JP5312000B2 - 充放電装置 - Google Patents

Description

本発明は、複数の二次電池を一度に充放電するために充放電装置に関し、特に各二次電池の寸法誤差や、充放電時の形状変化に追従可能な充放電装置に関する。

近年、携帯電話や携帯パソコンなどのモバイル機器の発達や、電気自動車やハイブリッド自動車などの実用化に伴って、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池の需要が拡大している。そうした二次電池の製造工程では、各構成部品を組み立てた後、充放電等を行うことにより電池を活性化させるなどして各電池を所定の特性に調整することが行われる。電池組み立て後は、複数の二次電池が並べられて一度に充放電が行われる。その際、二次電池の充電時に電池ケースが膨張してしまうため、例えば、下記特許文献１では、複数の二次電池を制限治具によって固定し、それぞれの二次電池の膨張を制限する充放電装置が記載されている。
特開２００６−２５２８３１号公報 特開平０７−２２６２３４号公報

こうした従来の充放電装置では、二次電池側を拘束することによる膨張の影響を抑え、二次電池の正極及び負極端子に電源側端子を接続させていた。しかし、複数の二次電池を一体に拘束しても、全体として寸法は変わらなくても個々の二次電池ではズレが生じてしまうこともあり、充放電に当たって固定された電源側端子が適切に接続できなくなることがあった。特に、複数の二次電池を一度に行うため、一つずつが僅かな０．２ｍｍ程度のズレであっても、それが積み重ねられ、基準位置から離れた位置のものは二次電池の端子と電源側端子との接続すら困難になることもあった。

そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、二次電池の正極及び負極端子と電源側端子との確実な接続を行うための充放電装置を提供することを目的とする。

本発明に係る充放電装置は、複数の二次電池を幅方向に重ねるように並べて配置し、当該二次電池の正極端子及び負極端子に電源側端子を差し込んで充放電を行うものであって、前記複数の二次電池に対して一又は二以上の組みになった二次電池毎に前記電源側端子を持った複数の充放電ユニットを備え、その充放電ユニットが、前記二次電池の並び方向にスライド可能に取り付けられたものであることを特徴とする。

また、本発明に係る充放電装置は、前記複数の充放電ユニットをスライド可能に備えた充放電治具と、前記複数の二次電池を一つずつスペーサによって幅方向に挟み込み、並んだ幅方向に移動可能に保持するようにした電池用パレットとを有し、前記充放電ユニットは、前記スペーサの間に入り込んで前記二次電池に対して位置決めする倣い歯が形成されたものであることが好ましい。
また、本発明に係る充放電装置は、前記電池用パレットが、前記複数の二次電池とパレットに対して並んだ一方向に付勢部材を介して荷重をかけるようにした拘束治具を有するものであることが好ましい。
また、本発明に係る充放電装置は、前記充放電ユニットが戻しバネに連結され、前記一方向に引っ張られていることが好ましい。

よって、本発明によれば、複数の二次電池に対して一度に充放電を行う場合、複数ある二次電池のうち一又は二以上の組みになった二次電池毎にスライド可能な充放電ユニットを設け、その電源側端子を二次電池の正極及び負極端子に差し込んで行うため、二次電池が膨張して位置ズレしても電源側端子と正極及び負極端子のズレ量は僅かであるため、二次電池の正極及び負極端子と電源側端子との確実な接続を維持することができる。

次に、本発明に係る充放電装置について実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図１は、本実施形態の充放電装置を示した充電時の側面図である。この充放電装置１は、２５個の二次電池５を一度に充電することが可能なものであり、大きく分けて電源側端子を有して上下動する上方の充放電治具２と、二次電池５を幅方向に重ねて並べる電池用パレット３とで構成されている。充放電治具２には２５個の二次電池５に対応して、それぞれに不図示の電源側端子が設けられ、下降することによって二次電池５の正極及び負極端子へ、その電源側端子が適切に接続できるよう構成されている。

その充放電治具２は、不図示の可動手段によって上下方向に移動することができるように構成されている。充放電治具２には、図面左右方向に長いベース１１が設けられ、その両端には縦板１２，１３が固定されている。そして、長手方向両端の縦板１２，１３に対し長手方向（図面左右方向）に延びたに案内ロッド１４の両端部が固定されている。案内ロッド１４は２本設けられ、その案内ロッド１４が貫いて配置された複数の櫛歯充放電ユニット２０が、その案内ロッド１４に倣って移動できるようになっている。

ここで、図２は、櫛歯充放電ユニット２０を側面から見た図である。櫛歯充放電ユニット２０は、案内ロッド１４に沿って摺動可能なスライドブロック２１を有し、そこに貫通して形成された摺動孔２１ａを案内ロッド１４が通されている。そして、スライドブロック２１の両端（図面を貫く方向の両端）にはプレート２２が固定されている。プレート２２は、先端に倣い歯２２ａが形成されている。これは、後述する電池用パレット３に倣って下降できるように形成されたものである。櫛歯充放電ユニット２０には、プレート２２に端子台２３が固定され、そこには３つの二次電池５に対応して正極及び負極端子の電源側端子２４がそれぞれ設けられている。

本実施形態では、こうした３個の二次電池５に対応する櫛歯充放電ユニット２０と、２個の二次電池５に対応する櫛歯充放電ユニット２０ｘが設けられている。櫛歯充放電ユニット２０ｘは、電源側端子２４が２個の二次電池５に対応しているだけで、その他の構成は櫛歯充放電ユニット２０と同様に構成されている。充放電装置１は前述したように２５個の二次電池５を１セットとして充放電を行うものであり、そのため７個の櫛歯充放電ユニット２０と、２個の櫛歯充放電ユニット２０ｘが図１に示すように案内ロッド１４に対して摺動可能に組まれている。

充放電治具２の複数の櫛歯充放電ユニット２０（櫛歯充放電ユニット２０ｘも含む。以下同じ）は、いずれも戻しバネ１５によって同一方向（図面右側）へ引っ張られている。戻しバネ１５はプレート２２とベース１１との間に斜めにして連結され、櫛歯充放電ユニット２０が常に図面左側へ引っ張られるように構成されている。そして、充放電を行わない待機状態では、その戻しバネ１５によって引っ張られた櫛歯充放電ユニット２０の端子台２３同士が当たって位置決めされている。

次に、充放電装置１の電池用パレット３について説明する。電池用パレット３は、長尺なベース３１の両端に起立した端部板３２，３３が固定され、その端部板３２，３３には複数の梁部材３４が連結され両板の間に掛け渡されている。端部板３２，３３は、電池用パレット３を長手方向に見た場合、二次電池５の形状に合わせて矩形に形成され、その角部や側部中間位置などに設けられた梁部材３４によって連結されている。従って、こうした端部板３２，３３や梁部材３４によって囲まれた空間に上方から二次電池５が挿入され、その二次電池５に対し上方から充放電治具２の電源側端子２４が差し込まれるようになっている。

また、電池用パレット３には二次電池５を入れる空間にスペーサ３５が設けられている。スペーサ３５は、隣り合う二次電池５の間に配置されるものであって、長手方向（二次電池の厚み方向）の両側から２５個の二次電池５をそれぞれ挟み込むだけの数が設けられている。また、二次電池５は、充電時にガスが発生して電池ケースが膨張するため、スペーサ３５は、その膨張に応じて位置ズレするように電池用パレット３の長手方向に移動できるようになっている。そのためには、図示していないが、例えばスペーサの側面に凹溝が形成され、そこに嵌合した梁部材３４に倣って移動できるように構成されている。

電池用パレット３には、充電時の複数の二次電池５とスペーサ３５に対して一定の荷重がかけられ、二次電池５の膨張を抑え込むための拘束治具が設けられている。その拘束治具４０は、スペーサ３５に直接当接する当接板４１と、コイルバネ４２，４３を介して平行に配置された押板４４などによって構成され、コイルバネ４２，４３の付勢力によって二次電池５の膨張を制限するようにしている。ここで、図３は、充放電装置１による二次電池５への充電状態を示した部分拡大図である。また、図４は、電池用パレット３の拘束治具４０側の端部を示した一部断面の平面図である。

スペーサ３５は、二次電池５が挿入されるように、サイズを合わせて中央部分に凹み３５ａが形成され、両端部には幅広部３５ｂが形成されている。そして、このスペーサ３５は、図３に示すように、幅広部３５ｂの上部にテーパ面３５ｃが形成されて山形になっている。充放電治具２の櫛歯充放電ユニット２０に設けられたプレート２２は、先端に形成された傾斜を持った倣い歯２２ａがテーパ面３５ｃによって案内され、スペーサ３５の間にスムーズに入って位置決めできるようになっている。

例えば、本実施形態では図３に示すように、一つの櫛歯充放電ユニット２０に対して３個の二次電池５が対応している。そのため、櫛歯充放電ユニット２０の倣い歯２２ａは、中央の二次電池５を挟む２個のスペーサ３５，３５の間に挿入されて位置決めできるようになっている。その際、二次電池５とスペーサ３５は、拘束治具４０によって一定の荷重で反対の端部板３３側へと押しつけられている。拘束治具４０は、図４に示すように、当接板４１と押板４４との間にコイルバネ４２，４３が連結されて一体になっている。

更に、当接板４１には複数の案内ロッド４５が固定され、貫いた押板４４が起立した状態で平行に移動できるように支持されている。従って、当接板４１と押板４４との距離が変わることによって、コイルバネ４２，４３による荷重の吸収を可能にしている。また、この拘束治具４０には、端部板３２に雌ネジ部材４６が固定され、それに雄ネジの位置決ロッド４７が螺設されている。位置決ロッド４７の先端は、回転可能に押板４４に連結されており、位置決ロッド４７のねじ込み量によって押板４４の位置が調節できるようになっている。

このように構成された本実施形態の充放電装置１によれば、次のようにして充電作業が実行される。二次電池では、正極および負極を備える電極が電池ケースに挿設され、電解液が注入された後、仮封止されて初期充電が行われる。電池用パレット３に対して２５個の二次電池５が図４に示すようにスペーサ３５の間にそれぞれ順に挿入される。このとき拘束治具４０は、位置決ロッド４７が端部板３２を図面左側に突き出し、当接板４１や押板４４はフリーになっているためスペーサ３５の位置を自由に変えられるようになっている。そして、二次電池５を全て挿入した後に拘束治具４０による押し付けが行われる。

位置決ロッド４７の締め付けにより図４左側に押板４４が移動し、その押板４４と二次電池５との距離が縮まることにより、コイルバネ４２，４３を介して当接板４１が二次電池５へと押しつけられる。従って、幅方向に並べられた複数の二次電池５及びスペーサ３５が反対の端部板３３側へと押し付けられ、セットされた２５個の二次電池５がスペーサ３５の間隔で正確に位置決めされる。位置決ロッド４７は、二次電池５に一定荷重がかかるように所定トルクまで締め付けられる。

電池用パレット３に対して二次電池５のセットが終了した後は充放電治具２が下降し、図３に示すように電源側端子２４が二次電池５の正極端子５ａ及び負極端子５ｂへと差し込まれる。その際、櫛歯充放電ユニット２０は、倣い歯２２ａがスペーサ３５の間に入り込んで位置決めされ、それぞれの電極側端子２４と二次電池５の正極端子５ａ及び負極端子５ｂとが正確に対応した挿入が行われる。そして、このとき一つの櫛歯充放電ユニット２０に対して３個の二次電池５が関係づけられる。

充電工程ではガスが発生して電池ケースが膨張してしまうため、図１のように並べられた２５個の二次電池５は、固定された端部板３３とは反対の図面左方向へズレることになる。そうした二次電池５に対し、端部板３２側に設けられた拘束治具４０が膨張を制限している。しかし、この拘束治具４０はコイルバネ４２，４３によって二次電池５を一定荷重で押さえ込んでいるだけであるため、その一定荷重を超えて膨張すると二次電池５がバネ力に抗してズレることになる。そして、その一つずつが例えば僅か０．２ｍｍ程度のズレであったとしても、そうした移動量が積算される端部板３２側では当初の位置からのズレ量が大きくなってしまい、電源側端子２４が正極或いは負極端子５ａ，５ｂから外れたり、折れたりしてしまう。

この点、本実施形態では、一つの櫛歯充放電ユニット２０に３個の二次電池５が関係づけられ、二次電池５の膨張はその中で吸収されることになる。すなわち、それぞれの二次電池５が充電によって膨張し、拘束治具４０の付勢力に抗して位置ズレすると、それに応じてスペーサ３５の位置も変化することになる。一方、櫛歯充放電ユニット２０は、充放電治具２において案内ロッド１４を摺動するため、その倣い歯２２ａが引っ掛けられるようにしてスペーサ３５に伴って移動することになる。

すなわち、櫛歯充放電ユニット２０は、それぞれが案内ロッド１４を図１の左側へ僅かずつスライドするが、その際、図３に示すように３個が組みになった二次電池５の中心に倣い歯２２ａが常に位置しているため、一つの櫛歯充放電ユニット２０は、中心の二次電池５に対して左右の二次電池５，５が移動した距離が、電源側端子２４と正極及び負極端子５ａ，５ｂとのズレ量になる。従って、複数の二次電池５を重ねるように並べて充電する場合にでも膨張によるズレが積算されず、ズレ量は僅かであるため、電源側端子２４が多少撓む程度である。

更に、二次電池５は、その状態のまま充放電が繰り返して行われる。例えば、２〜５Ｃの電流でＳＯＣ１００％まで充電が施され、その後、５Ｃの電流で電池電圧が１．０Ｖになるまで放電する充放電サイクルが実行される。
そして、充放電工程が終了すると、充放電治具２は上昇して櫛歯充放電ユニット２０の電源側端子２４が正極及び負極端子５ａ，５ｂから外され、更に倣い歯２２ａがスペーサ３５から外されることになる。これにより、充電時に移動した櫛歯充放電ユニット２０は、戻しバネ１５によって引っ張られて端子台２３同士が当たり、元の位置に戻される。

よって、本実施形態の充放電装置１によれば、複数の二次電池５を並べて充放電する場合でも、櫛歯充放電ユニット２０によって数個ずつ、例えば２個や３個の二次電池５に対応させ、膨張による影響を無くすように構成されているため、二次電池の正極及び負極端子と電源側端子とを確実に接続させた状態で充放電を行うことが可能になった。
また、充放電装置１は、複数の櫛歯充放電ユニット２０をスライド可能に備えた充放電治具２と、二次電池５を挟み込むスペーサ３５によって幅方向に挟み込んだ電池用パレット３とを有する簡単な構成によって、前記効果を安価に達成することが可能になった。

また、櫛歯充放電ユニット２０は、二次電池５を挟んだスペーサ３５の間に倣い歯２２ａが入り込んで位置決めするため、充放電治具２の下降によって正確に電源側端子２４が二次電池５の正極及び負極端子５ａ，５ｂに挿入できる。
また、充放電装置１の電池用パレット３は、パレット３５で挟んだ二次電池５を拘束治具４０によって一方向に荷重をかけて位置決めするので、下降する電源側端子２４が正確に正極及び負極端子５ａ，５ｂに挿入できる。そして、その拘束治具４０によって二次電池５の膨張による変形を防止することができる。
更に、充放電装置１は、櫛歯充放電ユニット２０が戻しバネ１５に連結されているため、充放電終了後は一方向に引っ張られ、次の充放電に備えることができる。

以上、本発明に係る充放電装置の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、３個又は２個の二次電池５を一組とした櫛歯充放電ユニット２０を示したが、これに限らず１個或いは４個以上の二次電池５に対した櫛歯充放電ユニット２０としてもよい。ただし、一組における二次電池５の個数が多くなると膨張によるズレが吸収できなくなるため、その点を考慮する必要がある。

実施形態の充放電装置を示した充電時の側面図である。 充放電装置の櫛歯充放電ユニットを側面から見た図である。 充放電装置による二次電池への充電状態を示した部分拡大図である。 充放電装置を構成する電池用パレットの拘束治具側端部を示した一部断面の平面図である。

符号の説明

１ 充放電装置
２ 充放電治具
３ 電池用パレット
５ 二次電池
１１ ベース
１４ 案内ロッド
１５ 戻しバネ
２０ 櫛歯充放電ユニット
２１ スライドブロック
２２ プレート
２４ 電源側端子
３５ スペーサ
４０ 拘束治具
４２，４３ コイルバネ

Claims (4)

1. 複数の二次電池を幅方向に重ねるように並べて配置し、当該二次電池の正極端子及び負極端子に電源側端子を差し込んで充放電を行う充放電装置において、
   前記複数の二次電池に対して一又は二以上の組みになった二次電池毎に前記電源側端子を持った複数の充放電ユニットを備え、その充放電ユニットが、前記二次電池の並び方向にスライド可能に取り付けられたものであることを特徴とする充放電装置。
2. 請求項１に記載する充放電装置において、
   前記複数の充放電ユニットをスライド可能に備えた充放電治具と、前記複数の二次電池を一つずつスペーサによって幅方向に挟み込み、並んだ幅方向に移動可能に保持するようにした電池用パレットとを有し、
   前記充放電ユニットは、前記スペーサの間に入り込んで前記二次電池に対して位置決めする倣い歯が形成されたものであることを特徴とする充放電装置。
3. 請求項２に記載する充放電装置において、
   前記電池用パレットは、前記複数の二次電池とパレットに対して並んだ一方向に付勢部材を介して荷重をかけるようにした拘束治具を有するものであることを特徴とする充放電装置。
4. 請求項３に記載する充放電装置において、
   前記充放電ユニットは、戻しバネが連結され、前記一方向に引っ張られていることを特徴とする充放電装置。

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