JP5312973B2 - トーションバーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、使用時にねじり応力が加えられるトーションバーおよびその製造方法に係り、特に疲労強度の向上技術の改良に関する。
直線状のばねであるトーションバーは、自動車の懸架等に使用されている。トーションバーでは、その一端を固定して他端をねじったときのねじり変形によるばね作用を利用しており、単位体積あたりに蓄えられる弾性エネルギーが大きいことから、軽量でかつコンパクトである。
このようなトーションバーの製造方法では、その疲労強度向上のために種々の技術が提案されている。たとえば、非特許文献1では、トーションバーの材質としてSUP9を用いて焼入れおよび焼戻しを行うことにより、所定の硬さを有するように調質された調質トーションバーを得ている。また、高周波焼入れ用材料として、調質された合金から炭素鋼に変更して用いることが多いが、高周波焼入れ用トーションバーでも、S45C等の炭素鋼に変更して用いている。この場合、表面に形成される硬化層の深さの比(=硬化層の深さ/トーションバーの半径)が45〜75%となるように、S45Cからなる素材に高周波焼入れを行い、その後、低温(150℃)で焼戻しを行うことにより、通常のトーションバーよりも高い疲労強度を得ている。
一方、ばね製品の疲労強度を向上させる技術として、ショットピーニングや高周波焼入れによる圧縮残留応力の付与がある。また、これらの技術を応用し、さらに大きな圧縮残留応力を得るための技術として、板ばねへの適用を目的として開発されたストレスショットピーニングやストレス高周波焼入れがある。
たとえば特許文献1のストレスショットピーニングでは、板ばねをその使用方向に曲げ応力を加えた状態で表面にショットピーニングを行う。ショットピーニング後の板ばねでは、それを冶具から取り外す際に働く復元力(板ばねが元に戻ろうとする力)により、通常のショットピーニングよりも大きな圧縮残留応力が表層に発生する。たとえば特許文献2のストレス高周波焼入れでは、板ばねをその使用方向に曲げ応力を加えた状態で表面に高周波焼入れを行う。高周波焼入れ後の板ばねでは、それを冶具から取り外す際に働く復元力により、通常の高周波焼入れよりも大きな圧縮残留応力が発生する。
特開昭60−227929号公報 特開2006−71082号公報
高周波焼入トーションバーの研究、佐藤保夫、丹下彰、白井勝義、ばね技術研究会昭和55年度
ところで、自動車では、燃費向上のため、各部品の軽量化が要求されている。トーションバーの軽量化には小径化が有効である。しかしながら、この場合、トーションバーにはより大きな応力が負荷されることから、上記のような従来技術のトーションバーの疲労強度では不十分であった。
したがって、本発明は、小径化による大きな応力の負荷に対応可能な高疲労強度を有するトーションバーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
トーションバーでは、図11に示すように、一端を固定し、他端を矢印方向Tにねじると、軸線に対する45°方向に引張の主応力が発生し、軸線に対する−45°方向に圧縮の主応力が発生する。本発明者は、このようなトーションバーの使用時の応力発生状態を考慮し、トーションバーの素材である鋼材への高周波焼入れ時に次のようにねじり応力を負荷することにより、疲労強度の向上を図ることができることを見出した。
トーションバーの使用方向である45°方向にねじり応力を負荷した状態で、鋼材に高周波焼入れを行う。その後、ねじり応力の負荷を解除すると、45°方向に圧縮残留応力が付与される。トーションバーでは、使用方向である45°方向に発生する引張主応力による疲労が破壊原因となるが、上記のように45°方向に圧縮残留応力を付与すると、トーションバーの使用では、45°方向に生じる引張主応力が上記圧縮残留応力と相殺され、その結果、疲労強度の向上を図ることができる。この場合、そのような効果を得るためには、高周波焼入れ時に鋼材に負荷するねじり応力を900MPa以上に設定する必要がある。
本発明のトーションバーの製造方法は、鋼材の一端を固定して、鋼材の他端を使用状態と同じ方向の一方向にねじって900MPa以上のねじり応力を前記鋼材に負荷した状態でのみ鋼材に高周波焼入れを行うことにより、ねじり応力の除荷後の鋼材に圧縮残留応力を付与し、前記鋼材の軸線方向に対する45°方向と−45°方向との表面における圧縮残留応力を850MPa以上に設定し、高周波焼入れ中、ねじり応力を継続負荷し、トーションバーの半径をr、焼入れ硬化層の表面からの深さをtとすると、0.05<t/r<0.17を満足するように焼入れ移動速度を設定することを特徴としている。本発明のトーションバーの製造方法では、高周波焼入れ時に鋼材に負荷するねじり応力を900MPa以上に設定することにより、疲労強度の向上を図ることができ、その結果、大きな応力の負荷への対応が可能となり、トーションバーの小径化が可能となる。
本発明のトーションバーの製造方法においては、高周波焼入れ中、ねじり応力を継続負荷するたとえば、鋼材のねじり量を一定に保持してねじり応力を継続負荷しない場合、高周波焼入れを開始すると、加熱により歪みが緩和されて、焼入れ途中でねじり応力が除去される。その結果、ねじり応力の負荷による上記効果が不十分になるから、ねじり応力を継続負荷することは重要である。高周波移動焼入れ時にねじり応力の継続負荷を行うことにより、軸線に平行な表面領域の全体に圧縮残留応力を付与することができる。
本発明の第1のトーションバーは、上記製造方法により得られるトーションバーである。すなわち、本発明のトーションバーは、疲労限度が片振りの応力振幅で450MPa以上であることを特徴としている。本発明のトーションバーでは、本発明のトーションバーの製造方法と同様な効果を得ることができる。
本発明の第2のトーションバーは、上記製造方法により得られるトーションバーであって、表面に母材より硬い硬化層が形成されたものである。ここで、本発明のトーションバーの製造方法においては、トーションバーの半径r、硬化層の表面からの深さtは、0.05<t/r<0.17を満足することを特徴としている。t/rが0.05以下である場合、硬化層が薄いため、その厚さのコントロールが困難となり、安定した均一な硬化層の形成が困難である。一方、t/rが0.17以上である場合、除荷時の復元力による効果が表面付近まで到達しないため、十分な疲労強度を得ることができない。0.05<t/r<0.17を満足することにより、上記不具合を解消することができる。

鋼材の硬度を430〜510HVとすることが好適である。鋼材の硬さが430HV以下である場合、十分な疲労強度を確保することができない。一方、鋼材の硬さが510HV以上である場合、鋼材が脆性的に破壊するので好ましくない。鋼材の硬度を430〜510HVとすることにより、上記不具合を解消することができる。
トーションバーでは、その使用方向Tにねじり応力を加えると、図11に示すように、軸線に対する45°方向に引張の主応力が生じ、軸線に対する−45°方向に圧縮の主応力が生じるから、軸線に対する45°方向に付与される圧縮残留応力が−45°方向に付与される圧縮残留応力に対して十分大きいことが好適である。この場合、残留応力差が大きくなるに従い、トーションバーの疲労限度が大きくなり、圧縮残留応力差の最大値が850MPa以上であると、十分な疲労限度を得ることができる。
本発明のトーションバーあるいはその製造方法によれば、高周波焼入れ時に鋼材に負荷するねじり応力を900MPa以上に設定することにより、疲労強度の向上を図ることができ、その結果、大きな応力の負荷への対応が可能となり、トーションバーの小径化が可能となる。
本発明の実施例で用いた高周波誘導加熱装置を表し、(A)は装置に用いた試料を表す拡大斜視図、(B)は装置の概略構成を表す斜視図である。 (A)は本発明の実験例11の試料の表面からの距離と残留応力との関係を表すグラフ、(B)は比較実験例11の試料の表面からの距離と残留応力との関係を表すグラフである。 本発明の実験例11,比較実験例11,12の試料への疲労試験での応力振幅と耐久回数の関係を表すグラフである。 本発明の実験例21,22,比較実験例21〜24の試料の高周波焼入れの際のねじり応力と疲労限度との関係を表すグラフである。 本発明の実験例22の試料の45°方向と−45°方向の表面からの距離と残留応力の関係を示すグラフである。 本発明の比較実験例23の試料の45°方向と−45°方向の表面からの距離と残留応力の関係を示すグラフである。 本発明の比較実験例24の試料の45°方向と−45°方向の表面からの距離と残留応力の関係を示すグラフである。 本発明の実験例21,22および比較実験例21〜24の試料の45°方向と−45°方向での表面圧縮残留応力差と疲労限度との関係を示すグラフである。 試料の半径rに対する硬化層の表面からの深さtの比(t/r)と疲労限度の関係を示すグラフである。 t/rが0.17のときの試料の表面からの距離と45°方向と−45°方向の残留応力との関係を表すグラフである。 トーションバーの使用におけるねじり応力負荷時の45°方向(引張主応力発生方向)および−45°方向(圧縮主応力発生方向)を示す概念図である。
(1)試験方法
以下、具体的な実施例を参照して本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。実施例では、図1に示す高周波誘導加熱装置100を用いた。高周波誘導加熱装置100では、治具101に固定されたトルク発生部102により、ねじり応力を試料10に負荷した状態で、試料10の表面に高周波移動焼入れを行った。
試験片には,中央部に小径部11を形成し、両端部に大径部12を形成し、小径部11と大径部12とを接続するテーパ部13を形成した直線状をなす試料10を用いた。小径部11の径は12mmとした。高周波加熱は、コイル103により行い、その周波数および出力をを200KHz、45kWに設定した。図1(A)の斜線部分10Aは、コイル103による被加熱部であり、矢印Tは、試料10に加えられるねじり応力の方向を示し、矢印Mは試料10の移動方向を示している。
(2)試験結果
(2−1)高周波焼入れ時のねじり応力の有無の影響
試料10として、HV480に調質したSUP9を用い、高周波焼入れ時のねじり応力の有無の影響を調べた。実験例11では、試料10の最表面でのせん断応力τが1000MPaに相当するねじり応力を試料10に負荷した状態で、高周波誘導加熱装置100による高周波移動焼入れを行った。比較実験例11では、試料10にねじりモーメントを負荷しない状態で、高周波誘導加熱装置100による高周波移動焼入れを行った。その結果を図2(A),(B)に示す。
図2(A),(B)は、本発明の実験例11および比較実験例11の試料の表面からの距離と残留応力との関係を表すグラフである。図2(A),(B)での実線は、軸線に対する45°方向(引張主応力発生方向)での残留応力を示し、破線は、軸線に対する−45°方向(圧縮主応力発生方向)での圧縮残留応力を示している。
図2(A),(B)から判るように、ねじり応力を負荷した状態で高周波焼入れを行った本発明の実験例11の試料では、ねじり応力を負荷しない状態で高周波焼入れを行った比較実験例11の試料よりも、使用時の引張主応力発生方向である45°の方向において、圧縮主応力発生方向である−45°の方向よりも大きな圧縮残留応力が得られ、圧縮残留応力領域におけるその差の最大値は850MPa以上であった。
実験例11,比較実験例11の試料に疲労試験を行った。疲労試験では応力比を0.1に設定した。また,50万回で破壊しなかった応力を疲労限度と定義した。その結果を図3に示す。図3は、応力振幅と耐久回数の関係を表すグラフである。図3中のプロット□は本発明の実験例11の試料のデータを示し、プロット△は比較実験例11の試料のデータを示し、プロット×は、高周波焼入れを行わなかった比較実験例12の試料(調質した状態のままの試料)のデータを示している。
一点鎖線は、非特許文献1に記載の比較試料1(トーションバーの材質としてSUP9を用いて焼入れおよび焼戻しを行うことにより、所定の硬さを有するように調質されたトーションバー)の従来データ1を示している。実線は、非特許文献1に記載の比較試料2(トーションバーの材質としてS45Cを用いて硬化層深さが45〜75%となるようにトーションバーに高周波焼入れを行った後、低温(150℃)で焼戻しを行ったトーションバー)の従来データ2を示している。非特許文献1の疲労試験では平均応力が490MPaに設定されている。
図3から判るように、ねじり応力を負荷した状態で高周波焼入れを行った本発明の実験例11の試料では、非特許文献1に記載の従来データ1,2よりも、疲労強度が高かった。また、本発明の実験例11の試料では、比較実験例11の試料よりも、同じ耐久回数で見た場合、応力振幅が大きく、同じ応力振幅で見た場合、耐久回数が多かった。これにより、本発明の実験例11の試料は、比較実験例11の試料よりも、疲労強度が高いことを確認した。これは、図2(A),(B)に示したように、本発明の実験例11の試料ではトーションバーの使用時に45°方向(引張主応力発生方向)において、−45°方向(圧縮主応力発生方向)や軸線方向よりも大きな圧縮残留応力が得られているからであると考えられる。
(2−2)高周波焼入れ時のねじり応力と疲労限度との関係
試料10としてHV480に調質したSUP9を用い、試料に負荷するねじり応力の大きさを1200MPa,1000MPa,890MPa,667MPa,333MPaに設定し、高周波誘導加熱装置100による高周波移動焼入れを行った。そして、高周波焼入れ時のねじり応力を1200MPaとした実験例21の試料、1000MPaとした実験例22の試料,890MPaとした比較実験例21の試料,780MPaとした比較実験例22の試料、667MPaとした比較実験例23の試料、333MPaとした比較実験例24の試料に疲労試験を行った。その結果を図4に示す。
図4は、本発明の実験例21,22および比較実験例21〜24の高周波焼入れの際のねじり応力と疲労限度との関係を表すグラフである。図5〜7は、本発明の実験例22および比較実験例23,24の試料の表面からの距離と、45°方向と−45°方向での残留応力との関係を表すグラフである。なお、図4では、高周波焼入れ時に試料にねじり応力を負荷しなかった比較実験例11の試料のデータ(ねじり応力の大きさ0MPa)を併記している。
図5〜7から判るように、高周波焼入れ中に負荷するねじり応力が大きくなるに従い、使用時の引張主応力発生方向である45°方向の圧縮残留応力が大きくなることを確認した。そして、図4から判るように、高周波焼入れ中に負荷するねじり応力が900MPa未満の場合、試料の疲労限度は、ねじり応力を負荷しないものと略同じであるが、900MPa以上にすると、大きくなった。これにより、高周波焼入れ中に負荷するねじり応力は900MPa以上に設定する必要があることを確認した。
(2−3)45°方向と−45°方向での表面圧縮残留応力差と疲労限度との関係
図8は、本発明の実験例21,22および比較実験例21〜24の試料の45°方向と−45°方向での表面圧縮残留応力差と疲労限度との関係を表すグラフである。図中のプロット■は、横軸において右側から順に本発明の実験例21,22および比較実験例21〜24の試料のデータを示している。
図8から判るように、45°方向と−45°方向との表面圧縮残留応力の差が850MPa未満の場合、試料の疲労強度は、ねじり応力を負荷しないものと略同じであるが、850MPa以上にすると、大きくなった。これにより、45°方向と−45°方向での表面圧縮残留応力差が850MPa以上に設定することが好適であることを確認した。
(2−4)高周波焼入れ時のねじり応力の負荷状態の影響
試料10としてS45Cを用い、試料に一定のねじり応力を負荷した状態で、高周波誘導加熱装置100による高周波移動焼入れを行い、本発明の実験例31の試料を得た。また、試料10としてS45Cを用い、試料に一定のねじり応力を継続負荷しない状態で、高周波誘導加熱装置100による高周波移動焼入れを行い、比較実験例31の試料を得た。本発明の実験例31および比較験例31の試料の焼入れ開始側、中間部、焼入れ終了側の各箇所の断面の残留応力を測定した。
その結果、ねじり応力の継続負荷を行った本発明の実験例31では、上記の全ての箇所で圧縮残留応力差が得られ、ねじり応力の継続負荷を行わなかった比較実験例31では、本発明の実験例31よりも、上記の全ての箇所で圧縮残留応力差が小さかった。これにより、ねじり応力を継続負荷した場合には、軸線に平行な表面領域の全体で大きな圧縮残留応力差が得られることを確認した。
(2−5)硬化層の表面からの深さ
試料10としてHV480に調質したSUP9を用い、試料にねじり応力を負荷した状態で、高周波誘導加熱装置100による高周波移動焼入れを行い、焼入れ移動速度を変化させることで硬化層の深さの異なる試料を得た。それら試料について、硬化層の深さと疲労強度の関係を調べた。その結果を図9に示す。図9は、t/rと疲労限度の関係を示すグラフである。図10は、t/rが0.17のときの試料の表面からの距離と残留応力との関係を表すグラフである。図9では、硬化層の深さについて、試料の半径rに対する硬化層の表面からの深さtの比(t/r)で示している。
図9から判るように、t/rが0.05以下である場合、疲労強度が大きく低下した。この場合、硬化層が薄いため、その厚さの制御が困難となる結果、安定した均一な硬化層の形成が困難であるからである。一方、t/rが0.17以上である場合、疲労強度が小さかった。この場合、原因は不明であるが、図10から判るように、ねじり応力除荷時の復元力による効果が表面付近まで届かないからと考えられる。このように、試料の半径rに対する硬化層の表面からの深さtの比が0.05<t/r<0.17を満足することにより、疲労限度を向上させることができることを確認した。
10…試料、10A…被加熱部、11…小径部、12…大径部、13…テーパ部、100…高周波誘導加熱装置、101…治具、102…トルク発生部、103…コイル

Claims (6)

  1. 鋼材の一端を固定して、前記鋼材の他端を使用状態と同じ方向の一方向にねじって900MPa以上のねじり応力を前記鋼材に負荷した状態でのみ前記鋼材に高周波焼入れを行うことにより、前記ねじり応力の除荷後の前記鋼材に圧縮残留応力を付与し、
    前記鋼材の軸線方向に対する45°方向と−45°方向との表面における圧縮残留応力を850MPa以上に設定し、前記高周波焼入れ中、前記ねじり応力を継続負荷し、トーションバーの半径をr、焼入れ硬化層の表面からの深さをtとすると、0.05<t/r<0.17を満足するように焼入れ移動速度を設定することを特徴とするトーションバーの製造方法。
  2. 前記鋼材としてS45CあるいはSUP9を用いることを特徴とする請求項1に記載のトーションバーの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により製造されたトーションバーであって、
    疲労限度が片振りの応力振幅で450MPa以上であることを特徴とするトーションバー。
  4. 表面に母材より硬い硬化層が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のトーションバー。
  5. 前記鋼材の母材硬度を430〜510HVとすることを特徴とする請求項4に記載のトーションバー。
  6. 前記鋼材の軸線に平行な表面領域の全体に圧縮残留応力が付与されていることを特徴とする請求項4または5に記載のトーションバー。
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