JP5313614B2 - 携帯機 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の通信対象との間で所定の無線通信を行う携帯機に関するものである。
従来、例えば特許文献1に示されるように、車両や住宅等に設けられた通信制御装置との間で所定の無線通信を通じて識別コードの送受信を行うことにより、ドア錠の施錠・解錠を行う電子キーが採用されている。この電子キーのケースには、回路基板が収容されている。回路基板には、通信制御装置に対応する識別コードが記憶された制御回路と、通信制御装置との間で無線通信を行うための送信アンテナとが実装されている。制御回路は、送信アンテナを通じて識別コードを通信制御装置に送信する。通信制御装置は、電子キーの送信アンテナから送信された電波に含まれる識別コードが自身に記憶されている識別コードと一致するか否かを判断し、一致したことを条件としてドア錠の施錠・解錠を行う。
また、この電子キーには、ドア錠を手動で施解錠するために、ドアに設けられたキーシリンダに装着可能なエマージェンシーキーが着脱可能に設けられている。また、この種の電子キーにおいては、通信制御装置との間で正常に無線通信ができる無線通信性能の確保もさることながら、当該電子キーを好んで所持してもらうために、電子キーの外観の見栄えを確保することも望まれている。例えば、電子キーのケース表面に飾り等を付けることで加飾し、電子キーに高い意匠性を持たせる。加飾の一例としては、例えば高級感を持たせるために、金属製品に見られるような光輝意匠が施される場合がある。
特開2002−322841号公報
ところで、通常、エマージェンシーキーのキープレートや、光輝意匠の加飾には、例えばアルミニウムや鉄等の金属が用いられる。一般に、アンテナの近傍に設けられた金属部材の長さと該金属部材が受ける電波の半波長とが一致すると、金属部材は該電波と共振する。一方、電子キーから通信制御装置へ送信される電波として数百MHzの周波数を有する電波、即ち数m〜数十cmの波長を有する電波が使用される。従って、通常、携帯性の観点から数cmの大きさに設定される電子キーに設けられる金属部材が、電子キーから送信される数m〜数十cmの波長を有する電波により共振することは考え難い。
しかしながら、電子キーから送信される電波の基本波の整数倍の周波数をもつ多数の高調波の中には、その半波長が、電子キーに設けられた金属部材の長さと同程度の長さとなるものがある。従って、高調波と金属部材とが共振し、送信電波の高調波の出力強度が増大する場合がある。このため、送信電波の高調波の出力強度が電波法等の法規を満足する事ができなくなってしまう虞がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、帯状の金属部材を備えた携帯機において、携帯機から送信される電波に対する金属部材の影響を抑制することができる携帯機を提供することにある。
請求項1に記載の発明によれば、非導電性材料からなるケースと、該ケースの内部に設けられ自身がもつ固有の識別コードを通信対象に無線で送信する送信アンテナと、該送信アンテナとは別に設けられた帯状の金属部材とを備え、前記通信対象側で前記識別コードの照合が一致したことを条件として当該通信対象に対応する特定の機器を動作させる携帯機において、前記金属部材の共振周波数が、前記送信アンテナから送信される送信電波の基本波の周波数を433MHzを含む数百MHzと規定したとき、この基本波の整数倍の周波数を有する高調波の内、その半波長が前記金属部材の長手方向に沿った前記ケースの長さと同程度となる高調波の周波数と一致しないように、前記金属部材の長さを設定しつつ、前記金属部材と前記送信アンテナは重ならないように配置され、前記金属部材は、前記ケースの内部に設けられ、環状に設けられるとともにその周方向において分断された開ループ形状を有することをその要旨とする。
通常、送信電波の基本波の整数倍の周波数を有する高調波の出力強度は、高次になる程小さくなる傾向がある。従って、電波法等の法規を満足するためには、高調波の内、その半波長が金属部材の長手方向に沿ったケースの長さと同程度となる高調波が問題となる。本発明によれば、金属部材の共振周波数が、送信アンテナから送信される送信電波の基本波の整数倍の周波数を有する高調波の内、その半波長が金属部材の長手方向に沿ったケースの長さと同程度となる高調波の周波数と一致しないように、金属部材の長さを設定した。このため、ケースの長さと同程度の半波長を有する高調波が金属部材と共振し、携帯機の高調波の出力強度が大幅に増大してしまうことを防止することができる。よって、金属部材を備えた携帯機において、携帯機から送信される電波に対する金属部材の影響を抑制することができる。なお、金属部材全体の長さは、容易に変更することができるため、携帯機から送信される電波に対する金属部材の影響を容易に抑制することができる。
一般に、アンテナの近傍に金属があると、通信対象との間の無線通信に際してアンテナから送信される電波は、その金属の影響を受ける。従って、携帯機に金属部材を設け、通信対象との間の無線通信に際してこの金属部材を送信アンテナとして効果的に活用し、携帯機から送信される送信電波の基本波の出力強度を向上させることに本出願人は想到した。本発明によれば、上述したように、ケースの長さと同程度の半波長を有する高調波が金属部材と共振し、携帯機の高調波の出力強度が大幅に増大してしまうことを防止することができる。このため、携帯機から送信される送信電波の高調波の出力強度の増加を抑制しつつ、基本波の出力強度のみを向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、前記金属部材の共振周波数が、前記送信アンテナから送信される送信電波の1つの高調波の周波数と、該高調波よりも1つだけ高次若しくは低次の高調波の周波数との間の値となるように、前記金属部材の長手方向の長さを設定したことをその要旨とする。
本発明によれば、金属部材が、当該金属部材の長手方向の長さと同程度の波長を有する高調波と共振してしまうことを好適に抑制することができる。よって、携帯機の高調波の出力強度が大幅に増大してしまうことを防止することができる。
本発明によれば、帯状の金属部材を備えた携帯機において、携帯機から送信される電波に対する金属部材の影響を抑制することができる携帯機を提供することができる。
以下、本発明を、車両の電子キーシステムにおいて、ドア錠の開閉に使用される電子キーに具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
<電子キーシステムの概要>
図1に示すように、電子キーシステム1は、携帯機としての電子キー2と、車両に搭載された通信対象としての施解錠制御装置3とを備えている。ユーザが電子キー2を所持して車両の所定領域(通信エリア)に接近すると、電子キー2は施解錠制御装置3から送信されるリクエスト信号Srを受信する。このリクエスト信号SrはIDコードの送信を電子キー2に要求する旨の信号である。電子キー2は前記リクエスト信号Srを受信すると、予め記憶された自身のIDコードを含むID信号Siを送信する。施解錠制御装置3は、電子キー2から送信されてきたID信号Siを受信すると、このID信号Siに含まれる電子キー2側のIDコードと予め記憶された車両側のIDコードとを照合し、両IDコードが一致したことを条件としてドア錠を解錠する。一方、ユーザが電子キー2を所持して車両から離間して前記所定領域外に移動すると、施解錠制御装置3は、電子キー2から送信されるID信号Siを受信不能となる。施解錠制御装置3は電子キー2側のID信号Siを受信不能になったことを条件として車両のドア錠を施錠する。このように、ユーザが車両に触れることなくドア錠の施解錠が行われる。
<電子キー>
図2に示すように、電子キー2のケース4は、樹脂等の非導電性材料からなり、平面視(図2中、上から見た状態)において長方形を成す扁平形状に形成されている。図3に示すように、ケース4は、それぞれ開口部を有する箱体状に形成されたアッパーケース5とロアケース6とから成り、これらの開口側を突き合わせた状態で組み付けた際にできる内部の収納空間4aには、回路基板7が収納されている。回路基板7には、車両(正確には、施解錠制御装置3)との間で所定の無線通信等を行うための各種の電子部品が実装されている。
アッパーケース5の表面5aの縁部において2つの長辺に沿った各部位には、それぞれ段部5b,5bが凹設されている。段部5b,5bは、アッパーケース5の長手方向に沿って延びる直線状に形成されている。また、段部5b,5bの両端であってアッパーケース5の短辺に沿った各部位には、アッパーケース5の厚さ方向に沿って延びる収容凹部5c,5cがそれぞれ凹設されている。各段部5b,5b及び収容凹部5c,5cには、電子キー2に高級感、即ち、貴金属製品に見られるような光輝意匠を持たせるための加飾金属8,8がそれぞれ取り付けられている。各加飾金属8,8は、例えばアルミニウムや鉄等の金属材料から形成されており、その表面には光輝性を醸し出すためのメッキが施されている。
同図3に示すように、各加飾金属8,8は、前記段部5b,5bに対応する略長方形板状に形成されアッパーケース5の表面5aに配置される加飾部8aと、該加飾部8aの両端に設けられアッパーケース5の側面に沿って内側(図3では下側)へ延びる延設部8bとを備えている。各加飾金属8の加飾部8aは、対応する段部5b,5bに配置され、延設部8bは、収容凹部5c,5cに配置される。図4(a)に示すように、各加飾金属8,8の加飾部8aの長さは、ケース4の長さLと同一の長さとなるように設定されている。各加飾金属8,8の加飾部8aの厚みは、アッパーケース5の段部5b,5bに取り付けられることにより、アッパーケース5の表面5aと面一となるように設定されている。また、各加飾金属8,8の延設部8bの長さ及び厚みは、対応する収容凹部5c,5cに取り付けられることにより、アッパーケース5の側面(ケース4の側面4d)と面一になるように設定されている。
また、アッパーケース5の表面5aの段部5b,5bの間には、電子キー2でのボタン操作で車両のドア錠を施錠する際に操作するロックスイッチ5dと、同じく電子キー2でのボタン操作で車両のドア錠を解錠する際に操作するアンロックスイッチ5eとが設けられている。
図3に示すように、ロアケース6の表面6aの縁部において2つの長辺に沿った部位には、それぞれアッパーケース5と同様、段部6b,6bが凹設されている。段部6b,6bは、ロアケース6の長手方向に沿って延びる直線状に形成されている。また、段部6b,6bの両端であってロアケース6の短辺に沿った各部位には、ロアケース6の厚さ方向に沿って延びる収容凹部6c,6cがそれぞれ凹設されている。各段部6b,6b及び6c,6cには、電子キー2に高級感、即ち、貴金属製品に見られるような光輝意匠を持たせるための加飾金属10,10がそれぞれ取り付けられている。各加飾金属10,10は、前記加飾金属8,8と同様、例えばアルミニウムや鉄等の金属材料から形成されており、その表面には光輝性を醸し出すためのメッキが施されている。
同図3に示すように、各加飾金属10,10は、前記段部6b,6bに対応する略長方形板状に形成されロアケース6の表面6aに配置される加飾部10a,10aと、該加飾部10a,10aの両端に設けられロアケース6の側面に沿って内側(図3では上側)へ延びる延設部10b,10bとを備えている。各加飾金属10,10の加飾部10a,10aは、対応する段部6b,6bに配置され、延設部10b,10bは、収容凹部6c,6cに配置される。図4(a)に示すように、各加飾金属10,10の加飾部10a,10aの長さは、ケース4の長さLと同一の長さとなるように設定されている。各加飾金属10,10の厚みは、ロアケース6の段部6b,6bにそれぞれ取り付けられることにより、ロアケース6の表面6aと面一となるように設定されている。また、各加飾金属10,10の延設部10b,10bの長さ及び厚みは、対応する収容凹部6c,6cに取り付けられることにより、ロアケース6の側面(ケース4の側面4d)と面一になるように設定されている。
本実施の形態では、加飾金属8,8,10,10の共振周波数が、送信アンテナ11から送信される送信電波の1つの高調波の周波数と、該高調波よりも1つだけ高次若しくは低次の高調波の周波数との間の値となるように、加飾金属8,8,10,10全体の長さを設定している。具体的には、加飾部8a,8a,10a,10aの両端に設けた延設部8b,8b,10b,10bの長さを変更することにより、加飾部8a,8a,10a,10aの長さを変更することなく加飾金属8,8,10,10全体の長さを適当な値に設定している。
図4(a)及び(b)に示すように、加飾金属8,8,10,10は、ケース4(アッパーケース5及びロアケース6)の表面5a,6a側から見て完全に重なるように配置されている。なお、加飾金属8,8,10,10が金属部材に相当する。本実施形態の電子キー2は、アッパー側加飾金属(以下、加飾金属という)8が設けられた前記アッパーケース5の表面5aと、同じくロア側加飾金属(以下、加飾金属という)10が設けられたロアケース6の表面6aとが意匠面とされる。なお、前述したように、ケース4は扁平形状に形成されているため、ケース4の厚さ方向に直交する面であるケース4(アッパケース5及びロアケース6)の表面5a,6aの面積は、ケース4の厚さ方向に沿う4つの側面4dの面積よりも大きくなっている。
図3に示すように、回路基板7は、長方形の平板状に形成されている。回路基板7のアッパーケース5側の面7aには、送信アンテナ11、受信回路(図示略)、制御回路(図示略)、送信回路(図示略)が実装されており、回路基板7のロアケース6側の面7bには、受信アンテナ(図示略)及び電源回路(図示略)が実装されている。前記受信回路は、施解錠制御装置3から所定周波数の電波として送信された前記リクエスト信号Sr(図1参照)を、受信アンテナを介して受信する。そして、受信回路は、受信したリクエスト信号Srをパルス信号に復調し、その復調したリクエスト信号Srを制御回路へ送る。前記制御回路は前記復調されたリクエスト信号Srに対して応答するために予め記憶された自身のIDコードを含むID信号Si(図1参照)を送信回路に送る。送信回路は前記ID信号を所定周波数(433MHz)の電波に変調して送信アンテナ11を介して送信する。また、前記制御回路は、ロックスイッチ5dが押し操作された事を検出すると、自身のIDコードと、解錠状態にある車両のドア錠を施錠状態にする旨の施錠要求とを乗せた施錠要求信号Sa(図1参照)を送信回路に送り、該送信回路は送信アンテナ11を介して施錠要求信号Saを送信する。また、制御回路は、アンロックスイッチ5eが押し操作された事を検出すると、自身固有のIDコードと、施錠状態にある車両のドア錠を解錠状態にする旨の解錠要求とを乗せた解錠要求信号Sb(図1参照)を送信回路に送り、該送信回路は送信アンテナ11を介して解錠要求信号Sbを送信する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、送信アンテナ11は、回路基板7に対して直に金属板をアンテナ線(アンテナパターン)として印刷形成することで成るパターンアンテナである。送信アンテナ11は、回路基板7の長手方向一端側(図4(a)及び図4(b)中、下端側)に設けられている。前記回路基板7は、ケース4の表面5a,6a側から見て、2つの加飾金属8,8,10,10の間であってケース4の長手方向一端側(図4(a)及び(b)において下側)に送信アンテナ11が配置されるように、ケース4に収容されている。また、回路基板7は、ケース4の表面5a,6a側から見て、送信アンテナ11の全部が加飾金属8,8,10,10と重ならないように配置されている。なお、前述したように、ケース4は扁平形状に形成されているため、ケース4の厚さ方向に直交する面であるケース4(アッパケース5及びロアケース6)の表面5a,6aの面積は、ケース4の厚さ方向に沿った面である側面4dの面積よりも大きくなっている。このため、送信アンテナ11を、ケース4の表面5a,6a側から見て、全部が加飾金属8,8,10,10と重ならない位置に配置し易くなっている。
ところで、一般に、送信アンテナの近傍に金属があると、該送信アンテナから電波が送信される際に、金属と送信アンテナとが磁気的に結合する。このため、施解錠制御装置3との間の無線通信に際して、送信アンテナ11から送信される電波が加飾金属8,8,10,10の影響を受け、電子キー2から送信される送信電波の出力強度が変化する。
ここで、図5を参照して、金属部材が設けられた電子キーから送信される電波の周波数の違いによる出力強度の変化について考察する。同図5は、本実施の形態のようにケース4の表面5a,6aにそれぞれ加飾金属8,8,10,10が設けられた電子キー2から送信される電波の周波数に対する電波の出力強度を、発明者がシミュレーションした結果をグラフとして示したものである。なお、電子キー2のケース4の長さを6cmと想定しており、このシミュレーションでは加飾金属8,8,10,10の長手方向の長さを、ケース4の表面5a,6aの長さと同じ6cmに設定している。即ち、このシミュレーションの結果は、ケース4の表面5a,6aの長さに応じて加飾金属8,8,10,10の長さを設定した場合のものであり、本実施の形態の電子キー2の加飾金属8,8,10,10において延設部8b,8b,10b,10bを省略した場合のものである。図5のグラフにおいて、横軸は、電子キー2の送信アンテナ11から送信される電波の周波数を示し、縦軸は、送信電波の出力強度を示す。図5においては、本実施の形態のように加飾金属8,8,10,10が設けられた電子キー2の出力強度を●印で示し、回路基板7単体の場合の出力強度を▲印で示している。
図5に示されるように、送信電波の周波数が1GHz以下となる場合、加飾金属8,8,10,10が設けられた電子キー2の出力強度は、回路基板7単体の場合と同程度となる。一方、送信電波の周波数が2.5GHz〜2.3GHzとなる場合、言い換えれば、送信電波の半波長が約6cmとなる場合、加飾金属8,8,10,10が設けられた電子キー2の出力強度は、回路基板7単体の場合と比較して大きく増加する。即ち、電子キー2に設けられた加飾金属8,8,10,10の長さと、該加飾金属8,8,10,10が受ける電波の半波長とが同程度となると、電子キー2の送信電波の出力強度が増加する。
また、加飾金属8,8,10,10が設けられた電子キー2の出力強度は、送信電波の周波数が1.7GHz及び3.9GHzとなる付近でピークをとる。即ち、この加飾金属8,8,10,10は、1.7GHz及び3.9GHzの周波数を有する電波と共振する。本実施の形態では、送信アンテナ11から、433MHzの周波数を有する電波が送信される。このため、加飾金属8,8,10,10の長さをケース4の長さLと同じ長さ(この場合6cm)に設定した場合、電子キー2に設けられた加飾金属8,8,10,10が、送信アンテナ11から送信される電波の高調波と略同じ周波数を有する電波を受信すると、電子キー2の送信電波の高調波の出力強度が増加する。
なお、通常、送信電波の高調波の出力強度は、高次になる程小さくなる傾向がある。従って、電波法等の法規を満足するためには、ケース4の長さLと同程度の波長を有する高調波が問題となる。
上述したように、本実施の形態では、加飾金属8,8,10,10の共振周波数が、送信アンテナ11から送信される送信電波の1つの高調波の周波数と、該高調波よりも1つだけ高次若しくは低次の高調波の周波数との間の値となるように、加飾金属8,8,10,10の長さを設定している。従って、加飾金属8,8,10,10の共振周波数が、電子キー2の送信電波の基本波の整数倍の周波数を有する高調波の内、その半波長がケース4の長さと同程度となる高調波の周波数と一致しない。このため、ケース4の長さと同程度の半波長を有する高調波が加飾金属8,8,10,10と共振し、電子キー2の高調波の出力強度が大幅に増大してしまうことを防止することができる。よって、加飾金属8,8,10,10を備えた電子キー2において、電子キー2から送信される電波に対する加飾金属8,8,10,10の影響を抑制することができる。
また、本実施の形態では、各加飾金属8,8,10,10の加飾部8a,8a,10a,10aの両端に延設部8b,8b,10b,10bが設けられている。このため、該延設部8b,8b,10b,10bの長さを変更することで、加飾部8a,8a,10a,10aの長さに影響を与えることなく加飾金属8,8,10,10全体の長さを容易に変更することができる。従って、電子キー2の外観の意匠性を満たすべくケース4の意匠面に加飾金属8,8,10,10を設けた場合においても、電子キー2から送信される電波に対する加飾金属8,8,10,10の影響が抑制されるように加飾金属8,8,10,10全体の長さを設定することは容易である。
次に、上記実施の形態の作用効果を以下に記載する。
(1)加飾金属8,8,10,10の共振周波数が、送信アンテナ11から送信される送信電波の基本波の整数倍の周波数を有する高調波の内、その半波長が加飾金属8,8,10,10の長手方向に沿ったケース4の長さと同程度となる高調波の周波数と一致しないように、加飾金属8,8,10,10の長さを設定した。このため、ケース4の長さと同程度の半波長を有する高調波が加飾金属8,8,10,10と共振し、電子キー2の高調波の出力強度が大幅に増大してしまうことを防止することができる。よって、加飾金属8,8,10,10を備えた電子キー2において、電子キー2から送信される電波に対する加飾金属8,8,10,10の影響を抑制することができる。なお、加飾金属8,8,10,10全体の長さは、容易に変更することができるため、電子キー2から送信される電波に対する加飾金属8,8,10,10の影響を容易に抑制することができる。
(2)加飾金属8,8,10,10の共振周波数が、送信電波の1つの高調波の周波数と、該高調波よりも1つだけ高次若しくは低次の高調波の周波数との間の値となるように、加飾金属8,8,10,10の長手方向の長さを設定した。このため、加飾金属8,8,10,10が当該加飾金属8,8,10,10の長手方向の長さと同程度の波長を有する高調波と共振してしまうことを好適に抑制することができる。よって、電子キー2の高調波の出力強度が大幅に増大してしまうことを防止することができる。
(3)延設部8b,8b,10b,10bの長さを変更することにより、電子キー2の外観に影響を与えることなく加飾金属8,8,10,10全体の長さを変更することができる。このため、加飾金属8,8,10,10の共振周波数が、送信アンテナ11から送信される送信電波の基本波の整数倍の周波数を有する高調波の内、その半波長が加飾金属8,8,10,10の長手方向に沿ったケース4の長さと同程度となる高調波の周波数と一致しないように、加飾金属8,8,10,10の長さを設定することが容易となる。
尚、本実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、加飾金属8,8,10,10の加飾部8a,8a,10a,10aの両端に延設部8b,8b,10b,10bを設けたが、例えば図6(a)及び(b)に示すように、各加飾金属21の加飾部21aの一端だけに延設部21bを設けてもよい。
・上記実施の形態では、加飾金属8,8,10,10の延設部8b,8b,10b,10bの端部をケース4の側面4dに沿って設けたが、例えば図6(a)及び(b)に示すように、延設部8b,8b,10b,10bの端部21cを表面5a,6aに沿った方向へさらに延ばしてもよい。なお、この場合、例えば図7(a)及び(b)に示すように、延設部21bの端部21cが、加飾部21aが配置されている面(この場合アッパーケース5の表面5a)とは異なる面(この場合ロアケース6の表面6a)に配置されていてもよい。
・上記実施の形態では、アッパーケース5及びロアケース6の表面5a,6aに加飾金属8,8,10,10を設けたが、何れか一方のみ(この場合アッパーケース5のみ)に加飾金属8,8,10,10を設けてもよい。
・上記実施の形態では、加飾金属8,8,10,10の延設部8b,8b,10b,10bをケース4の短辺に沿った部位に配置したが、例えば図8(a)及び(b)に示すように、ケース4の長辺に沿った部位に延設部21dを配置してもよい。
・上記実施の形態では、金属部材として直線状の加飾金属8,8,10,10を電子キー2に設けたが、図9(a)に示すように、ケース4の表面5a側からみて略L字状に形成された加飾金属30を電子キー2に設けてもよい。また、図9(b)に示すように、ケース4の表面5a側からみて略コ字状に形成された加飾金属31を電子キー2に設けてもよい。
・上記実施の形態では、金属部材として、加飾金属8,8,10,10が設けられている電子キー2に具体化したが、このような態様に限定されない。例えば、図10(a)及び(b)に示すように、金属部材として、通信対象に対応する特定の機器を手動で動作させるためのメカニカルキー40が設けられている電子キー2aに具体化してもよい。この電子キー2aのケース41には、該ケース41の一側面に開口するキー収容部42が設けられている。メカニカルキー40は、略L字状に形成されており、ドア錠を手動で施解錠する際、対応するキーシリンダに挿入されるキー溝部40aと、キー溝部40aの面方向に延びる延設部としての把持部40bとを備えている。なお、この場合、メカニカルキー40のキー溝部40aにおいてキー溝40cが形成された部位が装着部に相当する。そして、キー溝40cと把持部40bとの間の距離L1を変更することによりキー溝部40aの長さを変更したり、図10(b)において二点鎖線にて示すように把持部40bの長さL2を変更したりすることで、メカニカルキー40全体の長さを適当な値に設定する。
・また、例えば図11に示すように、ケース4の内部に金属部材50が設けられている電子キー2bに具体化してもよい。この金属部材50は、環状に設けられるとともにその周方向において分断された開ループ形状を有している。この構成によれば、施解錠制御装置3との間の無線通信に際してこの金属部材50を送信アンテナとして効果的に活用し、電子キー2bから送信される送信電波の基本波の出力強度を向上させることができる一方、送信電波の高調波が金属部材50と共振することが防止される。このため、電子キー2bから送信される送信電波の高調波の出力強度の増加を抑制しつつ、基本波の出力強度のみを向上させることができる。
・上記実施の形態では、送信アンテナ11が加飾金属8,8,10,10と重ならないように配置したが、送信アンテナ11の一部が重なるように配置してもよい。
・上記実施の形態では、ケース4を、平面視において長方形を成す扁平形状に形成したが、このような態様に限定されず、例えば平面視において三角形や円形を成すように形成してもよい。また、上記実施の形態では、ケース4を、扁平形状に形成したが、例えばケースを立方体状に形成してもよい。
・上記実施の形態では、ケース4の厚さ方向に直交する側面(表面5a,6a)を意匠面としたが、ケース4の厚さ方向に沿った側面4dを意匠面としてもよい。
・上記実施の形態では、電子キー2にロックスイッチ5d及びアンロックスイッチ5eを設け、これらの操作によりドアロックを施解錠可能としたが、省略してもよい。
・電子キー2に、トランスポンダを搭載し、このトランスポンダと施解錠制御装置3との間でもID照合を行うようにしてもよい。
・上記実施の形態では、電子キー2と施解錠制御装置3との間の無線通信によって、対応する機器としての車両のドア錠の施解錠が行われるようにしたが、電子キー2とエンジン制御装置との間の無線通信によって、対応する機器としてのエンジンの始動が許可されるようにしてもよい。
・上記実施の形態では、車両の電子キーシステム1において、ドア錠の開閉に使用される電子キーに具体化したが、住宅等の電子キーシステムに具体化してもよい。
車両の電子キーシステムの概略構成図。 電子キーの外観形状を示す斜視図。 電子キーのケース構造を示す斜視図。 (a)は電子キーを表側から見た平面図、(b)は電子キーを裏側から見た平面図。 電子キーから送信される電波の周波数と、出力強度との関係について、発明者によるシミュレーション結果を例示するグラフ。 (a)は別例の電子キーの外観形状を示す斜視図、(b)は電子キーの側面図。 (a)は別例の電子キーの外観形状を示す斜視図、(b)は電子キーの側面図。 (a)は別例の電子キーの外観形状を示す斜視図、(b)は電子キーの側面図。 (a)は別例の電子キーの平面図、(b)は別例の電子キーの平面図。 (a)は金属部材としてメカニカルキーが設けられた別例の電子キーの外観形状を示す斜視図、(b)はメカニカルキーの平面図。 別例の電子キーの平面図。
符号の説明
2…携帯機としての電子キー、4,41…ケース、5a,6a…表面、8,10,21,30,31…金属部材としての加飾金属、8a,10a,21a…加飾部、8b,10b,21b,21d…延設部、11…送信アンテナ、40…メカニカルキー、40a…装着部としてのキー溝部、40b…延設部としての把持部、50…金属部材、L…長さ。

Claims (2)

  1. 非導電性材料からなるケースと、該ケースの内部に設けられ自身がもつ固有の識別コードを通信対象に無線で送信する送信アンテナと、該送信アンテナとは別に設けられた帯状の金属部材とを備え、前記通信対象側で前記識別コードの照合が一致したことを条件として当該通信対象に対応する特定の機器を動作させる携帯機において、
    前記金属部材の共振周波数が、前記送信アンテナから送信される送信電波の基本波の周波数を433MHzを含む数百MHzと規定したとき、この基本波の整数倍の周波数を有する高調波の内、その半波長が前記金属部材の長手方向に沿った前記ケースの長さと同程度となる高調波の周波数と一致しないように、前記金属部材の長さを設定しつつ、前記金属部材と前記送信アンテナは重ならないように配置され
    前記金属部材は、前記ケースの内部に設けられ、環状に設けられるとともにその周方向において分断された開ループ形状を有することを特徴とする携帯機。
  2. 前記金属部材の共振周波数が、前記送信アンテナから送信される送信電波の1つの高調波の周波数と、該高調波よりも1つだけ高次若しくは低次の高調波の周波数との間の値となるように、前記金属部材の長手方向の長さを設定したことを特徴とする請求項1に記載の携帯機。
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