる。さらに、第2表面保護層が艶消し材を含有する場合には、当該艶消し材は化粧シートの表層に存在しやすくなるため、結果として意匠性を効果的に付与することができる。
第1表面保護層の厚さ及び第2表面保護層の厚さの合計(h+h)は、少なくとも20μm以上であり、より好ましくは30μm以上である。上記h+hの上限は、60μm程度がよい。
第2表面保護層の厚さ(h)は、h+hが上記範囲内である限り特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、通常1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度がよい。
第2表面保護層は、第1表面保護層と同様、樹脂成分として少なくとも電離放射線硬化型樹脂を含有する。前記電離放射線硬化型樹脂としては、第1表面保護層の項で記載する電離放射線硬化型樹脂と同様の樹脂を使用することができる。
第2表面保護層には、電離放射線硬化型樹脂の他、各種樹脂を併用することができる。上記併用できる樹脂としては、第1表面保護層の項で記載する樹脂と同様の樹脂(例えば熱硬化性樹脂)を使用することができる。
艶消し材としては、シリカ、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、カオリン、マイカ、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、α−アルミナ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド等の無機系艶消し材;ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系、アクリル系等の微粒子ポリマー等の有機系艶消し材;等が挙げられる。なかでも、艶消し材の重量当たりの艶消し効果が高いという観点から、シリカが好ましい。なお、上記艶消し材は、1種又は2種以上使用することができる。
艶消し材の平均粒径は、特に限定されず、第2表面保護層の厚さに応じて適宜設定できるが、通常は1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度がよい。ここで、前記平均粒径は、累積頻度50%に相当する粒径(D50)を意味する。なお、平均粒径は、レーザー回折法、コールターカウンター法、沈降法等の公知の方法により測定することができる。
第2表面保護層に前記艶消し材を含有する場合、その含有量は適宜設定できるが、前記第2表面保護層を形成する樹脂成分100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、1〜25重量部であることがより好ましい。
第2表面保護層には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、溶剤、染料、顔料等の着色剤、艶調整剤、耐摩材、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系などが挙げられる。また、紫外線を照射して樹脂層を硬化させる場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン等、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を用いることができる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。より具体的には、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等が挙げられる。
抗菌剤としては、無機系抗菌剤及び有機系抗菌剤がある。特に、無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、及び耐熱性にも優れているため望ましい。無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。抗菌剤の添加量は樹脂成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
耐摩材としては、シリカ、ウォラスナイト、アルミナ等の無機系耐摩材のほか、アクリル等の樹脂系耐摩材が挙げられる。耐摩材を含有する場合、その含有量は樹脂成分100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
第2表面保護層の形成方法及び硬化方法については、前記第1表面保護層の項で記載された方法と同様の方法とすることができる。
本発明の化粧シートは、必要に応じて、熱可塑性樹脂層と第1表面保護層との間にプライマー層(以下、第1プライマー層ともいう。)を設けてもよい。前記プライマー層を設けることにより、前記第1表面保護層の形成を容易にすることができる。前記プライマー層は、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
第1プライマー層を形成するための材料、艶消し剤、耐候剤等の各種添加剤については、前記第2プライマー層で記載した材料、添加剤等と同様のものを使用することができる。
第1プライマー層の形成方法については、前記第2プライマー層(または第1表面保護層)の項で記載された方法と同様である。
第1プライマー層の厚みは特に限定されず、1〜10μm程度がよい。
化粧シートの製造方法
本発明の化粧シートは、前記第2表面保護層が最表面となるように、第1表面保護層、プライマー層(第2プライマー層)及び第2表面保護層を形成することにより得られる。例えば、基材シート上に、絵柄模様層(及び着色隠蔽層)、接着剤層、熱可塑性樹脂層、第1プライマー層、第1表面保護層及び第2プライマー層を積層した後、最表面に第2表面保護層を形成することにより得られる。
第1表面保護層の硬化については、第1表面保護層、第2プライマー層及び第2表面保護層を全て積層した後に行うことができるが、第1表面保護層を積層した後に硬化させ、その後、当該硬化した第1表面保護層の上に第2プライマー層及び第2表面保護層を積層することが好ましい。かかる方法により、当該第1表面保護層の上に第2プライマー層を効率よく積層することができる。
また、化粧シートのエンボス加工を施す場合は、第2表面保護層を形成した後でもよいし、第2表面保護層を形成する前でもよい。例えば、具体的な態様として、1)基材シート上に絵柄模様層、熱可塑性樹脂層、第1プライマー層、第1表面保護層、第2プライマー層及び第2表面保護層を形成し、最後にエンボス加工を施してもよい。また、別の態様として、2)基材シート上に絵柄模様層、熱可塑性樹脂層、第1プライマー層、第1表面保護層、第2プライマー層を順に形成した後、エンボス加工を施し、最後に第2表面保護層を形成してもよい。また、さらに別の具体的態様として、3)基材シート上に絵柄模様層、熱可塑性樹脂層、第1プライマー層及び第1表面保護層を順に形成し、次いでエンボス加工を施した後、第2プライマー層を設け、最後に第2表面保護層を形成してもよい。
エンボス加工は、公知のエンボス版を使用し、例えば、シート温度120℃〜160℃、10〜40kg/cm2の圧力にて化粧シートの絵柄印刷面側に凹凸パターンを転写す
ればよい。
またワイピング加工を施す場合は、特公昭58−14312号公報などに記載されているように、凹凸模様上に着色インキを塗布した後、ワイピング処理し、凹凸模様の凹部内に着色インキを充填することにより行う。
化粧材
本発明の化粧シートの第2表面保護層が最表面となるように、前記化粧シートを各種被着材と接合することにより、化粧材とすることができる。被着材の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。
具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(ガラス繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス材料などが挙げられる。
金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料(金属鋼板)が挙げられる。
木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。
プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
本発明の化粧シートと前記各種被着材との接合について、特に限定されないが、例えば、接着剤を介して接合することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようにして製造された化粧材は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。
本発明の化粧シートは、特定の層構成からなり、かつ第1表面保護層及び第2表面保護層がそれぞれ特定の条件を満たすため、耐傷性及び耐衝撃性に優れ、さらに表面保護層の密着性に優れる。
本発明の化粧シートの層構成を例示する模式図である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの裏面にプライマー層を設けた。次いで、基材シートのおもて面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄印刷模様層上に接着剤層を形成した。当該接着剤層の上にポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層して、熱可塑性樹脂層を形成した。
上記熱可塑性樹脂層上に2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することにより第1プライマー層(層の厚み:2μm)を形成した後、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)からなる樹脂組成物を塗工・乾燥して未硬化の塗膜を形成した。その後、酸素濃度200ppm以下の環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて第1表面保護層(層の厚み:15μm)を形成した。
第1表面保護層のおもて面に対してコロナ放電処理を施した後、2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂を塗工することにより第2プライマー層(層の厚み:2μm)を形成した。さらに、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)100重量部、及びシリカ(平均粒径13μm)14重量部からなる樹脂組成物を塗工・乾燥して未硬化の塗膜を形成した後、第1表面保護層を形成する際に照射した電子線と同様の条件で、第2表面保護層に電子線を照射した。
実施例2
第2プライマー層の厚さを4μmとする以外は、実施例1と同様の方法により化粧シートを作成した。
実施例3
第2プライマー層の厚さを7μmとする以外は、実施例1と同様の方法により化粧シートを作成した。
実施例4
2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂に代えて、アクリルポリオール樹脂を塗工することにより第2プライマー層(層の厚み:2μm)を形成する以外は、実施例1と同様の方法により化粧シートを作成した。
実施例5
第2プライマー層の厚さを4μmとする以外は、実施例4と同様の方法により化粧シートを作成した。
実施例6
第2プライマー層の厚さを7μmとする以外は、実施例4と同様の方法により化粧シートを作成した。
実施例7
シリカの含有量を、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)100重量部に対して8重量部とする以外は、実施例1と同様の方法により化粧シートを作成した。
比較例1
第2プライマー層を形成しない以外は、実施例1と同様の方法により化粧シートを作成した。
比較例2
第2表面保護層及び第2プライマー層を形成せず、さらに第1表面保護層を形成する樹脂組成物として、ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化型樹脂)100重量部及びシリカ14重量部からなる樹脂組成物を使用する以外は、実施例1と同様の方法により化粧シートを作成した。
参考例1
第1表面保護層の厚さを15μmとする以外は、比較例2と同様の方法により化粧シートを形成した。
<評価試験例1(意匠性試験)>
実施例1〜7、比較例1〜2及び参考例1で得られた化粧シートの表面艶値を、60度光沢計(「GMX−202」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
<評価試験例2(耐傷性:鉛筆硬度試験)>
実施例1〜7、比較例1〜2及び参考例1で得られた化粧シートに対して、引き掻き硬度試験機(「PSH540−40IT」、株式会社東洋精機製作所製)を用い、JIS K5600−5−4に準拠して試験を実施した。硬度H以上と評価できるものを◎、硬度HB以上と評価できるものを○、硬度2Bに満たないものを×と評価した。
<評価試験例3(耐傷性:ホフマンスクラッチ試験)>
実施例1〜7、比較例1〜2及び参考例1で得られた化粧シートの耐傷性を、ホフマンスクラッチ試験機(BYK-Gardnar製)を用いて確認した。
具体的には、化粧シートの表面保護層に対して、45度の角度で接するようにスクラッチ刃(直径7mmの円柱のエッジ部)をセットし、該スクラッチ刃を引っ張るように移動させて表面を擦った。その際、300〜700gの範囲で100gずつスクラッチ刃にかける荷重を変化させて、前記表面保護層に傷が発生するか否かを確認した。
1000g荷重において傷が見られないものを◎、500g荷重において傷が見られないものを○、500g荷重において傷が明らかに目立つものを×と評価した。
<評価試験例4(耐衝撃試験)>
実施例1〜7、比較例1〜2及び参考例1に対して、JIS K 5600−5−3の規定に従って、デュポン式耐衝撃試験を実施した。具体的には床用化粧材表面に静置したr=6.3mmの半球状圧子(化粧材には半球面が接触)に対して500gの錘を圧子鉛直上方300mmの高さから落下させて、前記表面保護層に割れが発生するか否かを確認した。化粧シートの割れが目視で観察できなかったものを○、やや割れが認められたものを△、明らかな割れが認められたものを×と評価した。
<評価試験例5(密着性試験)>
実施例1〜7、比較例1〜2及び参考例1で得られた化粧シートの第2表面保護層側に対し、セロハンテープ(セロテープ(登録商標)、工業用18mm巾、ニチバン(株)製)を貼り合わせた後、45度の角度で勢いよく剥がし、化粧シート及びセロハンテープを目視した。化粧シートに関して、塗膜の剥離が見られないものを○、軽微な剥離が見られるものを△、顕著な剥離が見られるものを×と評価した。
なお、前記密着性試験は、以下の(1)〜(2)の化粧シート:
(1) 作製直後の化粧シート、
(2) 前記(1)の化粧シートに対して超促進耐候試験機(「アイスーパーUVテスター」、岩崎電気株式会社製)(以下、S−UVと記す)を用いて、温度63℃湿度50%RHの状況下において、照度が60mW/cm(365nm)である光を20時間照射し、次いで4時間結露の状態にするというサイクルを200時間繰り返した後の化粧シート、
に対して行った。
上記各試験結果を以下の表1に示す。なお、表1において、A/Uは2液硬化型アクリル−ウレタン共重合体(樹脂)を指し、APはアクリルポリオール樹脂を指し、Uは2液硬化型ウレタン樹脂を指す。
Figure 0005742155

Claims (7)

  1. 基材シート上に、少なくとも第1表面保護層、プライマー層及び最表面となる第2表面保護層を順に有する化粧シートであって、
    (1)前記第1表面保護層及び第2表面保護層は、いずれも樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有し、
    (2)前記第1表面保護層の厚さと前記第2表面保護層の厚さの合計が20μm以上であり、
    (3)前記第2表面保護層は、平均粒径が13〜30μmのシリカを含有する、
    ことを特徴とする、化粧シート。
  2. 前記プライマー層は、アクリル系樹脂及びアクリル−ウレタン系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記第2表面保護層の厚さが、1〜20μmである、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記プライマー層の厚さが1〜10μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 被着材上に請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートが接合されてなる、化粧材。
  6. 基材シート上に、少なくとも第1表面保護層、プライマー層及び最表面となる第2表面保護層を順に有する化粧シートの製造方法であって、
    (1)前記第1表面保護層及び第2表面保護層は、いずれも樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を含有し、
    (2)前記第1表面保護層の厚さと前記第2表面保護層の厚さの合計が20μm以上であり、
    (3)前記第2表面保護層は、平均粒径が13〜30μmのシリカを含有する、
    化粧シートの製造方法であり、以下の(i)〜(v)の工程:
    (i) 前記基材シートを含む積層体上に、前記電離放射線硬化型樹脂を含む前記第1表面保護層を形成するための組成物1を塗布する工程1、
    (ii) 塗布された前記組成物1に対して電離放射線を照射することにより、前記第1表面保護層を形成する工程2、
    (iii) 前記第1表面保護層上に前記プライマー層を形成するための組成物を塗布することにより、前記プライマー層を形成する工程3、
    (iv) 前記プライマー層上に、前記電離放射線硬化型樹脂及び前記シリカを含む前記第2表面保護層を形成するための組成物2を塗布する工程4、及び
    (v) 塗布された前記組成物2に対して電離放射線を照射することにより、前記第2表面保護層を形成する工程5、
    を順に含む、化粧シートの製造方法。
  7. 被着材と請求項6に記載の方法で得られる化粧シートとを接合する、化粧材の製造方法。
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