JP5315906B2 - 電子線装置及びその補正方法、並びに補正用基板 - Google Patents

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本発明は、試料に電子線を照射する電子線装置及びその補正方法、並びに補正用基板であって、特に、試料の高分解能像観察を行う電子顕微鏡装置に適用して好適である。
電子顕微鏡装置では、電子線を収束及び拡大するために電磁レンズを用いている。光学レンズの場合、凸レンズと凹レンズとを組み合わせることによって、光学レンズの球面収差の影響をキャンセルすることができる。これに対して電磁レンズでは、現在のところ凸レンズしか存在しない。そのため、球面収差の影響を排除することができず、電子線像の像質が不明瞭になることが問題とされてきた。
特に高分解能像観察では、通常の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)や、走査透過型電子顕微鏡法(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)による観察法では、対物レンズの球面収差等の各種収差の影響により、レンズ性能を十分に発揮することができない。そのため、得られた高分解能像について、正確な解釈を行うことが困難であった。
近年、いわゆる多重極子を用いた収差補正装置が開発されている。この収差補正装置を電子顕微鏡装置に装着することで、電磁レンズの球面収差等の各種収差を補正することができ、電子顕微鏡装置の性能を最大限に引き出すことが可能となってきている。球面収差補正は、各種レンズ収差パラメータを測定し、この測定値を電子顕微鏡装置にフィードバックすることにより、レンズ収差パラメータの標準値に設定することで行われる。即ち、より高精度に電磁レンズの収差補正を行う場合には、レンズ収差パラメータを正確に測定することを要する。
特開2006−173027号公報 M.Haider et al., Ultramicroscopy 81(2000) 163-175
通常のTEM観察法に用いられる収差補正装置は、対物レンズの下部に装着される。この収差補正装置を用いることにより、対物レンズを通過した電子の軌道を補正し、後焦点面に球面収差の影響のない像を結像することができる。このような収差補正装置は結像系球面収差補正装置と称されている。結像系球面収差補正装置では、高倍率でアモルファス試料を観察することによって得られる像を、パワースペクトラムに変換し、変換像の歪や形状から各種レンズ収差パラメータを測定する。
一方、STEM観察法に用いられる収差補正装置は、対物レンズの上部に装着される。この収差補正装置を用いることにより、試料に入射する電子線の球面収差の影響を排除することができる。このような収差補正装置は照射系球面収差補正装置と称されている。照射系球面収差補正では、結像系球面収差補正装置で通常行っているアモルファス試料の観察では十分に精度良くレンズ収差パラメータ測定を行うことができない。結晶試料の測定方法として、いわゆるロンチグラム(Ronchigram)のフィッティング法を用いることが考えられる。しかしながらこの手法は、精度の高い測定方法である反面、容易に実行できる手法ではないという問題がある。
そこで、結晶試料のより簡易な測定方法として、アモルファス支持膜上にAu粒子を堆積したものを標準試料とし、このAu粒子を低倍率(例えば10万倍程度)で観察する手法が知られている。この手法では、得られた観察像のパワースペクトラム像からレンズ収差パラメータを求めて、球面収差の補正を行う。
標準試料に傾斜が生じると、投影され観察されたAu粒子の形状が、フォーカス位置及び電子線入射方向に対して大きく変化するため、正確なパラメータを測定することができない。球面収差補正を行う場合には、このような微細な変化も誤差要因となる。しかしながら現在のところ、安定した正確なレンズ収差パラメータが測定できないため、収差補正を再現性良く行うことは困難であり、STEMを用いた高精度な観察及び分析を行うことができない状況にある。
このように、再現性良くレンズ収差パラメータを測定できない原因の一つとして、標準試料のAu粒子の像を円形近似してレンズ収差パラメータの測定が行われていることが挙げられる。Au粒子は、蒸着法等により形成されるが、実際に堆積された粒子は円形とは限らず様々な形状をしており、これらの形状が考慮されていないために測定値の誤差要因となっている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、電子線装置において、基板上に粒子を堆積した標準試料を用いて収差補正を行う際に、当該標準資料の傾斜を高精度に測定し、且つ、より精度の高い収差補正を行うことを実現する電子線装置及びその補正方法、並びに補正用基板を提供することを目的とする。
電子線装置の一態様は、電子線を発生させる電子源と、前記電子源から放出された電子線を試料に対して調節する電磁レンズ部と、前記試料を透過した電子線を検出する電子線検出部と、前記電子線検出部による電子線の検出結果に基づいて、前記電磁レンズ部の収差量を算出する収差量算出部と、前記収差量算出部により算出された前記収差量に基づいて、前記電磁レンズ部の収差を補正する収差補正部と、前記試料として単結晶基板上に複数の粒子を堆積してなる標準試料を用い、前記標準試料の電子線回折像を基準として、前記標準試料の傾斜状態を調節自在とする傾斜調節部とを含む。
電子線装置の補正方法の一態様は、電子線を発生させる電子源と、前記電子源から放出された電子線を試料に対して調節する電磁レンズ部とを含む電子線装置の補正方法であって、前記試料として、単結晶基板上に複数の粒子を堆積してなる標準試料を用い、前記標準試料を透過した電子線回折像を検出するステップと、前記電子線回折像に基づいて、前記標準試料の傾斜状態を調節するステップと、調節された前記標準試料の電子線回折像により、前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップと、算出された前記収差量に基づいて、前記電磁レンズ部の収差を補正するステップとを含む。
補正用基板の一態様は、試料に電子線を照射する電子線装置において、前記試料として前記電子線装置の収差補正に用いられる補正用基板であって、Ge,GaAs,GaN,SrTiO 3 ,BaTiO 3 ,MgOから選ばれた1種の単結晶材料からなる基板と、前記基板上に堆積されてなる複数の粒子とを含む。
上記の各態様によれば、電子線装置において、基板上に粒子を堆積した標準試料を用いて収差補正を行う際に、高精度な観察及び分析を可能とし、より精度の高い収差補正を容易且つ正確に行うことが実現する。
―本実施形態の基本骨子―
本実施形態では、電子線装置において、単結晶材料からなる単結晶基板上に、複数の粒子が堆積してなる標準試料を補正用基板として用い、標準試料の単結晶基板の結晶方位を基準として、標準試料の傾斜状態が調節される。そして、標準試料の傾斜状態が調節されて、標準試料に対する電子線が合焦された状態で、電磁レンズ部の収差量を算出し、算出された収差量に基づいて、電子線装置の電磁レンズ部の収差を補正する。
本実施形態では、電子線装置として暗視野STEM装置を例示するが、明視野STEM装置やその他の電子線装置にも適用可能である。
図1は、本実施形態において補正用基板として用いる標準試料を示す概略断面図である。
この標準試料は、単結晶材料、例えばSiからなる基板101上に、例えばAuからなるパーティクル102が分散された状態で堆積されて構成される。
基板101は、Si基板を裏面から研磨して、例えば厚みが30nm以上100nm以下に薄膜化されてなるものである。厚みが30nmよりも薄いと実用的でなく、また100nmよりも厚いと、電子線が透過し難くなり、パーティクルの構造が不明瞭になってしまう。従って、基板101を30nm以上100nm以下の範囲内の厚みとすることが好適である。
基板101の単結晶材料としては、Siの代わりにGe,GaAs,GaN,SrTiO3,BaTiO3,MgOから選ばれた1種を用いても良い。
パーティクル102は、例えば真空蒸着法等により基板101上に堆積される。パーティクル102の粒径は2nm以上5nm以下、隣接するパーティクル102の間隔は10nm以上30nm以下とされる。粒径が2nmより小さいと、後述する標準試料の傾斜修正を確実に行うためのパワースペクトラム像の取得が困難となり、5nmよりも大きいと、単位視野面積当りのパーティクル数が少なくなるため、パワースペクトラム像が一点に収束し難くなる。従って、パーティクル102を2nm以上5nm以下の粒径に形成することが好適である。また、隣接するパーティクル102の間隔が10nmより小さいと、画像強度によりパーティクルを識別が困難であり、30nmよりも大きいと、単位視野面積当りのパーティクル数が少なくなるため、パワースペクトラム像が一点に収束し難くなる。従って、パーティクル102を10nm以上30nm以下の間隔に形成することが好適である。
パーティクル102の材料としては、Auの代わりにSi,Ge,GaAs,GaN,SrTiO3,BaTiO3,MgOから選ばれた1種を用いても良い。
本実施形態では、単結晶材料及びパーティクル材料の選択は、両者の原子番号の差も考慮する必要がある。
即ち、暗視野STEM装置において、パーティクル102をその周囲のマトリックスから明瞭なコントラストで観察しなければならないことから、単結晶材料の原子番号と、パーティクル材料の原子番号との差が10以上であることを要する。例えば上記のように、単結晶材料をSi、パーティクル材料をAuとする場合、原子番号はSi=14、Au=79であり、両者は標準試料の作製の簡便さの観点においても望ましい組み合わせである。
図2に、本実施形態の暗視野STEM装置における暗視野STEM像、パワースペクトラム及び収差補正後の収差データをそれぞれ示す。ここで、(a)が暗視野STEM像、(b)がパワースペクトラム像及び収差補正後に測定されたレンズ収差データを示す。また、以下の表1に、各収差における収差記号、収差の種類及び補正値の一般的な規定値(従来の規定値)を示す。
Figure 0005315906
暗視野STEM装置における収差補正は、基本的には表1に示されている3次の収差までが対象となる。それ以上の高次の収差補正は、一般的には3次までの補正値が規定値以内であれば、補正する必要がないために考慮されない。収差係数の計算方法については、例えば非特許文献1に開示されている。
図3に、本実施形態の暗視野STEM装置において、レンズ収差パラメータの測定における標準試料への電子線入射方向、各電子線入射方向に対するオーバー側及びアンダー側のフォーカスにおけるパワースペクトラム像をそれぞれ示す。ここで、(a),(b)がレンズ収差パラメータの測定における標準試料への電子線入射方向((a)が断面図、(b)が平面図)を示す。(c)がオーバー側のフォーカスにおけるパワースペクトラム像、(d)がアンダー側のフォーカスにおけるパワースペクトラム像をそれぞれ示す。
電子線入射方向は、できるだけ多く測定することで計算精度を向上することは可能であるが、3次の収差係数測定においては最大で18方位(図示の例では17方位)で十分である。図示のように、フォーカスのオーバー側とアンダー側で入射方位に依存せずにパターンが円形に一致するようにレンズ条件を調整することで、各種収差が補正される。
図4に、アモルファス材料を使用した標準試料を用いて暗視野STEMの収差補正を行う場合において、標準試料の傾斜によるフォーカスポイントのずれ、及び当該ずれによる粒子形状の変化を示す。ここで、(a)が傾斜していない(傾斜角度0°)の場合を、(b)が傾斜角度10°の場合をそれぞれ示す。ここで、「傾斜角度」とは、電子線入射方向に対する標準試料の表面の規定角度からのずれを言う。例えば、標準試料の表面に対する電子線入射方向の規定角度を90°に設定した場合には、電子線入射方向に対して標準試料の表面が垂直に保持されている場合には、傾斜角度は0°となる。
標準試料は、アモルファス支持膜からなる基板111上にAuからなるパーティクル112が堆積されてなる。
C1(フォーカス)では、表1に示したように、通常の補正の規定値は20nmとされている。STEM観察の場合、標準試料が若干傾斜しただけでも、標準試料の一端から他端までの間に数10nmのフォーカスずれが生じる。例えば、標準試料が10°傾斜することにより、粒子径が2%程度縮んだ像となる。そのため、パーティクル112を円形近似した場合、補正値にフォーカスずれの影響も加わることになり、計算精度が大きく低下する。
本実施形態では、パーティクルにフォーカスずれなく電子線を照射するため、標準試料の傾斜を容易且つ正確に調節すべく、例えば図1の標準試料を用いることを提案する。
図5−1に、本実施形態による標準試料の傾斜調節法を示す。ここで、(a)が傾斜していない(傾斜角度0°)の場合を、(b)が傾斜角度10°の場合をそれぞれ示しており、(a),(b)共に上図が標準試料を、下図が電子線回折像を示している。
また、図5−2に、理解の容易のため、図5−1の電子線回折像のイラスト図を示す。ここで、(a)が図5−1(a)の電子線回折像に、(b)が図5−1(b)の電子線回折像にそれぞれ対応している。
ここでは、標準試料の基板101の単結晶材料を(100)の結晶方位を有するSiとする。この標準試料では、傾斜していない(傾斜角度0°)の場合には、電子線回折像は(a)の下図のように中央部位を中心とした点対称となる。これに対して、標準試料に傾斜が生じた場合には、電子線回折像は(b)の下図のように、その傾斜状態に応じた非対称な菊池パターンが生じる。従って、菊池パターンの発生状態に応じて、これを補償して点対称の電子線回折像となるように菊池パターンをセンタリングして、基板101の表面(結晶面)への電子線入射方向を調節すれば良い。(b)の下図の例では、その菊池パターンの発生状態から、矢印の方向に向かって右端から左端へ下降するように、標準試料の表面が傾斜していることが判る。このように標準試料の傾斜を把握することにより、容易且つ正確に標準試料の傾斜を修正することができる。このように標準試料の傾斜を修正することにより、C1(フォーカス)及びA1(2回非点)について、それぞれ±5nmまで補正値の精度が向上する。
この標準試料の傾斜の調節は、操作者が電子線回折像及び菊池パターンを観察しながら手動で行うようにしても良いが、菊池パターンの発生状態に基づいて、標準試料の傾斜を自動的に制御して調節するように構成しても良い。具体的には、例えば、CCDカメラ等により菊地パターンを取得し、所定の画像解析部において画像解析して試料傾斜角度を計算し、計算された角度を所定の試料傾斜制御部にフィードバックすることによって、標準試料の傾斜を調節する。
以上、標準試料の傾斜を調節することにより、C1(フォーカス)及びA1(2回非点)の補正精度を向上させる技術について説明したが、本実施形態では、更に高次のレンズ収差パラメータの補正も行う。
本実施形態では、電磁レンズ部の収差量を算出する際に、標準試料のパーティクル102の形状を算出し、パーティクル102の円形近似との差異を解析する。
従来の収差量の計算法では、粒子像を平均的な真円形に近似(円形近似)しており、パワースペクトラム像も粒子を円形近似した状態で修正する。そのため、正確なレンズ収差パラメータを計算することができず、高精度な収差補正を行うことは不可能であった。実際に使用している標準試料のAu粒子を、完全な円形状に形成することができないことから、円形近似は非常に有効な手法であった。しかしながら、円形近似を用いたために標準試料のAu粒子を再現した精度の高い計算値が得られないことが問題となっている。
図6に、粒子形状を変えて分布させた粒子像と、粒子を変形させることによって得られるパワースペクトラム像とを示す。(a)では、全て粒子が真円形状であり、パワースペクトラムも真円となる。(b),(c)では、それぞれ縦横に楕円形状とした粒子によるパワースペクトラム像であり、粒子が長軸方向と反対の方向には長軸のパワースペクトラム像となる。このように、粒子形状が真円でないためにパワースペクトラム像が歪むため、レンズ収差が補正された状態でも、誤って収差が残存すると判断してしまう可能性が高くなる。また、実際の標準試料では、(d)に示すような様々な粒子形状であるために、パワースペクトラム像は真円形状とはならず、複雑な形状となる。
そこで、標準試料の粒子形状を把握し、把握した粒子形状からなるパワースペクトラム像を参照として収差補正を行うことが必要となる。本実施形態では、観察した粒子像の粒子形状解析を行うことにより、パワースペクトラム像を推定する方法を提案する。
図7に粒子像の粒子形状解析の概念図を示す。ここで(a)が画像強度によるパーティクル抽出像を、(b)が抽出したパーティクルの形状を認識した結果をそれぞれ示す。
粒子形状の解析方法としては、粒子とマトリックス部分との境界を検知することにより、粒子の各方向における粒径を測定する。粒子形状解析を行った画像に対して、各電子線入射方位から得られる粒子像及びパワースペクトラム像を推定し、参照像としてレンズ収差パラメータの計算を行う。計算されたレンズ収差パラメータの値を各補正機構にフィードバックして、収差補正を行う。これにより、A2(3回非点)及びB2(コマ収差)はそれぞれ±30nmまで補正値の精度が向上する。C3(球面収差)は±500nmまで減少させることが可能となった。また、A3(4回非点)及びS3(スター収差)は、それぞれ1μm以下まで補正することが可能となった。
以下の表2に、本実施形態による各レンズ収差パラメータ補正値を示す。表1に示す従来の規定値よりも大幅に補正精度が向上していることが判る。
Figure 0005315906
―本実施形態の具体的な態様―
以下、上記した本実施形態の基本骨子を踏まえ、本実施形態の具体的な態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(STEM装置の概略構成)
図8は、本実施形態によるSTEM装置の概略構成を示す模式図である。
このSTEM装置は、電子銃11と、収束レンズ12a,12bと、収束レンズ絞り13と、偏向コイル14と、走査コイル15と、収差補正部16と、対物レンズ17と、投影レンズ27と、蛍光板18と、CCD(またはTV)カメラ19と、STEM検出器20と、試料傾斜制御部21と、収差補正制御部22と、粒子解析計算部23と、レンズ収差パラメータ計算部24とを備えて構成されている。
収束レンズ12a,12b、対物レンズ17及び投影レンズ27は、それぞれ電磁レンズとして構成されている。
電子銃11は、電子線を発生させる電子源であり、所定の加速電圧で電子を加速し、電子線として出力する。
収束レンズ12a,12bは、電子銃11の下方で複数段(図示の例では2段)に配置されている。収束レンズ12a,12bは、電子銃11から放出された電子線により所望の大きさ且つ所望の電流の電子線プローブを形成する。
収束レンズ絞り13は、収束レンズ12a,12bの下方に配置されている。収束レンズ12a,12bにより形成された電子線プローブは不要な広がり部分を持つため、この収束レンズ絞り13により不要な広がり部分がカットされる。
偏向コイル14、走査コイル15及び対物レンズ17は、収束レンズ絞り13の下方に配置されている。走査コイル15は電子線を2次元方向に走査する。対物レンズ17は、試料10の表面又はその近傍で合焦するように電子線を屈折する。
対物レンズ17の下方に、試料10が配置される。試料10としては、観察対象である試料と、当該STEM装置の収差補正を行うための補正用基板である図1のような標準試料とが用いられる。
投影レンズ27は、試料10の下方に配置されている。投影レンズ25により、試料10を透過した電子線が蛍光板18上に照射される。CCDカメラ19は、蛍光板18を透過した電子線から試料10の画像を形成する。
STEM検出器20は、CCDカメラ19の下方に配置される。このSTEM検出器20は、試料10を透過した電子線を検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力する。本実施形態のSTEM装置は、暗視野STEM像を取得するものであり、STEM検出器20として例えば円環状の検出器が使用される。一方、明視野STEM像を取得する場合には、STEM検出器20として例えば円盤状の検出器が使用される。
試料傾斜制御部21は、図9に示すような試料傾斜調節機構25を有しており、CCDカメラ19及び(または)STEM検出器20による電子線の検出結果である電子線回折像及び菊池パターンに基づいて、試料傾斜調節機構25を制御して試料10として設置された標準試料の傾斜状態を調節する。なお、図9の試料傾斜調節機構25の代わりに、図10に示すような試料傾斜調節機構26を試料傾斜制御部21に設けるようにしても良い。
試料傾斜調節機構25は、α方向に回動自在とされたα回動部25aと、α方向と直交する面内におけるβ方向に回動自在とされたβ回動部25bとを備えて構成されている。
β回動部25bは、試料10が載置固定される試料載置部31と、試料載置部31をβ方向に回動させる回動アーム32とを有している。β回動部25bによる試料10の回動時には、図9(b),(c)の中央図の状態から、回動アーム32を駆動することにより図9(b),(c)の左図または右図のように試料10を−β方向または+β方向に適宜回動させる。
同様に、試料傾斜調節機構26は、α方向に回動自在とされたα回動部26aと、α方向と直交する面内におけるβ方向に回動自在とされたβ回動部26bとを備えて構成されている。
β回動部26bは、試料10が載置固定される試料載置部33と、試料載置部33をβ方向に回動させる回動アーム34とを有している。β回動部26bによる試料10の回動時には、図10(b),(c)の中央図の状態から、回動アーム34を駆動することにより図10(b),(c)の左図または右図のように試料10を−β方向または+β方向に適宜回動させる。
試料傾斜調節機構25または26により、α方向及びβ方向に各々独立に試料10を所定角度回動させることにより、試料10の傾斜状態を調節することができる。
本実施形態では、試料傾斜制御部21を設け、標準試料である試料10の傾斜を自動的に制御する場合を例示した。その一方で、試料傾斜制御部21を設けずに試料傾斜調節機構25または試料傾斜調節機構26等のみを設けて、操作者が電子線回折像及び菊池パターンを観察しながら手動で試料10の傾斜の調節を行うようにしても良い。
粒子解析計算部23は、標準試料である試料10のパーティクル102の形状を算出し、パーティクル102の円形近似との差異を解析する。例えば、各パーティクル102に対する円形近似との差異の平均値を算出し、当該平均値を粒子形状解析値とみなす。
レンズ収差パラメータ計算部24は、粒子解析計算部23による粒子形状解析の結果を踏まえて、STEM検出器20により得られた暗視野STEM像をフーリエ変換することによってパワースペクトラム像に変換し、このパワースペクトラム像に基づいて各種のレンズ収差パラメータを算出する。
収差補正制御部22は、レンズ収差パラメータ計算部24で計算された各種のレンズ収差パラメータに基づいて、パワースペクトラム像をフィッティングして収差量を算出し、収差補正部16による収差補正を制御する。
収差補正部16は、磁界型多重多極子、回転対称レンズ及び偏向コイルを有して構成されており、対物レンズ17の上方に配置される。収差補正部16は、収差補正制御部22による制御に従って、適宜に収差補正を行う。
(STEM装置における収差補正方法)
図11は、本実施形態によるSTEM装置の収差補正方法を示すフロー図である。
図8のSTEM装置において、先ず、電子線の光軸調整(電子線の入射条件の固定)を行う(ステップS1)。このときの実験条件がSTEM装置の解析データメモリ領域Mに入力される。解析データメモリ領域Mは、図8では図示を省略しているが、試料傾斜制御部21、収差補正制御部22、粒子解析計算部23及びレンズ収差パラメータ計算部24とそれぞれ接続されている。
続いて、STEM検出器20をSTEM装置に挿入し(ステップS2)、試料10を図1の標準試料として、試料傾斜制御部21の試料傾斜調節機構25の試料載置部31(または、試料傾斜調節機構26の試料載置部33)に配置する(ステップS3)。
続いて、試料傾斜制御部21は、CCDカメラ19及びSTEM検出器20によって得られた電子線回折像及び菊池パターンに基づいて、試料傾斜調節機構25(または26)を制御して、試料10として設置された標準試料である試料10の傾斜状態を調節する(ステップS4,S5)。具体的には、例えばCCDカメラ等により菊地パターンを取得し、所定の画像解析部において画像解析して試料傾斜角度を計算し、計算された角度を所定の試料傾斜制御部にフィードバックすることによって、標準試料である試料10の傾斜を調節する。
続いて、菊池パターンがセンタリングされた状態、即ち標準試料である試料10が電子線の入射方向に対して傾斜していない(電子線が試料10の表面に垂直に入射している)状態で、フォーカスを調節して合焦する(ステップS6)。
続いて、STEM装置は、収差補正用の標準試料である試料10の観察像を取得する(ステップS7)。この観察像の画像データが解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、粒子解析計算部23は、試料10の観察像の画像データを解析データメモリ領域Mから読み出し、この画像データを用いて試料10のパーティクル102の形状を算出して、パーティクル102の円形近似との差異を解析する(ステップS8)。解析された粒子形状データは解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、レンズ収差パラメータ計算部24は、試料10の観察像の画像データを解析データメモリ領域Mから読み出す。この画像データを用い、粒子解析計算部23による粒子形状解析の結果を踏まえて、STEM検出器20により得られた暗視野STEM像をパワースペクトラム像に変換する。そして、このパワースペクトラム像に基づいて各種のレンズ収差パラメータを算出する(ステップS9)。求められたパワースペクトラム像は解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、STEM装置は、補正目標となる参照画像を作成する(ステップS10)。この参照画像は解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、STEM装置は、各電子線入射方向でオーバー側及びアンダー側のフォーカスで暗視野STEM像を撮影する(ステップS11)。暗視野STEM像の画像データは解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、レンズ収差パラメータ計算部24は、撮影された暗視野STEM像の画像データを解析データメモリ領域Mから読み出し、この画像データをパワースペクトラム像に変換する(ステップS12)。求められたパワースペクトラム像は解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、レンズ収差パラメータ計算部24は、パワースペクトラム像に基づいて、各種のレンズ収差パラメータを計算する(ステップS13)。各種のレンズ収差パラメータは解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、収差補正制御部22は、補正目標となる参照画像であるパワースペクトラム像と、ステップS12で得られた観察画像であるパワースペクトラム像とを比較する(ステップS14)。
続いて、収差補正制御部22は、各種のレンズ収差パラメータを解析データメモリ領域Mから読み出し、上記の比較に基づいて収差量を計算して各種の収差補正値を算出し(ステップS15)、収差補正部16に収差補正値を出力して(ステップS16)、収差補正部16による収差補正を制御する。算出された収差補正値は解析データメモリ領域Mに入力される。
続いて、収差補正制御部22は、収差補正値を解析データメモリ領域Mから読み出し、収差補正後の観察像を再取得する(ステップS17)。
続いて、収差補正制御部22は、C1(フォーカス)及びB2(コマ収差)をそれぞれ算出する(ステップS18)。ステップS18において、C1及びB2が本実施形態における規定値、例えば上記の表2の値を満たす場合には、ステップS19へ進む。一方、C1及びB2の少なくとも1つが本実施形態における規定値を満たさない場合には、再びステップS11〜S18を実行する。
ステップS19では、収差補正制御部22は、A1(2回非点)、A2(3回非点)、C3(球面収差)、A3(4回非点)、S3(スター収差)をそれぞれ算出する。ステップS18において、A1、A2、C3、A3及びS3が本実施形態における規定値、例えば上記の表2の値を満たす場合には、ステップS20へ進む。一方、A1、A2、C3、A3及びS3の少なくとも1つが本実施形態における規定値を満たさない場合には、再びステップS11〜S19を実行する。
ステップS20では、収差補正制御部22は、各収差補正値を解析データメモリ領域Mに保存する。
以上説明したように、本実施形態によれば、STEM装置において、単結晶基板101上に粒子102を堆積した標準試料を用いて収差補正を行う際に、高精度な観察及び分析を可能とし、より精度の高い収差補正を容易且つ正確に行うことが実現する。
(その他の実施形態)
上述した本実施形態によるSTEM装置の各構成要素(図8の試料傾斜制御部21、収差補正制御部22、粒子解析計算部23、レンズ収差パラメータ計算部24等)の機能は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。同様に、STEM装置の収差補正方法の各ステップ(図11のステップS4,S5,S6〜S10,S12〜S19等)は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本実施形態に含まれる。
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等であり、通信媒体とは、光ファイバ等の有線回線や無線回線等である。
また、本実施形態に含まれるプログラムとしては、供給されたプログラムをコンピュータが実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本実施形態に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本実施形態に含まれる。
例えば、図12は、パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図12において、1200はCPU1201を備えたパーソナルコンピュータ(PC)である。PC1200は、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶された、又はフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行する。このPC1200は、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
PC1200のCPU1201、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶されたプログラムにより、本実施形態の図11におけるステップS4,S5,S6〜S10,S12〜S19の手順等が実現される。
1203はRAMであり、CPU1201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。1205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)1209や不図示のデバイス等からの指示入力を制御する。
1206はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ(CRT)1210の表示を制御する。1207はディスクコントローラ(DKC)である。DKC1207は、ブートプログラム、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)1211、及びフレキシブルディスク(FD)1212とのアクセスを制御する。ここで、ブートプログラムとは、起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラムである。
1208はネットワーク・インターフェースカード(NIC)で、LAN1220を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、或いは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
なお、パーソナルユーザ端末装置を用いる代わりに、STEM装置に特化された所定の計算機等を用いても良い。
以下、諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)電子線を発生させる電子源と、
前記電子源から放出された電子線を試料に対して調節する電磁レンズ部と、
前記試料を透過した電子線を検出する電子線検出部と、
前記電子線検出部による電子線の検出結果に基づいて、前記電磁レンズ部の収差量を算出する収差量算出部と、
前記収差量算出部により算出された前記収差量に基づいて、前記電磁レンズ部の収差を補正する収差補正部と、
前記試料として単結晶基板上に複数の粒子を堆積してなる標準試料を用い、前記標準試料の電子線回折像を基準として、前記標準試料の傾斜状態を調節自在とする傾斜調節部と
を含むことを特徴とする電子線装置。
(付記2)前記電子線検出部による電子線の検出結果に基づいて、前記傾斜調節部を制御して前記標準試料の傾斜状態を調節する傾斜制御部を更に含むことを特徴とする付記1に記載の電子線装置。
(付記3)前記電子線検出部による電子線の検出結果に基づいて、前記標準試料の前記粒子の形状を算出し、前記粒子の円形近似との差異を解析する粒子解析部を更に含み、
前記収差量算出部は、前記粒子解析部による前記粒子の解析結果を用いて、前記電磁レンズ部の収差量を算出することを特徴とする付記1又は2に記載の電子線装置。
(付記4)前記標準試料は、前記単結晶基板の厚みが30nm以上100nm以下、前記粒子の粒径が2nm以上5nm以下、隣接する前記粒子間隔が10nm以上30nm以下とされてなるものであることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の電子線装置。
(付記5)前記標準試料は、前記単結晶基板の材料の原子番号と、前記粒子の材料の原子番号との差が10以上とされてなることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の電子線装置。
(付記6)前記標準試料は、前記単結晶基板がSi,Ge,GaAs,GaN,SrTiO3,BaTiO3,MgOから選ばれた1種からなり、前記粒子がAu,Ag,Pt,Co,CoSi,Ni,NiSi,W,TiO2,ZrO2,PbTiO3,SrRuO3から選ばれた1種からなることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の電子線装置。
(付記7)電子線を発生させる電子源と、
前記電子源から放出された電子線を試料に対して調節する電磁レンズ部と
を含む電子線装置の補正方法であって、
前記試料として、単結晶基板上に複数の粒子を堆積してなる標準試料を用い、前記標準試料を透過した電子線回折像を検出するステップと、
前記電子線回折像に基づいて、前記標準試料の傾斜状態を調節するステップと、
調節された前記標準試料の電子線回折像により、前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップと、
算出された前記収差量に基づいて、前記電磁レンズ部の収差を補正するステップと
を含むことを特徴とする電子線装置の補正方法。
(付記8)前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップの前に、電子線の前記検出結果に基づいて、前記標準試料の傾斜状態を調節するステップを更に含むことを特徴とする付記7に記載の電子線装置の補正方法。
(付記9)前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップの前に、電子線の前記検出結果に基づいて、前記標準試料の前記粒子の形状を算出し、前記粒子の円形近似との差異を解析するステップを更に含み、
前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップでは、前記粒子解析部による前記粒子の解析結果を用いて、前記収差量を算出することを特徴とする付記7又は8に記載の電子線装置の補正方法。
(付記10)試料に電子線を照射する電子線装置において、前記試料として前記電子線装置の収差補正に用いられる補正用基板であって、
単結晶材料からなる基板と、
前記基板上に堆積されてなる複数の粒子と
を含むことを特徴とする補正用基板。
本実施形態において補正用基板として用いる標準試料を示す概略断面図である。 本実施形態の暗視野STEM装置における暗視野STEM像、パワースペクトラム及び収差補正後の収差データをそれぞれ示す図である。 本実施形態の暗視野STEM装置において、レンズ収差パラメータの測定における標準試料への電子線入射方向、各電子線入射方向に対するオーバー側及びアンダー側のフォーカスにおけるパワースペクトラム像をそれぞれ示す図である。 従来の標準試料を用いて暗視野STEMの収差補正を行う場合において、標準試料の傾斜によるフォーカスポイントのずれ、及び当該ずれによる粒子形状の変化を示す図である。 本実施形態による標準試料の傾斜調節法を示す図である。 図5−1の電子線回折像のイラスト図である。 粒子形状を変えて分布させた粒子像と、粒子を変形させることによって得られるパワースペクトラム像とを示す図である。 粒子像の粒子形状解析の概念図である。 本実施形態によるSTEM装置の概略構成を示す模式図である。 試料傾斜調節機構の概略構成を示す模式図である。 試料傾斜調節機構の他の例の概略構成を示す模式図である。 本実施形態によるSTEM装置の収差補正方法を示すフロー図である。 パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
符号の説明
11 電子銃
12a,12b 収束レンズ
13 収束レンズ絞り
14 偏向コイル
15 走査コイル
16 収差補正部
17 対物レンズ
18 蛍光板
19CCD(またはTV)カメラ
20 STEM検出器
21 試料傾斜制御部
22 収差補正制御部
23 粒子解析計算部
24 レンズ収差パラメータ計算部
25,26 試料傾斜調節機構
25a,26a α回動部
25b,26b β回動部
27 投影レンズ
31,33 試料載置部
32,34 回動アーム
101,111 基板
102,112 パーティクル

Claims (9)

  1. 電子線を発生させる電子源と、
    前記電子源から放出された電子線を試料に対して調節する電磁レンズ部と、
    前記試料を透過した電子線を検出する電子線検出部と、
    前記電子線検出部による電子線の検出結果に基づいて、前記電磁レンズ部の収差量を算出する収差量算出部と、
    前記収差量算出部により算出された前記収差量に基づいて、前記電磁レンズ部の収差を補正する収差補正部と、
    前記試料として単結晶基板上に複数の粒子を堆積してなる標準試料を用い、前記標準試料の電子線回折像を基準として、前記標準試料の傾斜状態を調節自在とする傾斜調節部と
    を含むことを特徴とする電子線装置。
  2. 前記電子線検出部による電子線の検出結果に基づいて、前記傾斜調節部を制御して前記標準試料の傾斜状態を調節する傾斜制御部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の電子線装置。
  3. 前記電子線検出部による電子線の検出結果に基づいて、前記標準試料の前記粒子の形状を算出し、前記粒子の円形近似との差異を解析する粒子解析部を更に含み、
    前記収差量算出部は、前記粒子解析部による前記粒子の解析結果を用いて、前記電磁レンズ部の収差量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子線装置。
  4. 電子線を発生させる電子源と、
    前記電子源から放出された電子線を試料に対して調節する電磁レンズ部と
    を含む電子線装置の補正方法であって、
    前記試料として、単結晶基板上に複数の粒子を堆積してなる標準試料を用い、前記標準試料を透過した電子線回折像を検出するステップと、
    前記電子線回折像に基づいて、前記標準試料の傾斜状態を調節するステップと、
    調節された前記標準試料の電子線回折像により、前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップと、
    算出された前記収差量に基づいて、前記電磁レンズ部の収差を補正するステップと
    を含むことを特徴とする電子線装置の補正方法。
  5. 前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップの前に、電子線の前記検出結果に基づいて、前記標準試料の傾斜状態を調節するステップを更に含むことを特徴とする請求項4に記載の電子線装置の補正方法。
  6. 前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップの前に、電子線の前記検出結果に基づいて、前記標準試料の前記粒子の形状を算出し、前記粒子の円形近似との差異を解析するステップを更に含み、
    前記電磁レンズ部の収差量を算出するステップでは、前記粒子の解析結果を用いて、前記収差量を算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の電子線装置の補正方法。
  7. 試料に電子線を照射する電子線装置において、前記試料として前記電子線装置の収差補正に用いられる補正用基板であって、
    Ge,GaAs,GaN,SrTiO 3 ,BaTiO 3 ,MgOから選ばれた1種の単結晶材料からなる基板と、
    前記基板上に堆積されてなる複数の粒子と
    を含むことを特徴とする補正用基板。
  8. 前記基板は、その厚みが30nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項7に記載の補正用基板。
  9. 前記粒子は、その粒径が2nm以上5nm以下、且つ、隣接する粒子間隔が10nm以上30nm以下とされていることを特徴とする請求項7又は8に記載の補正用基板
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