JP5314663B2 - 銅合金 - Google Patents
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Description
銅合金の平均結晶粒径は10μm〜40μmとする。結晶粒径が40μm以下では、Cube方位の面積率が増大することによる曲げ加工性の向上への寄与の度合いが、結晶粒の粗大化による曲げ加工性の低下への寄与の度合いを上回り、銅合金の曲げ加工性は向上する。しかし、結晶粒径が40μmを超えると結晶粒の粗大化による寄与の方が優勢になり曲げ加工性が低下してしまう。よって、結晶粒径の上限を40μmとする。より好ましい結晶粒径は30μm以下である。一方、結晶粒径が10μm未満になると、耐応力緩和特性が悪くなる。より好ましい結晶粒径は15μm以上である。
Cube方位{001}<100>は、より多くのすべり系が活動できる方位である。このCube方位を面積率で20%以上集積させることにより、局所的な変形の発達を抑制し、銅合金の曲げ加工性を向上させることが可能となる。このCube方位粒の集積率(面積率)が低すぎると、前記した局所的な変形の発達を抑制することができなくなり、銅合金の曲げ加工性が低下してしまう。従って、本発明では、Cube方位{001}<100>の平均面積率を20%以上、より好ましくは25%以上とする。尚、本発明ではCube方位の平均面積率の上限は特に規定しないが、Cube方位の面積率を70%以上とすることは難しい。このため、実質的なCube方位の面積率の範囲は20〜70%である。
1/4t(tは板厚)部の面積率と1/2t部のCube方位の面積率は、同じCube方位の面積率ではあるが、その面積率にはバラツキが発生することがある。その面積率の差(バラツキ)が5%を超えると、銅合金の曲げ加工性が低下する。従って、前記Cube方位の面積率の差は5%以内に抑制する必要があり、このようにCube方位の面積率の差を5%以内とすることで、銅合金の曲げ加工性が向上する。
KAM値は1.00以上3.00以下とする。KAM値が1.00未満であると、転位密度が不十分であり、このため引張強度に比べて耐力がかなり小さくなってしまい、その結果、圧延方向に直角方向の耐力が小さくなってしまう。また、KAM値が3.00よりも大きいと、転移密度が高くなりすぎて曲げ加工性が劣化してしまう。
電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM)に、後方散乱電子回折像[EBSP:ElectronBack Scattering(Scattered)Pattern]システムを搭載した結晶方位解析法を用いて、本発明では、製品銅合金の板厚方向の表面部の集合組織を測定し、平均結晶粒径の測定を行う。
Goss方位{011}<100>
Rotated−Goss方位{011}<011>
Brass方位{011}<211>
Copper方位{112}<111>
(若しくはD方位{4411}<11118>)
S方位{123}<634>
B/G方位{011}<511>
B/S方位{168}<211>
P方位{011}<111>
次に、本発明の銅合金の成分限定理由について説明する。以下、各元素の含有量(比率)については単に%と記載するが、全て質量%を示す。
Niは、Siとの化合物を晶出または析出させることにより、銅合金の強度および導電率を確保する作用がある。Niの含有量が2.0%未満であると、析出物の生成量が不十分となり、所望の強度が得られなくなり、また、銅合金組織の結晶粒が粗大化してしまう。一方、Niの含有量が3.6%を超えると、導電率が低下することに加えて、粗大な析出物の数が多くなりすぎ、曲げ加工性が低下してしまう。従って、Niの含有量は2.0〜3.6%の範囲とする。
Siは、Niとの化合物を晶出または析出させることにより、銅合金の強度および導電率を向上させる。Siの含有量が0.4%未満であると、析出物の生成が不十分となり、所望の強度が得られなくなり、また、銅合金組織の結晶粒が粗大化してしまう。一方、Siの含有量が1.0%を超えると、粗大な析出物の数が多くなりすぎ、曲げ加工性が低下してしまう。従って、Siの含有量は0.4〜1.0%の範囲とする。
Znは、電子部品の接合に用いるSnめっきやハンダの耐熱剥離性を改善し、熱剥離を抑制するのに有効な元素である。このような効果を有効に発揮させるためには、0.05%以上含有させる必要がある。しかし、Znの含有量が3.0%を超えると、却って溶融Snやハンダの濡れ広がり性を劣化させ、また、導電率も大きく低下してしまう。また、Cube方位面積率も低下してしまう。従って、Znは、耐熱剥離性向上効果と導電率低下作用とを考慮したうえで、0.05〜3.0%の範囲とする。
Snは、銅合金中に固溶して強度向上に寄与する。この効果を有効に発揮させるためには、0.05%以上含有させる必要がある。しかし、Snの含有量が1.5%を超えると、その効果が飽和すると共に、導電率を大きく低下させてしまう。また、Cube方位面積率も低下してしまう。従って、Snは、強度向上効果と導電率低下作用とを考慮したうえで、0.05〜1.5%の範囲とする。
これらの元素は、結晶粒の微細化に効果がある。また、Siとの間に化合物を形成させることで、強度、導電率が向上する。これらの効果を有効に発揮させる場合には、選択的に、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zrのうち一種または二種以上を、合計で0.01%以上含有させる必要がある。しかし、これらの元素の合計含有量が3.0%を超えると、化合物が粗大になり、曲げ加工性を損なう。従って、選択的に含有させる場合のこれら元素の含有量は、合計で0.01〜3.0%の範囲とする。尚、後述する実施例では、これらの元素が一種の例のみを挙げているが、これらの元素は上記共通の効果を発現させるものであり、これらの元素を上記所定の合計含有量で二種以上含有させても同様の効果を発現する。
本発明の銅合金(銅合金板)は、一般的な銅合金を製造する場合と同じく、熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、冷間圧延を経て製造することができるが、本発明の銅合金を製造するための製造条件を、本発明者らが鋭意検討したところ、以下に示す製造条件を採用することで、本発明で意図する高強度、優れた曲げ加工性、および優れた耐応力緩和特性を兼ね備えた銅合金を製造することができることを確認した。以下にその製造条件を詳細に説明する。
平均結晶粒径、各方位の平均面積率およびKAM値:
得られた各銅合金薄板から組織観察片を採取し、上述した要領で、平均結晶粒径および各方位の平均面積率を、電界放出型走査電子顕微鏡に後方散乱電子回折像システムを搭載した結晶方位解析法により測定した。具体的には、銅合金薄板の圧延面表面を機械研磨し、更に、バフ研磨に次いで電解研磨して、表面を調整した試料を準備した。その後、日本電子社製FESEM(JEOL JSM 5410)を用いて、EBSPによる結晶方位測定並びに結晶粒径測定を行った。測定領域は300μm×300μmの領域であり、測定ステップ間隔を0.5μmとした。
引張試験は、試験片の長手方向を圧延方向としたJIS13号B試験片を用いて、5882型インストロン社製万能試験機により、室温、試験速度10.0mm/min、GL=50mmの条件で実施し、0.2%耐力(MPa)を測定した。尚、この引張試験では、同一条件の試験片を3本試験し、それらの平均値を採用した。この引張試験結果により、圧延直角方向(T.D.方向)の0.2%耐力(YP)が700MPa以上のものを、高強度であると評価する。
導電率は、試験片の長手方向を圧延方向として、ミーリングにより、幅10mm×長さ300mmの短冊状の試験片を加工し、ダブルブリッジ式抵抗測定装置により電気抵抗を測定して、平均断面積法により算出した。尚、この測定でも、同一条件の試験片を3本測定し、それらの平均値を採用した。この測定で、導電率が35%IACS以上のものを、高導電性を有していると評価する。
銅合金板試料の曲げ試験は、以下の方法により実施した。銅合金板試料より幅10mm、長さ30mmの板材を切出し、1000kgf(約9800N)の荷重をかけて曲げ半径0.15mmで、GoodWay(曲げ軸が圧延方向に直角)に90°曲げを行った。その後、1000kgf(約9800N)の荷重をかけて180°密着曲げを実施し、曲げ部における割れの発生の有無を、50倍の光学顕微鏡で目視観察した。その際に、割れの評価は日本伸銅協会技術標準JBMA−T307に記載のA〜Eにより評価した。尚、その評価がA〜Cのものを、曲げ加工性が優れているとする。
耐応力緩和特性(応力緩和率)は、銅合金板試料より試験片を採取し、図1および図2に示す片持ち梁方式を用いて測定した。具体的には、まず、銅合金板試料より、長さ方向が板材の圧延方向に対して直角方向になるようにして幅10mmの短冊状試験片1を切り出した。続いて、その短冊状試験片1の一端を剛体試験台2に固定した後、その短冊状試験片1のスパン長Lの部位に、図1に示すように、d(=10mm)の大きさのたわみ量を与えた。尚、前記スパン長Lは、材料耐力の80%に相当する表面応力が材料に負荷されるようにして決定する。この状態で、オーブン中に短冊状試験片1を24時間保持した後に取り出し、たわみ量dを取り去ったときの永久歪みδ(図2に示す)を測定し、RS=(δ/d)×100という計算式から応力緩和率(RS:%)を求めた。この測定で、応力緩和率が20%以下のものを、耐応力緩和特性が優れているとする。
2…剛体試験台
Claims (2)
- 質量%で、Ni:2.0〜3.6%、Si:0.4〜1.0%、Sn:0.05〜1.5%、Zn:0.05〜3.0%を含有し、残部が銅および不可避的不純物からなる銅合金であって、
この銅合金の平均結晶粒径が10μm〜40μmであり、
且つ、SEM−EBSP法による測定結果で、Cube方位{001}<100>の平均面積率が20%以上であると共に、
1/4t(tは板厚)部と1/2t部のCube方位の面積率の差が5%以内であり、
且つ、KAM値が1.00以上3.00以下であることを特徴とする銅合金。 - 更に、質量%で、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zrのうち一種または二種以上を、合計で0.01〜3.0%含有する請求項1記載の銅合金。
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