JP5311564B2 - 粒子線照射装置および粒子線制御方法 - Google Patents
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Description
この炭素、ネオン等の重粒子線をがんを患う患者の患部に照射し、治療を行う場合、如何にゆらぎ小さく一定の線量を患者に照射するかが必要とされる。
そのため、患者の患部に照射する重粒子線を線量計で測定し、この線量信号を一定に保つように、フィードバック制御が行われている。
図5に示すように、シンクロトロンによって加速された後のビームb10は、そのサイズが小さく、シンクロトロン(加速器)の中心付近に分布している。
ところで、このRF−KO電圧がオフのときでも、僅かながら意図しないビーム(重粒子線)が取り出されるという問題が存在する。
また、従来、漏れ線量を低減するために、RF−KO電圧のオフと同時に、四重極電磁石を用いてベータトロン振動数を高速に変化させたり、高周波加速電圧をオフにすることが行われてきたが、次にRF−KO電圧をオンにして、照射を再開する時に、ベータトロン振幅が大きいビームが、短時間に取り出されてしまい、照射線量率が瞬間的に高くなってしまうという問題も存在する。
しかしながら、重粒子線が集中する狭いペンシルビームを用いるスキャニング照射では、意図しないビームの線量が大きいため、問題となる。
本発明は上記実状に鑑み、意図しないビームの取り出しを抑制できる粒子線照射装置および粒子線制御方法の提供を目的とする。
<重粒子線照射装置1の構成>
図1は、本発明に係わる実施形態の重粒子線照射装置(粒子線照射装置)1の全体構成を示す模式図である。
本実施形態の重粒子線照射装置1は、がんを患う患者の患部(照射対象)に炭素、ネオン等の電子を除いた粒子(原子核)の放射線である重粒子線を照射するシステムである。
なお、イオン源2から照射装置6に至るまでの重粒子線の輸送管は、高真空に保たれている。
図1に示すイオン源2には、PIG(Penning Ionization Gauge)型イオン源、あるいはECR(Electron Cyclotron Resonance)を利用してプラズマイオンを発生させるECR型イオン源等、公知のイオン源を用いることができる。例えば、炭素イオンC6+の重粒子を生成させる場合は、まずCO2等の希薄なガスに電子ビームを当て、炭素分子から電子をたたき出すことにより共有結合を切り、炭素原子または電子が1個剥がれたC1+を生成させる。
このプラズマにスリット付の負電極(−20kV程度)を近づけると、C4+イオンはプラズマから引き出され、線形加速器3で加速される。加速によりエネルギーが6MeV/核子になった時点で、C4+をストリッパ4に通過させる。これによりC4+に残っている2つの電子が剥ぎとられて炭素原子核だけのC6+となる。
線形加速器3で6MeV/核子まで加速されたC6+は、負の高電圧が印加されているインフレクタ8によりシンクロトロン5の周回軌道に入射される。
図1に示すシンクロトロン5は、加速高周波の周期を粒子回転周期に同期させることにより、炭素の原子核等の荷電粒子(重粒子)を高エネルギまで加速する環状の装置であり、「加速器」に相当するものである。
なお、図2は、シンクロトロン(加速器)5内の周回軌道を加速されて廻る照射装置6への取り出し前のビームb1と、照射装置6へ取り出し中のビームb2の水平方向位置(横軸x)とそのビーム強度(縦軸y)、およびデフレクタ電極13(二点鎖線で示す)との位置関係を示す図1のA−A線断面概念図であり、シンクロトロン5の水平方向の中心を原点として横軸に水平方向の位置をとり、縦軸に水平方向の位置のビーム強度をとっている。
図1に示すシンクロトロン5内の周回軌道を周回している多数の重粒子は、水平方向(図1の紙面に平行方向)又は鉛直方向(図1の紙面に垂直方向)に振動しながら周回している(図2に示す符号b1参照)。この振動をベータトロン振動といい、ベータトロン振動の周回軌道一周あたりの振動数をチューンと称する。チューンは、図1に示す偏向電磁石9や四極電磁石10などにより制御することができる。
ビームb1は、例えば、109〜1010個の炭素粒子であり、この炭素粒子は、横断面が楕円状を呈してシンクロトロン(加速器)5内の軌道を回転している。各炭素粒子に着目すると、この軌道に沿って、各炭素粒子が蛇行しながら、言い換えると、軌道に対する横断面でみると振動しながら、シンクロトロン5内の軌道に沿って廻っている。
すなわち、シンクロトロン5内の重粒子線のビームをシンクロトロン5の外の照射装置6に向けて取り出すためには、中心付近に分布する重粒子線のビーム(図2の符号b1参照)に、周回軌道に対して垂直に水平方向にRF−KO電極12で挟んでRF−KO電圧による電場を印加し、重粒子線のビームサイズを広げる(図2の符号b2参照)。
この重粒子の出射は、シンクロトロン5内の周回軌道を進む重粒子のベータトロン振動の共鳴を利用して行う。
なお、RF−KO電圧がオフのときには、この重粒子のビームサイズの増加がとまるために、重粒子のビームがデフレクタ電極13から取り出されなくなるので、照射を止めることが可能となる。
ここで、図3に示すように、中心付近にいるベータトロン振幅の小さなビームの、ベータトロン振動数をf0とすると、シンクロトロン5には六極電磁石14(図1参照)が存在するため、ベータトロン振幅が大きくなったビームは、これとは少し異なった周波数f0+△fで、ベータトロン振動をする。RF−KO電圧の周波数成分とこのベータトロン振動の周波数成分が一致したとき、共振がおこりベータトロン振幅は増大する。
この現象を利用して、RF−KO電極12により周波数f0+△fの成分をもった高周波電圧を印加することにより、或いは、RF−KO電極12で印加するベータトロン振動数f0近くのRF−KO電圧に周波数f0+△fの成分の高周波電圧を混ぜておくことにより、軌道振幅が大きいビームの振動を、選択的にさらに増大させて、予め取り出して除去することが可能となる。
これにより、RF−KO電極12によるRF−KO電圧の印加がオフ中に取り出されやすいビームを選択的にRF−KO電圧がオンになっている照射中に取り出してしまい、ベータトロン振幅が大きいビームの数が相対的に少なくなるので、RF−KO電圧がオフのとき、すなわち照射装置6で照射を行わないときに、取り出されるビーム強度を減少させることが可能となる。
また、RF−KO電圧をオンにしたときに、ベータトロン振幅が大きい重粒子線のビームが、短時間に取り出されてしまい、照射線量率が瞬間的に高くなってしまうという問題の解決にも効果がある
これを実現するRF−KO電極12(図1参照)のRF−KO電圧を制御するRF−KO電圧制御装置(ビーム取り出し制御部)S1を、図4を用いて説明する。なお、図4は、RF−KO電極12に加えるRF−KO電圧を制御するRF−KO電極制御装置S1を示すブロック図である。
通常、RF−KO電圧を用いたシンクロトロン5からの重粒子線のビーム取り出しに際しては、図2に示す重粒子線のビームのベータトロン周波数f0に近い周波数成分を含んだ信号を、図4に示すRF−KO周波数発生器15で発生し、この信号を増幅器17で増幅して、RF−KO電極12にf0に近い周波数成分を有する高周波電圧を加えている。
通常の取り出しに用いられる周波数f0近くのRF−KO電圧とは別に、ベータトロン振幅が大きく、周波数f0近くのRF−KO電圧がオフ時に取り出されやすい重粒子線のビームのベータトロン振動だけに共振する周波数成分f0+△fをもつ高周波電場を重粒子線のビームに加える装置とした。これにより、ベータトロン振幅が大きい重粒子線のビームは、選択的に周波数f0近くのRF−KO電圧がオンになっている照射中に取り出されてしまうため、周波数f0近くのRF−KO電圧がオフのときに取り出されてしまうビーム量、つまり漏れ線量を減少させることが可能となる。
また、この装置ではベータトロン振幅が大きい粒子を、予め減少させているので、周波数f0近くのRF−KO電圧をオンにしたときに、ベータトロン振幅が大きい重粒子線のビームが、短時間に取り出されてしまい、照射線量率が瞬間的に高くなってしまうという問題の解決にも効果がある。
この構成により、呼吸同期などで照射を止めている間に発生する漏れ線量を低減することが可能となると共に、照射再開時に、予定以上の照射線量率で照射されてしまう問題を解決することができる。
そのため、より安全な重粒子線の照射が可能となる。
5 シンクロトロン(加速器)
6 照射装置
12 RF−KO電極
13 デフレクタ電極
f0+△f ベータトロン振動数(振動数)
S1 RF−KO電圧制御装置(ビーム取り出し制御部)
Claims (4)
- 加速器内で加速され該加速器内の軌道を進む荷電粒子ビームに、該荷電粒子ビームを挟んで配置されるRF−KO電極により、RF−KO電圧による電場を印加して前記荷電粒子ビームの幅を広げて前記荷電粒子ビームの一部をデフレクタ電極を介して前記加速器内から取り出す粒子線照射装置であって、
前記RF−KO電極により、軌道振幅が大きく前記RF−KO電圧をオフした場合に前記加速器内から取り出される可能性が高い荷電粒子ビームの振動数に共振する高周波電場を前記荷電粒子ビームに印加する制御を行うビーム選択取出し制御部を
備えることを特徴とする粒子線照射装置。 - 前記ビーム選択取出し制御部は、前記高周波電場を前記RF−KO電圧による電場とともに前記荷電粒子ビームに印加する
ことを特徴とする請求項1に記載の粒子線照射装置。 - 加速器内で加速され該加速器内の軌道を進む荷電粒子ビームに、該荷電粒子ビームを挟んで配置されるRF−KO電極により、RF−KO電圧による電場を印加して前記荷電粒子ビームの幅を広げて、前記荷電粒子ビームの一部をデフレクタ電極を介して前記加速器内から取り出す粒子線制御方法であって、
前記荷電粒子ビームを選択的に前記加速器内から取り出すためのビーム選択取出し制御部は、前記RF−KO電極により、軌道振幅が大きく前記RF−KO電圧をオフした場合に前記加速器内から取り出される可能性が高い前記荷電粒子ビームの振動数に共振する高周波電場を前記荷電粒子ビームに印加する制御を行う
ことを特徴とする粒子線制御方法。 - 前記ビーム選択取出し制御部は、前記高周波電場を前記RF−KO電圧による電場とともに前記荷電粒子ビームに印加する
ことを特徴とする請求項3に記載の粒子線制御方法。
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